• 無し

復讐鬼

マスター:nao

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2016/06/11 07:30
リプレイ完成予定
2016/06/20 07:30

オープニング

●惨劇
 爽やかな鳥のさえずりが鼓膜を揺らし、見上げた空には光と闇の境界線が曖昧に溶けて混じり合っていた。
 ……やがて。空には光が広がり、徐々に闇を飲み込んで……薄っすらと白みが増す。夜明けだ。
 朝も早いその時間を、商人の夫婦とまだ少年と呼べる子供、そして三人の護衛が歩いていた。一行が歩くのは街道……しかし途中、切り立った崖などの道幅の狭い悪路があり、低級とはいえ雑魔との遭遇率も低くない為、馬での移動はあまり推奨されていなかった。
 騎乗スキルが低い者が、崖付近で雑魔に襲われた際、馬ごと崖下へ真っ逆さま……そんな事故が多発しているからだ。
 次の街までそう遠くないのもあり、馬を繰るのが苦手な者の選択肢の一つに『護衛をつけ、夜明け前に街を発つ』というのがある。今のこの商人達だ。
 ――と。商人達が先を急いでいると、前方から三人の護衛に囲まれた一人の男が歩いてきた。二組の距離がゆっくりと近付いていく。……そして、すれ違う間際、
「どうです、そちらは。雑魔と遭遇されましたか?」
 男を囲んでいた護衛の一人が、目礼と共に商人達が雇った護衛へ問うた。軽い挨拶と、情報交換だ。
「いや、平和なものだ。警戒は怠れないが、静かなものだったぞ」
 商人達の護衛が、微かに肩の力を抜いて応えた――その瞬間、雲間から差し込んだ朝日に反射し、ふわりと銀光が瞬いた。
「……ぇ?」
 問うた護衛の腕が鋭く振り切られ――その手に握られていたのは、磨き抜かれた抜き身の短刀。一瞬後、応えた商人達の護衛の首が『信じられない』という面持ちで宙を舞った。首と胴の切断面が、断末魔の如く盛大に鮮血を噴き出し、ビシャビシャと大地を叩く。
「「……なッ!?」」
 完全に虚を突かれた商人達の護衛が身構えるより数段素早く、野盗と化した男達がそれぞれ武器を抜き、俊敏に襲い掛かるッ。……そして、二分後。
 地面には、おびただしいほどの鮮血に飛び散った臓物、そして肉の破片が大量に散乱していた。凄惨に切り刻まれた五つの死体がバラバラに混ざり合い、薄く湯気を上げている。
「……ぅぁ、ぁッ」
 少年は噎せ返り……口に手を当てて眼を見開き、声にならない悲鳴を漏らす。その全身はガクガクと小刻みに震えていた。
「よっし、これだけバラせば血の臭いに惹かれて、証拠もろとも雑魔が喰らってくれるだろ。この辺りの雑魔は人の血に敏感だからな。おい、金目のものは回収したか?」
「あぁ、したぜ。……っと、そっちのガキはバラさないのか?」
「必要ねぇだろ。こいつ、固まっちまってるぜ。後は雑魔がこいつも喰らってくれるだろうさ。俺達はさっさとずらかるぞ」
 野盗達は手馴れた様子で荷を纏め、その場から素早く撤退した。
 少年は固まったように動けない。
 遠くから小さく、飢えた獣のような獰猛な唸りが響いてくる。
 少年は固まったように動けない。
 飢えた獣のような獰猛な唸りが大きくなり、その息遣いまでもが少年の鼓膜をぶっ叩く。
 少年は――

●依頼
「……頼むッ。奴らを殺してくれッ!」
 全身生傷だらけの少年は涙を流し、懇願するように泣き叫んだ。その瞳は深い悲しみと殺意、そして煮え滾らんばかりの嚇怒の炎でギラギラと濡れ光っている。
「俺は、奴らを許せないッ。絶対にッ! 親が『復讐を望んでない、俺に手を穢すな』と言うだろう事も解ってるッ。それでも、俺は――許せないッ!」
 ダンッ、と拳をテーブルへ強く叩きつけ、少年は慟哭混じりで訴える。叩きつけられた拳には、数枚の紙が握られていた。
「これを見てくれ。ここ数ヶ月であの街道で起きた不審死だ。あいつらと同じ手口の、不審死だッ! ……捕まえるだけじゃ駄目かって? 甘いッ。甘いよ! この一帯を仕切る領主は、金に甘く腐ってやがるッ。金を握らせれば『雑魔に襲われた死体から金品を抜き取っただけ』とか改竄して、すぐ野放しにされるに決まってるッ! そして、放されたあいつらは――場所を変えて、きっとまた繰り返す! 奴らが生きてる限り、俺みたいな被害者がこれからも増え続けるッ! これまでだって、あいつらに泣かされた奴らは……こんなにも、居るッ!」
 少年は感情のまま絶叫し、広げた紙の上へ涙を零す。
「頼むッ。俺はあいつらを絶対に許せないッ! あいつらを殺さないと……先へ、進めない。……頼、むよ」
 少年は首を折るように項垂れ、低く掠れたような涙声で懇願した。

解説

・目的は野盗の殲滅、少年の復讐です。
・野盗の数は四人、レベルは5~12程度です。
・戦闘を長引かせると、血の臭いに惹かれて雑魔(それほど強くはありません)が現れる確率が高いです。現れるとしたら、三~四体程度です。
・同じ状況で誘い出すので、ハンターさん達には、護衛と商人に扮してもらう必要があります。
・少年に『野盗を殺さず、生け捕りにしよう』などと説得するのは、まず不可能です。

マスターより

まだまだ新米マスターのnaoです。
よろしくお願いします。
戦闘描写に力を入れられたらな、と思ってます。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/06/15 00:18

参加者一覧

  • 星を傾く者
    サクラ・エルフリード(ka2598
    人間(紅)|15才|女性|聖導士
  • 不撓不屈の黒き駒
    エルシス・ヴィーノ(ka4163
    人間(紅)|24才|女性|疾影士
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師
  • 紅風舞踏
    ノエル・ウォースパイト(ka6291
    人間(紅)|20才|女性|舞刀士

  • アスタリナ・シメイス(ka6296
    人間(紅)|14才|女性|闘狩人
  • 白腕の13
    ヴィント・アッシェヴェルデン(ka6346
    人間(蒼)|18才|男性|猟撃士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/06/07 02:09:17
アイコン 相談卓
ノエル・ウォースパイト(ka6291
人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|舞刀士(ソードダンサー)
最終発言
2016/06/09 01:06:07