• 無し

【空の研究】戦艦白雲

マスター:紺堂 カヤ

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
現在7人 / 4~8人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2016/09/14 12:00
リプレイ完成予定
2016/09/23 12:00

オープニング

 アメリアは、東の空に浮かぶ見事な入道雲を眺めて目を細めた。もっとも、その目は深く被せられた墨染のフードによって隠されており、本当に目を細めたのかどうかは彼女以外に知る者がなかったわけだが。
 そろそろ、夏が終わる。この入道雲も、このあたりで見納めになるだろうと思われた。
(つまり、これが今年最後のチャンス、というわけですねーえ)
 アメリアは、内心でため息をついた。本当は、こんなにギリギリになるつもりではなかったのだが。どうにも、決行に踏み切れない理由があった。
(おそらくは向こうも、しびれをきらしてくる頃でしょう……。充分な準備とは言えませんが、小細工もできますしそろそろ私も隙を見せて差し上げますかねーえ……)
 アメリアは空を見上げていた姿勢からゆっくりと俯いて、今度は地面を見た。草木が活力をあふれさせるはずの季節だというのに、その地は乾いて白茶けた土がむき出しになっていた。決して美しいとは言えない荒れた大地だが、この上に「何かを描く」となれば、草木が生え揃わぬ状態はむしろ好ましい。
「ふーむ」
 アメリアは細く巻き上げた用紙を取り出すと、その場で広げてわざとらしく唸ってみせた。
「私だけでの解読は、無理そうですねーえ。今年は、諦めるしかない、か……」
「諦めて貰っては、困るな」
 独り言のはずのセリフに返事を寄越す者がいたかと思うと、アメリアはぐるりと取り囲まれた。男が、三人。いずれも大きなナイフを持っている。
「アメリア・マティーナ殿とお見受け致します。あなたが研究しておられる魔法について、少々お話をお伺いしたい」
 アメリアの真後ろに立った男がそう言った。
「ナイフを突きつけられてお話を伺いたい、と言われても友好的に話す気にはなれませんがねーえ」
「まあそう仰らず」
「あなた方ですよねーえ、ここしばらく私をつけまわしていたのは」
「お気づきでしたか」
「ええ。あのつけまわしていた間に、いくらでも話しかける機会はあったと思うのですがねーえ」
「そうでもありませんよ。あなたはお一人で旅をしているわりには、常に人に囲まれていましたからね」
 もちろん、それはわざとである。おかしな男たちにつけられていると気付いていてわざわざ一人になるような危ない真似をできるほどアメリアは豪胆でもなければ愚かでもなかった。そのうち諦めて行くかと思ったのだが、そう上手くはいかず、仕方なく、隙を見せてやったというわけだ。
「つまり、そもそも友好的に話すつもりはない、ということですねーえ?」
「ええ、その通りです。察しがよくて助かりますよ。我らと共に来ていただきましょう」




 アメリアが連れてこられたのはあの荒れた大地を見下ろすことのできる、高台の小屋であった。もっとも、アメリアは窓からは遠ざけられ、最奥の部屋の石壁を背にした椅子に縛り付けられた状態であるために外の様子はうかがえなかったが。
「手荒な真似をして申し訳ない」
「申し訳ないとは思っていないようですがねーえ」
 アメリアは皮肉げに唇を歪めた。
「こいつ! 調子に乗りやがって!」
「アニキ、少々痛めつけてやりましょうよ!」
 それまで一言も発しなかった残り二人の男がナイフをアメリアに向けた。
「やめろ。傷つけるのが目的ではない」
 アニキ、と呼ばれたメガネの男が冷静な声で諌めた。リーダー格であるらしい彼はアメリアの正面へ進み出ると、形ばかりの笑顔を作った。
「粗野な奴らで申し訳ありません。あなたがこちらの要求を飲んでくだされば、すぐに解放いたしますよ」
「そもそも順序が逆なのではないですかねーえ。要求を拒んだ場合にのみ、拘束したらいいではないですか。私はその要求自体を知らないのですから、飲むも飲まないも返答のしようがありませんがねーえ」
「わかりきったことでしょう。正面から要求して飲んでもらえるとは思えない内容だからですよ」
 男はハア、とため息をついた。
「あなたは数々の、空に関する魔法を研究しておられる。だが、それをどこに売り渡すでもなければ公表するわけでもなく、自らの手元に置いていらっしゃる」
「別に、隠しているわけでもありませんがねーえ」
「そうでしょうね。しかし、危険な魔法については、意図的に隠しておられるのではないですか?」
「……つまり、あなた方が知りたいのは、そういった魔法について、だと?」
「ええ。……『戦艦白雲』」
(やはり)
「そういう名前の魔法を、ご存じですね?」
 アメリアがここ数日、使うに使えなかった魔法であった。
「ご存知ですが、ねーえ……」
 アメリアは慎重に言葉を選んだ。
(おそらくこの者たち、戦艦白雲がどういう魔法なのか知らない……)
「それを是非、我らに教えていただきたい」
「知ったらどうするのです」
「それはあなたに関係がない」
「随分と勝手なことを仰いますねーえ」
 アメリアとメガネの男は、アメリアのフードごしに睨み合った。メガネの男の背後には、ナイフをむき身にしたままの男が二人、控えている。アメリアは、はーっとため息をついた。
「お教えするしか、ないようですねーえ。……しかしながら、すぐには無理です」
「この期に及んで勿体ぶりますか」
「そういうことではありません。この魔法は、まだ研究が終わっていないのですよーお。つい最近、この魔法に関する最後の手掛かりたる文書を手に入れました。これを読み解けば魔法は使えるはずですが……、私一人では読み解けません」
 アメリアは、早口にならないように気を付けながら説明をした。
「ハンターオフィスに、その文書を届けてください。私の研究を、手伝ってくれている者たちがそこにいます」
(まあ、本当はいないんですけどねーえ……。なんとか上手いこと、こちらの状況をくみ取って欲しいところですねーえ)

解説

■成功条件:『戦艦白雲』の発動およびアメリアの救出

■発動に必要な最後の手掛かりである文書(文書名:【V】)

①         ②
直T<空マ山あ   えケ8ツ川テて
近径P緑の1ぬ   G大雪見2待F
カ花五黄スY流   モ明翔Aきりの
F小谷mしナ星   Qサみ描9陽E
J赤十ろ白色キ   ア朝にるΘk△
K3石☆細いノ   Z野イ青=>雨
g月シア紺レ円   荒ク上ガN◎セ
う光Xさらじコ   え研究宙Cンい

※この文書は実はアメリアが作成したものである。

■戦艦白雲
実はアメリアが二年ほど前にすでに研究を終えている魔法。
難易度、危険性は共に高くない。発動に成功すれば犯人の男たちの不意をつくことはできるが魔法自体に攻撃力はほぼない。

■犯人たち
三人。いずれもタガーナイフを所持。メガネの男がリーダー。
所属・目的は不明。

■注意点
・犯人たちはやってくるハンターたちが「魔法についての研究を終えてやってくる」と思っている。
・犯人たちの小屋は荒野が見渡せる高台にある。
・魔法の発動に際して犯人たちと接触する場合、武器は取り上げられる可能性が高い。

マスターより

捕まっちゃいました……。随分可愛げのない捕まり方ですけど……;
文書を読み解いて、そのとおりに行動すればあとはアメリアが何とかするとは思います、が……、そもそも『戦艦白雲』ってどういう魔法なのか?とか犯人たちは何者か?とか予想や調査をしてみてもらえると良いかなあ、と思います!

関連NPC

  • 空の研究者
    アメリア・マティーナ(kz0179
    人間(クリムゾンウェスト)|25才|女性|魔術師(マギステル)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/09/22 18:26

参加者一覧

  • 支援巧者
    ロニ・カルディス(ka0551
    ドワーフ|20才|男性|聖導士
  • 幻獣王親衛隊
    ザレム・アズール(ka0878
    人間(紅)|19才|男性|機導師
  • ライフ・ゴーズ・オン
    ジルボ(ka1732
    人間(紅)|16才|男性|猟撃士
  • その力は未来ある誰かの為
    神代 誠一(ka2086
    人間(蒼)|32才|男性|疾影士
  • 黎明の星明かり
    マチルダ・スカルラッティ(ka4172
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • 雨呼の蒼花
    雨を告げる鳥(ka6258
    エルフ|14才|女性|魔術師
  • 一肌脱ぐわんこ
    小宮・千秋(ka6272
    ドワーフ|6才|男性|格闘士
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
雨を告げる鳥(ka6258
エルフ|14才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2016/09/14 07:22:04
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/09/13 18:41:51