• 無し

【空の研究】幼き日の夢、極光の衣

マスター:紺堂 カヤ

このシナリオは3日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
参加費
1,000
参加人数
現在8人 / 4~10人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
7日
プレイング締切
2016/12/13 09:00
リプレイ完成予定
2016/12/25 09:00

オープニング

 アメリアは、ゆっくりとまぶたを開いた。味も素っ気もない病院の天井が見えた。目覚めたのか、という自覚と同時に、苦い思いが沸き起こる。
「やってしまいましたねーえ」
 ぽつりと、呟く。
 先日アメリアは、「空の研究所」の設立を目指した研究発表を行う予定だった。しかし、発表準備に熱中しすぎたために寝食を忘れ、あろうことか発表数日前になって倒れてしまったのである。原因は貧血。つまり、食事をしなかったことが祟ったのであった。
「そうですよねーえ。私だって人間なのですからねーえ」
 面白くもない冗談をひとりごちて、アメリアは身を起こした。まだ少しぼんやりするが、もう大事はなさそうだ。
「協力してくださった方には大変悪いことをしてしまいましたねーえ」
 ハンターオフィスに丁重な謝罪の書状を送らなければ、と思ってから、アメリアはもうひとつ、思案すべきことを頭に浮かべた。
 すなわち。
 次をどうするか、である。
 研究発表は仕切りなおせる。しかし、前回用意していたものと同じではきっと王国側も納得しないであろう。何か別の手を考えなければならなかった。
 空の魔法は狙われている。狙っているのが誰なのかわからぬままだが、まずは魔法を守るため、「空の研究所」をなんとしても設立せねばならない。……グラズヘイム王国のためにも。
「……王よ……」
 アメリアは、今は亡き先王を思った。
 彼女がまだ少女と呼んで差し支えなかった頃、一度だけ謁見を許されたことがある。どこにも師事することなく魔法をたくみに扱う少女がいると評判になったアメリアを、呼び寄せてくださったのだ。

『アメリア・マティーナと申します。いつか私が、空に関するすべての魔法を研究し、王国のお役に立ててご覧に入れます』

 アメリアは、当時の自分の言葉を思い出して苦笑した。随分と大言を吐いたものだ。
 大言を吐いたものだけれど、今もそれを実現させようという気持ちは変わっていない。遠回りをしたこともあるけれど、ようやく、成果としてまとめられるところまで来たのだ。
(ああ、そうだ、あのとき)

『おそらのまほうですか? じゃあ、いつかオーロラのドレスを着られるようになるかしら!』
『オーロラのドレス、ですか』
『そう! わたくしね、オーロラって見たことないんですけれど、それはそれはきれいなんでしょう? いつかドレスにしたいのっ」
『かしこまりました。必ず、このアメリアがかなえて差し上げましょう』
『ほんとう? やくそくですっ』

 当時、おいくつであったのだろうか、幼く愛らしいシスティーナ王女が、父たる王のそばで目を輝かせていたのを、よく覚えている。
「システィーナ様……」
 尊い人を思って、アメリアは薄く微笑んだ。夢のような、可愛らしい約束。
 夢のようでも、きっとかなえてみせる。オーロラのドレスを、きっと。
「……! そうです、オーロラ!」
 アメリアはハッと気がついた。そうだ、それがあった。
 ベッドから飛び降りると、いつもの黒いローブに身を包み、フードをしっかり目深にかぶる。
「あっ、アメリアさん!」
 病院を出て行こうとしたアメリアを、医師が呼び止めた。
「ああ、先生、お世話になりましたねーえ」
「もう少し入院していてはどうだね? どうせ、またひとりで研究に没頭しちゃうんだろう。ここで温かいもの食べさせてあげるよ」
「ありがとうございます。しかしご遠慮いたしますよーお」
 アメリアは親切な医師にお礼を言った。
「今からの研究は、ひとりではありません。またどなたかに、来ていただかなければなりませんからねーえ。シチューの材料でも買って帰ることにしますよーお。寒空の下で行わなければならないですしねーえ」
「ふうん? よくわからないけど、ひとりじゃないなら安心だ。皆で食べるとシチューも美味しいだろうよ。お大事にね」
 医師は笑って手を振った。アメリアは足取りも軽く病院をあとにした。にんじんやじゃがいもを買い込みながら、そういえばシチューの作り方なんて知らないな、と思い当たったのだが。
「まあ、なんとかなりますかねーえ」
 成功させなければならないのはシチューよりもオーロラだ、とアメリアの気持ちはすでに、空の上にあった。

解説

■成功条件
アメリアとともにオーロラ発生の魔法を発動させ、王国に「空の魔法の研究」をアピールし、空の研究所の設立を助ける。

■魔法「極光スクリーン」
「極光」はオーロラのこと。
本来、自然現象であるオーロラを作り出し、さらにそこに様々な絵を投影することができる、とされる古い魔法。
磁場の強い土地を利用し、魔法陣を描き、魔術師を含む五人以上の人々で「オーロラの具体的なイメージ」を構築すると空に浮かび上がる。
より寒い日の夜に成功確率が上がる。

アメリアより
「これは実はかなり難しい魔法なんですよーお。オーロラの上に様々な絵を投影する、とありますが、そこまでにたどり着くには大変な人数と、修練が必要でしょうねーえ。今回はおそらく、オーロラを作る出すだけで精一杯でしょうから、それを目指しましょう。
ポイントは、複数の人々がオーロラのイメージを構築する、というところです。全員のイメージがぴったり重ならなければばりませんから、色味やグラデーション、うねりの幅など、細かく決めてイメージを共有しなければならないでしょうねーえ。
参加人数は多ければ多いほど、はっきりと美しいオーロラができますが、人数が多ければその分、全員のイメージを統一することも難しくなりますから、連携が必要不可欠ですねーえ。
私は美術的なセンスに乏しいので、色味を決めたりするのが苦手なんですが、イメージの構築は心配いりませんよーお。想像力はありますからねーえ。
ああ、魔法陣は、私が描き方を知っていますので、ご心配なく」

■魔法発動場所
王都イルダーナにある、小さな公園。
人体などに影響は全くないが、少し磁場が狂っている。
この公園の上空にオーロラを出せば、王宮からも見ることができる計算。

■炊き出し
寒い日を選んで実行するため、シチューの炊き出しを用意。
アメリアは料理の経験が少ないが、手先は器用なのでなんとかなる、と(本人は)思っている。

マスターより

シリーズの過去シナリオをご存じなくても問題なく活躍していただけますので、どうぞふるってご参加くださいませ。
王国に空の魔法をアピールするお手伝いを、是非、よろしくお願いします!!
オーロラの色や波形の決定を、皆で相談するのか、誰かひとりの提案に従うのか……?やりやすい方法を探ってください!
相談卓にはアメリアも参加しますので、質問がございましたらこちらへお願いします。(対応できる範囲でお答えします)
シチューに不安が残るので……、こちらをお手伝いしてくださるという方も大歓迎です……。

関連NPC

  • 空の研究者
    アメリア・マティーナ(kz0179
    人間(クリムゾンウェスト)|25才|女性|魔術師(マギステル)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/12/21 06:18

参加者一覧

  • 幸せ歌う双兎
    アルナイル(ka0001
    エルフ|13才|女性|聖導士
  • 世界爪弾く双兎
    シリウス(ka0043
    エルフ|13才|男性|魔術師
  • ライフ・ゴーズ・オン
    ジルボ(ka1732
    人間(紅)|16才|男性|猟撃士
  • 慈愛の守り手
    ミルベルト・アーヴィング(ka3401
    人間(蒼)|23才|女性|聖導士
  • 狂乱の貴婦人
    エリ・ヲーヴェン(ka6159
    人間(紅)|15才|女性|闘狩人
  • 雨呼の蒼花
    雨を告げる鳥(ka6258
    エルフ|14才|女性|魔術師
  • 一肌脱ぐわんこ
    小宮・千秋(ka6272
    ドワーフ|6才|男性|格闘士
  • 明日輝くための旋律
    クローディア(ka6666
    人間(紅)|18才|男性|聖導士
依頼相談掲示板
アイコン 【相談卓】極光スクリーン
ジルボ(ka1732
人間(クリムゾンウェスト)|16才|男性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2016/12/13 00:42:34
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/12/12 21:24:54