• 日常

妹の手料理が辛くて辛い

マスター:御影堂

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
参加費
1,000
参加人数
現在8人 / 4~8人
マテリアルリンク
報酬
少なめ
相談期間
5日
プレイング締切
2014/10/03 07:30
リプレイ完成予定
2014/10/12 07:30

オープニング


 俺の名は、サイフォン=コフィ。王国にある地方都市のしがない警備兵だ。
 身体が丈夫なだけが取り柄の俺にとっちゃ、天職さ。
 だが、俺の前に最大の敵が姿を表してから、様子が変わった。
 いや、安心してほしい。ここが襲われたわけじゃないんだ。

「た、ただいま」
 本当の敵は……。
「おかえりなさーい。お兄ちゃん♪」
 身内にいる。

 自宅に戻った途端に、俺の目鼻は異常を感知した。
 端的に言えば、痛みを感じるわけだ。
「どうしたの、お兄ちゃん?」
「いや、なんでもない」
 気取られないよう、愛想笑いを浮かべて中へ進む。
 妹の名は、ティーバ。両親を早くに亡くしたりとか、親から兄妹共々追い出されたとか。
 そんなことは一切ない。
 単にブラコンと世間、主に俺の同僚の間で呼ばれる類の妹なのだ。
 俺にとっては、健康を気遣ってくれる心優しい妹である。ある種の欠点を除いては……。
「ごはんたべるぅ?」
 鈴が鳴るような声で、誘ってくれるのを悪いと思いながら断る。
「外で食べてきた。付き合いでさ」
「えー、せっかくそら豆でポタージュを作ったのにぃ」
 頬をふくらませながら怒る妹は、かわいいが、その奥に見える鍋はなんだろうか。
 あからさまに湯気が赤みを帯びているのですが……。
「そ、そうか。それは悪かったな」
「じゃあ、明日のお弁当にでもしてよね。約束だよ」
「あ、あぁ、そうするよ」
 妹の押しに弱いのが俺の欠点だろうか。
 快諾してから、いつも後悔する。
「今日の味付けはうまくいったんだよ」とか「ちゃんと食べなきゃダメだよ」と小言をいいつつ、ティーバは出て行った。
 残されたのは痛々しいほどの、空気と鍋。
 アイツは言った。
 そら豆のポタージュだと。ならば、色は鮮やかな緑でなければならない。
 いや、百歩譲って鮮やかでなくてもいい。緑でありさえすれば……。
「なんで」

「赤色なんだ?」
 同僚のフラッグが俺の持参したスープを見て、首をひねった。
 トマトスープにしてはドロッとしすぎてるよなと、見当外れのことを言っている。
 残念ながら、そら豆のポタージュだと教えてやった。ついでに、誰が作ったのかも。
「え、ティーバちゃんが作ったの!? もったいねぇ。そんな顔して食うくらいなら、俺が食ってやるよ」
「本当かっ!?」
「いや、いきなり元気になられると、不安になるが、まぁ食えるんだろ?」
 頷くと意気揚々と俺からスープとパンを受け取った。
 その段階で、すでにフラッグは違和感を感じているらしかった。
 目が霞み、鼻がむず痒くなる。いや、それは痛いからだ。
「いただきまーす」
 止めるべきだった。
 本日、ティーバによって3人目の犠牲者が発生した。
 なお、最初の犠牲者は俺だ。

「端的にいうと、極端に辛いものを食べさせようとするんだ」
 俺の説明をフラッグは涙目のまま聞いていた。
 水瓶を空にするほど、流し込んでもまだ痛いのか舌を出したままだ。
「らんで、ひょんなこと?」
 なんでそんなことを、か。
「少し前、俺が疲れてたときにな。少し辛めの味付けにしてくれたんだよ」
 そして、元気が出たといってしまった。
 辛いのはやっぱり、元気が出るな! とも……。
「ひゃるひょど、ほれで、ひぇすかれーとしたというわひぇ?」
 エスカレートした、か。
「あぁ、どうやら辛さに滅法強かったらしくてな。俺が元気を落とすたびに段々と辛味が増していった。これでもか、これでもかって具合に……次第に手が付けられなくなった」
 それを食欲が無いと勘違いしたティーバが、さらに唐辛子を入れ……以下、エンドレス。
 ちなみに親は妹にはダダ甘なので、やることなすこと放置である。しかも、自分たちは自分たちで食事を作っているとか。
「逃げたもの勝ちだねん」
 気づけば、別の同僚も合流していた。なお、被害者二号のモスキートだ。
「でも、このままじゃサイフォン。死んじゃうねん?」
「あぁ……」
 少しずつ慣らせば、いけると思ったのだが、逆に匂いだけで受け付けなくなった。
「妹ちゃんに、ちゃんとした元気の出る料理、教えてあげるねん」
「ついひぇに、唐辛子を使い過ぎだと気づかしぇないとな」
 辛さの呪縛から抜け出したフラッグも同意する。
「私にいい考えがあるのねん」
 モスキートは、薄っぺらい笑みを浮かべていた。


「料理教室?」
「あぁ、一度行ってみたらどうだ。お前の新しい料理、食べてみたいぞ」
「わぁ、嬉しい! じゃあ、行ってみるね!」
 詳しい情報も聞かずに、快諾。俺の妹ながら、ちょろい。
 モスキートの作戦は、こうだ。
 ハンターと呼ばれる各地を旅するものたちに、妹の料理を矯正してもらう。
 歴戦の戦士であれば、多少の辛さ(痛み)にも耐えられるだろう。
 少しずつ辛さを出し過ぎだと気づかせ、方向性を直してあげればいい。
「ついでに、美味しい新たな料理が食えるっ!」
 モスキートとフラッグは、この作戦が失敗した時のことを考えてはいない。
 あの、唐辛子好きになっている妹が、新しい料理に唐辛子を入れないとでも……。
「じゃあ、行ってくるね。お兄ちゃん」
「あぁ、頑張ってこい」
 お膳立ては済んだ。後は、ティーバ次第というわけだ……。

解説

●目的
お料理教室で、ティーバの料理を正しい道に導く

●方法
基本方針は、お料理教室。
あなたたちは講師か、同じ教室に集まった生徒になります。
全員が講師でも構いません。

以下は矯正の一例です。他にナイスな方法があれば提案してください。
1)料理を教える
基本は出来るんです。
ただ、唐辛子を入れたいだけなんです。
というわけで、唐辛子を使わなくても元気になれる料理を教えてあげてください。

2)唐辛子を止める
それでも、唐辛子を入れようとする彼女を止めてください。
あるいは、隠し味程度になるように調整してあげてください。

3)いっそ実体験を見せる
ティーバの目の前で、彼女の唐辛子料理を食べても構いません。
よほどの自信がないかぎりは、悶絶して暴れるでしょう。いずれ、動けなくなります。
そのさまを見て元気になったと勘違いするかもしれませんが、そのときはそのときです。

●喜ぶ兄
最後に、妹が成果を見せるパーティを開くでしょう。
その場で喜ぶ兄やおまけ2名を慰めてあげましょう。
※失敗した場合、あなたたちを含め阿鼻叫喚の地獄絵図となります。

マスターより

こんにちは、御影堂です。
辛いのは得意ですか?
私は中途半端です。好きだけど苦手みたいな?
でも、目が痛くなるくらい辛いのは兵器だと思います。平気な人もいるらしいですが。
お兄さんはダメな人、妹は平気な人だったことから生まれた悲劇です。
ハッピーエンド目指して、レッツクッキング!!
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2014/10/10 11:41

参加者一覧

  • 幸せの魔法
    ミィナ・アレグトーリア(ka0317
    エルフ|17才|女性|魔術師
  • お茶会の魔法使い
    ロラン・ラコート(ka0363
    人間(紅)|23才|男性|闘狩人
  • 【ⅩⅧ】また"あした"へ
    十色・T・ エニア(ka0370
    人間(蒼)|15才|男性|魔術師
  • その名は
    エステル・L・V・W(ka0548
    人間(紅)|15才|女性|霊闘士

  • 敷島 吹雪(ka1358
    人間(蒼)|15才|女性|猟撃士

  • ギルバート(ka2315
    ドワーフ|43才|男性|霊闘士
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師

  • ファルテ(ka2634
    人間(紅)|17才|女性|疾影士
依頼相談掲示板
アイコン そんな料理で大丈夫か?
十色・T・ エニア(ka0370
人間(リアルブルー)|15才|男性|魔術師(マギステル)
最終発言
2014/10/02 00:25:40
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/10/02 00:21:53