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【初心】手向けの花の見る夢

マスター:紫月紫織

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加制限
LV1~LV20
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
プレイング締切
2017/03/04 09:00
リプレイ完成予定
2017/03/13 09:00

オープニング

●夜の秘密は蜜の味
 夜もふけて、月夜の帳が降りた頃、少女は寝床で目を覚ました。
 もそ……と寝床から這い出して、周りを見回して両親が寝静まっているのを確かめてからそっと家を抜け出す。
 常習犯のような手慣れた動きだった。
「ふふふ、今日は何の花にしようっかなぁ~」
 月明かりのみに照らされる薄暗い夜道を歩く、そんな夜の世界と打って変わって少女の足取りは軽やかだ。
 それはこれからの楽しみと言わんばかりのことへと意識が向けられているというのも、大きな理由だろう。
 彼女の家の裏山をしばらく登ったところには、とてもきれいな花畑が広がっていた。
 雪が降り積もったかのように一面白で埋め尽くされたそこは、月の光を受けてほのかに輝いて見える。
 そんな花を一輪積んで、花弁をちぎり口にする。
 溜まった夜露に蜜がとけているのだ。
 ほのかな優しい甘みにごきげんな少女は、そう言えばと花畑の一角へ向かう。
 毎年白い花だったそこに、今年だけ色鮮やかな花を咲かす場所ができたのだ。

 もしかしたら、そこの密はとびきり甘いかもしれない。

 そう思って足を進め、そこが見えてきたところで少女はぴたりと足を止めた。

「なに──あれ……?」

 月夜に浮かぶ、うごめく巨大なシルエット。
 植物が巨大成長でもしたのか、さもなくば何かの間違いか夢なのか。
 しゅるり──と彼女の足に絡まった蔦が、これは現実だと伝えてくる。
 咄嗟に踵を返そうとする少女、蔓はそれは許さず、そして少女をたやすく宙吊りにする。

「じょ、冗談だよね……?」

 震えた喉から漏れる声は、夜の冷たさに溶けてゆく。
 獲物を入れる袋のような器官に、少女は為す術もなく放り込まれた。


 早朝、居なくなった少女に慌てた両親は、いつもの場所へと当たりをつけて山の上へと走った。
 そうして、花畑にそれを見つけたのである。

 巨大化した花の雑魔と、それの側に転がる少女の靴を。

●ハンターオフィスの朝は早い
 ハンターオフィスに中年女性が駆け込んできたのは早朝のことだった。
 ひどく焦っており何かを伝えようにもぜいぜいと息を切らしていてまともに喋ることも敵わない。
 エリクシアが慌てて水を差し出すとそれを一息に飲み干そうとして今度は咽る。
「む、むず……ゔぇっ、げふっ、げふぉっ」
「落ち着いてください。話は伝わらなければ意味がありません」
 背中を無でさすり言い聞かせるように言うと、ようやく中年女性は呼吸を整えることに専念したらしかった。
 そんな光景を見ながら、シルヴァは嫌なものを感じていた。
 ハンターオフィスに呼吸困難寸前になるほどの全速力で駆け込んでくる、そんなの火急案件以外にありえまい。
 めくったカードは戦車を示す、事は急ぐが吉らしい。



「娘が雑魔に喰われたんです!」

 手遅れじゃないか、と思ったエリクシアだが、素人の判断は危険である。
 それにどのみち倒さなくてはいけないのは変わらない。

「落ち着いて、状況と事の次第を教えてください」

 無事かもしれない、なんて事は口が裂けても言えないが、詳しく確認して早急に対処すれば助かる可能性がある例もある、そしてそんな可能性を拾い上げるのはオフィス職員であるエリクシアの、そしてハンターの仕事である。

「夜中にこっそり家を抜け出す癖のある娘だったんです。昨夜も抜け出したみたいで、探しに行ったら、裏山を少し入ったところに雑魔が居て……その直ぐ側に、娘の靴が……うぅっ」
「どのような雑魔です?」
「花の、ような……植物のような……なんかこんな襟巻みたいな入り口と蛇みたいな、デブな夫のお腹みたいに膨らんでて」

 なんか今変な暴言が混じった気がするがそっと聞き流す。
 そこに突っ込んだら多分重大なタイムロスが発生しそうだ。
 話をまとめると、植物系で花を持つ雑魔であり、なんか捕食器官(推定)らしきものがあると。
 なんとなく聞いたイメージを書き出すエリクシア、クリップボードにまとめてある紙に書き出されたのは、ウツボカズラにもにた感じの外見をした存在である。
 腹のように膨らんでいる、となればそこに獲物が入っているとしても不思議ではなかろう。

「あっ、こんな感じです!」
「なるほど、了解しました」

 むんず、とエリクシアの手がシルヴァの服を掴んでいた。
 逃がす気はないという、オフィス職員の気迫がこもっている。

「所見をお願いします」

 ぐい、と書き上げたラフを見せられて少しの間考え込むシルヴァ。

「食虫植物っぽいなぁ……察するところにこの部分は消化器官じゃないかしらね。植物の消化速度はしらないけど、吸収速度を超える勢いで消化しても意味がないと考えれば遅い可能性はあるわね。この形状だと知恵のある獲物なら逃げられかねない、誘引系だとしたら匂いにも注意したほうがいいかもね。そして獲物を誘い出すタイプなら、自分が移動するタイプじゃないでしょうね」

 シルヴァの見立てを依頼表に素早く書きつけるエリクシア、そして叫んだ。

「緊急の依頼です! 受けられる方、話を聞かれる方は集まってください!」

 そんなエクリシアの姿を横目に、シルヴァはふむ、と考えを巡らせる。

「少女のことはもちろんだけど……少女が遊びに行くような場所になんで雑魔が発生したか、よね。……マテリアル汚染? だとしても一体何処が……?」

解説

◆目的
 花の雑魔、(エリクシア命名:ネペンテス)を倒して少女を助けてあげてください。
 少女は四つある捕虫器のいずれかに飲み込まれています。
 戦闘が始まって5ラウンド以内に娘さんを救出できない場合、活性化したネペンテスの生産する消化液によって死亡します。
 その為、少女を助けるには戦闘開始から5ラウンド以内に救助を完了する必要があります。

◆ネペンテス
 サイズ2の巨大なツル科の植物雑魔。
 中心に核となる茎が存在し、太さおよそ1メートル、高さ4メートルほどです。
 核を中心に、周囲を4つの捕虫器と4つの蔓で構成されています。
 蔓の長さは8メートルほど、
 攻撃能力を有しているのは蔓のみ、その為1ラウンドに4回攻撃してきます。
 ----この部分はPL情報です----
 HPは全体で共通していますが、蔓に対して一撃で一定以上のダメージを与えることで蔓を切断(破壊)することができます。
 ----------------------------
 
◆シルヴァについて
 符術師です。同行しますがよほどのことがない限り彼女が自発的に攻撃することはありません。
 スキルは【生命感知】【瑞鳥符】【地脈鳴動】の三つを持って行きます。
 シルヴァは開始前に【生命感知】を使い娘さんの捉えられている捕虫器を特定してくれます。

◆注意点
 捕虫器は言ってしまえば植物性の袋です。
 娘さんはその中に捉えられていますので、攻撃の方法次第では危険があるでしょう。
 ネペンテスが居るのは花畑のど真ん中です。
 意外としっかり根を張っているです。

マスターより

初めまして、もしくは再びお会い出来て光栄です、紫月紫織です。
今回は【初心】連動のシンプルな救出シナリオです。
符術士のシルヴァ・ラヴァフェットが同行し、もしものときには援護をしてくれますので、思うままにぶつかってみてください。

今回の大成功へのヒントは三つ。
迅速な救助・的確な駆除・再発の防止です。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2017/03/11 13:40

参加者一覧

  • 世界の北方で愛を叫ぶ
    樹導 鈴蘭(ka2851
    人間(紅)|14才|男性|機導師
  • 陽と月の舞
    雹(ka5978
    鬼|16才|男性|格闘士
  • 機知の藍花
    静玖(ka5980
    鬼|11才|女性|符術師
  • 白狼は焔と戯る
    ソティス=アストライア(ka6538
    人間(蒼)|17才|女性|魔術師

  • 雅・彩楓(ka6745
    人間(紅)|13才|女性|舞刀士
  • 変わらぬ変わり者
    ハンス・ラインフェルト(ka6750
    人間(蒼)|21才|男性|舞刀士
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
ソティス=アストライア(ka6538
人間(リアルブルー)|17才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2017/03/04 01:15:54
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/03/01 08:36:15