• 冒険

バチャーレ村の畑あらし

マスター:樹シロカ

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2017/04/01 19:00
リプレイ完成予定
2017/04/15 19:00

オープニング

●バチャーレ村の新住民
 自由都市同盟のジェオルジに、バチャーレという村がある。
 長らく無人の廃村だったが、現在ではサルヴァトーレ・ロッソで転移してきた人々が移り住んでいる。
 リアルブルー産の大型コンテナを転用した集会所や小規模植物プラントを中心に、まだ新しい木造の建物がぽつぽつと建ちつつある。そんなちょっと不思議な光景も、見慣れてくれば面白いものだ。
 ……と、『村長』のサイモン・小川(kz0211)は思う。

「で、あたし達の家はどこなの?」
 サイモンのちょっとした感傷は、女の声で遮られた。
「ああ……こちらになります」
 サイモンが指差したのは、二軒がひと組になった木造の共同住宅のひとつだった。住宅といっても、どちらかといえば丸太小屋に近いかもしれない。
 だが女は気に行ったようだった。
「へえ、悪かないね。ほらレベッカ、ここが新しいおうちだってさ」
「うっわー! 母ちゃん、おとぎばなしの森のおうちみたいだね!!」
 十歳ぐらいの女の子が目をキラキラさせている。
「母ちゃん。おおかみさんこない?」
 何か絵本でも読んだのだろうか。七歳ぐらいの女の子は母親のスカートにしがみついている。
「ばっかだなあ、ビアンカは。オオカミなんかこねえよ! そのかわりにゴブリンが夜中にぐわーって……」
「ふえええええ」
 十二~三歳の男の子がふざけて、両手で頭をがばっと掴むと、女の子は顔を真っ赤にして泣きだしてしまう。
「エリオ、いい加減にしな! またビアンカがひきつけおこしちゃうだろ!!」
 女はそう言うよりも早く、拳を男の子の頭に食らわせていた。

 ……サイモンは、あまりの賑やかさに目眩を覚えた。
 つい数か月前のこと、リアルブルーの崑崙基地へ希望者が帰還できることになり、村の人口は7割ほどまで減ってしまっていた。
 村が自立するにはあまりに人手が足りない。
 それを補うべく、ジェオルジ領主のセスト・ジェオルジ(kz0034)は新たな住人の受け入れを提案してきた。
 サイモンとしては更なるトラブルを恐れたが、送別会と帰還民の護衛を引き受けてくれたハンター達のアドバイスもあり、まずはジェオルジ民の希望者を少しだけ受け入れることにしたのだ。
 そして、アニタ・マネッティという女とその子供たちがやってきた。
 若く美人で、とても大きな子供がいるようには見えない色っぽい女だが、絵に描いたような肝っ玉母さん。
 サイモンがあまり接したことのないタイプであるのは間違いない。

 そのアニタがそれほど多くない荷物を運び終え、すぐに出てくる。
「ねえ。畑をみたいんだけど、いい?」
「今日はお疲れでは?」
「そろそろ種まきの季節じゃないの。ぼやぼやしてらんないよ」
 サイモンは眼鏡の奥の目を、意外そうに見開いた。
(思ったより仕事熱心なんだな……)
 アニタはそんなサイモンの思惑など全く気にせず、別に運ばせた大きな袋を示す。
「ねえあんた、アレ見たことある?」
「ヒスイトウモロコシですね。領主様から伺っていますよ」
「……本気で植えるの?」
「ええ。もちろん」
 サイモンはいつもの柔和な、けれど何かを企んでいるような笑顔を見せた。

●バチャーレ村の野望
 ヒスイトウモロコシとはその名の通り、宝石のような緑色のトウモロコシである。
 領主セストが開発した、病気に強く、栽培しやすく、味も良いという魅力的なトウモロコシなのだが……色が問題だった。焼いても粉にひいても緑色。スープはもちろん緑色。「なんとなく不気味」という理由から、あまり売れていない。
 ひょんなことで街から流れてきたアニタは、ジェオルジに身を置く代わりにセストの依頼で栽培と利用法の考案を任されていた。
 そのトウモロコシの話を聞いたサイモンは、ひとつの案を思いついたのだ。

「ウイスキー、あるいはバーボンを作るのはどうでしょう。……もちろん、バチャーレ村で」
 
 セストはすぐにその提案を受け入れた。

 ――そしてアニタ達がやってきてから、しばらく後の早朝のこと。
 サイモンはアニタの大声に腰を浮かせた。
「村長さん! またやられちゃったよ!!」
 読みかけの書類を放り出し、アニタと一緒に畑へ向かう。
 見れば、丁寧に耕した黒い畝にはいくつもの穴が。
 昨日アニタの子供たちが一生懸命に撒いたヒスイトウモロコシは、全く見当たらない。
 実はこれが三度目なのだ。
「昨日の夕方に撒いたばかりなのに。どんどん早くなりますね」
 最初は三日後、次は二日後。そして今回は撒いた翌朝。
「まえの畑でも鳥に食われたことはあったけどね。夜の間に鳥は来ないはずだよ?」
「かといって、イノシシなんかの仕業というわけでもなさそうだ」
 サイモンも畑をじっと睨む。
「……夜、見張りをしてみましょうか。他の皆さんにも協力をお願いしましょう」
 サイモンは、何事か気になることがあるような表情で腕を組んでいた。

解説

●依頼内容(PC向け)
 バチャーレ村のサイモン・小川代表から、畑荒らしの正体を確認してほしいという依頼が出されました。
 寝ずの番になりますので、念のためハンターの助力が欲しいとのことです。

●PL向け情報
 サイモンは何か思うことがあり、ハンターに依頼することに決めたようです。
 また「確認してほしい」という依頼ですので、退治は必須ではありません。仮に野生動物なら? など、色々と理由は考えられます。
 ハンターの皆様からこれらの点についてご指摘があれば、成功度アップの可能性があります。
 OPの情報がヒントになりますので、ぜひ皆様で話し合ってみてください。

●現地情報
 村の農地。北側には山、東には村を挟んでキアーラ川という川がある。西の端は街道、その向こうは森。
 アニタの畑以外にも、小麦や大麦、豆など、色々な作物が育てられている。
 依頼に必要な品は、指定があれば村で用意できるものもありますが、ハンターしか扱えないような品物はほぼありません。
 昼のうちに種を撒き、日が落ちてから夜明けまで、草を積み上げてカモフラージュしたテントに潜んで監視します。
 他の監視方法の提案があれば変更も可能です。

●同行NPC
・サイモン・小川
 元・サルヴァトーレ・ロッソの食糧生産プラント技術者。ロッソ乗員のうちバチャーレ村へ移住した一団の代表を務める。村長と呼ばれることもある。三十代前半の長身痩躯のアジア系青年。
 今回は止められなければ夜回りにも同行します。

・アニタ・マネッティ
 「ひょんなこと」は拙作『【深棲】消えた荷物を追え!』にありますが、お読みいただかなくても本依頼のご参加には問題ありません。
 今回の依頼にはお声かけがなければ顔出し程度の登場予定です。

※何か確認事項がありましたら、サイモンがわかる範囲でお答えします。質問卓をご用意ください。

マスターより

暫くぶりのシナリオになります、樹シロカです。

いよいよバチャーレ村に将来のビジョンがみえてきたようです。
今後は同盟内の他の地域も何かの形で絡んでくるかもしれません。

が、まずはトウモロコシの栽培ができなくては、話が始まりません。
畑を荒らす犯人を確かめ、村の平穏を取り戻してください。
ジャンルは『冒険』ですので、場合によっては戦闘もあるかもしれません。
夜のことですので、昼間以上の警戒もお忘れなく。

なおMSによるご質問の確認は、出発の24時間前を期限とします。何卒ご了承くださいませ。

関連NPC

  • バチャーレ村移民団代表
    サイモン・小川(kz0211
    人間(リアルブルー)|33才|男性|一般人
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2017/04/14 00:24

参加者一覧

  • がんばりやさん
    ルーキフェル・ハーツ(ka1064
    エルフ|10才|男性|闘狩人
  • がんばりやさん
    ウェスペル・ハーツ(ka1065
    エルフ|10才|男性|魔術師
  • ドキドキ実験わんこ
    ノワ(ka3572
    人間(紅)|16才|女性|霊闘士
  • 語り継ぐ約束
    天王寺茜(ka4080
    人間(蒼)|18才|女性|機導師
  • 金色のもふもふ
    パトリシア=K=ポラリス(ka5996
    人間(蒼)|19才|女性|符術師
  • 占いバーテンダー
    あ(ka6775
    人間(蒼)|16才|男性|符術師
依頼相談掲示板
アイコン 畑荒らしの正体は?(相談卓)
天王寺茜(ka4080
人間(リアルブルー)|18才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2017/04/01 01:11:00
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/03/28 09:02:53