• 戦闘

歪虚リアンの屈辱と覚悟

マスター:鳴海惣流

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2017/04/06 09:00
リプレイ完成予定
2017/04/15 09:00

オープニング

●轟く咆哮

 それは雷鳴と聞き間違うほどだった。
 大気自体が吼えているような錯覚に陥り、住民は恐怖に身を震わせた。

 ――グラズヘイム王国ラスリド領リーラン。

 領主の代行としてこの村を任されているレイルは、かつては村長の家だった自身の住居にある簡易な木の机の上で頭を抱えていた。

「もの凄い速度でこっちに来てますよっ!」

 偵察兵の年若い少女が、慌てぶりを表すように手をバタバタ上下に振って同じ報告を繰り返す。

「落ち着きなって。騒いでもどうなるもんでもないだろ。にしても、なんでこの村ばっか狙われるかねぇ。まだ戦力が充実してるアクスウィルに行ってくれればいいのにさ」

 レイルの傍らに立っている女鬼のアオユキがため息をつく。

「まった……いや、私の立場で同意するのは問題があるな。ミント、もう一度、敵について教えてくれるか」

 ミントと呼ばれた少女は声高く返事をして、敵の特徴をレイルと彼の側近であるアオユキに告げる。

「でっかい鴉です。ひたすらギャアギャア吼えてて、金色の目がもの凄い不気味ですっ」

 明らかに人間ではない存在が、常軌を逸した叫び声を放ちながら高速で飛んでいる。
 しかも向かっている先には小さな田舎村でしかないリーランがある。

「ここまでくると呪われてるとしか……いや、ちょっと待て。本当にその異形はリーランを狙ってるのか?」
「はあ? まさか旦那は適当に飛んでる先に、たまたまこの村があっただけって言いたいのかい? そんなアホな偶然があるわけないだろ」
「……何にしても放置はできない。アオユキは兵を集めてくれ。ミントはハンターへの依頼だ。ついでに領主のいるアクスウィルにも報告を送っておいてくれ。援軍が間に合わなくても、何が起きているのかは知らせるべきだからな」

●屈辱の歪虚

 自らの作戦を脚本と称し、矮小な存在だと思っていた人間相手に不愉快な遊びを行っていた歪虚はその余裕すべてを失っていた。

「ぐがああァァァ! 殺す、ニンゲンは殺すゥゥゥ!!」

 憤怒に支配された両の瞳に宿るのは燃え盛る憎悪のみ。

「笑い者になろうとも! 無様であろうとも! 絶対に殺す!」

 殺す殺す殺す――。

 そればかりを繰り返す歪虚リアンの脳内に、目的地などというものは存在しなかった。
 巨大な鴉の化身にも見える真っ黒な体から生えた翼を動かし、激情のままに飛び回る。
 頭部から生えた一本角を振り回し、悪意の塊のような金色の瞳をギラつかせるその姿に正気というものは微塵もなかった。
 だからこそ狂った叫びを放ち、飛び続ける歪虚は前方に人間の集落が見えると歪な笑みを浮かべた。

 殺して殺して殺しまくれると。

●迎撃

 村に呼び込むよりはと、レイルは総力を挙げて迫りくる歪虚に戦いを挑んだ。
 結果は命からがら逃げ帰るだけの惨敗である。
 たった一体。他には敵がいないというのに、歯牙にもかけられなかった。
 巨大な鴉の歪虚はまだ存命。しかも、もうすぐリーランの上空に到達する。

「くそ……きついな……」

 すでに住民は後方の森へ避難させているが、どこまで安全かは不明。
 レイルのみならず、生き残りの他の兵もボロボロでは抵抗らしい抵抗もできない。
 アクスウィルの援軍も距離的に期待はできない。どうすればいいのか。
 痛む体で悩み続けるレイル。出るのは重苦しいため息ばかり。

 ――コンコン。

 ドアがノックされる。レイルは「どうぞ」と声をかける。到着してくれた希望に。

●決戦

 求めに応じて駆けつけたハンターにお礼を述べたあと、状況の説明をするのはレイルという村の代表者だ。

「敵のボスは巨大な鴉の化身の歪虚。当初は一体だけだったんだが、まるで引き寄せられるようにどこからかコボルドまでやってくる有様だ。これもまとめて始末してほしい。村人は奥に避難させていて、負傷はしているがウチで一番の実力者の女鬼が護衛についている。後方は……なんとか大丈夫だろう」

 真剣な顔つきで依頼されたのは、巨大な鴉歪虚の退治であった。

「私たちは一度戦ったが、小範囲と広範囲の火炎を使い分けてくる。魔法属性だったのに加えて回避し辛くてね、それだけでこちらの戦力はほぼ壊滅状態だったよ。あとは鋭い嘴で二回攻撃してくるのが特徴だ。こちらも例の火炎同様に回避が難しかったのを覚えてる」

 なおもレイルは説明を続けようとしたが、それを阻むように村全体が大きく揺れた。
 ついに巨大な鴉歪虚――リアンがこの小さな村へと到着したのである。
 急いでハンターたちは表へ出る。すると歪虚は警戒しているのか、上空へと飛び上がる。

「ハンタァァァ!! 殺す! 殺すゥゥゥ!!」

 金色の目を血走らせる鴉歪虚。その憎悪に満ちた声が、戦闘の開始を告げる合図となった。

解説

●目的
歪虚リアン及びコボルドの殲滅

●簡易map
※上から見下ろしてる感じ。map外の移動は不可。

     森
 ABCDEFGHI 1マス=1sq
a□□□□□□□□□ □=村
b□□□□ハ□□□□
c□ハ□□□□□ハ□
d□□□□□□□□□ 1=歪虚リアン
e□□□□□□□□□ 2=コボルドLV25
f2□□□□□□□2
g□□□□□□□□□
h□□□□1□□□□ ハ=ハンター初期位置(選択可能
i□□□□□□□□□
    村入口

●map情報
リーラン村内での戦闘となる。現在地点は町中央の広場。
住民は全員避難済み。逃げ遅れた者はいない。
現時点で戦闘能力のないレイルも森へと退避している。

●敵情報
■歪虚リアン
歪虚でサイズは2。現在、正気を失っている。
自身が仲間から嘲笑を受けようとも、人間を殺すという一心で行動中。
今まで幾度となくハンターに退けられているが、その時とは比べものにならないくらいの能力を発揮してくるので注意と警戒が必要である。

近接攻撃は嘴による物理の二回攻撃。
遠距離は小範囲で小威力のファイアブレス。広範囲で高威力の滅殺の大火炎を使用。滅殺の大火炎に関しては回避能力が半減する。両方とも魔法攻撃。

現在は上空五メートルの位置におり、隣接しても射程が6sq以上でなければ攻撃は届かない。
何の対策を講じなくとも、体力が一定値以下になると大地に降りて戦う。

■コボルドLV25
突然変異のコボルド。普通のよりも一回り大きい。ある程度夜目がきく。
攻撃手段は近距離では爪。遠距離では投石を行う。
従来種のコボルドより圧倒的に強く、その実力は雑魚の雑魔よりも上。
経験を積んだ、もしくは装備に優れたハンターでなければ手に負えないと、領内で噂になっているが、それよりも今回のは強そうに見える。

マスターより

お世話になっております。
鳴海惣流です。

今回でリアンさんとも最後になるでしょう。
前回、前々回とむしろハンターさんにボコられた彼ですが、その分だけ今回はとても強くなっています。とても大変です。

ヒントを出すと前回の戦闘では5割の力になっていましたが、それでも魔法攻撃の威力の設定値は100を超えていました。

皆様のご参加をお待ちしております。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2017/04/12 22:09

参加者一覧

  • 虹の橋へ
    龍崎・カズマ(ka0178
    人間(蒼)|20才|男性|疾影士
  • ……オマエはダレだ?
    リカルド=フェアバーン(ka0356
    人間(蒼)|32才|男性|闘狩人
  • 冥土へと還す鎮魂歌
    日下 菜摘(ka0881
    人間(蒼)|24才|女性|聖導士
  • ツナサンドの高みへ
    ティス・フュラー(ka3006
    エルフ|13才|女性|魔術師
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • 非情なる狙撃手
    コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561
    人間(蒼)|25才|女性|猟撃士
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
ティス・フュラー(ka3006
エルフ|13才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2017/04/05 22:20:13
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/04/01 21:42:30