• 戦闘

【奏演】Requiem

マスター:風亜智疾

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
オプション
参加費
1,500
参加人数
現在8人 / 3~8人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
プレイング締切
2017/08/21 22:00
リプレイ完成予定
2017/09/04 22:00

オープニング

※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。

 奏でたい音があった。聴かせたい人がいた。叶えたい夢があった。
 ――全て、なくなってしまった。


 苦しそうに呻く信者の声に、教祖トトーはそっと伏せていた目を開く。
「ここ最近、病人が増えているように感じられます」
「怪我もなかなか治りにくくなっていて……」
「教祖様、どうか我々をお助け下さい」
「教祖様」
「教祖様」
 肩の上に乗った妖精は何も語らない。傍にいる金の髪の少女も、何も語らない。
 ただその無機質な瞳で、信者たちを見つめるばかりだ。
「……安心なさい。祈りは必ず貴方方の願いを叶えるでしょう」
 両手を広げ、フードから覗く口元を優しく引き上げる。たったそれだけで、信者たちは安心すると知っているから。
「祈り給え。願い給え。敬い給え。我らが神を」


 トトーという青年は、かつて妹であるエミリと共にリアルブルーから転移してきた人間だった。
 ピアニストを夢見ていたその青年とその妹は、小さな村に受け入れられ、慎ましやかな生活を送っていた。
 村に唯一ある小さな教会に置かれた古びたオルガンを奏でることを楽しみに、この世界を少しずつ学び。
 そうして生きていた銀の髪を靡かせる兄妹は、私とよく同じ空間で過ごしていた。
 飴色の長い髪を白いレースのリボンで掬う様に結ったその頃の私は、幼い頃に雑魔による襲撃で足を不自由にしてしまい、同じ年ごろの子供たちと遊ぶことが出来なかった。
 そんな私と、教会でオルガンを奏でる青年と寄り添う妹は、多く言葉を交わすことはなくとも、どこか似た者同士のようなそんな気持ちを抱いていた。

 ある日。村が雑魔によって襲撃された。
 ちょうどその時、私は恩人である灰色のロングストールを身に着けた男と共に画材の買い出しに出ていて村におらず、帰って来た時には村は既に壊滅寸前だった。
 至る所で燻る煙と、悲鳴。ハンターたちが駆け付けた時にはもう手遅れに近く。
「とうさん! かあさん!!」
 私の家も、オルガンのあった教会も、焼け落ちていた。


 腕の中の少女をきつく抱き締める。落とさぬよう、離さぬよう。
 眼前に広がるこの地獄に、少女を連れ去れぬよう。今度こそ守り抜くために。
「ディーノ! とうさんとかあさんが!!」
 必死に手を伸ばす少女に、何も言えなかった。言えるはずもなかった。
 その時。
 空を裂くような少女の悲鳴が、今にも崩れ落ちそうな家の中から響いた。
 思わずそちらへ体を向ければ、家の前には一人の青年。
「……!! ……!!!」
 必死に叫んでいるのは、恐らく家の中で悲鳴を上げた少女の名前だろう。
 不意に、青年と視線が合う。
 自分と合ったということは、腕の中の少女とも合っただろう。
 救いを求める青年の目に、少女が手を伸ばす。
 身を乗り出した少女が転がり落ちそうになり、必死にその体を抱き締め留めた。
 腕の中の少女が青年の名を叫んでいる。自分の名を叫んでいる。
 それでも動かない。
 これ以上被害を拡大させぬ為に。まだ命のある腕の中の少女を守るために。
 もう一度上がった悲鳴に、こちらを見ていた青年が泣きそうに顔を歪めた。
 眉を吊り上げたその表情は、憎悪一色。
 次の瞬間、男が止める間もなく青年は崩れかけた家の中へと飛び込み。
 直後、その家は音を立てて崩れ落ち、引火によって燃え盛った。


 最近よく血を吐くようになった。
 そんな自分を見て、己に力を貸し与えている精霊――実際は歪虚なのだが。
 嫉妬の歪虚エミーリオはつまらなそうに椅子に腰かけ、足を揺らした。
「ネーエ? トトー。ボクとの約束、忘れてないヨネ?」
「……あぁ、忘れてないさ」
 エミーリオと出会ったのは今から約5年ほど前。
 抱いていたハンターに対しての憎悪と、夢を叶えたものへの嫉妬が「面白い」と興味を持たれ、ひとつの提案を受けた。
 自分とひとつ、ゲームをしないか、と。
 エミーリオを楽しませ続ける限り、飽きさせない限り、彼(彼女にも見えるが)は自分に力を貸し続ける。
 代わりに自分はエミーリオを楽しませるべく、人々を誑かしこうして宗教団体まで作った。
「……フゥン?」
 けれど。もしかすると、潮時なのかもしれない。
 エミーリオは最初、自分に力を貸すといったその時に「命を取ることはない」と言っていた。
 だが実際、今の自分はどうだろうか。
 幾度と「キセキノミワザ」と称してゴーレムを生み出し、動かし、邪魔者を排し続け。
 ――その代償として、ここまで衰弱している。
「……エミーリオ。僕の命はもう長くない。そうだな?」
 その問いかけに、美しい金の髪の歪虚は悪魔のような緑の瞳を細めて嗤った。
「そうダヨ? きっとキミには適性があったんダロウね。長く持ったけどサ、キミ、つまんなくなってキチャッタンだもん」
 復讐するのかと思えば、すれ違った絵本作家には嫌味を言うだけ。
 呼び出したハンターに闇討ちでもするのかと思えば本当に会話だけ。
「興醒め極まレリ、ってかんじ。だからサ? トトー」
 ローブの中を覗き込むように見上げてくる歪虚は、嗤う。嗤う。
「サイゴのゲームをしよう! キミが勝てばボクは命を削らずに力を貸し続けてアゲル」
 だから、と。嫉妬の歪虚はビスクドールのような姿をくるり、回転させた。
「戦ってみせてヨ! キミのその憎悪と嫉妬を以て、キミのだぁいキライなハンターとサ!」


「お願いよディーノ!」
 息を切らせハンターオフィスにやって来たヴェロニカ・フェッロ(kz0147)は、教祖トトーからの挑戦状とも取れるような依頼にサポートとして出向く準備をしてたディーノ・オルトリーニ(ka0148)へと一枚の紙を差し出した。
 スケッチブックから切り取られたその紙は二つに折られている。
「トトーに会うのでしょう? なら、お願いだから彼にこれを渡して!」
「…………」
 切り取られたスケッチブックに描かれたもの。それは――二羽の青い鳥。
 銀の差し色の入った翼に、緑の目の大きな鳥と青い目の小さな鳥が、空を舞っている。
「私は私に出来ることを、しっかりしたいの」
 空色の瞳に、迷いはなかった。


 祈り給え。願い給え。敬い給え。我らが神を。

 ――なら、僕<教祖>を救ってくれるのは、誰?

解説

※このシナリオは危険フラグ付きの依頼です。状況によってはアイテムの破壊やPCへの重体付与の可能性があります。くれぐれもご注意ください。

【達成目標】教団の神殿、謁見の間で待つ敵の撃破
敵:教祖『トトー』
使用武器:石でできたレガースのようなものによる足技が主
(PL情報として、リアルブルーからの転移者トトーはハンターとしての適性を持っていました。ハンターとして覚醒はしませんでしたが、戦う能力は持っています)
使用スキル:『コンダクター』範囲内(謁見の間)に存在する石像をゴーレムとして動かす。一度に2体まで稼働可能。石像の指揮中は術者は集中する必要がある。
      『ノイジング』ランダムに仕掛けられた地雷。対象スクエアに侵入すると足元より鋭い岩棘が発射され対象者にダメージを与える。

謁見の間は十分な広さがあり、戦闘するのに不都合はありません。
人ひとりが身を隠せる大きさの柱が点在していますが、強力な攻撃を加えることで破壊することが可能です。
謁見の間全ての柱を壊しても建物が倒壊することはありません。
謁見の間までに敵の姿はありませんので、警戒せずに謁見の間まで向かって下さい。

同行するディーノは今回神殿内には入らず、戦闘には加わりません。
代わりに、ディーノから参加者のうち1名にヴェロニカから預かった絵をお渡ししますので、誰が持って行くかも決めておいてください。

信者に関しては、ハンターオフィスから別動隊(ディーノはこちら側に合流)を派遣し保護します。
こちらに関しては今回考える必要はありません。
皆さんは、対トトーに集中してください。

尚、嫉妬の歪虚エミーリオは、離れたところから「見物」しています。
こちらに手出しをすることはありません。

質問はディーノ、或いはヴェロニカが受け付けます。
必要であれば卓を立ててください。

マスターより

一つの幕が下りようとしています。
夢を失った男が、最後に賭けたもの。


どうぞ、よい結末を迎えられますよう。

関連NPC

  • 灰色狼
    ディーノ・オルトリーニ(kz0148
    人間(クリムゾンウェスト)|41才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
  • 新緑の翼と共に
    ヴェロニカ・フェッロ(kz0147
    人間(クリムゾンウェスト)|25才|女性|一般人
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2017/09/03 18:12

参加者一覧

  • 英雄を語り継ぐもの
    ルスティロ・イストワール(ka0252
    エルフ|20才|男性|霊闘士
  • その力は未来ある誰かの為
    神代 誠一(ka2086
    人間(蒼)|32才|男性|疾影士
  • 六水晶の魔術師
    レイレリア・リナークシス(ka3872
    人間(紅)|20才|女性|魔術師
  • 差し出されし手を掴む風翼
    クィーロ・ヴェリル(ka4122
    人間(蒼)|25才|男性|闘狩人
  • やさしき作り手
    浅緋 零(ka4710
    人間(蒼)|15才|女性|猟撃士

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • 無垢なる守護者
    ユウ(ka6891
    ドラグーン|21才|女性|疾影士
  • その幕を降ろすもの
    オグマ・サーペント(ka6921
    ドラグーン|24才|男性|符術師

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/08/16 23:09:45
アイコン 相談卓
神代 誠一(ka2086
人間(リアルブルー)|32才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2017/08/21 18:33:58