• 日常

水よりも濃い絆

マスター:四月朔日さくら

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート

関連ユニオン
ガーディナ

難易度
普通
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加人数
現在3人 / 3~10人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2017/09/27 22:00
リプレイ完成予定
2017/10/11 22:00

オープニング

※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。


 切っ掛けは一体何だったか。
 最初に覚えているのは、ぼろぼろになった自分に手を差し伸べてくれた、キャラバンのおじさんの温もり。
 記憶をなくし、頼れるもののないなかで、様々な人が手を貸してくれた。そして、ヤマシナ学院という場所で、今、学問を修めている。
 ファナ。
 覚えているのはその名前だけ。
 そう、そのはずだった。


「今日の訪問者は何処かの部族の若長らしいですね」
 ゲルタの側仕えをしているメイドの一人がそう言う。
「ええ、中性的な雰囲気を纏った、綺麗な方でした。お通しする時に話し掛けたのですが、優しげな方で」
 ゲルタは軍医と言うだけでなく、開拓地『ホープ』の世話役のようなものも勤めている。もともと少し枠からはみ出したところのあるゲルタが、一層楽しそうに動き出したのもこの頃からだ。
 辺境に憧れ自ら志願してやってきたこの地で、そこに住む人々やハンターの面々と触れあうことができるのは、やはり嬉しいことだ。
「それにしても……先ほどの方、誰かに似ていたような?」
 メイド達の井戸端会議は密やかに続く。


「まめしの話は、この間の祭りの時に聞いたのかしら?」
 ゲルタはにこっと笑って尋ねる。
「ああ。前から噂にはなっていたが、なるほど、栄養価も高く土地が痩せていても育ちやすい……住まいを一つところに定めていない部族の定住化の足がかりにはもってこいだな」
 柔和な笑顔、癖のない長い髪。
 キジャン族の族長、ユーリィ・キジャンはそう言って頷く。
 キジャン族というのは、住まいになるエリアをいくつかに分け、数ヶ月周期で移住して生活するというスタイルをもつ部族なのだという。ユーリィの年のころは二十過ぎほど、若い長であるのはメイド達の言うとおりだ。
「俺たちのコロニーの一つは、一度歪虚に襲われたことがあってな、なんとか逃げることが出来たが、被害者も少なくなく……弟も逃げる時にはぐれてしまい、恐らくもう生きてはいまい。とても聡明な奴だったんだが……それからはできるだけ、コロニーを転々とする生活はやめた方がいいと言うことになって……しかし定住生活に慣れているわけでもないので苦労していたんだ。まめしの話はその頃に聞いて、気になっていたんだが」
「なるほどね。移住生活から定住生活へのステップとしての、まめしか。そういうことなら、たねを分けるのは吝かじゃないわ」
 ゲルタもうんうんと頷き、まめしの種をしまってある抽斗の鍵を開け――ようとした時、ユーリィがふとあるものを見て驚いているのが判った。
「どうしたの、ええと、ユーリィ?」
「いや。そこに飾られているポートレート、それは」
「ああ。リアルブルーの技術で撮った写真なのだけど、中仲良くとれているでしょう?」
 ゲルタが嬉しそうにその写真を見せると、ユーリィは改めてまじまじと見つめる。
「いや、そうじゃない。そこに、弟も写って――」
 その写真というのは、リゼリオに向かう前のファナとゲルタが一緒にとったもの。
「……え、でもこの子は――」
 ファナのことを女の子とまるきり信じ込んでいるゲルタは、女の子じゃないのか、と言おうとしたが。
「うちの部族は健康になるようにと願いを込めて、成人の儀までは異性の服装をするのがしきたりなんだ。そこに写っているのは、間違いなく、俺の弟。ファナ・キジャンだ」


 ある日のヤマシナ学院。
 そんなやりとりが辺境で行われているとも知らず、ファナはユニセックスな格好で今日も授業に臨んでいた。
 そこに、ユーリィが現れて、「話をしたい」と言い出すまでは。

解説

リゼリオにあるヤマシナ学院に、ユーリィ・キジャンと名乗る青年がやってきました。
キジャン族はユーリィが長を務めている中規模の部族で、昔から子どもに異性装をさせる、という習慣があります。また、居住地を一箇所に定めないタイプの、移動生活を行ってもいます。
ユーリィ曰く、ファナは彼の実の弟であり、彼の部族が歪虚に襲われてから行方知れずとなっていたというのです。
しかしまだファナ自身の記憶は戻っていません。曖昧な記憶の向こうに、確かにそれらしい存在はいるような気がするらしいのですが、それがユーリィと断定出来ないのです。
(なおゲルタは医者のくせに先入観からかずっと今まで少女と思い込んでいたという間抜けっぷりです)
今回の依頼の趣旨は、ユーリィとファナが互いにきょうだいであることを認められるようになるよう、言葉添えをすることにあります。また、同時にこれからファナ自身がどうしたいのかを言えるようにする、というのも目的であります。
ファナは記憶喪失のままですし、ユーリィはどちらかというと直情型の性格で、物事をはっきりさせたい性格です。
ユーリィはやっと見つかった弟をなんとか連れ帰りたいと思っています。
しかし知的好奇心旺盛なファナは、まだまだこの学院で学ぶことを望んでいます。お互いの意見が異なる為、対話はすれ違いになる可能性もあります。また、ユーリィはリゼリオに来るのが初めての、いわゆる「おのぼりさん」ですので、色々と考え方なども年齢に比べて硬かったりするでしょう。
今回の目的は、あくまで二人の関係を柔和にすることです。
対話するのに良い環境作りなども、ハンターさんたちにお任せしたいと思います。

この二人の関係を少しでも近づけたいという方、是非お力をかして頂きたく思います。よろしくお願い致します。

マスターより

こんにちは、四月朔日です。
四月朔日の初期依頼に何度か登場したキジャン族、そして当方のNPCファナがやっと一本の線で繋がりました。
良く考えたらファナももう第二次性徴期ですしね。性別不詳のままでもいられません。
上記の通り、キジャン族とユーリィは四月朔日のFNB開始直後の依頼に何度か顔を見せています。気になる方は是非確認して下さい。
兄弟関係の二人の絆を改めて確認する時です。どちらとも初対面、と言う人も、片方に面識がある、と言う人も、是非二人の関係を取り持つ手伝いをして下さると、嬉しいです。
では、お待ちしております。

関連NPC


  • ゲルタ・シュヴァイツァー(kz0051
    人間(クリムゾンウェスト)|24才|女性|機導師(アルケミスト)
  • 記憶をなくした子ども
    ファナ(kz0176
    人間(クリムゾンウェスト)|12才|?|一般人
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2017/09/29 06:26

参加者一覧

  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師

  • ガラーク・ジラント(ka2176
    人間(蒼)|28才|男性|闘狩人
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
エルバッハ・リオン(ka2434
エルフ|12才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2017/09/26 23:45:08
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/09/26 21:09:12