• 日常

とある農村の異種族事情

マスター:真太郎

シナリオ形態
ショート
難易度
易しい
参加費
1,000
参加人数
現在4人 / 3~4人
マテリアルリンク
報酬
少なめ
相談期間
5日
プレイング締切
2017/10/18 09:00
リプレイ完成予定
2017/10/27 09:00

オープニング

 辺境のアルナス湖から南に流れるアルナス川の下流域の一角に、最近新しく農村が作られ始めた。
 ただ、その村は少し変わった環境にある。
 人間の村なのだが、近くにはリザードマンの集落があり、近くの森にはコボルドが住み、川には精霊までいる。
 だがそれぞれの種族は精霊とハンターの橋渡しにより、今のところ諍いなく暮らしていた。

 村の近くの川岸には小さな祠が作られていた。
 川の精霊を祭って3種族を精霊の元に結びつけるために人間が作ったものだ。
 だが、コボルドは精霊の存在や祈るという行為がどういうものかイマイチ分かっておらず、誰も祈らない。
 リザードマンは精霊を川に住む別種族の1種程度にしか思っていないので祈らない。
 なので今のところ祈っているのは人間だけである。
 今日も朝のお勤め前に村の住人達が祠の前で祈っている。
「……ねぇ、誰か精霊様を見た人っている?」
 ふと、村人の1人がそんな事を尋ねた。
 誰も首を縦に振らない。
「商人さんは見た事あるって言ってたよ」
「リザードマンやコボルドと話をつけたハンターは精霊様から加護を受けたらしいよ」
 しかし村人で見た者は1人もいない。
「本当にいるのかな……」
 村作りのために集まって住み始めて数ヶ月。
 この川には精霊がいると教えられたが未だに見た者がいないため、ちょっと疑わしく思えたらしい。
「精霊様は危険が訪れた時だけ現れて加護を授けてくださるんだよ」
 村長の女房で村のまとめ役的な女性(通称、女将)が声を上げる。
「だから精霊様が現れないって事は村が平和だって証さ。ほら、祈るよ」
 女将の言葉に納得したのか、皆が粛々と祈る。
(精霊様、今日も我らをお守りください……)
 祈り終わって顔を上げると、川の対岸にリザードマンの姿が見えた。
「あら、珍しい。トカゲさーん。おはよー」
 女将が声を掛けて手を振る。
 リザードマンはチラッとこちらを見たが、すぐに去っていった。
「女将さん、よくリザードマンなんかに声かけられるね」
 見ると、女将以外の村人は少し怯えた顔をしていた。
「トカゲさんも隣人さんだよ。挨拶ぐらい普通じゃないか」
「そうだけど……」
「でも、あの人達はちょっと怖いよね」
「うん。表情変わらないから何考えてるのか分からないし」
「あんたらワンちゃんとは仲良くしてるじゃないか」
 女将が呆れ顔で言う。
「だってトム君は可愛いし」
 トムとは群れで最も若い子供のコボルドで、人間にエサを貰って以来スッカリ懐き、トムという愛称で呼ばれている子だ。
「ロブは友好的で畑仕事も手伝ってくれるしな」
 ロブとはコボルドの群れのリーダーだ。
 人間慣れしているのか村人を恐れず、頼めば何でも手伝ってくれるので信頼されていた。
「でも他の子は逃げちゃうのよね~」
「近づいたら唸って威嚇してくる子もいるし」
 しかし他のコボルド達はこの2匹ほど人間慣れしておらず、未だ警戒している。
 人間がコボルドから危害を加えられた事は一度もなかったが、人間とコボルドも交流ができているとは言いがたかった。
(精霊様の元で誰もが仲良く暮らせる村。その実現への道のりは厳しそうだねぇ……)
 女将が心の中で呟く。
「ほら、今日も仕事始めるよー」
 女将はパンパンと手を叩くと皆を仕事に向かわせた。

 ここは川岸の肥沃な土地に畑を作るために作られた村だ。
 とはいえ、まだ畑はできていない。
 先日ようやく住む家ができあがり、開墾はまだ始めたばかりだ。
 農地とする土地は現在は草むらとなっている。
 なので長い年月を掛けて根を張った草を抜く、抜く、抜く。ひたすら抜く。
 邪魔は木は切り倒し、根を掘り出し、抜く。
 リアルブルーと違って機械重機のないクリムゾンウェストではそれらをほぼ全て人力で行う。
 かなりの重労働である。
 その重労働をコボルドも行っていた。
 コボルドとは畑を作る代わりに食料を与えるという契約を結んでいるからだ。
 そして強靭な足腰や爪を持ち合わせていて体力もあるコボルドの方が実は開墾作業は早かった。
「ワンちゃんは勤勉だねぇ~。あたしらも負けてらんないよ」
 しかしある日を境に働くコボルトの数が少し減った。
 それと同時期にトムも人前に姿を見せなくなった。
 それにコボルト達の雰囲気もおかしい。
 以前よりも警戒心が増したようで、何だかピリピリしている。
「どうしたんだろう……?」
「誰かコボルドとイザコザでも起こしたか?」
「まさか、トム君に何かしたんじゃないでしょうね!?」
 村人達は互いで原因を話し合ったが、誰もコボルトに何もしていないと分かる。
 そうなると原因がさっぱり分からない。
 トムは来なくなったがロブは来てくれていたので、ロブに何かあったのかと聞いてみた。
 もちろん言葉は通じないので、身振り手振りによる長い意思疎通の末、コボルドの群れに赤子が産まれた事が分かった。
 だから赤子を守るために働くものが減り、警戒して皆がピリピリしていたらしい。
 トムが来ないのは赤子が可愛くて側を離れないから
「そっか。あたしらが何かした訳じゃなかったんだね。良かった」
「それに赤ちゃんができただなんておめでたい事じゃない」
「でも、俺達は信用されてないってことだよな」
「え?」
「だって子供を守ってピリピリしてるって事は、俺達が攫うかもしれないって思われるって事だろ」
「そう……かもな」
「なんだか寂しいね」
 明るくなった場の雰囲気が再び少し暗くなる。
「なら、出産祝いに何か贈るってのはどうだい」
 そんな空気を払拭するように、女将が明るい声を上げた。
「出産祝い?」
「あたしらもワンちゃんの赤ん坊を気にかけてるって分かってもらうのさ。そうすれば今よりも信用してもらえるかもしれないだろ」
「そうね、いいかも」
「ま、何もしないよりはやった方がいいよな」
「それで、何を贈るんだ?」
「え~と……」
 皆で頭を捻る。
「乳の出の良くなる物とか?」
「イチジクとか?」
「そんなの辺境じゃ手に入らないよ」
「そもそも高くて買えないし」
「じゃあ肉とか?」
「でも村に肉の備蓄なんてないぞ」
「それなら狩りに行こうぜ」
「狩りなんて時間掛かるじゃない。その日の農作業どうするのよ」
「もちろん休みで」
「アンタ狩りにかこつけて休みたいだけじゃない。ダメ、狩り却下!」
「じゃあ魚を釣るか?」
「川はリザードマンがいるから、おっかなくって釣りなんてできねーよ」
「じゃあどうするのよ?」
「……」
「よし、それならハンターに決めてもらおう」
 皆黙る中、女将が提案する。
「ハンターに?」
「彼らならあたし達よりも亜人に詳しいから、きっと良い知恵や方法を教えてくれるさ」
「でも雇う費用はどうするのさ」
「商人さんに頼むよ。ここの村起こしは元々商人さんが始めた事だ。これくらいの費用は出してくれるさ」
 商人に話を通すとすぐに了承され、村が抱える異種族事情のためにハンターを迎える事となった。

解説

目的1:コボルドが貰って喜ぶような出産祝いを考える
警戒しているコボルドに祝い品を渡す方法も考えてください。(ハンター自身で行っても構いません)

目的2:農地の開墾を手伝う
本格的に手伝ってくれると村人は喜びますが、お手伝い程度でも構いません。

目的3:リザードマンと仲良くなる方法を考える
難しい問題ですので、思いつかなくても成功度には影響しません。

・村
人口30人程度。
木造の家に住み、農地を開墾中。
50代の村長夫婦が取り纏め役をやっている。
裕福ではなく、食料も越冬分くらいしかない。
余分な食べ物を手に入れるには、買う、狩る、採取する、等をする必要がある。

・開墾
草は根から抜き、抜いた草は後で燃やして灰を肥料にする。
木は切り倒して根を掘り起こし、取れた材木は干して薪にする。
農地面積はかなり広大です。

・コボルド
30体程の群れで川岸から少し離れた森に住む。
畑仕事をする代わりに食料を貰う契約を村と結んでいる。
だが、人に住処を追われた経験があるため、未だ人間に警戒心を抱いている者も多い。
言葉は通じす知能も高くはない。
最近2匹の赤ん坊が産まれたため、群れ全体が少しピリピリしている。

・ロブ
少し小柄で背中に傷跡のあるコボルドで、群れのリーダー。
人間慣れしていて、基本的には従順。

・トム
群れで最年少の子供のコボルド。
村人に餌付けされたため、人間にも慣れている。

・リザードマン
昔から川に住んでいて数は30体程。
30年前にハンターに襲われた事で遺恨があったが、今はもう和解している。
だが、自給自足ができているので、基本的に他種族には興味がない。
知能は人間並みに高いが言葉は通じない。

・川の精霊
アルナス川に住んでいる精霊。
水でできた大蛇の姿を取る事もあるが、この地で争い事が起こる等の危機がなければ基本的には姿を現さない。
(PL情報:今回は手を貸してくれません)

何か質問がある場合はNPCのハナ・カリハにお尋ねください。

マスターより

【血盟】は冠する事ができなったので分かりづらいかもしれませんが。
今回のシナリオは『【血盟】四者四様の思い』の続編です。
ですが前回を知らなくても大して問題はありません。
今回のオープニングを読むだけでもやるべき事は分かる内容になっております。
異種族ゆえに起こる問題を解決するのは難しいかもしれませんが、皆様のご参加お待ちしております。

ちなみにオープニングのイラストは「将来はこういう村になる」というイメージ画像で、今はまだ草木が生えている荒れ地です。

関連NPC

  • ハンターオフィス職員
    ハナ・カリハ(kz0194
    人間(クリムゾンウェスト)|15才|女性|一般人
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2017/10/24 23:32

参加者一覧

  • ユグディラの準王者の従者
    保・はじめ(ka5800
    鬼|23才|男性|符術師
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデス(ka5848
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士
  • 友よいつまでも
    大伴 鈴太郎(ka6016
    人間(蒼)|22才|女性|格闘士
  • 天鵞絨ノ風船唐綿
    ミア(ka7035
    鬼|22才|女性|格闘士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/10/17 22:47:29
アイコン 相談卓
保・はじめ(ka5800
鬼|23才|男性|符術師(カードマスター)
最終発言
2017/10/18 00:29:18
アイコン 質問卓
大伴 鈴太郎(ka6016
人間(リアルブルー)|22才|女性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2017/10/17 19:07:23