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　正月の喧噪も一段落付き、まだこれからさむくなる、そんな時期。
「た、大変だー！」
　普段は平穏な東方のとある村に、そんな悲鳴がとどろいた。

「も、モフ様が……、行方不明になっとるんじゃ……！」

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「――最近発見された幻獣が、一匹、行方不明になっていると急ぎの連絡がありました」
　リゼリオのハンターオフィスに、緊張の声が走る。
「先日エトファリカで見つかった幻獣で、暫定呼称『モフ様』。大幻獣は現在確認されていませんが、食いしん坊でおっとりした性質で……そうですね、今確認されているもので言えば、キューソ等に性質は近いかも知れません。あまり戦闘を好む気質ではないようで、東方のある集落近くに結界を張り、ひっそりと暮らしていたようです」
　そういうと、先日ハンターたちが確認してきた際の報告書を渡して確認させる。ふっくらもっふりとした毛並みの、憎めない顔つきは、たしかにチューダとも相通じる何かがあるような気がした。
「それで、行方不明になっているモフ様、なんですが。悪質なハンターが稀少な幻獣ということで、裏取引をするために捕獲したのではないか――と言う可能性が高いです。哀しい話ですが、そういうハンターもいるのが現実です」
　オペレーターが哀しそうに眼を伏せる。たしかに希少種となれば、そういう人がいてもおかしくない。
「……実は、それらしきものの噂が、密猟者などには既に出回っているらしく……」
　そう言いながら、資料をいくつか渡されると、そこには『幻獣ハンター　冬の案内』と書かれたものがあった。恐らくソサエティの情報や報告書から引っ張り出したものだろう、様々な幻獣の目撃例やその存在、生息地域などがしっかり書かれている。
「ブラックマーケットそのものは……なかなか監視の目も行き届かず、摘発できないことも多いのですが……流石に今回の件は、あまりにも手が早いことなどから見過ごすわけにもいきません。また、言い方は悪いですが、人間に友好的な幻獣ですので、今回の件を解決すれば、これからの依頼で更にハンターたちに助力を得ることができるかもしれません。お願いします、探してきてくれませんか？」
　その必死な声に、ハンターたちもこくり、と頷き合った。
「……今回問題になっているブラックマーケットは、辺境の移動キャラバン達の中継地としているとあるオアシスです。出来る限り穏便に、荒事のないように、解決して下さい。ハンターが一般人を巻き込みかねない場所で不用意に力を振るうのは、あまり好まれない状況ですし、なにより幻獣を驚かせてしまってもいけませんので……」
　よろしくお願いします、そのオペレーターはそう言って頭を下げた。

幻獣「モフ様（暫定名）」が一匹、行方不明になっていると通報がありました。どうやらまだ確認されて間もないもののため、悪質なハンターが噂を聞いて密売目的でとらえ、闇市場で扱おうとしているようです。
とあるブラックマーケットの噂がある地で既にそれらしき存在の噂もあると言うことで、皆さんにはそちらへ赴いてモフ様を発見してもらい、悪質なハンターと交渉して、モフ様の救出をお願いしたいです。
一応一般人もいる環境と言うことで、無闇な戦闘行為は避けてもらいたく思います（状況によっては止むなしですが、成功度にペナルティがつく可能性は否定出来ません）。

・モフ様
東方の一地方に住む幻獣。見た目は神社の狛犬っぽい。食いしん坊でおっとりした性格、人間に友好的。
今回行方不明になったのはまだ小柄で、おそらくは生まれて間もない個体と言う話。

・ブラックマーケット「鳥籠」
とある辺境のキャラバン休憩地で不定期に行われる違法取引の会合。希少種の幻獣はもちろん、真偽も定かでない珍しい魔導器具、宝石などの類も出回るらしい。
場所はソサエティの調査である程度判明したため、特に現地へ向かえる。ただし悪質なもののため、ある程度の対策が必要な可能性は高い。とはいえ現状闇市場全体の摘発は難しいので、今回は依頼の件に集中していただきたい。

・密売人「Ｒ」（ＰＬ情報）
悪質なハンター、三十代の人間、男。出身も本名も不明。
幻獣ハンターを自称しており、過去にも幻獣の密売を行ったことがあるらしい。裏の世界でもそこそこ顔の利く男で、悪徳商人や珍しいものを好む貴族などと手を結んでいる。モフ様の話を聞いて密売を決めたらしい。現在モフ様は彼のもとにいるようだ。

最後に。
今回の目的はあくまで「モフ様の救出」が最優先です。
密猟者や密売人の手から、どうか早く救ってあげて下さい。

こんにちは、四月朔日です。
モフ様、まさかの誘拐事件です。
「モフ様ってなに？」という方は、当方の過去依頼「謎の白い生き物を追え！」参照です。
なるべく事を荒立てず、穏便な解決をしてほしいものです。
状況も状況ですし、これが上手くいけばもしかして……？

では、皆様。
どうかモフ様を無事に救い出して下さい。
参加、お待ちしています。