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【反影】DEADLOCK~異界調査~

マスター:鮎川 渓

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
オプション
参加費
1,500
参加人数
現在4人 / 3~4人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2018/02/22 22:00
リプレイ完成予定
2018/03/08 22:00

オープニング

●新たな『異界』へ
「おいマジか」
 黒く発光するドーム。その外膜を潜った途端一変した景色に、龍騎士ダルマ(kz0251)は目を瞠った。同行したハンター達も、あまりの変化に周囲を見回す。
 たった今まで、確かに荒涼とした大地に立っていた。
 けれど今現在目の前にあるのは、煉瓦作りの街並みと賑やかな人々。北側に見える高台には、見るからに堅牢な城塞が聳えていた。

 ここは『虚無』と呼ばれる邪神の支配域。その内側に広がる『異界』である。

 紅界にあって紅界でない場所、邪神によってすげ替えられた異空間。それが『虚無』。
 これまでの調査で、『虚無』の内側には必ず『異界』が広がっている事が分かっている。それは紅・蒼・緑のどこの世界にも属さない全くの異世界であったり、あるいはそれら三界のどこかであったりと様々だった。
 そしてその『異界』とは、邪神の記憶なのではないかと目されている。

 ダルマ、事前に聞いた『虚無』と『異界』の説明を思い出し、ぼりぼりと左頬の鱗を掻いた。見ると聞くとじゃ大違いというやつだ。彼の肩の上では、白隼が警戒心を剥き出して周囲を睨みつけている。それを宥め、同行したハンター達に向き直った。
「虚無を消滅させるには、この異界の中核みてぇな歪虚を倒す必要があるらしい。だがまず今回は、この異界がどんな世界なのかを探るのが目的だ。よろしく頼むぜェ」
 その時、通信機からシャンカラ(kz0226)の声が響いてきた。
『こちらA班、北西に城塞のような建物が見えています。そちらはどうです?』
「お、通信機は使えるようだな。B班からは城塞が北東に見えてるぜ」
 シャンカラとハンターで構成されたA班と、ここにいるダルマとハンター達B班とが別方向から同時に踏み込み、異界内を広く調査する手筈だ。
 ハンターのひとりが周囲の人々を見て呟く。
「邪神の支配域……邪神の記憶かもって話だけど、随分活気がある街だね。邪神の気配なんて少しも感じない」
 B班がやって来たのは居住区であるらしく、連なる四角い建物の軒には洗濯物がはためき、窓から煮炊きの香りが流れ、ごくありふれた人々の営みが感じられた。一行の横を、少年が母親の手を引きながら過ぎていく。
「早くぅ、凱旋パレード終わっちゃうよ!」
 路地を行く者達も、母子が向かうのと同じ方へ歩いて行く。この街の住人達は黒い髪に白い肌をした『人間』だった。服装や装飾品を見るに、西方と文化レベルはそう変わらないようだ。
「皆あの親子と同じ方に向かってンな。突っ立ってるだけで目立っちまいそうだ」
「凱旋パレードと言ってましたね。行ってみます?」
「だな」
 ダルマはA班へパレードが行われているらしい事と、それを見に向かう事を告げる。一行は人波に紛れ流されるよう、細い通りを東へ向かった。

 やって来た大通りの沿道には、この街の黒髪白肌の人々に加え、異国人らしい様々な髪と肌の色をした大勢の人々が集まっていた。厚い人垣ができていて、このままではパレードの様子を臨めそうにない。
 ダルマは先程の母子も人垣の後にいるのに気付いた。少年はパレードを一目見ようと飛び跳ねている。
「全然見えない、だから早く行こうって言ったのにぃ」
 グズりだす息子、謝る母親。ダルマは歩み寄ると少年を肩車してやった。
「わぁ、おじちゃんありがとう!」
「お兄さんだ」
 母親はダルマに頭を下げる。そして顔を上げた途端、彼の頬の鱗を認め息を飲んだ。けれど彼は気づかず、少年を肩車したまま人垣を掻き分けていく。
「悪ィ、子供に見せてやりてェんだ」
 幼子がいるとなれば、大人達は詰め合い道を作る。少年の希望を叶えつつ、子供をダシに割り込もうという魂胆だ。実にセコい。セコいがこれも調査の一環。ハンター達も彼が拓いた人混みの隙間に身体を滑り込ませた。

●竜人《ドライダート》
 大通りを城塞に向かって行進しているのは、甲冑姿の騎士達だった。甲冑や得物の装飾は簡素――騎士の中でも下位の者達らしく、凱旋の列はもう終わりに近づいていた。
 一行は、下位騎士の小隊を率いている一段良い鎧を着た騎士達に注目した。彼らの背には、龍によく似た翼が生えていたのだ。おまけに鱗を纏った長い尾まで持っている。
「ありゃァ一体」
 自らも龍の鱗めく皮膚を持つドラグーンではあるが、これには流石にダルマも驚きを隠せなかった。少年が自慢げに胸を張る。
「知らないの? すっごい田舎から来たの? ドライダートの騎士様だよ」
「ドライダート?」
「この世界の救世主だよ! 見て、竜が来るよ!」
 促されて隊列の最後尾を見やり、また瞠目することになった。
 数十頭の馬に引かれやってくるのは、巨大な鋼鉄の檻。中には年老いた一頭の巨竜がおさまっていた。四肢に足枷をはめられ、静かに金色の双眸を伏せている。少年はそれを『竜』と言ったが、
「あれが『竜』?」
 一行にはそうは見えなかった。伏せた瞳に、確かに理知的な光が感じられるのだ。あれは悪しき『竜』ではなく『龍』ではないのか――そう思い至ると、龍を尊ぶダルマはその扱われ方に奥歯を噛んだ。
 周囲の大人達は竜を見上げ、
「竜族の王だそうだよ。怖ろしいねぇ」
「それを捕らえた騎士様達の何と勇ましい事!」
「これだけの巨竜だ、新たなドライダート様がどれだけ誕生なさるか。予言などもう恐れる事はない!」
 口々にそう言い合うと、誰からともなく皇子様万歳、ドライダート様万歳と、恍惚となって喝采を浴びせるのだった。そんな人々の姿に何とも言えない気味悪さを感じていると、通信機から切迫したハンターの声が響いてきた。
『大変だ! シャンカラが突然竜翼の騎士達に拘束され、連行された!』
「!?」
 ダルマは平静を装ったまま少年を降ろすと、人混みから離脱する。
「何があった?」
『それが、』
 A班のハンターが言うには、彼らは隊列の先頭、皇子と呼ばれる者や上位騎士達のいる側に行き当たったという。すると、皇子がシャンカラを見るや何故か激怒し、捕縛と連行を命じたのだと。
『これから救出に向かう』
「待て。アイツぁ龍騎士隊の隊長だぞ。それがあっさり捕縛されるなんざ、捕らえた奴らは只者じゃねェ。極力騒ぎは起こさねぇよう行動してくれ」
『了解』
「僕達も救出に向かう?」
 尋ねたハンターに、ダルマは頭を振る。
「いや、大人数じゃどうしても騒ぎになる。ここはA班に任すとしよう。隊長殿はああ見えて火力馬鹿だ、最悪自力で何とかするだろうぜ」
 口は悪いが、彼は彼なりにハンターと隊長を信頼しているのだ。
「俺達は予定通り、手分けしてこの異界の調査に当たる。が、初っ端からこれじゃあ何が起こるか分からねェ。用心して事にあたってくれ」
 言ってダルマは白隼を空へ飛ばした。視界を同調させ、この都市の構造を把握するために。そうして大まかな都市の情報を受け取ったハンター達は、思い思いに歩き出した。

解説

【目的】
この『異界』がどういう世界であるか、何が起ころうとしているかを調査して下さい
集合は3時間後。それまでに、あなたなりのやり方で異界に触れ、探って下さい

【情報】
ダルマが都市を俯瞰し、得た情報を語った言葉を載せます
「ここは小島の上に築かれた要塞都市みてぇだ。島の外周は高い外壁で囲まれてる。
 島北部の高台には城塞があって、その周囲は王侯貴族の住居のようだ。さっきのドライダートっつー騎士達の訓練場や、宿舎らしい建物もある。北から南に行くにつれ建物が小さくなっていくから、北側ほど身分の高い人間が住んでンだろう。
 東側にデケェ円形闘技場(コロッセオ)がある。巨龍はその地下へ連れて行かれたらしい。その周りはどうやら宿屋街、色んな肌や髪の色をした人間が出入りしてるが、やたら武装した連中が多い。
 何本かある大通りにはどこも店が連なってる。西方の街並みと大差ないだろう。公園らしい広場もあるな。
 島の南側には、工場やささやかな農耕地がある。ほったて小屋みてぇな建物も……そこにいるのは異国人みてぇだが、着てるモンも粗末で、出稼ぎっつーよりは難民みてぇな印象だな。
 最後に。ドライダートを除けば、ここには『人間』しかいねェ。穏便に事を進めたいンなら、鱗やエルフの耳なんかは隠しておいた方が無難だな」

【tips】
・黒髪白肌の人間はこの城塞都市の住人、その他の髪肌色の人々は他国の人間です
・リゼリオにありそうな店や施設は概ねあります
・調査の難易度は『難』です
 どこへ行き何をするか、どんな人からどんな手法で何について尋ねるかなど自由です。自由度が高い分、目的に合わせた準備と焦点を絞った行動が求められます
 闇雲に質問攻めにしては敬遠される事もあるでしょう
 子供のいる広場へ武装姿で行けば、親に警戒され最悪騎士を呼ばれる可能性もあるでしょう
 一般スキルやアイテムなど、あらゆるものを駆使して目的を遂げてください

マスターより

鮎川と申します。セルフぷち連動依頼です。
蒼界から突然紅界へ転移した方達はこういう感じだったのかなぁ、と思いつつ冒頭を書いていました。
龍翼龍尾の種族・ドライダート。良き龍らしいのに捕らえられた龍の王。シャンカラは何故捕まったのか。街で聞こえた予言という言葉などなど。ぶらり異界探訪、気になる所へお好きに切り込んでいってください。ただA班へ合流する事だけはNGです。全員でどれだけ情報が集められたかで成功度が変わります。
ご質問にはダルマがお答えします、出発48時間前までにお願いします。

皆様のご参加・プレイング、心よりお待ちしております。

関連NPC

  • 年長龍騎士
    ダルマ(kz0251
    ドラグーン|36才|男性|霊闘士(ベルセルク)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/03/22 17:29

参加者一覧

  • 舞い護る、金炎の蝶
    鬼塚 小毬(ka5959
    人間(紅)|20才|女性|符術師
  • 天使にはなれなくて
    メアリ・ロイド(ka6633
    人間(蒼)|24才|女性|機導師
  • 虹彩の奏者
    木綿花(ka6927
    ドラグーン|21才|女性|機導師
  • ルル大学防諜部門長
    フィロ(ka6966
    オートマトン|24才|女性|格闘士
依頼相談掲示板
アイコン 異界調査相談
メアリ・ロイド(ka6633
人間(リアルブルー)|24才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2018/02/22 21:51:45
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/02/19 15:14:03