• 冒険

白銀のおとぎ話・2

マスター:樹シロカ

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 3~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2018/03/03 19:00
リプレイ完成予定
2018/03/12 19:00

オープニング


 白い雪と氷の世界はおそろしいほどに美しかった。
 サイモン・小川(kz0211)は、白い息を荒く吐き出す。
「思ったよりも積もっていますね」
「トナリー村の長老様によると、30年ぶりぐらいだそうです」
 返事をしたのは、サイモンが代表を務めるバチャーレ村のアンジェロという若者だ。
 トナリー村は、バチャーレ村とキアーラ川を挟んだ対岸にあり、同じ山の恵みを分かち合う同志として付き合いが続いている。
「なるほど。僕たちがここに移住してからもうすぐ2年になりますが、こんなに寒いのは初めてですしね」
 サイモンは暫しの間物思いにふける様子を見せた。


 バチャーレ村はジェオルジ領主の直轄地からほど近い、サルヴァトーレ・ロッソの元乗員であるリアルブルー民たちが移り住んだ村である。
 サイモンと移民たちは、ジェオルジの他の村からの住民も受け入れ、近隣の村とも付き合いながら、少しずつこの土地になじんできた。
 ハンターや、ジェオルジ領主であるセスト・ジェオルジ(kz0034)達の力を借りることも度々だが、村はどうにか自立の目処が立つまでになっている。

 だが今年の冬は例年と様子が違った。
 火山が近く温暖なこの地にしては珍しく、寒さが厳しくなり、かなりの雪が積もったのだ。
 サイモンの仲間の専門家や、セストと、植物の研究家である父ルーべンが様々な記録を持ち寄り、各村の長老等の話も聞き集めたところ、この冬の寒さは「珍しいことではあるが異常というほどではない」という結論になった。
「それでも、皆の不安を払しょくするのは難しいかもしれません」
 セストは秀麗な眉を珍しく曇らせた。
「VOIDですか」
 サイモンも声をひそめる。
 同盟全体が、大規模な歪虚の災難に晒されている現状。ジェオルジも直接間接とわず、影響を受けている。
「それもありますが、マニュス・ウィリディス様が姿を消したことです」
 マニュス・ウィリディスは地精霊だ。四大精霊の力に呼ばれたかのように、山中に姿を現した。
 多少扱いにくいところもあるが、概ね友好的な精霊であり、つい先日はバチャーレ村の仲間を守るために歪虚を追い払ってくれたほどだ。
 だが、それ以来ふっつりと姿を消してしまったのだ。
「大地に根ざして生きる人々は、自然を畏れます。地精霊が姿を消したことと、例年より厳しい寒さを、悪い方に結び付けてしまうかもしれません」
 大地の恵みの有難みを知っている者こそ、そっぽを向かれたときの恐ろしさに震える。
「ブフェーラ・ディ・ネーレ……ですか」
 サイモンが呟くと、セストは意外そうに眼を見開く。
「良くご存じですね」
「ついこの前、教えてもらったんですよ。吹雪の魔物だそうですね」
「ええ、僕も子供の頃に祖母から聞かされました。それほどに、寒さは農民にとって怖いものなのです」
 セストは何も言わないが、既に不安を訴える声が届いているのかもしれない。
「ですので春郷祭を待たずに、ちょっとしたお祭りをと思うのです。如何でしょうか」


 マニュス・ウィリディスを元気づけるために、祠で小規模な祭をおこなう。
 そう決まったものの、祠は少し前に歪虚が出た場所でもある。
 下見に行くのはサイモンとアンジェロ。護衛として、ハンターへ依頼が出された。
 そうして雪がやんだある日、冬山に足を踏み入れたのだが、道のりは想像以上に厳しかった。
 雪が降り積もった山は普段と様相を変えており、道端のくぼみや、落ち葉の積もった場所なども全くわからない。
 装備は整えていたが、それでも足元はおぼつかない有様だ。

 何度目かの転倒で、サイモンはふとあるものに気付いた。
「ん? なんだこれは……」
 目の前に綺麗な赤色が見えたのだ。それは小さな手袋の片っ方だった。
「おかしいな……」
 手袋は雪が積もった上に落ちていた。昨日まで雪が降っていたことを思えば、今日になって落ちたということだ。
「誰か、こんな小さな手袋をする子供が山にいるのか?」
 ――まさか。
 顔を見合わせた一同の耳に、微かな悲鳴が聞こえる。
 次の瞬間、全員が一斉に駆けだした。

 声は針葉樹が立ち並んだ奥から聞こえる。登山道からはかなり外れた場所だ。
 膝まで埋まるほどの雪を踏み越え、木立を抜けるといきなり視界が開ける。
 ハンター達より遅れてついてきていたアンジェロが叫んだ。
「危ないッ、そっちは崖です!!」
 アンジェロの言う通り、地面は目の前で途切れており、隣の山との間に深い谷があった。
 雄大な光景に思わず見とれる視界の端を、白いものがよぎる。
 目を凝らすと、それは鳥だった。
 鳥といっても翼は大人が両手を広げたほどの大きさの猛禽である。
 そいつらが3羽、見え隠れしながら踊るように羽ばたいている。
 ――か細い悲鳴はそこから聞こえていた。

解説

●依頼内容
 鳥歪虚3体から、子供を助け出してください。

 針葉樹の木立から崖まではおよそ10m。新雪が積もっており、滑った場合は崖から落ちる危険もあります。
 子供は崖から生えた木にまたがる形で耐えていますが、木がもちそうにありません。
 また、歪虚がかわるがわるつついたり引っかいたりしようとしているため、パニック状態です。

・PL情報
 子供はバチャーレ村のビアンカという女の子です。
 年は7歳、怖がりで人見知りです。
 過去の依頼で会ったことのあるPC様は、互いに知っているとして構いません。

 OPの状況からスタートし、およそ5分(=30ラウンド)で木が折れます。折れた場合、子供は無事では済まないでしょう。
 PC様は崖の上にいますので、目視には崖の縁まで行く必要がありますが、見れば折れるまでのタイミングは予測できます。
 子供が引っかかっている場所は、崖の上から4mぐらい降りたところになります。
 崖はごつごつした岩場ですが、雪が積もって凍っているため、普通に降りるのは難しいでしょう。
 細い木はぽつぽつ生えていますが、どれも簡単に折れそうです。

●敵情報
 ワシ型歪虚×3
 両翼を広げた幅が2mほど。爪とくちばしで攻撃してくる。かなり俊敏。
 攻撃の優先度は 子供>ハンター だが、攻撃されれば反撃する。

●NPCについて
 サイモンとアンジェロは対策なく前に出すと、救助対象になってしまいます。ご注意ください。
 ふたりとも一般人用の猟銃は所持しており、指示があれば使用します。(※邪魔になるような使い方はしません)
 冬山登山の装備品は、よほど珍しいものでなければ持参しています。(ロープやカンテラや飲食物など)

●ほか
 提示された情報に重大な間違いや矛盾点がない限り、質問にはお答えできません。
 何卒ご了承ください。

マスターより

少しお久しぶりになります、樹シロカです。

本シナリオは「白銀のおとぎ話・1」の続編になります。
前作をお読みいただいた方が、状況を確認しやすいかと思います。

本依頼の主目的は、戦闘と救助です。が、いくつか「おかしな点」があるはずです。
ご相談の上、気がついたことをプレイングでご指摘いただければ、今後の展開で有利になる情報が得られるかもしれません。

またセストの関わる祭については、次回以降、アイデア募集を含めてご依頼したいと思っております。
今回のシナリオで提案をいただいても採用は難しくなりますので、何卒ご了承くださいませ。

では皆様のご参加、心よりお待ちしております!

関連NPC

  • バチャーレ村移民団代表
    サイモン・小川(kz0211
    人間(リアルブルー)|33才|男性|一般人
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/03/13 00:58

参加者一覧

  • クラシカルライダー
    ルトガー・レイヴンルフト(ka1847
    人間(紅)|50才|男性|機導師
  • 解を導きし者
    エーミ・エーテルクラフト(ka2225
    人間(蒼)|17才|女性|魔術師
  • 黒の刻威
    ディードリヒ・D・ディエルマン(ka3850
    エルフ|25才|男性|疾影士
  • 語り継ぐ約束
    天王寺茜(ka4080
    人間(蒼)|18才|女性|機導師
  • 非情なる狙撃手
    コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561
    人間(蒼)|25才|女性|猟撃士
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士
依頼相談掲示板
アイコン 相談するとこです。
天王寺茜(ka4080
人間(リアルブルー)|18才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2018/03/03 18:33:06
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/03/03 17:59:24