• 日常

愛とは自由なものである

マスター:KINUTA

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加人数
現在8人 / 3~8人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
6日
プレイング締切
2018/04/20 19:00
リプレイ完成予定
2018/04/29 19:00

オープニング

※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。



 ユニゾン島。
 地下にある市民生産機関の会議室。
 白い花かごを傍らにしたマゴイは、異界から持ち帰ったデータを、機関情報集積回路に移していた。
 断片的な記録の切れ端から知ることが出来たのは、自分が消失した後α・ステーツマンが不調に陥り、頻繁に自主調整を受けていたということだった。
 それでも彼は、きちんと仕事をしていた。会議へ出席した記録が残っている――あの最後の日まで。
 そこだけでも知れてよかったとマゴイは思った。歪虚になってしまったαの姿を、それにまつわる悲しみを、記憶から拭い去ってしまうことは出来ないのだとしても。

『……データの確認作業、並びに転送作業終了……これにて旧ユニオンの記録は新しいユニオンへ……正式に引き継がれることになります……』







 バシリア刑務所。面会室。
 スペットはぴょこが持ってきた異界ユニオンの写真を眺めた――なんでも潜入したハンターの1人が撮影してきたそうだ。
 判で押したような建物が並ぶ町並みと、判で押したように同じ顔をした人々。その中に以前の自分と同じ顔が多数含まれている。
 これで元に戻る取っ掛かりが出来た、と彼は喜ぶ。
 しかしぴょこは、意外とそうでもなさそう。

『わし、βの今の顔も好きなのじゃ。それがなくなってしまうのは、なんだかちょっと寂しいような気がしてのう』

 そういうことを言われると、スペットとしては困ってしまう。

「でもこの顔やとなあ、困ることも多いねんで――まあ、人間の顔に戻れるちゅうても今日明日いうことやないからな。とりあえず復元装置があるのかないのかはっきりせえへんし」

『もしなかったらどうなるのじゃ?』

「……1から作るちゅうことになるやろな。マゴイがそれをやるかどうかあやしいけど」

『心配せんでよいぞβ。その場合はちゃんと作ってくれるぞよ。マゴイの、前よりずっと人の言うこと聞いてくれるようになったのじゃ。とても話しやすくなったのじゃ。おぬしはそう思わんか?』

「……せやな、ちっとは思うかもな」

『じゃろ。じゃからの、わし、今年の郷祭には正式に誘ってみようかと思うのじゃ。前はコボルドだけが来て、マゴイは送り迎えしかしてなかったでのう』







 昼下がりのハンターオフィス・ジェオルジ支局。
 アレックスが恋人である職員ジュアンを訪ねてきている。

「アレックス。グラズヘイムに行ってたんだって?」

「おお。あそこも王女が結婚するのしないので、ごたごたしててな。貴族連中があれこれ浮足立っ……あれ? マリー、ナルシス連れてきてんの?」

「いえ、連れて来たってわけじゃないんだけど、ナルシスくんが来たいって言うから」

「へー。なんか働く気にでもなったのかニート少年」

「全然」


 など取り留めのない日常会話が繰り広げられていた所に、扉が開いた。
 カチャだ。

「アレックスさん、ここにいましたか」

「おー、カチャ。何だ」

「いえ――ちょっと」

 カチャは何故だか口ごもる。
 そこにコボルドコボちゃんが入ってきて、餌入れを手に自己主張。

「うー、わし、めし!」

「ああ、ご飯の時間だったね」

 ジュアンがドッグフードを取ってくるため、席を立つ。その間にカチャは素早くアレックスに駆け寄った。オフィスの隅に連れて行き、小声かつ早口に言う。

「アレックスさんがいない間に、アパートへお客さんが訪ねてきましたよ」

「へー。どんな奴?」

「ルーカス・ルーズベルトっていう男の人です。『アレックスいる?』ってすごく親しげな感じで言ってきました。今は出掛けてますってお答えしたら、残念そうにしてました。久しぶりに会いたかったんだけどって――心当たりあります?」

 アレックスの目が微妙に泳いだ。

「あ――うん、まあ」

「どういう関係で?」

「ああうん。その――3年前までの知り合い」

「……向こうもそういうこと言ってました」

「あ、そ、そう。で、何、何の用事だって?」

「いえ、新しく知り合った人と近々結婚するそうで。それをお伝えしたかったのだということでした」

「へえ、そりゃよかった」

 何やらほっとした調子で息を吐くアレックス。
 その肩にポンと手が置かれた。
 振り向けばジュアンだった。いつも穏やかな目が完全に据わっている。

「……アレックス、3年前にはすでに僕たち付き合い始めてたよね?」

 手には黒光りする銃を持っている。

「待て落ち着けジュアン落ち着」

「君を殺して僕も死ぬ」







 コボルドコボちゃんは隠れていた机の下から、そっと顔を覗かせた。そしてくしゃんとくしゃみした。
 床に伏せていたカチャは恐る恐る起き上がる。
 辺りを漂うのは硝煙の匂い。壁や天井に無数の弾痕。机も椅子も引っ繰り返り、オフィスの扉は開けっ放し。
 給湯室からマリーが顔を出してきた。

「ナルシスくん、もう出てきても大丈夫よ」

 それに応えるように、ナルシスも顔を出す。

「あー、びっくりした」

 追いつ追われつ飛び出して行ったジュアンとアレックスは、しばらく戻ってきそうにない。
 と、そこにナルシスの姉、ニケがやってきた。
 いつものような引っ詰め頭のスーツ姿ではない。髪を下ろし、ドレスを着ている。

「マリーさんの家にいないと思ったら、やっぱりここにいたのねナルシス」

「……姉さん、どしたのめかしこんじゃって」

「これから披露宴に出席するのよ。取引相手のご子息がこの近くの式場で結婚されるの。そのこと、手紙に書いていたと思うけど」

「そうだった?」

「そうよ。ついでに言うとあんたも出席するように書いてたはずよ。早く正装に着替えてきなさい」

「ええー、いいよ。姉さんだけで行ってきてよ。面倒くさいし」

「……二度は言わないわよ? 着替えて来なさい」

 カチャはなんとなく気になったので、言葉を挟んでみる。

「すいませんニケさん、その結婚される方のお名前、何て言いますか?」

「ルーカス・ルーズベルトです」

「……お相手のお名前は?」

「ジョン・L」

「男性ですか?」

「ええ。とはいえ、厳密に男性かと言うとそうでもないですね」

「どういうことです?」

「オートマトンなんですよ。そのジョンさん」

「オートマトンと人間って結婚出来るんですか?」

「出来るんでしょうね。現にしちゃってますし。家族間で大分激論が交わされたらしいですけど」





 男女どちらともとれる中性的な顔つきの、スーツを着たオートマトン。それが同じくスーツに身を包んだ人間に話しかけている。

「ルーカス、何故わざわざ縁もゆかりもない田舎で式を挙げようと?」

「うん、小さなことなんだけど――まあ、あいつにちょっとした意趣返しって感じ?」

「あいつとは」

「昔の知り合い」

解説

補足説明


春。新しいことを始めるにはいい季節です。

日常シナリオなので、行動は自由です。
スペットの面会へ行ってみたり、披露宴を覗いてみたり、色々してみてください。

アレックスはハンターだから少々撃たれた所で死にはしません大丈夫。撃たれるだけの理由はありそうなので、同情しなくてもよさそうです。

マスターより

KINUTAです。
ジェオルジは色々と先進地帯です。

関連NPC

  • 荷を運ぶ者
    カチャ・タホ(kz0150
    人間(クリムゾンウェスト)|13才|女性|聖導士(クルセイダー)
  • 俺は猫ちゃうぞ
    スペット(kz0223
    人間(クリムゾンウェスト)|25才|男性|魔術師(マギステル)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/04/25 23:20

参加者一覧

  • 征夷大将軍の正室
    天竜寺 詩(ka0396
    人間(蒼)|18才|女性|聖導士
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • 世界は子供そのもの
    エラ・“dJehuty”・ベル(ka3142
    人間(蒼)|30才|女性|機導師
  • また、あなたと
    リナリス・リーカノア(ka5126
    人間(紅)|14才|女性|魔術師
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデス(ka5848
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士
  • 紅の月を慈しむ乙女
    アリア・セリウス(ka6424
    人間(紅)|18才|女性|闘狩人
  • 知るは楽しみなり
    ソラス(ka6581
    エルフ|20才|男性|魔術師
  • 我が辞書に躊躇の文字なし
    ルベーノ・バルバライン(ka6752
    人間(紅)|26才|男性|格闘士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/04/19 20:24:33
アイコン 相談卓だよ
天竜寺 詩(ka0396
人間(リアルブルー)|18才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2018/04/19 21:19:37