重度汚染地域、ラズビルナム。それがいつからそこにあるのか、誰も知らない。
　一説によれば、それはこの土地に征服者たちが太陽の帝国を作るよりもずっと前から存在したという。
　元々、現在の帝国領となる部分には大小さまざまな亜人の国があった。
　ラズビルナムの周囲に今も残されている遺跡を調査した結果、やはりこの森も何かしらの亜人の国だったのだろうと言われている。
　帝国にそれらの記録は残されていない。今は滅んでしまった小さな国々は、名前がわかっているだけでも珍しいほどだった。

　広大な土地面積を覆いつくすように生い茂った背の高い木々により、グリフォン隊の飛行偵察も役にたたないこの森は、強烈な負のマテリアルにより汚染されている。
　理由はわからないが、どうやら暴食の歪虚によるものでもないようで、その証拠に過去には四霊剣のオルクス（kz0097）も調査していたという記録が残っている。
　わかっているのは、どうやら汚染の源は地下にあるらしいということ。そして地下には周囲にあるのと同じように、何かしらの遺跡が存在しているだろうということだ。
　この汚染地域は危険なものではあったが、これといって積極的に人類に害をなす物でもなく、解体のコストが割に合わないと放置されていた経緯を持つ。
　だが、このラズビルナムの地下汚染源はゾンネンシュトラール帝国の国土全域に悪影響を及ぼすほど強力なのだと、四大精霊サンデルマンの助言により発覚したのだ。
「……というわけで、ラズビルナムの解体に取り掛かることになったんだが、実は動機はもう一つある。錬魔院が凍結されてるのは皆も知ってるだろう？」
　ラズビルナムのすぐ近くに作られた帝国軍のキャンプには、多くのハンターが集められていた。
　この帝国キャンプはラズビルナムの四方に元々存在しており、森から出てくる雑魔などを発見しては撃破する為の監視所である。
　元々この森の調査を行っていたクリケット(kz0093)は、知り得る情報をハンターに伝授する作戦監督を任されていた。
「院長のナサニエルがパクられたんだが、笑えることに錬魔院の研究って全部門の責任者があいつだから、基本全部止まっちまってるわけだ。で、暇になってる錬魔院に帝国政府から与えられた任務がラズビルナム浄化作戦だった、というわけ」
「錬魔院どうなっちゃうのかしらねー。なんかこのまま解散もあり得るんじゃね？　とあたしは睨んでいるのよね」
　ブリジッタ・ビットマン(kz0119)はクッキーの袋に手を突っ込みながら鼻で笑う。
「まーそうなったらボインのところに転がり込んでやるのよさ！！！！」
「え……俺、無職になりそうなんだけど……」
　そんな話はどうでもいいとして。
「ラズビルナムは汚染の関係上、長時間の滞在が困難だ。それなんで最近流行りの浄化術を使って道を作っていくんだが、とにかく雑魔の数がハンパなくてな。あんたらにはその排除と、浄化術者の皆さんの護衛をお願いしたい」
　浄化術者の皆さんは大雑把に二種類に分けられる。
　ひとつは錬金術師組合から出向してきた術者の皆さん。もうひとつはエルフハイムから出張してきた浄化術者の皆さん。
「「「よろしくおねがいしまーす！！！」」」
「――――女子供ばっかりなのよさ！？！？」
「お前もだろ」
「こんなんで本当にこのクソデカ謎森くんを解体できんのかよおぉん！？」
「そういえば……実はもう一つ懸念事項があってな。この森は、不滅の剣魔クリピクロウズと関係があると言われてるんだ」
　四霊剣は既にクリピクロウズを残し掃討が完了している。
　剣機に関しては根絶したわけではないが、最近めっきり機械化された歪虚は見かけなくなった。
　剣豪と剣妃は厄介ではあったが、無事に撃破完了。問題は最後の剣魔だが……。
「クリピクロウズはどうも暴食の眷属とは関係のない歪虚らしい。ただ強力なんで勝手に帝国軍が四霊剣と括ってたが、ハヴァマールの眷属ってわけでもないとか」
「で、そのクリクリがこの森から湧き出てんじゃね？　って話なのよさ！！」
　クリピクロウズは謎が多く、倒しても倒しても復活し、何なら増えるし形も変えるし、合体分離もしてくるおかしな歪虚だった。
　言葉も話さないので何をしようとしているのかもさっぱりわからない。自然災害に例えてもいい。
「まあ、ハンターにとっちゃそこまでてこずる相手でもないと思うが、一応念頭に置いといてくれ」
「それでわー、皆さんに地図を配布しますー！　先遣隊が頑張って作ってる地図だけど、この森“動く”からあんまアテにならんので注意するのよさー！！」
「道に迷うとハンターはともかく浄化術者は死んじまうんでな。くれぐれも気を付けてくれ。以上、解散だ」

※当シナリオはハントシステムとなります。ＧＭによるリプレイの執筆は行われません。
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