グラウンド・ゼロで行なわれた邪神翼との闘いにハンターが勝利したことにより、邪神ファナティックブラッドは異世界への大規模な侵攻手段を失った。
　だが、邪神からの攻撃が途絶えたわけではない。
　集団的な攻撃こそ以前ほどではないが、転移攻撃の件数そのものは増加しているほどだ。
「邪神翼は邪神にとっての最大戦力でだったわけだけど～、それを先んじて送ってきていたのは、直接クリムゾンウェストに歪虚を転移させるゲートが欲しかったからでもあるのよねぇ」
　クリムゾンウェストは今、世界全体を覆う巨大な結界により異世界からの転移を弾いている状態にある。
　その結界を突き破る能力と、自らが転移門となり異世界から歪虚を呼び寄せる能力。邪神翼はその双方を有していた。
　故に脅威であり、故にあれだけの激しい戦いが繰り広げられたのだが、それは邪神が侵攻を急いてのこと。
「邪神はもともと地球凍結結界を自力で突破できるし、クリムゾンウェストの世界結界も強引に突破できるから、急がないなら確実にこっちに来れるのよねぇ」
　待てばいいものを、邪神が侵攻を急いで邪神翼を個別に送ってくれたので、しめしめと各個撃破したのがオペレーション・ブラッドアウトである。
　だが、邪神翼を失ってもファナティックブラッドは封印を破り、解き放たれようとしている。
「その影響としてクリムゾンウェストに現れている“シェオル型”には対処が必要だわ」
　ベアトリクス・アルキミア(kz0261)がモニターに表示したのはクリムゾンウェストという惑星そのものだ。
　その周辺を覆う薄い膜――世界結界のあちこちに、綻びが生じているのがわかる。
「神霊樹の植え込みや第二の月である崑崙を用いて世界結界を強化したけど、それでも復活しつつある邪神の影響は遮断できない。邪神の力が完全になるに伴い、これから各地に歪虚による転移攻撃が繰り広げられるはずよ～」
　現に、シェオル型と呼ばれる悪性変異を遂げた歪虚が突如として町や村を襲うケースが増え続けている。
　シェオル型はクリムゾンウェストに自然発生する雑魔とは比べるべくもない凶悪さを有する敵だ。村の自警団程度では相手にもならないし、未熟なハンターでは返り討ちにもなりかねない。
「元々は意図的にグラウンド・ゼロの世界結界を解除することで敵を誘導しておったのじゃが、クリムゾンウェストへのアクセスが増加し、それもままならぬ状況じゃ」
　ナディア・ドラゴネッティ(kz0207)は窓辺に立ち、会議室の外へと目を向ける。
「今まさに世界の進むべき道を決めようという重大な局面じゃが、安心して皆が未来について考える為にも、敵の迎撃が必要じゃ」
　そしてハンターへと向き合い、ナディアは少し困ったように眉をひそめる。
「時に、おぬしは既に自らの願う未来について考えはまとまったか？」
　頷く者、首を横に振る者。色々いるのも無理はない。
　なにせ、世界全体に影響する決断なのだ。すぐには決められないこともあるだろう。
「忙しい所申し訳ないが、シェオル型の迎撃を頼めるじゃろうか」
「中にはすごく強い個体もいるみたいだから、無理はしないでね～」

　今もグラウンド・ゼロでは邪神翼が引きこんだ歪虚との交戦が続いている。
　また、突発的に転移してきて人を襲う歪虚にも対応が必要だ。
　邪神との最終決戦に向けて、やるべきことはまだまだ残されている。

※当シナリオはハントシステムとなります。ＧＭによるリプレイの執筆は行われません。
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