ドワーフ王の差し入れ

マスター:鷹羽柊架

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/12/06 19:00
完成日
2015/12/13 19:46

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 帝国領地と辺境領地の境目の一部に切り取ったような丘の上にそびえたつ要塞都市【ノアーラ・クンタウ】がある。
 様々な種族、出身国が行きかう活気のある街。
 その中に辺境ドワーフを束ねる通称、ドワーフ王ヨアキムが有するドワーフ工房【ド・ウェルク】が存在する。
 しかし、このドワーフ王は好き勝手やってて、工房には帝国に丸投げ状態で、帝国の者が管理官の仕事をしている。
 運営にはヨアキムの他に彼の愛娘のカペラも携わっており、皆で賑やかに発注を受け、納期と戦っていた。
 夏ごろに、東方よりはるばるドワーフ工房へ超ドワーフヨアキムなる者に合いに三吉という青年が現れる。
 超ドワーフとかなんだよコンチクショウと思うのだが、ヨアキムが名乗ったのだから仕方ないので華麗にスルーをして話を聞くと、彼は東方の鍛冶技能をもった人物と判明。
 東方の製鉄技術はドワーフ工房にいる者たちが知るものとは全く違うものであり、ハンターの力を借りてイチから窯を作ったり、炉を作成していた。
 その後、製鉄を行い、沢山の材料を投入して作られたケラとズクと玉鋼の量は四分の一以下。
 玉鋼と言われる良質な鉄は更に半分にも満たない。希少なものと実感させられる。
 材料は出来たので、金属加工を主に取り扱うクレムトの部署所属の技師達の打ちが始まり、かなりのハイペースで力加減を考慮しつつ刀を打っていた。
 そろそろ最初の一本が出来上がる頃、ぷつん、と何かを越えたものがいた。
 東方から来た三吉だ。
 辺境と帝国の食事は嫌ではないが、流石に東方の料理が恋しくなっていた模様。
「米……にぎって……醤油たらして焼いたのが食べてぇよぉ……」
 休憩中にこぼす三吉の嘆きが切なくて仕方ない。食べ物の辛さは身にしみるので、食べさせてやりたいが、流通してなく、どうしようもなかった。
 そんなドワーフ工房に届け物が来た。
 依頼主はヨアキムだという。樽や藁に包まれた何か、そして甕。
「なんだ、この藁」
 シェダルが顔を顰めて作業用のナイフを突き立てようとすると、三吉が目玉を飛び出してしまうかのように見開いて大慌てで止めて来た。
「あわわ! いけねぇですよぉ! これは食いもんですってぇ!」
「というと……東方の食べ物?」
 フォニケが尋ねると、三吉は首が取れそうな勢いで首を縦に振る。
「ぉおおおぉおおおぉおおおお!!! しょ、醤油だぁ……味噌も、酒も……って、なんでこんなに酒ばっかりなんだべ……」
「酒!?」
 首をかしげる三吉にドワーフ達が反応する。
「何、酒か」
「東方の酒?」
「飲ませろ!」
 仕事で酒に餓えたドワーフ達が三吉と酒を取り囲む。
「とはいえだ。それ、どうやって料理にすんの?」
 ひょっこり現れたドワーフ工房の工房管理官、アルフェッカが後ろから声をかける。どことなく疲れているような顔をしているが、普通の様子を装っているようにも見える。
 三吉は料理が出来ない事は皆承知であった。
 皆の視線は一人へと向けられる。
「無理いうなや」
 工房イチの料理上手のシェダルもお手上げ。はじめて見る食材だし、育った環境上、米を焚く事もない。
「ハンターに頼みましょう!」
 拳を上げて提案したのはカペラだ。
「そういえば、ハンターに東方出身者がいたな」
「三吉、コメってのは、肉に合うか」
「合いますだ! 焼いた時に醤油をかけてもうんまいんですだぁ」
 肉と米と酒、と調味料という謎のマリアージュを確認しようと、ドワーフ工房はハンターオフィスへと依頼を掛けようとするも、アルフェッカがストップをかけた。
「刀も出来ただろう、ハンターたちに刀テストさせておいて」
 打ち合わせに行ってくると言い残してアルフェッカは去ってしまった。
「ヴェルナーさん、まだ戻ってこないのよね……」
「不在の時でも回せるようにしているのはありがたいわ」
 カペラが呟くと、フォニケはそっと目を伏せる。

リプレイ本文

 要塞都市の中にあるドワーフ工房に現れたのは六人のハンター達。
 エミリオ・ブラックウェル(ka3840)がハンター達を打ち合わせ室へ案内する。
 室内は暖炉の火で温まっており、冬の気温で冷えた身体にはありがたい。
「いらっしゃい。私はカペラ、エテルタのリーダーをやっているわ」
 カペラは続いてフォニケとシェダルの紹介をする。
 長いストレートヘアーの気のいいお姉さんがフォニケであり、くせっ毛をオールバックにしているの無愛想の男がシェダル。その横にいるのは東方の鍛冶師である三吉だ。
「こちらの工房でも刀を打ったと聞いてな!」
 興味津々という様子を隠さずにレーヴェ・W・マルバス(ka0276)が言えば、カペラは同胞が聞きつけてくれたことに嬉しそうに頷く。
「私もこういうものを作っている」
「蒔絵ですね」
 レーヴェが出してきた鞘に天央 観智(ka0896)が返す。
「これ、金か?」
「この黒の塗料って?」
「これ、東方にも似たのありますだ」
 カペラ達がレーヴェを囲って鞘を眺める。
「もっと繊細なものもあるそうだぞ」
 レーヴェの言葉に「レーヴェちゃんの鞘も見事なものです」と花厳 刹那(ka3984)が言った。

 今回は郊外某所に熊や鹿が現れるのだというので、それの討伐も含まれている。
 ハンターの他、同行するのはカペラ、フォニケ、シェダル。
「今日は温かい物が食べたいですね」
 ミオレスカ(ka3496)が呟くと「確かに」と観智も同意する。
「そういえば、レーヴェちゃんは刀のテスト希望ですが、どちらを?」
「や、私にとって刀術は趣味の域よ。余ったら使わせてもらいたいだけじゃし」
 刹那が尋ねれば、レーヴェはそう返した。
「戦っている最中にタイミングを見て交換してもいいわよ。私達も狩には参加するし、基本的には壁役、囮役になるから」
 カペラの言葉に刹那は「そうさせていただきます」と微笑む。
「ちょっと偵察に行ってくるわ」
「ご一緒します」
 軽やかに飛び出したのはフォニケだ。ネージュ(ka0049)も同行しようとしているのだが、彼女の手の中には投紐があった。
 今回は刀の他に趣味作った武器が二点ある。
 投紐と鉄扇。
 ハンターという者は鍛えぬいた肉体を持つ大男から、小さな子供までと老若男女問わずに在籍している。
 屈強な戦士に使ってもらえる武器もいいが、華奢な女ハンターにも使ってもらえるような武器も作りたいという考えもあり、強欲なドワーフらしい考えで作ったようだ。
「いるわね」
 フォニケの肉眼で確認したのは熊が一体、鹿が二体。ネージュも確認済みであり、他の獣の姿は見受けられない。
 二人が物陰に隠れて頷き合って即座に皆の方へと戻る。
 状況報告を待っているハンター達は武器の確認を取っていた。
「ふむ。重さは太刀ならではじゃな」
 太刀を手にしたのはレーヴェだ。強弱つけて何度か握ったあと、人がいない事を確認して何度か振る。
「いささか肉厚になってしまうのは仕方ない事かの」
 刹那に頼み、彼女が所有している鬼神太刀を抜いてもらい、確認しつつレーヴェが感想を言った。
「覚醒者だから、あまり気にはならないけど、使用中で違いが出てくるかもしれませんわね」
 愛刀をレーヴェに貸した刹那は刀を持ち上げたり、構えたりしている。
「柄と刀に違和感は?」
「今のところは感じませんわ」
 シェダルが刹那に声をかける。
「そういえば、試し斬りといえば、リアルブルーでは罪人の首切りに使われていたとか聞きますわ」
「……東方でもそうらしいな。対人戦はあるっちゃあるが、歪虚や獣と戦ってほしいからな」
 思い出したように言う刹那にシェダルは複雑そうな様子を見せた。
「わかりました。首狩り刹那、参りますっ」
「そこから離れろ」
 気合を入れる刹那にシェダルのツッコミが入るが彼女は意欲満々。
「行くかのぅ」
 レーヴェが太刀を携えて鉄扇を持つエミリオの隣に立つ。その後ろではミオレスカが射撃準備の為、武器の動作確認を行っている。
「引きつけに行ってきます」
 先に飛び出したネージュが投紐を投げた。
 狙った先は鹿である。投紐の先の短刀は軽さと重心のバランスが取れてなかったので、左足ではなく、右足に紐が絡まる。
 拮抗した力で引っ張りあい、ネージュは思った以上に紐本体が強いことに気づく。
「ゆくぞ!」
 レーヴェが飛び出すと、右胸から左足の付け根に掛けて刀を振り下ろす。刀の引きに気を集中させる。
「む」
 毛や皮の上から肉を斬り裂くのは、中々に力がいるようだ。
 一撃のあと、レーヴェが後退すると、鹿は彼女を追おうと地を蹴る。動きには気付いていたが、避けるのが精一杯。
 レーヴェの横から素早く駆けて庇ったのはエミリオだ。鹿の蹄がエミリオを襲うも、その攻撃はエミリオを傷つけることはなく、受け流された。
 鹿の攻撃を防いだのはエミリオが手にしているのはドワーフ工房謹製の鉄扇。優雅に短冊を開いて盾となっている。
「いくわよ。ネージュちゃん、気をつけて」
 エミリオの目元を覆うマスカレードに飾られている羽根より小さな燐光が弾く。
 手に持つ扇の角度を変えて扇の先端につけられている刃にエレクトリックショックを纏わせて鹿の傷を目掛けて腕を大きく振った。
 雷撃の光がエミリオの振るう腕に併せて追っていき、鹿へと直撃する。
 気を失い、力を緩めた鹿はネージュの投紐から放たれており、そのまま倒れこんだ。
「こちらを……!」
 観智はカペラから預かったロープを投げると、ネージュがキャッチして倒れた鹿の前足を括る。
「よし、解体するぞ!」
「ここは任せて!」
 レーヴェとエミリオがてきぱきと血抜きを始めた。
 ネージュが振り向くと、シェダルが盾役となり熊と攻防戦を始めており、ミオレスカがもう
一体の鹿へ援護射撃を始めている。その横ではフォニケが注意を引きつつ、刹那が攻撃の機会を伺っていた。
「……状況はあまりよくないですね」
 険しい表情を見せた観智はスリープクラウドを熊へと向ける。
 抵抗に失敗しただろう熊はゆっくりと頭を逸らし、動きが緩慢となっていく。
「頼むぞ!」
 シェダルの声にミオレスカが即座に反応し、ロングボウを構える。発射された矢は空気を裂くように獲物へと向かっていく。
 矢は熊の腹部へ当たり、大きく身体を揺らした。振り回す腕をネージュが投げた投紐の先が絡めとり、力いっぱい引っ張る。
 瞬脚で間合を詰めた刹那が熊の懐へ飛び込み両手でしっかり柄を握り、首へ刃を当てて思いっきり刀を引いた。
 刹那が斬り込んだ刀は肉を斬り、骨まで到達したが、骨の関節は頑丈であり、刀では折れるかもしれないと判断した。彼女の一撃は熊の致命傷となり、倒れる。
「解体は頼むぞ!」
 シェダルがネージュとミオレスカに熊を託して刹那に太刀を持ってくるように指示して最後の鹿一体へ走る。
 最後の一体も無事に倒して、計三体が本日のおかず。
 血抜きが終わると、ドワーフ工房の仲間達が荷馬車を引いて現れた。

 ドワーフ工房へ戻ると、肉の解体をシェダルをはじめ、他のドワーフ達に任せてハンター達は差し入れ品の確認。
「これが東方の醤油ですか……」
 ミオレスカの興味は調味料へと向けられている。蓋を開けると、発酵食品ならではの匂いが嗅覚を刺激する。
「少量ならいい香りですけど、大量ですと、匂いもきついですからね」
 観智も一緒に醤油を観察する。赤紫色に近い液体の醤油であるが、瓶の中は大量に注がれている為、赤黒い液体にしか見えない。
 レーヴェが枡で計り、米をとぐ。枡は三吉のお手製。いびつだが、ないよりましという感じ。彼女はリアルブルーの知識を持っており、米の研ぎ方は知っていた。
 他のメンバーも習って米を研いて水を含める。
 狩から戻る際に、エミリオが野菜が欲しいから市場に寄り根菜類を購入していた。
「リアルブルーではごぼうを食べる地域があるのね」
 驚いた様子なのはエミリオだ。
「木の根のような形ですからね……薬用としている地域もありますが、食用とする地域もあります」
 観智が言えばレーヴェもほほうと聞き入っている。
「人参やジャガイモとも相性はよさそうだ」
「味噌と醤油とも合いますよ」
 刹那の勧めに鍋への期待度が上がっていく。

 米に水を含める間、皆が刀の感想について話し合っている。
「太刀は悪くなかったのですが、結構重さがありますわね。力が必要な分、威力はありましたし」
 戦闘を思い出しながら刹那が呟くと、観智は確かにと頷く。
「あと、刀は思ったより切れていたような気がします……」
「研ぎすぎもありますが、長時間戦闘時にどうなるか。今回はぶっつけ本番でもありましたし、仕方ないかなと」
 感想を冊子に書き込んでいるカペラはクレムトのリーダーと「路線はこのままでイイっぽいわね」と納得した。
「投紐ですが、軽いのと、左右のバランスがよくなくて思ったところへ投げれませんでした」
 ネージュが感想を述べると、シェダルが「そこは改善する」と返した。
「鉄扇はもう少し軽くして欲しいわね。使う人は女の子が多いだろうし」
「重さの改善はマテリアル鉱物を使えないかって今フェルツで考えているわ」
 エミリオの感想にフォニケが答える。
「武器とはいえ、おしゃれに気を使うハンターも多いし、塗装よりメッキ加工よね」
「可動はスムーズだったか?」
 シェダルの問いにエミリオは「悪くなかったわ」と答える。
「そろそろ下準備に入りますね。包丁とやらが楽しみです」
「そうね。いきましょ」
 ミオレスカが立ち上がると、エミリオも彼女に続く。

 包丁を見て、観智と刹那とレーヴェが「ナンカチガウ……」と微妙な様子を見せる。
 確かに包丁であるが、三徳包丁ではない。
 シェダルに包丁の形を伝えると、予備の包丁があるから焼き直してくると言って、クレムトのリーダーと一緒に鍛冶場へ駆けて行った。
 それでも包丁としては使えているようであり、エミリオは感動に浸る。
「固い野菜が簡単に斬れるなんて……」
 包丁のコツを聞いたエミリオは野菜が難なく切れていくことが楽しい模様。
「こちらではぺティナイフで野菜を切りますからね」
 ミオレスカも楽そうに野菜を切っている。今回に間に合うか分らないが、更に使いやすい形となった包丁が次は使えるだろう。
 切った野菜を大きな鍋に入れていく。
「薄いお肉がほしいです」
 そう言ったのはネージュだ。リアルブルーで聞いた料理をしたいというのだが、それに薄切りに句が必要。
「ちょっと難しいな……」
 頑張って薄く肉を切っても厚みは出る。
「何が作りたいの?」
 フォニケが声をかけると、ネージュはごはんを肉で巻いて焼くおにぎりが作りたいようだった。
「なにそれ!」
 肉で巻くというフレーズに反応したフォニケが興奮する。
「巻くには薄い肉が必要じゃて」
 レーヴェのツッコミも興奮で聞こえてなく、食べてみたいとフォニケが言っていると、彼女は肉を柔らかくする為に叩くハンマーを持って来た。
「よし、任せろ」
 名案に気付いたレーヴェが肉を叩いて破けないように伸ばしていく。
「これでいいと思います!」
 薄く伸ばされた肉を見てネージュが頷くと、厨房内に米が炊ける匂いが充満してきた。
「もう少しだ」
「新米を頂けるのは嬉しいですね」
 刹那が言えば、観智も同意だ。
「ドワーフの皆さんはお米よりお酒でしょうか……?」
 東方の酒にはドワーフ全員が興味を示している。奪い合いは必須だろう。
「よく食べ、よく飲む、これがドワーフじゃて」
 観智の言葉を聞いたレーヴェがにっと笑った。

 米が炊き上がると、皆がぴかぴかの米に目を丸くする。
 白くつやつやの米粒はふっくらとしていた。
「さ、食べやすいように皆で握るぞ」
 レーヴェが言えば、ハンター全員が借り出され、観察を決め込んでいた観智もまた握らされる。
「見た目は次。食べられる事を優先だ」
 十分すぎたくらいで何枚もの大皿に見た目不ぞろいのおにぎりが並べられた。
「三吉さんにはこっちがいいですよね」
 刹那がお茶碗によく似た陶器のボウルにご飯をよそう。
「焼きお握りも準備します」
 ミオレスカがお握りと醤油を用意する。
「焼くお肉は向こうで焼くわよ!」
 下準備が出来たエミリオが言えば、皆でご飯や下拵えをした肉や鍋を持っていく。
 向かう場所はクレムトが作業をする大鍛冶場。
 ホールのように広い鍛冶場にドワーフ工房の者達が今か今かと待ち構えていた。
「とりあえず、刀作成お疲れ様ーーー! 飲んで食べてーーー!!!」
 カペラが叫ぶと、皆で乾杯した。
「この酒甘いな!」
「うまい!」
「この煮込みが美味そうだ」
 みんなが先に食べたのは味噌の煮込み鍋。
 とろみのある汁は味噌の塩っけと野菜の甘味でとても濃厚だ。根菜類は柔らかく煮てあってほっくりと甘い。
 的確な血抜きをした肉は香草や香味野菜のおかげで更に臭みが消え、旨みが増している。
 肉を噛み締める度に肉の旨味と味噌の味に衝撃を受ける。
「こんな美味い鍋ははじめてだ!」
「まだまだあるわよ!」
 感動する工房の人間にエミリオが皿に盛った肉に皆が興味を示す。エミリオは鉄板で鹿肉を焼いている。
 肉はタレに漬込んでいるようであり、熱した鉄板で肉を焼けば、生姜と醤油の香りが煙に乗って広がっていく。
「もう白米がありませんね。どうぞ」
 ミオレスカが出してきた焼きお握りに三吉は喜んでかぶりついた。刹那が取り分けた白米は鹿肉と玉ねぎの醤油煮を乗せてもう食べきってしまったようだ。
「うんめぇ~~! ここでこんなうめぇ米、食えると思ってなかっただぁ……」
 三吉は久しぶりの米に感涙している。
「味噌鍋もまだありますよ。汁気多めにしてます」
 刹那がスープボウルを三吉に渡す。
「味噌焼きがもうありません」
 ミオレスカが驚く。竜田揚げも空っぽだった。
「まだ肉はあるからステーキにしよう。立ちっぱなしだっただろう、食べてくるといい」
 レーヴェが言えば、ミオレスカが頷く。ちなみに、レーヴェは作りながらもうまいこと食べていたようだった。
「ミオレスカちゃん、肉巻きおにぎり美味しいわよっ」
「お前は食いすぎだ」
 フォニケがミオレスカを呼ぶとシェダルがツッコミを入れてネージュがくすくすと笑う。
「網焼き、ここでもやってましたか」
 シェダルが焼いているのはお握りだ。横で肉も焼いている。
「白米には漬物という物が合うと聞くが」
 レーヴェがないもの強請りかと思ったら、シェダルが小さな壺を彼女へ差し出した。
 中を見れば、人参の塩漬けが入っている。
 食べてみれば適度な塩気とさっと湯がいてえぐみをとっているが、ちゃんと歯ごたえがあった。
「今回は助かった。また何かあれば頼む」
 シェダルが礼を述べた。
「縁がきたらきます」
 ネージュがそう応える。

 今回のテストが終了し、三吉は程なくして東方へと戻っていった。

依頼結果

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MVP一覧

  • 甘蜜の祝い人
    ネージュka0049
  • 豪傑!ちみドワーフ姐さん
    レーヴェ・W・マルバスka0276

重体一覧

参加者一覧

  • 甘蜜の祝い人
    ネージュ(ka0049
    人間(紅)|12才|女性|疾影士
  • 豪傑!ちみドワーフ姐さん
    レーヴェ・W・マルバス(ka0276
    ドワーフ|13才|女性|猟撃士
  • 止まらぬ探求者
    天央 観智(ka0896
    人間(蒼)|25才|男性|魔術師
  • 師岬の未来をつなぐ
    ミオレスカ(ka3496
    エルフ|18才|女性|猟撃士
  • 愛しき陽の守護星
    エミリオ・ブラックウェル(ka3840
    エルフ|19才|男性|機導師
  • 紅花瞬刃
    花厳 刹那(ka3984
    人間(蒼)|16才|女性|疾影士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓◆東方の文化を愉しもう♪
エミリオ・ブラックウェル(ka3840
エルフ|19才|男性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2015/12/06 08:17:08
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/12/04 07:50:19