鍛造、降魔霊剣マイステイル

マスター:DoLLer

シナリオ形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/11/24 07:30
完成日
2016/11/27 20:02

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オープニング

「これがマイステイル? ちっちゃくね?」
 届けられたボラ族に伝わる宝具マイステイルを陽光に透かしたロッカは首を傾げた。陽光を透かして新緑色に輝く若葉の一切れ。そんな形状だった。
 確かボラ族の元族長であるスィアリが持っていた時は槍のような形状をしていたし、その穂先だとしても今のこれは掌の半分ほどしかなく、槍についていたとも思えない。
「いいじゃない。憑依能力のあるファルバウティは前回の攻撃でわかったけど、痛みに対する耐性が全然なかったから、そんなのでも当たれば一撃でお陀仏よ。人の痛みを知らないで生きてきた人間って滅茶苦茶なこと言う割に、いざ自分の身になるとてんでダメっていう典型よね」
 アミィも横に座ってマイステイルを眺める。
「これじゃナイフにするのが精一杯かな……。鍛えるのって一人でできるの? 準備とかいらない?」
「一人でできるけど、手伝いはあったら嬉しいな」
 ロッカは白い綿衣を、同じく白い紐でくくりながら立ち上がった。
「まずね、血がいっぱいいる。鍛冶場内に血の魔法陣を描くから……んーと、最低、人間にして3人分くらいの血ね。人間じゃなくても兎とか、羊でもいいよ。がまず必要。これはあればあるほど力が増すから、できればいっぱい欲しい」
 その一言にアミィは疲れたような顔をした。
「なかなかえぐい。っていうか臭そう」
「呪術みたいなモンなんだから仕方ないだろ。亡霊を呼び寄せなきゃいけないんだから。そうそう。薬草もいる。匂い消しと亡霊からの護身用に。それから心臓と脳みそ。これは血を絞った時に出てくると思うけど。羊の頭で我慢するけど、亡霊の知能に関わるから人間とかの方が本当は良いかな」
「あのさ……今までどうやってたわけ」
「あんたがそれ聞く?」
 アミィとロッカはしばらく視線を合わせた。
 ……にひひ。
 互いに笑顔が漏れる。
「後はマイステイルを熱するから薪ね。他の細かい道具はオレが持ってるからいらない」
 はいはい。とアミィは答えると、メモに『大量の血、薬草各種、心臓、脳みそ、薪』と書いていく。
「意外とめんどくさい。これで本当に最強の武器ができるわけ? 想像もつかないよ」
「信用しなよ。それにこれは最強じゃないさ。一族の宝に、ファルバウティの技を合致させているだけで、最強の武器には程遠いさ」
 ロッカは一瞬だけ遠い目をした。とても寂しそうな……悲しそうな目だ。
「訳アリ顔だね。おねーさんが話に乗るよ?」
「オレ、昔は帝国で鍛冶屋してたんだよね。でも当時の師匠……あ、ファルバウティじゃないぜ。普通の人間。がさ。何年しても剣を打たせてくれなかった。ずっと小間使いさ。技を見て盗めってことかなって思って、夜中にこっそり作ったら、すぐにバレて半殺しにされた。ずっと剣作りたかったのに、あっという間に10年も経っちまった」
「ああ、それで辺境まで逃げたのね……」
「師匠なんて弟子に知識と経験と技を渡してなんぼの存在だよ。どうせ死ぬんだし、次代に何も伝えられなかったらそれこそ生きた意味がない。こき使うだけの師匠なんて、老害っていうんだぜ。未だにそん時に貯めこんだ最強の武器のアイデアは今日まで結局そのままさ」
 空を眺めるロッカと一緒にアミィはしばらく空を見上げていた。
「その最強の武器ってさ……もし出来上がったらどうするワケ?」
「誰かに使ってもらって証明してもらうかな。オレの武器なら革命だって起こせるさ」
「夢に溢れているねぇ。お姉さん、そういうの大好きよ」
 アミィの一言にロッカはぱっと顔を輝かせた。
「まじで!?」
「うん、マジでマジで。夢は見るものじゃないさ、掴むものだよ。少年よ、大志を抱け!」
 アミィが笑って手を差し出したが、ロッカはその手を見て笑い返した。
「悪いね。鍛造する時は人に触れないのが決まりなんだ。禊ぎってやつさ」
「あら、意外と真面目」
 だが、晴れ晴れとした顔のロッカは肩をぐりぐりと回して鍛冶場の中に戻っていった。気持ちはいくらか吹っ切れたようである。
 それを見送ったアミィはメモに目を落とした。
「にしてもこれ集めるの、めんどくさいなぁ……」
 クリームヒルトが知ったら眉を顰めそうな材料にアミィはしばらく首に付けられた枷をいじくり回しながら考えた。
「ハンターに頼んだらやってくれるかな」
 決戦も間近だ。顔合わせという意味でも……声をかけてみる価値はありそうだ。

リプレイ本文

●血祭り
「くくく、エルフハイムと帝国は一触即発だとよ。潰しあってくれるのは最高じゃあないか。こりゃあ応援しないとな」
 エルフハイムに続く道をトラックが走っていた。帝国軍の塗装を模倣したその中には、どうみても軍人とは思えないような輩がそうして笑っているほかは、幌も開けてがらんとした様子を見せている。
「戦争が始まれば、人間もエルフも奴隷にして売ろうぜ」
「死体はファルバウティに売ればいいしな。このトラックがいっぱいになるだけで俺らは大がねも……」
 男の台詞は雷光によって消え去った。そして命も。
「どいつもこいつも……ロクデナシだね」
「!?」
 真っ暗闇の中でライトもつけず並走するトラックの荷台から、アーシュラ・クリオール(ka0226)は髪をたなびかせながら拳銃を男達に向けていた。
「なんだ、あいつら!」
「誰かもわからずに、ンなこと計画するんすか?」
 チェイス状態となり、運転が荒々しくなる中でも神楽(ka2032)は悠々とトラックから飛び移り、月影を背にして真っ黒にそまる顔から犬歯だけが輝く。
「どうも処刑人っす。あ、抵抗する奴は……」
 腰を沈めた刹那、神楽の蹴りが武器を構える男の腹に思い切り叩き込まれた。エンジンの唸りの中で、肉が潰れる嫌な音が響き渡る。
「命の保証はしねぇっす。ってもう……死んじゃったっすかね。あちゃあ、ふかこーりょくっす」
 三下というのはとかく弱いものには強い。三下だからこそどこに人の弱みがあるのか、どう相手が罠にはまるように動くかは、まるで犬の嗅覚のごとくかぎ分けられる。
 もう神楽は三下と呼ばれぬほどに強くはなったが、今もそれが失われたわけでもない。
「て、てめぇら……くそ、どうやってバレた」
 男達が慌ててトラックから逃げようとするところに、追いかけてきたトラックが容赦なく体当たりをして引き潰す。
 目を真ん丸に見開いた男はその運転席の女、アミィを見て愕然とした顔をしたがそれもそのまま。
 ジェットブーツによって高速で近づき、振り上げられたアーシュラの『棺』に男は飲み込まれた。

●血にかける想い
「な、ナニソレ」
「採血器」
 クレール・ディンセルフ(ka0586)が怯えた眼で見る注射器は、リアルブルーでは極細のドリルと形容するのが近いように思った。ポンプの横につけられたハンドルをぐるぐる回すと、針……といってもこれもたいそう太い、が、彫られたらせん状の溝が回転する。
「これでも鉄板を圧延して丸めるのにすげえ技術使ってんだぜ。クレールのところにはなかったのかよ」
 レギンは呆れたようにシリンダーと採血器のチューブをつなげて振り返った。
「別にアイアンメイデンだの人間雑巾絞りとかないだけマシだろ。ほら、順番に並べ」
 あまりの形状に怖いもの知らずのボラ族ですら二の足を踏んだ。
 その代わりに前に進み出たのは無限 馨(ka0544)だった。
「無限さん、すごい! 勇気ある!!」
 クレールがちょっと尊敬の眼差しを向けてそう言うと、腕まくりをした無限は寂しそうに笑った。
「勇気……ね。そんなものないっすよ。俺はいつも日和見で、強いものに憧れてばかりで、ここに来たのだって、いつか何とかなる、終わればリアルブルーに帰って、また元通りの生活が始まる、そんな風に考えていたっすから。みんなほど覚悟もなかったっす」
 緊張で静寂が広がる中、無限は椅子に座って針を受け入れた。静かだからこそ、皮膚を貫く鈍い音、そして無限の声がよく響いた。
「……これ以上、かっこ悪いところ見せられないっすよ。ロッカくん、これ使うなら、槍にした方がいいと思うっす。ファルバウティはどんな身体になるかわからないすけど、分厚ければ分厚いほど、刺す方が向いていると思うっす。それに最強武器のアイデアがあるならそれも入れて良いっすよ」
「りょーかい。まあ、血が多ければそれで引き延ばせるし、どんなになるかは任せてくれよ」
 そんなやりとりを聞いて、ぐっと拳を握ったのは高瀬 未悠(ka3199)だった。
「次は私ね。リジェネレーションで回復するから3人分くらいとってくれて構わないわ。その代わり早く終わらせて、線路の方もやるのよ」
 二人の決意を皮切りに、戸惑っていた人々も顔を見合わせ頷いた。
 怖れて何もしないわけにはいかない。
「採血が済めば、増血成分たーっぷり栄養満点のドーナツをどうぞなの~」
 チョココ(ka2449)はその横でクッキーやドーナツを籠沢山に入れて、配り歩く。
「増血成分の……ドーナツ?」
「はいですの♪」
 リュー・グランフェスト(ka2419)は少しげんなりした顔でチョココに尋ね返した。何が入っているのか……すごく、気になる。
 そういえば血がとにかく必要ということで、無限の水牛や、リューは羊を提供したが、確か血抜きしたそれらを未悠が厨房に運んでいった気がする。デスクッキングの異名をとる彼女が。
「わ、私は何もしてないわよ!! みんなが引くから遠慮したんだから。お願いしたのは……縁が深まるかなってドーナツにしてってお願いしたくらいよ」
 自分でその願掛けを口にするのは恥ずかしく顔を赤らめてそっぽを向く未悠にリューは苦笑いをした。
「わりぃわりい。でもまあ、縁が深まるのはいいかもしんねぇな」
 リューの視線の先には、タンクに集まる大量の血だ。
「邪なるものから守る力となりますように」
 未悠は血を抜かれる瞬間、ぽそりとそう呟いていた。
「これだけあれば、武器も完成できる……」
 タンクを眺めながら、ロッカは震えるくらいに喜びの顔を顕にしていた。そんな彼に物憂げな視線を送るのは七夜・真夕(ka3977)だった。
「ねぇ、ロッカ。ファルバウティってどんな師匠だったの? あんまりいい師匠には思えないけれど」
「そうでもないさ。ちゃんと武器づくり……っていうかマテリアルの封印法っていうのかな。その極意を惜しみなく教えてくれたし、帝国で追われたオレを助けてくれたし」
「ファルバウティが……助けた?」
 真夕もファルバウティの悪行はボラ族の件は目の当たりにしたし、リューなどからも随分と聞いている。あの極悪非道で人間を道具としか思わないような歪虚が、助けるだって?
「元々は封印の精霊なんだ。マテリアルを込めて魔法の品物を作る。精霊ってことはそれに特化した存在ってこと。すげー親身に教えてくれたよ。精霊の身じゃ鍛冶ができないからね。だからオレは師匠が好きだよ。そしてもう超えたってこと見せたいんだ。最高の技で師匠を殺す武器、作るよ」
 ロッカの笑顔は本当に朗らかだった。思わず真夕もどきりとしてしまうほどに魅力的な顔をしているが、それ以上に胸を震わせたのは、歪みだった。
「私の師匠は両親よ。厳しかったけれど、嫌になることもあったけど……それでも居なくなった今では笑顔と共に残っているの。でもあなたのそれは……」
 ロッカはひどく子供っぽい。人間の師匠に半殺しにされたのも真夕には薄々わかる。精神が伴っていない。師となるものからの『想い』をまるで受け止めていない。
 人の『想い』を受け止められない存在。真夕はよく知っている。ヒルデガルドもそう、ブリュンヒルデもそう、スィアリもそう……。
 真夕は震える唇を開いた。
「ロッカ、あなたもしかして……」
「真夕姉ちゃん。ふーきいいんちょーがこの結束した空気を乱しちゃダメじゃない? ファルバウティを必ず殺す武器は作って見せる。それでいいじゃない」
 屈託のない笑顔がかえって恐ろしかった。

●血の精錬
 工房は血の臭いが充満していた。血で魔法陣が描かれている他、炉には心臓がくべられ、脳は金床に塗り付けられている。魔法陣の中心には儀式用の短剣が刺さり、マテリアルの風を噴き出させる。
 そして焼き入れ用の水も紅色だった。
「吐くなら出てけよ」
 濃縮されたマテリアル場と、強烈な臭いに真夕は口元を抑えていたのを一瞥してロッカが鋭く言った。四隅に置いた龍鉱石が気休めでも輝いていてくれるから、まだ気をしっかりとさせているようなものだったが。
「ファルバウティを殺せるなら、全力を尽くすのは当然ですよ」
 それでも炉に火をくべる仕事もままならぬ様子の真夕に、熱で顔を赤くしたクレールは言った。処女の生き血を焼き入れ用の水に提供し、下腹部にまだ包帯を巻いたままのクレールは相当に消耗しているはずなのだが、一切辛いとは口にしなかった。
「殺す コロス。ファルバウティを殺す。殺す コロス」
 ロッカが歌うように呪いの言葉を吐きつつ、マイステイルを熱しては槌で叩く。
 歌だ。真夕は理解した。これは祝詞の真反対。呪言だ。
「この世に血ノ花咲かせる我らの宿願 常世に渡りて阻む想いを打ち砕け」
 マイステイルが槌で叩かれるごとに、火花を迸らせては赤く黒く変貌する。
「願わくは 願い給へ 御身御縁と離れよう消えようとも 消えざる願い 果たしたまへ」
 私たちの想いよ燃え上がれ。
 命の輝きたるこの刃に宿り給え。
 クレールはマイステイルの刃を槌越しに感じていた。金属ではあるが、とても細かい繊維を打ってほどく感覚がある。木の一部のような感覚であった。その繊維の隙間に満ちるマテリアルは温かみすら感じる。そのマテリアルにクレールは話しかけ続ける。
 この血を通して、熱意を。言葉にならない想いに塊になったものを振り下ろす腕の力にこめて、伝える。
 真夕もひそりと唄う。この刃に万物の加護があれと祈った。
「破邪顕正……」

●血の契り
「できました……」
 一週間して工房から出てきたクレールが陽光に掲げたのは緑の刃であったマイステイルとは全く異なった漆黒に輝くショートスピアだった。真っ黒、ではない。光に照らせば鈍く七色に輝く。全部の色を混ぜて黒になったような。それでも濁りはしない。そんな色だった。
「さらに使用者を取り込まないように、柄の部分に整流装置を取り付けました。これで皆さんの想いを集めた刃、降魔の槍マイステイルの完成です」
 クレールの言葉に拍手が巻き起こった。レーヴァの技でみたような不気味さはそこにはない。きっと血を分けた皆々の純粋なる願いがそう感じさせるのだろう。
「ロッカ、クレール。お疲れ様。二人とも最高の鍛冶師ね」
 未悠は冷たい水を渡し、二人をそれぞれ抱きしめた後、野外に設置したテーブルを親指で指し示した。そこにあるのは。
「肉ぅぅぅぅ!!!!」
 クレールがすぐさま飛びついた。
「とりあえず乾杯しようか。想いを受け継いだ……記念にな」
 リューが盃を上げた。

「なあ、スィアリの武芸の型ってのは、誰かから習ったのか?」
 切り分けたローストビーフをゾールの皿に山盛りのせてリューは尋ねた。
「色んなものを見て独力で習った。北荻に挑むやつから学んだ。歪虚と戦い技を盗んだ。スィアリは風で感じ取る」
 風、か。と呟いて空を仰ぐリューは仲間を思い浮かべた。
「スィアリは辺境に座した。だが、辺境にいながら世界中の事知っていた。風が教えてくれると言っていた」
「じゃあ、スィアリ様と共に散った戦士達を安らかに眠ってもらうには」
「大半は北で共に眠りについている。あの大地の寒風を鎮めるしかない」
 歪虚の住まう地となった世界を、緑に戻す。ゾールの言いたいことは分かったが、それは広大な話になりそうだ。
「大丈夫っすよ。その為にまずファルバウティっす。一個ずつしていけば必ず行きつくっすよ」
 無限の言葉にアーシュラは俯いた。一体どれだけの時間がかかるのだろう。
 ふとアーシュラは顔を上げて無限の顔を見た。時間がかかることだけれど、無限はなんともない顔をしていた。
「一緒にしてくれるの?」
「もちろんっすよ。アーシュラさんや、スィアリやヒルトちゃんのことおいてリアルブルーに戻れても、きっと後悔するっすからね」
 その言葉にアーシュラは言葉を詰まらせた後、太陽のような髪で顔を隠してありがとう。と述べた。
「おお、なんかいいシーンすね。アミィもやってくれていいんすよ!」
「とりあえず、神楽っちが首輪着けてくれれば、足蹴にして『ザマァ』って笑ってあげる」
 一方、神楽とアミィは焼き肉と笑顔をお仕着せあっていた。
「にしてもヴルツァライヒのメンバーの数、足りてなくないっすか? 5人くらいいたはずっすけど」
「なんかロッカが街の外に吊るしてたよ。ファルバウティを呼ぶ餌なんだって。東西南北に一体ずつ」
 ?
 神楽は首を傾げた。
「この街って入り口は南の森だけっすよね? なんで他にも吊るすんすかね」
「さぁ? 多分なんか狙ってんでしょ。まあいいじゃん。へへへ、今回のは緊張したエルフハイムとの関連だったからあの程度で半年の減刑よ」
 そんなアミィにチョココはクッキーを口に押し込み、悪辣さにじむ顔をリスのようにし変えた。
「アミィ様ってばまた悪い顔してますの、めっ」
「チョコディラちゃんってば感が良いね」
 アミィにそう言われてチョココはまるごとゆぐでぃらのヒゲを自信たっぷりにしごいた。
「ふふん♪ こんな血生臭いお話が悪い企みでなくしてどうしますの。悪企みは想いの力で乗り越えて見せるですの。さあ、キリキリ話すですのー」
「首輪に設定された刑期がみんなのおかげでどんどん短くなって嬉しいって話。ほら、チョココちゃんも絆の為にお酒飲んじゃう? 解放的になれるよー」
 チョココの頬を軽く撫でながらアミィは薄く笑った。
「またアミィは……」
「あいつのあれは病気だな。でも、あれでストレス解消できてるんだからいいんじゃないか。それより心配なのはお前の方なんだけど」
 呆れるクリームヒルトにリューが話しかけた。
「お前はこれからやりたい事とか、ないのか?」
「魔導列車を帝国に走らせることと……ヴルツァライヒの人達ももう少し幸せになって欲しいってことかな」
「幸せ……?」
「想いってたくさん願って、みんなで力を合わせて叶えることよね。ヴルツァライヒも事情は色々あれ、同じことしてるのよ。彼らの話を聞けばなるほどって思っちゃうのよ。もちろん悪い事な考えも多いけど。道理に通じていて正しいことも多いの。だけど、結果はどうしても歪んでいる」
 ファルバウティのような輩が背後にいるなら、思想は歪みもするだろう。彼らは自分たちの思想が歪められていることに気づけていないのはリューもよくわかっていた。そして頷くのは未悠もだった。
「貴女の目指す未来と貴女自身に私の命を賭けるわ 。これからも」
「ああ、剣を捧げたいと思えるのはお前だけだ」
 二人から差し出された手に、クリームヒルトは破顔して二人を抱きしめた。
「ありがとう。私の大切な人達」
 ドーナツのような、そしてガルカヌンクをめぐる線路のように。
 円陣ができあがる。

 それがいかなる力を発揮するか。
 それを証明する戦がこれから始まる。

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MVP一覧

  • 明日も元気に!
    クレール・ディンセルフka0586
  • 大悪党
    神楽ka2032
  • 轟雷の巫女
    七夜・真夕ka3977

重体一覧

参加者一覧

  • ボラの戦士
    アーシュラ・クリオール(ka0226
    人間(蒼)|22才|女性|機導師
  • スピードスター
    無限 馨(ka0544
    人間(蒼)|22才|男性|疾影士
  • 明日も元気に!
    クレール・ディンセルフ(ka0586
    人間(紅)|23才|女性|機導師
  • 大悪党
    神楽(ka2032
    人間(蒼)|15才|男性|霊闘士
  • 巡るスズラン
    リュー・グランフェスト(ka2419
    人間(紅)|18才|男性|闘狩人
  • 光森の太陽
    チョココ(ka2449
    エルフ|10才|女性|魔術師
  • シグルドと共に
    未悠(ka3199
    人間(蒼)|21才|女性|霊闘士
  • 轟雷の巫女
    七夜・真夕(ka3977
    人間(蒼)|17才|女性|魔術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 霊剣作成のために
クレール・ディンセルフ(ka0586
人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2016/11/24 06:57:17
アイコン 質問卓
神楽(ka2032
人間(リアルブルー)|15才|男性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2016/11/24 01:21:49
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/11/21 21:47:27