• 幻視

【幻視】WALKING ON

マスター:近藤豊

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2017/08/18 15:00
完成日
2017/08/22 06:15

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

「……ぬかったか」
 甲鬼 蛮蔵は、ハンターに遅れを取った。
 油断した蛮蔵自身のミス――まさかほとんど人が足を踏み入れないアルナス湖北にハンターが現れるとは考えていなかったのだ。

 ご主人の計画を思い返した際に奇襲された一撃。
 それに以前の戦いで負傷した箇所を捉えられたのは、痛恨の極みであった。
 再び大きく傷つけられた体が悲鳴を上げるかのように、赤い血潮が流れ出す。

 ハンターが何故、ここに?
 何かの依頼か?
 それともご主人の計画が露見した?

 いや。そんな事は、どうでも良い。
 問題はこのミスを挽回しなければならない。
 残された僅かな時間。できる事をやろう。

 計画の準備は概ね完了している。
 後は――ハンターに計画を知られぬ事。
 ご主人がすべてを賭して行おうとする計画。
 誰にも、邪魔はさせない。

「ご主人。蛮蔵を……最期までお供できないこの不忠義者をお許し下さい」


「こっちへ行ったはずだ!」
 ハンター達が、森の中を走る。
 別の依頼でアルナス湖畔を訪れた際、偶然にもあの甲鬼 蛮蔵を発見した。
 『錬金の到達者』コーリアスの部下にして詩天でもその存在を知られる厄介な歪虚だ。
 何かに気を取られていた隙に一太刀浴びせられたのは幸いだ。
 負傷した蛮蔵はそのまま森を北上。ハンターを振り切るつもりのようだが、いつもの速度で移動できない蛮蔵。
 ハンターに追いつかれるのは時間の問題であった。
「……いたぞっ!」
 仲間の声が森へ響く。
 蛮蔵を発見した声――やはり、あの一太刀がかなり効いている証拠だ。
 千載一遇。
 今再び一太刀浴びせて、ここで蛮蔵を完全に仕留める。
「分かった! 今、そっちへ……」
「うわっ! 蛮蔵だ! こっちに蛮蔵がいるぞ!」
 歩みだそうとするハンターは思わず足を止めた。
 今聞こえた仲間の声は、最初に聞こえて来た方角と正反対だったからだ。
 次第に大きくなるハンターの声。
 そこへ駄目押しの――。
「こっちにも蛮蔵がいるぞっ!」
 三方から聞こえる蛮蔵発見の一報。
 一体、どれが本当なのか。
 いや、もしかしたらすべてが本当なのかもしれない。
 蛮蔵が何か仕掛けたと考えるのが自然だ。
 混乱は森の中へと広がっていく。
「一体どうすれば……」
「悩むか、人間」
 何処かから聞こえてくる蛮蔵の声。
 ハンターは怒鳴り声を上げる。
「何をした!」
「クククッ……これぞご主人の力を蛮蔵の技を合わせた剛分身。
 だが、これだけでは終わらん。この蛮蔵と共に死出の旅路を共にしてもらおう」
 その声と共に突如、手近にあった樹木が燃えだした。
 生まれ出た炎は枝から枝へと広がり、徐々に大きく成長していく。
「森に火を放ったのか。なんて事を……」
 ハンターは、いずことも分からない蛮蔵へ怒りの感情を向ける。
 もし、先程の蛮蔵の言葉が本当であればあの一太刀はかなりの重傷を負わせた事になる。おそらく過去の戦闘で追った負傷が十分に癒えていない所へ、同じ箇所に手傷を負わせたのだろう。それは手に残る感触で十分理解できる。
 だからこそ、逃げられないと悟って森に火を放ったのだ。
 この炎は逃げる為の策ではない。
 ハンターを、逃がさない為の炎なのだ。
「そういう事か」
「今頃気付いたとて遅い。さぁ……行くぞ」

 動き始めたコーリアス。
 そのコーリアスに忠義を尽くす歪虚――甲鬼 蛮蔵。
 ハンターを道連れにせんと放った炎が、森を焼き尽くしていく。
 炎に煽られながら、ハンター達に危機が迫る。

リプレイ本文

「こんな場所で会えるなんて思いませんでしたよ、甲鬼 蛮蔵」
 フィルメリア・クリスティア(ka3380)は、眼前の忍びへそう言い放った。
 両者を取り巻くのは燃え盛る炎――こうしている間にも、炎は広がりながら森を焼いていく。
 しかし、両者にとって炎は些細な出来事でしかない。
「……くっ。このような所で遭遇するとは、定めとはかくも奇妙なものか」
「先日与えた傷、まだ癒えていなかったのですね」
 蛮蔵が与えた傷。
 それは先日、コーリアスが仕掛けた『ゲーム』によって生じた傷であった。
 フィルメリアが与えた傷なのだが、この傷が今回の戦いでも重要な要素を握っている。
「傷を理由に休む訳にはいかぬ。それが主命であるなら尚更の事」
「コーリアスに関わる事で単独行動していたのでしょうが……貴方らしからぬ失態、にも思えるわ。
 ともあれ……ここで貴方とは決着を付ける事になりそうね。貴方を超えなきゃ……コーリアスにも届かないでしょうし」
 フィルメリアが眼前の蛮蔵へ星剣「アルマス・ノヴァ」を構える。
 眼前と表現したのは、この森の他の場所でも蛮蔵が目撃されているからだ。
「お主が追いかける蛮蔵、果たして本物か。
 ご主人から賜った錬金術と我が術によって生まれた『剛分身』。味わうが良い」
「……そろそろ宜しいですか?」
 フィルメリアの手前、大人しくしていたハンス・ラインフェルト(ka6750)。
 しかし、頃合いを見て蛮蔵の前へ歩み出る。
 その手には――大剣「獄門刀」。
「別に私は貴方が本物でも偽物でも構わないのですよ」
「ほう」
「目の前に敵がいる。それに背を向けるのが嫌なだけでッ!」
 次の瞬間、獄門刀が右腕から放たれる。
 蛮蔵の手甲と激突して激しい金属音が鳴り響く。
「獣か。戦と血に狂うものが、ここにも一人おったか」
「私は刀と敵としか興味がありませんからッ」
 両腕に体重をかけるハンス。
 肉薄する両者。
 呼吸が香りにかかる距離まで迫っている。
 しかし、その距離は蛮蔵が繰り出した蹴りによって再び開く事になる。
「2対1……上等」
「それよりこの炎で足止めのつもりでしょうが……無駄なのは分かっておいででしょう?」
 フィルメリアは集束術【蒼氷の王権】を発動した後、ファイアスローワーを放つ。
 扇状に放たれた破壊エネルギーは、燃える前の木々をも薙ぎ倒していく。
 燃え移るものがなければ、森はこれ以上延焼しない。
 何より、これでフィルメリア達は炎で体を焙られる心配は無い。
「そうか……。やはり、命を賭けねばならぬか。ここでお主等を止めねば、ご主人の計画は必ず邪魔される」
 蛮蔵は、再び覚悟を決めた。
 ハンターを倒す。
 少なくとも、コーリアスの計画を脅かす者は――ここで滅さなければならない。


 燃え盛る森の中、ハンター達は各地に散ってた。
 それは剛分身によって別れた蛮蔵をそれぞれ戦力を分散して倒す作戦であったからだ。
「覚悟は覚悟でも私達にやられる覚悟が決まったんだよなぁ?」
 西空 晴香(ka4087)は莫邪宝剣を片手に蛮蔵へ真っ向勝負を挑んでいた。
 正面から激突する事ですべての中尉を晴香に集中する為だ。
「抜かせ。ここで倒れる訳にはいかん」
 手に描かれる『火』と『暴』の文字。
 しかし、重ねられる瞬間に晴香は莫邪宝剣の突きを放つ。
 危機を察した蛮蔵。手甲で突きを受け流す。
 手に現れた文字は消えてしまった。
「手を重ねて術を発動だろ? そう簡単にはさせねぇぞ」
 炎が迫る中、晴香は手甲に攻撃を集中させていた。
 本来であれば片腕を潰せれば万全なのだが、腕は予想以上に硬い。
 手甲に加えて何か服の下にでも着込んでいるのか。
 そこで晴香は、術の発動を妨害する事を主体としていた。
「強ち無能な戦士ではないか」
「無能はどっちだ? ご主人とやらが嘆くだろうなぁ」
「なに?」
 蛮蔵は眉をつり上げる。
 特にご主人――コーリアスの名が出た瞬間に、蛮蔵は態度を一変させる。
「黙れ。これ以上は……」
「こんな場所で一人ドジる部下を持つご主人は可哀想だな。いや、ご主人も揃ってドジるだろうから、この上司あっての部下か?」
「貴様っ!」
 激昂する蛮蔵。
 石山崩シで周囲の石や土で壁を作り、晴香へ突進。
 晴香も莫邪宝剣を盾に防ごうとしたが、猛烈な突進に後方へ吹き飛ばされてしまう。
「取り消せ。ご主人への侮辱は許さん」
「嫌だね。ドジは本当だろ? 挑発に乗ってわたししか見ないから、またドジるんだよ」
「……!」
 蛮蔵はここでミスを犯した事に気付く。
 晴香の挑発に乗った為、もう一人のハンターの存在を忘れていたのだ。
「森の木々にはゴメンだけど、このままじゃ燃えちゃうしね!
 この際だから、気持ち良くなぎ倒させてもらうよ!」
 夢路 まよい(ka1328)は、グラビティーフォールを放った。
 紫色の光を伴う重力場が生まれ出で、周囲にあった燃える木々を地面から引き抜いていく。
「むっ!」
 蛮蔵の真横を燃え盛る大木が通り過ぎる。
 この時点で蛮蔵はまよいの狙いを察した。
 晴香はあくまでも囮。
 メインはまよいのグラビティーフォールで燃え盛る森の『消火』だ。
 まだ燃え移っていない木々を集めて、圧壊。
 それは炎の広がりを押さえて火事を時間と共に鎮火させていく。
「へへっ、うまくいったね」
 まよいの放ったグラビティーフォールにより、三人の周囲に木々は無くなった。
 単なる平地と化した場所。
 遮るものは、何もない。
「ぬかったか」
「ああ、それも『三回目』だ」
 晴香は立ち上がる。 
 それに今度は傍らには、まよい。
 カウンターマジックの射的に蛮蔵を唱えながら、蛮蔵の様子を窺っている。
「悪いけど、こっからは二人がかりだよ」
「良かろう。ここからは小細工なしだ」
 蛮蔵は、再び手甲を構えた。


 まよいの放ったグラビティーフォールの影響は、他の蛮蔵と対峙するハンターにも影響していた。
「森は消し飛んだ。あとはお前だけだ」
 アーク・フォーサイス(ka6568)は妖刀「村正」の切っ先を蛮蔵へ向ける。
 まよいのグラビティーフォールは森の一部を削り取った。
 だが、完全に火を消す事はできなかった。ほんの少しではあるが燻っている。
 それでも蛮蔵の炎による妨害を挫くには十分である。
「これで残るは蛮蔵君をやっつければいいのかなー?
 あ、私達は分身だろうと本体だろうと速攻で対応するだけだからっ」
 レム・フィバート(ka6552)は聖拳「プロミネント・グリム」を手に走り出した。
 小細工などは一切なし。
 ただ正面から真っ直ぐぶつかるだけだ。
「上等!」
「ぶっ飛ばすっ」
 聖拳と手甲の衝突。
 空気を震わせ衝撃が周囲へと伝わっていく。
「正面からの攻撃は、良し。なれど、無謀なる突撃は猪と同等」
「猪で結構。突撃しても止めてくれる幼馴染みがいるからね」
「次元斬っ」
 レムが放った蹴りに合わせて、アークは気息充溢からの次元斬を放った。
 斬撃が蛮蔵に向かって繰り出され、強烈な一撃が蛮蔵の手甲を弾いた。
「しまった」
「いただきっ!」
 中に跳ね上げられた蛮蔵の腕。
 その腕が守っていた蛮蔵の脇腹。
 この機会を、レムは逃さない。
 縮地移動で一気に間合いを詰め、練気で上昇させた鎧徹しが放たれる。
「ぐふっ」
 強烈なレムの一撃。
 防具を貫く攻撃が、蛮蔵の肋骨を砕いた。
 後方へ飛ばされる蛮蔵。
 だが、これで仕留められた訳ではない。
「おのれ、こうなれば……」
 蛮蔵は震える腕で手甲を重ねる。
 次の瞬間、レムとアークの間に大きな黒い球が現れる。
 黒い球は周囲の空気を吸い込むようにレムとアークの体を引き寄せる。
「なにこれ……?」
「レム!」
 レムを庇うようにアークは抱きついた。
 次の瞬間、強烈な吸引。
 レムとアークは思うように体を動かせない。
「奥義『星合ワセ』。これでお主等にゆっくりトドメをさせる」
 ダメージを負った体を引き摺りながら歩む寄る蛮蔵。
 一方、二人はお互いの体がくっつく形となって歩く事もままならない。
「ちょっと! 変な所触らないでよ」
「そんな事言ったって……」
 暴れても二人の状況は変わらない。
 気付けば、蛮蔵は近くまでやってきていた。
「油断したな。骨も残らぬよう吹き飛ばしてくれる」
「油断したのはどっちかしらね」
 レムの言葉が終わった瞬間、アークの突きが蛮蔵に叩き込まれる。
 胴体を貫く大きな傷。
 誰が見ても致命傷であった。
「な、何故……」
「確かに動けなくなってたけど、攻撃ができない訳じゃない。腕ぐらいは上げられるさ」「抜かったか」
 その場で倒れる蛮蔵。
 骸は一迅の風となって消え失せる。
「本体だと思う?」
「違うな。まだ他のハンターが戦っている音が聞こえる」
 二人は他で戦う仲間を捜し求めて走り出した。


「さっさと倒れてくれない?」
 まよいのアイスボルトが蛮蔵の居た場所に突き刺さる。
 またしても回避されるが、明らかに回避が遅くなっている。
 遮蔽物を失った事はあまりにも大きい。
「ほら、どうした? ご主人とやらが泣いているぜ?」
「! ……またしてもっ!」
 晴香の挑発で石山崩シで岩を盾として纏う蛮蔵。
 先程と同じように吹き飛ばすつもりなのだろうが、今度の晴香は囮じゃない。
「残念、サービス終了ってねっ!」
 蛮蔵の突進をマルチステップで回避する晴香。
 同時に蛮蔵の背後から莫邪宝剣の一撃を叩き込む。
「ぐっ」
「それだけ疲弊した体で攻撃当たると思う訳? 本当にドジなんだから」
 莫邪宝剣を振り下ろす晴香。
 それを察して蛮蔵は再び回避行動。
 その瞬間を晴香は逃さない。
「きたっ!」
「むっ」
 蛮蔵の回避行動に合わせて晴香のワイヤーウィップ「クリドゥノ・アイディン」によるエンタングル。
 蛮蔵の体を縛り付け、行動の自由を縛る。
「ほら、今だぜ!」
「これで終わらせるよ!」
 放たれるアイスボルト。
 しかし、突き刺さった場所は地面ではなく――蛮蔵。
 顔面を貫き、凍り付かせる。
 エンタングルが解けて地面に落ちた瞬間、骸は風となって消えていった。
「こりゃ、分身だな。外れか」
 晴香は骸のあった場所を見下ろした。
 ここも分身という事は、残るは一体。
「火事も気になるけど、まずは蛮蔵を倒さないとね」
「ああ。こうなりゃ、一気に叩くだけだ」
 まよいと晴香も残る蛮蔵を求めて動き出す。
 戦いは――大詰めを迎えようとしていた。


「嬉しいですよ。相対する相手が『本物』だったのですから。
 このまま、死んでくれませんかね?」
 円舞による体捌きからの一撃。
 ハンスの太刀筋は、蛮蔵の手甲によって阻まれる。
「させる訳がなかろう」
「そう答えるでしょうね。ですが……そうさせていただきますわ」
 ハンスとは別の方向からフィルメリアが星剣「アルマス・ノヴァ」を振り下ろす。
 反射的に蛮蔵は残る一方の手甲で受け止める。
 この為、蛮蔵はハンスとフィルメリアの双方の攻撃をそれぞれの腕で受け止めなければならない。いくら蛮蔵が歪虚として力自慢であってもこの状況はかなり厳しい。
「見せて下さい、あなたが斬られて無様に地面へ倒れる姿を」
「血に狂った獣め……!」
 ハンスの言葉に蛮蔵は、そう返すのがやっとだった。
 そうしている間にもフィルメリアの攻撃を支える左腕が悲鳴を上げ始める。
「く、くそっ」
「傷付いた体でこの攻撃は防げるとは思えないわ。
 生きているうちに聞かせて……コーリアスが何をしようとしているのかを。
 次のゲームは……何?」
 フィルメリアは蛮蔵へ迫った。
 蛮蔵はコーリアスの指示を受けて動いていた。つまり、コーリアスは何か新しい『ゲーム』を準備していると見るべきだ。
 フィルメリアはコーリアスの新たなる動きに懸念を抱いていた。
 そして、その言葉にハンスも同調する。
「義理堅い歪虚の主。ゲーム好きの主は……何をさせようとしたのか、とても興味が湧きますね。
 どんなゲームでも、私は……斬り合うだけですがねッ」
 ハンスは更に腕に力を込める。
 一方、蛮蔵は思わず笑みを浮かべる。
「ふっ、ゲームか。確かにそうかもしれぬ。ご主人はハンターを育成するゲームを始めるつもりなのだろう。また奇妙な遊びにご執心だ」
「どういう事?」
 蛮蔵に問いかけるフィルメリア。
 明確な回答が帰ってくるとは思っていない。
 しかし、フィルメリアは聞かずにはおれなかった。
 今の体から止め処ない体液を流し続ける歪虚の、最後の言葉を聞く者として――。
「言葉のままよ。お主らはご主人の用意した舞台で進化の道を歩み出す。大切な物を守ると称して身を投じた戦場で、お主らはご主人を倒して果て無き戦いの道へ歩み出す」
「コーリアスが勝手にハンターの行く道を拓くというの? そんな事はさせない」
「私は何でも構いませんよ。来ればただ……斬るだけですからッ!」
 ハンスは獄門刀を捻った。
 手甲のカーブを使って刃をずらす。
 次の瞬間、三人の距離が空く。三人ぞれぞれに、攻撃機会が生じた。
「おや、私を無視とは……感心しませんね」
 ハンスの日本刀「風花」が右脇腹を捉える。
 派手に噴き出す鮮血。
 しかし、蛮蔵は止まらない。
 フィルメリアへ向かって素早い三連撃が放たれる。
「ここで、貴様を倒す!」
「悪いけど……返すわ」
 二発まではフィルメリアのパリィグローブ「ディスターブ」によって阻まれた蛮蔵の拳。
 だが、三発目は届かなかった。
 拳を回避したフィルメリアは、集束術【蒼氷の王権】の積層型魔法陣で出力を上げられた蒼光剣「ENSIS EXSEQUENS」の一撃を蛮蔵に叩き込んでいた。
 光の剣は高出力となって蛮蔵の体を斬った。
「先日のコーリアスとの『ゲーム』の時。
 貴方に二回は邪魔されて。その時にあげた傷で一回は相殺だけど……後一回分はきっちり返さないとね」
 もう蛮蔵が反応しないのは分かってる。
 だが、言わずにはいられなかった。コーリアスを新たな『ゲーム』を止めるならば、蛮蔵は乗り越えなければならない相手だった。


「無事か?」
 アークとレムが駆け込んでくる。
 目標であった蛮蔵は撃破。しかし、謎が残っているのも事実だ。
「ふーん、ゲームねぇ。また面倒な事になりそうだな」
 晴香はため息をつく。
 これで終わりとは思っていない。また何か仕掛けてくるのは間違いないだろう。
「さ、早く後始末しよ? 森を少しでも助けないと」
 まよいは炎を消す為にハンター達を促す。
 火種は、早くけさなければならない。

 そう、生まれた火種は消さなければ――燻り続ける。

依頼結果

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MVP一覧

  • 夢路に誘う青き魔女
    夢路 まよいka1328
  • 世界より大事なモノ
    フィルメリア・クリスティアka3380

重体一覧

参加者一覧

  • 夢路に誘う青き魔女
    夢路 まよい(ka1328
    人間(蒼)|15才|女性|魔術師
  • 世界より大事なモノ
    フィルメリア・クリスティア(ka3380
    人間(蒼)|25才|女性|機導師
  • 侮辱の盾
    西空 晴香(ka4087
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士
  • キャスケット姐さん
    レム・フィバート(ka6552
    人間(紅)|17才|女性|格闘士
  • 決意は刃と共に
    アーク・フォーサイス(ka6568
    人間(紅)|17才|男性|舞刀士
  • 変わらぬ変わり者
    ハンス・ラインフェルト(ka6750
    人間(蒼)|21才|男性|舞刀士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 教えて!給仕さん!
夢路 まよい(ka1328
人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2017/08/13 06:40:03
アイコン 作戦相談卓
夢路 まよい(ka1328
人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2017/08/15 18:48:07
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/08/14 08:12:26