ヨーソロー!

マスター:タカミー

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~4人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/11/02 22:00
完成日
2017/11/11 01:31

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●暗雲立ち込める
 リゼリオへと向かう木造の帆船、その操舵を任されていた若い水夫が遠くの空に黒い雲が集まりつつあるのを見つけた。
「船長ぉ! 何かこの先荒れそうですよ!」
「あぁ? くそったれ、めんどくせぇな」
「乗客の皆さんにお伝えしてきましょうか?」
「一々言うほどの事でもないと思うがね。まあ、後で文句が出ても面倒か」
 近くにいた男に指示を出して客室へと向かわせる。航海に嵐は付き物、いつもの事だ。多少揺れるだろうが問題はない。
「気にすることたぁねぇ! 全速前進だ!」
「了解です船長!」

●邪悪なる海の戦士
 暗い暗い海の中、ゆらりと蠢く影がひい、ふう、みい。遠くに見える船を見つめている。上半身が人、下半身が魚の幻獣、人魚とは似ても似つかない醜悪な姿をした異形の怪物がそこにいた。
 彼らは久しぶりに御馳走にありつけそうだと歓喜の唸り声を上げている。彼らの傍を船が通過すると、まるで合図であるかのように雷鳴が轟き、波が立ち荒れ狂いだす。
 さあ、食事の時間だ。三叉槍を構え、高く上がった波に乗って襲い掛かる。

●同舟相救う
 バン、と勢いよく客室の扉が開く。息を切らした水夫が途切れ途切れに言葉を告げる。
「み、皆様……お休みのところ……申し訳、ありません」
 嵐の中、慌てた様子で入ってきた水夫の姿に乗客からどよめく声が上がる。何かトラブルがあったに違いない、こんな海の真ん中で問題事など勘弁してくれといった感じだ。
「当船は現在、マーマンの襲撃に遭っています! 乗客の皆様の中にハンターの方はいらっしゃいますでしょうか!」
「おいおい、護衛の一人も雇っていないのかこの船は!」
「ハンターは乗ってないのか? 早く名乗り出てくれよ……」
「どうかお願い致します! 力をお貸しください!」
 正規の依頼ではない。報酬が約束されているわけでもない。しかし、誰かがやらねばならない。乗客のほとんどは戦いとは無縁の一般人だ。
 乗り合わせたのも何かの縁。ハンターよ、目の前の脅威を排除されたし。

リプレイ本文

●エマージェンシーコール
「ハンターの方々ですか? お願いします手を貸してください!」
 深々と頭を下げる男の前には4人の女性が立っていた。この船に偶然乗り合わせたハンターたちである。若々しくもどこか貫禄がある。
 水夫の男が顔を上げると、一名ほど顔を青くしている者に気づいた。クレール・ディンセルフ(ka0586)、協力を申し出たハンターの一人で絶賛船酔い中だ。
「クレールさん、大丈夫ですかぁ?」
「うぅ、ありがとうアシェ-ル(ka2983)さん。えっと2人もハンターなんだよね?」
「ああ、それがしは藍紗(ka4782)と申す」
「ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)、人呼んでニンジャキャプタールンルン☆です!」
「私はクレール・ディンセルフ。仲良く話をしたいし、さっさと終わらせに行こう」
 顔合わせを簡単に済ませた後、アシェールから提案があった。
「外は嵐ですよね? この船は木造ですし、足を滑らせる危険性があるかもしれません」
 そこで、とアシェールが言葉を区切ると桃色の幾何学模様がぱっと現れた。
「ウォーターウォークです。これなら滑る心配もなくなると思ったんですけど……」
「おお! これはかたじけないでござる」
 水上での歩行を可能にするスキルを全員に使用する。足を取られ転倒するといった心配はこれでなくなるだろう。
 4人を遠巻きに見ていた乗客の1人が詰め寄ってきた。悪天候に加えて、船が襲撃に遭い気が気でないのだろう。他の乗客も皆、不安な表情を浮かべている。
「皆さん! 落ち着いてください」
 クレールが大きな声で呼びかける。先程までの青ざめた表情はなく、ハンターとしての風格を持った彼女がいた。
「大丈夫! ちゃちゃっと片付けてきますから!」
 水夫さんの指示に従って待っていてくださいね、と言い残すと彼女たちは急ぎ足で客室を後にした。

●嵐なんて何のその
 甲板に出ると、すぐにその姿を確認することができた。嵐に乗じて襲撃してきた3体のマーマンとまだ無事な水夫達が1対多の構図で押さえつけていた。しかし戦闘慣れしていない人間の力などたかが知れている。一刻も早く加勢しなくてはならない。
 それだけではない。見れば何人かが倒れている。傷を負っているのか蹲っており、重傷であろう者の体からは出血も見えた。
「っ! 船長さんは……あそこ!」
 クレールの視線の先にはこの船の船長がいた。倒れてこそいるものの大きなケガは無さそうだ。
「私は船長を起こして状況報告、重傷者の治療を」
「わたくしはこれ以上怪我人が増えないようにマーマンを抑えます」
「それがしも戦闘に回ろう。そちらの方が得意でござる」
「それなら……カードセット!」
 ルンルンの御霊符によって召喚された3体の式神は、彼女に相応しい忍者装束に身を纏っていた。
「私から離れすぎなければ怪我人を運ぶ人手になりますよ!」
「よし、じゃあ皆よろしく頼むね!」
 各自に分かれ行動を開始する。陽掴飛びを駆使し、瞬時に到着したクレールは船長の容体を確認した。目立った外傷は無さそうだ。
「っつあぁ……クソッタレ、気ぃ失ってたか」
「すみません船長、私はハンターのクレールといいます。起きたてで申し訳ないのですが、重要な役割の方から優先順位を教えてください」
「あぁ? それなら他の水夫より歳食ってるヤツらがそうだ。……すまねぇな、手を貸してくれ」
「困った時はお互い様ですよ」
 クレールが辺りを見渡すとこちらに向かってくる式神とルンルンの姿が見えた。不幸中の幸いか、重傷者は多くは無さそうだ。
「クレールさん! 治療をお願いできますか!」
「分かった! エナジーショットッ!」
 回復エネルギーを注入された水夫の顔色が良くなっていく。傷もそこまで深くはなかったようで出血も止まっている。
 運ばれてきた怪我人の中に一回り程年上に見える水夫がいた。先程、船長の言っていた人だろう。
「怪物たちは藍紗さんとアシェールさんが抑えてます。私たちも加勢しましょう!」
「そうだね。船長さん、敵は私たちに任せて船をお願いします!」
「おう! あいつらさえなんとかしてもらえりゃ、こんな嵐、何の問題もないってもんよ!」
 すぅっと息を吸い込んだ船長の口から雷鳴にも負けぬ轟音が発せられた。
「野郎どもぉ! クソッタレの相手は嬢ちゃんたちが引き受けてくれる! 大したケガなんざしてねえだろうが! 突っ立ってる暇があったら手を動かせ!」

●強制下船のお時間です
「流石は船の長、といったところでござるか」
 眼前の敵を何処にも行かせぬように相手をしていた藍紗の耳に船長の号令が入ってきた。どうやら救助のほうはつつがなく終わったようだ。すぐにでもこちらに合流するだろう。
「アシェール殿! そちらは大丈夫でござるか?」
「わたくしは問題ありませんが、そろそろウォーターウォークの効果が心配かと!」
「ふむ、ならば手早く済ませてしまうでござるか、っと!」
 踏み込んできたマーマンの刺突を太刀でいなしつつ、自身の間合いを保つ。
 3体のマーマンの内、1体はアシェールのスキルによって行動を封じてある。藍紗とアシェールは互いの位置を時には変えつつ、マーマンたちをこの場に縫い止めていた。効果こそ長くはないがアシェールのスキル、ジャッジメントを適宜1体に使うことで3対2の構図を実現させていた。
「中々の槍捌きでござるが……っ!」
 対面していたマーマンが三叉槍を投擲する。咄嗟に太刀で振り払うが、その隙を突くように距離を詰めてくる。
 剥きだしの牙をちらつかせながら鋭く伸びた爪を藍紗へと伸ばす。まともに受けてしまえば絶命もあり得る攻撃だが、それを前にした藍紗の表情には余裕が感じられる。
「いいタイミングでござるが……それがしの剣術は二刀でもいけるのでござるよ」
 開いていた手に小太刀を握り、伸ばしてきたマーマンの腕を上へと弾く。立場が逆転し無防備になったマーマンの胴にそのまま小太刀を突き刺す。堪らず、よろめきながら後退するマーマン。しかしそれはせっかく詰めた間合いを開けるという事に他ならない。
「――電光石火」
 一瞬、マーマンには視界から藍紗が消えたようにも感じた。回避がかなうはずもなく、藍紗の一刀に沈む。
「ふぅ……。アシェール殿の方は……」
 見ると、どうやら決着までにそう時間はかからないようである。三叉槍はへし折られ、肉弾戦においてもアシェールに分があった。
「雨も風も凄いし、寒い……引き籠りを引っ張り出した代償です!」
 顎、鳩尾を的確に叩きつつ、相手に反撃の機会を与えない猛攻にマーマンの限界が近づいてくる。
「これでっ! おしまいですっ!」
 ダメ押しの一撃を与えられマーマンは沈黙した。これで残るは1体。
 ジャッジメントの拘束から解放されたマーマンが一直線にアシェールへと迫る。しかしアシェールはよけようとしない。
「甘い! トラップカードオープンです!」
 マーマンの足元が突如、泥状に固まる。ルンルンの地縛符の結界に足を踏み入れてしまったマーマンは身動きをとることができない。
「浸透爆殺」
 雨風に紛れ、マーマンの体内に侵入したクレールの銀霊剣がクレールの言葉と共に巨大化する。内側から切り裂かれたマーマンはあっけなく絶命した。
「お疲れ様です。それとお2人とも、ありがとうございます」
「どういたしまして。アシェールさんと藍紗さんもお疲れ様」
「救助も無事完了です!」
「これでわたくしたちの仕事は終わりですか?」
「その様でござるな。船内に戻って皆に伝えるとするでござるよ」
「おーい! あんたら、申し訳ねえが手が足りねえ! もう少し力貸してくれ!」
 せわしなく指示を出していた船長がこちらの様子に気づいたのか声をかけてきた。
「今のままじゃ礼もできやしねえ。たのむ!」
「乗りかかったというより乗ってしまった船にござる これも何かの縁にござるよ」
「ニンジャの神ももう少し呼びましょう。正義のニンジャとして人助けは当然です!」
 4人のハンターに助力によって目下の危機は去った。嵐の出口はもうすぐだ。


●航海日和の潮風
 海鳥の呑気な鳴き声が聞こえる。
 嵐などなかったかのように波は穏やかになっている。目的地までもう間もなくだ。
「いやぁ、ほんと助かったぜ!」
 あの後、水夫への手助けや傷の治療などせわしなく動いていたが、それも終わり4人は客室にて休息をとっていた。
 休憩をとっていると船長がやってきた。遅くなったがお礼の言葉を言いに来た、とのことだ。
「悪いな、今何も渡してやれなくて。港につけば謝礼は必ずするからよ」
「気にしないでください」
「わたくしもあのままではゆっくりできそうにありませんでしたから」
「あの時も申したが、乗り合わせた縁でござるよ」
「正義のニンジャ兼プロカードゲーマーにとっては当たり前のことです!」
 4人の言葉に船長は心から感謝し笑顔を見せた。
「本当にありがとうよ。到着まで船旅を楽しんでくれ」
 何かあればすぐ呼んでくれ、と言葉を残した船長は甲板へと戻っていった。
「わたくし以外にもクレールさんやお二方が乗船していて本当によかったです」
「本当だね。改めてありがとう」
「こちらこそ! 皆さんがいたからこそのこの結果ですよ!」
「ルンルン殿の言う通りでござるな。またどこかであったらよろしく頼むでござるよ」
 偶然乗り合わせた4人のハンター。共に窮地を救った彼女たちを乗せ、船はゆっくりと進む。
 真っすぐ、真っすぐに。

依頼結果

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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 明日も元気に!
    クレール・ディンセルフ(ka0586
    人間(紅)|23才|女性|機導師
  • 東方帝の正室
    アシェ-ル(ka2983
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • 能力者
    藍紗(ka4782
    人間(蒼)|20才|女性|舞刀士
  • 忍軍創設者
    ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784
    人間(蒼)|17才|女性|符術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 船を救おう相談卓!
クレール・ディンセルフ(ka0586
人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2017/11/02 00:18:48
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/10/30 12:53:18