●暗雲立ち込める
　リゼリオへと向かう木造の帆船、その操舵を任されていた若い水夫が遠くの空に黒い雲が集まりつつあるのを見つけた。
「船長ぉ！　何かこの先荒れそうですよ!」
「あぁ？　くそったれ、めんどくせぇな」
「乗客の皆さんにお伝えしてきましょうか？」
「一々言うほどの事でもないと思うがね。まあ、後で文句が出ても面倒か」
　近くにいた男に指示を出して客室へと向かわせる。航海に嵐は付き物、いつもの事だ。多少揺れるだろうが問題はない。
「気にすることたぁねぇ！　全速前進だ！」
「了解です船長！」

●邪悪なる海の戦士
　暗い暗い海の中、ゆらりと蠢く影がひい、ふう、みい。遠くに見える船を見つめている。上半身が人、下半身が魚の幻獣、人魚とは似ても似つかない醜悪な姿をした異形の怪物がそこにいた。
　彼らは久しぶりに御馳走にありつけそうだと歓喜の唸り声を上げている。彼らの傍を船が通過すると、まるで合図であるかのように雷鳴が轟き、波が立ち荒れ狂いだす。
　さあ、食事の時間だ。三叉槍を構え、高く上がった波に乗って襲い掛かる。

●同舟相救う
　バン、と勢いよく客室の扉が開く。息を切らした水夫が途切れ途切れに言葉を告げる。
「み、皆様……お休みのところ……申し訳、ありません」
　嵐の中、慌てた様子で入ってきた水夫の姿に乗客からどよめく声が上がる。何かトラブルがあったに違いない、こんな海の真ん中で問題事など勘弁してくれといった感じだ。
「当船は現在、マーマンの襲撃に遭っています！　乗客の皆様の中にハンターの方はいらっしゃいますでしょうか！」
「おいおい、護衛の一人も雇っていないのかこの船は！」
「ハンターは乗ってないのか？　早く名乗り出てくれよ……」
「どうかお願い致します！　力をお貸しください！」
　正規の依頼ではない。報酬が約束されているわけでもない。しかし、誰かがやらねばならない。乗客のほとんどは戦いとは無縁の一般人だ。
　乗り合わせたのも何かの縁。ハンターよ、目の前の脅威を排除されたし。

●帆船
　ガレオン船に分類される木造の帆船。現在嵐に見舞われており。戦場となるであろう甲板は雨に濡れて、非常に滑りやすくなっている。また波が高く、強風であるため海に投げ出されないように注意が必要である。
　マーマンの対処が最優先であるが、マストや帆、舵にも気を配る必要がある。
　戦場となる甲板はバスケットボールコートより少し狭い程度の広さであり、前方後方に階段を使って上がるデッキがある。デッキや階段を含め大凡25×6スクエア。嵐が来る前に船内に荷物を運んでいるのでこれといった障害物はない。

●水夫
　船長を含めた意識のない者が十数名程倒れており、船内へと運ばなければ海に投げ出されてしまう。船長は気を失っているだけであるので、意識が戻れば舵取りを含め船の事は任せられる。
　現在複数人でマーマンの相手をしつつ、残りの人員で船を動かしているが長くは続かない。戦闘を交代すれば怪我人の救助などを頼める。

●マーマン
　半魚人の怪物。波に乗って船に襲撃した。数は3匹でそれぞれ三叉槍を手にしている。基本的に槍を使った攻撃をしてくるが、間合いの内側まで敵に接近された際には、歯や爪で攻撃してくる。特に歯は鮫のように鋭く尖っており、噛まれれば人間の肉程度、簡単に食いちぎられてしまう。

●天候
　大嵐で波も荒い。火薬等は役に立たない。

　初めまして、タカミーと申します。この度マスターとして活動させていただけることとなりました。初のOPという事で至らぬ箇所があるかと思いますが、皆様に楽しんでいただけたらと思います。
　今回は嵐の中、船上での戦闘になります。敵はそう強いものではないと思いますが、何分悪天候でありますので、足元には十分ご注意くださいますようお願い致します。
　それと電気系の攻撃はおやめになった方がよろしいかと……。