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(ka0000)
【蒼祭】クリムゾンウェスト連合軍 総司令官選挙
ハンターのみなさん、総司令官選挙への投票、ありがとうございました。
開票結果を発表致します。
はたして、最多得票によって連合軍総司令官に選ばれたのは……っ?
ミリア・クロスフィールド(kz0012)
更新情報(9月30日更新)
【蒼祭】ストーリーノベル(9月30日更新)
●総司令官ナディア
『――それでは発表致します! 栄えあるクリムゾンウェスト連合軍初代総司令官に選ばれたのは……!』
ドラムロールの音と共に暗転した特設ステージに、ミリア・クロスフィールド(kz0012)の声が響く。
拡声器ごしの発表に固唾を呑むハンター達の正面、ステージ上で照明が交わる。
『ハンターズソサエティ総長! ナディア・ドラゴネッティ様です!』
歓喜と落胆の声が一斉に湧き上がる中、暗幕から姿を見せたナディアが壇上に立つ。
眩い光に照らされながらマイクスタンドに手を伸ばすと、ナディアはふっと自嘲染みた笑みを浮かべた。
「まったく……“ハメられた”のう」
「――この選挙だが、総司令官に選ばれるのは恐らくお二方のどちらかとなるだろう」
少しばかり時を巻き戻したハンターズオフィスの会議室。
そこで総司令官選挙の構想を語ったヴィルヘルミナ・ウランゲル(kz0021)は、その舌の根も乾かぬうちにそうのたまった。
「……なんだ、随分と弱気じゃねぇか」
「総司令官は中立の立場になると言った筈だ。この世界の民衆ならばともかく、自らの志を正しく抱くハンター達がいずれかの国に特権を譲るとは考え難い」
「だったらなんでこんな選挙をやる?」
「それはダニエル殿ならばご理解頂けるのではないか?」
ダニエル・ラーゲンベック(kz0024)は険しい表情で顎鬚をいじる。
「大切なのは、王ではなく“民”が選ぶという行為そのものだ。“世界の行く末を人任せにしない”という考え方の流布、それがきっとクリムゾンウェストを救う」
それは異世界人のダニエルだからこそ、はっきりとした根拠を元に共感できる未来であった。
リアルブルー人からすれば、この異世界の考え方はひどく“遅れて”いる。
巨大な権力を一極集中させ、それら王が特別な存在として人々を導く。それがこの世界の一般的な構造だ。
そこに国ごとの多少の違いはあれど、基本的にはどこも大して変わらないと言える。
「――なぜならば。この世界の人間は、基礎的な教育が常に不十分であり、その日一日の生活以外は考えられないような知識の貧しい民に溢れかえっているからだ」
まっとうな役職につけるのは貴族を始めとした特権階級だけ。なぜならば、彼等だけがまともな教育を受ける事ができるから。
中央と地方の格差が進むのも当然の事。地方にきちんとした教育機関はないし、彼等は毎日自分の仕事と生活の事しか考えられない。
そんな知識的に乏しい者達が、知識を持つ者に管理され、統率されているのが今の世界の本質だ。
「まるで羊だ。そう思わないか?」
「なかなか過激な事を言う奴じゃのう。だから、自分の国は力で治めると? 独裁を正当化するつもりか?」
「羊には羊飼いが必要だ。狼から守らねばならない。私は夢想家ではあるが現実論を語っているつもりだよ、ナディア総長。私は冗談ではなく、民主主義社会を実現させる。だが、それにはまだ早い。物事には順序というものがある」
突然、知識に乏しい者達に“権利”を与えても、それを奪ったり利用しようとする者が必ず現れるだろう。それではこれまでと何も変わらない。
だからこそ知識と権利には、それがどんな力を持ち、その力を守る為にはどうすればよいのか、という“教育”が不可欠なのだ。
「あんたのご高説は良くわかった。つまり、連合軍には中立の立場で、未来のモデルケースになれという事だな?」
「善意により選ばれた権力者を、選出した有権者が支える。そういった未来的な組織構造が、諸君とハンター達ならばできるはずだ」
ダニエルの言葉に頷き、ヴィルヘルミナは別の書類を取り出す。
「勿論、連合軍司令官の華々しいデビュー戦は既に計画してある。北伐……夢幻城攻略戦だ。これはその詳細と、先行して出発する我々のスケジュール。それからサルヴァトーレ・ロッソ改良修復の見積もりだが……」
「ま、待て待て待て! おぬしマジか!? どこまで考えておるのじゃ!?」
「選挙は全力でやるよ。誰が勝つかはやってみなければわからんからな。ハンター達に失礼はない筈だ」
「あるわ! というかおぬしこれは……その?……!」
額に手を当て思案すると、ナディアは諦めたように頬杖をついた。
「……中立勢力の内、ソサエティと地球軍には強いつながりがある。移民を降ろすという部分でな。そういう意味で、どっちが勝っても互いを尊重する。知らんぷりはできんじゃろうな……」
「西方諸国からすれば、俺達のどちらかが勝利するのならば、それはどちらでも良いというわけか」
ダニエルが総司令官になった場合。総司令官なのだから、サルヴァトーレ・ロッソを動かさないという選択肢はなくなる。
善意により選出された総司令官が我が身可愛さで艦を動かしませんなどという道理が通るわけがない。
ナディアが総司令官になった場合、やはり総司令官なのだから、ナディアがこれまで通りに隠居しているというのは不可能だ。
そしてこれは実はどちらが総司令官になっても変わらない。ナディアとダニエルは、ハンターと移民によって深く繋がっているのだから。
どちらにせよソサエティか地球軍の代表、どちらかが勝てば、この両方の中立戦力を連合軍の中枢として引っ張り出せるのだ。
「……してヴィルヘルミナ。おぬし、なぜそれをこのタイミングで話した? 今なら立候補の取り消しもかなうタイミングじゃが?」
「だからこそだ。私なりの誠意と考えて頂きたい」
「バカ言え……お前さんは悪魔か」
ダニエルの言葉にからからと笑い、それから女は優しく微笑む。
「信じているだけさ……彼等をね。まあ、安心し給え。私が総司令官になった時のプランも、ちゃあんと別に用意してあるからね――」
「あ?あ?、テステス、マイクのテスト中……。え?、いろはにほへとちりぬるわ……おけおけ」
軽くマイクを数度叩き、深呼吸。ナディアは肩を竦め。
「わらわがハンターズソサエティ代表! みんなの総長、ナディア・ドラゴネッティじゃー! 応援ありがとーッ!!」
マイクを片手に飛び跳ねるとわっと歓声があがる。
こうなってしまった以上はもうどーしよーもない。これまでのように舞台裏に引っ込んだ隠居生活とはオサラバするしかない。
「各国代表諸君は実に良く健闘した! 痛みに耐えて……よく頑張った! 感動したぞ! しかし諸君らには一点のみこのナディアに及ばぬ所があった……。それはっ! 外見的な美しさとほとばしるカリスマであーるっ!!」
どっと笑い声が起こる中、ナディアは咳払いを一つ。スタンドにマイクを戻し。
「……さて、何はともあれこうして総司令官の席に収まったからには、これまで以上に諸君らハンターを支えていく所存じゃ。事前に話をしたように、わらわからおぬしらに強制するような事は何もない。わらわは諸君らの自由を許容する! これまで以上に自由に考え、自由に行動せよ! その翼は誰のものでもなく、諸君らが羽ばたかせてこそ相応しい!」
この結果は。つまるところ、ハンター達が“中立”を優先したという事だ。
ポっと出のナディアやダニエルに票が集中したという事は、バランサーとしての役割を期待されての事。
“適任”だ。冗談やネタの類ではなく、ナディアは自らを冷静に評価する。
介入する事はともかくとして、見守る事に関してはこのクリムゾンウェスト世界を端から端まで眺めても、自分以上の“ヒト”はいない。
「それでは早速、連合軍としての初の軍事作戦について諸君らに説明しよう」
リアルブルーの技術で作られた大型のモニターに地図が表示され、ナディアはマイクを片手に歩いて行く。
「諸君らの中には既に知っておる者もおるじゃろう。現在、帝国軍主導で行われている北狄侵攻戦、北伐。連合軍はこの支援を行う。ついては此度連合軍への参加を表明してくれた地球軍より、サルヴァトーレ・ロッソを組み入れた作戦を考案中じゃ!」
歓声がどよめきに変わるのも無理はなかった。
サルヴァトーレ・ロッソ。大転移以来ずっと沈黙を守り続けてきた艦が、いよいよ動くというのだ。
そしてそれはつまり、今まだ退艦を渋っている者達が、これから船から引きずり降ろされる可能性を示唆していた。
「既に北伐戦は開始されておる! 我らは来る夢幻城決戦に備え、サルヴァトーレ・ロッソという艦を飛ばし、辺境へ援軍を送り込む必要がある! そして、まだ組織されたばかり我々は連合軍とは名ばかりで足並みも揃っていない。故に戦力として重宝されるのは、やはり諸君らハンターである!」
握り拳でそう叫び、それからナディアはニンマリと笑い。
「それじゃこれまでとかわんねーじゃんと思ったじゃろ? しかし、誰かが始めねばならないのだ。未来を導いてくれ、勇敢なるヒトの守護者達よ。サルヴァトーレ・ロッソという希望の艦と共に、諸君らが光を照らせ!!」
高々と振り上げた右腕を鋭く下ろし、外見からは想像もつかないほど凛々しくナディアは宣言する。
「――辺境へ向かい、各国混成北伐部隊を援護する! 手の空いている者はサルヴァトーレ・ロッソの出立を支援! 辺境へ向かい、北伐作戦へ参加せよ!」
思っていたよりちゃんとした(?)演説に思わず拍手するミリア。そこへ歩いてきたナディアがマイクを投げ渡す。
「お疲れ様でした、総長。総長って……総長だったんですねっ」
「なんじゃそれは……はあ?。しっかし、ハメられた感がの?」
「えっ?」
「なんでもな?い。これは我らの予定とちぃっと違っておるのう。さぁて……どう転ぶものかのう?」
苦笑を浮かべ動き出したハンター達を眺めるナディア。
どちらにせよ、やるべきことは何も変わらない。
観客席が少しだけ近くなった。ただそれだけと笑みを作り、少女は暗幕の向こうへ姿を消した。
ミリア・クロスフィールド
ナディア・ドラゴネッティ
ヴィルヘルミナ・ウランゲル
ダニエル・ラーゲンベック
ドラムロールの音と共に暗転した特設ステージに、ミリア・クロスフィールド(kz0012)の声が響く。
拡声器ごしの発表に固唾を呑むハンター達の正面、ステージ上で照明が交わる。
『ハンターズソサエティ総長! ナディア・ドラゴネッティ様です!』
歓喜と落胆の声が一斉に湧き上がる中、暗幕から姿を見せたナディアが壇上に立つ。
眩い光に照らされながらマイクスタンドに手を伸ばすと、ナディアはふっと自嘲染みた笑みを浮かべた。
「まったく……“ハメられた”のう」
「――この選挙だが、総司令官に選ばれるのは恐らくお二方のどちらかとなるだろう」
少しばかり時を巻き戻したハンターズオフィスの会議室。
そこで総司令官選挙の構想を語ったヴィルヘルミナ・ウランゲル(kz0021)は、その舌の根も乾かぬうちにそうのたまった。
「……なんだ、随分と弱気じゃねぇか」
「総司令官は中立の立場になると言った筈だ。この世界の民衆ならばともかく、自らの志を正しく抱くハンター達がいずれかの国に特権を譲るとは考え難い」
「だったらなんでこんな選挙をやる?」
「それはダニエル殿ならばご理解頂けるのではないか?」
ダニエル・ラーゲンベック(kz0024)は険しい表情で顎鬚をいじる。
「大切なのは、王ではなく“民”が選ぶという行為そのものだ。“世界の行く末を人任せにしない”という考え方の流布、それがきっとクリムゾンウェストを救う」
それは異世界人のダニエルだからこそ、はっきりとした根拠を元に共感できる未来であった。
リアルブルー人からすれば、この異世界の考え方はひどく“遅れて”いる。
巨大な権力を一極集中させ、それら王が特別な存在として人々を導く。それがこの世界の一般的な構造だ。
そこに国ごとの多少の違いはあれど、基本的にはどこも大して変わらないと言える。
「――なぜならば。この世界の人間は、基礎的な教育が常に不十分であり、その日一日の生活以外は考えられないような知識の貧しい民に溢れかえっているからだ」
まっとうな役職につけるのは貴族を始めとした特権階級だけ。なぜならば、彼等だけがまともな教育を受ける事ができるから。
中央と地方の格差が進むのも当然の事。地方にきちんとした教育機関はないし、彼等は毎日自分の仕事と生活の事しか考えられない。
そんな知識的に乏しい者達が、知識を持つ者に管理され、統率されているのが今の世界の本質だ。
「まるで羊だ。そう思わないか?」
「なかなか過激な事を言う奴じゃのう。だから、自分の国は力で治めると? 独裁を正当化するつもりか?」
「羊には羊飼いが必要だ。狼から守らねばならない。私は夢想家ではあるが現実論を語っているつもりだよ、ナディア総長。私は冗談ではなく、民主主義社会を実現させる。だが、それにはまだ早い。物事には順序というものがある」
突然、知識に乏しい者達に“権利”を与えても、それを奪ったり利用しようとする者が必ず現れるだろう。それではこれまでと何も変わらない。
だからこそ知識と権利には、それがどんな力を持ち、その力を守る為にはどうすればよいのか、という“教育”が不可欠なのだ。
「あんたのご高説は良くわかった。つまり、連合軍には中立の立場で、未来のモデルケースになれという事だな?」
「善意により選ばれた権力者を、選出した有権者が支える。そういった未来的な組織構造が、諸君とハンター達ならばできるはずだ」
ダニエルの言葉に頷き、ヴィルヘルミナは別の書類を取り出す。
「勿論、連合軍司令官の華々しいデビュー戦は既に計画してある。北伐……夢幻城攻略戦だ。これはその詳細と、先行して出発する我々のスケジュール。それからサルヴァトーレ・ロッソ改良修復の見積もりだが……」
「ま、待て待て待て! おぬしマジか!? どこまで考えておるのじゃ!?」
「選挙は全力でやるよ。誰が勝つかはやってみなければわからんからな。ハンター達に失礼はない筈だ」
「あるわ! というかおぬしこれは……その?……!」
額に手を当て思案すると、ナディアは諦めたように頬杖をついた。
「……中立勢力の内、ソサエティと地球軍には強いつながりがある。移民を降ろすという部分でな。そういう意味で、どっちが勝っても互いを尊重する。知らんぷりはできんじゃろうな……」
「西方諸国からすれば、俺達のどちらかが勝利するのならば、それはどちらでも良いというわけか」
ダニエルが総司令官になった場合。総司令官なのだから、サルヴァトーレ・ロッソを動かさないという選択肢はなくなる。
善意により選出された総司令官が我が身可愛さで艦を動かしませんなどという道理が通るわけがない。
ナディアが総司令官になった場合、やはり総司令官なのだから、ナディアがこれまで通りに隠居しているというのは不可能だ。
そしてこれは実はどちらが総司令官になっても変わらない。ナディアとダニエルは、ハンターと移民によって深く繋がっているのだから。
どちらにせよソサエティか地球軍の代表、どちらかが勝てば、この両方の中立戦力を連合軍の中枢として引っ張り出せるのだ。
「……してヴィルヘルミナ。おぬし、なぜそれをこのタイミングで話した? 今なら立候補の取り消しもかなうタイミングじゃが?」
「だからこそだ。私なりの誠意と考えて頂きたい」
「バカ言え……お前さんは悪魔か」
ダニエルの言葉にからからと笑い、それから女は優しく微笑む。
「信じているだけさ……彼等をね。まあ、安心し給え。私が総司令官になった時のプランも、ちゃあんと別に用意してあるからね――」
「あ?あ?、テステス、マイクのテスト中……。え?、いろはにほへとちりぬるわ……おけおけ」
軽くマイクを数度叩き、深呼吸。ナディアは肩を竦め。
「わらわがハンターズソサエティ代表! みんなの総長、ナディア・ドラゴネッティじゃー! 応援ありがとーッ!!」
マイクを片手に飛び跳ねるとわっと歓声があがる。
こうなってしまった以上はもうどーしよーもない。これまでのように舞台裏に引っ込んだ隠居生活とはオサラバするしかない。
「各国代表諸君は実に良く健闘した! 痛みに耐えて……よく頑張った! 感動したぞ! しかし諸君らには一点のみこのナディアに及ばぬ所があった……。それはっ! 外見的な美しさとほとばしるカリスマであーるっ!!」
どっと笑い声が起こる中、ナディアは咳払いを一つ。スタンドにマイクを戻し。
「……さて、何はともあれこうして総司令官の席に収まったからには、これまで以上に諸君らハンターを支えていく所存じゃ。事前に話をしたように、わらわからおぬしらに強制するような事は何もない。わらわは諸君らの自由を許容する! これまで以上に自由に考え、自由に行動せよ! その翼は誰のものでもなく、諸君らが羽ばたかせてこそ相応しい!」
この結果は。つまるところ、ハンター達が“中立”を優先したという事だ。
ポっと出のナディアやダニエルに票が集中したという事は、バランサーとしての役割を期待されての事。
“適任”だ。冗談やネタの類ではなく、ナディアは自らを冷静に評価する。
介入する事はともかくとして、見守る事に関してはこのクリムゾンウェスト世界を端から端まで眺めても、自分以上の“ヒト”はいない。
「それでは早速、連合軍としての初の軍事作戦について諸君らに説明しよう」
リアルブルーの技術で作られた大型のモニターに地図が表示され、ナディアはマイクを片手に歩いて行く。
「諸君らの中には既に知っておる者もおるじゃろう。現在、帝国軍主導で行われている北狄侵攻戦、北伐。連合軍はこの支援を行う。ついては此度連合軍への参加を表明してくれた地球軍より、サルヴァトーレ・ロッソを組み入れた作戦を考案中じゃ!」
歓声がどよめきに変わるのも無理はなかった。
サルヴァトーレ・ロッソ。大転移以来ずっと沈黙を守り続けてきた艦が、いよいよ動くというのだ。
そしてそれはつまり、今まだ退艦を渋っている者達が、これから船から引きずり降ろされる可能性を示唆していた。
「既に北伐戦は開始されておる! 我らは来る夢幻城決戦に備え、サルヴァトーレ・ロッソという艦を飛ばし、辺境へ援軍を送り込む必要がある! そして、まだ組織されたばかり我々は連合軍とは名ばかりで足並みも揃っていない。故に戦力として重宝されるのは、やはり諸君らハンターである!」
握り拳でそう叫び、それからナディアはニンマリと笑い。
「それじゃこれまでとかわんねーじゃんと思ったじゃろ? しかし、誰かが始めねばならないのだ。未来を導いてくれ、勇敢なるヒトの守護者達よ。サルヴァトーレ・ロッソという希望の艦と共に、諸君らが光を照らせ!!」
高々と振り上げた右腕を鋭く下ろし、外見からは想像もつかないほど凛々しくナディアは宣言する。
「――辺境へ向かい、各国混成北伐部隊を援護する! 手の空いている者はサルヴァトーレ・ロッソの出立を支援! 辺境へ向かい、北伐作戦へ参加せよ!」
思っていたよりちゃんとした(?)演説に思わず拍手するミリア。そこへ歩いてきたナディアがマイクを投げ渡す。
「お疲れ様でした、総長。総長って……総長だったんですねっ」
「なんじゃそれは……はあ?。しっかし、ハメられた感がの?」
「えっ?」
「なんでもな?い。これは我らの予定とちぃっと違っておるのう。さぁて……どう転ぶものかのう?」
苦笑を浮かべ動き出したハンター達を眺めるナディア。
どちらにせよ、やるべきことは何も変わらない。
観客席が少しだけ近くなった。ただそれだけと笑みを作り、少女は暗幕の向こうへ姿を消した。
(執筆:神宮寺飛鳥)
(文責:フロンティアワークス)
(文責:フロンティアワークス)
関連NPC
ナディア・ドラゴネッティ | |
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長らく姿を見せていなかったが、連合軍総司令官選挙を前に突然表舞台に現れた、ハンターズソサエティ総長を名乗る少女。 ハンター達にとっては上官にあたるのだが、彼女自身が命令を下すことはない。その理由は、「そもそも総長とハンターの関係は命令を必要とする物ではない」という自身の考えによるものらしい。 |
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イラスト:囚 |
ミリア・クロスフィールド(kz0012) | |
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いつも元気なハンターズソサエティ本部ハンターオフィスの受付嬢。歪虚と勇敢に戦うハンターたちに憧れたという理由だけで、故郷から身一つでリゼリオにやってくるなど行動力に富む。 かつてはハンターを志したが覚醒者としての資質には恵まれず、断念。共に戦うことが出来ないならと、後方からでもハンターの助けになりたいと考え、ハンターオフィスの受付嬢となった。 |
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イラスト:ゆらり |
ダニエル・ラーゲンベック(kz0024)/div> | |
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地球統一連合宙軍所属の大佐。見た目に似合わぬ細やかな采配をし、集中的な運用で戦況を打開する事に定評がある。その功績を買われ、反攻作戦のための新造艦サルヴァトーレ・ロッソの艦長に着任。 ヴァイキングの末裔であり、生粋の海の男。好みの葉巻がクリムゾンウェストに存在しないことであり、目下節煙中。 |
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イラスト:大吟醸 |
ヴィルヘルミナ・ウランゲル(kz0021) | |
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ゾンネンシュトラール帝国皇帝。失踪した先代皇帝である父の跡を引き継ぎ改革を推し進める。武力による支配を以て歪虚を打破し、世界を救済しようというその独裁を支えるのは、ひとえに彼女のカリスマである。 | |
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イラスト:綾部史子 |