【剣機】これまでの経緯

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剣機リンドヴルムですか。
トウルスト型の出現から一年……そろそろだと思っていましたよ。
帝国領内各地にゾンビをばら撒くリンヴルムと皇帝選挙……。
陛下、あなたは本当に人が悪い。そして……とても面白い方だ。
敵も知りたがっている事でしょう。ハンター達の力を。
そして民衆も知りたがっている。誰なら帝国を守れるのかを。
ウッフフ! さあ、答え合わせの時間ですよ?

ナサニエル・カロッサ(kz0028

 
 

9/15のオープニング

 ――“四霊剣”。それは帝国軍によって定められた特に脅威度の高い四体の暴食の歪虚を指し示す言葉だ。
 不破の剣豪、不変の剣妃、不滅の剣魔、そして不壊の剣機。
 これらはそれぞれ別系統の暴食の頂点に君臨する存在であるとされ、これまで幾度となく激しい戦いが繰り広げられてきた。
「イルリヒト機関より報告がありました。間違いありませんねぇ……新型の剣機です」
 帝都バルトアンデルスに聳え建つ研究機関、ワルプルギス錬魔院。その院長であるナサニエル・カロッサ(kz0028)の報告にヴィルヘルミナ・ウランゲル(kz0021)は「そうか」とだけ短く答えた。
 城内がざわついているのは剣機の出現報告を受けたからではなく、今正に皇帝選挙の集計作業が行われているからだ。
 先日から行われていた新皇帝を選出するという選挙は未だ完結を見ていない。この調子では開票結果の報告にも遅れが生じるだろう。
「よりにもよってこのタイミングで新型だと……って、なんだァおい? なんでおまえらそんな冷静なんだ?」
 怪訝な表情で皇帝と院長を交互に見やるオズワルド(kz0027)。それもその筈この二人、全く動じていない。
「おまえが急に選挙をやるなんて言い出すからこんな事になるんだ。どうすンだよ、彼方此方で混乱が起こるぞ……って、何笑ってやがる?」
「いや、失礼。しかしですねオズワルドさん、陛下はこうなる事を予見していたのだと思いますよ」
 口元に手をやり笑うナサニエル。オズワルドは険しい表情でヴィルヘルミナへ詰め寄った。
「おい、そいつはどういう事だ?」
「陛下は数か月前から準備を進めていました。マテリアル観測装置……あなたもご存じですよね?」
 ナサニエルは帝国領内各地にマテリアルの反応を感知する装置の設置を進めてきた。この観測装置はとても高性能とは言えず、大きな力にしか反応出来ず精度も甘い試作品だが、四霊剣ほど強力な反応を見落とす事はない。
「観測装置が不穏な反応を察知したのが一か月ほど前の事です。その事は陛下にしか報告していませんけどぉ」
「一か月前だと……おい、まさか!?」
「皇帝選挙、でしたっけ? こうなる事も込みで仕組んだのでしょう、陛下?」
 白衣に両手を突っ込んだまま笑うナサニエル。オズワルドは益々眉間に皺を寄せ皇帝の執務机を叩いた。
「どの師団都市も選挙の対応に追われている! 剣機の迎撃態勢を整えるのにも時間がかかる! ただでさえ選挙で混乱している民衆に剣機出現が知れたらどうなる!?」
「――現時点を以て新型の剣機をリンドヴルム型と呼称する。各師団都市に通達、迎撃態勢を取れ」
「おまえな!」
「民衆の保護と避難誘導を最優先」
「俺達の事を!」
「イルリヒト機関の目撃情報と被害報告を上げ」
「何だと思って……!」
「APVに協力を要請。タングラムに状況を説明しろ」
 悠々と指示を出すヴィルヘルミナ。全く悪びれもしないので結局オズワルドが折れ、顔を真っ赤にしながら執務室を早足で飛び出して行った。
「ホントかわいそうですよねぇ、あの人。陛下は悪いお人です……まあ、私は陛下に投票しましたけどね」
「ほう? それは意外だな」
「陛下が私を殴った事も研究を止めた事も恨んでますけどね。この国を“操れる”のはあなたしかいないと思っていますよ。あなたは天才ですからねぇ」
 笑いながら机に身を乗り出し、ヴィルヘルミナへ顔を寄せる。
「……そう、あなたは私と同じ側の人間です。だからこう見えても結構期待してるんですよ……“同類”としてね」
 すっと身を引くと同時に大げさな挙動でくるりと踵を返す。そうして笑いながら退室するナサニエルをヴィルヘルミナは無表情に見送っていた。


「出現が確認されたリンドヴルム型は竜のゾンビをベースに強化が施された剣機です。高い戦闘力は勿論ですが、奴はコンテナにゾンビを詰めて帝国領内各地に投下。無差別“爆撃”を行っています」
 リゼリオにある帝国ユニオンAPVではタングラム(kz0016)が大勢のハンター達を前に説明を行っていた。
「剣機本体は遭遇戦以降、その姿を目撃されていません。よって現在地は不明。まずはコンテナを処理しつつ剣機本体の位置を特定する必要があります。都市防衛は主に師団が対応するですから、皆はオフェンスとして各地で転戦してもらう事になると思うですよ」
 しかしタングラムは迷っていた。きっとこれはどこかの誰かが仕組んだ流れの一部に過ぎないのだろう。
「リンドヴルムはこれまでのゾンビとは比べ物にならない程の力を持っていると予想されます。あのラッツィオ島の戦いを乗り越えた皆なら、きっと勝てると信じているですが……」
 その奔流に惑わされ、彼らを戦地に送り込む事が正しいのかはわからない。それでも今は闘うしかない。
「……必ず生きて帰るのですよ! 決して無理はしない事! 死んで英雄になったって、きみ達の大切な人達が悲しむだけですからね!」
 そう、必ず無事に帰ってきて欲しい。そしてきっと、彼女の夢を叶えて欲しい。
 いつも何かを変えようと一人で戦う皇帝の背中を思い出す。誰にも何も伝えず、ただ全てを背負った孤独な王様の姿を。
 もしもその行いが間違いだとしたら、それを正す事が出来るのは――ここに集った仲間達だけだと思うから。

                オープニング:神宮寺飛鳥

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キャラクター情報

ヴィルヘルミナ・ウランゲル(kz0021
 ゾンネンシュトラール帝国皇帝。
 一説によると剣機の出現を事前に予見し、その上で皇帝選挙を実施した可能性があるという。
 これらの状況がどこまで彼女の意図したものであるかは不明だが、本人も剣機討伐に参戦する腹積もりのようだ。
 師団都市の混乱を補う為、ハンターの参戦を積極的に呼びかけている。
  • ゾンネンシュトラール帝国皇帝
  • 闘狩人(エンフォーサー)
イラスト:綾部史子
ナサニエル・カロッサ(kz0028
 ワルプルギス錬魔院院長。
 剣機型とは浅からぬ因縁のある男だが、今回は比較的大人しい。
 あるいは皇帝から何らかの勅命を受けている可能性もあるが、どちらかというとこの状況そのものを楽しんでいる面が大きいようだ。
 今回の事件においては技術的支援に留まり、実際に戦場へ向かう事はないという。
  • ワルプルギス錬魔院院長
  • 機導師(アルケミスト)
イラスト:咲嶋らく
オズワルド(kz0027
 帝国軍第一師団シルバリーヴァント団長。
 先日からの選挙騒動から剣機出現で振り回されているが、見事に防衛体制を構築しつつある。
 とは言え彼の手が届くのは帝都近辺のみ。地方の事は各師団都市とハンターに任せるしかないのが現状だ。
 当然帝都を離れるわけには行かず、能動的に動く事は出来ないが……?
  • 帝国軍第一師団長
  • 闘狩人(エンフォーサー)
イラスト:伊砂
タングラム(kz0016
 帝国ユニオンAPVのユニオンリーダー。
 四霊剣の一角とハンターが戦う事を内心快くは思っていない。
 剣機が出現した事も選挙で師団の動きが鈍っている事も、ハンターを矢面に立たせる為の皇帝の陰謀ではないかと疑っている。
 だとしてもそれが現状の最良であり、自らの仕事はきちんと全うするしかないのだが。
  • 帝国ユニオンリーダー
  • 疾影士(ストライダー)
イラスト:花詰真香

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