ゲスト
(ka0000)
【闘祭】ピックアップバトル!


ルーキーリーグ予選トーナメント決勝 ピックアップバトル!(7月15日)
6月16日 | 6月17日 | 6月20日 | 6月24日 | 6月27日 | 6月30日 | 7月1日 | 7月4日 | 7月7日 | 7月11日 | 7月14日 | 7月15日 |
七葵 VS セリナ・アガスティア (ルーキーリーグ予選Dブロック)
『さてどんどん行きましょう! お次はリーキーリーグ、こちらも既に予選決勝です!』
『お? 二人とも見たことのある顔じゃな』
『あー、事前登録とかハントとか、あれだ。コンテストで見た連中だな』
『七葵VSセリナ・アガスティア! バトルフィールドは、廃墟! Dブロックの決勝進出者が、この試合で決まります!』
廃墟の中を慎重に進む七葵(ka4740)は、やがてセリナ・アガスティア(ka6094)の姿を確認する。
セリナにはまだ気づかれていない。だが、状況は七葵にとって不利である事がわかる。
(セリナ殿は残骸の上に立ち、万全なる待ちの構え……。符術師なのだから、当然ではあるが)
舞剣士の七葵が得意とする間合いは、オーソドックスに考えれば近距離。
対するセリナは符術師で、その間合いも穿たずに考えれば遠距離である。
(障害物を盾に接近を試みたいところではあったが……これでは難しいか)
幸い、セリナはまだ七葵を発見できていない。イニシアチブは七葵に優勢である。
意を決し、七葵は飛び出した。当然セリナはそれに気づいて反撃の構えを取るが、予想の範疇。
(今は距離を詰める……前へ!)
『おっと、動きました七葵選手! 距離を詰め、接近戦に持ち込むようです!』
「現れましたね……さあ、お手並み拝見と行きましょうか!」
セリナは陰陽符「降魔結界」を手に、胡蝶符を発動。光の蝶の弾丸は七葵を襲うが、これは問題なく回避。
更に七葵は強く地を蹴り、ぐんと体を前へと運ぶ。移動を伴う斬撃、疾風剣だ。
「更なる高みを目指して、いざ尋常に……勝負!」
七葵の手にした降魔刀の軌跡を目で追うセリナ。しかし、次の瞬間には胴に斬撃を受けていた。
(早い――!?)
『七葵選手、素晴らしい動きです! 目にも留まらぬ速攻ーーーー!』
『つまるところのクリティカルじゃな』
痛みにぐらつく身体を支え、冷や汗を流しながらもセリナの頬には笑みがあった。
(もう一発もらったら流石に終わり……ふふっ、スリリングね!)
背後へステップしつつ、更なる符を抜き放つのは火炎符。先の攻撃より射程は短いが、威力の高い魔法だ。そして……。
『あーっと、七葵選手を桜吹雪が包み込みます!』
「視覚を封じた上での火炎符! 受けてみなさい!」
炎を纏った符を投げ放つセリナ。七葵は桜吹雪の中、足を止め刀を構える。
回避は不可能だったが、桜吹雪には動じていない。問題なく火炎を刀で断ち切る事に成功する。
『七葵選手、この状況でも冷静に対処しています! 更に再び疾風剣による追撃!』
(しかし、防御は完全ではない……この威力、侮り難し。そう何度も受けるわけには……)
繰り出される刃に目を見開くセリナ。次の瞬間呪符「ガナール」が光を放ち、回避能力が上昇する。
『かわしたー! セリナ選手、七葵選手の攻撃を躱し、再び魔法を発動します!』
「まだまだ終わらせるには……勿体ないでしょう?」
更に桜幕符と火炎符のコンボ攻撃。しかし七葵はやはり桜幕を物ともせず、幸運のメダリオンの力を発揮し、上体をわずかに逸らし、火炎を回避する。
更にそこから地を蹴りセリナを間合いに捉えると、鋭く刃を放った。
(回避……いえ、もう無理! なら防御……盾で!)
ディーラーシールドを構えたセリナだが、七葵の刀はそれを掻い潜るように斜めに動き、直接セリナを斬りつけた。
『あーーーっと、防御を抜かれました! これは強烈です!!』
刀の動きを捉えられなかったセリナは自分が切られた事を僅かに遅れて察し、傷口を片手で押さえながら膝を着いた。
「これ以上の戦闘継続は不可能と見たが?」
「……どうやらそうみたい……ね。残念ですが、私の負けです」
『試合終了ーーーー! 勝者、七葵選手! ルーキーリーグDブロック、決勝進出は七葵選手です!』
『一進一退の攻防だったな。こりゃどっちが勝ってもおかしくなかったと思うぜ』
『しいて言うなら、移動攻撃を持っていた七葵の粘り勝ちかの?』
歓声と共に聞こえる解説の声に耳を傾けながら七葵は刃を鞘に納める。
そうしてセリナに歩み寄ると、倒れたの身を案じる。
「手合せに感謝する。だが真剣勝負故、うまく加減も出来なかった。傷が残らねば良いのだが……」
「このくらい大丈夫ですよ。人事を尽くして天命を待つ……私もやれるだけの事はやったつもりです。この結果も天の思し召しでしょう」
「ならば俺はセリス殿に、そして天命に感謝を。この試合に恥じぬよう、最後まで戦い抜くと誓おう」
ヒーラー隊が駆け寄るのを横目に二人は立ち上がる。
真っ直ぐで力強い七葵の視線に、セリナは優しく微笑み返した。
『お? 二人とも見たことのある顔じゃな』
『あー、事前登録とかハントとか、あれだ。コンテストで見た連中だな』
『七葵VSセリナ・アガスティア! バトルフィールドは、廃墟! Dブロックの決勝進出者が、この試合で決まります!』
廃墟の中を慎重に進む七葵(ka4740)は、やがてセリナ・アガスティア(ka6094)の姿を確認する。
セリナにはまだ気づかれていない。だが、状況は七葵にとって不利である事がわかる。
(セリナ殿は残骸の上に立ち、万全なる待ちの構え……。符術師なのだから、当然ではあるが)
舞剣士の七葵が得意とする間合いは、オーソドックスに考えれば近距離。
対するセリナは符術師で、その間合いも穿たずに考えれば遠距離である。
(障害物を盾に接近を試みたいところではあったが……これでは難しいか)
幸い、セリナはまだ七葵を発見できていない。イニシアチブは七葵に優勢である。
意を決し、七葵は飛び出した。当然セリナはそれに気づいて反撃の構えを取るが、予想の範疇。
(今は距離を詰める……前へ!)
『おっと、動きました七葵選手! 距離を詰め、接近戦に持ち込むようです!』
「現れましたね……さあ、お手並み拝見と行きましょうか!」
セリナは陰陽符「降魔結界」を手に、胡蝶符を発動。光の蝶の弾丸は七葵を襲うが、これは問題なく回避。
更に七葵は強く地を蹴り、ぐんと体を前へと運ぶ。移動を伴う斬撃、疾風剣だ。
「更なる高みを目指して、いざ尋常に……勝負!」
七葵の手にした降魔刀の軌跡を目で追うセリナ。しかし、次の瞬間には胴に斬撃を受けていた。
(早い――!?)
『七葵選手、素晴らしい動きです! 目にも留まらぬ速攻ーーーー!』
『つまるところのクリティカルじゃな』
痛みにぐらつく身体を支え、冷や汗を流しながらもセリナの頬には笑みがあった。
(もう一発もらったら流石に終わり……ふふっ、スリリングね!)
背後へステップしつつ、更なる符を抜き放つのは火炎符。先の攻撃より射程は短いが、威力の高い魔法だ。そして……。
『あーっと、七葵選手を桜吹雪が包み込みます!』
「視覚を封じた上での火炎符! 受けてみなさい!」
炎を纏った符を投げ放つセリナ。七葵は桜吹雪の中、足を止め刀を構える。
回避は不可能だったが、桜吹雪には動じていない。問題なく火炎を刀で断ち切る事に成功する。
『七葵選手、この状況でも冷静に対処しています! 更に再び疾風剣による追撃!』
(しかし、防御は完全ではない……この威力、侮り難し。そう何度も受けるわけには……)
繰り出される刃に目を見開くセリナ。次の瞬間呪符「ガナール」が光を放ち、回避能力が上昇する。
『かわしたー! セリナ選手、七葵選手の攻撃を躱し、再び魔法を発動します!』
「まだまだ終わらせるには……勿体ないでしょう?」
更に桜幕符と火炎符のコンボ攻撃。しかし七葵はやはり桜幕を物ともせず、幸運のメダリオンの力を発揮し、上体をわずかに逸らし、火炎を回避する。
更にそこから地を蹴りセリナを間合いに捉えると、鋭く刃を放った。
(回避……いえ、もう無理! なら防御……盾で!)
ディーラーシールドを構えたセリナだが、七葵の刀はそれを掻い潜るように斜めに動き、直接セリナを斬りつけた。
『あーーーっと、防御を抜かれました! これは強烈です!!』
刀の動きを捉えられなかったセリナは自分が切られた事を僅かに遅れて察し、傷口を片手で押さえながら膝を着いた。
「これ以上の戦闘継続は不可能と見たが?」
「……どうやらそうみたい……ね。残念ですが、私の負けです」
『試合終了ーーーー! 勝者、七葵選手! ルーキーリーグDブロック、決勝進出は七葵選手です!』
『一進一退の攻防だったな。こりゃどっちが勝ってもおかしくなかったと思うぜ』
『しいて言うなら、移動攻撃を持っていた七葵の粘り勝ちかの?』
歓声と共に聞こえる解説の声に耳を傾けながら七葵は刃を鞘に納める。
そうしてセリナに歩み寄ると、倒れたの身を案じる。
「手合せに感謝する。だが真剣勝負故、うまく加減も出来なかった。傷が残らねば良いのだが……」
「このくらい大丈夫ですよ。人事を尽くして天命を待つ……私もやれるだけの事はやったつもりです。この結果も天の思し召しでしょう」
「ならば俺はセリス殿に、そして天命に感謝を。この試合に恥じぬよう、最後まで戦い抜くと誓おう」
ヒーラー隊が駆け寄るのを横目に二人は立ち上がる。
真っ直ぐで力強い七葵の視線に、セリナは優しく微笑み返した。
(執筆:神宮寺飛鳥)
(文責:フロンティアワークス)
対戦結果(文責:フロンティアワークス)
戦場:廃墟 廃墟によるこの戦いは、まずセリナは遠距離攻撃で待ち伏せの構え。 七葵は先にセリナを発見し距離を詰める。障害物を盾にできれば理想だったが、セリナに接近するにはどうしても攻撃を掻い潜る必要がある。 胡蝶符を躱し、七葵は距離を詰めての疾風剣。これがクリティカルヒット。 セリナは桜幕符と火炎符で反撃を試みるが、行動阻害がうまくはまらない。 引き下がりながら闘うセリナだが、疾風剣を駆使する七葵はこれを逃がさず、追撃でセリナが倒れる事となった。 |
ミドルリーグ予選トーナメント決勝 ピックアップバトル!(7月14日)
6月16日 | 6月17日 | 6月20日 | 6月24日 | 6月27日 | 6月30日 | 7月1日 | 7月4日 | 7月7日 | 7月11日 | 7月14日 | 7月15日 |
ティス・フュラー VS フィルメリア・クリスティア (ミドルリーグ予選Cブロック)
『さて、敗者復活戦も開始されましたが、ミドルリーグとルーキーリーグでは未だに試合が続いております!』
『今度はこっちの実況か……わらわ達忙しすぎない?』
『スゲーよな。同じ街の付近なのに転移門バンバン使ってるぜ……』
ルーキー、ミドル共に既に予選決勝。これらの試合に勝利したハンターが決勝リーグに進出する局面。
『まずはこちら! ルーキーリーグCブロック、ティス・フュラー選手対、フィルメリア・クリスティア選手! フィールドは川+岩場です!』
高台を取っているのはティス・フュラー(ka3006)。聖杖「プロト・サーム」を手に息を呑む。
(フィルメリアさんは同じギルドの先輩……いや、だからこそ手は抜けないわね)
フィルメリア・クリスティア(ka3380)の位置はわかっている。このフィールドの見晴らしはいいし、ティスの方が高所だ。
勝負は距離を詰めてから。岩の上に立ち、待ち構えるティスにフィルメリアは慎重に距離を詰めていく。
(長距離での魔法の撃ち合いになれば、あちらの方が優位。だとしても……いえ、だからこそ……)
『フィルメリア選手、動きました! ティス選手これを魔法で迎え撃つか!?』
『いや、まだ無理だ。岩の陰にいるフィルメリアを狙うには、直線魔法攻撃ではNG。着弾点を指定できる爆散型の範囲魔法攻撃を、岩の裏側を指定して発射すれば岩を無視して攻撃できるが、そうしていないという事がティスの射程を物語っているぜ』
実はティスとフィルメリアの魔法攻撃による最大有効射程は同じだった。
であるならば、岩陰から飛び出すと同時に先手を取れるのはフィルメリアという事になる。
「行きますよ、ティスさん……!」
フィルメリアが放ったのは超射程のデルタレイ。飛来する光、しかしティスかこれを辛うじて回避する。
(避けた……!? ティスさんの回避能力はさほど高くないはず……)
(避けられた……無論、まぐれ避け! でも、この機は逃さないわ!)
プロト・サームから放った魔法はブリザード。威力は低めだが回避が困難で、凍傷によるバッドステータスを与える魔法だ。
(指定地点から爆散するタイプの魔法……岩陰に隠れるのはもう無意味……しかも、水属性!?)
フィルメリアは構えた盾を下ろし、咄嗟に吹雪を魔導符剣「インストーラー」で切り払った。
手にした盾、シールド「フラムパシアン」は火属性。これでブリザードを受けるわけにはいかない。
(まいったわね……これじゃあムーバブルシールドがまったく用を成さない……)
険しい表情を隠し、フィルメリアは体表にまとった氷を振り払う。
『ブリザードによる凍結効果は全く受け付けていません!』
(ダメージは少なくない。属性相性が加算されれば、私でもかなりの体力を持っていかれる……鍛えてるわね、ティスさん)
「やっぱり凍りませんか。流石ですね」
「いい攻撃ね。でも、簡単には倒れませんよ? 此方にも、先輩の意地というのがありますから……ね!」
距離を詰めつつ再度のデルタレイ。降り注ぐ光に臆さず、ティスはまたギリギリのところで回避に成功する。
その瞳に宿った光は真っすぐにフィルメリアを捉えている。決して勝負を諦めたりしていない。
『たどたどしくも見事な回避です!』
『運に助けられたってのもある……だが、ここからは運だけじゃ通用しないぜ?』
(フィルメリアさんの魔法威力はかなりのもの……まともに食らえば、場合によっては一撃でアウト……)
ごくりを息を呑み、ティスが発動したのは攻撃魔法ではなかった。
身構えたフィルメリアの剣、インストーラーが突然炎をまとったのだ。
――ファイアエンチャント。対象の武器に攻撃性能の上昇と、“火属性”を付与する魔法。
(やられた……防御を封じられた!)
まったく予想外の発想に驚くフィルメリア。だが、次の瞬間には強く地を蹴っていた。
『え!? 相手の武器にファイアエンチャント……? なんの意味があるんです?』
『ははあ。考えたな……フィルメリアが火の盾を使う事まで読んでたなら、相当なキレ者だぜ』
『意味がわからないので解説してください!』
『つまり、剣も盾もこれで火属性になっちまったんだよ。ブリザードは回避殺しの魔法。なら普通は受ける……が、受けたらダメージが増幅する』
(その通り! 回避封じと防御封じの二段構え!)
(既に私はダメージを受けている……ノーガードで攻撃を受けてもノックダウンされる可能性がある!)
「次の一撃で勝負をつけます! ここまで来た以上は――勝つ!」
「撃たせないわ! これで、勝負を決める!」
更なるデルタレイの一撃。降り注ぐ光に幸運は三度続かず、ティスはペンタグラムシールドを構える。
(この一撃に耐えれば……!)
しかし、シールドの上からでも強烈な衝撃がティスを襲った。
鈍い痛みに思わず目を見開く。あまりにも強すぎる攻撃。しかも、当たり所はあまりよくない。
(耐え……れ……ば……っ)
衝撃に吹っ飛びながらも杖を強く握り締める。
そうして魔法を放とうとする前に、ティスの膝は地面についた。魔法を使えない。立ち上がるだけの力が残っていない。
「そんな……一撃だなんて……っ」
カランと音を立て杖が落ちる。それに続き、ティスは大地に倒れた。
『……っと、決着です!! ティス選手、攻撃に耐えきれませんでした! これでミドルリーグCブロックは決着! 決勝進出は、フィルメリア選手で決定です!!』
歓声が沸く中でフィルメリアは深く息を吐いていた。
あの攻撃で倒せなければ、逃げ場は既になく。次のブリザードで倒される可能性はかなり高かった。
「こちらも追い詰められていたって事ね……」
当たり所によっては一撃で倒せる相手。長引いたのは運の問題もあるが、戦略は素晴らしかった。
「だめでしたか……でも、やれるだけの事はやりましたから……」
「ええ。これで倒せなければ私が倒れていた。戦略的には、私の負けかもしれませんね。まったくうかうかしていられないわ」
ティスを助け起こしながらフィルメリアは苦笑する。
「ティスさんに勝ったんだもの。もう簡単には負けないわ。きっと最後まで戦い抜いて見せますから」
肩を叩くフィルメリアの言葉に頷き、ティスはそのまま意識を失った。
『今度はこっちの実況か……わらわ達忙しすぎない?』
『スゲーよな。同じ街の付近なのに転移門バンバン使ってるぜ……』
ルーキー、ミドル共に既に予選決勝。これらの試合に勝利したハンターが決勝リーグに進出する局面。
『まずはこちら! ルーキーリーグCブロック、ティス・フュラー選手対、フィルメリア・クリスティア選手! フィールドは川+岩場です!』
高台を取っているのはティス・フュラー(ka3006)。聖杖「プロト・サーム」を手に息を呑む。
(フィルメリアさんは同じギルドの先輩……いや、だからこそ手は抜けないわね)
フィルメリア・クリスティア(ka3380)の位置はわかっている。このフィールドの見晴らしはいいし、ティスの方が高所だ。
勝負は距離を詰めてから。岩の上に立ち、待ち構えるティスにフィルメリアは慎重に距離を詰めていく。
(長距離での魔法の撃ち合いになれば、あちらの方が優位。だとしても……いえ、だからこそ……)
『フィルメリア選手、動きました! ティス選手これを魔法で迎え撃つか!?』
『いや、まだ無理だ。岩の陰にいるフィルメリアを狙うには、直線魔法攻撃ではNG。着弾点を指定できる爆散型の範囲魔法攻撃を、岩の裏側を指定して発射すれば岩を無視して攻撃できるが、そうしていないという事がティスの射程を物語っているぜ』
実はティスとフィルメリアの魔法攻撃による最大有効射程は同じだった。
であるならば、岩陰から飛び出すと同時に先手を取れるのはフィルメリアという事になる。
「行きますよ、ティスさん……!」
フィルメリアが放ったのは超射程のデルタレイ。飛来する光、しかしティスかこれを辛うじて回避する。
(避けた……!? ティスさんの回避能力はさほど高くないはず……)
(避けられた……無論、まぐれ避け! でも、この機は逃さないわ!)
プロト・サームから放った魔法はブリザード。威力は低めだが回避が困難で、凍傷によるバッドステータスを与える魔法だ。
(指定地点から爆散するタイプの魔法……岩陰に隠れるのはもう無意味……しかも、水属性!?)
フィルメリアは構えた盾を下ろし、咄嗟に吹雪を魔導符剣「インストーラー」で切り払った。
手にした盾、シールド「フラムパシアン」は火属性。これでブリザードを受けるわけにはいかない。
(まいったわね……これじゃあムーバブルシールドがまったく用を成さない……)
険しい表情を隠し、フィルメリアは体表にまとった氷を振り払う。
『ブリザードによる凍結効果は全く受け付けていません!』
(ダメージは少なくない。属性相性が加算されれば、私でもかなりの体力を持っていかれる……鍛えてるわね、ティスさん)
「やっぱり凍りませんか。流石ですね」
「いい攻撃ね。でも、簡単には倒れませんよ? 此方にも、先輩の意地というのがありますから……ね!」
距離を詰めつつ再度のデルタレイ。降り注ぐ光に臆さず、ティスはまたギリギリのところで回避に成功する。
その瞳に宿った光は真っすぐにフィルメリアを捉えている。決して勝負を諦めたりしていない。
『たどたどしくも見事な回避です!』
『運に助けられたってのもある……だが、ここからは運だけじゃ通用しないぜ?』
(フィルメリアさんの魔法威力はかなりのもの……まともに食らえば、場合によっては一撃でアウト……)
ごくりを息を呑み、ティスが発動したのは攻撃魔法ではなかった。
身構えたフィルメリアの剣、インストーラーが突然炎をまとったのだ。
――ファイアエンチャント。対象の武器に攻撃性能の上昇と、“火属性”を付与する魔法。
(やられた……防御を封じられた!)
まったく予想外の発想に驚くフィルメリア。だが、次の瞬間には強く地を蹴っていた。
『え!? 相手の武器にファイアエンチャント……? なんの意味があるんです?』
『ははあ。考えたな……フィルメリアが火の盾を使う事まで読んでたなら、相当なキレ者だぜ』
『意味がわからないので解説してください!』
『つまり、剣も盾もこれで火属性になっちまったんだよ。ブリザードは回避殺しの魔法。なら普通は受ける……が、受けたらダメージが増幅する』
(その通り! 回避封じと防御封じの二段構え!)
(既に私はダメージを受けている……ノーガードで攻撃を受けてもノックダウンされる可能性がある!)
「次の一撃で勝負をつけます! ここまで来た以上は――勝つ!」
「撃たせないわ! これで、勝負を決める!」
更なるデルタレイの一撃。降り注ぐ光に幸運は三度続かず、ティスはペンタグラムシールドを構える。
(この一撃に耐えれば……!)
しかし、シールドの上からでも強烈な衝撃がティスを襲った。
鈍い痛みに思わず目を見開く。あまりにも強すぎる攻撃。しかも、当たり所はあまりよくない。
(耐え……れ……ば……っ)
衝撃に吹っ飛びながらも杖を強く握り締める。
そうして魔法を放とうとする前に、ティスの膝は地面についた。魔法を使えない。立ち上がるだけの力が残っていない。
「そんな……一撃だなんて……っ」
カランと音を立て杖が落ちる。それに続き、ティスは大地に倒れた。
『……っと、決着です!! ティス選手、攻撃に耐えきれませんでした! これでミドルリーグCブロックは決着! 決勝進出は、フィルメリア選手で決定です!!』
歓声が沸く中でフィルメリアは深く息を吐いていた。
あの攻撃で倒せなければ、逃げ場は既になく。次のブリザードで倒される可能性はかなり高かった。
「こちらも追い詰められていたって事ね……」
当たり所によっては一撃で倒せる相手。長引いたのは運の問題もあるが、戦略は素晴らしかった。
「だめでしたか……でも、やれるだけの事はやりましたから……」
「ええ。これで倒せなければ私が倒れていた。戦略的には、私の負けかもしれませんね。まったくうかうかしていられないわ」
ティスを助け起こしながらフィルメリアは苦笑する。
「ティスさんに勝ったんだもの。もう簡単には負けないわ。きっと最後まで戦い抜いて見せますから」
肩を叩くフィルメリアの言葉に頷き、ティスはそのまま意識を失った。
(執筆:神宮寺飛鳥)
(文責:フロンティアワークス)
対戦結果(文責:フロンティアワークス)
戦場:川+岩場 両者超射程の魔法攻撃を持つ闘い。岩陰に隠れるフィルメリアだが、ティスは高所有利で位置を把握済。 ブリザードの発生地点を選べば岩陰に隠れる事に意味はなく、先に飛び出したフィルメリアが攻撃を仕掛ける。 デルタレイとブリザードの撃ち合いでは幸運にもフィスが回避。フィルメリアはブリザードを魔導符剣「インストーラー」で防御。 シールド「フラムパシアン」は属性不利で剣受けしかないが、ここでティスはインストーラーにファイアエンチャント。 剣と盾双方に火属性を付与した上で、回避困難なブリザードによる必殺を狙う。 しかしフィルメリアはそれを察知し距離を詰め、デルタレイ。ティスの策は惜しくも完成に及ぶ前に倒れる事となった。 |
マスターリーグ予選トーナメント決勝 ピックアップバトル!(7月11日)
6月16日 | 6月17日 | 6月20日 | 6月24日 | 6月27日 | 6月30日 | 7月1日 | 7月4日 | 7月7日 | 7月11日 | 7月14日 | 7月15日 |
ジュード・エアハート VS エアルドフリス (マスターリーグ予選Dブロック)
『というわけで忙しいですが、敗者復活戦の受付中に次の試合です!』
『今回は前回に引き続き、トトカルチョのオッズ確定の問題もあり、既に確定済みのマスターリーグを続けて中継するぜ』 『オッズとかそんなに皆神経質に気にしておらんよーな気がするがのー』
『そう言われても、マスターリーグのオッズ確定直前はマスターを中継しなかったんだから、別に中継回数は各リーグ平等だぞ』
『そんな事こそどうでもいいので試合ですよ! 今回の試合は、リングA! Dブロック、最終予選! ジュード・エアハートVSエアルドフリスの試合です!!』
ジュード・エアハート(ka0410)とエアルドフリス(ka1856)の両選手はリング上にてゴングを待っていた。
リングAは遮蔽物のない狭いリング。相手の顔もよく見えるし、言葉さえ交わせてしまう。
「よくぞここまで勝ち上がってきたね、エアさん! 次の相手は……なんと、俺なんだよー!」
「いやいや、前以って知っていたがね。これも円環の導き……と言ってしまっていいのだろうか……」
ビシリと指さすジュードに対し、エアルドフリスは何とも言えない面持ち。
『それもそのはず! 二人はいわゆるカップルなのです!!』
『は? あいつら両方男なんじゃ……』
『は??ん? この良さがわからんとか、若造は黙っておれ? な?』
『何言ってんだナディア……』
「何やら外野が予想外のヒートアップを見せているようだが……俺は正直な所、ジュードに怪我なんざさせたくはないんだがね」 「俺だってそうだよ……大好きなエアさんを傷つけたいわけないじゃないか……」
「ジュード……」
「でもそれはそれ、これはこれだよね!」
爽やかな笑顔で龍弓「シ・ヴリス」を構えるジュードにエアルドフリスの表情が固まる。
「ちょっと待て。何故か俺の目には結構楽しそうに見えるぞ」
「勝負は勝負だし、試合は試合だからしょうがないんだよエアさん。他意はないんだよ!」
エアルドフリスは腕を組み、真剣な表情で思案する。
(“どれ”の事だかわからん……いやいや、これは試合だ。真剣勝負だ。それだけに違いないのだ)
しきりにうなずき、エアルドフリスもスタッフ「カドゥケウス」を構える。
「……いや、参った。だが本気でやらにゃあ失礼ってもんだね。全力で挑ませて頂くよ」
『それではお待ちかね! いよいよ試合開始です!!』
ゴングが鳴ると二人は同時に動き出すが、先手を取ったのはジュードだ。
素早く弓を構え、しかし狙うはエアルドフリスではなく天空。
「まずはこいつから! 銀雨(アルジェント・ロヴェーショ)!!」
光を帯びた矢は天空で輝き、銀色の刃を降り注がせる。
「エアさんの手の内は読めてるよ! そう……他の誰よりね!」
遮蔽物のないこのリングAでは、正面からの撃ち合いを防ぐ遮蔽物がない。
しかしエアルドフリスは魔術師、ストーンウォールを使えば、攻撃を防ぐ盾を作る事が出来る。
「放物線を描く、上方からの攻撃! これは石壁でも防げないでしょ……ってぇ!?」
『なんとー!? エアルドフリス選手、逃げも隠れもせずに直進しています!!』
光の雨を掻い潜りながらエアルドフリスは走っている。
これは“逃げ”を想定していた動きではない。最初から、正面から突っ込むつもりだったのだ。
(しかも俺の銀雨を避けながら……っ)
(ジュードは強い……俺の気持ちとは無関係に、手を抜いて勝てるような相手ではない)
何よりも大切な相手だからこそ、ここで退くわけにはいかない。わざと負けるなんてもってのほか。
全力で挑み、全力で勝利する。結局のところ、それ以外に誠意を示す手段などありはしない。
「ジュード! これが俺の答えだ!」
カドゥケウスに纏う火球を放り込む。渾身の一撃、ファイアーボールだ。
(これで……終わってくれ……!)
ジュードの姿を飲み込み、火球は爆発する。その衝撃から逃れる事は出来なかった。
吹き飛ばされ、身体を焼かれるジュード。床を転がりつつもすぐに立ち上がる。
(い……ったあああ! なんて威力……でも……これで俺を一撃で倒したかったんだ……)
火炎の向こう、立ち上がった自分を見て弱り切った顔をしているエアルドフリスを見て思わず小さく笑う。
(大丈夫だ……まだ何とか動ける。戦いは最後まで……投げない!)
すぐにジュードは弓を構え直す。矢は光の輪を集め、冷気を纏ってエアルドフリスへ襲い掛かった。
「青霜(レジーナ・ディ・ジェーロ)!」
飛来する矢をエアルドフリスは杖で受けるが、それでも矢は彼の胴体に食い込む。
『あーっと、ジュード選手の凍結攻撃が命中! エアルドフリス選手、動きが鈍ってしまいます!』
(こいつを食らいたくなかったんだがね……)
凍結する体を確認しつつ、エアルドフリスは深く静かに息を吐く。
「――円環の裡に万物は巡る。理の護り手にして旅人たる月、我が言霊を御身が雫と為し給え」
『エアルドフリス選手、凍結状態でも圧倒的集中力で問題なく魔法を発動しています!』
「円環成就弐(スリープクラウド・ドー)!」
ジュードは十分に距離を維持していた。しかしエアルドフリスはその上で、エクステンドレンジにより魔法の射程を延長。
凍結で集中が難しい状態にも関わらず、完全な精度でスリープクラウドを放った。
「しま……っ!?」
ジュードは霧に呑みこまれ、これに対応できない。見る見るうちに意識を失い倒れてしまう。
『これは……ジュード選手、眠ってしまったああああ!?』
「すまんね……だが、これで終わりだ」
エアルドフリスのファイアーボールは無抵抗のジュードを吹き飛ばし、これに耐えきれず、決着となった。
『ここで、試合終了! マスターリーグDブロック勝者は、エアルドフリス選手! 決勝進出決定です!』
歓声が沸く中、エアルドフリスは慌ててジュードに駆け寄る。
「大丈夫か、ジュード……?」
「平気だよ。エアさん、最後の攻撃……手加減したでしょ?」
「うっ。いやしかしだな、一発目の攻撃でもう十二分に負傷していたじゃあないか。更に無防備なところに全力で攻撃するのは如何なものかと思ってだな……」
「もー、しょーがないなー。でもやっぱりエアさんは強いや。決勝進出、おめでとう!」
笑顔で差し出されたジュードの手を、ほっとした様子で握り返す。
それがこの試合の決着であった。
『今回は前回に引き続き、トトカルチョのオッズ確定の問題もあり、既に確定済みのマスターリーグを続けて中継するぜ』 『オッズとかそんなに皆神経質に気にしておらんよーな気がするがのー』
『そう言われても、マスターリーグのオッズ確定直前はマスターを中継しなかったんだから、別に中継回数は各リーグ平等だぞ』
『そんな事こそどうでもいいので試合ですよ! 今回の試合は、リングA! Dブロック、最終予選! ジュード・エアハートVSエアルドフリスの試合です!!』
ジュード・エアハート(ka0410)とエアルドフリス(ka1856)の両選手はリング上にてゴングを待っていた。
リングAは遮蔽物のない狭いリング。相手の顔もよく見えるし、言葉さえ交わせてしまう。
「よくぞここまで勝ち上がってきたね、エアさん! 次の相手は……なんと、俺なんだよー!」
「いやいや、前以って知っていたがね。これも円環の導き……と言ってしまっていいのだろうか……」
ビシリと指さすジュードに対し、エアルドフリスは何とも言えない面持ち。
『それもそのはず! 二人はいわゆるカップルなのです!!』
『は? あいつら両方男なんじゃ……』
『は??ん? この良さがわからんとか、若造は黙っておれ? な?』
『何言ってんだナディア……』
「何やら外野が予想外のヒートアップを見せているようだが……俺は正直な所、ジュードに怪我なんざさせたくはないんだがね」 「俺だってそうだよ……大好きなエアさんを傷つけたいわけないじゃないか……」
「ジュード……」
「でもそれはそれ、これはこれだよね!」
爽やかな笑顔で龍弓「シ・ヴリス」を構えるジュードにエアルドフリスの表情が固まる。
「ちょっと待て。何故か俺の目には結構楽しそうに見えるぞ」
「勝負は勝負だし、試合は試合だからしょうがないんだよエアさん。他意はないんだよ!」
エアルドフリスは腕を組み、真剣な表情で思案する。
(“どれ”の事だかわからん……いやいや、これは試合だ。真剣勝負だ。それだけに違いないのだ)
しきりにうなずき、エアルドフリスもスタッフ「カドゥケウス」を構える。
「……いや、参った。だが本気でやらにゃあ失礼ってもんだね。全力で挑ませて頂くよ」
『それではお待ちかね! いよいよ試合開始です!!』
ゴングが鳴ると二人は同時に動き出すが、先手を取ったのはジュードだ。
素早く弓を構え、しかし狙うはエアルドフリスではなく天空。
「まずはこいつから! 銀雨(アルジェント・ロヴェーショ)!!」
光を帯びた矢は天空で輝き、銀色の刃を降り注がせる。
「エアさんの手の内は読めてるよ! そう……他の誰よりね!」
遮蔽物のないこのリングAでは、正面からの撃ち合いを防ぐ遮蔽物がない。
しかしエアルドフリスは魔術師、ストーンウォールを使えば、攻撃を防ぐ盾を作る事が出来る。
「放物線を描く、上方からの攻撃! これは石壁でも防げないでしょ……ってぇ!?」
『なんとー!? エアルドフリス選手、逃げも隠れもせずに直進しています!!』
光の雨を掻い潜りながらエアルドフリスは走っている。
これは“逃げ”を想定していた動きではない。最初から、正面から突っ込むつもりだったのだ。
(しかも俺の銀雨を避けながら……っ)
(ジュードは強い……俺の気持ちとは無関係に、手を抜いて勝てるような相手ではない)
何よりも大切な相手だからこそ、ここで退くわけにはいかない。わざと負けるなんてもってのほか。
全力で挑み、全力で勝利する。結局のところ、それ以外に誠意を示す手段などありはしない。
「ジュード! これが俺の答えだ!」
カドゥケウスに纏う火球を放り込む。渾身の一撃、ファイアーボールだ。
(これで……終わってくれ……!)
ジュードの姿を飲み込み、火球は爆発する。その衝撃から逃れる事は出来なかった。
吹き飛ばされ、身体を焼かれるジュード。床を転がりつつもすぐに立ち上がる。
(い……ったあああ! なんて威力……でも……これで俺を一撃で倒したかったんだ……)
火炎の向こう、立ち上がった自分を見て弱り切った顔をしているエアルドフリスを見て思わず小さく笑う。
(大丈夫だ……まだ何とか動ける。戦いは最後まで……投げない!)
すぐにジュードは弓を構え直す。矢は光の輪を集め、冷気を纏ってエアルドフリスへ襲い掛かった。
「青霜(レジーナ・ディ・ジェーロ)!」
飛来する矢をエアルドフリスは杖で受けるが、それでも矢は彼の胴体に食い込む。
『あーっと、ジュード選手の凍結攻撃が命中! エアルドフリス選手、動きが鈍ってしまいます!』
(こいつを食らいたくなかったんだがね……)
凍結する体を確認しつつ、エアルドフリスは深く静かに息を吐く。
「――円環の裡に万物は巡る。理の護り手にして旅人たる月、我が言霊を御身が雫と為し給え」
『エアルドフリス選手、凍結状態でも圧倒的集中力で問題なく魔法を発動しています!』
「円環成就弐(スリープクラウド・ドー)!」
ジュードは十分に距離を維持していた。しかしエアルドフリスはその上で、エクステンドレンジにより魔法の射程を延長。
凍結で集中が難しい状態にも関わらず、完全な精度でスリープクラウドを放った。
「しま……っ!?」
ジュードは霧に呑みこまれ、これに対応できない。見る見るうちに意識を失い倒れてしまう。
『これは……ジュード選手、眠ってしまったああああ!?』
「すまんね……だが、これで終わりだ」
エアルドフリスのファイアーボールは無抵抗のジュードを吹き飛ばし、これに耐えきれず、決着となった。
『ここで、試合終了! マスターリーグDブロック勝者は、エアルドフリス選手! 決勝進出決定です!』
歓声が沸く中、エアルドフリスは慌ててジュードに駆け寄る。
「大丈夫か、ジュード……?」
「平気だよ。エアさん、最後の攻撃……手加減したでしょ?」
「うっ。いやしかしだな、一発目の攻撃でもう十二分に負傷していたじゃあないか。更に無防備なところに全力で攻撃するのは如何なものかと思ってだな……」
「もー、しょーがないなー。でもやっぱりエアさんは強いや。決勝進出、おめでとう!」
笑顔で差し出されたジュードの手を、ほっとした様子で握り返す。
それがこの試合の決着であった。
(執筆:神宮寺飛鳥)
(文責:フロンティアワークス)
対戦結果(文責:フロンティアワークス)
戦場:リングA 恋人同士の運命の戦いは、遮蔽物のないリングAで始まった。 猟撃士と魔術師という遠距離攻撃を得意とする二人は初期配置で互いに有効射程距離内。 先手を取ったのはジュード。まずは銀雨で矢を降り注がせる。 これはエアルドフリスが障害物のないリングAで、アースウォールを使用すると予想した結果。 しかしエアルドフリスは身を躱しつつ前進。ファイアーボールを放つ。 これを避けられないジュードはしかし攻撃に耐え、青霜による反撃。 凍結効果を受けたエアルドフリスだが、一糸乱れぬ集中力で問題なく魔法を詠唱。 円環成就弐から追撃のファイアーボールに耐えきれず、ジュードは倒れる事となった。 |
マスターリーグ予選トーナメント決勝 ピックアップバトル!(7月7日)
6月16日 | 6月17日 | 6月20日 | 6月24日 | 6月27日 | 6月30日 | 7月1日 | 7月4日 | 7月7日 | 7月11日 | 7月14日 | 7月15日 |
八代 遥 VS 岩井崎 旭 (マスターリーグ予選Bブロック)
『さあ、さあ、さあ????始まりました! マスターリーグ最終予選! 参加人数の問題でルーキー&ミドルリーグより一歩早く、決勝進出者が決定されます!』
『前回はオッズの関係でマスターリーグを中継できなかったからな。今回は思う存分中継するぜ』
『逆に他のリーグを中継すると今度はそっちに影響あるからのう。今回はマスター推しでゆくのじゃ』
『マスターリーグをここまで生き残ったハンターはどれも強者ぞろい! 一流のハンターであると言えるでしょう!』
『うむ。逆にどいつもこいつも相当な力を持っているじゃろうからな。恐らく、勝負は一瞬で着くのう……』
会場はにわかに盛り上がっている。マスターリーグ最終予選。この試合はどれも決して見逃せない。
数多くのハンター達の中を勝ち抜いてきた彼らにとって、既にこれはただの祭ではない。
自分に道を譲り渡してくれたライバルたちの期待をも背負い、今、最終予選が幕をあける――!
『バトルフィールドは川+岩場!! 八代遥バ???サス???岩井崎旭の試合だああああーーーー!!』
「うおっ、すっげえ盛り上がりだな?……!? へっ、こりゃあ負けてらんねーぜ!」
覚醒しミミズクの幻影を纏った岩井崎 旭(ka0234)の様子を、川を挟んで対岸、北側で八代 遥(ka4481)が見つめる。
「梟……うーん……みみずく? 随分面白い覚醒をなさるんですね。では、こちらも失礼して……」
遥もマテリアルを纏い、覚醒を行う。艶やかな黒髪が銀を纏い、毛先に進むにつれて桃色に染まっていく。
『さあこの試合、どのような決着を見せるでしょうか!?』
『んー、そうだな……。まあ無難に考えれば有利なのは遥だろうぜ』
特にこのマップ、川+岩場では遠距離攻撃が強力だ。
他のマップのように隠れる場所があるわけでも、お互いの位置が掴めないわけでもない。このマップはどうしても見通しが良すぎるのだ。
『そして、驚異的なのは遥の魔法の威力だ。生半可な歪虚なら一撃で蒸発して有り余るぜこりゃ……』
『それ、同じハンターに撃っていいんですか? ていうか死なないの?』
『死なない、なぜか……。いや喜ばしいことじゃろ!』
『強力な魔法で先手を取れる遥には、最低でも二手か三手は攻撃にアドバンテージがある。まともに食らえば一発KOなのに、こいつはかなりきついぜ』
『スメラギ様の予想は結構当たりますが……旭選手劣勢を覆せるのか?!? 今注目の、試合開始ーーーーーー!!』
スタッフ「アライアンス」を手に身構える遥。わざわざ自ら接近する必要性は皆無。
相手は近接型の霊闘士。リーチは圧倒的に有利だし、既に位置は特定している。
(仮に岩陰に隠れても、魔法で炙り出すだけ……さて、どう動きますか?)
「逃げ隠れするのは性に合わねぇからな……! 翔ぶぜ――俺はよ!」
旭が選んだのは隠れる事でも遠距離攻撃でもなく、得意な接近戦のリーチに持ちこむ事だった。
それはすなわち真っ直ぐに遥に近づく事を意味し、それは遥の迎撃に真っ向勝負を挑む事をも意味していた。
「甘く見られましたか? それとも……。いいでしょう。答え合わせと行きましょうか」
遥が杖を振るう。射程圏内に旭が入った途端に彼女が放ったのはブリザードだ。
射程22のブリザードは威力こそ低いものの回避が困難で、更に行動を制限する能力がある。
そしてブリザードそのものの威力が低かったとしても、遥の魔力はそれを補って余りあるのだ。
氷の暴風が橋を渡る旭へと迫る。凍結する橋、そして川……しかし旭はこれを素早く潜り抜けた。
「回避した……なら」
掲げた杖の先端に小さな火が浮かび上がり、徐々に巨大化し火球を成す。
『あーっと、今度はファイアーボールです!?』
『まずいな……あれは一撃でやられるぞ』
放たれた火球は轟音をまき散らしながら旭をめざし、大爆発を巻き起こす。
しかし、爆ぜてなお消え去らぬ火炎の渦に目を凝らす遥の瞳が驚きに染まる。
『おーーーっと、岩井崎選手無事です! まだ走っているぞーーー!!』
「うおおおお! 行くぜぇ、岩井崎旭! 男だろッ!」
遥はすぐに背後へステップしながらもう一度杖を振るう。
これ以上接近されれば旭の射程圏内に入る。旭の近接攻撃力は脅威だし、元々遥は攻撃に耐える事を想定していない。
「食らえば一撃! 止まればやられる……なら!」
「一撃に勝負をかけるつもりですか。確率を計算すれば圧倒的に不利だとわかったでしょうに」
必殺はお互い様。だが遥にはまだ手がある。
今度の魔法はスリープクラウドだ。白い煙が広がり、旭を巻き込んでいく。
『今度はスリープクラウドです!?』
『もし眠ってしまえばファイアーボールの餌食……万事休すじゃな』
追撃の構えを取る遥。だが、未だ晴れぬ煙を突き破り、旭は羽ばたいていた。
どういう理屈か、煙を突き抜け大跳躍したのだ。猛スピードで跳んでくる旭を目では捉えられても、遥の反応はわずかに遅れてしまう。
「言っただろ。俺は翔ぶってなッ!」
烈風を纏ったハルバード「エクスプロイト」の連撃は、油断していなくても遥に耐えられるようなものではなかった。
強烈な攻撃に一撃でダウンしたのは遥で、ようやく晴れたスリープクラウドの中に、旭の戦槍「ボロフグイ」が刺さっているのを見る。
「まさか……棒高跳び……ですか」
『試合終了!! この試合は岩井崎旭選手の勝利です!!』
『ううむ、見事な回避じゃったのう?』
『まあ避けられるかどうかは運だからな。当たってれば旭が負けてたわけで、どちらが勝っても全くおかしくなかったぜ』
「おっかねぇ魔力しやがって……死ぬかと思ったぜ」
旭は深々と息を吐き、額の汗を拭って遥に手を差し伸べた。
「へっへっへ……ま、今回は俺の勝ち、な!」
『Bブロックの全試合が終了! この時点で、岩井崎旭選手の決勝リーグ進出が決定しました!!』
『皆の物ご苦労じゃった。旭は決勝リーグ開始まで、十分に体を休めるのじゃぞ』
『それでは次の試合中継に移りましょう! 次の試合は??!!』
『前回はオッズの関係でマスターリーグを中継できなかったからな。今回は思う存分中継するぜ』
『逆に他のリーグを中継すると今度はそっちに影響あるからのう。今回はマスター推しでゆくのじゃ』
『マスターリーグをここまで生き残ったハンターはどれも強者ぞろい! 一流のハンターであると言えるでしょう!』
『うむ。逆にどいつもこいつも相当な力を持っているじゃろうからな。恐らく、勝負は一瞬で着くのう……』
会場はにわかに盛り上がっている。マスターリーグ最終予選。この試合はどれも決して見逃せない。
数多くのハンター達の中を勝ち抜いてきた彼らにとって、既にこれはただの祭ではない。
自分に道を譲り渡してくれたライバルたちの期待をも背負い、今、最終予選が幕をあける――!
『バトルフィールドは川+岩場!! 八代遥バ???サス???岩井崎旭の試合だああああーーーー!!』
「うおっ、すっげえ盛り上がりだな?……!? へっ、こりゃあ負けてらんねーぜ!」
覚醒しミミズクの幻影を纏った岩井崎 旭(ka0234)の様子を、川を挟んで対岸、北側で八代 遥(ka4481)が見つめる。
「梟……うーん……みみずく? 随分面白い覚醒をなさるんですね。では、こちらも失礼して……」
遥もマテリアルを纏い、覚醒を行う。艶やかな黒髪が銀を纏い、毛先に進むにつれて桃色に染まっていく。
『さあこの試合、どのような決着を見せるでしょうか!?』
『んー、そうだな……。まあ無難に考えれば有利なのは遥だろうぜ』
特にこのマップ、川+岩場では遠距離攻撃が強力だ。
他のマップのように隠れる場所があるわけでも、お互いの位置が掴めないわけでもない。このマップはどうしても見通しが良すぎるのだ。
『そして、驚異的なのは遥の魔法の威力だ。生半可な歪虚なら一撃で蒸発して有り余るぜこりゃ……』
『それ、同じハンターに撃っていいんですか? ていうか死なないの?』
『死なない、なぜか……。いや喜ばしいことじゃろ!』
『強力な魔法で先手を取れる遥には、最低でも二手か三手は攻撃にアドバンテージがある。まともに食らえば一発KOなのに、こいつはかなりきついぜ』
『スメラギ様の予想は結構当たりますが……旭選手劣勢を覆せるのか?!? 今注目の、試合開始ーーーーーー!!』
スタッフ「アライアンス」を手に身構える遥。わざわざ自ら接近する必要性は皆無。
相手は近接型の霊闘士。リーチは圧倒的に有利だし、既に位置は特定している。
(仮に岩陰に隠れても、魔法で炙り出すだけ……さて、どう動きますか?)
「逃げ隠れするのは性に合わねぇからな……! 翔ぶぜ――俺はよ!」
旭が選んだのは隠れる事でも遠距離攻撃でもなく、得意な接近戦のリーチに持ちこむ事だった。
それはすなわち真っ直ぐに遥に近づく事を意味し、それは遥の迎撃に真っ向勝負を挑む事をも意味していた。
「甘く見られましたか? それとも……。いいでしょう。答え合わせと行きましょうか」
遥が杖を振るう。射程圏内に旭が入った途端に彼女が放ったのはブリザードだ。
射程22のブリザードは威力こそ低いものの回避が困難で、更に行動を制限する能力がある。
そしてブリザードそのものの威力が低かったとしても、遥の魔力はそれを補って余りあるのだ。
氷の暴風が橋を渡る旭へと迫る。凍結する橋、そして川……しかし旭はこれを素早く潜り抜けた。
「回避した……なら」
掲げた杖の先端に小さな火が浮かび上がり、徐々に巨大化し火球を成す。
『あーっと、今度はファイアーボールです!?』
『まずいな……あれは一撃でやられるぞ』
放たれた火球は轟音をまき散らしながら旭をめざし、大爆発を巻き起こす。
しかし、爆ぜてなお消え去らぬ火炎の渦に目を凝らす遥の瞳が驚きに染まる。
『おーーーっと、岩井崎選手無事です! まだ走っているぞーーー!!』
「うおおおお! 行くぜぇ、岩井崎旭! 男だろッ!」
遥はすぐに背後へステップしながらもう一度杖を振るう。
これ以上接近されれば旭の射程圏内に入る。旭の近接攻撃力は脅威だし、元々遥は攻撃に耐える事を想定していない。
「食らえば一撃! 止まればやられる……なら!」
「一撃に勝負をかけるつもりですか。確率を計算すれば圧倒的に不利だとわかったでしょうに」
必殺はお互い様。だが遥にはまだ手がある。
今度の魔法はスリープクラウドだ。白い煙が広がり、旭を巻き込んでいく。
『今度はスリープクラウドです!?』
『もし眠ってしまえばファイアーボールの餌食……万事休すじゃな』
追撃の構えを取る遥。だが、未だ晴れぬ煙を突き破り、旭は羽ばたいていた。
どういう理屈か、煙を突き抜け大跳躍したのだ。猛スピードで跳んでくる旭を目では捉えられても、遥の反応はわずかに遅れてしまう。
「言っただろ。俺は翔ぶってなッ!」
烈風を纏ったハルバード「エクスプロイト」の連撃は、油断していなくても遥に耐えられるようなものではなかった。
強烈な攻撃に一撃でダウンしたのは遥で、ようやく晴れたスリープクラウドの中に、旭の戦槍「ボロフグイ」が刺さっているのを見る。
「まさか……棒高跳び……ですか」
『試合終了!! この試合は岩井崎旭選手の勝利です!!』
『ううむ、見事な回避じゃったのう?』
『まあ避けられるかどうかは運だからな。当たってれば旭が負けてたわけで、どちらが勝っても全くおかしくなかったぜ』
「おっかねぇ魔力しやがって……死ぬかと思ったぜ」
旭は深々と息を吐き、額の汗を拭って遥に手を差し伸べた。
「へっへっへ……ま、今回は俺の勝ち、な!」
『Bブロックの全試合が終了! この時点で、岩井崎旭選手の決勝リーグ進出が決定しました!!』
『皆の物ご苦労じゃった。旭は決勝リーグ開始まで、十分に体を休めるのじゃぞ』
『それでは次の試合中継に移りましょう! 次の試合は??!!』
(執筆:神宮寺飛鳥)
(文責:フロンティアワークス)
対戦結果(文責:フロンティアワークス)
戦場:川+岩場 圧倒的な魔法威力を誇る遥は広範囲を攻撃する魔法取り揃え、旭がどこへ隠れても燻り出せる構えだった。 一方旭は隠れる事を放棄し、姿を現した状態で遥へと突撃。これに遥の魔法による迎撃が開始される。 まずは射程が長く機動力を阻害できるブリザードで牽制。機動力が落ちたところへファイアーボールが直撃すれば勝負は決まる。 しかし旭はブリザードを回避し、更に前進。遥は後退しながらファイアーボールを放つが、これも命中しない。 これ以上接近される事を嫌った遥は仕切り直しと攪乱、そして追撃を狙ってスリープクラウドを放つ。 しかし旭はこれを抵抗し戦槍「ボロフグイ」で高跳びの要領で大跳躍。 煙を飛び越え強襲を仕掛ける旭の「踊り狂う乱気流」が炸裂し、遥は耐えきれずにダウンした。 |
予選トーナメント3回戦 ピックアップバトル!(7月4日)
6月16日 | 6月17日 | 6月20日 | 6月24日 | 6月27日 | 6月30日 | 7月1日 | 7月4日 | 7月7日 | 7月11日 | 7月14日 | 7月15日 |
コリーヌ・エヴァンズ VS シガレット=ウナギパイ (ミドルリーグ予選Dブロック)
『第三試合もあちこちで決着しておるようじゃのう?』
『試合数も少なくなってきてるからな。特にマスターリーグはもう終わっちまったようだが、結果発表は全リーグ同時にさせてもらうぜ!』
『まだ残っている試合はありますよ! こちらはコリーヌ・エヴァンズVSシガレット=ウナギパイの試合中継です!』
川と岩場のフィールドは視界が開かれており、フィールドそのものの広さもあって遠距離攻撃が比較的有利だ。
シガレット=ウナギパイ(ka2884)は岩陰に隠れ、対戦相手のコリーヌ・エヴァンズ(ka0828)の到来を待っていた。
(……来たなァ。隠れるわけでも逃げるわけでもなく、正直に接近してくるとは……コリーヌらしい、か)
思わず苦笑を浮かべつつ、シガレットは重い腰を上げた。
岩陰から飛び出すと、シガレットは神罰銃「パニッシュメント」を構え、銃口に黒い光を収束させる。
『おっと、状況が動きました! シガレット選手、待ち伏せからのシャドウブリットです!』
「おっ! ようやく表れたね……っと!」
これをコリーヌは問題なく回避し、強く地を蹴り走り出す。
全力疾走で距離を詰め、近接戦闘を仕掛ける狙いだ。
「特A同士の対決……むふー、燃えてきたんだよ! シガーさん、覚悟はいいのかぬ!?」
「はからずも特A対決になった時点で済ませてるぜェ。さーて、いっちょやるかねェ!」
接近するコリーヌへシャドウブリットを放つシガレットだが、コリーヌは余裕の足取りで回避する。
『あーっと、シガレット選手の攻撃が命中しません! 距離を詰められます!』
『ウナパイ先輩、リーチの優位を失ったのう』
コリーヌは衝撃拳「発勁掌波」を纏った拳を繰り出す。ワイルドラッシュによる連続攻撃だ。
しかしこれに対しシガレットはシールド「エスペランサ」で的確にガード。二連続の攻撃を無傷で凌いだ。
「危ねェ危ねェ……次はこっちの番だぜェ!」
距離を詰められたシガレットはセイクリッドフラッシュを発動。
眩い無数の光がコリーヌを襲う。だが、コリーヌはこれをかろうじて掻い潜り、更に拳を繰り出した。
『コリーヌ選手、距離を詰めてインファイトを狙っていきます!』
ワイルドラッシュによる連続攻撃は続く。一発目は問題なくガード、しかし次の攻撃はガードをすり抜けシガレットの胴にめり込んだ。
『おっとぉ、クリーンヒットだぁ!?』
「ぐぉの……やるじゃねェか」
背後へ跳び、距離を取って自らの傷口に手を当てるシガレット。ヒールによる回復だ。
「やらせ、ぬっ!」
『コリーヌ選手徹底的に距離を詰めます! シガレット選手安全域には逃れられません! 更なる追撃です!』
『だが、シガレットの守りはかなり固いぜ。当たり所が良けりゃ、コリーヌの攻撃をノーダメージで抑え込める。手数が増えればクリーンヒットのチャンスもあるが……』
お返しと言わんばかりのシガレットのセイクリッドフラッシュがコリーヌを襲った。
『セイクリッドフラッシュは避けづらいんだよなあ……むしろよく回避してるぜ』
『シガレット選手の攻撃がヒット?! これは大きなダメージです!』
「まだまだやれるよー!」
コリーヌはリジェネレーションによる回復を開始。回避との相性はよく、その間に体力を回復できる見込みだ。
次のセイクリッドフラッシュは回避に成功。傷を癒しながら繰り出した拳がシガレットの顔にめり込む。
「打つべし……えぐりこむように打つべしなんだぬ!」
『しかし、シガレット選手倒れません! かなり体力の余裕を感じます!』
『ウナパイ先輩そーとータフじゃのー』
続けて繰り出す第二の拳。しかしコリーヌのこの拳は大きく空振りしてしまう。
シガレットが避けたのではない。足元が滑りでもしたのだろうか。勝手にあらぬ方向へ大振りを放ってしまったのだ。
「あ」
それは次のシガレットが攻撃をする際に有利に働いてしまった。
元々回避が困難なセイクリッドフラッシュではあったが、これが直撃。コリーヌは大きく背後へ吹き飛びダウンした。
『……んんん!? どういう……解説のスメラギさん!?』
『まあ……その、不運だな。結局、相性的にもシガレットが上手だったが……リジェネの回復が間に合ってないのもキツかったな』
「ぬーん……負けちゃったんだよー……」
「大丈夫かァ?」
「大丈夫だけど、悔しいなぁ……せっかく隊長が見に来てくれてるのに……」
仰向けに大の字に倒れたコリーヌを抱き起し、シガレットは笑みを浮かべる。
「精一杯やったんだ。負けたってちゃあんと見てくれてるさ。お前の頑張りは、なァ」
二人は一緒に観客席の方へ目を向けた。そうしてコリーヌが立ち上がると、二人に惜しみない拍手が降り注ぐのであった。
『さてさて、第三試合もそろそろ終了でしょうか?』
『ああ。結果発表が迫ってきたな。実況中継も一旦引き上げて、結果発表を確認するとしようぜ』
『試合数も少なくなってきてるからな。特にマスターリーグはもう終わっちまったようだが、結果発表は全リーグ同時にさせてもらうぜ!』
『まだ残っている試合はありますよ! こちらはコリーヌ・エヴァンズVSシガレット=ウナギパイの試合中継です!』
川と岩場のフィールドは視界が開かれており、フィールドそのものの広さもあって遠距離攻撃が比較的有利だ。
シガレット=ウナギパイ(ka2884)は岩陰に隠れ、対戦相手のコリーヌ・エヴァンズ(ka0828)の到来を待っていた。
(……来たなァ。隠れるわけでも逃げるわけでもなく、正直に接近してくるとは……コリーヌらしい、か)
思わず苦笑を浮かべつつ、シガレットは重い腰を上げた。
岩陰から飛び出すと、シガレットは神罰銃「パニッシュメント」を構え、銃口に黒い光を収束させる。
『おっと、状況が動きました! シガレット選手、待ち伏せからのシャドウブリットです!』
「おっ! ようやく表れたね……っと!」
これをコリーヌは問題なく回避し、強く地を蹴り走り出す。
全力疾走で距離を詰め、近接戦闘を仕掛ける狙いだ。
「特A同士の対決……むふー、燃えてきたんだよ! シガーさん、覚悟はいいのかぬ!?」
「はからずも特A対決になった時点で済ませてるぜェ。さーて、いっちょやるかねェ!」
接近するコリーヌへシャドウブリットを放つシガレットだが、コリーヌは余裕の足取りで回避する。
『あーっと、シガレット選手の攻撃が命中しません! 距離を詰められます!』
『ウナパイ先輩、リーチの優位を失ったのう』
コリーヌは衝撃拳「発勁掌波」を纏った拳を繰り出す。ワイルドラッシュによる連続攻撃だ。
しかしこれに対しシガレットはシールド「エスペランサ」で的確にガード。二連続の攻撃を無傷で凌いだ。
「危ねェ危ねェ……次はこっちの番だぜェ!」
距離を詰められたシガレットはセイクリッドフラッシュを発動。
眩い無数の光がコリーヌを襲う。だが、コリーヌはこれをかろうじて掻い潜り、更に拳を繰り出した。
『コリーヌ選手、距離を詰めてインファイトを狙っていきます!』
ワイルドラッシュによる連続攻撃は続く。一発目は問題なくガード、しかし次の攻撃はガードをすり抜けシガレットの胴にめり込んだ。
『おっとぉ、クリーンヒットだぁ!?』
「ぐぉの……やるじゃねェか」
背後へ跳び、距離を取って自らの傷口に手を当てるシガレット。ヒールによる回復だ。
「やらせ、ぬっ!」
『コリーヌ選手徹底的に距離を詰めます! シガレット選手安全域には逃れられません! 更なる追撃です!』
『だが、シガレットの守りはかなり固いぜ。当たり所が良けりゃ、コリーヌの攻撃をノーダメージで抑え込める。手数が増えればクリーンヒットのチャンスもあるが……』
お返しと言わんばかりのシガレットのセイクリッドフラッシュがコリーヌを襲った。
『セイクリッドフラッシュは避けづらいんだよなあ……むしろよく回避してるぜ』
『シガレット選手の攻撃がヒット?! これは大きなダメージです!』
「まだまだやれるよー!」
コリーヌはリジェネレーションによる回復を開始。回避との相性はよく、その間に体力を回復できる見込みだ。
次のセイクリッドフラッシュは回避に成功。傷を癒しながら繰り出した拳がシガレットの顔にめり込む。
「打つべし……えぐりこむように打つべしなんだぬ!」
『しかし、シガレット選手倒れません! かなり体力の余裕を感じます!』
『ウナパイ先輩そーとータフじゃのー』
続けて繰り出す第二の拳。しかしコリーヌのこの拳は大きく空振りしてしまう。
シガレットが避けたのではない。足元が滑りでもしたのだろうか。勝手にあらぬ方向へ大振りを放ってしまったのだ。
「あ」
それは次のシガレットが攻撃をする際に有利に働いてしまった。
元々回避が困難なセイクリッドフラッシュではあったが、これが直撃。コリーヌは大きく背後へ吹き飛びダウンした。
『……んんん!? どういう……解説のスメラギさん!?』
『まあ……その、不運だな。結局、相性的にもシガレットが上手だったが……リジェネの回復が間に合ってないのもキツかったな』
「ぬーん……負けちゃったんだよー……」
「大丈夫かァ?」
「大丈夫だけど、悔しいなぁ……せっかく隊長が見に来てくれてるのに……」
仰向けに大の字に倒れたコリーヌを抱き起し、シガレットは笑みを浮かべる。
「精一杯やったんだ。負けたってちゃあんと見てくれてるさ。お前の頑張りは、なァ」
二人は一緒に観客席の方へ目を向けた。そうしてコリーヌが立ち上がると、二人に惜しみない拍手が降り注ぐのであった。
『さてさて、第三試合もそろそろ終了でしょうか?』
『ああ。結果発表が迫ってきたな。実況中継も一旦引き上げて、結果発表を確認するとしようぜ』
(執筆:神宮寺飛鳥)
(文責:フロンティアワークス)
対戦結果(文責:フロンティアワークス)
戦場:川+岩場 岩陰に隠れるシガレットを探すコリーヌ。シガレットがシャドウブリットで先制を仕掛け、戦闘開始。 接近するコリーヌへ攻撃を命中させられず接近を許すが、コリーヌのワイルドラッシュを的確にさばくシガレット。 回避困難なセイクリッドフラッシュを躱し攻撃するコリーヌはクリティカルヒットでダメージを与えるも、シガレットはヒールで危なげなく回復を行う。 ワイルドラッシュの途中でコリーヌがファンブルした後、シガレットのセイクリッドフラッシュが命中。 リジェネレーションの回復で補えるダメージではなく、魔法が二発命中すると、コリーヌは倒れシガレットの勝利となった。 |
予選トーナメント3回戦 ピックアップバトル!(7月1日)
6月16日 | 6月17日 | 6月20日 | 6月24日 | 6月27日 | 6月30日 | 7月1日 | 7月4日 | 7月7日 | 7月11日 | 7月14日 | 7月15日 |
柏木 千春 VS シェリル・マイヤーズ (ミドルリーグ予選Aブロック)
『試合も進行し、だいぶ選手も少なくなってきたのう』
『武闘大会も折り返しだな。中継先はよく考えねぇと、トトカルチョのオッズに響くぜ?』
『まだまだ盛り上がっていきましょう! さて、続きましてはミドルリーグAブロック! 柏木千春バーサス、シェリル・マイヤーズ!!』
フィールドは街。幾つかの建物が並ぶその中を、柏木 千春(ka3061)は壁を背にするように走っていた。
相手は疾影士、奇襲の一撃を受けるのが最も怖い。だからこそ眼鏡にかなう場所を見つけた千春は、そこでどっしり構えて動こうとはしなかった。
シェリル・マイヤーズ(ka0509)は気配を殺しながら千春を探していたが、千春が行き止まりで堂々と待ち構えているのを確認し、奇襲は難しい事を悟る。
先に仕掛けたのはシェリルだ。束ねた手裏剣「八握剣」を一気に放ち、千春へと降り注がせる。
『シェリル選手先制攻撃です! しかし……柏木選手殆どダメージを受けていません!』
飛来する手裏剣に対し、千春は怯みもせずに盾を構えて突っ込んでいく。
(魔法で攻撃してこない……? なら……)
シェリルは背後へ跳びつつ更に手裏剣を投げつける。正確な狙いは千春を捉えているが、千春はこれを盾で容易に弾き飛ばした。
「このくらい、へっちゃらです……!」
移動性能はシェリルの方が上だが、攻撃もせずに全力で突っ込んでくる千春との距離を保ち続ける事はできない。
遠距離魔法を警戒していたシェリルだが、どうやらそうではないらしい事に気づき、少し意外そうに目を丸くする。
「突っ込んで……くるんだ。思い切り……いい……ね」
「お互い、悔いの残らないように頑張りましょう……行きます!」
聖杖「プロト・サーム」を掲げ、それを振り下ろす千春。
収束したマテリアルは放射状の無数の光を発生させる。それはまるで針の筵だ。
『セイクリッドフラッシュです!』
『あの魔法は攻撃密度と面制圧能力が高い。回避は困難だぜ……なに?』
驚いたのはスメラギだけではない。おびただしい数の光の中を、シェリルは問題なく回避し距離を詰めてくる。
足に集めたマテリアルで地を蹴り、一息に接近したシェリルが試作振動刀「オートMURAMASA」を抜く様に千春は目を見張る。
非常に早い斬撃、しかし千春はその刃の軌跡をきちんと捉えていた。向かってくる光……それが確かに屈折する瞬間を見る。 一度迫った刃が返り、別角度からの攻撃――フェイントアタックだ。
しかし千春はこれを盾できちんと弾く。そのまま踏み込むように盾で殴りかかるが、シェリルはそれを読んでいたように自らも肩からぶつかっていく。
二人が同時に弾かれ一歩背後へ。そこで二人は驚きに息を呑んだ。
(この人……フェイントが……)
(この方……シールドバッシュが……)
((効いてない?))
「――光よ!」
更に千春はセイクリッドフラッシュを放つ。これを跳躍し、空を回転するようにして躱すと、落下しつつシェリルは振動刀を振り下ろす。
しかしその刃は届かない。千春のガードは完璧で、お返しにシェリルをバッシュしようとするが、それもかわされてしまう。
『何やらハイレベルな攻防が繰り広げられているようですかスメラギ様!?』
『あー。フェイントもバッシュも、抵抗能力があれば防げる理屈なんだよ』
「連続でセイクリッドフラッシュを避けるなんて……」
「攻撃が……通じない……?」
背後へ大きく跳びながら手裏剣を投げるシェリル。千春はこれを受けながらも走り、回りこむようにして逃げ場を潰していく。
(射程ではあちらのほうが圧倒的に有利……前に出なくちゃ……前に!)
(手裏剣は効かない……でも……堅牢な砦も……きっと、切り崩せる……)
二人は再び激突。そこでもまた互角の闘いを繰り広げる。
シェリルの回避能力はかなりのものだが、千春の防御力も相当なもの。
お互い決定的なダメージを相手に与えられない状況が続くが、千春には回避困難な魔法攻撃であるセイクリッドフラッシュがある。
シェリルの運動性を支える瞬脚の使用回数は8回。一方、千春のセイクリッドフラッシュは17回という脅威の回数を誇る。
シールドバッシュとフェイントの闘いも、千春にはレジストがあり、こちらも有利。
つまり、長期戦になればなるほど徐々にスキルが明暗を分けていくのだ。
『あ?っと、シェリル選手、セイクリッドフラッシュを避けきれません!』
『千春の魔法威力はかなりのもんだ。かすっただけでもダメージは避けられないぜ』
それでも諦めず攻め続けるシェリルに少しずつダメージが増えていく千春だが、体力にはまだ余力があった。
「これで……終わりです!」
やはり勝負を決めたのはセイクリッドフラッシュで、回避を残ったシェリルはその光の前に吹き飛び、ダウンする事となった。
『あーっと、ここでシェリル選手ダウンです!』
『ん?、スキルの回数と相性が明暗を分けたな』
仰向けに倒れたシェリルに駆け寄り、傍らに膝を着く千春。
「だ、大丈夫ですか?」
「ん……このくらい平気……」
上体を持ち上げたシェリル。二人の少女は互いの顔を見つめ、少し笑った。
試合開始前には綺麗だった二人の顔も、今は汗まみで泥まみれ、おまけに血も付いている。
「ヘンな……顔、だね」
「あ……。ふふ、そう……そうですね、ふふふ」
千春の手を借りてシェリルが立ち上がると、大きな歓声が二人を包み込むのであった。
『武闘大会も折り返しだな。中継先はよく考えねぇと、トトカルチョのオッズに響くぜ?』
『まだまだ盛り上がっていきましょう! さて、続きましてはミドルリーグAブロック! 柏木千春バーサス、シェリル・マイヤーズ!!』
フィールドは街。幾つかの建物が並ぶその中を、柏木 千春(ka3061)は壁を背にするように走っていた。
相手は疾影士、奇襲の一撃を受けるのが最も怖い。だからこそ眼鏡にかなう場所を見つけた千春は、そこでどっしり構えて動こうとはしなかった。
シェリル・マイヤーズ(ka0509)は気配を殺しながら千春を探していたが、千春が行き止まりで堂々と待ち構えているのを確認し、奇襲は難しい事を悟る。
先に仕掛けたのはシェリルだ。束ねた手裏剣「八握剣」を一気に放ち、千春へと降り注がせる。
『シェリル選手先制攻撃です! しかし……柏木選手殆どダメージを受けていません!』
飛来する手裏剣に対し、千春は怯みもせずに盾を構えて突っ込んでいく。
(魔法で攻撃してこない……? なら……)
シェリルは背後へ跳びつつ更に手裏剣を投げつける。正確な狙いは千春を捉えているが、千春はこれを盾で容易に弾き飛ばした。
「このくらい、へっちゃらです……!」
移動性能はシェリルの方が上だが、攻撃もせずに全力で突っ込んでくる千春との距離を保ち続ける事はできない。
遠距離魔法を警戒していたシェリルだが、どうやらそうではないらしい事に気づき、少し意外そうに目を丸くする。
「突っ込んで……くるんだ。思い切り……いい……ね」
「お互い、悔いの残らないように頑張りましょう……行きます!」
聖杖「プロト・サーム」を掲げ、それを振り下ろす千春。
収束したマテリアルは放射状の無数の光を発生させる。それはまるで針の筵だ。
『セイクリッドフラッシュです!』
『あの魔法は攻撃密度と面制圧能力が高い。回避は困難だぜ……なに?』
驚いたのはスメラギだけではない。おびただしい数の光の中を、シェリルは問題なく回避し距離を詰めてくる。
足に集めたマテリアルで地を蹴り、一息に接近したシェリルが試作振動刀「オートMURAMASA」を抜く様に千春は目を見張る。
非常に早い斬撃、しかし千春はその刃の軌跡をきちんと捉えていた。向かってくる光……それが確かに屈折する瞬間を見る。 一度迫った刃が返り、別角度からの攻撃――フェイントアタックだ。
しかし千春はこれを盾できちんと弾く。そのまま踏み込むように盾で殴りかかるが、シェリルはそれを読んでいたように自らも肩からぶつかっていく。
二人が同時に弾かれ一歩背後へ。そこで二人は驚きに息を呑んだ。
(この人……フェイントが……)
(この方……シールドバッシュが……)
((効いてない?))
「――光よ!」
更に千春はセイクリッドフラッシュを放つ。これを跳躍し、空を回転するようにして躱すと、落下しつつシェリルは振動刀を振り下ろす。
しかしその刃は届かない。千春のガードは完璧で、お返しにシェリルをバッシュしようとするが、それもかわされてしまう。
『何やらハイレベルな攻防が繰り広げられているようですかスメラギ様!?』
『あー。フェイントもバッシュも、抵抗能力があれば防げる理屈なんだよ』
「連続でセイクリッドフラッシュを避けるなんて……」
「攻撃が……通じない……?」
背後へ大きく跳びながら手裏剣を投げるシェリル。千春はこれを受けながらも走り、回りこむようにして逃げ場を潰していく。
(射程ではあちらのほうが圧倒的に有利……前に出なくちゃ……前に!)
(手裏剣は効かない……でも……堅牢な砦も……きっと、切り崩せる……)
二人は再び激突。そこでもまた互角の闘いを繰り広げる。
シェリルの回避能力はかなりのものだが、千春の防御力も相当なもの。
お互い決定的なダメージを相手に与えられない状況が続くが、千春には回避困難な魔法攻撃であるセイクリッドフラッシュがある。
シェリルの運動性を支える瞬脚の使用回数は8回。一方、千春のセイクリッドフラッシュは17回という脅威の回数を誇る。
シールドバッシュとフェイントの闘いも、千春にはレジストがあり、こちらも有利。
つまり、長期戦になればなるほど徐々にスキルが明暗を分けていくのだ。
『あ?っと、シェリル選手、セイクリッドフラッシュを避けきれません!』
『千春の魔法威力はかなりのもんだ。かすっただけでもダメージは避けられないぜ』
それでも諦めず攻め続けるシェリルに少しずつダメージが増えていく千春だが、体力にはまだ余力があった。
「これで……終わりです!」
やはり勝負を決めたのはセイクリッドフラッシュで、回避を残ったシェリルはその光の前に吹き飛び、ダウンする事となった。
『あーっと、ここでシェリル選手ダウンです!』
『ん?、スキルの回数と相性が明暗を分けたな』
仰向けに倒れたシェリルに駆け寄り、傍らに膝を着く千春。
「だ、大丈夫ですか?」
「ん……このくらい平気……」
上体を持ち上げたシェリル。二人の少女は互いの顔を見つめ、少し笑った。
試合開始前には綺麗だった二人の顔も、今は汗まみで泥まみれ、おまけに血も付いている。
「ヘンな……顔、だね」
「あ……。ふふ、そう……そうですね、ふふふ」
千春の手を借りてシェリルが立ち上がると、大きな歓声が二人を包み込むのであった。
(執筆:神宮寺飛鳥)
(文責:フロンティアワークス)
対戦結果(文責:フロンティアワークス)
戦場:街中 気配を消して索敵するシェリルに対し、千春は壁を背に行き止まりで待ち構える。 シェリルは手裏剣「八握剣」で遠距離攻撃を仕掛けるが、千春への有効打には至らない。 距離を詰めた千春はセイクリッドフラッシュを放つが、回避難度が高いにも関わらずシェリルは回避し接近戦へ。 フェイントアタックを交え試作振動刀「オートMURAMASA」による攻撃を千春は的確にガード。 そして千春がシールド「グランシャリオ」で放つシールドバッシュも、シェリルは見事にさばく。 一進一退、互角の攻防を繰り広げたが、相手の継戦能力への対策となるセイクリッドフラッシュを持っていた千春が最終的には勝利した。 |
予選トーナメント3回戦 ピックアップバトル!(6月30日)
6月16日 | 6月17日 | 6月20日 | 6月24日 | 6月27日 | 6月30日 | 7月1日 | 7月4日 | 7月7日 | 7月11日 | 7月14日 | 7月15日 |
アリア ウィンスレッド VS ラミア・マクトゥーム (ルーキーリーグ予選Dブロック)
『さあ?いよいよ武闘大会予選も三回戦! 勝ち残りのハンターも少なくなって来ました!』
『大体半分くらいは敗退したことになるからのう?』
『武闘大会は敗者復活戦もあるから、最後まで目が離せないぜ。トトカルチョチケットも買ってくれよな』
『スメラギがだんだん商業的になってきておるぞぉおおお!?』
『それはさておき! こちらはルーキーブロック廃墟フィールド!』
視界が悪く、広大な廃墟において、まずは対戦相手との遭遇がどのような形になるのかが重要だ。
ラミア・マクトゥーム(ka1720)は姿勢を低くし、物音を立てないように移動していたが……。
(おかしいな……? どこからも音が聞こえてこないなんて)
ラミアは霊闘士。超聴覚を以ってすれば、索敵においてアドバンテージを得る事ができる。
しかし、どこからも相手の気配が感じられない。もちろん、気配を遮断するようなハンターもいるにはいるが……。
(まったくなんの音も立てないなんて、そんな事が可能なの?)
慎重に慎重を期し、ラミアはフィールドを放浪する。
相手の出方がわからない緊張感の中、彼女が覗き込んだのは崩れた家屋の残骸であった。
既に建造物としての体裁を成していない残骸ではあったが、身を隠すくらいのスペースはある。
対戦相手のアリア ウィンスレッド(ka4531)はそこにずっと潜んでいたのだ。
「――最初からね!」
そう言いながらメイス「グラーティア」からシャドウブリットを放つ。
奇襲ではあったが、ラミアはこれを咄嗟に回避。納得したように笑みを浮かべる。
「ははあ。試合開始直後、目の前にあった障害物に隠れたわけね」
つまり、間違いなく不利になる索敵合戦の拒否。これも戦略というわけか。
「音がしないわけだ――ね!」
ラミアは強く地を蹴り、一気にアリアへ距離を詰める。
「マクトゥームの娘、ラミア! いっくよー!!」
繰り出すのは鉄拳「紫微星」によるパンチ。これをアリアはシールド「セラフィム・テフィラ」で受け止めるが……。
「うっ……属性が……!?」
激突する二人のマテリアルが相反する黒白の光を放つ。
そう。紫微星は闇属性。そしてセラフィム・テフィラは光属性……。
『あーっと、アリア選手、ガードしてもダメージが大きく軽減できません!』
「もう一発!」
体を回転させ、更に拳を繰り出すラミアのワイルドラッシュを前に、アリアは盾を下ろし、腹に拳の直撃を受けた。
『アリア選手ノーガード!?』
『属性ダメージを考慮すると、ノーガードの方がいい場合があるぜ。それに……』
アリアの体は事前に施したプロテクションによって守られている。ラミアの攻撃を受けても致命傷ではない。
「撲殺魔法少女アリア爆誕! なんてね♪」
アリアは至近距離から再びシャドウブリットを放つ。ラミアはこれを身を躱しながら紫微星で掴み、握り潰す。
『シャドウブリットは闇属性の魔法だ。ラミアはその対策として闇の武器を持ってきたんだろうぜ』
故に、光の盾への効果は副次的なもの。アリアは闇属性の攻撃はイメージ外だろうと持ちこんだのだが……。
「光の魔法は盾で受けて、闇の魔法は手甲で受ける! 属性攻撃は対策済みなのよね!」
白い歯を見せ笑うラミア。更に拳の連打でアリアを打ち付ける。
『アリア選手、ラッシュを防御できないにも関わらず、耐えています!』
『地の防御能力が高いな。それに……』
ラミアの拳が鋭く腹にめり込んだ瞬間、淡い光がアリアを包み衝撃を緩和している。
『闘祭用のマテリアル効果で凌いだんだ』
「あきれた! あんた大した根性してるわ!」
「メディックっていうのはね、最後まで倒れちゃいけないんだよ!」
メイスにマテリアルを纏わせ、フォースクラッシュを放つアリア。
魔法での攻撃は有効ではない。ならば、近接打撃に望みを賭けるしかなかった。
しかし、メイスはラミアを捉えられない。機動性能はラミアの方が上。属性不利もあり、じわじわと追い詰められていく。
『乙女同士、鈍器による壮絶な殴り合いです!』
「もうプロテクションの効果もきれたでしょ! いい加減倒れなよ!」
ラミアの拳がいよいよクリーンヒットすると、アリアは体をくの字に折り曲げ、前のめりに倒れていく。
それを抱き留め地面に横たわらせると、ラミアは額の汗を拭い大きく息を吐いた。
『試合終了?!! ラミア選手の勝利です!』
『ん?、やはり属性の相性による面が大きかったかの?』
「うぅ……あたしの負け……?」
「残念ながらね。でも、すごいガッツだったわよ」
そんな勝算の言葉に頷き、アリアは気を失うのだった。
『大体半分くらいは敗退したことになるからのう?』
『武闘大会は敗者復活戦もあるから、最後まで目が離せないぜ。トトカルチョチケットも買ってくれよな』
『スメラギがだんだん商業的になってきておるぞぉおおお!?』
『それはさておき! こちらはルーキーブロック廃墟フィールド!』
視界が悪く、広大な廃墟において、まずは対戦相手との遭遇がどのような形になるのかが重要だ。
ラミア・マクトゥーム(ka1720)は姿勢を低くし、物音を立てないように移動していたが……。
(おかしいな……? どこからも音が聞こえてこないなんて)
ラミアは霊闘士。超聴覚を以ってすれば、索敵においてアドバンテージを得る事ができる。
しかし、どこからも相手の気配が感じられない。もちろん、気配を遮断するようなハンターもいるにはいるが……。
(まったくなんの音も立てないなんて、そんな事が可能なの?)
慎重に慎重を期し、ラミアはフィールドを放浪する。
相手の出方がわからない緊張感の中、彼女が覗き込んだのは崩れた家屋の残骸であった。
既に建造物としての体裁を成していない残骸ではあったが、身を隠すくらいのスペースはある。
対戦相手のアリア ウィンスレッド(ka4531)はそこにずっと潜んでいたのだ。
「――最初からね!」
そう言いながらメイス「グラーティア」からシャドウブリットを放つ。
奇襲ではあったが、ラミアはこれを咄嗟に回避。納得したように笑みを浮かべる。
「ははあ。試合開始直後、目の前にあった障害物に隠れたわけね」
つまり、間違いなく不利になる索敵合戦の拒否。これも戦略というわけか。
「音がしないわけだ――ね!」
ラミアは強く地を蹴り、一気にアリアへ距離を詰める。
「マクトゥームの娘、ラミア! いっくよー!!」
繰り出すのは鉄拳「紫微星」によるパンチ。これをアリアはシールド「セラフィム・テフィラ」で受け止めるが……。
「うっ……属性が……!?」
激突する二人のマテリアルが相反する黒白の光を放つ。
そう。紫微星は闇属性。そしてセラフィム・テフィラは光属性……。
『あーっと、アリア選手、ガードしてもダメージが大きく軽減できません!』
「もう一発!」
体を回転させ、更に拳を繰り出すラミアのワイルドラッシュを前に、アリアは盾を下ろし、腹に拳の直撃を受けた。
『アリア選手ノーガード!?』
『属性ダメージを考慮すると、ノーガードの方がいい場合があるぜ。それに……』
アリアの体は事前に施したプロテクションによって守られている。ラミアの攻撃を受けても致命傷ではない。
「撲殺魔法少女アリア爆誕! なんてね♪」
アリアは至近距離から再びシャドウブリットを放つ。ラミアはこれを身を躱しながら紫微星で掴み、握り潰す。
『シャドウブリットは闇属性の魔法だ。ラミアはその対策として闇の武器を持ってきたんだろうぜ』
故に、光の盾への効果は副次的なもの。アリアは闇属性の攻撃はイメージ外だろうと持ちこんだのだが……。
「光の魔法は盾で受けて、闇の魔法は手甲で受ける! 属性攻撃は対策済みなのよね!」
白い歯を見せ笑うラミア。更に拳の連打でアリアを打ち付ける。
『アリア選手、ラッシュを防御できないにも関わらず、耐えています!』
『地の防御能力が高いな。それに……』
ラミアの拳が鋭く腹にめり込んだ瞬間、淡い光がアリアを包み衝撃を緩和している。
『闘祭用のマテリアル効果で凌いだんだ』
「あきれた! あんた大した根性してるわ!」
「メディックっていうのはね、最後まで倒れちゃいけないんだよ!」
メイスにマテリアルを纏わせ、フォースクラッシュを放つアリア。
魔法での攻撃は有効ではない。ならば、近接打撃に望みを賭けるしかなかった。
しかし、メイスはラミアを捉えられない。機動性能はラミアの方が上。属性不利もあり、じわじわと追い詰められていく。
『乙女同士、鈍器による壮絶な殴り合いです!』
「もうプロテクションの効果もきれたでしょ! いい加減倒れなよ!」
ラミアの拳がいよいよクリーンヒットすると、アリアは体をくの字に折り曲げ、前のめりに倒れていく。
それを抱き留め地面に横たわらせると、ラミアは額の汗を拭い大きく息を吐いた。
『試合終了?!! ラミア選手の勝利です!』
『ん?、やはり属性の相性による面が大きかったかの?』
「うぅ……あたしの負け……?」
「残念ながらね。でも、すごいガッツだったわよ」
そんな勝算の言葉に頷き、アリアは気を失うのだった。
(執筆:神宮寺飛鳥)
(文責:フロンティアワークス)
対戦結果(文責:フロンティアワークス)
戦場:廃墟 ラミアは姿勢を低くし、遭遇を警戒しつつ超聴覚で索敵。 一方アリアは最初から敵を探さず、廃屋の中でプロテクションを施しつつラミアを待ち構える。 やがてラミアがアリアを発見すると、急接近からのワイルドラッシュによる攻撃が開始される。 正面からの殴り合いをアリアは持ち前の防御力で持ち堪えるが、ラミアに反撃が命中しない。 相当な回数の攻撃に耐えたアリアだが、プロテクションの効果切れもありじりじりと体力を削られ、倒れた。 |
予選トーナメント2回戦 ピックアップバトル!(6月27日)
6月16日 | 6月17日 | 6月20日 | 6月24日 | 6月27日 | 6月30日 | 7月1日 | 7月4日 | 7月7日 | 7月11日 | 7月14日 | 7月15日 |
リンカ・エルネージュ VS オウガ (ミドルリーグ予選Bブロック)
『続きましてはミドルリーグ! 川+岩場マップの様子です!』
リンカ・エルネージュ(ka1840)とオウガ(ka2124)の試合は、広大なマップで、まずは睨み合いの様相となる。
リーチにおいて魔術師であるリンカに勝るべくもないオウガは、必然的に距離を詰めて一撃を加える必要がある。
岩という障害物が散見されるこのマップでも、それはなかなか容易な事ではなかった。
「こっちが完全に距離を詰め切るまで、最低でも二回は攻撃を躱さなくっちゃあな」
「ふっふーん。残念だけど、ここでは私の方が有利だよ。さぁ、どんな風に楽しませてくれるのかな?」
鼻頭を擦り、オウガは呼吸を整える。二人の選手を隔たる川にかけられた橋を、リンカは慎重に進んでいく。
やがてオウガが動いた。岩陰から飛出し全力疾走でリンカを目指すが、それは彼女の射程圏内に入る事を意味している。
『オウガ選手、勝負に出ました! しかしリンカ選手は万全の体勢で迎え撃つぞー!』
『このマップは特に遠距離攻撃に有利だからな。さて、オウガの接近は許されるかねぇ?』
「勇敢だねぇ、そう来なくっちゃ。これも何かのご縁だもん。一緒に観客を盛り上げよう!」
リンカの差し出す掌に火炎が渦巻き、小さな火球を作る。
「炎よ、鮮烈に咲き誇れ! 皆の瞳に焼き付けて……“彼岸花”!」
火球は橋を進むオウガにまっすぐ迫る。そして蕾が花開くように炎が爆散し、オウガの姿を包み込んだ。
『あーっとこれは直撃か!?』
『魔術師の範囲攻撃魔法は避け辛いものが多いからな……ん?』
しかし次の瞬間、炎を突き抜けて飛び出すオウガの姿が見えた。
『どうやらオウガ選手、爆発から逃れたようです!?』
「ギリギリだけどなぁ!」
更にリンカは彼岸花を使用。爆炎がオウガを包み込むが、オウガはナックル「セルモクラスィア」で炎をかき分け進んでくる。
『リンカの魔法はかなりの威力のはずだが、オウガは魔法の属性に合わせた装備で防御してるみてぇだな』
オウガの武器はそれぞれ水と火の属性を持つ。これはリンカの魔法への対策をしっかりと練ってきた証拠だろう。
更にリジェネレーションで回復しながら距離を詰めると、いよいよリンカを間合いに捉えようとしていた。しかし……。
『リンカ選手、橋から飛び降りました!』
オウガから逃れるように川へ飛び降りたリンカだが、その爪先は沈むことなく、水面にしっかりと着地する。
『ウォーターウォークです! 事前にかけていた!』
水上に逃げられてはまた攻撃が届かなくなる。勝機を得る為に、オウガはハンマー「クリスタロス」を振り上げ、水面に叩き付けた。
勢いよく上がった水飛沫にリンカは怯んだが、構わず魔法を詠唱。アイスボルトを放つと、今度はオウガはクリスタロスで氷の牙を打ち払う。
『オウガ選手、魔法の属性に合わせて対応しています! しかし、氷の魔法による凍結が襲う?!』
「構わねぇ! ここで決められなきゃどっちにしろ勝ち目はねぇんだ! 行っくぜー!!」
そのまま橋から飛出し、リーチの長いクリスタロスを振るうオウガ。
ワイルドラッシュの素早い連撃はリンカの回避能力と考えれば十分に大打撃を与えられる計算であったが、腕の凍ったオウガの攻撃は大きく空ぶってしまう。
『そして……オウガ選手落水! ここでは身動きが取れません!』
『水飛沫を上げる作戦は面白いが、水飛沫を上げた時相手の視線を遮る為には、相手が水上か川の向こう岸にいる必要がある。そうでないと自分が落水するからな』
「あっぶな?……でも、こうなれば水上を走れる私の方勝ちだね!」
リンカの放った彼岸花が爆発し、オウガを吹き飛ばす。
どちらにせよオウガはもう次の攻撃を耐え抜けるほどの体力は残っておらず、目を回したオウガが水上にぷかりと浮かび上がった。
『決着です! 一瞬ひやっとするところもありましたが、リンカ選手の勝利です!』
『最後のオウガのワイルドラッシュがうまく決まっていれば一発逆転もあり得たな。回復も頑張ってたが、リンカの火力が高すぎたわけだ……』
沈みかかったオウガを引き上げ、岸まで運ぶリンカ。そうして観客の声援に応えるように大きく腕を振った。
リンカ・エルネージュ(ka1840)とオウガ(ka2124)の試合は、広大なマップで、まずは睨み合いの様相となる。
リーチにおいて魔術師であるリンカに勝るべくもないオウガは、必然的に距離を詰めて一撃を加える必要がある。
岩という障害物が散見されるこのマップでも、それはなかなか容易な事ではなかった。
「こっちが完全に距離を詰め切るまで、最低でも二回は攻撃を躱さなくっちゃあな」
「ふっふーん。残念だけど、ここでは私の方が有利だよ。さぁ、どんな風に楽しませてくれるのかな?」
鼻頭を擦り、オウガは呼吸を整える。二人の選手を隔たる川にかけられた橋を、リンカは慎重に進んでいく。
やがてオウガが動いた。岩陰から飛出し全力疾走でリンカを目指すが、それは彼女の射程圏内に入る事を意味している。
『オウガ選手、勝負に出ました! しかしリンカ選手は万全の体勢で迎え撃つぞー!』
『このマップは特に遠距離攻撃に有利だからな。さて、オウガの接近は許されるかねぇ?』
「勇敢だねぇ、そう来なくっちゃ。これも何かのご縁だもん。一緒に観客を盛り上げよう!」
リンカの差し出す掌に火炎が渦巻き、小さな火球を作る。
「炎よ、鮮烈に咲き誇れ! 皆の瞳に焼き付けて……“彼岸花”!」
火球は橋を進むオウガにまっすぐ迫る。そして蕾が花開くように炎が爆散し、オウガの姿を包み込んだ。
『あーっとこれは直撃か!?』
『魔術師の範囲攻撃魔法は避け辛いものが多いからな……ん?』
しかし次の瞬間、炎を突き抜けて飛び出すオウガの姿が見えた。
『どうやらオウガ選手、爆発から逃れたようです!?』
「ギリギリだけどなぁ!」
更にリンカは彼岸花を使用。爆炎がオウガを包み込むが、オウガはナックル「セルモクラスィア」で炎をかき分け進んでくる。
『リンカの魔法はかなりの威力のはずだが、オウガは魔法の属性に合わせた装備で防御してるみてぇだな』
オウガの武器はそれぞれ水と火の属性を持つ。これはリンカの魔法への対策をしっかりと練ってきた証拠だろう。
更にリジェネレーションで回復しながら距離を詰めると、いよいよリンカを間合いに捉えようとしていた。しかし……。
『リンカ選手、橋から飛び降りました!』
オウガから逃れるように川へ飛び降りたリンカだが、その爪先は沈むことなく、水面にしっかりと着地する。
『ウォーターウォークです! 事前にかけていた!』
水上に逃げられてはまた攻撃が届かなくなる。勝機を得る為に、オウガはハンマー「クリスタロス」を振り上げ、水面に叩き付けた。
勢いよく上がった水飛沫にリンカは怯んだが、構わず魔法を詠唱。アイスボルトを放つと、今度はオウガはクリスタロスで氷の牙を打ち払う。
『オウガ選手、魔法の属性に合わせて対応しています! しかし、氷の魔法による凍結が襲う?!』
「構わねぇ! ここで決められなきゃどっちにしろ勝ち目はねぇんだ! 行っくぜー!!」
そのまま橋から飛出し、リーチの長いクリスタロスを振るうオウガ。
ワイルドラッシュの素早い連撃はリンカの回避能力と考えれば十分に大打撃を与えられる計算であったが、腕の凍ったオウガの攻撃は大きく空ぶってしまう。
『そして……オウガ選手落水! ここでは身動きが取れません!』
『水飛沫を上げる作戦は面白いが、水飛沫を上げた時相手の視線を遮る為には、相手が水上か川の向こう岸にいる必要がある。そうでないと自分が落水するからな』
「あっぶな?……でも、こうなれば水上を走れる私の方勝ちだね!」
リンカの放った彼岸花が爆発し、オウガを吹き飛ばす。
どちらにせよオウガはもう次の攻撃を耐え抜けるほどの体力は残っておらず、目を回したオウガが水上にぷかりと浮かび上がった。
『決着です! 一瞬ひやっとするところもありましたが、リンカ選手の勝利です!』
『最後のオウガのワイルドラッシュがうまく決まっていれば一発逆転もあり得たな。回復も頑張ってたが、リンカの火力が高すぎたわけだ……』
沈みかかったオウガを引き上げ、岸まで運ぶリンカ。そうして観客の声援に応えるように大きく腕を振った。
(執筆:神宮寺飛鳥)
(文責:フロンティアワークス)
対戦結果(文責:フロンティアワークス)
戦場:川+岩場 オウガはまず岩陰に潜み、リンカの接近を待つ。 射程で有利なリンカに決定打を叩きこむ為にオウガは接近を開始。 橋を渡るリンカの魔法をかわし、魔法に合わせた属性の装備で受ける事でダメージを抑えながら距離を詰める。 しかしリンカは事前に発動していたウォーターウォークの効果で水面に逃れる。 オウガはハンマー「クリスタロス」で水飛沫を起こしてからの奇襲でワイルドラッシュを放つが、直前に受けたアイスボルトの行動阻害で攻撃が命中せず。 その後、リンカによる魔法攻撃、贈花『彼岸花』に耐える体力はオウガに残されておらず、決着となった。 |
メンカル VS アルルベル・ベルベット (ルーキーリーグ予選Aブロック)
『変わりましてこちらはルーキーリーグAブロック! マップは障害物のある、リングBです!』
メンカル(ka5338)は障害物の密集したリング中央付近へは近づかず、スタート地点でもある外周付近で待ち構えていた。
デリンジャー「ラディウス」を構え、接近するアルルベル・ベルベット(ka2730)が姿を見せるのを待っていた。
『リングBは狭い戦場に複数の障害物が張り巡らされているのが特徴ですね?』
『そうだな。互いを発見してから戦闘開始に至るまでが早いのも特徴だな。近接攻撃の射程に相手を留めやすいのも……』
と、解説をしている間にアルルベルは姿を見せた。銃を構えるメンカル、しかしアルルベルも同じく銃を構えていた。
しかもアルルベルの魔導銃「ヴァンジャンス」は最大射程28。つまり、待ち構えていた筈の相手に先手を取られる事になる。
アルルベルが発砲すると、メンカルは素早く身を躱す。ドッジダッシュを使わなければ、いきなり強烈な攻撃を受けていただろう。
「射程で相手の方が有利……まさか、障害物をこちらが利用する事になろうとはな」
射線の維持を意識していたメンカルだが、こうなっては射線は通さない方が良い。
障害物となる壁を背に相手の出方を伺うメンカル。そんな彼に影が差すと、銃声が再び轟いた。
『おっと、これは?!? アルルベル選手、障害物の上に飛び乗っています!』
『他の試合でも見た、ジェットブーツによる移動だな。ま、よじ登るだけで時間がかかっちまうが……』
メンカルは自ら打って出ようとはしなかった。睨み合いになれば、小細工をする時間は十分にあった。
しかしアルルベルが撃ったのはヴァンジャンスより威力の劣るオートマチック「シュラーゲン」。壁の上から狙う際、メンカルとの距離が近すぎた。
『銃撃を肩に受けたメンカル選手、回避に失敗したダメージは大きいぞ!』
「壁があるなら飛び越えればいい、と」
「それも機導師の技か。面白い……!」
メンカルはラディウスによる反撃。これを避けそこなったアルルベルの足に着弾するが、防御障壁によりダメージは減衰される。
撃ち合いをする上で、奇襲を仕掛けるのでなければ高所に居座るメリットはなく、むしろ回避動作が困難になる事からアルルベルは飛び降りつつシュラーゲンを発砲。
メンカルは回避しつつこまめに移動するスキルに優れ、距離を保ちながら遮蔽物による防御を狙う。
射撃能力においては射程、威力共にアルルベルが優位。まともな撃ち合いになれば勝ち目は薄い。
しかし基礎的な移動力については、メンカルよりもアルルベルが上。つまり、距離コントロールの主導権はアルルベルにある。
『両選手、撃ち合いながら障害物の中を走っています!』
メンカルは回避能力に優れるが、アルルベルの攻撃威力の問題で、もう一発でもまともに食らえば倒れる可能性がある。
アルルベルは回避能力が低く、それを防御障壁で補っているが、やはり長期戦に耐えられるだけの体力はない。
「仕方あるまい。互いに長期戦は望まぬところ……一気に決めさせてもらおう」
そう言ってアルルベルはジェットブーツを使い、一気に距離を詰める。
これにファルシオン「ビーストタスク」を抜いて身構えるメンカル。アルルベルは掌に雷を起こし、これを放った。
『エレクトリックショックです! これを……メンカル選手、避けられません!』
既にドッジダッシュも尽きたメンカルは回避できずビーストタスクで受け止めるが、アルルベルの雷撃が身体を焼いていく。
回避能力を奪う為に放った雷撃ではあったが、アルルベルは既にそれを浴びて尚、立ち続けられるだけの体力を残していなかった。
「く……っ、ここまで……か……」
膝を着き、更に俯せに倒れこむメンカル。アルルベルはそれを見届け、小さく息を吐いた。
『メンカル選手ダウ?ン! 勝者、アルルベル・ベルベット!』
『攻撃力的にはどっちがうっかり倒れてもおかしくはなかったな。射程と動きでアルルベルが上回ったか』
『他のフィールドでも続々と結果が出ております! 白熱の予選第二回戦、その結末はいかに?!?』
対戦結果
メンカル(ka5338)は障害物の密集したリング中央付近へは近づかず、スタート地点でもある外周付近で待ち構えていた。
デリンジャー「ラディウス」を構え、接近するアルルベル・ベルベット(ka2730)が姿を見せるのを待っていた。
『リングBは狭い戦場に複数の障害物が張り巡らされているのが特徴ですね?』
『そうだな。互いを発見してから戦闘開始に至るまでが早いのも特徴だな。近接攻撃の射程に相手を留めやすいのも……』
と、解説をしている間にアルルベルは姿を見せた。銃を構えるメンカル、しかしアルルベルも同じく銃を構えていた。
しかもアルルベルの魔導銃「ヴァンジャンス」は最大射程28。つまり、待ち構えていた筈の相手に先手を取られる事になる。
アルルベルが発砲すると、メンカルは素早く身を躱す。ドッジダッシュを使わなければ、いきなり強烈な攻撃を受けていただろう。
「射程で相手の方が有利……まさか、障害物をこちらが利用する事になろうとはな」
射線の維持を意識していたメンカルだが、こうなっては射線は通さない方が良い。
障害物となる壁を背に相手の出方を伺うメンカル。そんな彼に影が差すと、銃声が再び轟いた。
『おっと、これは?!? アルルベル選手、障害物の上に飛び乗っています!』
『他の試合でも見た、ジェットブーツによる移動だな。ま、よじ登るだけで時間がかかっちまうが……』
メンカルは自ら打って出ようとはしなかった。睨み合いになれば、小細工をする時間は十分にあった。
しかしアルルベルが撃ったのはヴァンジャンスより威力の劣るオートマチック「シュラーゲン」。壁の上から狙う際、メンカルとの距離が近すぎた。
『銃撃を肩に受けたメンカル選手、回避に失敗したダメージは大きいぞ!』
「壁があるなら飛び越えればいい、と」
「それも機導師の技か。面白い……!」
メンカルはラディウスによる反撃。これを避けそこなったアルルベルの足に着弾するが、防御障壁によりダメージは減衰される。
撃ち合いをする上で、奇襲を仕掛けるのでなければ高所に居座るメリットはなく、むしろ回避動作が困難になる事からアルルベルは飛び降りつつシュラーゲンを発砲。
メンカルは回避しつつこまめに移動するスキルに優れ、距離を保ちながら遮蔽物による防御を狙う。
射撃能力においては射程、威力共にアルルベルが優位。まともな撃ち合いになれば勝ち目は薄い。
しかし基礎的な移動力については、メンカルよりもアルルベルが上。つまり、距離コントロールの主導権はアルルベルにある。
『両選手、撃ち合いながら障害物の中を走っています!』
メンカルは回避能力に優れるが、アルルベルの攻撃威力の問題で、もう一発でもまともに食らえば倒れる可能性がある。
アルルベルは回避能力が低く、それを防御障壁で補っているが、やはり長期戦に耐えられるだけの体力はない。
「仕方あるまい。互いに長期戦は望まぬところ……一気に決めさせてもらおう」
そう言ってアルルベルはジェットブーツを使い、一気に距離を詰める。
これにファルシオン「ビーストタスク」を抜いて身構えるメンカル。アルルベルは掌に雷を起こし、これを放った。
『エレクトリックショックです! これを……メンカル選手、避けられません!』
既にドッジダッシュも尽きたメンカルは回避できずビーストタスクで受け止めるが、アルルベルの雷撃が身体を焼いていく。
回避能力を奪う為に放った雷撃ではあったが、アルルベルは既にそれを浴びて尚、立ち続けられるだけの体力を残していなかった。
「く……っ、ここまで……か……」
膝を着き、更に俯せに倒れこむメンカル。アルルベルはそれを見届け、小さく息を吐いた。
『メンカル選手ダウ?ン! 勝者、アルルベル・ベルベット!』
『攻撃力的にはどっちがうっかり倒れてもおかしくはなかったな。射程と動きでアルルベルが上回ったか』
『他のフィールドでも続々と結果が出ております! 白熱の予選第二回戦、その結末はいかに?!?』
(執筆:神宮寺飛鳥)
(文責:フロンティアワークス)
(文責:フロンティアワークス)
対戦結果
戦場:リングB メンカルはリング外周で射線を確保し、アルルベルを待ち受ける。 しかしアルルベルの方が銃の射程が長く、先制攻撃を受けてしまう。 リーチの問題で障害物を利用せざるを得なくなるが、アルルベルはジェットブーツの機動性で障害物を巧みに利用。 回避能力に優れるメンカル、防御障壁でダメージを抑えるアルルベルの撃ち合いになるが、互いの銃の威力から短期決戦となる。 回避を封じる意味もあり、移動力で勝るアルルベルは接近してエレクトリックショックを放ち、これが決まり手となった。 |
予選トーナメント2回戦 ピックアップバトル!(6月24日)
6月16日 | 6月17日 | 6月20日 | 6月24日 | 6月27日 | 6月30日 | 7月1日 | 7月4日 | 7月7日 | 7月11日 | 7月14日 | 7月15日 |
クローディオ・シャール VS 真田 天斗 (ミドルリーグ予選Aブロック)
『さぁさぁさぁ、武闘大会も予選第二回戦! 本日はリングAより中継して参ります、竹村早苗です!』
『解説のスメラギだ。よろしく頼むぜ』
『ナディアじゃ! 時に、わらわ必要? スメラギだけでよくないかの?』
『リングAは狭くて障害物も少なく、リゼリオ内の特設ステージで行われます! 広域ステージと違って観客も多いぞ?! さあ、まずは選手入場です!』
真田 天斗(ka0014)はステージに上がると軽く腕を掲げて声援に応える。
「ふむ……まさか自分がバルツの記事に掲載される側になるとは。人生何があるかわからないものですね」
『対する北側は?あーっと! クローディオ選手、自転車で登場だ??!』
クローディオ・シャール(ka0030)は豪勢なマントをはためかせながらチリンチリンとベルを鳴らし、自転車でリングに向かってくる。
「自転車ではない、ママチャリだ。そして名前は――ヴィクトリア」
『クローディオ、わかっとると思うが自転車は使用禁止じゃぞ』
「承知している。共に戦う事はできないが……見守っていてくれ、ヴィクトリア」
安全ヘルメットを外し、颯爽とステージへ上がるクローディオ。
その様に天斗は目を瞑り、拳を構える。
「手合せ、よろしくお願いします」
『それでは??試合開始??!』
開戦のゴングが鳴ると同時、クローディオは魔法の発動、そして天斗は接近を選択。
「イクシード! さて……行きましょうか!」
「女神よ……加護となりて災厄を打ち払え。“Aegis”!」
降り注ぐ光がクローディオを覆うと、天斗は距離を開いたまま拳を構えた。
放たれたのはロケットパンチ。近接攻撃としての性能と投擲武器としての性能を持つ特殊武器だ。
『おっとー、完全に距離が詰まる前にミドルレンジからのロケットパンチだー!』
(狙いは足……機動力を削がせていただきましょう)
飛来する拳は狙い通り脚へ向かう。しかしクローディオはシールド「アネシス」でこれを的確に弾き飛ばした。
『完璧なガード! クローディオ選手、ノーダメージです!』
『魔法による防御力上昇もあり、相当な頑強さになってやがるな』
クローディオは接近。アネシスにマテリアルを纏わせた打撃を放つが、天斗は素早く回避。
発射したロケットパンチを回収し、更に拳を発射するが、これもクローディオは盾で無力化する。
『かたーい! クローディオ選手の防御能力を突破できません!』
『クローディオは回避性能を捨てて、防御一点張りだ。あの巧みな盾受け、デカい盾を使ってるとは思えねぇな』
クローディオは接近戦を挑むのだから、リロードが必要なロケットパンチによる部位狙いに意味はない。
そう判断した段階で天斗はリネンワイヤーによる攻撃にシフト。攻撃をかわし、背後へ回り込むようにしながら素早く攻撃を放つ。
「近接戦闘……これならばどうです!」
『真田選手、リング上を跳び回りながらの猛攻! 次々に繰り出されるワイヤーの攻撃……しかし、クローディオ選手は完璧に捌いているぞ!?』
クローディオは距離を詰め、盾……ではなく、左腕を振り上げた。
繰り出された拳は天斗の腹にめり込む。ただのパンチではない。金属製の魔導義手であった。
『クローディオの攻撃が当たったが、天斗もまだピンピンしておるの?』
『天斗は回避能力が高く、命中したとしてもクローディオは決定打に欠ける。こいつは長期戦になるぜ』
スメラギの解説通り、二人の戦いはなかなか決着がつかない。
巧みに攻撃を回避する天斗にたまに攻撃がかすっても、それで決着を迎えられる程クローディオに攻撃力はなく。
しかし天斗はクローディオの守りを突破できない。この状況で優勢なのはクローディオで、彼にはまだ回復手段まであった。
「まさか、殴り合いの泥試合になるとは思いませんでしたよ」
「互いにしぶとい……だが、負けるわけにはいかない。私には――待っている者がいるのだ!」
天斗の、そしてクローディオの鉄拳が互いを打ち合う。
しかし傷が蓄積するのは天斗の方。クローディオは盾にマテリアルを纏わせ、フォースクラッシュの一撃で天斗を大きく吹き飛ばした。
『お……っと、これは決着!! さすがに天斗選手、限界です!!』
「力及ばずですか……」
口元の血を拭い、観客席に深々と頭を下げる天斗。
一方クローディオは肩で息をしながら愛車に歩み寄り、その車体にそっと触れた。
「ただいま……ヴィクトリア」
『……なんだかわかりませんが、とにかくよし! これにて試合終了でーす!』
『いや……なんだったのじゃホント?』
「なんだではないヴィクトリアだ」
『よくわかったので、もう次の試合にいきますよー!』
『解説のスメラギだ。よろしく頼むぜ』
『ナディアじゃ! 時に、わらわ必要? スメラギだけでよくないかの?』
『リングAは狭くて障害物も少なく、リゼリオ内の特設ステージで行われます! 広域ステージと違って観客も多いぞ?! さあ、まずは選手入場です!』
真田 天斗(ka0014)はステージに上がると軽く腕を掲げて声援に応える。
「ふむ……まさか自分がバルツの記事に掲載される側になるとは。人生何があるかわからないものですね」
『対する北側は?あーっと! クローディオ選手、自転車で登場だ??!』
クローディオ・シャール(ka0030)は豪勢なマントをはためかせながらチリンチリンとベルを鳴らし、自転車でリングに向かってくる。
「自転車ではない、ママチャリだ。そして名前は――ヴィクトリア」
『クローディオ、わかっとると思うが自転車は使用禁止じゃぞ』
「承知している。共に戦う事はできないが……見守っていてくれ、ヴィクトリア」
安全ヘルメットを外し、颯爽とステージへ上がるクローディオ。
その様に天斗は目を瞑り、拳を構える。
「手合せ、よろしくお願いします」
『それでは??試合開始??!』
開戦のゴングが鳴ると同時、クローディオは魔法の発動、そして天斗は接近を選択。
「イクシード! さて……行きましょうか!」
「女神よ……加護となりて災厄を打ち払え。“Aegis”!」
降り注ぐ光がクローディオを覆うと、天斗は距離を開いたまま拳を構えた。
放たれたのはロケットパンチ。近接攻撃としての性能と投擲武器としての性能を持つ特殊武器だ。
『おっとー、完全に距離が詰まる前にミドルレンジからのロケットパンチだー!』
(狙いは足……機動力を削がせていただきましょう)
飛来する拳は狙い通り脚へ向かう。しかしクローディオはシールド「アネシス」でこれを的確に弾き飛ばした。
『完璧なガード! クローディオ選手、ノーダメージです!』
『魔法による防御力上昇もあり、相当な頑強さになってやがるな』
クローディオは接近。アネシスにマテリアルを纏わせた打撃を放つが、天斗は素早く回避。
発射したロケットパンチを回収し、更に拳を発射するが、これもクローディオは盾で無力化する。
『かたーい! クローディオ選手の防御能力を突破できません!』
『クローディオは回避性能を捨てて、防御一点張りだ。あの巧みな盾受け、デカい盾を使ってるとは思えねぇな』
クローディオは接近戦を挑むのだから、リロードが必要なロケットパンチによる部位狙いに意味はない。
そう判断した段階で天斗はリネンワイヤーによる攻撃にシフト。攻撃をかわし、背後へ回り込むようにしながら素早く攻撃を放つ。
「近接戦闘……これならばどうです!」
『真田選手、リング上を跳び回りながらの猛攻! 次々に繰り出されるワイヤーの攻撃……しかし、クローディオ選手は完璧に捌いているぞ!?』
クローディオは距離を詰め、盾……ではなく、左腕を振り上げた。
繰り出された拳は天斗の腹にめり込む。ただのパンチではない。金属製の魔導義手であった。
『クローディオの攻撃が当たったが、天斗もまだピンピンしておるの?』
『天斗は回避能力が高く、命中したとしてもクローディオは決定打に欠ける。こいつは長期戦になるぜ』
スメラギの解説通り、二人の戦いはなかなか決着がつかない。
巧みに攻撃を回避する天斗にたまに攻撃がかすっても、それで決着を迎えられる程クローディオに攻撃力はなく。
しかし天斗はクローディオの守りを突破できない。この状況で優勢なのはクローディオで、彼にはまだ回復手段まであった。
「まさか、殴り合いの泥試合になるとは思いませんでしたよ」
「互いにしぶとい……だが、負けるわけにはいかない。私には――待っている者がいるのだ!」
天斗の、そしてクローディオの鉄拳が互いを打ち合う。
しかし傷が蓄積するのは天斗の方。クローディオは盾にマテリアルを纏わせ、フォースクラッシュの一撃で天斗を大きく吹き飛ばした。
『お……っと、これは決着!! さすがに天斗選手、限界です!!』
「力及ばずですか……」
口元の血を拭い、観客席に深々と頭を下げる天斗。
一方クローディオは肩で息をしながら愛車に歩み寄り、その車体にそっと触れた。
「ただいま……ヴィクトリア」
『……なんだかわかりませんが、とにかくよし! これにて試合終了でーす!』
『いや……なんだったのじゃホント?』
「なんだではないヴィクトリアだ」
『よくわかったので、もう次の試合にいきますよー!』
(執筆:神宮寺飛鳥)
(文責:フロンティアワークス)
対戦結果(文責:フロンティアワークス)
戦場:リングA クローディオは加護『Aegis』で防御点を上げ、守りを固めるスタイル。 リーチで勝る天斗はロケットナックルで攻撃するが、クローディオは圧倒的な防御力で攻撃を寄せ付けない。 インファイトにおいてリロードが必要なロケットナックルを諦め、リネンワイヤーを選択する天斗。 互いに決定的な打撃力に欠け長期戦の様相となったが、クローディオのフォースクラッシュにより、いよいよ天斗が倒れた。 |
ジャック・J・グリーヴ VS 神楽 (マスターリーグ予選Aブロック)
『続きましてはマスターリーグ! 神楽選手VSジャック選手の試合です!』
リングに上がって待つ神楽(ka2032)の正面から、ジャック・J・グリーヴ(ka1305)がリングへ上がってくるが……。
『ジャック選手、なぜか上半身が裸です!!』
薔薇を咥えて登場したジャックはどこからともなく現れたスポットライトを浴び、その筋肉美を輝かせる。
『あいつなんで上半身裸なんだ?』
『おぬしにだけは絶対言われたくないと思うのじゃが、鏡を見てみよ? な?』
「フッ、俺様のこの大☆胸☆筋を民衆にお裾分けしてやろうと思ってな」
「何が大☆胸☆筋っすかー!! 顔がいいからって何やっても許されると思ったら大間違いっす!」
地団太踏む神楽をじっと見つめ、ジャックは小さく笑みを浮かべる。
「相手がてめぇで良かったぜ……」
「何がっすか!?」
対戦相手が女性だったらちょっと不利だったかもしれない。
そしてこれだけ観客席から距離があれば、女性に見られても気にならない!
「てめぇでてめぇを三下呼ばわりする奴に碌なのはいねぇ。三下には俺様が一流の戦いってやつを見せてやるぜ!」
そう挑発しながらマントを翻すと、金色の鎧を身に纏ったジャックの姿が。
『なんだかよくわかりませんが試合開始しますよ!? 試合……かいしーーーー!!』
「魅せてやるぜ、俺様の矜持を!」
守りの構えを取るジャックへ、神楽は大斧ダークアックスを手に接近する。
『神楽選手、待ち構えるジャック選手へ速攻です!』
長いリーチを生かした一撃、だがこれをジャックはシールド「セラフィム・マヴェット」で防ぐ。
『ジャック選手、ガード! しかしどこか様子がおかしいぞ??』
「ケケケ……さすがっすね! 俺がこの武器を持ってくるとわかっていたんすか?」
「まぁそんなこったろーとは思ったぜ……“闇の武器”!」
ジャックはワン・オブ・サウザンドを構え発砲するが、大斧を担いでいるのに神楽はかなりの素早さで攻撃は命中しない。
そして再び斧で襲い掛かると、盾でガードしそこね、足に斧の攻撃を受けてしまう。
「ぐおおっ!?」
『おっと、ジャック選手先ほどの攻撃ではピンピンしていたのに、ちょっとかすっただけで今度はダメージか!?』
『属性の問題だぜ。ジャックの鎧、カヴァーチャ・カルナは光属性。対する神楽のダークアックスは闇属性だ』
光と闇は互いに反目する属性。つまり、互いに受けるダメージが増加する関係性にある。
ジャックはこれを見越してか、闇属性の盾を用意していた。つまり盾で受ければダメージは大幅に軽減できるが……。
「命中すれば大ダメージっす! いっつもそんだけピカピカ光ってたら弱点を突けと言ってるようなモンっすよ、ケケケケ?!!」
「うるせぇ! 俺様は別に望んで輝いてるわけじゃねー! 勝手に輝いちまうんだよ!!」
ジャックは必死に銃で反撃するが、神楽は回避・防御共にハイレベルで、有効なダメージを与えられない。
銃弾が命中したとしても、直ぐにリジェネレーションによる回復が開始され、間をおけば自己治癒で完治される。
「俺は何度撃たれても立ち上がるっすよ……イケメンを倒すまではねぇ??!!」
『神楽選手恐ろしい回復能力! そしてすさまじい執念です!!』
ジャックは盾で受ければ殆どダメージを受けないが、全てを受けられるわけではない。
かわし、そして盾で受け、それでも受けるダメージは属性の問題で肥大化する。4?5回まともに食らえば倒れざるを得ない。
『ああっ、またジャック選手に斧が命中! 着実にダメージが蓄積していきます!』
『こいつは厳しいな……ジャックにとっちゃ相性の悪い相手だぜ』
苦し紛れに盾で殴りつけようとしても、すばしっこく動く神楽に当たらない。
そもそも強打で移動を封じたところで、障害物のないこのリングAでは立て直しが難しかった。
「ケケケ! 光では闇には絶対に勝てないんすよ?! 世の非モテの怨念に倒れるがいいっす?!」
「負ける……この俺様が、三下猿に……?」
脳裏に過る敗北のイメージにジャックはきつく目を瞑る。
「クソッタレ……俺様はもう、負けるわけにはいかねぇんだ!」
目を見開き引き金を引くジャック。その弾丸はちょろちょろ動く神楽へ吸い込まれるように命中する。
「ふぉおおお!? いてーっす! なんで当たったんすか!?」
『ク、クリーンヒット! これは神楽選手も流石に大ダメージです!』
『だが神楽は回復に専念すればすぐに立て直すぞ!』
「しゃらくせぇ! 当たりやがれぇえええ!!」
更に放たれた弾丸が神楽を襲う。既に神楽は回復を開始しており、受けたダメージを半分近く治療していた。だが――。
続けて飛来する弾丸が再び神楽を直撃。何が起きたのか理解できず、神楽は目を丸くしたままがくりと膝をついた。
「な、なん……で……っすか?」
明らかに神楽が有利であった。あと二回も盾を潜り抜ければ勝ちで、それまで十分持ちこたえられる算段だった。
誰の目から見ても、ほぼ神楽の勝ちは決まっていた。だが――。
『ク……クリーンヒットォ!? 連続でクリーンヒットです! あり得るんでしょうかこんな事!?』
『うっそぉ?ん?』
「理不尽……っすぅ……」
涙を流しながら神楽が倒れると、わっと歓声が沸きあがった。
『あー……。予選第一回戦でもこんなことあったが、まあ勝負は決着するまでわかんねぇもんだなあ……』
肩で息をし、決して少なくないダメージを笑顔で誤魔化しながら、ジャックは神楽に背を向ける。
「悪ィな。どうやら俺様は、勝利の女神に愛されちまってるらしい……ぜ」
去り際に放り投げた薔薇の花が、静かに神楽の胸に着地するのであった。
対戦結果
リングに上がって待つ神楽(ka2032)の正面から、ジャック・J・グリーヴ(ka1305)がリングへ上がってくるが……。
『ジャック選手、なぜか上半身が裸です!!』
薔薇を咥えて登場したジャックはどこからともなく現れたスポットライトを浴び、その筋肉美を輝かせる。
『あいつなんで上半身裸なんだ?』
『おぬしにだけは絶対言われたくないと思うのじゃが、鏡を見てみよ? な?』
「フッ、俺様のこの大☆胸☆筋を民衆にお裾分けしてやろうと思ってな」
「何が大☆胸☆筋っすかー!! 顔がいいからって何やっても許されると思ったら大間違いっす!」
地団太踏む神楽をじっと見つめ、ジャックは小さく笑みを浮かべる。
「相手がてめぇで良かったぜ……」
「何がっすか!?」
対戦相手が女性だったらちょっと不利だったかもしれない。
そしてこれだけ観客席から距離があれば、女性に見られても気にならない!
「てめぇでてめぇを三下呼ばわりする奴に碌なのはいねぇ。三下には俺様が一流の戦いってやつを見せてやるぜ!」
そう挑発しながらマントを翻すと、金色の鎧を身に纏ったジャックの姿が。
『なんだかよくわかりませんが試合開始しますよ!? 試合……かいしーーーー!!』
「魅せてやるぜ、俺様の矜持を!」
守りの構えを取るジャックへ、神楽は大斧ダークアックスを手に接近する。
『神楽選手、待ち構えるジャック選手へ速攻です!』
長いリーチを生かした一撃、だがこれをジャックはシールド「セラフィム・マヴェット」で防ぐ。
『ジャック選手、ガード! しかしどこか様子がおかしいぞ??』
「ケケケ……さすがっすね! 俺がこの武器を持ってくるとわかっていたんすか?」
「まぁそんなこったろーとは思ったぜ……“闇の武器”!」
ジャックはワン・オブ・サウザンドを構え発砲するが、大斧を担いでいるのに神楽はかなりの素早さで攻撃は命中しない。
そして再び斧で襲い掛かると、盾でガードしそこね、足に斧の攻撃を受けてしまう。
「ぐおおっ!?」
『おっと、ジャック選手先ほどの攻撃ではピンピンしていたのに、ちょっとかすっただけで今度はダメージか!?』
『属性の問題だぜ。ジャックの鎧、カヴァーチャ・カルナは光属性。対する神楽のダークアックスは闇属性だ』
光と闇は互いに反目する属性。つまり、互いに受けるダメージが増加する関係性にある。
ジャックはこれを見越してか、闇属性の盾を用意していた。つまり盾で受ければダメージは大幅に軽減できるが……。
「命中すれば大ダメージっす! いっつもそんだけピカピカ光ってたら弱点を突けと言ってるようなモンっすよ、ケケケケ?!!」
「うるせぇ! 俺様は別に望んで輝いてるわけじゃねー! 勝手に輝いちまうんだよ!!」
ジャックは必死に銃で反撃するが、神楽は回避・防御共にハイレベルで、有効なダメージを与えられない。
銃弾が命中したとしても、直ぐにリジェネレーションによる回復が開始され、間をおけば自己治癒で完治される。
「俺は何度撃たれても立ち上がるっすよ……イケメンを倒すまではねぇ??!!」
『神楽選手恐ろしい回復能力! そしてすさまじい執念です!!』
ジャックは盾で受ければ殆どダメージを受けないが、全てを受けられるわけではない。
かわし、そして盾で受け、それでも受けるダメージは属性の問題で肥大化する。4?5回まともに食らえば倒れざるを得ない。
『ああっ、またジャック選手に斧が命中! 着実にダメージが蓄積していきます!』
『こいつは厳しいな……ジャックにとっちゃ相性の悪い相手だぜ』
苦し紛れに盾で殴りつけようとしても、すばしっこく動く神楽に当たらない。
そもそも強打で移動を封じたところで、障害物のないこのリングAでは立て直しが難しかった。
「ケケケ! 光では闇には絶対に勝てないんすよ?! 世の非モテの怨念に倒れるがいいっす?!」
「負ける……この俺様が、三下猿に……?」
脳裏に過る敗北のイメージにジャックはきつく目を瞑る。
「クソッタレ……俺様はもう、負けるわけにはいかねぇんだ!」
目を見開き引き金を引くジャック。その弾丸はちょろちょろ動く神楽へ吸い込まれるように命中する。
「ふぉおおお!? いてーっす! なんで当たったんすか!?」
『ク、クリーンヒット! これは神楽選手も流石に大ダメージです!』
『だが神楽は回復に専念すればすぐに立て直すぞ!』
「しゃらくせぇ! 当たりやがれぇえええ!!」
更に放たれた弾丸が神楽を襲う。既に神楽は回復を開始しており、受けたダメージを半分近く治療していた。だが――。
続けて飛来する弾丸が再び神楽を直撃。何が起きたのか理解できず、神楽は目を丸くしたままがくりと膝をついた。
「な、なん……で……っすか?」
明らかに神楽が有利であった。あと二回も盾を潜り抜ければ勝ちで、それまで十分持ちこたえられる算段だった。
誰の目から見ても、ほぼ神楽の勝ちは決まっていた。だが――。
『ク……クリーンヒットォ!? 連続でクリーンヒットです! あり得るんでしょうかこんな事!?』
『うっそぉ?ん?』
「理不尽……っすぅ……」
涙を流しながら神楽が倒れると、わっと歓声が沸きあがった。
『あー……。予選第一回戦でもこんなことあったが、まあ勝負は決着するまでわかんねぇもんだなあ……』
肩で息をし、決して少なくないダメージを笑顔で誤魔化しながら、ジャックは神楽に背を向ける。
「悪ィな。どうやら俺様は、勝利の女神に愛されちまってるらしい……ぜ」
去り際に放り投げた薔薇の花が、静かに神楽の胸に着地するのであった。
(執筆:神宮寺飛鳥)
(文責:フロンティアワークス)
(文責:フロンティアワークス)
対戦結果
戦場:リングA ジャックは矜持を込めた守りの構えで防御を固め、銃による迎撃。神楽は近接攻撃を挑む。 闇属性の斧、ダークアックスでジャックの全身鎧カヴァーチャ・カルナへの大ダメージを目論む神楽に、ジャックは闇属性の盾、セラフィム・マヴェットで対応。 多数の回復スキルで持久力に優れる神楽に対し、ジャックは盾で受ければノーダメージに抑えられるものの、盾受けに失敗すると大ダメージを受けるジャックが不利な状況。 受け失敗でダメージを重ねていくジャックだが、神楽にワン・オブ・サウザンドがクリーンヒット。直後、回復を試みる神楽に更に銃撃が命中し、決着となった。 |
予選トーナメント1回戦 ピックアップバトル!(6月20日)
6月16日 | 6月17日 | 6月20日 | 6月24日 | 6月27日 | 6月30日 | 7月1日 | 7月4日 | 7月7日 | 7月11日 | 7月14日 | 7月15日 |
劉 厳靖 VS 守原 有希弥 (ミドルリーグ予選Dブロック)
『さてさて、各リーグで続々と決着がついてゆく中、こちらはミドルリーグDブロック! 廃墟フィールドの様子です!』
劉 厳靖(ka4574)と守原 有希弥(ka0562)の戦いは、静寂の水面下にて進行していた。
廃墟フィールドは障害物が多く、お互いの初期位置を目視できない。つまり、まずはお互いに身を隠した状態で開戦する事となる。
厳靖も有希弥も、共に気配を殺し、慎重に相手の出方を窺いながら行動する。戦闘開始から時を置いても、未だ戦端は開かれぬままだ。
(……ようやく見つけましたよ、劉さん)
先に相手を見つけたのは有希弥の方だ。短弓「テムジン」を構える段階になっても、厳靖はそれに気づけない。
矢が放たれ、奇襲の一撃が厳靖に命中し、ようやく彼は自らが攻撃を受けたと知る。
『守原選手の奇襲攻撃ー! 劉選手、隠密合戦に敗れる!』
『守原は疾影士、つまり隠密の本職だ。かくれんぼになりゃ、そりゃ分があるだろうぜ』
「奇襲は警戒してたんだがねぇ……こりゃあ一本取られちまったぜ」
すかさず物陰に身を隠す厳靖。有希弥は廃屋の屋根の上から狙撃したが、攻撃を続けずにすぐに身を隠そうとする。
「……まずいねぇ!」
一旦隠れて様子を見るつもりだった厳靖だが、この段階で隠れて行動することを諦め、一気に土を蹴って駆け出した。
『おっと、今度は隠れずに駆け出しました! 守原選手を追いかけるつもりかー!?』
『そりゃそうだろ。かくれんぼじゃ不利だってわかったんだからな。同じこと繰り返したら負けるぜ』
有希弥は走りながらちらりを後方を確認。厳靖が接近するのを確認すると振り返り矢を放つ。
だがその場に留まることはしない。また隠れられるだけの距離が開けば、気配を消して奇襲する。それで圧倒的に優位が作れるのだから。
矢の攻撃を受けながらも厳靖は止まらない。ひたすらに走り続け、有希弥に追従する。
「逃げ切れませんか。しかしすべては使い様……疾風の近接技をお見せしましょう」
「やるからには簡単には負けられねぇんでな! ひとつ、よろしく頼まぁ!」
急制動し踵を返す有希弥の姿にニマリと口角を上げ、厳靖はチャクラムを投げつける。
しかし身を躱した有希弥は素早く距離を詰め、素早く絡繰刀「紫電」を繰り出す。
『守原選手、チャクラムを躱しての速攻です! しかし?……劉選手これを受け止めた?!』
鞘から繰り出した紫電の刃が放つ雷光と厳靖のスピア「ヴァルプリス」が纏う風が光を巻き、衝突する。
しかしそれだけではない。厳靖の体は淡い光を帯び、湧き出す力で刀を大きく弾き返した。
『完璧な防御です! そして……!』
槍を回すようにして刀を弾いた厳靖は、自らも舞うようにして相手の懐に飛び込むと、槍の石突を有希弥に打ち込んだ。
『カウンタ????ッ!!』
『うわー、あれは痛そうじゃな……』
くの字に折れ曲がった体を引き戻し、背後へ跳ぶ有希弥。
追撃に繰り出される槍の矛先を鬼爪籠手で弾き厳靖に斬りかかる。狙いは手足で、ダメージによる行動の制限。しかし……。
『劉選手かたーーい! 攻撃を受けても怯みません!』
有希弥の斬撃は確かにダメージを与えている。だが、厳靖に決定的な一撃を放てずにいた。
厳靖の攻撃もまた有希弥にとっては身を躱し、防ぐのはさほど難しくはない。それだけならば互いの決定打に欠ける戦いだ。
しかし、厳靖は持ち前の頑強さを盾に、攻撃を受けカウンターを放つ。
拮抗した戦闘の中で、厳靖の方が手数が多いという事が少しずつ二人の間に差をつけ始めていた。
『これはかなりの接戦です! お互い一歩も譲りません!』
「へっ……おまえさん、やるじゃねぇの!」
「あなたの方こそ……楽に勝たせてくれる相手ではありませんね」
互いの刃が体を切り裂き血が流れても二人の間にはどこか静かな対話があった。
これだけ打ち合えばお互いの気持ちもわかってくる。そんな気がした。
「これで……!」
「決めるぜぇ!」
有希弥の刃が厳靖の腕を切り裂くが、倒すには至らない。厳靖は痛みをこらえ、大きく槍を薙ぎ払った。
その一撃が有希弥を吹き飛ばすと、それが二人の戦いの決着となった。
『決着! 決着! 決着です! 接戦を制したのは劉選手??!』
「いやぁ、いてて……斬られた斬られた。大丈夫かい?」
「ええ、まあ……こう見えても鍛えてますからね」
苦笑を浮かべる有希弥に厳靖は手を差し伸べる。
「良い勝負だったぜ。機会があれば、今度はコッチを一緒にやろうや」
指で注いだ酌を煽るようにして笑う厳靖に有希弥は口元を抑え、女性のような華やかさで微笑んだ。
劉 厳靖(ka4574)と守原 有希弥(ka0562)の戦いは、静寂の水面下にて進行していた。
廃墟フィールドは障害物が多く、お互いの初期位置を目視できない。つまり、まずはお互いに身を隠した状態で開戦する事となる。
厳靖も有希弥も、共に気配を殺し、慎重に相手の出方を窺いながら行動する。戦闘開始から時を置いても、未だ戦端は開かれぬままだ。
(……ようやく見つけましたよ、劉さん)
先に相手を見つけたのは有希弥の方だ。短弓「テムジン」を構える段階になっても、厳靖はそれに気づけない。
矢が放たれ、奇襲の一撃が厳靖に命中し、ようやく彼は自らが攻撃を受けたと知る。
『守原選手の奇襲攻撃ー! 劉選手、隠密合戦に敗れる!』
『守原は疾影士、つまり隠密の本職だ。かくれんぼになりゃ、そりゃ分があるだろうぜ』
「奇襲は警戒してたんだがねぇ……こりゃあ一本取られちまったぜ」
すかさず物陰に身を隠す厳靖。有希弥は廃屋の屋根の上から狙撃したが、攻撃を続けずにすぐに身を隠そうとする。
「……まずいねぇ!」
一旦隠れて様子を見るつもりだった厳靖だが、この段階で隠れて行動することを諦め、一気に土を蹴って駆け出した。
『おっと、今度は隠れずに駆け出しました! 守原選手を追いかけるつもりかー!?』
『そりゃそうだろ。かくれんぼじゃ不利だってわかったんだからな。同じこと繰り返したら負けるぜ』
有希弥は走りながらちらりを後方を確認。厳靖が接近するのを確認すると振り返り矢を放つ。
だがその場に留まることはしない。また隠れられるだけの距離が開けば、気配を消して奇襲する。それで圧倒的に優位が作れるのだから。
矢の攻撃を受けながらも厳靖は止まらない。ひたすらに走り続け、有希弥に追従する。
「逃げ切れませんか。しかしすべては使い様……疾風の近接技をお見せしましょう」
「やるからには簡単には負けられねぇんでな! ひとつ、よろしく頼まぁ!」
急制動し踵を返す有希弥の姿にニマリと口角を上げ、厳靖はチャクラムを投げつける。
しかし身を躱した有希弥は素早く距離を詰め、素早く絡繰刀「紫電」を繰り出す。
『守原選手、チャクラムを躱しての速攻です! しかし?……劉選手これを受け止めた?!』
鞘から繰り出した紫電の刃が放つ雷光と厳靖のスピア「ヴァルプリス」が纏う風が光を巻き、衝突する。
しかしそれだけではない。厳靖の体は淡い光を帯び、湧き出す力で刀を大きく弾き返した。
『完璧な防御です! そして……!』
槍を回すようにして刀を弾いた厳靖は、自らも舞うようにして相手の懐に飛び込むと、槍の石突を有希弥に打ち込んだ。
『カウンタ????ッ!!』
『うわー、あれは痛そうじゃな……』
くの字に折れ曲がった体を引き戻し、背後へ跳ぶ有希弥。
追撃に繰り出される槍の矛先を鬼爪籠手で弾き厳靖に斬りかかる。狙いは手足で、ダメージによる行動の制限。しかし……。
『劉選手かたーーい! 攻撃を受けても怯みません!』
有希弥の斬撃は確かにダメージを与えている。だが、厳靖に決定的な一撃を放てずにいた。
厳靖の攻撃もまた有希弥にとっては身を躱し、防ぐのはさほど難しくはない。それだけならば互いの決定打に欠ける戦いだ。
しかし、厳靖は持ち前の頑強さを盾に、攻撃を受けカウンターを放つ。
拮抗した戦闘の中で、厳靖の方が手数が多いという事が少しずつ二人の間に差をつけ始めていた。
『これはかなりの接戦です! お互い一歩も譲りません!』
「へっ……おまえさん、やるじゃねぇの!」
「あなたの方こそ……楽に勝たせてくれる相手ではありませんね」
互いの刃が体を切り裂き血が流れても二人の間にはどこか静かな対話があった。
これだけ打ち合えばお互いの気持ちもわかってくる。そんな気がした。
「これで……!」
「決めるぜぇ!」
有希弥の刃が厳靖の腕を切り裂くが、倒すには至らない。厳靖は痛みをこらえ、大きく槍を薙ぎ払った。
その一撃が有希弥を吹き飛ばすと、それが二人の戦いの決着となった。
『決着! 決着! 決着です! 接戦を制したのは劉選手??!』
「いやぁ、いてて……斬られた斬られた。大丈夫かい?」
「ええ、まあ……こう見えても鍛えてますからね」
苦笑を浮かべる有希弥に厳靖は手を差し伸べる。
「良い勝負だったぜ。機会があれば、今度はコッチを一緒にやろうや」
指で注いだ酌を煽るようにして笑う厳靖に有希弥は口元を抑え、女性のような華やかさで微笑んだ。
(執筆:神宮寺飛鳥)
(文責:フロンティアワークス)
対戦結果(文責:フロンティアワークス)
戦場:廃墟 序盤、慎重な2人は互いに廃墟に身を潜め移動を開始。 隠密行動に優れる守原が弓による狙撃を行い戦闘が開始された。 位置のばれた守原に劉は肉薄し、しばらくして近接戦闘となる。この時守原は逃げずに懐へ入るという選択をしたが、劉のカウンターアタックを誘発することとなり、厳しい戦いを強いられた。 両者実力伯仲であったが、最後に粘り勝ちしたのは劉であった。 |
ジュード・エアハート VS リューリ・ハルマ (マスターリーグ予選Dブロック)
『こちらも廃墟ステージ! マスターリーグDブロック、ジュード選手VSリューリ選手の試合ですが……!』
リューリ・ハルマ(ka0502)は必死に廃墟を走り続ける。そこへジュード・エアハート(ka0410)の放つ矢が轟音と共に飛来する。
降り注ぐ矢をかわし、ギガースアックスで粉砕するリューリの姿を、ジュードは壁の上から見下ろしている。
『リューリ選手、次々に繰り出される攻撃にうまく対処していますが、ジュード選手に追いつくことができません!』
「ふあ?っ、もう?この斧重すぎるよ?!」
ギガースアックスは全長300?。リューリの背丈の倍ほどもある巨大な武器だ。
これがリューリの足を重くしており、ジュードとの間に機動力の隔たりを生んでいた。
「え?……あの斧、俺の矢を木端微塵にしなかった? あんなの当たったらお肌がめちゃくちゃになっちゃうよね……」
青ざめた表情で呟くジュードへ巨大な斧を振り上げたリューリが迫ってくる。
振り下ろされた斧は粉塵を巻き上げながら壁に激突するが、既にそこにジュードの姿はない。壁から飛び降りたのだ。
「んも?! 全然攻撃できないよ?!」
ジュードはワイヤーを廃墟に引っかけ、体を引き寄せるようにして跳躍。壁の上に登ったのもこのワイヤーを使っての事だ。
『ジュード選手、再び身を隠します!』
「戦場を制した者が勝負を制す、ってね」
猟撃士であるジュードは接近戦には向かない。リューリは圧倒的な近接火力を持ち、まともに殴りあえば一瞬でノックアウトされるだろう。
だからこそ、移動を繰り返し遠距離攻撃で仕留めきるしかない。この廃墟フィールドは彼に味方していた。だが……。
「どっちに逃げたのかくらい、お見通しなんだから!」
リューリは斧を引きずるようにして廃墟を全力疾走していた。その動きに迷いはない。
『リューリ選手、まるで相手の位置がわかっているかのようですが!?』
『霊闘士のスキルだな。リューリは索敵能力に優れてる。恐らくだが、先に相手を見つけ先手必勝で一気にケリをつけるつもりだったんじゃないか?』
もし奇襲の一撃がギガースアックスから繰り出されでもしたら、ジュードは何もできずに倒れていたかもしれない。
だがジュードにもまた視覚を用いた索敵能力があり、彼は高所でそれを使うことでリューリを発見できた。
互いの索敵能力により互いの存在が早期に明らかになった時、移動力の差が戦闘にも影響を及ぼすようになる。
『リューリ選手、再びジュード選手を視界に捉えます!』
「いたあ!」
「音で誤魔化すとか、そういうのは無理だねー」
砂を巻きながら接近するリューリにジュードは容赦なく矢を放つ。
リューリは回避、防御能力共に高水準にあり、ただ正面から攻撃を受けただけなら十分に対処できる。だが、それは永遠ではない。
攻撃を加えたのち、リューリが接近する前に移動するジュードに追いつけないのであれば、反撃もできず勝ち筋が見えてこない。
『攻撃を受けながらもリューリ選手まだまだ止まらない?!』
「壁の上に登るくらい、私だってぇ!」
リューリもワイヤーウィップ「クリドゥノ・アイディンを所持している。引っかけて登るというだけならジュードと条件は同じだ。
しかしどうしても、移動力の差が大きい。登った時に既にジュードの姿はなく、追いかけようと飛び降りたところへ銃弾が飛んでくる。
(銃撃……振り返りもせずに!?)
ちらりと背後を眺め、瓦礫に反射させ魔導拳銃「エア・スティーラー」の弾丸を躍らせたのだ。
ギガースアックスで受けるも、衝撃は肉体に蓄積していく。
「近づいてワイヤーで捕まえられれば……!」
「タフだなぁ……でも、俺の間合いは絶対に譲らないよ!」
廃墟に響く銃声とギガースアックスが大地を打ち、巻き上がる砂嵐。
繰り返される追撃戦の中、ジュードは大弓「吼天」を構える。
「そろそろ決めさせてもらうよ!」
番えた矢に青い光の環がかかり、収束すると同時に鏃に青く光が宿る。
「青霜(レジーナ・ディ・ジェーロ)!」
放たれた矢は命中すると同時に冷気を解放し、リューリの体を凍結させる。だが……。
「まだまだ?!」
体を凍らせられながらもリューリは前進。いよいよジュードを射程内に捉えた。
『あーっと、ついにリューリ選手が攻撃に出るか??!?』
「全力全開……くらえーっ!!」
空を切り裂くギガースアックスの連撃。だが、それはジュードの帽子を吹き飛ばすに終わった。
(うっそ……外れた……!? 手が……体がうまく動かな……)
凍結の効果は確かに表れていたのだ。避けるまでもなかったジュードは、エアスティーラーを構える。
銃声が轟き、再び放たれた「青霜」の一撃がリューリに命中。仰向けに倒れたリューリに続き、ドシンと音を立てギガースアックスが地に倒れた。
『け……っちゃく! ジュード選手、リューリ選手を寄せ付けず、優位をキープしての勝利です!』
『いや??厳しいのう??。まあ、これは相性の問題じゃったかな?』
『リューリが先手必勝で決めるか、ジュードが機動戦で勝つか。まあどっちにせよ一方的な展開になっただろうな』
「――ぷはっ。どっと汗かいた……。あんなの食らったら洒落にならないよね……」
「うーわーん、まーけーたー! 装備の選択を誤ったかなあ。ごめんアルトちゃん……がくっ」
落ちていた帽子をジュードが拾い上げると同時、リューリは意識を失った。
体中に何度攻撃を受けても走り続けたそのガッツに敬意を払うように、そしてリューリの凍りついた肌を労わるように「ごめんね」と小さく呟き、ジュードは少女を抱き上げた。
対戦結果
リューリ・ハルマ(ka0502)は必死に廃墟を走り続ける。そこへジュード・エアハート(ka0410)の放つ矢が轟音と共に飛来する。
降り注ぐ矢をかわし、ギガースアックスで粉砕するリューリの姿を、ジュードは壁の上から見下ろしている。
『リューリ選手、次々に繰り出される攻撃にうまく対処していますが、ジュード選手に追いつくことができません!』
「ふあ?っ、もう?この斧重すぎるよ?!」
ギガースアックスは全長300?。リューリの背丈の倍ほどもある巨大な武器だ。
これがリューリの足を重くしており、ジュードとの間に機動力の隔たりを生んでいた。
「え?……あの斧、俺の矢を木端微塵にしなかった? あんなの当たったらお肌がめちゃくちゃになっちゃうよね……」
青ざめた表情で呟くジュードへ巨大な斧を振り上げたリューリが迫ってくる。
振り下ろされた斧は粉塵を巻き上げながら壁に激突するが、既にそこにジュードの姿はない。壁から飛び降りたのだ。
「んも?! 全然攻撃できないよ?!」
ジュードはワイヤーを廃墟に引っかけ、体を引き寄せるようにして跳躍。壁の上に登ったのもこのワイヤーを使っての事だ。
『ジュード選手、再び身を隠します!』
「戦場を制した者が勝負を制す、ってね」
猟撃士であるジュードは接近戦には向かない。リューリは圧倒的な近接火力を持ち、まともに殴りあえば一瞬でノックアウトされるだろう。
だからこそ、移動を繰り返し遠距離攻撃で仕留めきるしかない。この廃墟フィールドは彼に味方していた。だが……。
「どっちに逃げたのかくらい、お見通しなんだから!」
リューリは斧を引きずるようにして廃墟を全力疾走していた。その動きに迷いはない。
『リューリ選手、まるで相手の位置がわかっているかのようですが!?』
『霊闘士のスキルだな。リューリは索敵能力に優れてる。恐らくだが、先に相手を見つけ先手必勝で一気にケリをつけるつもりだったんじゃないか?』
もし奇襲の一撃がギガースアックスから繰り出されでもしたら、ジュードは何もできずに倒れていたかもしれない。
だがジュードにもまた視覚を用いた索敵能力があり、彼は高所でそれを使うことでリューリを発見できた。
互いの索敵能力により互いの存在が早期に明らかになった時、移動力の差が戦闘にも影響を及ぼすようになる。
『リューリ選手、再びジュード選手を視界に捉えます!』
「いたあ!」
「音で誤魔化すとか、そういうのは無理だねー」
砂を巻きながら接近するリューリにジュードは容赦なく矢を放つ。
リューリは回避、防御能力共に高水準にあり、ただ正面から攻撃を受けただけなら十分に対処できる。だが、それは永遠ではない。
攻撃を加えたのち、リューリが接近する前に移動するジュードに追いつけないのであれば、反撃もできず勝ち筋が見えてこない。
『攻撃を受けながらもリューリ選手まだまだ止まらない?!』
「壁の上に登るくらい、私だってぇ!」
リューリもワイヤーウィップ「クリドゥノ・アイディンを所持している。引っかけて登るというだけならジュードと条件は同じだ。
しかしどうしても、移動力の差が大きい。登った時に既にジュードの姿はなく、追いかけようと飛び降りたところへ銃弾が飛んでくる。
(銃撃……振り返りもせずに!?)
ちらりと背後を眺め、瓦礫に反射させ魔導拳銃「エア・スティーラー」の弾丸を躍らせたのだ。
ギガースアックスで受けるも、衝撃は肉体に蓄積していく。
「近づいてワイヤーで捕まえられれば……!」
「タフだなぁ……でも、俺の間合いは絶対に譲らないよ!」
廃墟に響く銃声とギガースアックスが大地を打ち、巻き上がる砂嵐。
繰り返される追撃戦の中、ジュードは大弓「吼天」を構える。
「そろそろ決めさせてもらうよ!」
番えた矢に青い光の環がかかり、収束すると同時に鏃に青く光が宿る。
「青霜(レジーナ・ディ・ジェーロ)!」
放たれた矢は命中すると同時に冷気を解放し、リューリの体を凍結させる。だが……。
「まだまだ?!」
体を凍らせられながらもリューリは前進。いよいよジュードを射程内に捉えた。
『あーっと、ついにリューリ選手が攻撃に出るか??!?』
「全力全開……くらえーっ!!」
空を切り裂くギガースアックスの連撃。だが、それはジュードの帽子を吹き飛ばすに終わった。
(うっそ……外れた……!? 手が……体がうまく動かな……)
凍結の効果は確かに表れていたのだ。避けるまでもなかったジュードは、エアスティーラーを構える。
銃声が轟き、再び放たれた「青霜」の一撃がリューリに命中。仰向けに倒れたリューリに続き、ドシンと音を立てギガースアックスが地に倒れた。
『け……っちゃく! ジュード選手、リューリ選手を寄せ付けず、優位をキープしての勝利です!』
『いや??厳しいのう??。まあ、これは相性の問題じゃったかな?』
『リューリが先手必勝で決めるか、ジュードが機動戦で勝つか。まあどっちにせよ一方的な展開になっただろうな』
「――ぷはっ。どっと汗かいた……。あんなの食らったら洒落にならないよね……」
「うーわーん、まーけーたー! 装備の選択を誤ったかなあ。ごめんアルトちゃん……がくっ」
落ちていた帽子をジュードが拾い上げると同時、リューリは意識を失った。
体中に何度攻撃を受けても走り続けたそのガッツに敬意を払うように、そしてリューリの凍りついた肌を労わるように「ごめんね」と小さく呟き、ジュードは少女を抱き上げた。
(執筆:神宮寺飛鳥)
(文責:フロンティアワークス)
(文責:フロンティアワークス)
対戦結果
戦場:廃墟 武器の轟音によりリューリの超聴覚を誤魔化すものの、超嗅覚でリューリは依然ジュードの居場所を特定。 武器で攻撃を受け止めながら強引に接近するリューリだが、ワイヤーを使ったジュードの逃げで接近に苦労。 最終的には接近に成功する物の、累積ダメージの差から「青霜」に倒される結果となった。 |
予選トーナメント1回戦 ピックアップバトル!(6月17日)
6月16日 | 6月17日 | 6月20日 | 6月24日 | 6月27日 | 6月30日 | 7月1日 | 7月4日 | 7月7日 | 7月11日 | 7月14日 | 7月15日 |
ヴァルトル・カッパー VS リオン (ルーキーリーグ予選Aブロック)
『さーて、続きましてはルーキーリーグAブロック! ヴァルドル・カッパーVSリオン!』
リゼリオ内に作られた特設リングは小さいが、二人が闘うのは障害物として壁が設置されたものだ。
ゴングが鳴ると同時にリオン(ka1757)は走り出すが、障害物の向こうにヴァルトル・カッパー(ka0840)の姿はない。
「アッレ?? センテヒッショーでポコパンかましたげよーと思ったのに、ガチ雲隠れじゃね??」
「ぶわーっはっは! どこを見ておるリオン殿! 俺はここだあ!」
高笑いと共に響く声に振り返ると、太陽を背に立つヴァルトル・カッパーの姿がある。
問題は彼が立っている場所だ。フィールドに無数に存在する4mほどの壁。その上に仁王立ちしているではないか。
『ヴァルドル選手、壁の上だ??!? どうやって登ったのか!?』
『機導術のジェットブーツってやつを駆使したんだろ。俺様は見てたぞ』
「セイセイセ?イ! そんなリアルにアガっちゃうのはアリですかァ?!?」
『まあ、壁の上に登っちゃイカンというルールはないのう』
鞭を振り回すリオンだが、ヴァルドルにまでは届かない。それを良いことにヴァルドルは自身に強化を施し、ハンマー「ヴァルカン」を陽光に掲げる。
「見よ、この美しきハンマーの輝きを! 感じよ、燃え盛る炎の息吹を!」
岩の上から飛び降りつつ、ハンマーを大きく振りかぶる。
「これがドワーフの跳躍である!」
「ちょちょちょ?い!?」
振り下ろされた一撃がリングの床を粉砕する。が、リオンは軽快な動きで身をかわし、壁を蹴って跳躍。素早くヴァルドルにカットラス「ファルコン」を繰り出した。
これを防げず、ヴァルドルは胴にダメージを受ける……が、マテリアルを込めたリオンの一撃でも、大きな傷は与えられない。
『リオン選手の華麗な反撃?! しかしヴァルドル、ピンピンしているー!』
『フリューテッドアーマーの防御力はさすがだな。できれば鎧がない部分を狙いたいが……』
『スメラギ様なんか詳しくないですか?』
『そりゃ東方の作戦からこっち、ずーっと見てたからな……』
そうこうしている間に再びヴァルドルはジャンプし、壁の上に逃れる。
「くぅ?! でもそこからの攻撃が届かない場所に行っちゃえばよくない? ヤッバ、天才的ひらめき!」
あんなハンマーを持ってとびかかるのだから、有効射程は決まっている。
リオンが壁から離れるように走るが、ヴァルドルもそれを追うように壁の上を走ってくる。
「無駄だ! このフィールドは狭い……完全に壁から逃れることなど不可能よ!」
「あたしの事ちょっとナ・メ・ス・ギ?。そんな大振りな攻撃、目ェつぶっててもヨユーだし?」
実際問題、ヴァルドルの攻撃はかなり不安定だ。リオンが避けるまでもなく、そもそも狙いが定まらない。
宣言通りリオンは余裕の回避を見せ、落下したヴァルドルを攻撃する。今度は脚にカットラスが食い込むが、まだヴァルドルを倒せない。
「ヒゲモジャタフすぎィ?。みんなそう思うしィ、アタシもそう思うしィ」
「こうなれば忍耐の勝負よ! 俺のハンマーが当たるのが先か、リオン殿が俺の体力を削り切るのが先か!」
再び跳躍し壁の上に登るヴァルドル。実際問題、壁の上に上がったところで得られるアドバンテージは自身に強化をかけ直す暇と、仕切り直しが容易な事くらいだ。
リオンは攻撃をかわし、反撃するだけ。またジェットブーツがなければ壁には登れないが、スキルには回数制限がある。
長期戦になれば自身への強化が難しくなり、ヴァルドルは劣勢になっていく流れだ。
『ヴァルドル三度目の跳躍??!』
雄たけびを上げて飛び降りるヴァルドルの攻撃を回避するリオン。
十分に避けられる目算、そもそもヴァルドルの狙い自体が定まらない可能性が高かった。しかし、リオンは攻撃を避けそこなってしまった。
「ウッソォ?!?」
逃れる時にハンマーが足に当たり、バランスを崩した。転倒するも地に手を着き、素早く体勢を立て直す。
すかさず反撃を繰り出すが、ヴァルドルはハンマーでカットラスを弾いて無傷。そのままハンマーを振り上げる。
「歌え! 歌え! ハンマーよ!」
ありったけの力を込めて薙ぎ払うハンマー。これがなんとリオンにクリーンヒット。
避ける暇もなく、強烈な一撃にリオンは血を吐き、地面を転がり壁に激突した。
『しょ……勝負あり??! 勝者ヴァルドル・カッパー!! でもなんで当たったの!?』
『いやー、リオンが有利に見えたんじゃがな……結構番狂わせが起こるもんじゃなあ』
「大丈夫かリオン殿……手が滑ってな、加減もできなかった」
「ウェ?イ、手が滑ったから当たったんか?い! アタシめっちゃ身体鍛えてるしこのくらいヘーキヘーキ。見ての通りの肉体美だし? それよりィ、勝ったんなら他にやる事あるんじゃね?」
リオンはそう言ってヴァルドルの腕を取り、力強く掲げさせる。
「勝ったら観客にサービスサービスゥ♪」
ヴァルドルは少し照れくさそうに笑い、リオンと共に観客に手を振るのであった。
リゼリオ内に作られた特設リングは小さいが、二人が闘うのは障害物として壁が設置されたものだ。
ゴングが鳴ると同時にリオン(ka1757)は走り出すが、障害物の向こうにヴァルトル・カッパー(ka0840)の姿はない。
「アッレ?? センテヒッショーでポコパンかましたげよーと思ったのに、ガチ雲隠れじゃね??」
「ぶわーっはっは! どこを見ておるリオン殿! 俺はここだあ!」
高笑いと共に響く声に振り返ると、太陽を背に立つヴァルトル・カッパーの姿がある。
問題は彼が立っている場所だ。フィールドに無数に存在する4mほどの壁。その上に仁王立ちしているではないか。
『ヴァルドル選手、壁の上だ??!? どうやって登ったのか!?』
『機導術のジェットブーツってやつを駆使したんだろ。俺様は見てたぞ』
「セイセイセ?イ! そんなリアルにアガっちゃうのはアリですかァ?!?」
『まあ、壁の上に登っちゃイカンというルールはないのう』
鞭を振り回すリオンだが、ヴァルドルにまでは届かない。それを良いことにヴァルドルは自身に強化を施し、ハンマー「ヴァルカン」を陽光に掲げる。
「見よ、この美しきハンマーの輝きを! 感じよ、燃え盛る炎の息吹を!」
岩の上から飛び降りつつ、ハンマーを大きく振りかぶる。
「これがドワーフの跳躍である!」
「ちょちょちょ?い!?」
振り下ろされた一撃がリングの床を粉砕する。が、リオンは軽快な動きで身をかわし、壁を蹴って跳躍。素早くヴァルドルにカットラス「ファルコン」を繰り出した。
これを防げず、ヴァルドルは胴にダメージを受ける……が、マテリアルを込めたリオンの一撃でも、大きな傷は与えられない。
『リオン選手の華麗な反撃?! しかしヴァルドル、ピンピンしているー!』
『フリューテッドアーマーの防御力はさすがだな。できれば鎧がない部分を狙いたいが……』
『スメラギ様なんか詳しくないですか?』
『そりゃ東方の作戦からこっち、ずーっと見てたからな……』
そうこうしている間に再びヴァルドルはジャンプし、壁の上に逃れる。
「くぅ?! でもそこからの攻撃が届かない場所に行っちゃえばよくない? ヤッバ、天才的ひらめき!」
あんなハンマーを持ってとびかかるのだから、有効射程は決まっている。
リオンが壁から離れるように走るが、ヴァルドルもそれを追うように壁の上を走ってくる。
「無駄だ! このフィールドは狭い……完全に壁から逃れることなど不可能よ!」
「あたしの事ちょっとナ・メ・ス・ギ?。そんな大振りな攻撃、目ェつぶっててもヨユーだし?」
実際問題、ヴァルドルの攻撃はかなり不安定だ。リオンが避けるまでもなく、そもそも狙いが定まらない。
宣言通りリオンは余裕の回避を見せ、落下したヴァルドルを攻撃する。今度は脚にカットラスが食い込むが、まだヴァルドルを倒せない。
「ヒゲモジャタフすぎィ?。みんなそう思うしィ、アタシもそう思うしィ」
「こうなれば忍耐の勝負よ! 俺のハンマーが当たるのが先か、リオン殿が俺の体力を削り切るのが先か!」
再び跳躍し壁の上に登るヴァルドル。実際問題、壁の上に上がったところで得られるアドバンテージは自身に強化をかけ直す暇と、仕切り直しが容易な事くらいだ。
リオンは攻撃をかわし、反撃するだけ。またジェットブーツがなければ壁には登れないが、スキルには回数制限がある。
長期戦になれば自身への強化が難しくなり、ヴァルドルは劣勢になっていく流れだ。
『ヴァルドル三度目の跳躍??!』
雄たけびを上げて飛び降りるヴァルドルの攻撃を回避するリオン。
十分に避けられる目算、そもそもヴァルドルの狙い自体が定まらない可能性が高かった。しかし、リオンは攻撃を避けそこなってしまった。
「ウッソォ?!?」
逃れる時にハンマーが足に当たり、バランスを崩した。転倒するも地に手を着き、素早く体勢を立て直す。
すかさず反撃を繰り出すが、ヴァルドルはハンマーでカットラスを弾いて無傷。そのままハンマーを振り上げる。
「歌え! 歌え! ハンマーよ!」
ありったけの力を込めて薙ぎ払うハンマー。これがなんとリオンにクリーンヒット。
避ける暇もなく、強烈な一撃にリオンは血を吐き、地面を転がり壁に激突した。
『しょ……勝負あり??! 勝者ヴァルドル・カッパー!! でもなんで当たったの!?』
『いやー、リオンが有利に見えたんじゃがな……結構番狂わせが起こるもんじゃなあ』
「大丈夫かリオン殿……手が滑ってな、加減もできなかった」
「ウェ?イ、手が滑ったから当たったんか?い! アタシめっちゃ身体鍛えてるしこのくらいヘーキヘーキ。見ての通りの肉体美だし? それよりィ、勝ったんなら他にやる事あるんじゃね?」
リオンはそう言ってヴァルドルの腕を取り、力強く掲げさせる。
「勝ったら観客にサービスサービスゥ♪」
ヴァルドルは少し照れくさそうに笑い、リオンと共に観客に手を振るのであった。
(執筆:神宮寺飛鳥)
(文責:フロンティアワークス)
対戦結果(文責:フロンティアワークス)
戦場:リング(障害) ヴァルドルは障害物である壁の上にジェットブーツで飛び乗り攻撃を仕掛ける。 命中に難のあるヴァルドルと、決定打を与えられないリオンで長期戦の様相となった。 堅実に試合が展開すればリオンの勝利かとも思われたが、ヴァルドルのハンマーが命中。 更にハンマーがクリティカルヒットし、リオンは戦闘不能。ヴァルドルの勝利に終わった。 |
ヴィルマ・ネーベル VS カナタ・ハテナ (ミドルリーグ予選Bブロック)
『そしてこちらはミドルリーグBブロック! ヴィルマ・ネーベルVSカナタ・ハテナですが?……?』
川+岩場フィールド。岩陰に隠れるカナタ・ハテナ(ka2130)の影すら焼き尽くさんとヴィルマ・ネーベル(ka2549)のファイアーボールが炸裂する。
『あーっと、すさまじい火炎です! カナタ選手身動きが取れない!』
『つーかあの岩何で出来てるのじゃ? 壊れないの?』
『障害物は不思議と壊れない事になっています!!』
隠れつつ銃撃を行いたかったカナタだが、ヴィルマはその位置を戦闘開始直後に正確に把握していた。
北側、つまり高所に陣取っていたヴィルマはカナタを発見すると魔法の最大射程から攻撃を開始。カナタは素早く岩陰に隠れるも、動きを封じられていた。
「なんという威力……。ヴィルマどんの魔法のキレは噂以上じゃな……!」
「我も距離を詰められては勝算が薄くなるのでのぅ。気を抜かず攻めさせてもらうのじゃ……!」
『このフィールドは障害物はまばらにあるが、基本的には射線が通りやすいので、こうやって拮抗しやすいのじゃなあ』
『待て待て待て! 誰だこの対戦組んだ奴は! どいつがしゃべってるのかわっかんねーだろ!』
『わかるじゃろ?よく見てみよ』
『うるせー! せめてナディアはしゃべるんじゃねぇ!』
『あーっと、そんなことを言っている間に戦場に動きが! これは……!?』
ヴィルマが放ったのは新たな魔法。岩を取り囲むように煙が充満していく。
(これは……スリープクラウド!?)
「かくれんぼは望むところではないのでのぅ。次の一撃で決めさせてもらうとしようか」
『あーっと、岩陰で寝てしまったら次の攻撃をまともに受けてしまう……と、思いきや??!?』
煙を突き抜け、飛び出してきたのはカナタだ。スリープクラウドへの抵抗に成功。
走りながら隣の岩へスラッシュアンカーを撃ちこみ、巻き取るように走りながらヴィルマを探す。
ひとまずまた岩に隠れ、仕切り直すべきだろう。ヴィルマは北側にいるが、普通に考えれば陸地を南下してくるはず。
ならば射線を考えればそのまま東側の意思に滑り込めばよい道理……しかし。
『ヴィルマ選手、これは……水上を走っています!』
「ウォーターウォークか!」
バトルライフルを構えるカナタ。リーチは五分だが、回り込んだヴィルマに利がある。
「炎よ……大きなうねりとなりて、包み込み爆ぜるが良い! 我の全力受けてみよ!」
ワンド「アブルリー」に収束したマテリアルの輝きは炎を生み、渦巻く炎は火球を成す。
「ファイアーボール!」
限界まで膨れ上がり放たれた火球は水面を吹き飛ばしながらまっすぐにカナタへと迫る。
(回避……いや、防御……くっ!)
慌てて盾を構えようとするカナタの姿を飲み込み、炎は大爆発を起こした。
あまりの威力に観客も静まり返る程で、炎がようやく消えた時、既にカナタは立ち上がれる状態にはなかった。
『き……決まった??! ヴィルマ選手のファイアーボール! 恐ろしい威力です!』
『うまく防ぐなり回避できていれば可能性はあったと思うのじゃが、直撃してしまうとの?』
『今ヒーラー班が駆けつけます! 担架急いで急いで??!!』
「ぐ……っ、無念……じゃ」
がくりと気絶したカナタが担架で運ばれていく。
ヴィルマは水上を優雅に歩き、くるりと杖を回してウィンクする。
「見たか、霧の魔女の力を! どうじゃ、もう子供っぽい等とは言わせぬぞ! そなたら! そなたら聞いておるか!?」
『ヴィルマ選手、何か観客席の友人とモメている様子ですが!』
『ヴィルマ?次の試合が始まるからフィールドから出てくれ?』
少し顔を赤らめながら小走りで去っていくヴィルマ。
そんなこんなで、武闘大会予選第一回戦はまだまだ続くのであった。
対戦結果
川+岩場フィールド。岩陰に隠れるカナタ・ハテナ(ka2130)の影すら焼き尽くさんとヴィルマ・ネーベル(ka2549)のファイアーボールが炸裂する。
『あーっと、すさまじい火炎です! カナタ選手身動きが取れない!』
『つーかあの岩何で出来てるのじゃ? 壊れないの?』
『障害物は不思議と壊れない事になっています!!』
隠れつつ銃撃を行いたかったカナタだが、ヴィルマはその位置を戦闘開始直後に正確に把握していた。
北側、つまり高所に陣取っていたヴィルマはカナタを発見すると魔法の最大射程から攻撃を開始。カナタは素早く岩陰に隠れるも、動きを封じられていた。
「なんという威力……。ヴィルマどんの魔法のキレは噂以上じゃな……!」
「我も距離を詰められては勝算が薄くなるのでのぅ。気を抜かず攻めさせてもらうのじゃ……!」
『このフィールドは障害物はまばらにあるが、基本的には射線が通りやすいので、こうやって拮抗しやすいのじゃなあ』
『待て待て待て! 誰だこの対戦組んだ奴は! どいつがしゃべってるのかわっかんねーだろ!』
『わかるじゃろ?よく見てみよ』
『うるせー! せめてナディアはしゃべるんじゃねぇ!』
『あーっと、そんなことを言っている間に戦場に動きが! これは……!?』
ヴィルマが放ったのは新たな魔法。岩を取り囲むように煙が充満していく。
(これは……スリープクラウド!?)
「かくれんぼは望むところではないのでのぅ。次の一撃で決めさせてもらうとしようか」
『あーっと、岩陰で寝てしまったら次の攻撃をまともに受けてしまう……と、思いきや??!?』
煙を突き抜け、飛び出してきたのはカナタだ。スリープクラウドへの抵抗に成功。
走りながら隣の岩へスラッシュアンカーを撃ちこみ、巻き取るように走りながらヴィルマを探す。
ひとまずまた岩に隠れ、仕切り直すべきだろう。ヴィルマは北側にいるが、普通に考えれば陸地を南下してくるはず。
ならば射線を考えればそのまま東側の意思に滑り込めばよい道理……しかし。
『ヴィルマ選手、これは……水上を走っています!』
「ウォーターウォークか!」
バトルライフルを構えるカナタ。リーチは五分だが、回り込んだヴィルマに利がある。
「炎よ……大きなうねりとなりて、包み込み爆ぜるが良い! 我の全力受けてみよ!」
ワンド「アブルリー」に収束したマテリアルの輝きは炎を生み、渦巻く炎は火球を成す。
「ファイアーボール!」
限界まで膨れ上がり放たれた火球は水面を吹き飛ばしながらまっすぐにカナタへと迫る。
(回避……いや、防御……くっ!)
慌てて盾を構えようとするカナタの姿を飲み込み、炎は大爆発を起こした。
あまりの威力に観客も静まり返る程で、炎がようやく消えた時、既にカナタは立ち上がれる状態にはなかった。
『き……決まった??! ヴィルマ選手のファイアーボール! 恐ろしい威力です!』
『うまく防ぐなり回避できていれば可能性はあったと思うのじゃが、直撃してしまうとの?』
『今ヒーラー班が駆けつけます! 担架急いで急いで??!!』
「ぐ……っ、無念……じゃ」
がくりと気絶したカナタが担架で運ばれていく。
ヴィルマは水上を優雅に歩き、くるりと杖を回してウィンクする。
「見たか、霧の魔女の力を! どうじゃ、もう子供っぽい等とは言わせぬぞ! そなたら! そなたら聞いておるか!?」
『ヴィルマ選手、何か観客席の友人とモメている様子ですが!』
『ヴィルマ?次の試合が始まるからフィールドから出てくれ?』
少し顔を赤らめながら小走りで去っていくヴィルマ。
そんなこんなで、武闘大会予選第一回戦はまだまだ続くのであった。
(執筆:神宮寺飛鳥)
(文責:フロンティアワークス)
(文責:フロンティアワークス)
対戦結果
戦場:川+岩場 戦闘開始後すぐに岩場に身を隠したカナタであったが、高所より戦場を窺うヴィルマはそれを素早く発見。 ヴィルマは初手にスリープクラウドを使うがカナタに抵抗され失敗、その間にカナタは距離を詰める。 戦闘はそこまで。ヴィルマの放ったファイヤーボールがカナタに直撃。吹き飛んだカナタが起き上がることはなかった。 銃の射程に攻め込まれるなど危ういところもあったが、圧倒的な火力でヴィルマが勝利をおさめた |
予選トーナメント1回戦 ピックアップバトル(6月16日)
6月16日 | 6月17日 | 6月20日 | 6月24日 | 6月27日 | 6月30日 | 7月1日 | 7月4日 | 7月7日 | 7月11日 | 7月14日 | 7月15日 |
フェリル・L・サルバ VS ブレイク=イアン (ルーキーリーグ予選Bブロック)
『さあ?いよいよ始まりました武闘大会イベント【闘祭】第一回戦! 実況はお祭り娘ことこの僕、竹村 早苗がお送りします!』
『解説のナディア・ドラゴネッティじゃ! 北方から帰ってきたら祭りが始まっておった……何を言っておるのかわからんと思うが、龍奏作戦の戦勝祝いという風に解釈した!』
『解説のスメラギだ。少しずつだが、自分に安らぎはないという事がわかってきた』
武闘大会の会場はリゼリオだけではなく、周辺の各バトルフィールドに広がっている。
それらをソサエティ総長選挙の時のようにリアルブルー側の技術協力も受け、リゼリオの広場にて中継が行われていた。
町中のいたるところに設置されたモニターでは、各地でハンターが火花を散らす様子が映し出されている。
『いやー、やっとこういうお祭りイベントが始まって僕は嬉しいよ! お祭りがないと出番がないんだもん!』
『おぬしがやらんかったらミリアがやらされるところじゃったからな。あやつ泣いて感謝しておったぞ』
『お前らただの受付嬢にどういう能力を期待してるんだ……』
『スメラギ様はムッキムキだけど、武闘大会に参加しないんですか?』
『俺様ハンターじゃねぇから……ていうか北方にも戻らないといけねぇのに街中では筋肉コンテストに捕まり、今度は武闘大会。転移門あるからって酷使しすぎだろ』
『そんなことはさ・て・お・き! すべての試合を同時に中継することはできませんが、各戦域の様子をチェックして見ましょう。まずは?、川ア?ンド、岩場フィールド?!』
映し出された映像にはそれぞれ別のカメラに映る二人のハンターの姿がある。
『ルーキーリーグBブロック、第一回戦十三試合! 北側に立つのは、フェンリ??ル・L・サルバ??!!』
フェリル・L・サルバ(ka4516)はカメラに向かって大きく手を振り、敬礼するように額に手を当てウィンクする。
「どーもどーも、声援ありがとなー。対戦相手の兄さん、よろしく頼むぜ?」
『む? こやつチラシで見た顔じゃな』
『ああ。コメントがやや残念だったやつだ』
『続きまして南側?! ブレェ??イク=イア??ン!!』
ブレイク=イアン(ka5041)はマントを翻し登場し、襟首を緩めるように指を差し込む。
「……ああ。こちらこそよろしく」
互いの距離はまだ大きく離れているが、開けた場所だ。位置くらいは掴める。
二人の男は気負うわけでも闘争心をむき出しにするでもなく、静かに互いを確かめるように見つめあっていた。
『いやー、イケメン同士の絡みっていいよね!』
『そんなことより試合開始の合図をするのじゃ早苗!』
『試合開始ぃいいい!!』
ゴングが鳴ると同時、フェリルは一気に走り出した。
フェリルは疾影士。得意とする間合いは近距離であり、猟撃士のブレイクに有効打を与えるために、まずは走るしかない。
全力疾走するフェリルに対し、ブレイクは橋の手前の岩の影でライフルを構える。
照準を合わせるブレイクの狙撃を察知し、回避すると同時に橋の手前の岩へと滑り込むフェリル。
『あ?っと、これは……フェリル、思うように接近できない!』
「岩を盾にして接近するつもりだったが……なるほどねー。橋を渡らせないつもりか?」
北と南を隔てる川は、飛び越えるのでなければ橋を渡る以外に横断する方法がない。
そしてこの渡河の最中に岩は存在しない。ブレイクの狙いはそこだ。
(ここで撃ち抜けなきゃ俺の……そして当たればアンタの負けってやつだ)
(わかりやすい勝負だ。ま、ずっと隠れっぱなしってのも盛り上がらんね)
ブレイクのリロードを待って飛び出したかったが、ブレイクは完全に待ちの体勢にある。
飛び出せば間違いなく撃ってくる。だが、近づかなければ勝利はない。
意を決し、ブレイクは岩から飛び出した。全力疾走で一気に橋へと突き進む。
「――たまにゃ格好良いとこ見せねぇと……な!」
「乗ってくれたか……感謝する。そしてすまない。幼い頃からずっと――俺には“これ”しかないんでな」
目を見開き、魔導銃「モールズ」の引き金を引くブレイク。放たれた弾丸をフェリルは身をよじり、その一撃をかわす。
『避けたぁあー!? でも、まだブレイクまでは距離があるー!』
驚き、小さく笑みを浮かべるブレイク。だが第二射の引き金を引く時、既に表情は消えていた。
飛来する弾丸をかわそうとするブレイクだが、わき腹に命中。その体が大きくぶれるが……。
『止まらない! ここまで来たらもう距離を詰め切るしかなーーーーい!!』
「……受けて立とう」
身を乗り出し、更に引き金を引くブレイク。これをフェリルは太刀「黎明」で弾く。
火花越しにブレイクを捉えたフェリルは、手持ちの副武器を取り出した。用途は投擲、距離を詰めるまでの牽制だ。だが……。
『あーーーーっと!? ナイフがあらぬ方向に!?』
投げつけたナイフはブレイクの隠れていた岩に当たり、カキンと音を立てて弾かれた。
構わず銃を構えるブレイクだが、既にフェリルはライフルの有効射程外にいる。近すぎるのだ。
「お呼ばれされてきたぜ、兄さん!」
太刀を振り上げ、振り下ろすフェリル。ブレイクはこれをかわせず、刃はブレイクの額を切り裂いた。
血を流しながら後退するブレイクだが、フェリルは距離を離すをよしとしない。
「逃がさねー!」
血の流れ込む片目をつむりながらブレイクは副武器のダガーに手を伸ばす。
何とか距離を放し、ライフルを撃ちこむしか勝ち筋はない。だが、牽制に振るったダガーはフェリルに届かず、その手前の空を切った。
(間隔を見誤った……!?)
その隙にフェリルが太刀を振るう。よけきれなかったブレイクの太ももを深く切りつけると、それが決着となった。
『そこまで! 勝者、フェリル・L・サルバ!』
歓声が響く中、出血と足のダメージで立ち上がれないブレイクへフェリルが手を差し伸べる。
「お疲れちゃん。お前の銃弾、シビれたぜ。見ろよこの脇腹ー、たまんねーなーもー」
「……? ああ、すまない……っと」
助けを受けて立ち上がったブレイクは、握りしめたダガーを見つめる。
「見事に空ぶったよ」
「だな。お互い、慣れない事はするもんじゃねーな?」
『試合終了??! そして育まれる男の友情ないしそれを超えた何か! 大歓迎です!』
『ヒーラー班が行くから少し待ってろよなー』
『解説のナディア・ドラゴネッティじゃ! 北方から帰ってきたら祭りが始まっておった……何を言っておるのかわからんと思うが、龍奏作戦の戦勝祝いという風に解釈した!』
『解説のスメラギだ。少しずつだが、自分に安らぎはないという事がわかってきた』
武闘大会の会場はリゼリオだけではなく、周辺の各バトルフィールドに広がっている。
それらをソサエティ総長選挙の時のようにリアルブルー側の技術協力も受け、リゼリオの広場にて中継が行われていた。
町中のいたるところに設置されたモニターでは、各地でハンターが火花を散らす様子が映し出されている。
『いやー、やっとこういうお祭りイベントが始まって僕は嬉しいよ! お祭りがないと出番がないんだもん!』
『おぬしがやらんかったらミリアがやらされるところじゃったからな。あやつ泣いて感謝しておったぞ』
『お前らただの受付嬢にどういう能力を期待してるんだ……』
『スメラギ様はムッキムキだけど、武闘大会に参加しないんですか?』
『俺様ハンターじゃねぇから……ていうか北方にも戻らないといけねぇのに街中では筋肉コンテストに捕まり、今度は武闘大会。転移門あるからって酷使しすぎだろ』
『そんなことはさ・て・お・き! すべての試合を同時に中継することはできませんが、各戦域の様子をチェックして見ましょう。まずは?、川ア?ンド、岩場フィールド?!』
映し出された映像にはそれぞれ別のカメラに映る二人のハンターの姿がある。
『ルーキーリーグBブロック、第一回戦十三試合! 北側に立つのは、フェンリ??ル・L・サルバ??!!』
フェリル・L・サルバ(ka4516)はカメラに向かって大きく手を振り、敬礼するように額に手を当てウィンクする。
「どーもどーも、声援ありがとなー。対戦相手の兄さん、よろしく頼むぜ?」
『む? こやつチラシで見た顔じゃな』
『ああ。コメントがやや残念だったやつだ』
『続きまして南側?! ブレェ??イク=イア??ン!!』
ブレイク=イアン(ka5041)はマントを翻し登場し、襟首を緩めるように指を差し込む。
「……ああ。こちらこそよろしく」
互いの距離はまだ大きく離れているが、開けた場所だ。位置くらいは掴める。
二人の男は気負うわけでも闘争心をむき出しにするでもなく、静かに互いを確かめるように見つめあっていた。
『いやー、イケメン同士の絡みっていいよね!』
『そんなことより試合開始の合図をするのじゃ早苗!』
『試合開始ぃいいい!!』
ゴングが鳴ると同時、フェリルは一気に走り出した。
フェリルは疾影士。得意とする間合いは近距離であり、猟撃士のブレイクに有効打を与えるために、まずは走るしかない。
全力疾走するフェリルに対し、ブレイクは橋の手前の岩の影でライフルを構える。
照準を合わせるブレイクの狙撃を察知し、回避すると同時に橋の手前の岩へと滑り込むフェリル。
『あ?っと、これは……フェリル、思うように接近できない!』
「岩を盾にして接近するつもりだったが……なるほどねー。橋を渡らせないつもりか?」
北と南を隔てる川は、飛び越えるのでなければ橋を渡る以外に横断する方法がない。
そしてこの渡河の最中に岩は存在しない。ブレイクの狙いはそこだ。
(ここで撃ち抜けなきゃ俺の……そして当たればアンタの負けってやつだ)
(わかりやすい勝負だ。ま、ずっと隠れっぱなしってのも盛り上がらんね)
ブレイクのリロードを待って飛び出したかったが、ブレイクは完全に待ちの体勢にある。
飛び出せば間違いなく撃ってくる。だが、近づかなければ勝利はない。
意を決し、ブレイクは岩から飛び出した。全力疾走で一気に橋へと突き進む。
「――たまにゃ格好良いとこ見せねぇと……な!」
「乗ってくれたか……感謝する。そしてすまない。幼い頃からずっと――俺には“これ”しかないんでな」
目を見開き、魔導銃「モールズ」の引き金を引くブレイク。放たれた弾丸をフェリルは身をよじり、その一撃をかわす。
『避けたぁあー!? でも、まだブレイクまでは距離があるー!』
驚き、小さく笑みを浮かべるブレイク。だが第二射の引き金を引く時、既に表情は消えていた。
飛来する弾丸をかわそうとするブレイクだが、わき腹に命中。その体が大きくぶれるが……。
『止まらない! ここまで来たらもう距離を詰め切るしかなーーーーい!!』
「……受けて立とう」
身を乗り出し、更に引き金を引くブレイク。これをフェリルは太刀「黎明」で弾く。
火花越しにブレイクを捉えたフェリルは、手持ちの副武器を取り出した。用途は投擲、距離を詰めるまでの牽制だ。だが……。
『あーーーーっと!? ナイフがあらぬ方向に!?』
投げつけたナイフはブレイクの隠れていた岩に当たり、カキンと音を立てて弾かれた。
構わず銃を構えるブレイクだが、既にフェリルはライフルの有効射程外にいる。近すぎるのだ。
「お呼ばれされてきたぜ、兄さん!」
太刀を振り上げ、振り下ろすフェリル。ブレイクはこれをかわせず、刃はブレイクの額を切り裂いた。
血を流しながら後退するブレイクだが、フェリルは距離を離すをよしとしない。
「逃がさねー!」
血の流れ込む片目をつむりながらブレイクは副武器のダガーに手を伸ばす。
何とか距離を放し、ライフルを撃ちこむしか勝ち筋はない。だが、牽制に振るったダガーはフェリルに届かず、その手前の空を切った。
(間隔を見誤った……!?)
その隙にフェリルが太刀を振るう。よけきれなかったブレイクの太ももを深く切りつけると、それが決着となった。
『そこまで! 勝者、フェリル・L・サルバ!』
歓声が響く中、出血と足のダメージで立ち上がれないブレイクへフェリルが手を差し伸べる。
「お疲れちゃん。お前の銃弾、シビれたぜ。見ろよこの脇腹ー、たまんねーなーもー」
「……? ああ、すまない……っと」
助けを受けて立ち上がったブレイクは、握りしめたダガーを見つめる。
「見事に空ぶったよ」
「だな。お互い、慣れない事はするもんじゃねーな?」
『試合終了??! そして育まれる男の友情ないしそれを超えた何か! 大歓迎です!』
『ヒーラー班が行くから少し待ってろよなー』
(執筆:神宮寺飛鳥)
(文責:フロンティアワークス)
対戦結果(文責:フロンティアワークス)
戦場:川+岩場 岩に隠れて渡河時の狙撃を狙うブレイクに、フェリルは接近戦を挑む。 移動中の狙撃でフェリルを倒し切れず、ブレイクは距離を取る事も厳しい状況。 接近してからはフェリルが圧倒的に優位であり、太刀「黎明」の一撃で決着した。 |
紫月・海斗 VS クリスティン・ガフ (マスターリーグ予選Aブロック)
『もう少し肩を貸しあう二人の男を見ていたいですが時間もないので巻きで! お次は……マスタ??リ??グ!!』
やはり川+岩場フィールド。こちらでは既に戦いが始まっている。
『北側、紫月・海斗(ka0788)VS、南側クリスティン・ガフ(ka1090)! こちらは……やはり遠距離籠城戦の様子です!』
岩に隠れた海斗に対し、クリスティンは龍弓「シ・ヴリス」による射撃を繰り返す。
シ・ヴリスの有効射程は圧倒的で、このバトルフィールドの端から端であっても射程に捉えるほどだ。
威力もかなりのもので、まともに浴びれば数発でノックダウンされるだろう。
「くっそ?! こいつは想定してなかったぜ……!」
岩陰に隠れながら海斗は冷や汗を流していた。
クリスティンは闘狩人。得意とするレンジは近?中距離とにらんでいたのだろうか。
基本的には相手を寄せ付けず、遠距離攻撃で撃破を目指す想定だった。
まさか、相手の方が射程も威力も上の遠距離攻撃を用意してくるとは思わなかったのだろう。
「ったく、やるじゃねぇかクリス……いや、もうやりすぎだぜそれ……ぬぅおっ!?」
岩にバカスカと矢が突き刺さっていく。岩が崩れることはないが、なんだかもう大変な状況だ。
「どうした紫月、いつまで隠れているつもりだ? このまま岩が消え去るまで籠城してみるか?」
遠距離の撃ち合いはクリスティンも望むところだが、決着がつかないのでは意味がない。
「はあ……仕方ねぇ。こうなったらこっちの有効射程まで近づくまでだ」
それに、切り札もまだ残している。帽子を片手で押さえ海斗が飛び出すのと、クリスティンが前進を始めるのはほぼ同時だった。
『おーっと、両者動きました! 中間地点の橋を目指して一気に進んでいきます!』
『クリスティンは闘狩人だ。シ・ヴリスで遠距離もカバーしただけで、近?中距離戦はむしろ得意分野のはずだぜ』
『接近して海斗に勝ち目はあるのか!?』
「銃が届かなきゃ勝ち目ゼロなんだよォ! オラァアア!!」
「その意気やよし……!」
笑みを浮かべ、クリスティンは再び矢をつがえる。そして放たれた一撃は、海斗の足に突き刺さった。
「ぬ、ぐ……ここじゃまだ……止まれねぇのよ!」
足を止めずに走る海斗へクリスティンは弓を放ちながら自らも距離を詰めていく。
次の矢は跳んでかわした海斗は神罰銃「パニッシュメント」の引き金を引いた。
放たれた弾丸、これをクリスティンは身をよじり回避。更にそのまま弓を構える。
『やはり弓が強い! 海斗……それでも近づこうとしているぞ??!?』
「まだ……まだなんだ!」
更なる矢が海斗を襲う時、海斗は攻性防壁を発動。その有効距離まで近づくのが彼の狙いだったのだ。
雷撃はまだ距離の離れたクリスティンを襲い、感電させる。海斗はすかさずバンカーナックルよりファイアスローワーを放った。
「こいつでどうだぁ! ……何ぃ!?」
しかしクリスティンは斬魔刀「祢々切丸」で炎を両断。めぼしいダメージは見当たらない。
『あーーーっと、炎の渦に呑まれたクリスティン、しかし無傷です!?』
「斬魔剛剣術飛剣――“月刀”!」
「のぉおおうっ!?」
斬魔刀の切っ先から放たれた衝撃派を何とか回避する海斗。ローリングして神罰銃の引き金を引くが、クリスティンはこれを回避する。
「おいいいい! まだ痺れてるだろ!? なんで避けられる!?」
離れながら銃を放つ海斗。確かに攻性防壁の行動阻害は効いている。
だがそれでもクリスティンに攻撃が当たらなかったのは、もう強運としか言いようがない。
弓を構え直すクリスティンに海斗は全神経を集中する。
『あーっと、今回の武闘大会で導入された疑似マテリアルリンク発動か!?』
(次の攻撃……なんとしても避ける!)
淡い光を帯びた海斗は矢の発射の瞬間にすべてをかけ、回避。しかし――矢は海斗の胸に深々と突き刺さった。
「ぬぁぜだああああああ??!? ぐ、お……う……」
白目を向いて倒れる海斗。普通なら避けられたはずだ。だが、彼は極端に運が悪かった。
いや……本当はクリスティンの方が、極端に運がよかったのだが。
『あああ????っ、ここで試合終了??! 海斗選手、立ち上がれない??!!』
震える右手を見つめ、クリスティンは首を傾げた。結構テキトーに狙ったはずだが、吸い込まれるように当たってしまった。
「これも日頃の修練の結果……か?」
『まあ、終始クリスティン優位に進んだが、海斗もワンチャンありそうな感じだったな』
『しかしすごいのう。体痺れたままあんな動きで避けるか普通?』
『勝負は時の運! こういう事も御座います!』
「大丈夫か、紫月?」
「俺が……俺が何をしたってんだ……タングラムに良いところを見せるハズが……ちぐしょう?……」
膝を抱える海斗の肩を、クリスティンはポンポンと軽く叩くのであった。
武闘大会はまだ始まったばかり。中継は引き続き、他の試合へと移って行った。
対戦結果
やはり川+岩場フィールド。こちらでは既に戦いが始まっている。
『北側、紫月・海斗(ka0788)VS、南側クリスティン・ガフ(ka1090)! こちらは……やはり遠距離籠城戦の様子です!』
岩に隠れた海斗に対し、クリスティンは龍弓「シ・ヴリス」による射撃を繰り返す。
シ・ヴリスの有効射程は圧倒的で、このバトルフィールドの端から端であっても射程に捉えるほどだ。
威力もかなりのもので、まともに浴びれば数発でノックダウンされるだろう。
「くっそ?! こいつは想定してなかったぜ……!」
岩陰に隠れながら海斗は冷や汗を流していた。
クリスティンは闘狩人。得意とするレンジは近?中距離とにらんでいたのだろうか。
基本的には相手を寄せ付けず、遠距離攻撃で撃破を目指す想定だった。
まさか、相手の方が射程も威力も上の遠距離攻撃を用意してくるとは思わなかったのだろう。
「ったく、やるじゃねぇかクリス……いや、もうやりすぎだぜそれ……ぬぅおっ!?」
岩にバカスカと矢が突き刺さっていく。岩が崩れることはないが、なんだかもう大変な状況だ。
「どうした紫月、いつまで隠れているつもりだ? このまま岩が消え去るまで籠城してみるか?」
遠距離の撃ち合いはクリスティンも望むところだが、決着がつかないのでは意味がない。
「はあ……仕方ねぇ。こうなったらこっちの有効射程まで近づくまでだ」
それに、切り札もまだ残している。帽子を片手で押さえ海斗が飛び出すのと、クリスティンが前進を始めるのはほぼ同時だった。
『おーっと、両者動きました! 中間地点の橋を目指して一気に進んでいきます!』
『クリスティンは闘狩人だ。シ・ヴリスで遠距離もカバーしただけで、近?中距離戦はむしろ得意分野のはずだぜ』
『接近して海斗に勝ち目はあるのか!?』
「銃が届かなきゃ勝ち目ゼロなんだよォ! オラァアア!!」
「その意気やよし……!」
笑みを浮かべ、クリスティンは再び矢をつがえる。そして放たれた一撃は、海斗の足に突き刺さった。
「ぬ、ぐ……ここじゃまだ……止まれねぇのよ!」
足を止めずに走る海斗へクリスティンは弓を放ちながら自らも距離を詰めていく。
次の矢は跳んでかわした海斗は神罰銃「パニッシュメント」の引き金を引いた。
放たれた弾丸、これをクリスティンは身をよじり回避。更にそのまま弓を構える。
『やはり弓が強い! 海斗……それでも近づこうとしているぞ??!?』
「まだ……まだなんだ!」
更なる矢が海斗を襲う時、海斗は攻性防壁を発動。その有効距離まで近づくのが彼の狙いだったのだ。
雷撃はまだ距離の離れたクリスティンを襲い、感電させる。海斗はすかさずバンカーナックルよりファイアスローワーを放った。
「こいつでどうだぁ! ……何ぃ!?」
しかしクリスティンは斬魔刀「祢々切丸」で炎を両断。めぼしいダメージは見当たらない。
『あーーーっと、炎の渦に呑まれたクリスティン、しかし無傷です!?』
「斬魔剛剣術飛剣――“月刀”!」
「のぉおおうっ!?」
斬魔刀の切っ先から放たれた衝撃派を何とか回避する海斗。ローリングして神罰銃の引き金を引くが、クリスティンはこれを回避する。
「おいいいい! まだ痺れてるだろ!? なんで避けられる!?」
離れながら銃を放つ海斗。確かに攻性防壁の行動阻害は効いている。
だがそれでもクリスティンに攻撃が当たらなかったのは、もう強運としか言いようがない。
弓を構え直すクリスティンに海斗は全神経を集中する。
『あーっと、今回の武闘大会で導入された疑似マテリアルリンク発動か!?』
(次の攻撃……なんとしても避ける!)
淡い光を帯びた海斗は矢の発射の瞬間にすべてをかけ、回避。しかし――矢は海斗の胸に深々と突き刺さった。
「ぬぁぜだああああああ??!? ぐ、お……う……」
白目を向いて倒れる海斗。普通なら避けられたはずだ。だが、彼は極端に運が悪かった。
いや……本当はクリスティンの方が、極端に運がよかったのだが。
『あああ????っ、ここで試合終了??! 海斗選手、立ち上がれない??!!』
震える右手を見つめ、クリスティンは首を傾げた。結構テキトーに狙ったはずだが、吸い込まれるように当たってしまった。
「これも日頃の修練の結果……か?」
『まあ、終始クリスティン優位に進んだが、海斗もワンチャンありそうな感じだったな』
『しかしすごいのう。体痺れたままあんな動きで避けるか普通?』
『勝負は時の運! こういう事も御座います!』
「大丈夫か、紫月?」
「俺が……俺が何をしたってんだ……タングラムに良いところを見せるハズが……ちぐしょう?……」
膝を抱える海斗の肩を、クリスティンはポンポンと軽く叩くのであった。
武闘大会はまだ始まったばかり。中継は引き続き、他の試合へと移って行った。
(執筆:神宮寺飛鳥)
(文責:フロンティアワークス)
(文責:フロンティアワークス)
対戦結果
戦場:川+岩場 遠距離戦を制したクリスティンに、海斗は決死の接近を試みる。 攻性防壁で行動阻害を与える事に成功するが、それでもクリスティンを倒すには至らず。 龍弓「シ・ヴリス」が海斗の急所に突き刺さり、クリスティンの勝利となった。 |