• 日常

【碧剣】約束されし驚愕成功

マスター:ムジカ・トラス

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
シリーズ(新規)

関連ユニオン
アム・シェリタ―揺籃館―

難易度
易しい
オプション
  • relation
参加費
1,300
参加人数
現在7人 / 3~7人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2018/12/04 22:00
リプレイ完成予定
2018/12/18 22:00

オープニング


 久しぶりの、”外”だった。
 雲は高い。乾いた風は、冬に向かいゆく世界を如実に示している。
「……」
 旅装に身を包んだ少年は、息を吐き、手を開く。そうして、呟いた。
「――行こう」


 シュリ・エルキンズ(kz0195)が王国に戻ってからの日々は、至極シンプルなものだった。
「え?」
 王都に戻る、という宣言の後、エステル・マジェスティに連れられて王都にたどり着いた。そこまでは、いい。よかったはずだ。
「釣り上げたか」
「……あなた達は、雇い主じゃないはず」
 幼さの残るエステルの声が、棘を孕む。しかし、それを受けた相手――騎士は、微動だにしなかった。白髪を撫で付けた老騎士は厳然とエステルとシュリを見下ろす。緊張していたシュリの口元から、言葉が溢れる。
「げ、ゲオルギウス・グラニフ・グランフェルト……騎士、団長……?」
「シャルシェレットとは話は通っている」
 シュリの言葉には反応を示さずに、老騎士はお付きの騎士に視線を巡らせる。すると、膝を折った騎士が恭しく包みをエステルに差し出した。
「卿からです、レディ」
「……!」
 エステルはふんだくるようにしてそれを受け取る。機嫌の悪さを隠すことなく、ゲオルギウスを真っ向から睨んだ。
「……このやり方は、気に入らない」
「必要なことだ」
「……気に入らない」
 言って、エステルはシュリを見た。呆然とするその肩を掴む。
「え、エステル……?」
「……見せて」
 意図が汲めずに怪訝な顔をするシュリはただ、少女の意外な力強さが――どうしてか、胸を打つ。
「”今のこれ”は何かが、違う。だから……」
「シュリ・エルキンズ。お前はこっちだ」
 ゲオルギウスの手がシュリの背を叩き、向きを変じさせた。今のシュリにとってはすぐに倒れそうな程度の力。それでも、抗うことを躊躇うには、十分で。
「ぁ……」
 ただ、首だけを後方へと向ける。
 そこにはもう、エステルの姿はなかった。

 語弊を恐れずに記すとすれば。

 それからシュリ・エルキンズは騎士団本部に”軟禁”された。
 そして……その2週間後、シュリ・エルキンズは久方ぶりの眠りを得たのだった。



 ゲオルギウスに案内されて騎士団でされたことは、ひたすらに、訓練、訓練、訓練。そして、訓練だった。
 ただの訓練ではなく、ただひたすらに戦闘を重ねる。シュリ・エルキンズに疲弊はない。摩耗はない。消耗もない。故に、訓練は昼夜を問わず、非番の騎士、新人騎士、従騎士や鬼たち、そして時には聖堂戦士団と行われた。
 ひたすらに剣を重ね、槍と打ち合い、槌を払い、打たれ、打ちのめされ、立ち上がり、戦い続ける。シュリにはほとんど説明は為されなかった。ただ、戦えと言われただけだ。
騎士団がただの酔狂でこんなことをする組織ではないことは、少年にもわかっていた。それに、戦闘に参加する騎士たちに強い意思の光が見えた。
 ……あの日、雪の村を覆う茨に打ちのめされた心が、かすかに息吹く。
 理由はわからないまま。彼もまた、剣を振るった。
 ――これは、僕の為(せい)なんだ。
 戦闘に身を置き続けたまま――シュリ・エルキンズは戦闘中、突然意識を無くした。
 止むことのない戦闘を初めて、2週間後のことだった。

 そして、それから――。



「リアルブルーの医学書によると、ヒトの体には血球というものがあるらしいよ。酸素を運ぶものから、外敵から体を守る防御機構のようなものまで」
「は、はぁ……?」
 ある日、シュリの身体を――正確には碧剣もだが――調べにきた学者が、そう言った。
目の下にこびりついた隈と無精髭が印象的な男の名は、オーラン・クロス。彼はいくつかの羊皮紙を参照しながら、鎧具にマテリアル鉱石を砕いた塗料を用いて陣を描き、続ける。
「ヘクス様から、君とその剣のことを少し聞いたとき、ふと思い出したんだ。世界にはいろんな仕組みがあるけれど、その中でも……」
「あ。あの」
「ん?」
「僕、その辺の話、全く聞いていないんですが……?」
「……」
 思わず、口を挟んでしまった。
 ――そのまま聞き続けることも、できただろうに。
 オーランは気まずげに目を細め、しばし遠くを眺めた後。
「…………すまない。続けよう」
 かろうじて、そう結んだ。


 そうして、今。
 ゲオルギウス・グラニフ・グランフェルトの命令のもと、シュリ・エルキンズは旅に出る。
 王都イルダーナの転移門を抜け、たどり着いた、その先に。

「え?」
 ――その先には。

「遅いぞ、シュリ・エルキンズ」

 豪奢な鎧に身を包み、剣を腰に佩いた金髪の少年、ロシュ・フェイランドと。

「み、皆さん……?」
 ハンターたちの姿が、あったのだった。

解説

●目的
 ブリーフィングと、【ご挨拶】などを

●解説
 皆様は学校を卒業して”騎士になった”ロシュ・フェイランドの呼びかけによって集められました。
 目的は「毎冬、王国北部の集落から大量の村人を攫う歪虚の捜索」です。指揮はロシュが担当し、猟犬として、強力な歪虚探査能力のあるシュリ・エルキンズを騎士団長から借り受けた形となります。
 方針としては、騎士団が”潜伏”候補地としてあげた地点をめぐりながら刈り取っていくこと。
 騎士団の想定では警戒網にかからないことから、物理的に閉ざされたり、悪路が形成される冬季以外は潜伏して何事かをしているのであろう、というもの。
 逆に言えば、冬季初期以降の初動をつかめば展望が開ける可能性は高い。

 なお、シュリは(主にロシュの意趣返しとして)全く何も知らされていません。
「これだけ訓練したんだから、今度こそ頑張れよ」とでも言われたのでしょう。多分。

 今後の予定ですが、今日のところは現地で一泊し、翌日から【狩り】へと挑みます。
 適宜移動をはさみながら、期間としては一ヶ月間程度の予定です。


●味方戦力
 ・ロシュ・フェイランド
 闘狩人。王立学校を卒業し、能力と成績が認められ騎士になった。
 人縁を考慮してシュリの手綱役として抜擢された。
 自腹であれば財布役としても有能だが、基本的には滞在費以上の出費は経費で落ちません。

 ・シュリ・エルキンズ
 【碧剣】の担い手。騎士団のコアメンバーからのフルボッコとオーラン・クロスの【仕掛け】により覚醒状況を若干コントロールできているようになったとのこと。それでも、ほぼ常時覚醒している状況は変わらず。
 事情についてはロシュはある程度情報を知らされているが、シュリは知らない。ハンターたちにも同様に知らされていませんが、特に隠さなくても良いようなので、答えられる範囲で回答はある、かも。
 単位が不足して留年したことも当然知らない。

マスターより

ご無沙汰しております、ムジカ・トラスです。
冬といえばこいつの出番だぜ!!!

……というわけで、新シリーズです。【碧剣】におけるシュリと謎の敵との因縁は本シリーズで解決予定となっています。
うまく行けば今回含めて4回。場合によればもう少し、という予定です。
だいぶ胸糞悪いシリーズになる気がしますが、きっと明るい思い出があれば乗り越えられるはず!

さて、シリーズの【起】。よろしくお楽しみください。

関連NPC

  • 碧剣を抜きし少年
    シュリ・エルキンズ(kz0195
    人間(クリムゾンウェスト)|15才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/12/17 14:56

参加者一覧

  • Stray DOG
    ヴォルフガング・エーヴァルト(ka0139
    人間(紅)|28才|男性|闘狩人
  • 空を引き裂く射手
    ジュード・エアハート(ka0410
    人間(紅)|18才|男性|猟撃士
  • 無明に咲きし熾火
    マッシュ・アクラシス(ka0771
    人間(紅)|26才|男性|闘狩人
  • 赤き大地の放浪者
    エアルドフリス(ka1856
    人間(紅)|30才|男性|魔術師
  • 嗤ウ観察者
    アルヴィン = オールドリッチ(ka2378
    エルフ|26才|男性|聖導士
  • 大工房
    ソフィア =リリィホルム(ka2383
    ドワーフ|14才|女性|機導師
  • 弓師
    八原 篝(ka3104
    人間(蒼)|19才|女性|猟撃士
依頼相談掲示板
アイコン 冬の狩り 初日【相談卓】
エアルドフリス(ka1856
人間(クリムゾンウェスト)|30才|男性|魔術師(マギステル)
最終発言
2018/12/02 15:09:22
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/11/29 22:16:26