• 戦闘

鋼鉄の巨大魚

マスター:赤紫クロ

シナリオ形態
ショート
難易度
易しい
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/01/31 09:00
リプレイ完成予定
2015/02/09 09:00

オープニング

●流れる平穏
 澄み渡る青空に鳥の囀(さえず)りが木霊する。
 生い茂る木々に囲まれたその街は、今日も平和な時間が流れていた。
 街には観光客を迎える為、色とりどりの旗が掲げられている。
 街の中心を流れる大きな川は、小さな川がいくつか合流してできている。
 この川をゴンドラに乗って観光するのが街の名物となっていた。

●現れる脅威
 街を出て、大きな川に沿って歩く三人の少年がいた。
 一回り大きいベレー帽を被った少年、ティーヌは、釣竿を担いで先頭を歩いていた。
「今日は客がいっぱいいるから、でっかいのたくさん釣るぞ!」
 グッと握り拳を作ってそう意気込む。
 ティーヌの後ろを歩くバケツを持った少年、マクナは、呆れた溜息を吐いた。
「いつものセリフ……。今日【は】、じゃなくて、今日【こそは】、じゃないの?」
 最後尾を歩く小柄な少年、フーモは、タモを両手で持ち、控えめにマクナに言葉を話す。
「今日は、川が穏やかだから……ちっちゃくて、大人しい子が釣れそうだね」
「そんなのが釣れても、小物だったらあいつは逃がすよ」
 マクナは先を歩くティーヌに目を向けながら言った。
 一方、ティーヌは既にいつものポイントに到着していた。
 思ったより二人と距離が離れていたことに気付き、大きく手を振る。
「おーい! 何やってんだよー! 早くしろー!」
 三人がいつも釣りのポイントとして選んでいた場所は、街から約一キロ離れた場所にある溜まり場だ。
 ここは三本の小川が合流する場所であり、エサも豊富で色々な魚が釣れる。
 早速いつもの場所を陣取ったティーヌは、手際よく餌を着け、竿を投げた。
 後から来たマクナとフーモは、ティーヌの傍に座る。
「今日の目標はー、そうだなぁ……クジラみたいなやつ!」
「バカだな。クジラなんてこの川には収まらないだろ」
「で、でもそれ、夢があって、いいと思う……な」
 ティーヌの竿が動いたのは、それからすぐだった。
「ん? わっ、もう来たぞ!!」
 確かな手応えに、ティーヌは楽しそうに立ち上がって構える。
「え、凄い……! 今までで最速だね!」
「ってか、こいつ……! すげー、重い……っ! うわあっ!!」
「危ない!」
 獲物に体を持っていかれそうになったティーヌを、マクナが咄嗟に支えた。
 水面に浮かぶ大きな影に、三人は大物を期待する。
「すげー! すげーでっかいぞ、こいつ!」
 ティーヌはそう声を弾ませていたが、影は近付くにつれてどんどん大きくなっていく。
 次第に三人は、興奮よりも迫りくる恐怖に身を駆られた。
「な……なんだ……?」
 竿を引く手は動いていない。
 獲物の方から三人に向かって来ているのだ。
 じわりじわりと迫る脅威。
 ティーヌは一歩後ずさり、フーモはマクナの背にしがみ付いた。
 そして足元まで来た時、影が大きく跳ね上がった。
「ひっ!」
 宙に飛び上がったのは、まさに巨大魚。
 しかしその外見は、見た事もないほど凶悪な顔つきをしていた。
 日の光に反射して体が鈍色に輝く。
 光のない目は三人を捉えているかも定かではない。
 三人は、その巨大魚の姿を見た瞬間確信した。
 こいつはただの巨大魚じゃない。

 ――歪虚だ、と。

 三人に向かって大きな口を開き、鋭い牙を向けて落下してくる。
「う、うわああああああ!!!!」
 マクナはフーモと共に、その場から離れるように倒れ込んだ。
「っ、ティーヌ!!」
 一人残されたティーヌは、果敢にもその巨大魚に向けてタモを投げた。
 しかし魚の体は鉄のように固く、カキンッと甲高い音を立ててタモを跳ね返した。
「う、うわーっ!!」
 恐怖で立ち尽くすティーヌ。
 巨大魚に食べられそうになる寸前、マクナがティーヌの体を押すようにして倒れ込んだ。
 獲物を外した巨大魚は地面で体をバタつかせ、川に戻っていく。
 一瞬の出来事に呼吸を乱すティーヌ。
 今自分が生きている事に困惑しているようにも見えた。
 しかし、その刹那。取り乱したフーモの声で我に返った。
「マ、マクナ……! あ、足っ、足が……っ!!」
 ティーヌが起き上がって見ると、自分に覆いかぶさるように倒れていたマクナの右足が無くなっていた。
 代わりに、噴き出した鮮血が地面に広がっている。
「マ……マクナ……」
 マクナは額に汗を滲ませ、険しい表情で顔を上げた。
「何、やってるの……。あの魚、街の方に向かって行った……。早く、ハンターに知らせなきゃ……っ」
 街の川にはゴンドラに乗って観光している人や漁をしている人、川で水遊びをしている子供達も少なくないだろう。
 急がなければ。
 起き上がろうとするマクナに、ティーヌは下唇を噛んだ。
 自分が釣りに誘わなければ。
 巨大魚に立ち向かおうとしないで、すぐに逃げていれば。
 そう考え始めると、後悔の念が尽きない。
 なんとか起き上がろうとするマクナだが、うまく力が入らずに体制を崩してしまう。
 そんな彼を、ティーヌが支えた。
 マクナの腕を肩に掛けると、ティーヌは俯いたままフーモに言葉を発した。
「フーモ。先に街に戻って、ハンターに知らせてくれないか。俺は、マクナを街まで連れて行く」
「え、で、でも……!」
 初めて大量の血を目にして、涙で顔をくしゃくしゃにするフーモ。
 ティーヌは俯かせた頭を更に下げ、拳を作る手に力を込めた
「頼む、フーモ……。頼む……ッ」
「ティー、ヌ……」
 いつも元気でみんなを引っ張ってくれる存在のティーヌ。
 フーモは、彼のこんな表情を見た事がなかった。
 マクナの顔色も悪くなっていている。
 そんな状況で、泣いてばかりいられない。
 フーモはごしごしと涙を拭き、大きく頷いた。

解説

・巨大魚は雑魔です。
 特徴は大きな口と鋭い歯。
 体はメタルのように固くなっており、一通りの攻撃は効かないようですが、それはあくまでも表面のみです。
 大きさは5メートル程です。

・街から少年達が釣りをしていた場所までは約1キロ。
 街は観光客が来る程なので、小さな街ではありません。

・溜まり場は直径約25メートルの円形になっており、そこから街までの川幅は約20メートルです。
 上流ではないので流れが早くなっているところなどはありません。

マスターより

はじめまして。
赤紫クロ(アカシクロ)と申します。

今回の作品が1作目となります。
至らぬところが多々あると思いますが、これからよろしくお願い致します。

今回のシナリオについてですが、エサに釣られてこの巨大魚がかかったと言う事は、巨大魚はお腹が空いている……?の、かも……?
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/02/07 16:16

参加者一覧

  • 求道者
    猫実 慧(ka0393
    人間(蒼)|23才|男性|機導師
  • 温かき姉
    落葉松 鶲(ka0588
    人間(蒼)|20才|女性|闘狩人

  • イスタ・イルマティーニ(ka1764
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • 『未来』を背負う者
    エリー・ローウェル(ka2576
    人間(紅)|19才|女性|闘狩人
  • ♯冷静とは
    ミネット・ベアール(ka3282
    人間(紅)|15才|女性|猟撃士

  • リズレット・ウォルター(ka3580
    人間(紅)|16才|男性|魔術師
依頼相談掲示板
アイコン 依頼相談スレッド
猫実 慧(ka0393
人間(リアルブルー)|23才|男性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2015/01/30 22:44:17
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/01/28 19:13:02