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  • 戦闘

【血断】楔戦

マスター:電気石八生

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
オプション
参加費
1,500
参加人数
現在8人 / 6~8人
ユニット参加人数
現在8 / 0~8
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2019/07/30 22:00
リプレイ完成予定
2019/08/13 22:00

オープニング

※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。

●急急
 辺境北部に建つパシュパティ砦。
 切り出した火成岩の巨塊を鋼で補強した防壁は、巨砲はもちろん大型歪虚の突貫をも真っ向から受け止め、弾き返すだけの強度を持ち、幾多の戦いを経てなお不落を誇ってきた。
 ――しかし、その矜持と伝説が今、揺るがされようとしている。
“錬金の到達者”と称されし歪虚コーネリアスが遺した力により、己がマテリアルを隠した魔獣群が東から奇襲をかけてきたのだ。
 対して砦の守備隊は魔獣を砲で撃ち据えつつ、迎撃部隊を出動させた。魔獣は先に東方の恵土城を襲った泥の肢体を持つ個体であり、その泥をもって城門を塞ぎに来るものと思われたためだ。
 手練れぞろいの隊員の内でも、特に胆力と武力を備えた者たちをそろえた迎撃隊。彼らは余裕をもって魔獣の先陣を叩き潰し、そして。
 後方より沸き出した歪虚の大群に、八方から噛みつかれた。
 釣り出されたのだと守備隊が悟ったときにはもう遅い。砲撃を重ねれば、混戦へ引きずり込まれた迎撃部隊を巻き込んでしまう。かくて砲は沈黙し、さりとて同じように兵を隠されている可能性がある以上は闇雲に救出部隊を出すこともできず、弓兵による散漫な支援を行うのが精いっぱいだ。
 なんとか隊を砦の内へ! との声があがったが、そうすれば彼らを追う歪虚をも内へと引き込むこととなる。門を開けてしまえば、二度と閉めることはかなわなくなるだろう。
 ――わずか数十秒で死地へ蹴り落とされた守備隊だったが、事態はそれに留まらない。
 迎撃隊の端をすり潰し小型た歪虚群が、一気に砦へと攻め寄せてきたのだ。
 パシュパティ砦は部族会議の重要拠点であると同時、辺境守備の要石である。ゆえにこそ強固な守りの壁で鎧い、精鋭をそろえて万全を整えていた。――それが万全どころか慢心であったことを思い知らされることとなったわけだが。
 とにかく守備隊は、防壁へ取りついた歪虚へ、必死に矢弾に加えて石や煮えた油を浴びせかける。
 辺境のために!
 同胞のために!
 その声音の厚みを、一秒ごとに損ないながら。

「誰か、シンタチャシにやってくれる?」
 指示に追われる守備隊長へ、ソサエティからの定期連絡を携えて砦を訪れていたゲモ・ママ(kz0256)が告げた。
「あそこには幻獣の森から避難してる幻獣たちがいるわ。歪虚なんてもう見たくもねぇでしょうけど、きっと救援に来てくれるわ。この辺境を愛する心は、みんなと同じはずだから」
 言い置いたママは、自らの拳を聖句を刻んだ布で固め、ミスリル銀の甲で鎧う。
「その間にアタシは迎撃部隊のとこに行ってくるわね。うまいこと引っぱり戻せたら、壁のまわりの歪虚どもを挟み討ちできるし」
 守備隊長は当然止めた。ソサエティからの客人にそのようなことはさせられないと。
「むしろ逆に、ってハナシよ。ソサエティが同志の危機をただ見てるわけにいかねぇでしょ。それに、人数外のアタシならいなくなっても困んねぇでしょ」
 と。
「いなくなるの、ボクでも困んないってことだよね?」
 ママを抑えて進み出たのは、ママと共にこの地へ来ていた天王洲レヲナ(kz0260)だった。
「今は砦の守り手をひとりでも減らしていいときじゃないし、歪虚の真ん中突き抜けていける戦闘力持ってて幻獣相手に泣き落としできる人なんてママしかいないんだから」
 アーマーの各部に差し込んだ拳銃と弾倉をチェックしたレヲナはママと部隊長へ視線を送り、「でしょ?」と押しつける。
 しかしママは固い表情を左右に振って。
「ダメよ。アンタはもう、誰のためにも戦う必要なんてねぇんだから」
 今度はレヲナがかぶりを振る番だった。
「ママがそうやってボクを守ってくれてたのは知ってる。でもね、ここで無茶できるのはボクだけなんだ」
 強く言い切って、ほろりと表情を緩ませる。
「ボクのほうでもうソサエティには連絡してあるから、近くにいるハンターがもうすぐ来てくれる。それまで持ちこたえてみせるからさ」
 これに「どーい! 今がそのときっす!」と呼応したのは辺境の徒花、マチヨ族である。全員が練筋術師であり、さらにはアブソリュート・ポーズしか使えない彼らは、これまで守備隊に数を添えるだけの存在であったのだが……同胞を救い、辺境防衛の象徴であるパシュパティを守り抜くべく、立ち上がったのだ。
「ここまで来たらムリしないでとは言えない。オトコ見せなさい」
 ママは即断し、踵を返す。
「任せるから、任せときなさい」
「うん。任せたから任せといて」
 ママとレヲナはそれだけを言い交わし、それぞれが向かうべき先へと駆けだして行った。

●泥底
 迎撃部隊は半ば以上を損ないながらも、砦の防衛戦の隙間を縫って出陣したマチヨ族のアブソリュート・ポーズに助けられ、なんとか陣を形作ってじりじり後退する。
 味方がひとつところへ固まったことで、砦からの砲撃も再開していたが、歪虚の統率が不完全なことが逆に仇となり、大きな効果を出せていないのが実情だ。
 その隙間を駆け巡るレヲナは、眼前の妖魔の眉間を銃弾で穿ち、回し蹴りで他の歪虚どもへぶつけておいて、その隙に弾倉を入れ替えた。
 そもそもが綿密な計画と臨機応変な行動とが両立して始めて成るのが撤退戦だ。そのどちらをも欠いた状況下でただひとり奮闘し続ける彼の体力はすでに尽き、気力だけで動いている有様だが、悪くない気分だ。
 この戦場には“政治”が入り込む隙なんてないもんね。命を賭けて、命を救う。それだけでいいんだから。
 しかし。
 歪虚群の奥より空を轟と押し分けて飛んだなにかが城壁へとぶち当たり、叩き割った。
「砲撃!?」
 疲労で靄がかかった目をこらして見やれば、錬金の業が産み出したものと思しき脈動する金属の巨砲を備えた大型の歪虚の姿が在った。
 踏み出した脚からは多数の腕が生え出しており、それぞれに光刃を握り込んでいる。しかも上体には無数の銃口や小型砲口を備え、それらを撃ち放ち続けていた。
 明白だった。この歪虚が、対砦と対人とを両立させた“皆殺し”であることは。
 砦からの砲撃でわずかに歩を鈍らせながらも“皆殺し”は前進を止めず、砲を撃ち返す。その度に防壁はひしゃげ、ひび割れ、強さと硬さとを損なっていく。
 さらに防壁へ肉迫した歪虚群も、その砲撃で多数を潰されながらも前進を続け、壁の傷を押し広げにかかった。
「とにかく防壁まで戻るよ! あれは生身でどうにかできる相手じゃない!」
 命を捨てて“皆殺し”へ突貫すべきか迷う迎撃部隊へ鋭く告げ、レヲナは奥歯を噛み締めた。前に行っても後ろへ戻っても、結局意味なんてないんじゃないの!?
 って。意味なんて考えてる場合じゃないか。レヲナは殿で絶ち止まり、口の端を吊り上げた。
 どうせ残り少ない余命、捨てて釣りを惜しむほどのものではない。
 ママ。お説教は後で、ママが追いついてきたときゆっくり聞くよ――

解説

●依頼
20ラウンド砦を防衛し、最終的に“皆殺し”を撃破する。

●状況
・みなさんはオープニング最後のレヲナの独白が途切れたところで戦場へ到達します(どこからスタートするかは自由)。
・砦の防壁は半壊状態。あと4発巨砲を食らえば完全崩壊し、歪虚群に突入されます。
・生き残りの迎撃部隊は現在、マチヨ族と共に砦へ後退中(シナリオ開始時、砦から50スクエア東にいます)。
・歪虚群の総戦力は不明。まだ遊群を残している可能性があります(実はいないかもしれません)。
・地形は荒野。足場や視界に不良はないものとします。
・“皆殺し”を20ラウンド抑えることができれば、北から幻獣部隊が救援に駆けつけ、戦局を変えることができます。

●妖魔及び魔獣
・全個体、サイズ1です。
・雑魚ですが、数だけは大量にいます。
・特筆すべき能力はないものとします。

●“皆殺し”
・サイズ4。錬金の術によって生み出された疑似生命体です。
・シナリオ開始時、砦より300スクエア東にいます(移動力15)。
・硬い外殻を持つ二脚無腕(あくまでも普通の腕がないだけですが)の大型歪虚です。
・超強力なロングバレルの錬金砲(物理+魔法/射程500)を備えています。
・上体には対人用の小銃(物理/射程50)、小型砲(物理/射程80/範囲1)を無数に生やしています。
・脚には無数の腕が生えており、錬金の光刃(魔法/射程2)を握っています。
・能力値的には、瞬発と直感が低く、耐久力と威力が高くなっています。

●備考
・策があるハンターは、迎撃部隊やマチヨ族の一部(20人まで)を率いて作戦行動(もしくは撤退支援)を取っても可。
・特に策や指示がない場合、レヲナは迎撃部隊とマチヨ族を支援します。
・3発の猶予を活用し防壁を利しての防衛作戦を取ることもできます。
・“皆殺し”の砲をまともに食らえば一撃死もありえます。その進撃をどう抑え、自らをどう生かし続けるかが重要です。

マスターより

みなさまお疲れさまです。電気石八生です。
こちら、辺境連動の1本、危険フラグつきのガチ防衛戦となっております。
最悪な戦局を越え、どう巨砲を制するか? その策とロマンをプレに叩き込んでいただけましたら幸いです。
よろしくお願いいたします。

関連NPC

  • 秋葉原オフィス受付嬢
    天王洲 レヲナ(kz0260
    人間(リアルブルー)|15才|男性|一般人
  • 黒ママ
    ゲモ・ママ(kz0256
    人間(リアルブルー)|30才|男性|格闘士(マスターアームズ)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2019/08/04 18:06

参加者一覧

  • 伝説の砲撃機乗り
    ミグ・ロマイヤー(ka0665
    ドワーフ|13才|女性|機導師
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 花言葉の使い手
    カーミン・S・フィールズ(ka1559
    人間(紅)|18才|女性|疾影士
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • 胃痛領主
    メンカル(ka5338
    人間(紅)|26才|男性|疾影士
  • アウレールの太陽
    ツィスカ・V・A=ブラオラント(ka5835
    人間(紅)|20才|女性|機導師
  • 拳で語る男
    輝羽・零次(ka5974
    人間(蒼)|17才|男性|格闘士
  • ヒーローを目指す炎娘
    百鬼 一夏(ka7308
    鬼|17才|女性|格闘士

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
エルバッハ・リオン(ka2434
エルフ|12才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2019/07/30 20:14:01
アイコン 質問卓
エルバッハ・リオン(ka2434
エルフ|12才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2019/07/28 13:45:36
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/07/28 20:33:59