• コメディ

ワルサー総帥、節分に悩む

マスター:御影堂

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在10人 / 4~10人
マテリアルリンク
報酬
少なめ
相談期間
5日
プレイング締切
2015/02/19 09:00
リプレイ完成予定
2015/02/28 09:00

オープニング


「ジロ、えほうまきとやらはわかりましたの、だぜ?」
 ここは王国北部ルサスール領、その片隅にある山小屋だ。
 表看板に書かれた「ワルワル団」の文字の通り、ワルワル団のアジトである。
「えほうとまほうって似ていますもの。きっと、すごいものですわよね」
 銀髪をなびかせて、道なる食べ物に思いを馳せる少女が居た。
 この、リアルブルーの習慣に被れまくっている、銀髪少女こそワルワル団総帥である。
 その名もズバリ、ワルサー総帥。本名、サチコ・W・ルサスール。
「スクロールのように、海苔でご飯を巻くことはわかりました」
 応えるのは、サチコに付き従う従者のジロだ。
「確か中に色とりどりの具材をいれるのですわね?」
「えぇ、食材の調達のため、出かけてきます」
 ジロが出て行くのを見送り、サチコは読書に戻る。
 従者タロが入れてくれた紅茶に口をつける。
 こうしてみているとまるで良家のお嬢様のようだ。
「む、これは……節分とはこういう行事ですのね」
 食い入るように、リアルブルー大全と書かれた書物に顔を近づける。
 ちょっとお嬢様感が剥がれだした。
「オニ、豆まき。なるほど、これですわ……だぜ!」
 無理やり語尾を付けて、出て行ったばかりのジロを追いかける。
「ジロ、追加! 追加ですわ!!」
 ふわっとしたドレスをはためかせ、走るさまは、まるで元気なお嬢様のようである。
 だが、ワルサー総帥。そこはワルなことを考えているのであった。
 

「豆まきですわ! だぜ」
 前言を撤回しよう。
 サチコは、どこまでもサチコであった。
「なんでも、オニという悪いやつらを払うために豆をまくのだぜ」
「厄祓いですな」
「違うのだぜ! 私……俺様たちがオニとなるのだぜ!」
 あぁ、いつもどおりだとタロは思う。
 民家を回って、豆をまいてもらう算段を取らないとなぁとスケジュールを頭に思い浮かべていた。
 そうなれば、領主であるカフェにも通達や便宜を計ってもらわないとならない。
 ブツブツと呟いているとき、ジロがそっと耳打ちしてきた。
「領主殿は、今、王都に出かけていて不在だ」
「では、どうする?」
「厄祓いなら、領民もやってくれるだろう。豆は飼料用のを使う」
 ぽそぽそと囁きあう二人を、サチコが訝しげに見ていた。
「何をこそこそ話し合っているのです? だぜ?」
「いえ、なんでもありません。早速準備に……」
 豆はすでにもらってあるが、オニとやらの角か仮面が必要だ。
 どうやって作ろうかと思案し始めた、そのとき――。
「ほっほっほ、ワルワル団のアジトはここかぁ!」
 威勢のいい声が外から聞こえてきた。
 何事かと勇んで前に出ようとするサチコを抑えつつ、ジロたちが先行する。
「……あー」
「……ちゃー」
 声を揃えて、二人共目の前の人物に頭を抱えた。
 おたふくと俗に呼ばれるリアルブルーの面をかぶった、男だった。
 着こなしからして、貴族の男であろう。
 抑えきれなくなったサチコが、姿を現して異様な姿に固まる。
「貴殿がワルワル団の総帥サチコか。我が名は、オタフーク」
 オニという災厄を作ろうという貴殿を倒しに来たのだと、オタフークは説明する。
 何者かはわからないが、相対するならば戦わざるをえない。
 構えるサチコを、オタフークは手で制する。
「待ち給え。私には仲間がいる……貴殿にも仲間を集める時間を与えてやろう」
「な、仲間なんて」
「豆まきは皆でやったほうが楽しいじゃないか!」
「なるほど!」
 ここでタロがジロに耳打ちする。
「なぁ、あの声って……」
「言うな……。カフェ様が不在で、バル様に話を通したのだ」
 バルというのは、サチコの兄の一人である。
 おにいさんなのに、福なのかとつぶやきタロは小突かれた。
「こうしてみると、似たもの同士だな」
「そんなこといっている場合か……いつもの用意をするぞ」
 いつもの、とは依頼を出すための早馬の用意である。
 二人のため息は寒空に溶けていくのだった。


「でも、オタフークとやらを倒してしまっても本当にいいのかしら」
 自室に戻ったサチコは、ふと悩んでいた。
 オニが災厄を呼ぶ存在なら、ルサスール領にとっては払われたほうがいいのだろう。
 領民にとっては、その方がいいはずなのだ。
「うー、でも私は……いえ、俺様はワルワル団のワルサー総帥なのですわ!」
 だぜ、と気合を入れるが悩みは尽きない。
 ワルワル団として悪を標榜するならば、オニとしてオタフークを倒すべきなのだろう。
 しかし、サチコはルサスール家の、曲がりなりにも息女であった。
 根はいい子である。
 ベッドの上で頭を抱えるサチコをおたふくの仮面が覗いていた。
「サチコよ……。兄は手加減などしないぞ」
 大人げない発言をして、オタフークは去っていく。
 彼もまた、仲間を募らなければならないからだ。

 ぱちぱちっと薪が爆ぜる。決戦の日は、近い。

解説

●目的
ワルサー総帥かオタフーク(バル)のどちらかを勝たせる。

●なかーま
ワルサー総帥とオタフークの陣営にそれぞれ分かれる。
参加人数を半分ずつに分ける形で調整します。

●たたかえ、もしくは、豆を食え
戦場は、開けた休耕地です。踏み荒らしても問題なく、遮蔽物はありません。
遮蔽物の設置は、すぐに用意できる板状のものに限ります。

オニとオタフークの陣営それぞれがカゴを背負い、豆をぶつけ合います。
30分ぐらい戦って、より多くの豆を入れられた方が負けです。
カゴの中に入れられた豆も取り出して使用できますし、食べてもいいです。
ただし、腹が膨れやすいのと味気ないです(家畜用のため)

スキルの使用は、攻撃系スキルでない限り認めます。
直接、ダメージを与えるような使用はできません。
また、武器の携帯は安全上禁止されます。
装備していた場合、ないものとして扱います。

●勝負の決着について
八百長可です。
どちらを勝たせても構いませんし、勝負に委ねるというのであれば、作戦等に注力してください。
ただし、サチコは勝負に迷っていますので、勝たせる場合はだまくらかして気合を引き出してください。

●太巻きズドン
今回の騒動で流れていた太巻きも作ってくれるそうです。
オタフークの正体は最後まで明かされず、華麗に去っていきます。

マスターより

わるわるさー、御影堂です。
サチコがサチコなら、兄は兄であった。
兄弟げんかを通り過ごして、茶番です。かっちりと戦闘ルールを活用するわけではありませんが、スキル等を活用して有利にことを運べば勝ちやすくなります。カッコイイ豆まきを期待します。
サチコが迷っているのは、根はいい子だからです。オタフークはそんなサチコの性格を知っています。何者なのだ、オタフーク。そのため、解説でも書きましたがサチコを勝たせる場合は、騙してください。
サチコですから、簡単に騙されるでしょう。

関連NPC

  • ワルサー総帥
    サチコ・ワ・ルサスール(kz0063
    人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/02/26 17:39

参加者一覧

  • うさぎのどうけし
    リズリエル・ュリウス(ka0233
    人間(紅)|16才|女性|疾影士
  • 支援巧者
    ロニ・カルディス(ka0551
    ドワーフ|20才|男性|聖導士
  • 自爆王
    紫月・海斗(ka0788
    人間(蒼)|30才|男性|機導師

  • 最上 風(ka0891
    人間(蒼)|10才|女性|聖導士
  • 夢路に誘う青き魔女
    夢路 まよい(ka1328
    人間(蒼)|15才|女性|魔術師
  • 生身が強いです
    鈴胆 奈月(ka2802
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • ♯冷静とは
    ミネット・ベアール(ka3282
    人間(紅)|15才|女性|猟撃士
  • Two Hand
    lol U mad ?(ka3514
    人間(蒼)|19才|男性|猟撃士
  • 無類の猫好き
    鹿島 雲雀(ka3706
    人間(蒼)|18才|女性|闘狩人

  • ユーリ・ヴェルトライゼン(ka4225
    人間(紅)|19才|男性|疾影士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/02/15 22:36:19
アイコン
ロニ・カルディス(ka0551
ドワーフ|20才|男性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2015/02/18 22:16:44