• 戦闘

奇跡の色

マスター:冬野泉水

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 5~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/04/14 15:00
リプレイ完成予定
2015/04/28 15:00

オープニング

 リアルブルーでは嘗て、青は非常に珍しい色だった。ラピスラズリから生まれるその色合いは見るものを魅了する。「星のきらめく天空の破片」と讃えた博物学者がいるほどだ。
 故に、その石――その“色”は高額で取引されてきた。
 その傾向は、クリムゾンウェストの一部地域においても同じであるようだ。

 ●

「いらっしゃいませ、司教様」
「Beautiful! こんな綺麗なシスターがいるなら、赴任した甲斐があるぜ」
 軽口を叩くのは、大荷物を引きずる男性だ。金糸で刺繍の施されたローブを身に纏う彼はジェラルド・ロックハート(kz0062)。聖堂戦士団の一員にして、聖堂教会の司教位にあたる人間だ。
 元々はグラズヘイム王国で奉仕していた身であるが、交流の一環としてこの地に異動してきたという。何もなく、小さな教会しかない街に司教が来るというので、朝からこの教会に勤めるシスター達は大慌てだ。
 賄賂か淫行か――そんな噂まで立てられるほど、司教位が来るには辺鄙な場所だった。実のところ、ジル本人が希望したため、本人は至って満足しているのだが。
「さて……俺の部屋はどこだ? 外に住むのか? 懺悔室はあるか?」
「は、はい。お待ちくださいね」
 矢継ぎ早の質問に妙齢のシスターはまごついた。エクラの光に身を捧げて十年以上になるが、司教に接したのは洗礼を受けた時以来だ。恐れ多くて(相手は“ジル”なのだが)言葉が出ない。
「ジェラルド司教、こちらにどうぞ」
 呆れた様子でジルに声を掛けたのは、彼の世話係でもあり、弟子でもあるエミリオ・アルベールだった。前乗りで赴任した助祭の彼もまた、「あの人は自分でないと制御できません」とのたまいこの地を希望したのだった。ジルの容姿故に同行を希望した見習い達を前に、「じゃあ貴方はあの男の尻を蹴飛ばして仕事をさせ、頬をぶん殴って軽口を止められますか?」と言って黙らせたのは未だに語り継がれている。
「Hey、エミリオ。待たせて悪かったな」
「いいえ。というか、この規模の教会なら外から通うに決まっているでしょうが。あんた、シスターと会話したいがためにあんなことを……」
「むっさい弟子より美人なシスターだぜ、エミリー。美人揃いだな、ここ」
「知ってたくせに……」
 この男の女好きは今に始まったことではないが、エミリオは強く思う。
 こんなちゃらんぽらんが司教で、聖堂教会の未来は大丈夫かと。

 ●

 使い古された懺悔室は、普通の教会にあるような形ではなく、執務室と兼ねたような形だった。準備中らしく、掃除用具があちこちに散らばり、カーペットやカーテン等は一旦取っ払われている。
「へぇ、綺麗なクロスがあるな」
 様子を見に来たジルは、まだテーブルの脇にまるめて置かれた布に触れた。深い藍色の布で、赤い糸で花や鳥が刺繍されたものだ。
「それは“シルベリアクロス”と言って、この街のシルベリアさんという人が作り始めた特産品だそうです。街から数キロの鉱山で取れる青い石が原料らしいです。その石は彼にちなみ、“シルベリアブルー”という名前で、別名は“奇跡の色”」
「詳しいな」
「ひと通り勉強したので」
 暗にジルが勉強してこないことを責めるエミリオだった。資料によれば、そのシルベリアという人物はリアルブルー出身で、向こうのラピスラズリに着想を得たとか何とか。何十年も前からこの街の産業を支える唯一の品である。
 勿論、生産数に限りがあるので、お値段もリアルブルーのそれを凌ぐ。一般市民にはコースター程度のサイズが買えるかどうかであろう。
「しかし、使い込まれてるな……安そうだし」
「は?」
「いや、安そう……」
「司教……ジェラルド司教。その布、貴方の生涯年収の倍はしますよ」
「What’s!?」
 目を丸くしたジルが布から慌てて手を離した時だ。
「し、司教様! 一大事ですぅ!」
 少女のシスターが涙目になって飛び込んできた。

 ●

「落ち着きなさい、sister。状況を確認する……確認しましょう」
 笑いを堪えるエミリオを睨み、ジルは穏やかにシスターに語りかけた。ここは司教らしく、どっしり構えたいところなのだろう。
 泣き止んだシスターの話を総合するとこうだ。
 先ほどの話にあった鉱山で落盤事故があった。幸い死者は出ていないが、複数人が中に閉じ込められたらしい。しかも、助けようとしたところに雑魔が発生し、街から新しく救出要員を派遣できないとのことだった。
「とりあえずハンターズソサエティに連絡をなさい。エミリオ、私の荷物を」
「はい、司教様」
「シスター、名前は?」
「レラです、ロックハート司教様」
「シスター・レラ。私は先に鉱山に向かいます。到着した応援を案内し、私の後を追ってきてください。道中、彼らに状況を詳細に説明するのですよ」
「は、はいっ」
 弾かれたように応えたシスターが足早に部屋を出て行く。息を吐いたジルの背後では、エミリオが堪え切れずに吹き出した。
「お見事です、ジェラルド司教」
「面倒くせえええええっ、これが終わったら素に戻るぞ、俺は!」
「お好きなように」
 武器を担いだジルは手早く髪をまとめる。ローブを脱ぎ捨て、いつもの服装になった彼はエミリオに言った。
「お前はladyに同行しろ」
「承知しました」
「ったく、赴任早々ツイてねえな……!」
「日頃の行いをエクラの聖光がご覧になっているのですよ、きっと」
 こんな奉仕してんのに! と叫びながら、ジルは鉱山へ、エミリオはハンターズソサエティへ、それぞれの方向に走り出した。

解説

 ジルの赴任先の街から少し行ったところにある鉱山で落盤事故が起こりました。
 また、救出作業を邪魔するように雑魔が湧いています。
 速やかにこれを殲滅し、閉じ込められた作業員を救出してください。

●状況
 このシナリオへ参加する動機は自由です。
 ジルは人事交流みたいな感じで、この街の教会に異動となりました。エミリオも一緒です。
 記念すべき初仕事は雑魔退治で、彼は既に現場へ向かっています。
 ハンターズソサエティに駆け込んだシスター・レラの話しぶりから、救出作業よりも雑魔撃退を優先して欲しいようです。

●雑魔撃退
 【雑魔】
  体長120cm程度の狼に似た姿の雑魔が10匹ほど出現しています。
  それほど強くはありませんが、鋭牙に注意してください。
  動きは少し俊敏ですが、戦闘経験のあるハンターには遅く感じるでしょう。

 【戦闘場所】
  落盤事故のあった鉱山から約300m地点です。
  初期配置は、「鉱山←救出要員・(300m程度開いて)ジル・雑魔・ハンター→街」です。
  視界は良好、パニックはジルが抑え、既に戦闘を始めています。

 【友軍】
  ジェラルド・ロックハート司教が戦闘しています。
  武器は両手持ちの大きな十字架(物理)とのこと。
  熟練のハンターレベルですが、スキルは使用しません。全部蹴ります。投げます。殴ります。

●救出作業
 落盤があった場所は鉱山の入口で、大きな岩等が出入口や足場を壊しています。
 ただ、戦闘中もジルの後ろで救出作業を行う人がおり、また再度落盤する可能性も無いため、雑魔を優先してください。

●その他
 シルベリアブルーは、この街の法律により、許可無く採取すると罰金刑になります。
 その他ご質問はジルまでどうぞ。出発24時間前が〆切です。

マスターより

 ご無沙汰しております。もしくは、初めまして。冬野です。
 少し時間ができたので、ジルを出してみました。
 遅刻回避のため、納品までの期間を長く頂戴しておりますので、ご了承下さい。
 皆様のご参加、お待ちしております。

関連NPC

  • 聖堂教会司教
    ジェラルド・ロックハート(kz0062
    人間(クリムゾンウェスト)|28才|男性|聖導士(クルセイダー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/04/15 21:49

参加者一覧

  • 救世の貴公子
    アクセル・ランパード(ka0448
    人間(紅)|18才|男性|聖導士
  • 大工房
    ソフィア =リリィホルム(ka2383
    ドワーフ|14才|女性|機導師
  • 純情な乙女
    常胎ギィ(ka2852
    人間(紅)|12才|女性|霊闘士
  • それでも尚、世界を紡ぐ者
    リリア・ノヴィドール(ka3056
    エルフ|18才|女性|疾影士
  • きら星ノスタルジア
    浅黄 小夜(ka3062
    人間(蒼)|16才|女性|魔術師
  • 亡郷は茨と成りて
    ジル・ティフォージュ(ka3873
    人間(紅)|28才|男性|闘狩人
依頼相談掲示板
アイコン 雑魔倒して助けるよっ!
ソフィア =リリィホルム(ka2383
ドワーフ|14才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2015/04/10 23:24:58
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/04/10 00:59:56