• 調査

緑の錬金術師

マスター:神宮寺飛鳥

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在8人 / 4~8人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2014/07/18 12:00
リプレイ完成予定
2014/07/27 12:00

オープニング

 ――帝国にはマテリアルを浄化する技術がない。
 マテリアル公害で汚染したらしっぱなし。歪虚の影響受けたら受けっぱなし。だからこんなにも国内における雑魔発生事件が後を絶たない。
 例えば王国ならばエクラ教の、辺境ならば巫女の儀式によって乱れたマテリアルを正常化する事が出来るだろう。
「……同盟では巫女や聖職者を呼んで浄化をお願いしている所もあるみたいね」
 無論、帝国内におけるマテリアル浄化の方法が全くの皆無というわけではない。
 帝国にもエクラの教えを受ける者はいるし、辺境から流れて来た巫女も全くいないわけでもない。しかし自前の汚染で土地をダメにしたりしているので基本的には自業自得の焼け石に水。それで他国にしょっちゅうお願いするというのも実に締まらない話だ。
「ではなぜ、それでも仮初の平穏を保つ事が出来ているのか」
 帝国は、その領土内にエルフ最大規模の集落であるエルフハイムを擁している。
 エルフ達は自然と寄り添って生きる種族だ。特にエルフハイムのある森は精霊に守られ、汚染から身を守っている。
 そして一部の“維新派”と呼ばれる住人達は森から活動範囲を広げ、帝国内の各地にて大地の浄化を行っている者もいると言う。
 彼らにとって帝国の汚染は他人事ではない。今はまだエルフハイムにまで問題は波及していない物の、それは時間の問題なのだ。だからこそ帝国の環境汚染を糾弾するし、それは至極まっとうな訴えに思えてならない。
「汚染を正常化させる為には幾つかの手段が存在する」
 一つは精霊に訴えかける独自の文化、技法によって儀式を執り行う事。
 そしてもう一つ。それは多くの生物、特にここで言う場合は人のプラスの感情を一か所に集める事。
 これもまた厳密な意味では祭事の一つであり儀式と呼べない事もないのだが、特別な技術を学ばずとも誰でも参加する事が出来るという部分で大きな違いがある。
「異世界から転移してきたサルヴァトーレ・ロッソが、その船内に潜む歪虚を浄化する為に宴を開いた事は記憶に新しい」
 帝国にはそういった祭事も過去には存在したのだろう。そもそもこの国は王国から派生したものだ。
 しかし長い間続いた一部特権階級が国を支配し、私利私欲の限りを尽くした腐敗の歴史の中で多くの祭事は失われてしまった。
「……そういえば、最近は新たな祭事を作ろうとしているみたいだけど。アイドル……だったかしら?」
 ともあれ、今の帝国は汚染の浄化に優れていない、という事である。
「これからこの世界で帝国が生きていく為には……いえ。人が世界と共生する為には、より多くの浄化手段が必要とされる……」
 ハイデマリー・アルムホルムの研究室は帝都バルトアンデルスの路地裏にあった。さほど大掛かりな実験道具を必要としない彼女の研究生活において、金の掛かった居住空間はただの贅沢。むしろ各地に足を運ぶ旅費の方に充てた方が賢い選択だった。
 もう隋分長い間袖を通していない、洗濯もしていない白衣が皺くちゃになって床に放られている。部屋の中には所狭しと鉢植えの植物が並び、簡単な機械構造の“自動水やり機”が水滴を落とす音だけが響いていた。
 これらの植物は帝国各地で採取してきたもので、汚染された植物を正常な状態に戻す事が出来るのかという、彼女の研究において必要不可欠な実験素材だった。
「簡単なのは、新たな祭事を幾つも生み出してしまうか、エルフハイムの技術を大きく取り入れる事だけど……」
 帝国は戦いに明け暮れる事ばかりに頭がいっぱいで、祭事を作るなんて理性的な事は出来ない。ハイデマリーはそう踏んでいた。
「まあ、その辺は殊勝な変態に任せましょう」
 武力で解決する手段がないわけではない。例えば汚染地から延々と発生し続けるスライムを覚醒者が正のマテリアルで滅ぼせばそれだけ汚染は浄化される。何度も何度も同じ汚染地にハンターが赴いてその度に戦闘で浄化すれば、いつかは元通りになる可能性はある。
「まあ、何十年かかるんだって話だけど」
 となれば残りはエルフの力だが、ハイデマリーはそれも半ば諦めていた。エルフハイムと帝国の確執は根深い。ここから外交を動かすにしても、それは政治家の仕事である。
「となれば……何か新しい手段を講じるしかないんだけど」
 手帳を閉じ、眼鏡を外して女は前髪をかきあげる。
 朝日が差し込む窓辺に腰掛け、恨めし気にその光を睨んだ。帝都の空には今日も煙が上がり、光を浴びたそれらは皮肉にも美しく見えた。
 兎にも角にも、何かを変える為に必要なのは動く事だ。静と動で言うならば、どちらが前に進んでいるのかなんて一目瞭然だから。
「……前に進んでいるのか後ろに進んでいるのかは、わからないけれどね」
 眼鏡をかけ直し立ち上がる。本棚に無造作に立てかけてあった魔導銃の入ったケースを手に取り、財布と上着を持って女は家を出た。
 こんな早朝でもこの町は動き出している。人ごみは好きではなかったが、町が眠りから覚めるようなこの時間を歩くのは好きだった。
 汚れた川を小さな船が行き交う。まだ少し肌寒い。銃の入った縦長のトランクを肩にかけ、体を抱くようにして空を見上げる。
 この世界の寿命はどれほど残されているのだろう。今日も無責任に人々は目覚め、生きる為に何かを汚していく。
「それでも、人は生きていたいのね」
 空腹に腹が鳴るので寄り道をしよう。とりあえずパンとコーヒーで一息ついて。それからオフィスに向かおうか。
 そんな事を考えながら女は歩く。その姿はやがて朝もやと町の人々に紛れ、見えなくなった。

解説

●目的
依頼人の護衛。


●概要
研究の為に雑魔の出現地帯に向かう依頼人を護衛する。
目的地は汚染を受けている森で、近くには古くに放棄された錬魔院の研究所と、その影響で人がいなくなった廃村がある。
今回は森とそこに流れる川が目的地である為、研究所や村に立ち寄る必要はない。特に研究所は汚染の影響が顕著な為、勝手に近づかないように気をつける事。
依頼人は自分の研究の為に作業をしたいからその間守ってほしいとの事だが、事情を喋るのが面倒なのか何をどう作業するのか伝えられていない。
作業を手伝う事は要求されていないので、ただ邪魔をせず雑魔から護衛するだけで良いようだ。
森には汚染の影響で定期的に雑魔が出現するが、誰かが定期的に殲滅浄化しているようで今は数が減っているらしい。
そこまで調べているからには依頼人はよく通っているらしく、地理には詳しいので迷う事はないだろう。


●敵情報
『スライム』
皆さんご存知スライム。もう倒しましたか?
レベル1でも余裕で倒せる。動きはゆっくり。たまに液体を飛ばす。

『植物雑魔』
汚染の影響で巨大化したり、人間を襲うようになった植物。
麻痺毒のようなものを使う個体がいるが、依頼人が解毒薬を持ってるので脅威ではない。


●特筆
機導師のハイデマリー・アルムホルムが同行。
魔導銃の使い手。研究職とは思えない程戦闘慣れしている。
無口で近寄りがたい雰囲気。ちゃんと食べているのか心配なくらい細い。

マスターより

お世話になっております、神宮寺です。

えーと、あの、はい。いつものアレです。
あの、なんでもないただの未登録NPCです。多分凄い事件とかにはつながりません。多分。
全然偉い人でもなんでもないです。パンピーです。
その辺のハンターより強いんじゃねぇかってくらいですが、めんどくさがりなので守ってあげてください。

それでは宜しくお願い致します。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2014/07/24 05:36

参加者一覧

  • 真水の蝙蝠
    ヒース・R・ウォーカー(ka0145
    人間(蒼)|23才|男性|疾影士
  • 歴戦の教官
    君島 防人(ka0181
    人間(蒼)|25才|男性|猟撃士
  • 緑の理解者
    リンランディア(ka0488
    エルフ|20才|男性|猟撃士
  • 魔弾
    アシフ・セレンギル(ka1073
    エルフ|25才|男性|魔術師
  • 飽くなき探求者
    久延毘 大二郎(ka1771
    人間(蒼)|22才|男性|魔術師

  • ガルヴァート=キキ(ka2082
    エルフ|87才|女性|霊闘士

  • ギルバート(ka2315
    ドワーフ|43才|男性|霊闘士

  • nil(ka2654
    エルフ|16才|女性|猟撃士
依頼相談掲示板
アイコン 作戦相談
リンランディア(ka0488
エルフ|20才|男性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2014/07/18 08:39:26
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/07/14 19:51:59