ゲスト
(ka0000)
マロンパイに詰まった思い出。
マスター:蓮華・水無月
このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
- 500
- 参加人数
- 現在50人 / 1~50人
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 8日
- プレイング締切
- 2014/10/09 19:00
- リプレイ完成予定
- 2014/10/23 19:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
ここしばらくのディアヌの気がかりは、秋になると元気のなくなる母のことである。
ディアヌの父はまだ彼女が10歳だった頃の秋に、仕事先で亡くなった。この辺りでは珍しい覚醒者で、ハンター稼業に勤しんでいた父だったから、亡くなったのもどこだかの雑魔退治の最中だったと聞く。
それ以来、母は秋が嫌いになり、この季節が来ると酷くふさぎ込むようになって。それでもディアヌと、それからディアヌの3歳年上の兄を育てるために、必死に畑仕事に打ち込むうちに、だんだん気が紛れてきたようではあったのだけれども。
「はぁ……」
「――母さん、ちょっとは外を歩いてみたら? 良いお天気だし、お隣の奥さん所でお喋りでもしてきなさいよ」
「そうだねぇ……」
何かとため息をついてばかりの母に、そう声をかけてみても返ってくるのは生返事ばかり。秋の気配が感じられるようになると母はここ数年、外が見えないようにカーテンを閉め切った部屋の中で、こうしてため息をついて過ごす。
ふぅ、とディアヌも小さな、小さなため息をついた。そうして、ご飯を用意してくるわと母に声をかけて、薄暗い部屋を後にした。
●
兄が大きくなってリゼリオで働き仕送りをしてくれるようになり、ディアヌも隣村の学校で勉強を教えるようになった。そうして、母1人に働かせなくても何とか生活が軌道に乗るようになったのは、もう10年も前の事。
もっとも、それがこの季節ばかりは災いして、母を家に引き籠らせてますます気分を憂鬱にさせているのは、事実。それに――もう1つ、母を気鬱にさせている要因を思い出して、ディアヌは恨みがましく呟いた。
「兄さんも、よりにもよってハンターにならなくったって良いのに」
手っ取り早くそれなりのお金を稼ぐため、素質があったのを幸いに兄は、リゼリオで覚醒者となり、ハンターになった――亡くなった父と同じように。ディアヌ自身はそれに思う所はなかったけれども、母はいつ、兄が父と同じように命を落とすか、この季節は特に気が気ではないのだ。
おまけに、リゼリオで結婚した兄の娘はちょうど今年で10歳、ディアヌが父を亡くしたのと同じ年齢。母にとっては17年前、父が亡くなったあの秋を繰り返しているような心地がするのだろう。
今年の秋が無事に終われば、母も父の死の呪縛から解放されるのだろうか。けれどもまだまだ、冬の訪れの声を聞く日は遠い。
「――そういえば母さん、マロンパイは好きだったっけ」
ふとそれを思い出して、ディアヌは村の裏山へと眼差しを向けた。あれは一昨年の事だったか、娘と里帰りをしてきた兄がリゼリオ土産だと買ってきた、マロンパイを母は珍しく、美味しいと喜んで食べていたのだっけ。
父が亡くなってから母は、努めて秋を思わせるものを家の中から排除して、心の平穏を保とうとしていたようだった。けれどもあのマロンパイは確かに、美味しいと喜んでいたはずだ。
思えば兄も、母さんが確か栗が好きだったと思って、とマロンパイを買って来たのではなかったか。だとしたら、裏山にそろそろなっているだろう栗を使って、パイや、それから料理やお菓子を食べさせれば、少しは元気になってくれるだろうか。
ディアヌはそう思い、綺麗な意匠が気に入って大切に取っておいた、兄の土産の紙袋を取り出した。まるで兄に相談するような気持ちで、紙袋に印刷されている、花の上で蝶を追いかけて遊んでいる猫をじっと見る。
きっと兄なら、やってみなきゃ解んないよ、と笑うのに違いない。
「――そうね。やってみなきゃ解んないわ」
うん、と心の中の兄に大きく頷いた。そうして、さすがにあの状態の母を1人で置いていくのも心配だから、誰か代わりに栗を取りに行ってくれる人が居ないかしらと、今度こそ兄本人に連絡を取ることにした。
ここしばらくのディアヌの気がかりは、秋になると元気のなくなる母のことである。
ディアヌの父はまだ彼女が10歳だった頃の秋に、仕事先で亡くなった。この辺りでは珍しい覚醒者で、ハンター稼業に勤しんでいた父だったから、亡くなったのもどこだかの雑魔退治の最中だったと聞く。
それ以来、母は秋が嫌いになり、この季節が来ると酷くふさぎ込むようになって。それでもディアヌと、それからディアヌの3歳年上の兄を育てるために、必死に畑仕事に打ち込むうちに、だんだん気が紛れてきたようではあったのだけれども。
「はぁ……」
「――母さん、ちょっとは外を歩いてみたら? 良いお天気だし、お隣の奥さん所でお喋りでもしてきなさいよ」
「そうだねぇ……」
何かとため息をついてばかりの母に、そう声をかけてみても返ってくるのは生返事ばかり。秋の気配が感じられるようになると母はここ数年、外が見えないようにカーテンを閉め切った部屋の中で、こうしてため息をついて過ごす。
ふぅ、とディアヌも小さな、小さなため息をついた。そうして、ご飯を用意してくるわと母に声をかけて、薄暗い部屋を後にした。
●
兄が大きくなってリゼリオで働き仕送りをしてくれるようになり、ディアヌも隣村の学校で勉強を教えるようになった。そうして、母1人に働かせなくても何とか生活が軌道に乗るようになったのは、もう10年も前の事。
もっとも、それがこの季節ばかりは災いして、母を家に引き籠らせてますます気分を憂鬱にさせているのは、事実。それに――もう1つ、母を気鬱にさせている要因を思い出して、ディアヌは恨みがましく呟いた。
「兄さんも、よりにもよってハンターにならなくったって良いのに」
手っ取り早くそれなりのお金を稼ぐため、素質があったのを幸いに兄は、リゼリオで覚醒者となり、ハンターになった――亡くなった父と同じように。ディアヌ自身はそれに思う所はなかったけれども、母はいつ、兄が父と同じように命を落とすか、この季節は特に気が気ではないのだ。
おまけに、リゼリオで結婚した兄の娘はちょうど今年で10歳、ディアヌが父を亡くしたのと同じ年齢。母にとっては17年前、父が亡くなったあの秋を繰り返しているような心地がするのだろう。
今年の秋が無事に終われば、母も父の死の呪縛から解放されるのだろうか。けれどもまだまだ、冬の訪れの声を聞く日は遠い。
「――そういえば母さん、マロンパイは好きだったっけ」
ふとそれを思い出して、ディアヌは村の裏山へと眼差しを向けた。あれは一昨年の事だったか、娘と里帰りをしてきた兄がリゼリオ土産だと買ってきた、マロンパイを母は珍しく、美味しいと喜んで食べていたのだっけ。
父が亡くなってから母は、努めて秋を思わせるものを家の中から排除して、心の平穏を保とうとしていたようだった。けれどもあのマロンパイは確かに、美味しいと喜んでいたはずだ。
思えば兄も、母さんが確か栗が好きだったと思って、とマロンパイを買って来たのではなかったか。だとしたら、裏山にそろそろなっているだろう栗を使って、パイや、それから料理やお菓子を食べさせれば、少しは元気になってくれるだろうか。
ディアヌはそう思い、綺麗な意匠が気に入って大切に取っておいた、兄の土産の紙袋を取り出した。まるで兄に相談するような気持ちで、紙袋に印刷されている、花の上で蝶を追いかけて遊んでいる猫をじっと見る。
きっと兄なら、やってみなきゃ解んないよ、と笑うのに違いない。
「――そうね。やってみなきゃ解んないわ」
うん、と心の中の兄に大きく頷いた。そうして、さすがにあの状態の母を1人で置いていくのも心配だから、誰か代わりに栗を取りに行ってくれる人が居ないかしらと、今度こそ兄本人に連絡を取ることにした。
解説
●目的
・とある村の裏山になっている、栗を取りに行ってみましょう。
・栗を使ったお菓子は美味しいですよね。
・他にも秋の食材が手に入ると、なお美味しいことになるかも知れません。
裏山は日頃から村の人が出入りしていて、特に危険な獣も目撃されていません。
栗の木は、村から山を登って行った向こう側に群生しているようです。
もし必要な道具があれば、珍しいものでなければディアヌや村の人に借りる事は出来るでしょう。
何とも都合の良いことに、この村の裏山の木になる栗は、今がちょうど食べごろです。
広さもそれなりにありますから、お1人で楽しまれても、何人かでのんびり楽しまれても問題はありません。
もちろん、栗を取るのは皆に任せて、料理は任せろという方でも問題なくご参加いただけます。
いっそ眺めているだけでも大丈夫。
NPCは特に、絡んで頂いても頂かなくても問題ありません。
それではお気が向かれましたら、どうぞよろしくお願い致します。
※依頼参加上のご注意※
・依頼に参加なさいましたら、まずは『がんばる』の一言だけでも仮プレイングを送信される事を、強くお奨めいたします。プレイングを送信しないまま出発してしまった場合、リプレイに登場して頂く事が出来ませんので、くれぐれもご注意下さいませ。
・所持品をご使用になる場合は、可能な限りプレイングにご明記頂けると助かります。場合によっては記載なくとも削除させていただいたり、或いは所持金の削除にて対応させて頂きますので、何卒ご了承下さいませ。
・称号は、希望と書いて頂いても基本は対応出来ません。悪しからず、ご了承下さいませ。
・とある村の裏山になっている、栗を取りに行ってみましょう。
・栗を使ったお菓子は美味しいですよね。
・他にも秋の食材が手に入ると、なお美味しいことになるかも知れません。
裏山は日頃から村の人が出入りしていて、特に危険な獣も目撃されていません。
栗の木は、村から山を登って行った向こう側に群生しているようです。
もし必要な道具があれば、珍しいものでなければディアヌや村の人に借りる事は出来るでしょう。
何とも都合の良いことに、この村の裏山の木になる栗は、今がちょうど食べごろです。
広さもそれなりにありますから、お1人で楽しまれても、何人かでのんびり楽しまれても問題はありません。
もちろん、栗を取るのは皆に任せて、料理は任せろという方でも問題なくご参加いただけます。
いっそ眺めているだけでも大丈夫。
NPCは特に、絡んで頂いても頂かなくても問題ありません。
それではお気が向かれましたら、どうぞよろしくお願い致します。
※依頼参加上のご注意※
・依頼に参加なさいましたら、まずは『がんばる』の一言だけでも仮プレイングを送信される事を、強くお奨めいたします。プレイングを送信しないまま出発してしまった場合、リプレイに登場して頂く事が出来ませんので、くれぐれもご注意下さいませ。
・所持品をご使用になる場合は、可能な限りプレイングにご明記頂けると助かります。場合によっては記載なくとも削除させていただいたり、或いは所持金の削除にて対応させて頂きますので、何卒ご了承下さいませ。
・称号は、希望と書いて頂いても基本は対応出来ません。悪しからず、ご了承下さいませ。
マスターより
いつもお世話になっております、または初めまして、蓮華・水無月と申します。
知人が栗ご飯を食べていたのが羨ましくて、負けじと栗の依頼でお邪魔致します(何勝負
子供の頃は近所の神社に、栗の木が生えていました。
みんなで頑張って落としたものの、どうしたら良いのか解らず、結局誰も持って帰らなかったという(
今回はそんなことにはなりませんので、ご安心して、栗に思う秋のひと時をお楽しみ頂ければ幸いです。
知人が栗ご飯を食べていたのが羨ましくて、負けじと栗の依頼でお邪魔致します(何勝負
子供の頃は近所の神社に、栗の木が生えていました。
みんなで頑張って落としたものの、どうしたら良いのか解らず、結局誰も持って帰らなかったという(
今回はそんなことにはなりませんので、ご安心して、栗に思う秋のひと時をお楽しみ頂ければ幸いです。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/10/29 23:35