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【転臨】【空の研究】霧を纏いて

マスター:紺堂 カヤ

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
オプション
参加費
1,500
参加人数
現在8人 / 6~8人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2017/09/05 15:00
リプレイ完成予定
2017/09/14 15:00

オープニング

※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。

●レンダック家
「えっ、ま、待ってください!」
 ヒューゴ・レンダックにとっては実に珍しく、周囲を驚かせるに充分な声量であった。にもかかわらず。
「頼んだぞ」
 相手はそれを見事に黙殺して立ち去った。結局それを見送ってしまうところが、ヒューゴの甘さだが、今はそれについて言及している場合ではない。
「こ、困ったことになった……」
 ヒューゴは青い顔で自宅の応接室に立ち尽くした。ヒューゴは、王国貴族である。ただし、弱小と言ってよい。資金もなければ権力もない。そんなヒューゴ・レンダックに、重大な仕事が舞い込んだ……、否、押し付けられたのである。
 押し付けて行ったのは、先ほど足早に帰って行った貴族だ。ヒューゴとはさほど交流がなかったが、父が生きていた頃にはそこそこ行き来があったらしい。レンダック家よりも名が通り、財力も申し分ない家柄だ。そんな名家が、どうしてレンダック家に仕事を押し付けて行ったのか。それはその仕事の内容に理由があった。
「イスルダ島への、物資運搬ですって!?」
 ヒューゴから説明を受け、妹のアーニャ・レンダックは悲鳴めいた声をあげた。わざわざ言うまでもない。命の保証のない仕事だ。つまり。押し付けて帰った貴族は、己の命を惜しんだのである。
「お断りなさいませ、お兄さま!」
「うーん、でも、一方的にとはいえ、任されてしまったし……」
 しかし、考えるまでもなくレンダック家の力だけではとても不可能である。物資の輸送船を出すだけの資金など、逆立ちしたって用意できない。
「しかたがない、あの人に協力をお願いしよう」
 ヒューゴは心を決めた。



●空の研究所
 王都イルダーナの片隅にその施設を構える、空の研究所は、長らく研究旅行で留守にしていた研究員・キランのようやくの帰還を受け、久しぶりに賑やかな様子であった。
「遅くなって本当にすまん」
「まったくですねーえ」
 特徴的な黄色い髪を逆立てたキランが、深々とお辞儀をする。頭を下げられているのは所長であるアメリア・マティーナ(kz0179)。黒いローブのフードをすっぽりとかぶり、その下で苦笑めいた声を出した。
「ひとまず、研究内容を報告してくださいねーえ」
「ああ、わかった。そちらも、いろいろと大変だったらしいな」
「ええ、そうですねーえ」
 ふたりが、互いに報告体勢に入った、そのとき。職員である青年・スバルが、来客を告げた。
「トリイ・シールズ氏がおみえです」
「ん? 誰だっけ、それ」
 ぽかん、とするキランとは対照的に、アメリアは声音を固くした。あまり良い話が持ち込まれるのではなさそうだ、という予感があった。
「シールズ氏はカリム・ルッツバード氏の秘書です。……スバルさん、お通ししてください」
 お久しぶりですアメリア所長、とにこやかにやってきたトリイは、見知らぬ男性をひとり、伴っていた。どうやら彼も貴族であるらしい。ヒューゴ・レンダックと名乗った。
 そして。トリイより持ち込まれた話は予想通り、アメリアにとってあまり良い話題ではなかった。
「そちらのレンダック氏が、イスルダ島への物資運搬の船団への参加を引き受けることになり、ルッツバード氏が資金援助することになった、と。そこまでは良いとしましょう」
 アメリアは、つとめて冷静な声で言った。話がややこしくなると踏んで、キランは退席させている。
「レンダック氏の運搬船の護衛を、空の研究所がつとめるように、とはいかなることですかねーえ。ルッツバード氏には確かに、資金面でも対外交渉面でもお世話になっておりますが、私はルッツバード氏の部下になった覚えはありませんよーお」
「ええ、もちろんです。これはあくまでも要請であり、命令ではありません」
 トリイは穏やかな調子を崩さない。
「そしてまた、脅しでもありません。それをご承知おきの上で聞いていただきたいのですが。ルッツバード氏は顔が広くていらっしゃいます。ですが、心から信頼して仕事を頼むことができる人物というのは、実は少ないのです。仕方のないことではあります。貴族というものは、腹の探り合いが仕事のひとつのようなものですから。……ことに、王国の一大事にかかわるとなれば、なおのことです」
 トリイはそこで、ひとつ呼吸を整えた。
「カリム・ルッツバード氏は、システィーナ王女殿下のために心血を惜しみません。今回のことも、それが大前提です」
「……確かに、脅しではありませんがねーえ」
 アメリアは苦笑した。脅しでは、ない。しかし、確実にアメリアの急所を突いてきた。アメリアもまた、システィーナ王女殿下の助けになるべく、この空の研究所を設立したのだから。
「わかりました。護衛の件、このアメリア・マティーナが責任を持ってお引き受けいたしましょうねーえ」
 アメリアも心を決めた。



 とはいえ、アメリアは船旅にも不慣れなら、当然、船上での戦いにも不慣れだ。それ以前に、そもそもあまり戦闘には向いていない。研究者であるのだから致し方ないが。
「ということで、皆さんに護衛実務をお願い致します。その指揮を、私が執らせていただくことと致しますよーお」
 出航前、アメリアは、集められたハンターたちに向かってそう説明していた。
「イスルダ島までの航路は、先行部隊によって敵の討伐、マテリアルの浄化が進められていますがねーえ、まあ完全には不可能ですよねーえ。何事もなく、つまり、歪虚に襲われることなく、島に上陸できるとは思わない方がいいでしょうねーえ。しかし、我々が運航させるのは物資を積んだ輸送船です。機敏な動きができるわけではない……、そこで、ですねーえ」
 アメリアは大きな白布を広げて見せた。そこには魔法陣らしきものが描かれている。
「これを甲板に広げ、そこで私が呪文を唱えます。ええ、魔法ですねーえ。霧を、作り出す魔法です。敵の接近が予想される海域や、負のマテリアルが強いイスルダ島沿岸付近では、この魔法で船を包み、船の姿が発見されにくいようにします。ただ……、上手くいくとは限りませんのでねーえ。そこは皆さんに御協力いただきたいのですよーお」
 そうした対策のもと、アメリアとヒューゴの乗る輸送船、ハンターたちの乗る護衛船は、総勢十隻を超える輸送船団の最右翼に連なった。
 航海は、順調に進んで行った。が、しかし。航路の残りはあと三分の一、というところまで来たころ。
「三時の方向、上空に敵と見られる姿を発見!」
 護衛船の見張りが叫んだ。ハンターたちの乗る護衛船は、輸送船から離れて敵の確認と対処に乗り出した。船団本体は、速度を上げて振り切る選択をしたらしく、アメリアたちを置いてぐんぐん遠ざかってゆく。位置、方向ともに、ハンターたちの乗る護衛船が対処するしかなさそうだ。上空の敵がぐんぐん近づいてくるのにハンターたちが身構えた、そのとき。
「敵襲ー!!!」
 海の中から、何本もの足が護衛船に這い寄って来た。

解説

■成功条件
船団より離されたアメリアとヒューゴ輸送船を護衛し、イスルダ島へ物資を届ける

■味方勢力
輸送船一隻(全長20m)……一般的な輸送船。抗戦装置一切なし。
 乗船人員:アメリア・マティーナ(甲板にて蜃気楼の魔法を使用)
      ヒューゴ・レンダック(非戦闘員)
      水夫(非戦闘員)

護衛船一隻(全長15m)……砲撃口を左右3つずつ備え、旧式ながら大砲も装備済。
 乗船人員:水夫(戦闘員)、砲手

※ハンターは護衛船に乗船を想定。ただし、輸送船に乗ることも可能(2名まで)

■航路において想定される敵
海鳥型歪虚(およそ20)
 全長1メートルほど。爪と嘴での攻撃を主とする。爪には毒があり、受けると痺れを伴って体を動かしづらくなる。
 10羽以上で群れて飛ぶ傾向にある。

複数足生物型雑魔(多数)
 いわゆるイカタコ型。体長50cmほど。8~10本の足を持つ。5本以上の足を失うと自動的に消滅する。
 イルカ並みの速度(約時速40km)で泳ぐほか、船を這い上ってくるだけの吸盤の力を持つ。

■霧の魔法
魔法陣の中央で呪文を唱えることによってそこから半径10m範囲を霧で包む魔法。
一回の効力は約10分、アメリアのみが使用可能。
航海中3回までの使用が限界。
呪文を唱えきるのに3分を要し、呪文が途中で途切れた場合、最初からやり直すこととなる。


質問には回答可能な範囲でアメリアが対応いたします。

マスターより

ごきげんいかがでしょうか。紺堂カヤでございます。
転臨、支援分野でのシナリオリリースです。古今東西、戦の要は補給でございます。是非ともご協力のほどよろしくお願い致します。

霧の魔法をどう有効活用するか、どう輸送船を守るか……。
ひとつひとつの行動のリスクと効果を比べた上での実行が重要になるかと思います。
アメリアとヒューゴの初航海を、どうぞ助けてやってくださいませ。

関連NPC

  • 空の研究者
    アメリア・マティーナ(kz0179
    人間(クリムゾンウェスト)|25才|女性|魔術師(マギステル)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2017/09/10 20:23

参加者一覧

  • 白き流星
    鬼塚 陸(ka0038
    人間(蒼)|22才|男性|機導師
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • ノブレス・オブリージュ
    ジャック・J・グリーヴ(ka1305
    人間(紅)|24才|男性|闘狩人
  • ジルボ伝道師
    マルカ・アニチキン(ka2542
    人間(紅)|20才|女性|魔術師
  • 黎明の星明かり
    マチルダ・スカルラッティ(ka4172
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • 友と、龍と、翔る
    グリムバルド・グリーンウッド(ka4409
    人間(蒼)|24才|男性|機導師

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • 雨呼の蒼花
    雨を告げる鳥(ka6258
    エルフ|14才|女性|魔術師
依頼相談掲示板
アイコン 質疑応答の場
マルカ・アニチキン(ka2542
人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2017/09/02 21:44:47
アイコン 相談卓
マルカ・アニチキン(ka2542
人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2017/09/05 13:28:41
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/09/02 19:13:38