【奇石】秘密の道と屋根裏の星

マスター:奈華里

シナリオ形態
シリーズ(続編)
難易度
やや難しい
オプション
  • relation
参加費
1,300
参加制限
-
参加人数
3~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
6日
締切
2018/12/15 19:00
完成日
2018/12/28 01:27

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 ハンター達が屋敷に向かっている頃、オフィスでも新たな情報を得るべく聴取は続く。
「フキ君。他に変わった所はなかったかな?」
 唯一の隠し通路の発見者である彼に窓口の女性が優しく尋ねる。
 けれど、彼もそれを見つけたのはかなり前の事らしかった。たまたま自分の部屋の天井から奇妙な光が射していて、それを確かめようと二段ベッドの上に上がって手を伸ばした。するとコトリと音がして、天井の板が外れたらしい。その時は丁度妹もいなかったようで、壊してしまったと思った彼は一度はそのままにしたものの、子供特有の好奇心にかられ、こっそり中を探索したのだという。
「落書き以外にたいしたものはなかったと思い、ます。でも、ちゃんと見てないから他にも何かあるかもしれません」
 父親の前では後ろめいたのだろう。ちらちらとアドナの方を気にしつつ言う。
「お父様はその通路について全く知らなかったのですか?」
 そこで窓口が質問を父親へと移して尋ねる。
「あ…はい、私は何も…」
 大人と子供。住んでいたとはいえ、子供部屋にあったその道は把握している筈もない。
 詳しく聞けば、引っ越した当時に屋敷の設計図を見たらしいが、それにもそんなものは一切書き込まれていなかったのだという。
「何だってそんなものがうちに…一体先代は何をしていたんだ…」
 彼の両親よりもさらに前の話だというから、知らなくても無理はない。
 けれどこうなってくると知らなければならない。何を研究し、どうしてそんなものを作ったのか。
 先祖が研究していた鉱石とは一体どんな代物なのだろうか。
「あっにーちゃん、パパ―」
 とそこへエルがやってきた。あれから数日、やっと母親の方も元気を取り戻したらしい。
 母親の方はエルの様子に気を配りながら窓口の女性に会釈する。
「なあ、母さん。子供部屋に通路があったらしいんだが、知っていたか?」
 そこでアドナが妻にそう尋ねて…奥さんがしばし記憶を遡る。
「……そう、ですねぇ。通路は知りませんけど、そういえば越して来た時少し違和感を感じた場所があったような」
「違和感? そんな場所があったか?」
 妻の言葉に驚いたようにアドナが首を傾げる。
「確か…そう、階段の裏になる場所だったと思います。そんな場所に柱時計が置いてあって…折角なら大広間の中央にと移動させようとしたのにびくともしなくて…」
「ああ、確かに。そんな事もあったなぁ」
 その言葉にアドナも思い出したらしくこくこく頷いている。
「柱時計…ですか?」
「ええ、とても大きな時計でお父さんの身長を少し超えた位の高さがありましたわ」
 アドナの身長は大凡190cm位だろうか。そんな彼より高いとなると、多分200cmはあると予想される。
「毎日ゴーン、ゴーンってなってたやつだよねっ。エル、あの音でおこされたことあるよ」
 うさぎのぬいぐるみをしっかりと抱えながらエルも思い出したように話し出す。
「その他に変わったものは?」
「特にないと思います」
 まあ、秘密の通路を作る程だ。ぱっと見では判るようにはしていないだろう。
「あっ、おねーさんのハンカチ、うさぎさんだぁ~うーたんといっしょだねぇ」
 とエルが窓口さんが持っていたハンカチの柄に気付いたらしい。
 思わぬ所にピンクのウサギを見つけてはしゃいでいる。
 そんな中で窓口さんが次に取り掛かったのは屋敷の間取りの聞き取り調査。
 ちなみに一階は正面入ったらロビーが広がり、そのまま奥(北)に行けば大広間。左右には部屋があり東側には手前からサロン、バスルーム、ランドリー室。西側は研究室、食堂、キッチンと続く。そして、問題の階段は大広間手前の両サイドにあり、柱時計は大広間の西側の角に位置しているという。
 次に二階だが主にこちらは家族の部屋だとか。ロビー部分の上は一部吹き抜けになっており、東側に夫婦の寝室が、西側には子供達の部屋、手前側には直線に五部屋、来客用の個室が設けられているという事だ。
(うーん、これで何か判るとは思えないけど…どんな些細な事でもいい。ハンターさん達の為に何かヒントを見つけないと)
 新たに聞いた情報と図面とをにらめっこしながら窓口さんが考える。
 けれど、流石にこれだけでは全くもって糸口さえも見つからない。
 だが、そこでフキがある事を思い出す。
「あ、そうだ…屋根裏に一杯星がぶら下がってたんだった」
『星?』
 いきなりの言葉に皆が首を傾げる。
「そう、聖輝節飾るようないがいがのやつで…なんでこんな所にって思ったから」
 フキの一言が意味するものとは? ただの飾りでは決してない筈だ。

リプレイ本文

●星とネジ巻
 レリーフを改めてはめ直し、隠し通路からハンターらは侵入する。
 簡素な階段を下りて、入り口が閉まるとユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)の灯火の水晶球の灯りを頼りに通路を進む。通路の壁はさして何があるという訳ではなかった。石で補強されている訳でもなく、ごく簡易的に固められた壁は大人が一人通れる位の幅しかない。いよいよ先代の研究が怪しさを増す中、今回初めてこの依頼に参加した男・エンバディ(ka7328)はこの依頼にやる気だ。
(研究と秘密を守る仕掛けか―。遊び心とロマンがあるねぇ)
 普段は書庫に籠っているのが日課であるが、こんな案件となれば話は別だ。自分も研究者の端くれで元神官という事もあって、同類の考えに共感できる部分が多い。だからこの先代の研究者にも好奇心が働いて、年甲斐もなくワクワクしている。
 一方継続ハンターらは概ねこの仕掛けに頭を抱えている者の方が多い。
 通路を進んで梯子を上って、ついた先にはフキが証言した通りの小さな星が無数にぶら下がっている。
「なんでまたこんなパズルみたいな屋敷なんだ…」
「ふう、頭が痛くなってきそうな屋敷だな」
 まずはフキが見つけた落書きを確認して、レオーネ・インヴェトーレ(ka1441)とレイア・アローネ(ka4082)がそれぞれ呟く。
「でもここまで来たのだし、こうなったら意地でも何かを探し出してみようじゃない」
 そう言って星に触れたのはユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239)だ。
 彼らの事前の推理によればこの星に何らかの仕掛けか、研究の鉱石が関わっているのではと見ている。
 案の定、少し触れただけでぼんやりと光が灯る。
「この明かり…あの御守りと同じものかしら?」
 光の加減を確認して夢路 まよい(ka1328)がそう推理する。
「と言うと?」
「ああ、エンバディは知らないんだっけ? フキの父親が先祖から貰った石の御守り。小瓶に入っていたやつなんだけどね、こんな光り方をしていたのよ」
 数日前を思い出し、彼女が説明する。
「ここからは手分けをして探索しましょう。私はここを担当します」
 そこでユーリがそう提案して、皆はそれに異論なし。定期的に通信機で連絡を取り合う形で屋敷に散る。
「皆様、気を付けて下さいね」
 彼女の言葉に頷き、まよいとレオーネは一階へ。レイアとエンバディは二階を探索する。
「さて、ではどこから始めましょうか」
 残ったユーリはまず辺りを見回して――この屋根裏は思いの外天井が高かった。
 流石に端の方では大人が普通に歩く事は叶わないが、中央の尖った部分ならそれも可能だ。
 灯火の水晶球を手に抱えて、落書きのある壁から壁伝いに一周する。すると所々にまたも窪みのようなものが見受けられて…但し、この窪みは石碑にあったモノとは全く違う。形からすれば、コインのようなものが丁度はまる位のサイズと言える。
(建築の跡…にしては変ね)
 念の為、貰った地図にその場所を記しながら彼女が進む。
 そして、もう一つ気が付いたのは星の違いだ。
 いくつか触れてみたのだが、触れても光らない星があるようで。
(これは、一体…しかし、これら全てを調べるとなると)
 目視出来るだけでも相当な数がある。調べる事は可能だが、とても時間がかかりそうだった。

 時間と言えば一階の柱時計が気にかかる。
 そういう訳でそちらに足を向けた二人は少し寄り道。レオーネが研究室を一度見たいと言い出したのだ。今はアドナが使っている場所であるが、もしかしたら先祖の研究資料や日誌がどこかしらに隠されているかもしれない。中に入ると、部屋の周囲には本棚が並び、大きな窓の先には今は枯れてしまった例の樹がよく見える。
「確かにここはパルム達の研究にもってこいね」
 窓の先のバルコニーからなら、さぞ遊びに来ていたパルムの姿がはっきり見えた事だろう。
「あぁ~もう、さっぱりだぜ。こういうとこには隠し扉とかあるだろ、フツー」
 推理小説にあるよくあるトリック。はたまたホラー漫画の一場面か。ある本を抜いたり、背板を押し込んだりする事で開く新たな扉。しかし、この屋敷の造り上、周囲に窓と本棚がある時点で隠れたスペースへの道、あるいは部屋が存在するようには思えない。
「どうやらハズレみたいね」
 そのままになったアドナの書類に目を通しながらまよいが言う。とその書類の端にウサギの落書きを見つけて、彼女はくすりと笑う。そう言えば、オフィスでもエルが職員のハンカチに喜んでいた。きっとこの絵も父の目を盗んで彼女が描いたに違いない。
(うーたんか。あれも違ったんだよね…確か)
 何か関係があるかもと睨んだ彼女であったが、よくよく考えればあの人形は祭りで手に入れたと言っていた。つまりあれに何かが隠されている確率はゼロに近い。
「っと、日誌はなかったが言ってたコレは見つけたぜ」
 まよいの前に古いネジ巻を差出し、レオーネが言う。
「それがあの柱時計の」
「そう。エンバディが聞いてくれてて良かったぜ。動力はこのネジだって…昔の振り子の柱時計ってのはこんなもんで動くんだな。恐れ入ったぜ」
 最近の若者は知らないかもしれないが、ねじを巻く事でかなりの時間稼働する旧式時計。
 時が経つにつれ遅れ気味なる事は否めないが、それでも電池や電気を必要せず動く技術は素晴らしい。
「さ、じゃあ問題の時計に向かいましょ」
 まよいのその言葉に彼も頷いた。

●寝室と客室
 二階は大凡部屋ばかりで構成されている。
「ふむ…見取り図通りだな」
 そこで書かれた地図を頼りにレイアが客室から調べ始める。
「まあ、二階に細工ってのは骨が折れるからねぇ。あるとしたら地下だと思わないかい?」
 そんな彼女と共に見て回り、壁を叩くエンバディ。隠し部屋と言うのは城のような複雑な造りをしていない限り、大概下にあるものだ。だから、地下室の有無が気になっている彼であるが、まずは上から。何かあるかもしれない。壁は勿論の事、床も叩いてまわり音の違いがないかなども入念に調べてゆく。
「しかし、あの星…気になるな。もしあの屋根裏の星が星空だとすると、時間で星が動くのか? それとも決められた時間に動かすとかだろうか?」
 さっきの光景を思い出しつつ、レイアが呟く。
「星空って言うと、石碑のあれかい?」
「ああ、そうだ。あの謎を解いた時、星のある時間が鍵になっていた。そして、入ってもまた星…私の考え過ぎかもしれないが、関連性があるのかもしれない」
 屋根裏に新たな文言があれば別だが、入っても全くないとなるとある物を利用するしかないと彼女は思う。
「えーと、全ては自然のままに。大地は雲の下、川は…何だったか?」
「川は人と精霊を繋ぐもの。あるべきものをあるべき場所に…星が全てを包むと、だな」
 エンバディの後に続けて、レイアが石碑の言葉を繰り返す。
「そういや、あのレリーフは屋敷の飾りだったんだってねぇ…あれは凄い」
 入る前に見た彫刻を思い出して、彼は興味深げに言葉する。
「そうか? 割と普通だと思うが」
「まあ、貴族の屋敷にはあんなのザラかもしれないがね…研究者なんてもんは大概が研究に金をぶっこんじまって万年金欠。なのに、ここの先祖様はこんな仕掛けまで残してる。相当なもんだよ」
 中の造りも今思えばしっかりできている。何十年、下手すればもう百年以上経っているというのに、そう感じさせないのは立派なものだだ。
「よほどいい大工を雇ったとみえるねぇ。現にこれだって大したもんだよ?」
 床と壁の境に施されている飾り彫刻を指差して、彼が言う。
「まあ、それはそうかもしれんが今は…って、っ!」
 レイアがそう言いかけて、傍にあったその彫刻に目をやりハッとした。
(この彫刻…まさか)
 あまり装飾には詳しくない為、何か細工はないかとそういう所ばかりに目をやっていた彼女だったが、エンバディが指差した彫刻は紛れもなく、前回外ではめ込んだ五つの彫刻の中の一つにとても類似している。
『こちら、レイアだ。何処かにまた彫刻をはめられそうな場所はないだろうか?』
 今回はオフィスから三組分のトランシーバを借り出して、別班に彼女が連絡を入れる。
『うーん、こっちは時計を確認中よ。そっちも調べてみるわね』
 一階のまよいが言う。
『レリーフは無理かもしれませんが、丸い窪みなら見つけましたよ』
 ユーリのその言葉を聞いて、レイアは更に通信を続ける。
『皆、聞いてくれ。部屋の彫刻にレリーフのと似たものが見つかった。まだ全てを調べていないが、もしかすると中にも外と同じようなものがあるのかもしれない。とりあえず探してみてくれないか?』
 ただの偶然かもしれないが、しかしこれは大きな発見である事は間違いない筈だ。
 他の三人から「了解」の声を貰って、振り返るとエンバディが既にあるモノを手にしている。
「それは…」
「君が通信している間に見つけたんだけどねぇ。さっきユーリ君が言っていた窪みにはまりそうじゃないかい?」
 いつになく誇らし気な顔で彼が言う。それはコインサイズの木製彫刻。
 柱の一部にはめ込まれていたらしいが、そこだけ円形に筋が入っていたから引っ張ってみたらやすやすと取れてしまったらしい。
「これは…人か」
 それを手に取り、中の彫刻を確認する。
「みたいだね…っとしかし、ここは虫が多いな」
 手をはい上がってきた大き目の蜘蛛を彼が叩き落とす。
 しかし、果たして…人がいなくなってまだ数日でここまで増えるものだろうか。
 その違和感に彼等はまだ気付いていなかった。
 
●柱時計
 出発前に確認したところ、この大時計は毎時時間の数だけ音が鳴るとの事だ。
 しかし、丁度家主が逃げ出した後にネジ切れを起こしたようで今はピクリとも動かない。
「うーーん、やっぱり移動は無理そうだな」
 大広間の横に備え付けられた柱時計を渾身の力で押してみるもピクリとも動かない。もはやこのびくともしなさは床と固定されているのではないかと思える程だ。そこで二人は移動を諦め、前の戸を開けネジを巻いてみる。ちなみに時計から魔力のようなものは感じない。ただ、確かに場所的な意味で変な感覚は覚える。
「普通なら見えやすい所に置くもんなのに変よね?」
 まよいが椅子に上がり、文字盤の傍にある穴にネジを入れる。
「やっぱりこの配置に理由でもあるんじゃあ…ってうわぁぁ!?」
 レオーネがそれに応えようとそう言いかけ、途中で言葉を悲鳴に変える。
「どうしたのって、マジ…」
 それに振り返りざまに嫌な感触を帽子に感じて、首を振って見えたのは黒い物体。その正体は蜘蛛だ。
 ぽとりぽとりと天井から蜘蛛の大群が降り降りる。
「ちょっ、うそでしょ!?」
 慌てて椅子から飛び降り、蜘蛛を払いのけるとレオーネと共に入口の方へと駆け出す。
 それを追う形で蜘蛛も二人を威嚇し、わさわさとこちらへと這ってくる。
「まさか、雑魔かッ?!」
 シールドと杖を構えてレオーネが言う。
「み、みたいね…」
 敵は小さい。小石程度の大きさであるから踏み潰せば何の事はないが、それでも数で来られては厄介だ。一度、その場を離れる事を決意し、二人はキッチンへと逃げ込む。とそこで、彼女も例の物を見つけて…災い転じて福と成す。数か所、蜘蛛に噛まれはしたが大事に至るような怪我にはならなかった。

 さすがに大型の敵は見当たらないものの、何処かの隙間から忍び込んだのか蜘蛛や蟻といった類の雑魔がハンターらを時折襲う。とは言え、敵が小さいという事もあり、かすり傷程度のダメージにしかならないのだが、それはそれでどこで出くわすかさえ判らないのが厄介だ。それにだ。一応、建物へのダメージが入らないようにも考慮しなければならず、敵の様に好き勝手は動けない。
「全く油断も隙もないなっ」
 虫の雑魔がいる。その連絡を受けて、一旦屋根裏部屋に集合した面々はそこでそれぞれの成果を披露。
 コインのようなレリーフはやはり五つ見つかった。そして、屋根裏部屋の窪みもよくよく探すと五つあり、いよいよそれが鍵となっているように思える。
「って事はこれをまたはめる訳ね」
「問題は配置です」
 石碑の様に上と下が一目瞭然ならまだしもここにある窪みの場所は東西南北それぞれの壁に別れている。川が部屋の中央の窪みに入るのは確実としても玄関側を大地にすべきか、雲にすべきかがはっきりしない。
「もういっそどっちも試せばよくないか?」
 その意見に賛成と言いたい所だが、もし失敗したら何かしらの罠が発動したら面倒だ。
「ここまで手の込んだ事をしてるんだからねぇ。慎重にいかないと」
 今度は全員体制でそれぞれの壁をくまなく探る。それでもヒントは見つからず、項垂れる面々。
 そこで初心に返り、閃きを見せたのは今回ファインプレーを見せている彼だ。
(もし俺ならどうするかねぇ…全く解らない謎解きでは意味がない。けど、ばれないギリギリのセンを突くとなると…と待てよ。ヒントは既にあるんじゃないかねぇ)
 もう一度、それぞれの壁を見回す。星が吊るされたこの屋根裏にあるものは本当に星だけか。
「まさか…いや、そのまさかか!」
 彼が落書きのある壁に目を向ける。
「これだよ。樹の落書き…つまりこっちの壁が樹の生える場所、即ち」
「大地という事ですね!」
 彼の言葉に続くようにユーリが言葉し、コインもどきをはめ込む。ちなみに後から知る事だが、こちらの方角に問題の樹が立っていたからそれもあっただろう。そして、人の配置は多分玄関。人が入る、つまり人のいる場所という事でその方角にはめ込むとごとりと音がして…その後には時間でもないのに、数回にわたって柱時計が音を立てる。
「ビンゴ―」
 そこで思わずレオーネが声を上げた。その後に一つだけ、吊るされていた星が割れ、中から鍵が落ちてくる。
「これは何処の鍵でしょうか?」
 ユーリが拾い、首を傾げる。
「それは……行ってみればわかるんじゃないかしら。って事で時計を見に行くわよ」
 蜘蛛の事が気になるが、ほおっておく訳にはいかない。今度は仲間がいるから多少戦いやすいだろう。
 五人が大広間へと急ぐ。
 が不思議な事についた折には、いた筈の蜘蛛の群れは姿を潜めてしまっている。
 そんな中、柱時計に目をやるとさっきとは違う面がこちらを向いていて……やはりこの時計には仕掛けが隠されていたらしい。さっきのそれで時計の下の床だけが九十度回転したらしく、壁に向いていた側の側面が扉となっている。そこでさっき見つけた鍵を差し込むと、これがまたすんなりとハマるではないか。
「いよいよってところか?」
 がちゃりと音を立てる扉を見守りながら扉の彫られた文字を前にエンバディが呟く。
『我が研究と共に、全てをここに封印す』
 柱時計の扉にはそう言葉が彫られていて……果たしてこの先にあるものは。

依頼結果

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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧

  • 龍奏の蒼姫
    ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239
    エルフ|15才|女性|闘狩人
  • 夢路に誘う青き魔女
    夢路 まよい(ka1328
    人間(蒼)|15才|女性|魔術師
  • 魔導アーマー共同開発者
    レオーネ・インヴェトーレ(ka1441
    人間(紅)|15才|男性|機導師
  • 乙女の護り
    レイア・アローネ(ka4082
    人間(紅)|24才|女性|闘狩人
  • 舌鋒のドラグーン
    エンバディ(ka7328
    ドラグーン|31才|男性|魔術師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
夢路 まよい(ka1328
人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2018/12/15 09:18:54
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/12/14 09:50:23