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【CF】キラキラ輝く笑顔を!

マスター:狐野径

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/12/12 07:30
完成日
2017/12/19 12:18

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●寂しそうな領主様
 ルゥルはグラズヘイム王国の西の方にある町に向かった。先日、ルゥルの師匠たちが詰めていたところであり、すでに事件は解決したことになっていた。
 憂悦孤唱プエル(kz0127)が隣の町とその町で何かしようとしたのだ。大きな事をする前にハンターによって討伐されたのだが、エクラ教会の一部は壊れ、司祭が一人命を落としている。プエルが生前、この領主の跡取り息子ニコラス・クリシスだったころ、命を落とすこととなる司祭は音楽を教えていたのだという。
 ニコラスの妹である現領主イノア・クリシスもつらいだろうと考えた。大好きな兄が死んだどころか歪虚となって現れ、自分を殺そうとしていたり、町を無に還すと宣言されたりしていたのだから。その討伐命令を出したのだから。
 ルゥルはみんな悲しいと思った。
 しかし、ルゥルは可哀想だと思っても何もできない。どうしていいのかわからない。師匠に話したら「茶菓子でも一緒に食べればよいだろう?」と出かけることを許可してくれた。
 顔を見せるだけでもいい、と師匠は言う。
 それでいいのかよくわからないけれども、師匠が言うのだから行ってみた。ルゥルが住む地域でお菓子を買って、転移門を使ってやってきたのだ。
 ルゥルは急いでイノアの下に行く。突撃であったが、執務室に通してもらえた。
 イノアは微笑んでいるけれども寂しそうにルゥルは見えた。
「このケーキおいしいのです!」
 お茶の準備は侍女たちがやってくれる。
 ルゥルはイノアが泣き出しそうなのが不安だった。季節の話やルゥルがやったイベントの話などをするが、どこか上の空に見える。
「イノア様?」
「え? ええ、美味しそうですね」
 イノアは一口食べてそれで手が止まる。
「イノア様! 時間空いています?」
「ちょっと難しいです」
「そうですか……イノア様は聖輝節の飾りはするのです?」
 イノアは首を横に振った。
「そうですか……」
 ルゥルは寂しくなる。ルゥルが一方的にあれこれしゃべるがネタが切れたころ、しょんぼりしながら帰った。
 家の近くの町まで戻った。
「お帰り、ルゥルちゃん」
 職員のロビン・ドルトスが声をかけてくれる。
「ロビンさん……イノア様寂しそうだったのです」
 ロビンは話を聞きながら、うなずいた。
「それなら、リシャール様に話をしてみるのもいいかもしれないな」
「リシャールさん?」
 ここの領主の息子である。
「先日、やはりしょんぼりして帰ってきていたから、同じところから」
 イノアとリシャールは親同士が友人なため、面識はあるのだ。
「分かりましたです」
 ルゥルは遠いけれど一旦家に帰って翌日再度来ることにした。

●役に立ちたい
 ルゥルが屋敷に行くとリシャールとすぐに合うことができた。領主やリシャールの弟妹にあったりドキドキはした。
 ルゥルの話を聞いたリシャールは神妙にうなずく。
「それは私も思ったのです……私の場合、なぜか避けられました……ウィリアム殿には仕方がないって言われましたが……何故なんですか!」
 リシャールはしょんぼりしている。
 ルゥルは首をかしげる。リシャールは身長が伸びている。
「……それです」
「え?」
「リシャールさんが身長が伸びたのがうらやましいのです!」
 リシャールはキョトンとなった後、笑いを必死にこらえて後ろを向いた。
「みぎゃあああ」
「す、すみません」
 リシャールは慌ててルゥルをなだめたのだった。
 そんなこんなで話し合いの結果、イノアにモミの木をプレゼントしようとなったのだ。手頃な木を掘り出して渡す、それならば気負いせず、嫌なら嫌で使い道もあるだろう、季節柄。
 二人は翌日、近くの林に見に行くことにしたのだった。

●変なのがいた
 リシャールとルゥルは魔導トラックに乗って、木を探しに行った。スコップは屋敷の庭師から借りてきた。それと、大きめの植木鉢ももらった。
「居合切りでばさーってできるです?」
「できたら苦労しませんよ」
 軽口をたたくだけの余裕はある。掘り出せるのかという不安もあるが、大きすぎなければどうにかなるだろうと楽観的であった。
 さて、その林についた。
 二人は念のため武器を持ち、スコップを持って歩きまわる。
「この木なら何とかできそうですー」
 二人は荷物を置いてから、どのあたりから掘り始めるか考える。
「……」
「どうかしたですか?」
 リシャールは鋭い視線を周囲に走らせる。ルゥルを寄せ、スコップを置いて、刀を手にする。ルゥルも魔法を使えるようにワンドを持つ。
 バサバサ。
 何かいる、鳥の羽音のようだ。
 ただの鳥ならばいい。
 ボッスボッス……何かが歩いてくる音がする。
 リシャールは柄を下げ気味に構える。
「けしゃあああああああああああああああ」
「みぎゃあああああああああああああああ」
 鳥のような何かが声をあげたと同時にルゥルが悲鳴を上げた。
 リシャールがびっくりして、動きを止める。そのため、攻撃のタイミングを逸した。
「ルゥルさん、逃げます」
 リシャールはスコップや荷物はそのまま、ルゥルの手を掴むと走り出した。
 背後から炎の熱を感じる。
 非常に危険な存在だ。
 林の外まで逃げる。それは来ない――。
「みぎゃあああああ」
 ルゥルはおろおろしている。
「ルゥルさん、町まで戻れますか? 私はここで見張ります」
「魔導トラックで行ったほうが速いですー」
「駄目です、ルゥルさんを一人にはできません」
 平行線をたどりそうだったが、ルゥルが言うことの方が一理あり、「絶対に危険ならば逃げること」と念を押し、リシャールが町に戻ったのだった。
「ロビン、依頼です、至急お願いします」
 受付男子のロビンはリシャールの表情を見て抜き差しならぬ状況だと理解し、すぐに依頼を出したのだった。

リプレイ本文

●急げ、急げ
 ネーナ・ドラッケン(ka4376)はオフィスに情報が登録された直後、この町に入った。
「何があったんだい?」
 職員のロビン・ドルトスが説明すると、ネーナはうなずく。
「ボクはネーナ。旅の吟遊詩人さ、ネナでもネーナでも好きに呼んでくれていい。急いだほうがよさそうだね。一人残っている女の子のためにも、依頼主くんのためにも」
 リシャール・べリンガーは頭を下げる。
「依頼を見たわよ、さっさと助けに行くわよ」
 マリィア・バルデス(ka5848)が血相を変えやってきた。
「でも、人手があるほうが……」
「ルゥル(kz0210)の無事を確認後、警戒していることも可能よ」
 リシャールもルゥルは心配であるし、ハンターを信用して先に行くことも重要だと気づいた。
 ピアレーチェ・ヴィヴァーチェ(ka4804)が転移門から転がるように出てきた。
「イノアさんにモミの木をプレゼント……で、ピンチな状況だって聞いたよ。行く、行くから待って!」
 根国・H・夜見(ka7051)は穏やかそうな雰囲気を醸しながら、飄々とやってきた。
「協力するっスよ? たとえ頭が七つあっても……」
 夜見はぼそりと「どうせなら胴体が七つあってほしかったっス」と述べている。
「え?」
「あ、いいや……いえいえ、まさか雑魔がおいしそうだななんてまっさかー」
 思わずリシャールが反応したため、夜見は笑い飛ばせるように告げた。
「……ぞ、雑魔より強い気もします。形がはっきりしていましたし」
「なら、残念スね。できたて雑魔だと食べられると聞いたっス」
 夜見の言葉にマリィアは「熟成肉みたいな感じよね」と思わず反応した後、急いで出発することにした。
 外に出るときに入ってこようとした玉兎・恵(ka3940)と玉兎 小夜(ka6009)と出会う。
「どうかしたんですか?」
 恵は一行の様子から問う。状況を聞いた直後、彼女の表情が心配そうなそれに変わった。二人はデートでここにやってきただけではあったが。
「それは心配です。けが人が出る前に何とかしなきゃ、ですね! うさぎさん」
 連れである小夜に声をかける。
「分かったよ、手伝うよ。早く助けてあげよう」
 小夜は行こうとしているハンターたちと依頼人に告げた。デート中にと思ったが、女の子が見張っている上、その変な鳥が人に危害を加える可能性は無視できない。
 一行に二人は加わった。移動手段がない者はリシャールが持ってきている魔導トラックにの乗った。

●無事
 ルゥルは念のために木の陰に隠れていた。
 この林に入ろうとする人がいれば注意を促さないといけないし、もし、中にいる変な鳥が外に出るならば、追いかけないとならない。
「でも、どうやって連絡を取ればいいのです?」
 ペットのパルムを見つめ「何かあれば連絡用に置いていくです」と言う。パルムは首を激しく横に振った。町の方から来る集団に気づいた。

 ルゥルが一行に手を振るのが見える。マリィアはホッと息を吐き、先にバイクを走らせた。
「ルゥル、無事?」
 声を抑え気味に問うマリィア。ルゥルの安否確認後、すぐに周囲に目を走らせる。歪虚がいつ出てくるかわからない。
 リシャール達が追いついて、それぞれ乗っている物から下りる。
「さて、討伐開始というこうか」
 ネーナは林を見つめる。
「ねえ、どのあたりに出たの? そこを中心になるように取り囲めるといいんじゃないのかな」
 ピアレーチェに夜見がうなずく。
「顔がいくつもあるということっスよね? 不意打ちされることは避けたいっス。それと、遮蔽物が多そうだから、逃げられる可能性もあるっスけど、こちらも隠れる所があるってことっス」
 夜見の言葉にリシャールがうなずき、おおよその位置を告げる。
「位置は移動している可能性もあります。なぜなら、歪虚が長時間いることで発生するを見ていません」
 リシャールが言うとルゥルもうなずく。
「それは重要ね」
 マリィアは眉を寄せる「それなら、早く行くべきね」と続けた。
「外見からすると『憤怒』ぽいわけだ。このような楽しいことを邪魔されて、こっちが憤怒だよ! 行こう、すぐさま倒してしまおう」
「はい、ご主人様! 私も精いっぱい援護します!」
「ああ、頼むよ、恵」
「はい」
「それに――あ、そんなことより、倒そう」
 恵に対して甘くなりかけた小夜は自分を律した。

 林自体は大きくない。歪虚がいたあたりに向かい、一行はまとまって進む。
「ボクが先に見てくるかな。もし、必要ならばルート変更をしないとならないからね」
 ネーナが身軽に先に進む。その姿はあっという間に見えなくなった。障害となる遮蔽物も利用し、敵がどこにいるか確認に急いだ。
「リシャールはルゥルの側にいなさいよ」
 マリィアに言われ、リシャールは困惑する。完全に前衛の彼にとって前に出ないことは攻撃ができないことにつながる。
「そうだね。怪我は治すことができるけれど、怪我をしないことが重要だよ」
 ピアレーチェが続けた。
「そうそう……その格好で前に出るのはダメっス」
 夜見に誰もがうなずく。
 リシャールもルゥルも日常生活の延長だったため、護身用に武器を持っていても、防具まで身に着けていない。
「二人は私たちを頼ってくれ」
「安心してください。モミの木探しもあるんですから」
 小夜と恵が力強く請け負った。

 慎重に近づいていた一行は木の陰にいるネーナと合流した。彼女は唇に人差し指を当て「静かに」という指示を出す。そして、その指を進行方向に向ける。
「鳥のような物を取り囲むのであればボクが回り込むよ」
 仲間で分担後、移動していく。
 できる限り敵を囲み、逃がさないようにしてから攻撃する手順。
 顔が見た目だけなのか、機能しているのかは誰も実は知らない。リシャールとルゥルも「顔がある」としかわかっていないからだった。

●総攻撃
 リシャールとルゥルは少しだけ移動する。
 ピアレーチェと夜見はリシャール達と反対側に少し移動する。見つかったら問題なためあまり遠くまで行けない。
 恵と小夜の組とマリィアはやや離れたところに対角線上に待機した。
 ネーナは見の軽さも考え遠くから回り込む。

 あと少しで包囲網はできるところまで来た。しかし、歪虚がのんびりそこで地面をつついたり、木に蹴りをくらわしたりしているわけはなかった。

 ネーナが向かっている方にそれは移動を始めたのだ。
「これは……こっちだよ!」
 ネーナは気をそらすため、七面鳥ぽい歪虚に声をかけた。
 それは声で存在に気づいた。歓喜の羽ばたきの後、飛び掛かっていった。
 パーンとネーナの鞭がしなると、それは足を止めた。
「うさぎさん、お願いします!」
「おう!」
 恵は七面鳥に向かって矢を放つ。小夜が攻撃範囲にたどり着くまでの足止めでもある。
 マリィアはまだ距離があることを考慮し、魔導銃を使って攻撃し、そのあと距離を詰める。
「七面鳥はおとなしく食料になりなさい……ならないわね……あれは」
 マリィアの目にはリシャールが言うとおりに雑魔どころではないというのを理解した。
「こっちだっているんだよ!」
 ピアレーチェは七面鳥に近づいていく。まだ攻撃をするには距離があるため、声をかけて牽制をかけるのにとどまる。
「うん……ここならぎりぎり行けるっスね。常世道中膝栗毛【藍眼】!」
 集中後、夜見が魔法を放った。まるで、マスケット銃の幻影から弾丸が放たれたかのように冷気の粒は飛ぶ。

「敵が動きます」
 全体を見ていたリシャールの鋭い声が飛ぶ。
 ハンターは間一髪で先手を取る。
 ピアレーチェが距離が詰まっているところでまず力を放つ。
「引き続き動けなくていいよ【ジャッジメント】」
 銃を持ち替えたマリィアが引き金を絞る。
「そうよ、動かさないことに意義はあるわ」
 ネーナが次のタイミングを計りながら鞭を握りしめる。
「まったく、すばしっこいんだね……。それでも料理をする手は止まらないよ」
 恵の矢が放たれた直後、小夜の技がさく裂する。
「恵の前だ、容赦なんてしないぞ! この距離での【次元斬】避けられるかな!」
 小夜が聖罰刃を振るう。七面鳥はおろおろしている。
「さすがです、うさぎさん!」
 恵は敵に注視しながら、ご主人様兼旦那様を褒める。
「ふむ、もっと当てやすくなった」
 夜見が少しだけ近づき、魔法を放つ。冷気で足止めできれば最上である。
 ハンターたちの攻撃に七面鳥はおろおろしているように見えたが――。
『きょえええええええ』
 七面鳥は鳴いた。
 動けなくとも鳴いた。くちばしが開き炎を吐き散らした。

「こんなこともあろうかと」
 ピアレーチェは火属性に強い盾を構える。
「これは……回避に専念するよ……」
 ネーナは炎を避ける。
「きゃああ、旦那様」
「このくらい避けるさ!」
 恵の悲鳴をよそに多少の焦げ模様をつけつつも小夜は離れた。
「広範囲すぎないっスか」
 夜見は範囲内にいなかったとはいえ周囲を思わず見る。もし、燃え移るならば消火活動に尽力せねばならない。
「みぎゃー」
「私たちが何とかしますから、まずは歪虚を!」
 ルゥルとリシャールがスコップで火をたたき落とし、土をかけたり消火に走る。乾燥している木でないためすぐに燃えることはない。ただし、何度も同じ攻撃を食らえば燃えない保証はない。
「と言うわけね……スピード勝負よ。前衛、怪我は」
 マリィアが問うが異口同音に問題ないと返答がある。

 動けるようになった七面鳥は羽ばたきながら、近くにいるハンターに飛び蹴りを二度した。
「い、痛いけどこの程度でへこたれないよ」
 ピアレーチェは盾で受け止めた。
 その隙にハンターたちが攻撃準備を行い、七面鳥に一斉攻撃を仕掛けた。
 マリィアは銃弾を詰め直し、マテリアルを込め引き金を引く。
 ネーナも攻撃に加わり素早い動きで敵に武器を振るった。
 小夜が【宵】と【二夜】と言う二つの技を用い、首元を出来るだけ狙い武器を叩き込む。鞘走りした刃は素早く二度叩き込まれた。
 恵もできる限り敵にダメージを与えることを考え、矢を叩き込む。
 夜見から冷気を帯びた銃弾に似た魔法が叩き込まれた。
 ピアレーチェは盾をそのまま敵に叩き込む。

 すべての攻撃が終わったとき、七面鳥だったモノは霧散して消えたのだった。

●モミの木
 枯れ草についた火を消す夜見。
「魔法だと延焼しないこともあるっすよ?」
 それよりも、炎を吐き出す生き物の構造の方が不思議である。歪虚だし違って当たり前か。
「まあ、この程度で済んで良かった」
 ネーナは少し離れたところに駆け込んだ。
「あとはそこだけですね」
「ええ、ないわね」
 スキルを使っていた恵とマリィアが火がなくなったことを告げた。
「怪我は治すよ」
「あー、せっかくだから頼む」
 ピアレーチェに小夜が頼んだ。
「さて……ルゥルさん、話を聞くところによるとモミの木採取に来たとか」
 恵が尋ねる。
 他の者も移動中にそれとなくリシャールから聞いてはいる、経緯を。
 ルゥルがなぜモミの木を取りに来たのかなど詳しく話した。
「うん、イノアさんのため……とるよ! でも、リシャール君が避けられたのって……身長がプエ……ニコラスさんと同じくらいになったからかも」
 ピアレーチェの言葉にリシャールとルゥルがキョトンとなる。マリィアが「あー」と記憶の中にあるイノアの兄ニコラスの身長を思い出し、目の前のリシャールの身長を見る。雰囲気もどこか似ているかもしれない。
「なら、リシャール君と同じくらいのモミの木を探して、ニコラスさんだと思って育てもらうようにプレゼントするのはどうかな」
 ピアレーチェの提案にリシャールが不安そうになる。
「鉢植えなら成長速度もほどほどに抑えられるだろうし」
「ひょっとしたら、植え替えられて、どーんと成長するかもしれないっスね」
 夜見は手を天に伸ばした。
「それはそれでもらった人が考えることだよ」
「そうっスね。だから、難しいこと考えないで、探すっス」
「そうそう。人手は増えたのだから君くらいのを探しても問題はないのは事実だよ」
 ネーナが行動をまとめた。
「さっきのは食べられないけれど、戻ったら七面鳥焼く? 七面鳥はパサつきやすいからクランベリーソースを使ってたけど……ああ、ルゥルが作れそうなものの方がいいかしら」
 マリィアはルゥルの手を引きながら、行動させるに任せる。
「七面鳥は何年か前に食べたきりです。そうですね……私でも作れるのですか?」
「できるわよ」
 なんとなく楽しそうな雰囲気。
「七面鳥か……ってさ、モミの木適度なのを見つけないと終わらないな」
 小夜は決意を新たに周囲を見渡す。そばに来た恵とともに、仲間が探す方向と違うほうを見る。同じところを見ていても時間がかかるだけだった。

 しばらくすると、程よい木を見つけた。戦闘と同じく手際よく分担し掘り出したのだった。
 思った以上に立派なモミの木を前に、ルゥルとリシャールは嬉しそうであった。

●笑顔を
「ルゥルさん、飾りつけとかするんですか?」
 恵に問われルゥルは首を横に振る。
「そうれはそれで、あとで楽しめばいい」
 小夜が告げるとリシャールとルゥルがうなずく。
「七面鳥食べたいなぁ」
「今日のメニューは決まりですね」
「さっきみたいな変な奴ではないからね、ちゃんとしたのだよ」
「はい、わかっていますよ、うさぎさん」
 小夜を恵は抱きしめる。
 甘い雰囲気になってきた二人を横目に、夜見がふと思ったことをつぶやいた。
「あ、喜んでもらえなかったら薪になるかもなんスかね、これ」
 ピアレーチェ、ルゥルとリシャールが凍り付いた。
「みぎゃ」
「仕方がないですね」
 ルゥルとリシャールが落ち込む。
「そそそそんなことないよ」
 ピアレーチェはおろおろしたのだった。
「行ってみることが先でしょ。ほら、行くわよ。知り合いが仲良くなったり元気になったりするのは嬉しいもの。私も手伝うから」
「そうっスね、まずは、お披露目からっス」
 マリィアはなだめ、夜見は事実を述べておくにとどめた。
「ふむ、ボクができるのは歌うことだけだ。キミたちが勇気づけられるように、その思いが彼女に届くように」
 ネーナが微笑むと竪琴をかき鳴らし、歌う。伸びやかな声が広がり、木々に消える。
 仲間や子らにも。
 一歩踏み出すために。

 そして、モミの木はクリシス家に運ばれて行った。
 心配するルゥルとリシャールを前にイノア・クリシスは笑顔を見せたのだった。

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  • 本家・名付け親
    ピアレーチェ・ヴィヴァーチェka4804
  • 最期の一矢を
    根国・H・夜見ka7051

重体一覧

参加者一覧

  • 白兎と重ねる時間
    玉兎・恵(ka3940
    人間(蒼)|16才|女性|猟撃士
  • 光森の舞手
    ネーナ・ドラッケン(ka4376
    エルフ|18才|女性|疾影士
  • 本家・名付け親
    ピアレーチェ・ヴィヴァーチェ(ka4804
    ドワーフ|17才|女性|聖導士
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデス(ka5848
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士
  • 兎は今日も首を狩る
    玉兎 小夜(ka6009
    人間(蒼)|17才|女性|舞刀士
  • 最期の一矢を
    根国・H・夜見(ka7051
    オートマトン|15才|女性|魔術師

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依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/12/09 23:36:44
アイコン 変な鳥をやっつけろ!
ピアレーチェ・ヴィヴァーチェ(ka4804
ドワーフ|17才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2017/12/11 22:24:12