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【幻洞】


【幻洞】ストーリーノベル『歪虚が去って、大団円?』(3月8日公開)

トーチカ・J・ラロッカ
トーチカ・J・ラロッカは、モルッキーとセルトポと共に地下道を三人乗り自転車で来た道を引き返していた。
連合軍の策略により巨大グランドワーム『ロックワン』は、決戦兵器『ロックワンバスター』の前に敗北。巨大な機導砲で体を貫かれたロックワンは、ハンターの尽力を前に倒されてしまった。
こうなれば、トーチカ一味は一気に劣勢。
そそくさと尻尾を巻いて逃げ出したという訳だ。
何故、自転車なのかは不明だが――。
「くやしー! わらわらと現れてあたし達の邪魔をしてくれちゃってさ!」
「本当に悔しいでおます! おいを何度も何度も邪魔する小娘が現れて……思い出すだけでも腹立たしいでおます」
トーチカとセルトポは、敗北の味に悔しさを募らせる。
何せ、作戦を立てればそこへハンターがやってきて叩き潰していくのだ。毎回毎回良いところで邪魔をされるので連合軍とハンターへの怒りが増大するばかりである。
「まあ、悔しいのは事実ですわねー。でも、良い子もいっぱい居たので目の保養になったのよねぇ」
モルッキーにも悔しさはあるが、それ以上にハンターの中でお気に入りの子も見つけた為に他の二人よりも悪い印象はなかったようだ。
いや、あんた負けているんですけどね。
「お馬鹿! あたし達は負けてるじゃない! これじゃあ、ビックマー様に叱られちまうよ!」
「ああ、それには心配及びませんよ。だって、ビックマー様から課せられた使命はドワーフの城じゃないんですから」
ニヤリと笑みを浮かべるモルッキー。
その一言でセルトポは、何か重要な事を思い出したようだ。
「ああ、そうでおます。おい達の目的はロックワンで敵の城を叩くのでは無く、遺跡の……」
「スカポンタン! だから、誰が聞いているのか分からないから叫ぶんじゃないよ!
……確かに、これだけロックワンで地下道を作りまくったんだから後はあたし達が探せば済む話だねぇ」
セルトポを叱り飛ばした後、トーチカは思い返す。
既にロックワンの移動によって辺境地底にはかなりの地下道が開けられている。縦横無尽とも言うべき地下道があれば、目的のものを探し出すのは難しくないのかもしれない。
「さぁ、お前達! さっさと探してビックマー様に褒められるんだよ……って、あんた達はちゃんと漕いでいるのかい?」
「いやー、それがでおます」
「あたし達の足じゃペダルに届かないのよねー」
見れば、モルッキーとセルトポはサドルに腰掛けているが、足はペダルに届いていない。これではただ座っているだけである。

ヴェルナー・ブロスフェルト

ジーナ

アルバ・ソル

ヴィルマ・ネーベル

テルル

チューダ

ディーナ・フェルミ

蜜鈴=カメーリア・ルージュ

米本 剛

対崎 紋次郎

エルバッハ・リオン
一人寂しく自転車を漕いで地下道へ消えるトーチカであった。
●
「ふふ、皆さん。お疲れ様でした」
帝国ノアーラ・クンタウ要塞管理者のヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)は、ハンターを労った。
ドワーフと連合軍、そしてハンターが居たからこそ、ロックワンを撃退する事ができた。一つでも欠けていれば、この結果に到達する事はできなかっただろう。
「同胞を救う為には当然の行為だ。
それより、敵の幹部を取り逃がしている。また襲来するのではないか?」
ジーナ(ka1643)は、懸念を示した。
既にロックワンを撃破しているとはいえ、トーチカ一味は未だ地下道に潜伏している。茶番劇集団ではあるが、歪虚である以上放置していく訳にもいかない。
「無論、敵の指揮官は見つけ次第、撃破します。ですが、同時に行っておきたい事もありましてね」
「遺跡の探索……そんな所か」
アルバ・ソル(ka4189)の言葉にヴェルナーは頷いた。
「ええ。ご存じでしょう? テルルと呼ばれる大幻獣が乗る魔導アーマー。まるで昆虫のカマキリのような姿をしています。あのような魔導アーマーは聞いた事もありません」
テルルによれば、あの魔導アーマーは遺跡を探索中に発見したというのだ。
だとするなら、遺跡の近いにはまだ誰も知らない何かが眠っているのかもしれない。
「なるほど。その技術を対歪虚用に転用しようというのかえ?」
ヴィルマ・ネーベル(ka2549)は指摘する。
遺跡探索自体は既に連合軍の有志によって行われている。
しかし、その技術を対歪虚用に転用しようという動きはまだ少ない。
ヴェルナーは、どうやら早々に遺跡に眠る技術を入手しようというのだ。
「その通りです。幸い、ロックワンが開けた地下道があります。これを使って遺跡を探索します。錬魔院やドワーフの力を借りて、発見した技術を可能な限り対歪虚戦に役立てなければなりません」
戦線は、リアルブルーやエバーグリーンにまで広がっている。
未だ多くの歪虚王が健在しており、彼らを屠る為ならば遺跡の技術も取り込む腹づもりだ。
「なら、厄介な相手が一人いるな」
アルバの頭には、白くて可愛らしい大幻獣の姿があった。
●
「てぇやんでぇ! 俺っちは共闘しただけだ。仲間になったつもりはねぇぞ!」
大幻獣テルル(kz0218)の叫び声が木霊する。
相変わらず口の悪さであるが、シマエナガに似た可愛らしい外見から欠片も迫力はない。
だが、当のテルルは今回の戦いは『共闘』であって人間の味方をした訳ではないと考えているようだ。
「そうは言わずにテルルも考えてみるであります。
今は人間だとか幻獣だとか言っている場合ではないであります」
幻獣王チューダ(kz0173)は、テルルの説得を試みる。
謎の機体『カマキリ』に乗るテルルであるが、今後遺跡探索をするのであれば遺跡を根城にしていたテルルの協力は不可欠。その為、今後も連合軍への協力を打診しているのだが、職人気質に似た頑固な性格が災いになっているようだ。
「何言ってやがる! 昔から、人間と幻獣ってぇのは微妙な関係なんだよ!
大体、今回はてめぇがしっかりしていれば、ロックワンバスターで楽勝な戦いだったんだ! てめぇが食っちゃ寝さえしなけりゃ!」
「いたっ! いたっ! 我輩、頑張って走ったであります! 功労者であります! クチバシで突かないでぇ?!」
怒りに任せてクチバシでチューダを突くテルル。
確かにロックワンバスターに搭載されたチューダエンジンがちゃんと機能していれば、ここまで面倒な作戦にならずに済んだ。すべては日頃から食って寝るだけの生活を送っていたチューダに原因がある。
「そんなに怒らないで。チューダさま、おやつの貢ぎ物ですよ」
テルルとチューダを引き離したディーナ・フェルミ(ka5843)は、チューダにそっとナッツを渡す。
頑張った御褒美とばかりにチューダはディーナからナッツを貰って大喜びだ。
「わーい! ありがとうであります!」
「馬鹿! ちげーよ、馬鹿! そうやってチューダを甘やかすからイケねぇんだ! 日頃からビシっとさせねぇといけねぇんだよ!」
「そういきり立つな、テルル。怒ってばかりでは疲れるであろう?」
蜜鈴=カメーリア・ルージュ(ka4009)は、テルルを諭す。
確かにテルルの言い分にも一理あるが、今怒ってもチューダの態度が改まる訳ではない。
長い目で見て節制していく他ないのだ。
「ちっ。そうなんだけどよ……」
「時にテルル。機導に興味があると聞いたが、本当かえ?」
「ああ、そうだ。俺っちは機導とか見た事無い技術とかに興味あるんだよ。幻獣の中では結構詳しい方なんだぜ?」
蜜鈴の一言に胸を張るテルル。
そもそも幻獣が機導に興味を持つ事自体が珍しい。幻獣の中で詳しいのは当たり前なのだが、テルルはそれでも大威張りだ。
「機導術ですか。それなら、ドワーフや錬魔院が詳しかったはずです」
「なんだと!?」
米本 剛(ka0320)の一言に、テルルは目を丸くする。
考えてみれば、魔導アーマーだけではなくロックワンバスターを建設してしまう技術力はテルルには興味を惹かれるものがある。
「ま、まあ、ドワーフの連中もなかなかやるみてぇだとは思ってたけどよ」
明らかに動揺するテルル。
素直になれない辺りが、テルルの職人堅気な部分である。
「だとするなら、このままドワーフと一緒に行動すればその技術を間近で拝めるって訳だな」
他のハンターの狙いを察した対崎 紋次郎(ka1892)は、敢えて意味ありげに呟いた。
ドワーフは機導に限らず、武器製作なども行っている。さらに帝国と関わりを持てば錬魔院が見学出来てしまうかもしれない。
テルルにとっては珍しい技術のオンパレードだ。
さすがのテルルも簡単に拒否できそうもない。
「ど、ど、どうしてもってぇなら、俺っちが手を貸してやってもいいかなって……」
「うわーい! テルルが我輩達を助けてくれるであります」
ツンデレを発揮するテルルにチューダは思い切り抱きついた。
「うわっ! てめぇ! 勝手にくっつくんじゃねぇ!」
恥ずかしさもあって振り払おうとするテルル。
そんなテルルの光景を目にしていたエルバッハ・リオン(ka2434)は、一歩前に出てテルルへ挨拶をする。
「今後もよろしくお願いしますね、テルルさん」
優しい笑顔の前に、テルルは思わず俯いてしまった。
(執筆:近藤豊)
(文責:フロンティアワークス)
(文責:フロンティアワークス)
関連NPC
ヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)
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帝国軍第一師団所属の兵長。 同師団長オズワルドの命により、辺境要塞防衛の任を賜り辺境管理者として着任。帝国内でも比較的エリート街道を進むだけあり、今回の辺境管理者の着任も功績を挙げて本国へ帰還する事が目的でないかと囁かれている。 紅茶を嗜み、紳士としての側面を持つ。 |
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イラスト:えぼるぶ |
トーチカ・J・ラロッカ
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怠惰の魔人型歪虚。グラマラスな体型に謎の仮面を着用して姿を現す。その目的は未だ不明。ハンターと遭遇しても気怠そうな態度は変わらない。土を操る能力があるようだが……? 移動時には小さなゴーレムに自らが座る大型ソファーを運ばせて移動する。 部下としてモグラ型歪虚であるモルッキーとセルトポを引き連れている。 |
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イラスト:鈴木クルート |
チューダ(kz0173)
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自称『幻獣王』を名乗る大幻獣。 サッカーボールサイズのでかいだけのネズミにしか見えないが、幻獣に関する知識は豊富。残念な事に忘れっぽいので大事な事は忘却の彼方。 今までは聖地に住み着いていたが、聖地の巫女が避難したので幻獣の森へ退避中。最近は巫女に膝枕してもらいつつ桃を食べさせてもらう簡単なお仕事出忙しいらしい。 |
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イラスト:こりす |
テルル(kz0218)
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シマエナガを大きくしたような姿の大幻獣。幻獣らしからず魔導や機導に興味を持っており、『カマキリ』と呼ぶ謎の魔導アーマーに搭乗して歪虚と戦う。 ドワーフや人間に心を開いている訳ではなく、あくまでも自分が住処としている古代文明の遺跡を守る為に『共闘』しているに過ぎないと主張していたが……。 口は悪いが、可愛らしい外見によりあまり怒られている気がしない。チャームポイントは飛行帽。 チューダと旧知の仲らしい。 |
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イラスト:こりす |