ゲスト
(ka0000)
【CF】1016



ククク……ハーッハハハハ! どうやら年末年始をお楽しみのようだなァ、ニンゲンども!
オマエ達が集めている補給物資、その必死さから見るに相当重要なモノらしいなァ……?
あのジジイが崑崙から送ったモノだ。
オマエ達ハンターの戦力を大幅に強化する秘策と見て間違いなかろう。
残念だが楽しいパーティーは終了よ! このオレが直々にクリスマスを粉砕してくれるわ!!
黙示騎士マクスウェル
更新情報(12月28日)
12月28日、年末年始IFチャットイベントのスケジュール公開!
12月27日より年末年始ハント後半戦が開始!
物資の転移を阻む黙示騎士の影! ついに黙示騎士マクスウェルが乱入開始!
「クリスマスケーキパック」に代わり「正月モチパック」がイベントよりドロップするようになっております。
また、モンスター撃破&クリア報酬で獲得できる補給物資は「A,B」から「C,D」に切り替わっております。
正月モチパックはやはり5個集める事で、更に豪華な正月モチと交換可能となります。
クリスマスケーキ同様、正月モチもアイテム強化することで突然変異します!
モチ専用の強化目標も期間限定で追加されますので、引き続きお楽しみください。
(正月モチ特別支給品と期間限定強化目標は翌年1月1日に公開予定です)
フロンティアワークス年内最終営業日まで、ファナティックブラッドをお楽しみください!
12月27日より年末年始ハント後半戦が開始!
物資の転移を阻む黙示騎士の影! ついに黙示騎士マクスウェルが乱入開始!
「クリスマスケーキパック」に代わり「正月モチパック」がイベントよりドロップするようになっております。
また、モンスター撃破&クリア報酬で獲得できる補給物資は「A,B」から「C,D」に切り替わっております。
正月モチパックはやはり5個集める事で、更に豪華な正月モチと交換可能となります。
クリスマスケーキ同様、正月モチもアイテム強化することで突然変異します!
モチ専用の強化目標も期間限定で追加されますので、引き続きお楽しみください。
(正月モチ特別支給品と期間限定強化目標は翌年1月1日に公開予定です)
フロンティアワークス年内最終営業日まで、ファナティックブラッドをお楽しみください!
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【CF】イメージノベル「ラブレボリューション2016-4」(12月22日公開)
聖輝節当日。
長く準備を重ねてきたイベントも、いよいよ大詰め。
今日の深夜に打ち鳴らされるモノトーン教会の鐘を、愛する者と聞くべく多くの人々がリゼリオの街へ繰り出していた。
「ほら、行くぞ。次は迷わないようにしろよな。
なんなら……手でも握っといてやろうか?」
恥ずかしさを隠すように音々から視線を逸らす一石。
しかし、音々には一石の考えがいまいちに伝わらない。
「……あなたにしては合理的」
音々は遠慮無く一石の手を握る。
冷え切っていた音々の手に一石の温もりが伝わる。
「……冷たいから、カイロ代わり」
「さ、寒いからな。暖が取れて良いだろ?
それにこの時期だからな。一人で向かわせたら変なのに絡まれるかもしれねぇしな」
「……変なの……逃げ足には自信がある」
音々は小首を傾げる。
一石の言葉を反芻しながら、身につけていたマフラーを口元まで上げる。
迷わないようにという合理的な理由以外に手を握る理由があるのだろうか。
仮に一石の言う『変なの』が現れたとしても、逃げれば良いだけだ。
音々が理解していない様子を察した一石は、軽くため息をつく。
「逃げ足とかじゃなくて、なんつーか……まあ心配してんだよ。
逃げれば済むとかじゃなくて……俺が嫌なんだよ」
一石の口から気恥ずかしそうに吐き出される言葉。
普段あまり口にしない言葉で、一石の体温は上昇。
さらに口から漏れ出た本音が、一石を饒舌にさせる。
「この前言ったろ、心配する奴がいねぇなら俺が心配しておいてやるって。
だからまあ……いや、ああもう! お前が何処の馬の骨かも分からねぇチャラそうな男に喋りかけられているかも知れないって考えるのが嫌だって言ってんだよ。
お前は、俺だけを見ていればそれでいいんだ。それ以外は必要ねぇ。俺がお前を……守ってやっから」
一石は音々と目を合わせる事ができず、ふいと横を向いた。
完全に一石の嫉妬交じりのセリフ。
最後の言葉が恥ずかしさと相まって掻き消えそうな小声である点からも、一石にとっては勇気が必要だったのだろう。
しかし、当の音々は――。
「……ん、分かった」
寒さから逃れるように、一石の体にぴったりとくっつく音々。
その反応から完全に理解していない事は間違いない。
一石はその様子を見て、先程よりも大きなため息をついた。
「そうだな。慌てる事はないか」
「……?」
怪訝そうに小首を傾げる音々。
そんな態度の音々に、一石は優しく微笑みかける。
「ここら辺にうまい店があるって聞いたな。ちょっと行ってみるか。
今日は聖輝節、特別な日なんだからな」
●
「ねぇ、君。この『餅のチョコレートがけ』を食べてみない?
それともこっちの『リアルブルー式お雑煮』を食べませんか?」
南護 炎(ka6651)がハイテンションで近づいてきた。
実はこれが炎にとって人生初の合コン。暴走気味のハイテンションが、Loupへ謎の二択を迫る事態を引き起こした。
「ふむ、餅ですか。チョコレートのアクセントがどうなるか、とても興味深いですわぁ」
Loupは優雅な佇まいを崩す事なく、眼前に出された餅とチョコレート――それもカカオ高含有の超ビター系チョコと餅のコラボレーションへ手を伸ばす。
「いやー、実にお目が高い。それはタダのチョコレートではなく、甘さを抑え……」
「……うーん、意外に合いませんわ」
「え?」
炎が気付けばLoupは瞬く間に餅を平らげていた。
視線を離したのは僅か一瞬。その間にLoupは口に入れて咀嚼したというのか。
「あ、こちらのお雑煮もいただきますわ」
「え、あ、それはリアルブルーの……」
「塩が利いていると思いましたが、こちらはなかなか美味ですわぁ。
あ、あなた。次の料理を持ってきてくださる? そろそろ本気で食事しようと思いますの」
努めて優雅に振る舞おうとするLoupだったが、餅と雑煮を音速で胃袋へ収納してしまった時点で優雅さは異次元へと消え去っている。
残ったのは畏怖の念。炎は純粋にLoupの食に興味を抱きだした。
「は、はい。では、チキンの特製オレンジソースなんて如何でしょう?」
「……なんてね。そうならないように頑張らないといけないのよね。
この時間を、守る為に」
ケイは自らに浮かんだ映像を脳裏から消し去り、目の前に広がる幸せな時間へ意識を引き戻した。
●
リゼリオの街に鐘が鳴り響く。
深夜に鳴らされた鐘――モノトーン教会が幸せな時間を告げる。
愛する者と共に鐘を聴けば、永遠に幸せとなる。
その伝説に想いを馳せる者達は、静かに鐘の音色に耳を傾ける。
「リゼリオの街を見ていると……この世界に誰も居なくなっちゃったみたい」
ふいにジュードは、そう呟いた。
振り返れば深夜の海は漆黒。もし、空に月が無ければ視界には黒で塗りつぶされている。その中に浮かび上がるリゼリオの光。街と月の光が無ければ、自分達の居場所すら無くなってしまう気がする。きっと、歪虚に敗北したら――。
一瞬の不安に襲われるジュード。
しかし、それを察したのかエアルドフリスはジュードへ着ていたコートをかける。
「船へ乗る前にホットワインとスープを飲んだが、潮風は冷たい。これでも羽織るといい。
さっきも言ったろう? 俺は北の生まれだからね。これくらいの寒さは大丈夫さ」
「ありがとう」
ジュードはエアルドフリスからコートを受け取ると自分の上着の上から羽織った。
ほんのりとエアルドフリスの体温が伝わってくる。
「なあ、あのリゼリオの光。どっか温かみを感じないか?」
「そうだね。何処か見ているだけで優しくなるような光だね」
「それはそうさ。あの光の一つ一つにみんなの想いが込められてる。その優しさが見る人に伝わってくるんだ」
エアルドフリスの視線は、まっすぐリゼリオの光へ向けられた。
深夜の海が如何に漆黒であろうとも、リゼリオの光は消せない。
それはあの光の下に多くの人の想いがそこにあるからだ。
「あの光……歪虚から守らないといけないんだね」
「それだけじゃないさ」
エアルドフリスはジュードの肩を抱き寄せた。
エアルドフリスの吐息がジュードの頬にかかる。
「あの優しい光を、俺達二人で放ちたい。
二人の想いを形にして、これからずっと……一緒に輝いていきたいんだ」
耳元で囁かれる言葉。
ジュードの鼓動が自然と大きくなっていく。
「…………うん」
小さく頷くジュード。
その答えにエアルドフリスは、満足そうな笑みを浮かべた。
人々の想いを旋律に乗せて、鐘は――鳴り響く。
メリークリスマス、鐘を耳にしたすべての人々に幸あれ。
長く準備を重ねてきたイベントも、いよいよ大詰め。
今日の深夜に打ち鳴らされるモノトーン教会の鐘を、愛する者と聞くべく多くの人々がリゼリオの街へ繰り出していた。
「……やっほー」 魔導短伝話を終了させた涼野 音々(ka0683)が、待ち合わせ相手の姿を発見した。 霧江 一石(ka0584)――今日音々を呼び出した相手である。何でも飲みは一石がご馳走してくれるらしい。テンションはあまり変わらないが、これでも音々はご馳走を楽しみにしていた。 「……お前迷ったろ? やっと見つけたぜ。別々で行かずに案内した方が良かったかな」 元々一石とは別の場所で待ち合わせをしていた。 しかし、音々は待ち合わせ場所に現れない。心配した一石が魔導短伝話で連絡を取ったところ、無関係な建物に居た事が判明。一石が迎えに行った次第だ。 |
![]() 霧江 一石 |
なんなら……手でも握っといてやろうか?」
恥ずかしさを隠すように音々から視線を逸らす一石。
しかし、音々には一石の考えがいまいちに伝わらない。
「……あなたにしては合理的」
音々は遠慮無く一石の手を握る。
冷え切っていた音々の手に一石の温もりが伝わる。
「……冷たいから、カイロ代わり」
「さ、寒いからな。暖が取れて良いだろ?
それにこの時期だからな。一人で向かわせたら変なのに絡まれるかもしれねぇしな」
「……変なの……逃げ足には自信がある」
音々は小首を傾げる。
一石の言葉を反芻しながら、身につけていたマフラーを口元まで上げる。
迷わないようにという合理的な理由以外に手を握る理由があるのだろうか。
仮に一石の言う『変なの』が現れたとしても、逃げれば良いだけだ。
音々が理解していない様子を察した一石は、軽くため息をつく。
「逃げ足とかじゃなくて、なんつーか……まあ心配してんだよ。
逃げれば済むとかじゃなくて……俺が嫌なんだよ」
一石の口から気恥ずかしそうに吐き出される言葉。
普段あまり口にしない言葉で、一石の体温は上昇。
さらに口から漏れ出た本音が、一石を饒舌にさせる。
「この前言ったろ、心配する奴がいねぇなら俺が心配しておいてやるって。
だからまあ……いや、ああもう! お前が何処の馬の骨かも分からねぇチャラそうな男に喋りかけられているかも知れないって考えるのが嫌だって言ってんだよ。
お前は、俺だけを見ていればそれでいいんだ。それ以外は必要ねぇ。俺がお前を……守ってやっから」
一石は音々と目を合わせる事ができず、ふいと横を向いた。
完全に一石の嫉妬交じりのセリフ。
最後の言葉が恥ずかしさと相まって掻き消えそうな小声である点からも、一石にとっては勇気が必要だったのだろう。
しかし、当の音々は――。
「……ん、分かった」
寒さから逃れるように、一石の体にぴったりとくっつく音々。
その反応から完全に理解していない事は間違いない。
一石はその様子を見て、先程よりも大きなため息をついた。
「そうだな。慌てる事はないか」
「……?」
怪訝そうに小首を傾げる音々。
そんな態度の音々に、一石は優しく微笑みかける。
「ここら辺にうまい店があるって聞いたな。ちょっと行ってみるか。
今日は聖輝節、特別な日なんだからな」
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自由の鐘の活動も聖輝節本番ではかなり小規模な活動となっていた。 ある意味、同情を寄せられそうな残念なメンバーも数名存在したのだが、聖輝節のパーティをみんなで開催するとなれば参加しない手はない。 「酒の匂いにつられて、独り身が一人追加じゃ!」 チーズと燻製肉を片手にダグマス(ka6527) がパーティへ参加してきた。 既に前日より度重なるパーティが催されているのだが、独り身の寂しさを吹き飛ばさんと更に酒が追加されていく。 「……独り身といいつつ、賑やかさが心地良い場所ですね」 メアリ・ロイド(ka6633)がビールを片手に椅子に腰掛ける。 自称『お金持ちで美形にしか興味の無い系女子』のメアリであるが、今日はタダで食べるご飯を満喫する為に現れたようだ。 「安心せい、今日は宴じゃ。遠慮無く食すが良い」 ダグマスがもう何杯目かのビールに口をつける。 独り身の者達が集うパーティではあるが、気付けば大規模なパーティへと変貌していた。 みんな、一人ぼっちで聖輝節を過ごしたくないんです。 「ビールマイスターの私が、ビールを差し入れに参りましたぁ」 星野 ハナ(ka5852)が持参したビールケースをテーブルの上に置く。 建物の外で冬の外気に晒されていたビール。キンキンに冷やされている事もあり、多くのハンターがビールへ手を伸ばす。 「はい、乾杯です」 タダのビールと知って早速手を伸ばすメアリ。 乾杯という挑戦を受けたハナも黙っていられない。 持参したケースからビールを取り出すと、瞬く間にジョッキへと注いでいく。 「かんぱーい! もう記憶が飛ぶほど飲み食い致しましょぉ?! そして来年は華麗にカップル会場へと雄飛を図るのですぅ、ぐすす」 目から汗が染み出したと言い張るハナ。 その汗、来年も出て来ない事を祈るばかりである。 一方、別の会場では――。 「失礼致しますわぁ」 自己紹介しながらテーブル前にある食事へ視線を移すのはTyphon O Loup(ka6643)。 このパーティでは男女の出会いを求める者同士が交流する場なのだが、Loupはどうやら食事を楽しめると聞いてやってきたのだ。それなら独り身同士のパーティへ行っても同じだと思うのだが……。 |
![]() ダグマス ![]() メアリ・ロイド ![]() 星野 ハナ ![]() Typhon O Loup |
それともこっちの『リアルブルー式お雑煮』を食べませんか?」
南護 炎(ka6651)がハイテンションで近づいてきた。
実はこれが炎にとって人生初の合コン。暴走気味のハイテンションが、Loupへ謎の二択を迫る事態を引き起こした。
「ふむ、餅ですか。チョコレートのアクセントがどうなるか、とても興味深いですわぁ」
Loupは優雅な佇まいを崩す事なく、眼前に出された餅とチョコレート――それもカカオ高含有の超ビター系チョコと餅のコラボレーションへ手を伸ばす。
「いやー、実にお目が高い。それはタダのチョコレートではなく、甘さを抑え……」
「……うーん、意外に合いませんわ」
「え?」
炎が気付けばLoupは瞬く間に餅を平らげていた。
視線を離したのは僅か一瞬。その間にLoupは口に入れて咀嚼したというのか。
「あ、こちらのお雑煮もいただきますわ」
「え、あ、それはリアルブルーの……」
「塩が利いていると思いましたが、こちらはなかなか美味ですわぁ。
あ、あなた。次の料理を持ってきてくださる? そろそろ本気で食事しようと思いますの」
努めて優雅に振る舞おうとするLoupだったが、餅と雑煮を音速で胃袋へ収納してしまった時点で優雅さは異次元へと消え去っている。
残ったのは畏怖の念。炎は純粋にLoupの食に興味を抱きだした。
「は、はい。では、チキンの特製オレンジソースなんて如何でしょう?」
そんな炎とLoupのやり取りを遠くからケイ(ka4032)が見つめていた。 「随分贅沢な合コンというかお茶会じゃないの。来た甲斐があったというものね」 聖輝節もハンターズソサエティやサルヴァトーレ・ロッソが裏で支援していると聞いている。きっと今日の料理も彼らが準備していたものだろう。 「仮初めかもしれない平穏な時間。それに興じる人々。――悪くないわね」 眼前に広がるパーティも、街を歩くカップルも平和な時間を満喫している。 これもハンターや連合軍が歪虚と戦って勝ち取った時間である。 万一、歪虚に敗れていればこのような時間は得られなかったのかもしれない。 「今こうしている時間が……死の間際に見る幻、なのかしら?」 ケイの頭に浮かんだ嫌な映像。 もし、ハンターが歪虚に敗れればその映像は現実となる。 聖輝節も今年で最後となってしまうのか。 |
![]() ケイ |
この時間を、守る為に」
ケイは自らに浮かんだ映像を脳裏から消し去り、目の前に広がる幸せな時間へ意識を引き戻した。
●
リゼリオの街に鐘が鳴り響く。
深夜に鳴らされた鐘――モノトーン教会が幸せな時間を告げる。
愛する者と共に鐘を聴けば、永遠に幸せとなる。
その伝説に想いを馳せる者達は、静かに鐘の音色に耳を傾ける。
「綺麗」 ジュード・エアハート(ka0410)の口から言葉がこぼれ落ちる。 深夜の海へこぎ出した船。 その舳先に腰掛けたジュード。 視界には闇に浮かび上がるリゼリオの街並み。聖輝節で灯された輝きが、光と共に温かみを放つ。 「教会の鐘を聴きながら、彩られる街の灯り。素晴らしいな」 ジュードの傍らに座るのはエアルドフリス(ka1856)。 今日この日、ジュードはエアルドフリスと共に鐘の音を聴くと決めていた。 その事をエアルドフリスに話したのは、つい先日の事だ。 実はエアルドフリス歪虚退治の依頼に加え、薬師の本業もある。二足の草鞋を履くエアルドフリスは多忙な日々を過ごしている。ジュードはそんなエアルドフリスへ遠慮して聖輝節の話を言い出せずにいたのだ。 それでも――ジュードは意を決してエアルドフリスへ願い出る。 一緒にモノトーンの潮鐘を聴いて欲しい。 依頼で歪虚と対峙する以上に緊張するジュード。 それに対してエアルドフリスは嫌な顔一つせずに承諾する。 『そんな顔をされては断れないな。少し遅れるかもしれないが、必ず行くから』 笑顔を浮かべるエアルドフリスを前に、ジュードは歓喜した。 |
![]() ジュード・エアハート ![]() エアルドフリス |
ふいにジュードは、そう呟いた。
振り返れば深夜の海は漆黒。もし、空に月が無ければ視界には黒で塗りつぶされている。その中に浮かび上がるリゼリオの光。街と月の光が無ければ、自分達の居場所すら無くなってしまう気がする。きっと、歪虚に敗北したら――。
一瞬の不安に襲われるジュード。
しかし、それを察したのかエアルドフリスはジュードへ着ていたコートをかける。
「船へ乗る前にホットワインとスープを飲んだが、潮風は冷たい。これでも羽織るといい。
さっきも言ったろう? 俺は北の生まれだからね。これくらいの寒さは大丈夫さ」
「ありがとう」
ジュードはエアルドフリスからコートを受け取ると自分の上着の上から羽織った。
ほんのりとエアルドフリスの体温が伝わってくる。
「なあ、あのリゼリオの光。どっか温かみを感じないか?」
「そうだね。何処か見ているだけで優しくなるような光だね」
「それはそうさ。あの光の一つ一つにみんなの想いが込められてる。その優しさが見る人に伝わってくるんだ」
エアルドフリスの視線は、まっすぐリゼリオの光へ向けられた。
深夜の海が如何に漆黒であろうとも、リゼリオの光は消せない。
それはあの光の下に多くの人の想いがそこにあるからだ。
「あの光……歪虚から守らないといけないんだね」
「それだけじゃないさ」
エアルドフリスはジュードの肩を抱き寄せた。
エアルドフリスの吐息がジュードの頬にかかる。
「あの優しい光を、俺達二人で放ちたい。
二人の想いを形にして、これからずっと……一緒に輝いていきたいんだ」
耳元で囁かれる言葉。
ジュードの鼓動が自然と大きくなっていく。
「…………うん」
小さく頷くジュード。
その答えにエアルドフリスは、満足そうな笑みを浮かべた。
人々の想いを旋律に乗せて、鐘は――鳴り響く。
メリークリスマス、鐘を耳にしたすべての人々に幸あれ。