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【落葉】

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叶えられる願いは、いつも強者の願い。最も美しく、最も強靭な夢……。
誰もがそうなれたなら……誰もが自分らしく生きられたなら、それでよかった。
あなた達は強く、そして美しい。でも、その力は弱者を救わない……救えない。
立ち止まることも、逃げることも、弱くあることも……いけないことなのですか?
せめて私は……私だけは……お父様とは違う道を……零れ落ちた、誰かの夢を……。

不滅の剣魔:クリピクロウズ

更新情報(12月5日更新)

ラズビルナムと不滅の剣魔を巡る戦いはいよいよ最終決戦へ!
それぞれの立場を超え戦場に集う人々。亜人、精霊、そしてヴルツァライヒ。
帝都へ侵攻するクリピクロウズに対し、ハンター部隊による邪神翼の破壊作戦が実施される。

12月5日、グランドシナリオ「リフレインが叫んでる」がリリース!
それに伴い、ストーリーノベル戦況解説を公開しました!

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【落葉】ストーリーノベル「銀河の果てまで抱きしめて」(12月5日公開)


 不滅の剣魔クリピクロウズとの闘いは、基本的に人類側有利で進行した。
 理由はシンプルで、まずクリピクロウズ側にそもそも被害を広げる意識がないというのが第一にあげられる。
 確かに各地にソードオブジェクトを打ち込みはしたが、その攻撃は戦術的なものではなく、例えば主要都市に対する攻撃は今のところゼロときている。
 相手はあくまでも救済のつもりであって、戦争をしているつもりはないのだ。
 そして第二に、既に反影作戦を経て異界への対応方法は知れ渡っている点も大きい。
 なんだか得体の知れないものが相手では調査などに手間がかかるが、種が割れている手品に動じるほどソサエティも帝国軍も耄碌していない。
 付け加え、この国には過去の戦いで獲得した様々な戦術への対応ノウハウがある。
 異界の展開も、さして危機的な状況ではなかったのだ。

カッテ・ウランゲル

ヴィルヘルミナ・ウランゲル

「とはいえ、放置するわけにもいきませんからね。そろそろラズビルナムにも大人しくなってもらいましょう」
 戦力をまとめる時間は十分にあったので、カッテ・ウランゲル(kz0033)は特に焦る事もなく作戦を組み立てた。
「結局内部に入って発生源を叩くしかありません。反影作戦のケースと同様であれば、それで小型の異界もまとめて消滅するはずです」
 皇帝ヴィルヘルミナ・ウランゲル(kz0021)は腕を組み、小さく息を吐く。
「まあ、倒す分には問題ないだろう。倒す分には」
「と、仰いますと?」
「戦闘力ならナイトハルトやオルクスの方がずっと厄介だったからな。だが、クリピクロウズからはもっと情報を引き出せるような気がする」
「お考えは理解できますが、それはクリピクロウズは他の歪虚とはちょっと話が違いますからね」
 お喋りな歪虚であれば会話にも応じるし、情報を得られることもある。
 だが、クリピクロウズは会話は可能だが基本的に一方的な要求を突き付けてくるだけでかみ合わないタイプだ。
「間違いなく、邪神の本質と何か関係がありそうなのだがな……」
「それなら別に現段階でもある程度分かるじゃないですか」
 ヴィルヘルミナの視線が作戦図から弟へと移る。
「というか、陛下もお分かりなのかとばかり」
「ふむ。意見が食い違うとアレだ。君の考えを聞かせてくれ」
「そうですね。あくまでも既に公開されている情報から推測するに――ですが」


 大精霊には元々、紐づいた世界の事象を観測する機能がある。
 だがそれはありとあらゆるものを無差別に観測するのではなく、基本的に観測する存在が必要だ。
 それらは高位の知性を持つ存在。クリムゾンウェストで言うところの龍や人間が該当する。
 “守護者”とは文字通り世界を物理的な破滅から守る存在であると同時に、観測の欠落から守る存在でもあるのだ。
 そう。世界とはそもそも、誰かが願い、誰かが観測し、誰かがそれを承知するという行いが無限に連なって成立している。
 大精霊はそうした無限の願いを受け止め、よりよい世界を幻想する為のデータベースだ。
「ファナティックブラッドは大精霊と同じだけの容量を持つ神だ。しかしだからこそ、いずれは限界を迎えるだろう」
 “彼”は言った。世界は有限だ。無限ではないと。
 どんな命も、その総体である星も、いずれは終わりを迎える。
「その有限こそがファナティックブラッド最大の欠点だ。“維持”に割いているようでは、“救済”に割くリソースが枯渇する。つまりどこかでリソースを供給しなければならないし、不要なデータは削除しなければならない」
 最も輝いた記憶だけが、その世界のすべてだ。
 最も美しいものだけが。最も強いものだけが。最も悪辣なものだけが世界のラベルとなるならば――。
 弱者はどうなる? 取るに足らない記憶はどうなる? 淘汰された進化はどうなる? 辿り着けなかった、捨て去られたモノはどうなる?
 忘れられてしまったものは――どうなる?
 弱者は強者より圧倒的に多いじゃないか。
 天才よりも凡才の方が、金持ちより貧乏人の方が、幸せより不幸せの方が圧倒的に多いじゃないか。
 大多数はどうなる? 消えるしかないのか? 善でも悪でもないのなら、存在する価値すらないのか?
(争って争って、最後に残された想い出にしか価値がないというのなら……どうか、教えてください)
 敗北者の涙を止める方法はないの?
 善にも悪にもなれなかった、どこにも辿り着けない者を、愛してあげる手段はないの?
「見捨てられる者に寄り添うというのか」
 本当の無よりはいいから。
「世界の価値を再定義しようというのか」
 悲鳴に耳を塞ぐよりはいいから。
「ならば袂を別つがいい。お前はお前の方法で世界を補完しろ。他の翼がそうするように。いずれは王がそうあるように。お前の愛で――世界を救って見せろ」
 紀元前のクリムゾンウェストが破砕された時、邪神はその翼の一つを天に打ち上げた。
 衛星軌道上を旋回する剣は、長い年月を経て地上へと再び舞い戻る。
 炎にきらめく流星は、まだろくな文明も持たない大地へと突き刺さる。
 いつか求められるその日まで。時を忘れ、罪を忘れ、ただ何かを救いたいと言う願いだけを抱いて――。

クリピクロウズ

クリュティエ

「私は……ただ、救いたかった。争いたくなかった。悲鳴を止めたかった。この両手で……消えゆくものをただ、抱きしめてあげたかった……」
 ラズビルナム異界の中心で、女は一人空に語り掛ける。
「世界が彼らを“観ない”というのなら……ただ忘れて消し去るだけだというのなら……せめて私が……」
 乾いた女の頬に涙が伝う。その言葉を、女の背後に立つ騎士が聞いていた。
「あくまでも失われるものに寄り添う、か。ファナティックブラッドに――黙示騎士に合流するつもりはないのだな」
「ええ。私は……お父様とは相容れません。だって彼は、本当に強いものだけしか救わないのですから」
「“今”が続けばそれでいい――考え方は同じだと思ったのだがな」
 クリピクロウズは首を横に振る。
「クリュティエ。あなたは強いひとだから……弱いひとの可愛らしさを知らない。“今”さえも要らないという、悲痛な声が聞こえない」
「確かに、私の言葉は強者の論だ。お前の意見を尊重するよ」
 ふっと笑みを浮かべ、騎士は女へ歩み寄る。
「さようならだ、遠い世界の翼……哀れなる我が姉よ」
 差し出した右手。それをクリピクロウズが両手で握り締めると、瞬時にクリュティエの姿は消え去った。
「……ここに在ることを許されないのなら、忘却されたすべてを連れて、もう一度飛びましょう」
 両腕を広げるクリピクロウズの背後。地中より、直径2kmにも及ぶ巨大な翼がせり上がる。
 それは光の羽を広げ、遥か彼方の空を睨んだ。
「愛すべきものを守るために――お願い、私の“リヴァイアサン”」

ブリジッタ・ビットマン

クリケット


 帝国軍によるラズビルナムの完全包囲と突入準備が完了する頃。
 それを知ってか知らずか、巨大な異界から無数のソードオブジェクトが再び帝国中に発射された。
 そして巨大な異界のヴェールは晴れ、それが姿を現す。
「勝手に異界を解除したと思ったら……いきなりデカい神殿が出てくるだとぉ!?」
 包囲網の中に作られたキャンプで、ブリジッタ・ビットマン(kz0119)が空を見上げる。
「なんだありゃ……地下神殿がまるっと地上側にひっくり返ったとでもいうのか?」
 クリケット(kz0093)や多くの帝国兵がどよめく中、ブリジッタはびしりと指さす。
「見りゃわかるのよね! あの異界は“異界を展開する”のではなく、“内側の空間を作り替えるの”のが目的だったってことよさ! 地下深くに埋没したソードオブジェクトを……地上に引っ張り出す採掘手段だっ!!」
 神殿の向こうに見える巨大な塔――いや。あれがなんなのか、既に知っている。
 ダモクレス級ソードオブジェクト――。
「第三の翼、リヴァイアサン」
 神殿の上に立ち、クリピクロウズは空を仰ぐ。
 宙へ向けられた剣は、眩い輝きと共に、再び世界に敵対した。


(執筆:神宮寺飛鳥
(文責:クラウドゲート)

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