【未来】辺境のその後

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辺境のその後

シバ

バタルトゥ・オイマト

蛇の戦士・シバ(kz0048)が想い描いた壮大な夢――西方諸国に負けない国家を辺境の地に建設する。
その夢はシバが亡き後、若者達へと引き継がれた。
しかし、邪神ファナティックブラッドが去った後でも辺境に国家建設する夢は困難を極めた。
国家の前身とされる部族会議の初代首長バタルトゥ・オイマト(kz0023)が辺境を巡る戦いの中で倒れた後、後継者争いの問題が勃発する。

バタルトゥの後を継いでオイマト族の族長となったイェルズ・オイマト(kz0143)。
バタルトゥと共に大首長の座を巡って争ったスコール族族長のファリフ・スコール(kz0009)。

いずれの者を首長に据えるかで部族会議は二つへ分裂するかの勢いで大激論となったが、最終的にファリフは『辺境の未来の為に、もっと世界を知る必要がある』と言葉を残し、ファリフは大首長を辞退。そのまま星の友と共に世界を巡る旅に出てしまった。
この状況からイェルズは部族会議二代目首長へ就任する事となった。

大首長補佐役ヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)の支援を受けて新生部族会議は国家建設に向けて大きく傾いていく。
首都を旧CAM実験場『ホープ』へと定め、政治中枢を集結。
さらに部族毎にバラバラとなっていた単位の統一や他国との取引を行う為に貨幣の導入を急速に進めていくのだが、急進的な動きを受けた諸部族に不穏な動きが生じ始める。

元々部族単位で独自の文化を持っていた辺境において大規模な集団生活は想定されていない。
部族会議にしても始まりは対歪虚を念頭においた部族間の共闘関係に他ならず、対歪虚戦が終われば各々が部族へ帰っていくと考える戦士が多かった。
その上、部族で戦いを糧としていた戦士達は戦いが著しく減った事から戦士としての立場を喪失。
日々の生活も困窮する者まで現れた。不満を抱いた戦士達は次第に部族文化を破壊する部族会議を敵視し始める。

そしてついに戦士達の不満が暴発。
決起した戦士達が辺境ドワーフの王ヨアキム(kz0011)を首魁に祭り上げてパシュパティ砦で蜂起。反部族会議諸部族連合として戦いを挑んだ。
部族文化と過去の栄光を求めて立ち上がった戦士達だが、彼らの手に再び栄光が戻る事はなかった。

事前に反乱の動きを察知していたヴェルナーは、過去の遺産を精算する機会を考えて反乱前にイェルズを帝国の錬魔院へ訪ねさせ、その間に反乱が勃発。
それを待ち受けるかのようにヴェルナーはパシュパティ砦の戦士を徹底的に叩いた。ヨアキムもこの戦いで討ち死にとなった。さらに山岳猟団の八重樫敦もこの戦いで死亡している。

後に『部族会議騒乱』と称された一連の内乱はイェルズとヴェルナーの関係に亀裂を入れる事態となった。
ヴェルナーはこの責任を取る形で大首長補佐役を辞任。同日に帝国へ異動の打診を行ったと噂されている。
ヴェルナーはこの事件に関して後に『平時で生きられぬ者達も存在し、その願いを叶えるには誰かが汚れ役を引き受けなければならない。ただ、それはあまりにも残酷過ぎる話だ』と述懐している。ヴェルナーは今回の騒乱を辺境最後の内乱として位置づけるつもりだった。蜂起した彼らも辺境に建設される国の中で生き方を変えられる程器用じゃない。
彼らは死に場所を求めていた。戦いの中で生き、戦いの中で死にたかった。

ヴェルナーはそれに応え、汚れ役を一人で引き受けた。
蜂起した彼らを打ち倒し、責を受けて自分が帝都へ戻れば未来は残された若者達が必ず悲願を成し遂げる。ヴェルナーはそう信じていた。
――だが、不幸だったのはその事を理解できる程、イェルズが経験を重ねていなかった事だ。

様々な苦難を乗り越えた部族会議は、部族会議騒乱の後に国家体制を確立する。
急激な変化は抵抗が強い事から辺境の地を複数の『州』に分け、各州の代表として有力部族がホープの議会へ集まって政治を執り行う。
所謂共和体制の礎を建設。この体制は長く辺境の地に根付いていく事になる。

イェルズが大首長改め共和議会議長を退任後、新たなる議長として帰参したファリフが就任。
オイマト族出身の若者から始めて他部族出身の者が就任した事実は西方諸国を始め、多くの者に知らしめる事となった。

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主要人物のその後

ファリフ・スコール(kz0009)
部族会議二代目首長の座を巡り、割れる部族会議を止める為、世界を知る為、旅に出る。
後に帝国の技師と結婚し共に旅を続ける。部族会議騒乱時は妊娠中の為、動けなかった。
出産後、一家で辺境に帰参し、議長に就任。一部の部族からは夫について言及もあったが、妻を支える夫であり、おしどり夫婦として末永く幸せに生きていく。

イェルズ・オイマト(kz0143)
ファリフが旅に出たことで、部族会議二代目大首長の座に就任。
ヴェルナーの協力の元、何とか務めを果たしていた矢先に部族会議騒乱事件が勃発する。
この一件を期に、矢張り自分は王たる器ではないと自認したイェルズは、ファリフに大首長の座を譲渡。彼女に求められて補佐役の座に就任する。
その後は、ファリフの補佐を務めながら、静かにオイマト族と辺境の民達を守ることに生涯を捧げて行く。

ヨアキム(kz0011)
歪虚消失後、マギア砦跡地から救出されるも、部族会議騒乱を主導。
戦士達と共に部族会議へ戦争を仕掛けるが、ヴェルナーにより鎮圧。その戦いの最中で死亡した。
辺境ドワーフ王の死去は辺境に住む者に多くの衝撃を与えると同時に、悲しみをもたらした。
その後、地下城『ヴェドル』とドワーフの工房は娘のカペラ(kz0064)が引き継いだ。
ヨアキムが如何に大きな存在だったか――それは彼がいなくなってから思い知る事となった。

リムネラ(kz0018)
辺境の外の世界を知った巫女として、しばしばヘレをつれてクリムゾンウェスト各地を行脚。
その後大巫女としてディエナに指名されると、驚きつつもそれを了解。
後進の巫女の指導をしながら、白龍の後継ヘレの傍らにリムネラは常に寄り添い、巫女としての伝統を守るために尽力した。

ヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)
部族会議から国家へ昇格するに辺り勃発した『部族会議騒乱』に際して、大首長イェルズの意志を確認せず反乱戦士を討伐した責任を取って部族会議大首長補佐役を辞任。
しばらく後にノアーラ・クンタウ要塞管理者の任を解かれて本国へ帰還する。
その後は他国の渉外担当として辺境、東方を担当した。

八重樫 敦(kz0056)
部族会議騒乱の最中、辺境戦士の奇襲を受けて重傷を負う。その傷が元で数ヶ月後にこの世を去った。
山岳猟団は八重樫の遺言で部族会議麾下の部会へ編入。シバと八重樫が生み、育んだ戦士達は正式に辺境を守る強靱な部隊へと成長を遂げた。

チューダ(kz0173)
シンタチャシで飲んで喰って寝る。
あまりの怠けっぷりに『真なる怠惰王』『がっかり幻獣王』と揶揄されるが、本人はまったく気付く様子はない。
新たなる幻獣の知識もたまに取り入れるが、それ以上のスピードで忘れていくのは相変わらず。
桃缶に飽きてマンゴーに夢中。

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組織のその後

部族会議とリタ・ティト
辺境巫女は部族会議が国家となった世でも絶対的な中立として続いて行く。
これは国家となった現在でも白龍信仰が強くなった事に起因する。
白龍がリタ・ティトの大霊堂へ戻る日まで辺境巫女達は代々その伝統を後世へと伝えていく。
幻獣の森が滅び、幻獣達と接する場が四大精霊の一人であるイクタサ(kz0246)の住むシンタチャシへと移った今でも巫女達は幻獣達の世話を行っている。

唯一変わった点があるとすれば、辺境巫女をまとめる大巫女にリムネラが選ばれた事である。
ディエナ(kz0219)が隠居を宣言した後、リムネラを指名した事で辺境巫女は大騒ぎとなる。
それ以上に驚いたのはリムネラ本人であるが、ディエナは『必要な事はガーディナで学んだはずだ』と断言して強引に押し切った。
リムネラは周囲からの助けを受けながら辺境巫女を率い、伝統を後世に伝えていく事になる。
なお、リムネラが大巫女となった事からその後大巫女候補はガーディナの仕切り役を任される伝統が新たに生まれる事となった。

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