ゲスト
(ka0000)
「巨竜迎撃戦」グランドワーム撃退B(北東) リプレイ


作戦2:グランドワーム撃退B(北東) リプレイ
- ザレム・アズール
(ka0878) - 紫月・海斗
(ka0788) - キヅカ・リク
(ka0038) - セレスティア
(ka2691) - リュー・グランフェスト
(ka2419) - ウィンス・デイランダール
(ka0039) - アルト・ヴァレンティーニ
(ka3109) - ソフィア =リリィホルム
(ka2383) - フィルメリア・クリスティア
(ka3380) - ヴァルナ=エリゴス
(ka2651) - アメリア・フォーサイス
(ka4111) - メトロノーム・ソングライト
(ka1267) - アルファス
(ka3312) - 神楽
(ka2032) - ラン・ヴィンダールヴ
(ka0109) - イブリス・アリア
(ka3359) - 紅薔薇
(ka4766) - リュカ
(ka3828) - クローディオ・シャール
(ka0030) - リリティア・オルベール
(ka3054) - アウレール・V・ブラオラント
(ka2531) - ナナセ・ウルヴァナ
(ka5497)
●晶原に吼える
巨大な竜、グランドワームはハンターを意に介さず前進を続ける。
その一歩一歩が結晶の大地を揺るがし、巻き上げた雪が煙を成す。ザッハークは雄々しく翼を広げ、ハンターの前に立ち塞がった。
「これまでに何体もの王を退けたというその思い上がり、ここで私が正す!」
ザッハークは広げた翼に光を纏わせ舞い上がると、上空から無数の光線を放つ。
降り注ぐ無数の閃光は意志を持ち、ハンターひとりひとりを追尾し襲いかかった。
「この攻撃……まるでデルタレイだ!」
「にしちゃあ規模がハデすぎっぜ!」
閃光を回避するザレム・アズール(ka0878)に続き紫月・海斗(ka0788)が帽子を片手で抑えつつバイクのエンジンを唸らせる。
ハンター達の多くは高速戦を想定し騎乗状態にある。グランドワームに攻撃する為にはまずザッハークを突破し、追いつく必要もあった。
ザッハークの攻撃を掻い潜りグランドワームへ向かうハンター達を見れば、当然追撃をしてくる。そうして飛行するザッハークの周囲に、間もなく対応班が包囲網を敷いた。
「包囲攻撃で追撃を阻止します!」
バイク上から叫びつつライフルを放つキヅカ・リク(ka0038)。しかしザッハークは翼に纏った光で銃弾を物ともせず、反撃のレーザーを発射する。
「くそっ! 降りてこねーじゃねぇか!」
「この位置からでは、近接武器で攻撃できませんね……リューくん!」
降り注ぐ光を盾を構えるセレスティア(ka2691)。リュー・グランフェスト(ka2419)も手にした剣で閃光を一閃する。
「……飛びながら攻撃して来やがるか……いや、まだ……」
「流石に一方的に攻撃される状態が長続きするのは良くないな。どう動く?」
ザッハークを観察しつつ一人で呟くウィンス・デイランダール(ka0039)。アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)が頭上のザッハークを睨みながら声をかけると、ソフィア =リリィホルム(ka2383)は唇をぺろりと舐め。
「要は引きずり下ろしちまえばいいんだろ!? そっちが来ないなら……こっちから行ってやるよ!」
バイクで前に出たソフィアに続き、フィルメリア・クリスティア(ka3380)も馬を前に出す。
二人は左右から同時にジェットブーツで跳躍。更に剣を巨大化させ、ザッハークへと振り下ろした。
「左右同時攻撃なら……!」
左右の刃をザッハークは両手に光の爪を作り受け止める。だが質量に負け、弾き飛ばされるようにして高度を大きく下げた。
「フン……翼も持たぬ分際で」
落下しながらザッハークはレーザーを放つが、ザレムと海斗が作った障壁で減衰。二人は防御に成功する。
「翼さえ破壊すれば、機動力を奪う事ができます……!」
「わかってます!」
回り込みながら銃撃するキヅカ。更に落下地点に駆けつけたヴァルナ=エリゴス(ka2651)が大剣を翼に叩きつけるが、刃はザッハークに届かない。
「なんという強度……」
一撃打ち込んだ後、走り過ぎる馬上から振り返るヴァルナの前髪が揺れる。
ザッハークは問題なく着地した後後方を見やるが、既にハンターの一部はグランドワームへと走り去った後だ。
「我らの分断を謀るか……愚かな。死出の順序の問題だとわからぬか」
「うわ、大きいなぁ……これは生身でどうにかするサイズじゃないよね……」
馬でグランドワームを追走するアメリア・フォーサイス(ka4111)が自信なさ気に溜息を零すと同時、メトロノーム・ソングライト(ka1267)の馬が嘶いた。
「怖い思いをさせてしまってごめんなさい……でも、今は……」
「奴はまだこちらに感心を持っていません。今のうちに攻撃位置に着きましょう」
アルファス(ka3312)の言う通り、グランドワームはただひたすらに全力で前進を続けるだけで、ハンターは眼中にないようだ。
ならば幸いと彼らが向かったのはグランドワームの右側。まずは前足を破壊する手筈になっている。
「先制攻撃行くっすよ! 巻き込まれないように注意するっす!」
バイクを唸らせ前に出た神楽(ka2032)はギガースアックスをワームの腹に叩き込む。かなりの威力……だが、ダメージを与えられた様子がない。
「げっ、微動だにせずっすか!?」
「あはは。まあ、サイズを考えればそうだろうけどねー」
槍を手にしたラン・ヴィンダールヴ(ka0109)が続いて穂先を繰り出すも、金属を弾くような音が鳴り響く。
「わー。かっちかちだー」
アルファスは拳銃にマテリアルを集め、デルタレイを連射する。着弾し炸裂するマテリアル光は見えるが、打撃はいかほどか。
「効いてないわけじゃなかろうし、今は攻撃あるのみだ」
手にした手裏剣を束ねて投げつけるイブリス・アリア(ka3359)。続いて紅薔薇(ka4766)が刃を叩きつけるが、火花が散るばかりで鱗は砕けない。
「なんと……妾の剣で絶てぬか。世界はまだまだ広いのう……」
「いや、どうやら効果はあるようだよ。こちらを認識し、動き出したらしい」
上空に飛ばしたイヌワシの目を借りたリュカ(ka3828)がワームの挙動の変化を察知する。
ワームは一度動きを止め大きく右足を振り上げると、これを薙ぎ払うように大きく振るった。
「範囲が広すぎる……相手が動いている時は避けに徹しろ!」
イブリスの声が響く中、何人かのハンターが衝撃で転倒する。だがワームはそれだけで、引き続き前進を優先とする。
「傷を負った人は直ぐに私の側へ……来られないようであればこちらから出向くだけだがね」
攻撃には参加せず、回復に徹するクローディオ・シャール(ka0030)のヒールが倒れたハンターらの傷を癒やす。
少し体勢を崩している間にもワームはぐんぐん前に進む。この巨大な敵を倒すには、やはりそれぞれの役割を明確にする必要があった。
●その鎧を討て
「ザッハーク! 人間が奪ったってのは何の事だ!」
馬上から転がり落ちたリューは二本の剣を抜き、ザッハークへと斬りかかる。
「文字通りの意味よ。貴様らニンゲンは、この世の全てを奪い、破壊する!」
左右の手で剣を受け止め、口に光を集める……ブレスの予備動作だ。そこへヴァルナが駆けつけ、側面から頭部に剣を突き入れる。
しかし顔は光の鎧で覆われていた。更にセレスティアが駆け寄り背後からハンマーで打つが、ブレスを止められない。
リューは左右の剣を手放し、屈んでブレスを回避。それでも身体は焼かれたが、キヅカの障壁が守ってくれた。
「リューくん!」
旋回する馬上からセレスティアが投げたハンマーを受け取り、それでザッハークの腕をリューが打つと、モルドゥールが空を舞った。
「確かに私達は、白龍や黒龍の命と引き換えに今を生きている……だからこそ、彼らの愛した世界を守る事が恩返しになる……!」
素早く懐に飛び込んだアルトの斬撃がザッハークの胸を切り裂くが、そこには更に鎧が出現していた。
ザッハークの全身を鎧が包み込むと、吼えると同時に爪でハンター達を薙ぎ払う。
「人に文句があるなら、今ここで言ってみろ……聞いてやる!」
「世界を守るか……それは確かに気高い事だろうが、貴様らは悪に染まりやすすぎる!」
広げた翼から無数の光が空に舞い上がり、一気に降り注ぐ。アルトはバック転しつつ回避、そこへソフィアが巨大化させた剣を叩きつける。
「幾ら頑丈ったって、いつまでも耐えられるかよ!」
「おら、撃て撃て! 撃っちまえ!」
海斗に続きキヅカ、ザレムも銃撃を繰り出す。ソフィアを蹴り上げたザッハークがそのまま光を纏った踵を振り下ろすと、光の衝撃波が飛翔し海斗達を襲う。
「鎧を展開した状態でガンガンぶっ放して来やがる……攻めが足りねぇってか?」
疾走する馬上でくるりと回した槍を構え直し突貫するウィンス。すれ違い様に突き込むが、やはり鎧を砕けない。
(攻防に使うあのマテリアルを操作する能力……無尽蔵とは思えねぇが……)
「貴様らニンゲンは神が……世界の過ちが作ってしまった星の癌。唯一この世の命にして、元より闇を抱えし存在。逃れられぬ血のさだめよ!」
薙ぎ払うように放出したブレスが雪を蒸発させ、大地を吹き飛ばす。広範囲の攻撃にそれぞれダメージを受けつつ、ハンターは攻撃の手を休ませない。
しかしザッハークはそれらの攻撃を物ともせずに接近し、強引に爪を振るう。これをフィルメリアは剣を構え、障壁を展開して受けた。
「ぬ……!?」
攻性防壁の効果で大地の上をノックバックするザッハークの背後へ回り込み、ウィンスが槍を繰り出すと、今度は穂先が鎧へ食い込んだ。
崩れた鎧は直ぐに元に戻ってしまったが、先ほどまで通じなかった攻撃が確かに効果を見せたのだ。
「成る程な……カウンターか」
ザッハークの攻防の起点となる光を結晶化する力。これはやはり無尽蔵ではない。
持っているその力を攻撃と防御に割り振って戦闘しているのだ。故に、攻撃直後には防御が手薄になり、守った直後の攻撃は衰える。
もちろん、その隙は本当に僅かなものだ。一対一で戦っていては付け入るには至らない程度の隙だろう。だが……。
「大まかには予想通りって事か。同時に使えるってのも、まあ……むしろ上等だ……!」
槍を背後へ跳んでかわすザッハーク、その尾に巻き付いたワイヤーはリリティア・オルベール(ka3054)のものだ。
「ふぅ……嫌になっちゃいますねぇ。皆していきなり全力疾走するんですもの……でも、捉えましたよ?」
ピンと伸びた尾へ跳びかかったのはソフィアだ。振り下ろした刃では尾は切断できなかったが、それはつまり尾に力が集まっているという事。
更に背後からフィルメリアが斬りつけ、キヅカ、ザレムが銃撃を加える。正面から距離を詰めたヴァルナは繰り出される爪を剣で弾き返す刃で腹を斬りつけ、アルトは腕を掻い潜り、胸に刃を突き刺す。
「鎧の展開が間に合っていないみたいだ」
「つーかアレなんなの? マテリアルなのか? だったらこういうのはどうだ!」
海斗は機導砲で攻撃を行うが、これといって特別な効果は見当たらない。
「別にこちらのマテリアルを利用しているとか、こちらの攻撃で鎧が干渉を受けるようなことはないみたいですね」
「だな。解説どうも」
ザレムの言葉に肩を竦める海斗。そのまま銃を構え。
「なぁおい、ザッハークとか言ったな。なんでガルドの旦那……ガルドブルムは来ない? 同じ強欲だろ?」
「同じ種に属していても、誇りの有無に違いはあろう。その名……私の前で軽々しく口にしないことだ」
「なーんだ、やっぱり仲悪いのか。オメェら性格合わなそーだもんな」
鼻で笑う海斗に掌を翳し光を収束させるザッハークだが、光弾は放つ前にリリティアのワイヤーが巻きつき、射角がずらされる。
「名を持つ竜には逃げられてばっかりですが……ま、精々尻尾を巻いて逃げ帰っていただくようでないと、私としても面白くないのです」
更にハンターが一斉に襲いかかると、その刃を抜けるようにザッハークは上空へ飛翔。光の翼を広げ、グランドワームの方角へ加速する。
「ま、そりゃ追うよね……! 逃がさないように包囲陣計を組みつつ追跡するよ!」
バイクを走らせるキヅカ。移動してくれるのは悪いことばかりではない。
せいぜい自由にさせないように追撃しつつ、目的地に誘導するだけだ。
グランドワームの鱗は頑丈で、移動の足は止まらない。攻撃は継続するが、それ以外の手も必要だった。
「攻撃の為にも、まずは動きを止めなければ……!」
夜桜 奏音(ka5754)が馬上で符を取りマテリアルを輝かせると、ワームの前足が踏み込む足場が泥のように沈み、固まっていく。
これが一瞬敵の動きを止めた。するとアウレール・V・ブラオラント(ka2531)の読み通り、敵はゆっくりと顔を振り返らせる。
「やはり動きが止まればブレスが来るか……散開しろ!」
ワームの口内から赤熱した光がドロドロとあふれだす。メトロノームがそこへブリザードを放つと、ワームの口周りの溶岩が固まった。
それで勢いが弱まっても、飛散する溶岩の雨はハンター達へと降り注ぐ。範囲は圧倒的に広く、とても避けきれるものではない。
「ごめんなさい、エクレ……もう少しだけ、頑張って……」
溶岩の影響は主に馬に乗る者達に齎された。馬にも溶岩が付着すれば当然騒ぐし、中には倒れる者もいる。
そうした者達がすぐに立て直せたのは、クローディオが直ぐに治療を施したからだ。特に彼がいなければ馬の方が駄目になり、戦線離脱する者もきっと多かっただろう。
「もしかして、凍結させるのが効いてる……? なら……!」
アメリアが発射した弾丸は光を放ち、前足に着弾すると凍結させていく。更にナナセ・ウルヴァナ(ka5497)も冷気を帯びた矢を放ち協力する。
「んんー……? やっぱり凍結攻撃、効いてますね!」
敵の攻撃から素早く立ち直ったアウレールは凍結した前足の鱗に槍を突き立てる。すると、そこから大きく亀裂が走った。
「よっしゃ、ぶっ壊すっす!」
入れ違いに飛び込んだ神楽が大斧をなぎ払うと、亀裂から一気にめくれるようにして鱗が吹き飛んだ。
「攻撃を集中し鱗を剥がす……十円ハゲ作戦とはのう」
「鱗がないなら危険冒して近接攻撃する必要もねぇ。後は俺達で前足を潰す」
イブリスの言葉に頷き、紅薔薇は速度を落として後ろ足へ向かう。
アルファスのデルタレイがむき出しになった前足に着弾し血が飛び散ると、効果の上昇を誰もが確信した。
「当然、こっちに目を向けてくるわな」
加速し、ワームの顔付近へ向かうイブリス。ワームは移動を続けながらも大きく咆哮を上げ、再び溶岩を吐き出す。
これにメトロノームはブリザードを放ち、空中で溶岩を岩石に変える。その方がイブリスも避けやすいし、なんなら武器でも弾ける。
「気をつけろよメトロノーム。助かるが、この辺は危険だからな」
「はい……承知しています」
絶え間なく移動を続ける両足を近接攻撃するには、やはり奏音が動きを止めた瞬間が効率的だ。
その為にはまず遠距離攻撃でダメージを蓄積させるのが正解であり、その為にアメリアとナナセの凍結弾が役に立つ。
「見た目からじゃ全然弱点が見つかりませんけど、とりあえず妨害攻撃は効いてるみたいですね!」
「そもそもこれって、内臓とかあるのかな……」
「う?ん……見た感じないっぽいです! 変な生き物ですよね……」
ナナセの元気な返事に苦笑を浮かべるアメリア。骨はあると思うが、残りは皮と筋繊維だけと言われても納得する。 リュカの弓で攻撃を続ける中、再び奏音の地縛符が発動。敵の足が止まると、接近した紅薔薇が目にも留まらぬ連続攻撃を繰り出し、鱗を粉砕する。
「うむ……格段に壊しやすいの!」
「次は左側を頼む! こちらの足は私達で潰しておく!」
アウレールの言葉に頷いた紅薔薇が後退し左へ回りこむ。そんな中、奏音は符を手に目を閉じていた。
「……どうやらこの先、イニシャライザーが展開されているようです。配置は横一列に広く取られているので、大きな誘導はなくとも確実に通過するはずです」
「そっかー。じゃ、それまでに出来るだけダメージを与えておかないとねー」
広くイニシャライザーが配置されているのなら誘導は楽だが、複数が大きく重なった効果を得られるわけではない。
ならば今の段階から可能な限り攻撃を続けておく事が、後々の保険となるだろう。
「あれは……ザッハーク? 追いついて来たのか」
順調にワームの右後ろ足も破壊に成功したハンター達。そこへザッハークが接近するのをリュカが感知する。
「いや、むしろ好都合だ。あちらは他のハンターが抑えているし……」
「このまま前進すれば、間もなくイニシャライザーの効果範囲に入ります」
アルファスの言葉に奏音が続ける。イニシャライザーの効果範囲に入れば敵の動きは鈍り、鱗の頑丈さも弱まるというもの。
ハンターに足を潰され移動性能は下がったが、持ち前の愚鈍さで留まること無く突進を続けるワームは、いよいよイニシャライザーの範囲内に足を踏み入れた。
すると青白い光が一瞬空間に瞬き、目に見えてワームの挙動が緩まる。が、同時にワームの挙動、進行方向が僅かに変わった。
「この距離から砲撃するつもりか……!?」
舌打ちするアウレール。巨竜は咆哮をあげ、削岩機のような頭部を大地にめり込ませる。
溶岩と岩石を混ぜあわせて作る火炎弾。その準備動作であった。
●分かたれた守護者たち
岩石と溶岩により体内で生成された火炎弾は、未だずっと遠くにあるカム・ラディ遺跡へと放たれた。
爆炎が遠くで上がるも、それは龍鱗結界を破壊するには至らない。
「かといって放置ってわけにも行かないっすよね?」
「神楽、奴の頭部を攻撃し注意を引くぞ! 私に続け!」
「じゃー、僕達は予定通りー」
「十円ハゲ作戦じゃ!」
神楽とアウレールが頭部方向へ移動する中、奏音は再び左足を地縛符で封じ、前衛が駆け上がりやすい状況を作り自らもそれに続く。
「ザッハークは無事に抑えられている……では、あとはこちらの問題だな」
「私は背中に向かって、鱗の破壊を手伝ってきます!」
「では、私達は頭部へ向かう。アメリアもそれで構わないな?」
「あ、はい。どっちみち、アレに登るのはちょっと……」
馬から降りたナナセがワームを駆け上がる。一方、リュカとアメリアは前方へ。弓と銃でそれぞれ攻撃を行う。
「私の魔法だけでは砲撃を止められません……どうすれば……」
ブリザードで妨害を試みるメトロノーム。そこへアメリアが駆けつけ、凍結弾を追加する。
「私もお手伝いしますから!」 第二射の為再び岩石を貯めこむワーム。そこへ神楽が跳びかかり斧を叩きつけ、イブリスが手裏剣を投擲する。
凍結の効果もあるのか、攻撃を中断しワームはハンターを見やると、おもむろに巨大な口を開き襲いかかった。
「イブリス!」
「俺は大丈夫だ!」
駆けつけようとするクローディオの伸ばした腕は届かず、イブリスはワームに飲み込まれてしまう。
「いやいやいや大丈夫じゃないっすよね!?」
「考えがあるのだろう。それより力を貸して欲しい! 奴の喉を吹き飛ばすぞ!」
青ざめる神楽。アウレールは腕を振るい近場の仲間に声をかける。
メトロノームがアイスボルトで、アメリアが凍結弾で喉を攻撃する中、アウレールはバイクのエンジンを唸らせる。
「本当にいいんすか? もったいない……」
「いいから撃て、神楽!」
ワームに向かって走らせるバイクからアウレールが飛び降りると、神楽が銃撃でバイクを攻撃する。
破壊されたマテリアルエンジンが爆発を起こすと、凍結していたワームの鱗が砕け散る。更にその内側が突如切り裂かれ、イブリスが姿を見せた。
「へ……内側から切り裂いてやった……ぜ」
しかしそれで余力を失ったのか倒れこむ。そもそも高温の体内に入ったせいで全身に重度の火傷を追っていた。
暴れる喉から溢れる溶岩から彼を救いだしたのはクローディオ。馬上から倒れているイブリスの腕を掴み、強引に溶岩から引き離しヒールを施す。
「無茶が過ぎるぞ!」
ワームは本来拠点攻撃に使う筈の火炎を足下のハンター達へ向ける。思わず悲鳴を上げるアメリア、馬を庇う用にぎゅっと抱くメトロノーム。そんな女性を背に、アウレールは槍を構える。
「もっと後ろに下がれ!」
流れ込む溶岩を前に、マテリアルを込めた槍で薙ぎ払うアウレール。その背後に出来た隙間から仲間が離脱するが、アウレールは全身に溶岩を浴びてしまう。
「アウレール!」
叫ぶ神楽。クローディオは迷わず馬上から飛び降りると、盾を構えてアウレールへと駆けつける。
熱された鎧を掴み、盾を構えながら後退。アウレールへとヒールを施した。
「……この腕のお陰で命を救えるとはな」
義手でなければ溶岩で熱されたアウレールの鎧など掴めるはずもなかった。奇妙な幸運になんとも言えない表情になる。
一方、暴れだしたワームの背中でよろけながらナナセが凍結矢を打ち込み、アルファスが火炎で鱗を焼く。
冷やして燃やすというのが良かったのか、直ぐに鱗は弱まった。そこへ奏音が五色光符陣で吹き飛ばし、ランが槍を突き立てる。
「鱗は砕けたけど……うーん? なんかこの竜、弱点っぽいところないよね?」
「たぶん本当に生物として単純な機構しかないんですよ」
ランのコメントに同意するナナセ。紅薔薇は刃を抜き、仲間を腕で制する。
「一箇所穴が空いたなら、広げるのは妾に任せよ! 一気に鱗を吹き飛ばす!」
マテリアルを帯びた刃を手に駆け出した紅薔薇に無数の光の剣閃が追従する。
それは彼女が通過した部分の鱗を吹き飛ばし、空に舞い上げていく。
「わおー。すごいすごい」
「もう十円どころじゃないですね!」
「感心している場合じゃないよ。弱点らしきものがないのなら、片っ端から攻撃面を増やしていくしかないんだから」
アルファスの言う通りだ。紅薔薇は背中の上を走りながら休まず剣を振り回し、剥がれた鱗にアルファスはデルタレイを連射する。
「この時の為に温存した攻撃だ……全弾持っていけ!」
イニシャライザーの影響もあり、敵の防御力は下がっている。また、喉を破壊され次の攻撃までのインターバルも長くなっている。
脆い肉質には攻撃がよく刺さり、肉がえぐれ血が吹き出す。悶える敵の動きを封じるのは、やはりメトロノームやアメリア、そして神楽だ。
「ひゃっは?! このままボコボコにしてやるっす!」
「まさか本当に倒せそう……!?」
「倒さなくては……ここで……」
ハンターらの一斉攻撃を受けたワームはしばらくは身悶え、新たな火炎弾を発射しようと準備動作をしていたが、結局それが叶うことはなかった。
地響きのようなうめき声のような声と同時に倒れこむと、ランがハンターらに声をかける。
「もうおっけーみたいだねー。ごろごろされても危ないし、飛び降りるよー」
次々に巨体を駆け下りるハンター達。身体のあちこちから漏れだした溶岩が固まり、グランドワームは巨石のように姿を変え、沈黙した。
高速で飛行するザッハークは、空中で横回転しつつレーザーを降り注がせる。
「これは……青龍の結界か。つくづく忌々しい……いつまでニンゲンを守るつもりなのだ」
イニシャライザーの効果範囲にワームが入っている事、そして砲撃体勢にある事もザッハークには理解できた。ならば狙うべきはこの戦況を作っているイニシャライザーである。
飛行してワームに向かおうとするが、そこへ先回りしたキヅカが銃撃を行う。
更にリリティアを乗せてきたザレムが銃で攻撃、更にそのバイクから跳躍したリリティアがザッハークへと斬りかかる。
「行かせませんよ。どれだけ強い欲であろうと、ここから奪えるものは何もない!」
「“強欲”……フン! そうあれかしとさせたものは、貴様らの都合であろう!」
空中で打ち合いながら落下する二人。弾き飛ばされたリリティアだが、先回りしたザレムのバイクの上に着地する。
「運転、お上手なんですね」
「機導術ですけどね……」
尾に集めたマテリアルをなぎ払うように放出する衝撃波で吹き飛ばされるハンター達。セレスティアはヒーリングスフィアで彼らを回復する。
「守護者たる龍がどれだけ命を賭して戦おうと、貴様らニンゲンは世界を壊すばかり……否。そんなニンゲンを許容するこの世界の自壊の念こそが、龍への最大の裏切りである!」
「人間だけが憎いわけじゃないのか……よッ!」
距離を詰め斬りかかるリュー。翼でそれを受けたザッハークは反撃の拳を叩き込む。
「ニンゲンという害悪! それを許す星の意志も即ち悪なり! たゆまぬ精霊の犠牲さえ一笑に付すものと知れ!」
「歪虚なのに……まるでこっちが悪者みたいに!」
傷を負ったリューにヒールを施すセレスティア。アルトは尾を跳んで回避し、飛び越えながらザッハークの顔を斬りつける。
「白龍も黒龍もヒトと最期まで共にあった。それをおまえが龍の代表のように語るのではな……!」
「強欲王メイルストロム様が証明したのだ。龍の在り方そのものが間違いであったとな!」
空中に舞い上がったザッハークは光の翼を広げ、大気中のに散る無数の光を集めていく。
「青龍の加護ごと、貴様らを吹き飛ばしてくれる!」
「狙いはイニシャライザーか……キヅカ!」
高度をとったのは近接攻撃に寄る妨害を警戒したから。膨大な熱量が収束し、太陽の如き輝きと共に巨大な魔法陣が空に広がる。
ウィンスの声を聞きながらバイクをイニシャライザー前で乗り捨てたキヅカは盾を構え、マテリアルを収束させる。
「間に合え!」
夜すら昼に反すような一縷の閃光は真っ直ぐにイニシャライザーを守るキヅカへと降り注ぐ。
「くそ! リクを死なせるかよォ!」
海斗とザレムが張った障壁も吹き飛び、キヅカの足下の結晶も溶け出す頃、ジェットブーツでソフィアが駆けつけ背中を支える。
「ここが大一番だ、気合入れろ!」
雄叫びを上げる二人の周囲に光の障壁が展開し、弾き散らしたレーザーが反転、一斉にザッハークへと襲いかかる。
「ブレスを弾き返すだと……グッ!?」
雷を纏った衝撃に怯むザッハーク。そのへフィルメリアが跳躍し、巨大化させた剣を打ち付けた。
落下するザッハークを前にウィンスは龍鉱石を空に投げ、それを槍で砕く。
青いマテリアル光が槍を覆うのを確認するより早く、強く大地を蹴った。
「上ッ――等だァァアアアアアアアア!!!」
「おまえの言ってる事なんかわけわかんねーよ! だから進むんだろ! 知る為によ!」
二人はマテリアルを纏うそれぞれの武器を光の鎧に叩きつける。
「お前の力は光だ! だったら水ではなく、闇の剣で!」
強力な攻撃を使った直後の行動阻害で光の鎧の強度は衰えている。更に龍の加護を受けた一撃とあれば、最早防御は不能。
ザッハークは胸に突き刺さる二人の攻撃をそのまま受け、代わりに左右の詰めで二人のハンターをそれぞれ貫いた。
「その隙、逃しません!」
傷にふらつくザッハークへ襲いかかるヴァルナ。攻撃を防ごうとするザッハークだが、そこへリリティアがワイヤーを絡ませウィンクする。
「貴様……!」
ヴァルナの剣がザッハークの左の翼を半分ほど切り落とすと同時、跳躍して舞い降りたアルトの刀が顔を鋭く斬りつけ、血飛沫が舞う。
咆哮と共に光の鎧を張り直すが、傷が癒えるわけではない。怒りに震えるザッハークが空へ舞い上がるのと、しかしグランドワームが撃破され、大地に倒れこむのはほぼ同時であった。
「嘆きと怒りから龍鉱石になってまで、なぜニンゲンを……唾棄すべき愚かしさぞ、元同胞よ……」
切断された翼も光で補える。一度眼下のハンター達をみやり、ザッハークは飛翔。北の空へと姿を消すのだった。
巨大な竜、グランドワームはハンターを意に介さず前進を続ける。
その一歩一歩が結晶の大地を揺るがし、巻き上げた雪が煙を成す。ザッハークは雄々しく翼を広げ、ハンターの前に立ち塞がった。
「これまでに何体もの王を退けたというその思い上がり、ここで私が正す!」
ザッハークは広げた翼に光を纏わせ舞い上がると、上空から無数の光線を放つ。
降り注ぐ無数の閃光は意志を持ち、ハンターひとりひとりを追尾し襲いかかった。
「この攻撃……まるでデルタレイだ!」
「にしちゃあ規模がハデすぎっぜ!」
閃光を回避するザレム・アズール(ka0878)に続き紫月・海斗(ka0788)が帽子を片手で抑えつつバイクのエンジンを唸らせる。
ハンター達の多くは高速戦を想定し騎乗状態にある。グランドワームに攻撃する為にはまずザッハークを突破し、追いつく必要もあった。
ザッハークの攻撃を掻い潜りグランドワームへ向かうハンター達を見れば、当然追撃をしてくる。そうして飛行するザッハークの周囲に、間もなく対応班が包囲網を敷いた。
「包囲攻撃で追撃を阻止します!」
バイク上から叫びつつライフルを放つキヅカ・リク(ka0038)。しかしザッハークは翼に纏った光で銃弾を物ともせず、反撃のレーザーを発射する。
「くそっ! 降りてこねーじゃねぇか!」
「この位置からでは、近接武器で攻撃できませんね……リューくん!」
降り注ぐ光を盾を構えるセレスティア(ka2691)。リュー・グランフェスト(ka2419)も手にした剣で閃光を一閃する。
「……飛びながら攻撃して来やがるか……いや、まだ……」
「流石に一方的に攻撃される状態が長続きするのは良くないな。どう動く?」
ザッハークを観察しつつ一人で呟くウィンス・デイランダール(ka0039)。アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)が頭上のザッハークを睨みながら声をかけると、ソフィア =リリィホルム(ka2383)は唇をぺろりと舐め。
「要は引きずり下ろしちまえばいいんだろ!? そっちが来ないなら……こっちから行ってやるよ!」
バイクで前に出たソフィアに続き、フィルメリア・クリスティア(ka3380)も馬を前に出す。
二人は左右から同時にジェットブーツで跳躍。更に剣を巨大化させ、ザッハークへと振り下ろした。
「左右同時攻撃なら……!」
左右の刃をザッハークは両手に光の爪を作り受け止める。だが質量に負け、弾き飛ばされるようにして高度を大きく下げた。
「フン……翼も持たぬ分際で」
落下しながらザッハークはレーザーを放つが、ザレムと海斗が作った障壁で減衰。二人は防御に成功する。
「翼さえ破壊すれば、機動力を奪う事ができます……!」
「わかってます!」
回り込みながら銃撃するキヅカ。更に落下地点に駆けつけたヴァルナ=エリゴス(ka2651)が大剣を翼に叩きつけるが、刃はザッハークに届かない。
「なんという強度……」
一撃打ち込んだ後、走り過ぎる馬上から振り返るヴァルナの前髪が揺れる。
ザッハークは問題なく着地した後後方を見やるが、既にハンターの一部はグランドワームへと走り去った後だ。
「我らの分断を謀るか……愚かな。死出の順序の問題だとわからぬか」
「うわ、大きいなぁ……これは生身でどうにかするサイズじゃないよね……」
馬でグランドワームを追走するアメリア・フォーサイス(ka4111)が自信なさ気に溜息を零すと同時、メトロノーム・ソングライト(ka1267)の馬が嘶いた。
「怖い思いをさせてしまってごめんなさい……でも、今は……」
「奴はまだこちらに感心を持っていません。今のうちに攻撃位置に着きましょう」
アルファス(ka3312)の言う通り、グランドワームはただひたすらに全力で前進を続けるだけで、ハンターは眼中にないようだ。
ならば幸いと彼らが向かったのはグランドワームの右側。まずは前足を破壊する手筈になっている。
「先制攻撃行くっすよ! 巻き込まれないように注意するっす!」
バイクを唸らせ前に出た神楽(ka2032)はギガースアックスをワームの腹に叩き込む。かなりの威力……だが、ダメージを与えられた様子がない。
「げっ、微動だにせずっすか!?」
「あはは。まあ、サイズを考えればそうだろうけどねー」
槍を手にしたラン・ヴィンダールヴ(ka0109)が続いて穂先を繰り出すも、金属を弾くような音が鳴り響く。
「わー。かっちかちだー」
アルファスは拳銃にマテリアルを集め、デルタレイを連射する。着弾し炸裂するマテリアル光は見えるが、打撃はいかほどか。
「効いてないわけじゃなかろうし、今は攻撃あるのみだ」
手にした手裏剣を束ねて投げつけるイブリス・アリア(ka3359)。続いて紅薔薇(ka4766)が刃を叩きつけるが、火花が散るばかりで鱗は砕けない。
「なんと……妾の剣で絶てぬか。世界はまだまだ広いのう……」
「いや、どうやら効果はあるようだよ。こちらを認識し、動き出したらしい」
上空に飛ばしたイヌワシの目を借りたリュカ(ka3828)がワームの挙動の変化を察知する。
ワームは一度動きを止め大きく右足を振り上げると、これを薙ぎ払うように大きく振るった。
「範囲が広すぎる……相手が動いている時は避けに徹しろ!」
イブリスの声が響く中、何人かのハンターが衝撃で転倒する。だがワームはそれだけで、引き続き前進を優先とする。
「傷を負った人は直ぐに私の側へ……来られないようであればこちらから出向くだけだがね」
攻撃には参加せず、回復に徹するクローディオ・シャール(ka0030)のヒールが倒れたハンターらの傷を癒やす。
少し体勢を崩している間にもワームはぐんぐん前に進む。この巨大な敵を倒すには、やはりそれぞれの役割を明確にする必要があった。
●その鎧を討て
「ザッハーク! 人間が奪ったってのは何の事だ!」
馬上から転がり落ちたリューは二本の剣を抜き、ザッハークへと斬りかかる。
「文字通りの意味よ。貴様らニンゲンは、この世の全てを奪い、破壊する!」
左右の手で剣を受け止め、口に光を集める……ブレスの予備動作だ。そこへヴァルナが駆けつけ、側面から頭部に剣を突き入れる。
しかし顔は光の鎧で覆われていた。更にセレスティアが駆け寄り背後からハンマーで打つが、ブレスを止められない。
リューは左右の剣を手放し、屈んでブレスを回避。それでも身体は焼かれたが、キヅカの障壁が守ってくれた。
「リューくん!」
旋回する馬上からセレスティアが投げたハンマーを受け取り、それでザッハークの腕をリューが打つと、モルドゥールが空を舞った。
「確かに私達は、白龍や黒龍の命と引き換えに今を生きている……だからこそ、彼らの愛した世界を守る事が恩返しになる……!」
素早く懐に飛び込んだアルトの斬撃がザッハークの胸を切り裂くが、そこには更に鎧が出現していた。
ザッハークの全身を鎧が包み込むと、吼えると同時に爪でハンター達を薙ぎ払う。
「人に文句があるなら、今ここで言ってみろ……聞いてやる!」
「世界を守るか……それは確かに気高い事だろうが、貴様らは悪に染まりやすすぎる!」
広げた翼から無数の光が空に舞い上がり、一気に降り注ぐ。アルトはバック転しつつ回避、そこへソフィアが巨大化させた剣を叩きつける。
「幾ら頑丈ったって、いつまでも耐えられるかよ!」
「おら、撃て撃て! 撃っちまえ!」
海斗に続きキヅカ、ザレムも銃撃を繰り出す。ソフィアを蹴り上げたザッハークがそのまま光を纏った踵を振り下ろすと、光の衝撃波が飛翔し海斗達を襲う。
「鎧を展開した状態でガンガンぶっ放して来やがる……攻めが足りねぇってか?」
疾走する馬上でくるりと回した槍を構え直し突貫するウィンス。すれ違い様に突き込むが、やはり鎧を砕けない。
(攻防に使うあのマテリアルを操作する能力……無尽蔵とは思えねぇが……)
「貴様らニンゲンは神が……世界の過ちが作ってしまった星の癌。唯一この世の命にして、元より闇を抱えし存在。逃れられぬ血のさだめよ!」
薙ぎ払うように放出したブレスが雪を蒸発させ、大地を吹き飛ばす。広範囲の攻撃にそれぞれダメージを受けつつ、ハンターは攻撃の手を休ませない。
しかしザッハークはそれらの攻撃を物ともせずに接近し、強引に爪を振るう。これをフィルメリアは剣を構え、障壁を展開して受けた。
「ぬ……!?」
攻性防壁の効果で大地の上をノックバックするザッハークの背後へ回り込み、ウィンスが槍を繰り出すと、今度は穂先が鎧へ食い込んだ。
崩れた鎧は直ぐに元に戻ってしまったが、先ほどまで通じなかった攻撃が確かに効果を見せたのだ。
「成る程な……カウンターか」
ザッハークの攻防の起点となる光を結晶化する力。これはやはり無尽蔵ではない。
持っているその力を攻撃と防御に割り振って戦闘しているのだ。故に、攻撃直後には防御が手薄になり、守った直後の攻撃は衰える。
もちろん、その隙は本当に僅かなものだ。一対一で戦っていては付け入るには至らない程度の隙だろう。だが……。
「大まかには予想通りって事か。同時に使えるってのも、まあ……むしろ上等だ……!」
槍を背後へ跳んでかわすザッハーク、その尾に巻き付いたワイヤーはリリティア・オルベール(ka3054)のものだ。
「ふぅ……嫌になっちゃいますねぇ。皆していきなり全力疾走するんですもの……でも、捉えましたよ?」
ピンと伸びた尾へ跳びかかったのはソフィアだ。振り下ろした刃では尾は切断できなかったが、それはつまり尾に力が集まっているという事。
更に背後からフィルメリアが斬りつけ、キヅカ、ザレムが銃撃を加える。正面から距離を詰めたヴァルナは繰り出される爪を剣で弾き返す刃で腹を斬りつけ、アルトは腕を掻い潜り、胸に刃を突き刺す。
「鎧の展開が間に合っていないみたいだ」
「つーかアレなんなの? マテリアルなのか? だったらこういうのはどうだ!」
海斗は機導砲で攻撃を行うが、これといって特別な効果は見当たらない。
「別にこちらのマテリアルを利用しているとか、こちらの攻撃で鎧が干渉を受けるようなことはないみたいですね」
「だな。解説どうも」
ザレムの言葉に肩を竦める海斗。そのまま銃を構え。
「なぁおい、ザッハークとか言ったな。なんでガルドの旦那……ガルドブルムは来ない? 同じ強欲だろ?」
「同じ種に属していても、誇りの有無に違いはあろう。その名……私の前で軽々しく口にしないことだ」
「なーんだ、やっぱり仲悪いのか。オメェら性格合わなそーだもんな」
鼻で笑う海斗に掌を翳し光を収束させるザッハークだが、光弾は放つ前にリリティアのワイヤーが巻きつき、射角がずらされる。
「名を持つ竜には逃げられてばっかりですが……ま、精々尻尾を巻いて逃げ帰っていただくようでないと、私としても面白くないのです」
更にハンターが一斉に襲いかかると、その刃を抜けるようにザッハークは上空へ飛翔。光の翼を広げ、グランドワームの方角へ加速する。
「ま、そりゃ追うよね……! 逃がさないように包囲陣計を組みつつ追跡するよ!」
バイクを走らせるキヅカ。移動してくれるのは悪いことばかりではない。
せいぜい自由にさせないように追撃しつつ、目的地に誘導するだけだ。
グランドワームの鱗は頑丈で、移動の足は止まらない。攻撃は継続するが、それ以外の手も必要だった。
「攻撃の為にも、まずは動きを止めなければ……!」
夜桜 奏音(ka5754)が馬上で符を取りマテリアルを輝かせると、ワームの前足が踏み込む足場が泥のように沈み、固まっていく。
これが一瞬敵の動きを止めた。するとアウレール・V・ブラオラント(ka2531)の読み通り、敵はゆっくりと顔を振り返らせる。
「やはり動きが止まればブレスが来るか……散開しろ!」
ワームの口内から赤熱した光がドロドロとあふれだす。メトロノームがそこへブリザードを放つと、ワームの口周りの溶岩が固まった。
それで勢いが弱まっても、飛散する溶岩の雨はハンター達へと降り注ぐ。範囲は圧倒的に広く、とても避けきれるものではない。
「ごめんなさい、エクレ……もう少しだけ、頑張って……」
溶岩の影響は主に馬に乗る者達に齎された。馬にも溶岩が付着すれば当然騒ぐし、中には倒れる者もいる。
そうした者達がすぐに立て直せたのは、クローディオが直ぐに治療を施したからだ。特に彼がいなければ馬の方が駄目になり、戦線離脱する者もきっと多かっただろう。
「もしかして、凍結させるのが効いてる……? なら……!」
アメリアが発射した弾丸は光を放ち、前足に着弾すると凍結させていく。更にナナセ・ウルヴァナ(ka5497)も冷気を帯びた矢を放ち協力する。
「んんー……? やっぱり凍結攻撃、効いてますね!」
敵の攻撃から素早く立ち直ったアウレールは凍結した前足の鱗に槍を突き立てる。すると、そこから大きく亀裂が走った。
「よっしゃ、ぶっ壊すっす!」
入れ違いに飛び込んだ神楽が大斧をなぎ払うと、亀裂から一気にめくれるようにして鱗が吹き飛んだ。
「攻撃を集中し鱗を剥がす……十円ハゲ作戦とはのう」
「鱗がないなら危険冒して近接攻撃する必要もねぇ。後は俺達で前足を潰す」
イブリスの言葉に頷き、紅薔薇は速度を落として後ろ足へ向かう。
アルファスのデルタレイがむき出しになった前足に着弾し血が飛び散ると、効果の上昇を誰もが確信した。
「当然、こっちに目を向けてくるわな」
加速し、ワームの顔付近へ向かうイブリス。ワームは移動を続けながらも大きく咆哮を上げ、再び溶岩を吐き出す。
これにメトロノームはブリザードを放ち、空中で溶岩を岩石に変える。その方がイブリスも避けやすいし、なんなら武器でも弾ける。
「気をつけろよメトロノーム。助かるが、この辺は危険だからな」
「はい……承知しています」
絶え間なく移動を続ける両足を近接攻撃するには、やはり奏音が動きを止めた瞬間が効率的だ。
その為にはまず遠距離攻撃でダメージを蓄積させるのが正解であり、その為にアメリアとナナセの凍結弾が役に立つ。
「見た目からじゃ全然弱点が見つかりませんけど、とりあえず妨害攻撃は効いてるみたいですね!」
「そもそもこれって、内臓とかあるのかな……」
「う?ん……見た感じないっぽいです! 変な生き物ですよね……」
ナナセの元気な返事に苦笑を浮かべるアメリア。骨はあると思うが、残りは皮と筋繊維だけと言われても納得する。 リュカの弓で攻撃を続ける中、再び奏音の地縛符が発動。敵の足が止まると、接近した紅薔薇が目にも留まらぬ連続攻撃を繰り出し、鱗を粉砕する。
「うむ……格段に壊しやすいの!」
「次は左側を頼む! こちらの足は私達で潰しておく!」
アウレールの言葉に頷いた紅薔薇が後退し左へ回りこむ。そんな中、奏音は符を手に目を閉じていた。
「……どうやらこの先、イニシャライザーが展開されているようです。配置は横一列に広く取られているので、大きな誘導はなくとも確実に通過するはずです」
「そっかー。じゃ、それまでに出来るだけダメージを与えておかないとねー」
広くイニシャライザーが配置されているのなら誘導は楽だが、複数が大きく重なった効果を得られるわけではない。
ならば今の段階から可能な限り攻撃を続けておく事が、後々の保険となるだろう。
「あれは……ザッハーク? 追いついて来たのか」
順調にワームの右後ろ足も破壊に成功したハンター達。そこへザッハークが接近するのをリュカが感知する。
「いや、むしろ好都合だ。あちらは他のハンターが抑えているし……」
「このまま前進すれば、間もなくイニシャライザーの効果範囲に入ります」
アルファスの言葉に奏音が続ける。イニシャライザーの効果範囲に入れば敵の動きは鈍り、鱗の頑丈さも弱まるというもの。
ハンターに足を潰され移動性能は下がったが、持ち前の愚鈍さで留まること無く突進を続けるワームは、いよいよイニシャライザーの範囲内に足を踏み入れた。
すると青白い光が一瞬空間に瞬き、目に見えてワームの挙動が緩まる。が、同時にワームの挙動、進行方向が僅かに変わった。
「この距離から砲撃するつもりか……!?」
舌打ちするアウレール。巨竜は咆哮をあげ、削岩機のような頭部を大地にめり込ませる。
溶岩と岩石を混ぜあわせて作る火炎弾。その準備動作であった。
●分かたれた守護者たち
岩石と溶岩により体内で生成された火炎弾は、未だずっと遠くにあるカム・ラディ遺跡へと放たれた。
爆炎が遠くで上がるも、それは龍鱗結界を破壊するには至らない。
「かといって放置ってわけにも行かないっすよね?」
「神楽、奴の頭部を攻撃し注意を引くぞ! 私に続け!」
「じゃー、僕達は予定通りー」
「十円ハゲ作戦じゃ!」
神楽とアウレールが頭部方向へ移動する中、奏音は再び左足を地縛符で封じ、前衛が駆け上がりやすい状況を作り自らもそれに続く。
「ザッハークは無事に抑えられている……では、あとはこちらの問題だな」
「私は背中に向かって、鱗の破壊を手伝ってきます!」
「では、私達は頭部へ向かう。アメリアもそれで構わないな?」
「あ、はい。どっちみち、アレに登るのはちょっと……」
馬から降りたナナセがワームを駆け上がる。一方、リュカとアメリアは前方へ。弓と銃でそれぞれ攻撃を行う。
「私の魔法だけでは砲撃を止められません……どうすれば……」
ブリザードで妨害を試みるメトロノーム。そこへアメリアが駆けつけ、凍結弾を追加する。
「私もお手伝いしますから!」 第二射の為再び岩石を貯めこむワーム。そこへ神楽が跳びかかり斧を叩きつけ、イブリスが手裏剣を投擲する。
凍結の効果もあるのか、攻撃を中断しワームはハンターを見やると、おもむろに巨大な口を開き襲いかかった。
「イブリス!」
「俺は大丈夫だ!」
駆けつけようとするクローディオの伸ばした腕は届かず、イブリスはワームに飲み込まれてしまう。
「いやいやいや大丈夫じゃないっすよね!?」
「考えがあるのだろう。それより力を貸して欲しい! 奴の喉を吹き飛ばすぞ!」
青ざめる神楽。アウレールは腕を振るい近場の仲間に声をかける。
メトロノームがアイスボルトで、アメリアが凍結弾で喉を攻撃する中、アウレールはバイクのエンジンを唸らせる。
「本当にいいんすか? もったいない……」
「いいから撃て、神楽!」
ワームに向かって走らせるバイクからアウレールが飛び降りると、神楽が銃撃でバイクを攻撃する。
破壊されたマテリアルエンジンが爆発を起こすと、凍結していたワームの鱗が砕け散る。更にその内側が突如切り裂かれ、イブリスが姿を見せた。
「へ……内側から切り裂いてやった……ぜ」
しかしそれで余力を失ったのか倒れこむ。そもそも高温の体内に入ったせいで全身に重度の火傷を追っていた。
暴れる喉から溢れる溶岩から彼を救いだしたのはクローディオ。馬上から倒れているイブリスの腕を掴み、強引に溶岩から引き離しヒールを施す。
「無茶が過ぎるぞ!」
ワームは本来拠点攻撃に使う筈の火炎を足下のハンター達へ向ける。思わず悲鳴を上げるアメリア、馬を庇う用にぎゅっと抱くメトロノーム。そんな女性を背に、アウレールは槍を構える。
「もっと後ろに下がれ!」
流れ込む溶岩を前に、マテリアルを込めた槍で薙ぎ払うアウレール。その背後に出来た隙間から仲間が離脱するが、アウレールは全身に溶岩を浴びてしまう。
「アウレール!」
叫ぶ神楽。クローディオは迷わず馬上から飛び降りると、盾を構えてアウレールへと駆けつける。
熱された鎧を掴み、盾を構えながら後退。アウレールへとヒールを施した。
「……この腕のお陰で命を救えるとはな」
義手でなければ溶岩で熱されたアウレールの鎧など掴めるはずもなかった。奇妙な幸運になんとも言えない表情になる。
一方、暴れだしたワームの背中でよろけながらナナセが凍結矢を打ち込み、アルファスが火炎で鱗を焼く。
冷やして燃やすというのが良かったのか、直ぐに鱗は弱まった。そこへ奏音が五色光符陣で吹き飛ばし、ランが槍を突き立てる。
「鱗は砕けたけど……うーん? なんかこの竜、弱点っぽいところないよね?」
「たぶん本当に生物として単純な機構しかないんですよ」
ランのコメントに同意するナナセ。紅薔薇は刃を抜き、仲間を腕で制する。
「一箇所穴が空いたなら、広げるのは妾に任せよ! 一気に鱗を吹き飛ばす!」
マテリアルを帯びた刃を手に駆け出した紅薔薇に無数の光の剣閃が追従する。
それは彼女が通過した部分の鱗を吹き飛ばし、空に舞い上げていく。
「わおー。すごいすごい」
「もう十円どころじゃないですね!」
「感心している場合じゃないよ。弱点らしきものがないのなら、片っ端から攻撃面を増やしていくしかないんだから」
アルファスの言う通りだ。紅薔薇は背中の上を走りながら休まず剣を振り回し、剥がれた鱗にアルファスはデルタレイを連射する。
「この時の為に温存した攻撃だ……全弾持っていけ!」
イニシャライザーの影響もあり、敵の防御力は下がっている。また、喉を破壊され次の攻撃までのインターバルも長くなっている。
脆い肉質には攻撃がよく刺さり、肉がえぐれ血が吹き出す。悶える敵の動きを封じるのは、やはりメトロノームやアメリア、そして神楽だ。
「ひゃっは?! このままボコボコにしてやるっす!」
「まさか本当に倒せそう……!?」
「倒さなくては……ここで……」
ハンターらの一斉攻撃を受けたワームはしばらくは身悶え、新たな火炎弾を発射しようと準備動作をしていたが、結局それが叶うことはなかった。
地響きのようなうめき声のような声と同時に倒れこむと、ランがハンターらに声をかける。
「もうおっけーみたいだねー。ごろごろされても危ないし、飛び降りるよー」
次々に巨体を駆け下りるハンター達。身体のあちこちから漏れだした溶岩が固まり、グランドワームは巨石のように姿を変え、沈黙した。
高速で飛行するザッハークは、空中で横回転しつつレーザーを降り注がせる。
「これは……青龍の結界か。つくづく忌々しい……いつまでニンゲンを守るつもりなのだ」
イニシャライザーの効果範囲にワームが入っている事、そして砲撃体勢にある事もザッハークには理解できた。ならば狙うべきはこの戦況を作っているイニシャライザーである。
飛行してワームに向かおうとするが、そこへ先回りしたキヅカが銃撃を行う。
更にリリティアを乗せてきたザレムが銃で攻撃、更にそのバイクから跳躍したリリティアがザッハークへと斬りかかる。
「行かせませんよ。どれだけ強い欲であろうと、ここから奪えるものは何もない!」
「“強欲”……フン! そうあれかしとさせたものは、貴様らの都合であろう!」
空中で打ち合いながら落下する二人。弾き飛ばされたリリティアだが、先回りしたザレムのバイクの上に着地する。
「運転、お上手なんですね」
「機導術ですけどね……」
尾に集めたマテリアルをなぎ払うように放出する衝撃波で吹き飛ばされるハンター達。セレスティアはヒーリングスフィアで彼らを回復する。
「守護者たる龍がどれだけ命を賭して戦おうと、貴様らニンゲンは世界を壊すばかり……否。そんなニンゲンを許容するこの世界の自壊の念こそが、龍への最大の裏切りである!」
「人間だけが憎いわけじゃないのか……よッ!」
距離を詰め斬りかかるリュー。翼でそれを受けたザッハークは反撃の拳を叩き込む。
「ニンゲンという害悪! それを許す星の意志も即ち悪なり! たゆまぬ精霊の犠牲さえ一笑に付すものと知れ!」
「歪虚なのに……まるでこっちが悪者みたいに!」
傷を負ったリューにヒールを施すセレスティア。アルトは尾を跳んで回避し、飛び越えながらザッハークの顔を斬りつける。
「白龍も黒龍もヒトと最期まで共にあった。それをおまえが龍の代表のように語るのではな……!」
「強欲王メイルストロム様が証明したのだ。龍の在り方そのものが間違いであったとな!」
空中に舞い上がったザッハークは光の翼を広げ、大気中のに散る無数の光を集めていく。
「青龍の加護ごと、貴様らを吹き飛ばしてくれる!」
「狙いはイニシャライザーか……キヅカ!」
高度をとったのは近接攻撃に寄る妨害を警戒したから。膨大な熱量が収束し、太陽の如き輝きと共に巨大な魔法陣が空に広がる。
ウィンスの声を聞きながらバイクをイニシャライザー前で乗り捨てたキヅカは盾を構え、マテリアルを収束させる。
「間に合え!」
夜すら昼に反すような一縷の閃光は真っ直ぐにイニシャライザーを守るキヅカへと降り注ぐ。
「くそ! リクを死なせるかよォ!」
海斗とザレムが張った障壁も吹き飛び、キヅカの足下の結晶も溶け出す頃、ジェットブーツでソフィアが駆けつけ背中を支える。
「ここが大一番だ、気合入れろ!」
雄叫びを上げる二人の周囲に光の障壁が展開し、弾き散らしたレーザーが反転、一斉にザッハークへと襲いかかる。
「ブレスを弾き返すだと……グッ!?」
雷を纏った衝撃に怯むザッハーク。そのへフィルメリアが跳躍し、巨大化させた剣を打ち付けた。
落下するザッハークを前にウィンスは龍鉱石を空に投げ、それを槍で砕く。
青いマテリアル光が槍を覆うのを確認するより早く、強く大地を蹴った。
「上ッ――等だァァアアアアアアアア!!!」
「おまえの言ってる事なんかわけわかんねーよ! だから進むんだろ! 知る為によ!」
二人はマテリアルを纏うそれぞれの武器を光の鎧に叩きつける。
「お前の力は光だ! だったら水ではなく、闇の剣で!」
強力な攻撃を使った直後の行動阻害で光の鎧の強度は衰えている。更に龍の加護を受けた一撃とあれば、最早防御は不能。
ザッハークは胸に突き刺さる二人の攻撃をそのまま受け、代わりに左右の詰めで二人のハンターをそれぞれ貫いた。
「その隙、逃しません!」
傷にふらつくザッハークへ襲いかかるヴァルナ。攻撃を防ごうとするザッハークだが、そこへリリティアがワイヤーを絡ませウィンクする。
「貴様……!」
ヴァルナの剣がザッハークの左の翼を半分ほど切り落とすと同時、跳躍して舞い降りたアルトの刀が顔を鋭く斬りつけ、血飛沫が舞う。
咆哮と共に光の鎧を張り直すが、傷が癒えるわけではない。怒りに震えるザッハークが空へ舞い上がるのと、しかしグランドワームが撃破され、大地に倒れこむのはほぼ同時であった。
「嘆きと怒りから龍鉱石になってまで、なぜニンゲンを……唾棄すべき愚かしさぞ、元同胞よ……」
切断された翼も光で補える。一度眼下のハンター達をみやり、ザッハークは飛翔。北の空へと姿を消すのだった。
- 1.グランドワーム撃退A
- 2.グランドワーム撃退B
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