ネレイド村の一日

マスター:とりる

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
3~10人
サポート
0~10人
マテリアルリンク
報酬
無し
相談期間
5日
締切
2018/04/24 12:00
完成日
2018/04/29 01:36

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 ある日のネレイド村――。
 そろそろ春も半ばで大分暖かくなってくる時期である。

 族長の家にて。
「すぴー」
「ミサキ様、起きてください。朝ですよ」
「むにゃむにゃ」
「ミサキ様、起きてください。お仕事の時間ですよ」
「もう食べられないよぅ」
「ミサキ様! もう朝です! 寝坊ですよ!!」
 気持ち良さそうに爆睡するミサキの耳元でヴァインが怒鳴った。
 ついでにミサキの掛け布団も引き剥がす。
「わあああ!? ……って、ヴァインか。なんだよもぅ、乱暴な起こし方だなぁ。ふあぁ~」
 大声で飛び起きたミサキは欠伸をしながら敷布団の上に座り込む。
「当に起床時間を過ぎています」
「だって昨日遅くまで部族会議に提出する戦闘記録とかを纏めてたんだもん」
「それは寝坊の理由になりません。ミサキ様は族長なのですから当然の職務です。早く着替えて朝食を召し上がってください」
「……『春眠暁を覚えず』という言葉があるらしくてね。もうちょい二度寝を……」
「ダメです」
「即答!? ひどい!」

 ***

 ミサキ、ヴァインと食事中……。
「そういえば最近観光客が増えて来たねー」
 焼き魚をもっしゃもっしゃと食べ、飲みこんでからミサキが言った。
「暖かくなって来ましたからね。良い傾向です。この調子で、もっと人を呼びこまねば」
「観光客とは少しずれるけど、新しく建てた銭湯も好評だねー」
「リアルブルーのニッポンの伝統資料を参考にして建設した入浴施設ですね」
「うん、なかなかテミスまでは足が伸びないし、大きいお風呂ってやっぱり寛げるよ♪」
「それには同意です。ミサキ様の提案、お見事でした」
「えへへー。……あ、そうだ。まだ銭湯のことハンターさん達に紹介してないや。それにしばらく会ってないよね」
「そうですね。戦闘任務でも我々ネレイド族戦闘部隊が単独で行うことが多かったですし」
「それならさ、お祭りじゃないけど、『ネレイド村一日体験』とかでハンターさん達を招待できないかな?」
 ミサキの提案にヴァインは頷く。
「良いと思います。ハンターが来ることで一般人の目も引くでしょうし」
「やった! じゃあヴァイン、手配のほうよろしくね」
「承知しました。……ミサキ様は遊びたいなら早くお仕事を片付けてください」
「うぅ……わかったよぅ」

 そんなこんなで、ネレイド村にハンターを招待して一日自由に過ごしてもらうこととなった。

リプレイ本文


 ミサキ・ネレイド(kz0079)発案の『ネレイド村一日体験』ということで、やって来ました仲良しエルフ三姉妹。
 大人の色気たっぷりの長女、フローレンス・レインフォード(ka0443)。
 元気いっぱいの次女、ネフィリア・レインフォード(ka0444)。
 小柄で幼い容姿に豊満なボディの三女、ブリス・レインフォード(ka0445)である。

 族長の家――。

「ミサキちゃん、皆で遊びに来たのだー♪ あーそーぼー♪」
「やほー久しぶりネフィちゃん! もちろんいいよー♪」
 姉妹を連れて遊びに来たネフィと、ミサキは再会のハグを交わす。

「あぁ、此処に来ると本当に癒やされるわね」
 フローレンスは元気良く挨拶するネフィを微笑ましく眺めながらブリスを撫でる。
 今回ものんびりできたら良いな、と思う。
「ここに来るのも、しばらくぶり。お世話に、なります」
 ブリスはフローレンスに寄り添いつつ、ぺこりと頭を下げる。

 それから三姉妹はミサキの案内で浜辺へ。

 ***

 三姉妹は、まだ海水浴のシーズンではないが海で遊びたいということで砂浜で砂遊び。

 フローレンスは持参した水着、青白縞柄のマイクロビキニに着替え済み。色々大変な見た目になっている……。
 しかし本人は全然気にせず、妹達との砂浜遊びや、この後の銭湯を楽しむ構えだ。
 基本的には、妹達と一緒に一日中とことん遊び尽くす方針。
「ネフィ。楽しむのは良いのだけど、気をつけるのよ?」
「わかったのだーフロー姉♪」
 ネフィリアは濡れても良いようにタンクトップシャツと短パンという格好。
 砂浜でミサキとかけっこして遊んだり、波打ち際で楽しんだり。
「食べ物が気になるけどその前に運動なのだ♪」

「折角だし、水着着てく」
 ブリスは濃紺のワンピース水着。いわゆるスク水。ちなみにミサキもスク水姿だ。
「今回は、胸に余裕あるヤツにしたけど……他が、あんまりフィットしない感じ……」
 ロリ巨乳にはロリ巨乳の悩みがあるらしい。
「あと……やっぱり、まだ少し寒い、かも」
 そんなわけでブリスはフローレンスぴったりとくっ付いている。
「ブリス。貴女も、私にべったりではなくてネフィと一緒に遊んで来なさい」
「はい……フロー姉様」
 フローレンスに促されたブリスはネフィとミサキに混ざり、波打ち際で砂山を作ったり、追いかけっこしたり。
 その際、どさくさに紛れてネフィに抱き付き、スキンシップ。

 可能なら水の掛けっこも~と考えていたネフィ。
「んー……えいや♪ 泳ぐには早いけど、水掛けくらいなら大丈夫そうかな?」
 水に手を入れた感じ大丈夫そうだったので、ブリスやミサキにばっしゃあ!
「……やっぱり、冷たい……」
「まだ早いよーネフィちゃん」
 びしょ濡れの二人から抗議の声。
「あらあら、まったくもう、あの娘達ったら……!」
 その様子を眺めていたフローレンスは慌ててタオルを持ち、駆け寄る。

 ***

 簡易シャワー室でしっかりと砂を洗い流し、水着や服もスタッフに洗濯をお願いした四人は海鮮居酒屋へやって来た。

 四人の中で唯一成人判定のフローレンスはさっそくお酒を注文し、ちびちびやっている。
「んん~……こういうところで飲むお酒も、良いものね」

 ネフィの目標はお店のメニュー制覇。右端から左端まで食べるつもり。
「美味しいご飯は一杯食べられるのだ♪ でも腹八分目の方がいいのかな? かな?」
「せっかく食べ放題なんだしたくさん食べなよ。あ、でも無理はダメね。お風呂上がりにコーヒー牛乳飲むんでしょ?」
 と、ネフィとミサキは楽しくお喋りしつつ食事。

 少し頬が赤らんだフローレンスから始まり、
「ほら、二人共。これ、美味しいわよ? はい、あーんっ」
「フロー姉、こっちの料理美味しいよー♪ あ、ブリスちゃん、これ美味しいから食べさせて上げるのだ♪ はい、あーん♪」
「フロー姉様、ネフィ姉様……はい、あ~んv」
 といった感じに三姉妹は仲良く食べさせ合う。

「ミサキも、良かったら……食べる?」
 ブリスはミサキにも食べさせようと。
「あ、いいの? いただきまーす♪」
 ミサキのお口に赤身魚のお刺身をシュー!

 ブリスはネフィほどではないがけっこうな量をもぐもぐ。
「……ネフィ姉様のお料理ほどじゃない、けど、美味しい。もう少し、食べたいかも」
 新鮮な海鮮料理に舌鼓を打つ。

 ***

 お腹いっぱいになったら、いよいよ銭湯である。
 ネフィ以外の三人は洗濯の済んだ水着に再び着替え、風呂場に移動。
 洗い場で背中を流し、湯船へ。

 フローレンスは……先程と同様にきわどいマイクロビキニ姿……。
 豊満な肉体を惜しげもなく披露している……。これには居合わせた青少年の目の毒。
 だがやはりフローレンスはまったく気にせず。お酒も入っているので余計に大胆に。

 ネフィは裸で入りたかったがダメなのでちょっと残念そう……。
 仕方がないので動きやすい、これまた姉に似たのか布面積が極小のビキニ姿。
「むぅ、水着は邪魔だと思うんだけど、着ないとダメならしょうがないのだ」

 スク水姿のブリスはフローレンスへ視線を向ける男性達へ睨みを利かせつつ、湯船に浸かりながら姉達に擦り付いたり抱きついたり。

 肩までしっかり浸かって一日の疲れを癒やすネフィ。隣にはミサキの姿。
「ミサキちゃん、お仕事で肩とか凝ってないかな? かな? マッサージしてあげるのだー♪」
「ん? それならお願いしようかな。書類仕事多いんだよね~」
 ぎゅ~と抱き付いてから、肩やら色々マッサージ。もみもみ。(揉んでいるのは肩や腰です)

 ブリスは姉と共に身体を洗う際、お互いに洗いっこする。
 どさくさ紛れに身体をぺたぺた触ったり身体をすりすりしたり。
(ネフィ姉様の細くてしなやかな身体も。フロー姉様のむちむち柔らかな身体も。隅から隅まで、ブリスが綺麗にしてあげる……うふふふ……♪)
 目がヤバい感じのブリス。『ヤンデレ☆ブリス』発動である。
 ……水着を着ているので健全です! たぶん!


 お次は『両手に華』状態でネレイド村にやって来た葛音 水月(ka1895)。
 左右の手にはルネ(ka4202)と金糸雀(ka6409)の手が握られている……。
「最近銭湯が増えたらしいんだけど、二人は銭湯って知ってます?」
 二人は「聞いたことは、あるーかも?」「私もその程度です」と答えた。

 そんな三人の人間模様を紹介しよう。
 まずルネ。本人曰く、かなりー(金糸雀)は友人。みず、きー(水月)は保護者兼兄兼『すきなひと』。
 次は金糸雀。『水月:安心できる異性で好き』『ルネ:妹的存在で好き』。
 ――ということらしい。

(普段は恥ずかしがり屋のかなりーが、みず、きーと気兼ねなくお喋りできるように色々おせっかいしないと!)
 ルネはこのように意気込み、
「んと、ルネちゃんと水月さんが居るから、楽しみです♪」
 金糸雀はるんるん気分であった。

 ***

 銭湯――。

(こっちの世界で銭湯に入るなんて、なんだか懐かしいようなちょっと変な感じだ)
 クリムゾンウェストで入る銭湯に懐かしさと、水着着用必須の違和感を覚えつつ、水月は微笑む。
 手早く着替えを済ませてお風呂場で待つ。日本の銭湯とネレイドの銭湯の差異を探し、楽しみながらルネと金糸雀の二人を待つ。
(この水着でお風呂って日本では経験無かったけど……役得なとこではあるよね)

 ***

 女性用脱衣場――。

 濃紺のスクール水着姿のルネ。お風呂では――
(みず、きーに、ちょびっと背伸びした『らぶ』を物理的にもどんどんぶつけるのだ……!)
 と、意気込み中。

 金糸雀はフレアワイヤービキニ姿。新しい水着を着てみて変じゃないかしっかり確認。
 そして着替えを終えた二人は水月の待つ風呂場へ。

 ***

 風呂場――。にっこりとした笑顔で水月が二人を出迎える。

「みず、きー! どう? にあう?」
 ルネはほぼぺったんな膨らみかけの胸を張って見せる。
「……うん、二人ともよく似合ってる。ルネさんは前にも着たっていうスク水? 懐かしい感じだ」
 ルネのことは妹か娘といった認識の水月。気合が入った様子の、ルネの頭を撫で撫でして落ち着かせる。
 撫で撫でされたルネは思わずほわ~っとした表情に。

 水月の視線に金糸雀はちょっと照れた様子で、
「どう、かな?」
 と、尋ねた。
「カナリアさんは競泳水着だっけ……? って聞いてたんだけど、驚いた……でも、うん、凄く良い」
 水月は、大人しく恥ずかしがり屋な金糸雀のビキニ水着姿に驚きつつも、失礼にならない程度に眺めて、感想を述べた。
「……!?」
 それを聞いて恥じらいを覚えた金糸雀は顔を真っ赤にし、スク水姿のルネの後ろに隠れる……が身長差の所為で全然隠れていない。

 少し冷却した後、落ち着いたら、洗い場で背中を流してから湯船へ。


 三人は水月を真ん中に、並んで湯船に浸かって大浴場を満喫。
 水月はお湯の温かさに身体がだら~んとなってリラックスしている。

 そんな中――

(ここはるねの、しょうねんばね……!)
 愛らしい、えるふの乙女、ルネは勝負の時と見定めていた。
 みず、きーに対して味を占めたスクール水着であぴーる。ぴちぴちの、ちらちら。
(かなりーよりはちっちゃいからだだけど……のびしろはある、たぶん)
 豊満な金糸雀のボディを一瞥してから、水月の脇腹にスク水姿で抱き付き、すりすりする。
「それに、やわらかさならきっともちもちよ!」
「ルネちゃん……?」
 水月は少し驚いた後、
「そうだねーもちもちだねー。ルネちゃんのお肌。すべすべだし」
 と、にっこり笑って、娘を嗜めるようにルネの頭を撫で撫で。
「ふあ~……みず、きー……」
 またもとろ~んとなってしまうルネであった。

 そんな中、金糸雀はルネと水月が楽しそうにしてるのを見てニコニコ笑顔。
 二人が身体を洗う用なら背中を流してあげる。
「ん、手伝うです」

 十分に銭湯を堪能し、風呂上りの三人。冷えたコーヒー牛乳をごきゅごきゅした後、
「えっと、お風呂を上がったら、行ってみたい所があるんです」
 金糸雀がそのように切り出した。

 ***

 村を見渡せる小高い丘――。三人はそこでやって来ていた。
 優しく吹き付ける風がお風呂で火照った身体に心地よい……。

 金糸雀は夕焼けに染まる美しい風景を目にし……なんだか嬉しい気分になり、歌を口ずさみ始める。
 そして段々と声のボリュームを上げ、アカペラでの歌唱へ。

「…………」
 夕陽をバックに金糸雀が、澄んだ歌声を披露する。水月は思わずそれに見惚れた。

(いっつもかなりー控えめだし、ここはしっかりたててあげねば)
 ルネは水月の様子を気にしつつも、同じく金糸雀の歌に聞き入る。
(みず、きーとかなりーがゆっくりできるようにおとなしくしてるーよ?)

「下手だったかもだけど、聞いてくれてありがとうです」
 金糸雀が一曲歌い終えると、照れくさそうに礼を言う。
「いやいやすごく上手だったよ。こちらこそ聴かせてくれてありがとう」
 水月とルネはパチパチと拍手。
「もう一曲、次は三人で歌えるようなのはないかな? リクエストしたい」
「え、えと……これなら……」
 それに応え、金糸雀はまた歌う。……そうして、三人は沈みゆく夕陽の中で歌を口ずさんだのだった……。

 そんなこんなで日も暮れて来た頃。
「そろそろ戻ろうか。確か宿に一泊して、帰るのは明日だったね」
 言ったのは水月。三人は宿までの道のりを歩く。
 帰り道、金糸雀はルネの頭を撫でてから――不意打ちで水月の頬にキス!
「今日は楽しかったです。また一緒に、楽しみましょうね♪」


 出発前。二人が同居(同棲?)する自宅にて――。

「ちょっと最近古傷が痛くてさあ。俺もヤキが回ったかねえ」
 スフェン・エストレア(ka5876)はダイニングの椅子に座り、身体をゴキゴキ鳴らしつつ、その様に口にする。
 そこへ……ノイシュ・シャノーディン(ka4419)が朝食を運び、テーブルに並べた。(ノイシュはこう見えても『男の子』です!)
「おう、ノイシュ。辺境のネレイド村に入浴施設が出来たらしいんだ。一緒に行かねえか?」
「海辺の観光地? まだ泳ぐには早い季節だけど、大きなお風呂があるならいいわね♪」
 二人は師弟関係。ノイシュが家出し、彷徨っていたところをスフェンが保護したのだ。
 ノイシュにとってスフェンは銃の扱いを仕込んでくれた師であり「スー君」と呼び、懐いてる。

「俺の湯治のついでにお前もバカンスに連れてってやろうって訳よ。寛大な師匠だろう?」
 スフェンは朝食のパンを齧りながら話す。
「何でも海が綺麗な村らしいぞ。お前海好きだったよな」
(……とかなんとかもっともらしい理由はつけたけどよ。混浴だぜ。水着だぜ。ネレイド族は女の子ばっかりだっていうし、可愛いおねーちゃんで目の保養!)
 心の中で鼻息を荒くするスフェン。
(上手くすりゃアバンチュールよ。そりゃあ期待すんでしょうよ)

 それを聞いたノイシュ。
「寄せる白波に青い空、夕陽に染まる海辺……きっと綺麗ね。スー君にしては気が利くじゃない♪」
(……なーんて言ってるけど、絶対水着の女の子が目当てで鼻の下伸ばしてるのお見通しなんだからね)
 心の中でため息。
(セクハラおじさんにならないよーに、ちゃんと見張ってなきゃなのだわ)

 というわけで二人は準備を整え、招待状を手に出発!

 ***

 ネレイド村に到着した二人はまず族長の家へ。
 ちなみに言うまでもなくスフェンとノイシュの二人は恋人のように腕を組んでいる。

「ミサキさんはお招きありがとね! ネレイド族って女の子が多いのね」
「いらっしゃーい。そうですよー。色々あって男が減っちゃって」
「皆綺麗な子だから、ネレイド族の男の人もきっとイケメンなんだろうなぁ」
「う、うん……まあ、今いる大多数の少年は見込みがある……かな?」
 ミサキは首をかしげる。
「なーんて、ふふ、私とあまり年が変わらないくらいなのに、族長さんなんてすごいね」
「いあー、そんなことないですよー。スコール族長のファリフちゃんだってそうですし」
 ミサキはぽりぽりと頬をかく。
「村が活気付くように、私もはりきってレポするね☆」
「はい、よろしくお願いします。……それはまあ別として、お二人とも、カップルで目いっぱい楽しんでくださいね♪」
 ウィンクするミサキ。これは完全に誤解されている……。

 ***

 まずは海辺で遊ぶことにした二人。
 簡易更衣室にてすぐ着替えを済ませたスフェンはノイシュ待ち。

「ハイ、スー君おまたせ☆」
 彼……はワンピース水着にパレオを巻いた出で立ちであった。
「ふふー、似合う?」
 くるりと踊るようにステップを踏む。
「夏でもないのに水着が拝めるとかどんな天国だっつー……おい、ノイシュ。お前なんで女物の水着来てんだよ!? てか男なのに普通に似合ってるってどういうことだよ!!」
「まじまじ見ちゃってやだーースー君のえっち☆」
 ノイシュは身体をくねくねさせる。
「ハァ? まじまじ見てるのはビックリしたからだ! いかがわしい目で見てる訳なかろうが!!」
「海と言えば水着でしょ。折角だから可愛いの着てみたいじゃない」
「可愛いか可愛くないかって聞かれりゃそりゃ可愛いかもしれねえけどよ」
 まんざらでも無さそうなスフェンの片腕に手を回すノイシュ。
「さ、エスコートお願いね、スー君♪」
 ノイシュはスフェンに身体もぴったり密着させる。
「てか、お前がその格好じゃナンパ無理じゃん……。さらば俺のアバンチュール……」
 がくりと肩を落とすスフェン。
 ノイシュの美貌はそこら辺の女の子では太刀打ち出来ない。
 一見……というか普通に見て『めっちゃ可愛い彼女連れ』というスフェンに声をかけてくる女子など居る筈がない。

 それからノイシュは波打ち際で波と追いかけっこしたり、綺麗な貝やシーグラスを拾ってみたりする。
「……ったくノイシュのヤツ、ガキじゃあるまいしあんなにはしゃいじまってもー。まあ、楽しそうだからいいかね。連れて来た甲斐があったってもんだ」
 その様子を眺め、スフェンも自然に微笑が浮かぶ……。

 ***

 銭湯――大浴場――。

「スー君のお背中流してあげるね」
「お、おう……」
 海でノイシュの水着姿を目にしてから何故か彼を意識してしまう……。
 丹念に背中を流してもらった後、二人は湯船へ。
 ゆったりまったりとお湯に浸かりながら二人は会話。
「広いお風呂。気持ちいーね♪」
「……そいやノイシュ、風呂あがったら海鮮居酒屋行ってみるか。お前も腹減っただろ。俺も一杯ひっかけてえわ」
「居酒屋連れてってくれるの?」

 ということでもうしばらくお湯を楽しんだ後、二人は上がって着替えて海鮮居酒屋へ移動。

 ***

 海鮮居酒屋――二人はカウンター席に並んで座る。

「私もオトナの味でびゅー☆ って事で」
「あ? 大人の味だぁ? お前はお子様なんだからジュースな」
「えーージュースなのーー?」
 ぷくぅと頬を膨らませるノイシュ。
 そして料理やお酒・ジュースを注文。食事を楽しむ。
 酒の肴的な料理を突きつつ、酒を煽るスフェン。
 ノイシュはそれを横目で見ながらニヤリと笑い、
「ねえ、スー君、こっち向いて」
「なんだ? って……むぅ!?」
 ノイシュは彼の顔を両手で掴み、熱い口付け。
「大人の味、いただいちゃいました☆」


 出発前、ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)は張り切っていた。
「ニッポン風の銭湯が有るって聞いたもの、正義のニンジャとしては放っておけないんだからっ!」
 ニッポンのサムライ・ニンジャ・ゲイシャ的なものだろうか……。
「水着と手拭い、檜の桶を持参してネレイド村にGOです!」
 身支度を整えたルンルンはいざ出発!
「ネレイド村に遊びに行って、思う存分観光を楽しんだり、村の皆さんと仲良くなっちゃいます!!」

 ***

 ネレイド村に到着~~。
 まずは族長の家を訪れるが……。
「あいにくミサキ様は留守中でして。私で良ければ案内しましょうか?」
「うん、是非案内してくれると嬉しいな!」
「解りました。ネレイド族・族長補佐兼近衛隊隊長、ヴァイン・ネレイド、お供いたします」
 堅苦しいヴァインに対し「あはは、気楽にいこー!」と言うルンルンであった。

 綺麗な砂浜を歩いた後、二人は小高い丘へやって来る。
「ここはミサキ様がお気に入りの場所ですね。村全体を見渡せるので私も好きです」
 ヴァインの説明を聞きながら、ニンジャっぽくマフラーを風になびかせ、村や海を一望するルンルン……。
「わぁ、凄く綺麗で風が心地よいです」

 次は腹ごしらえに海鮮居酒屋で美味しいものを食べる!
「ここは新鮮な海産物の料理が楽しめます。どれも美味しいですよ。特にお刺身とか」
「それじゃあ……お刺身の盛り合わせを頼もうかな」
 しばらくして料理が運ばれてくる。醤油に付けてぱっくんといくルンルン。
「んん~~!! 美味しい~~!! 身がプリプリしててとっても新鮮!!」
「ふふ、喜んでもらえて何よりです」
 そういうヴァインは穴子天丼もどきをもしゃもしゃ食べていた。

 ヴァインの案内で一通り村を楽しんだルンルンはいよいよ銭湯へ移動。

 二人は脱衣場で水着に着替える。
 ルンルンの水着は普段着に似た赤い色の水着。露出がとても多くセクシーである。
 ちなみにヴァインは競泳水着だ。

 着替えを終えた二人は風呂場へ。
 ルンルンはマイ桶とマイ手拭いで身体を流してから、湯船に浸かる。
 頭に手拭いを乗せて、ゆった~りまった~りのんび~りお湯に浸かり、銭湯の大浴場を満喫する。
「ふあ~~、大きいお風呂はやっぱりいいね~。身体を伸ばしてお湯に浸かれて……普段の疲労が抜けていく感じがするよ~……」
 すっかり蕩け切った表情のルンルン。

 それから今日一日案内してくれたヴァインの背中を流してあげる。
「今日は一日ありがとう♪」
「いえいえ、これも族長補佐の仕事ですから……でもルンルンさんと一緒に村を回れて、私も楽しかったです」

 お風呂で疲れを取った二人は上がり、冷えたコーヒー牛乳と普通の牛乳を煽る。
「良いお湯だった~~……けど、ホントの日本の銭湯だと、湯船に水着で入ったら極刑に処せられると訊いてたから、少し不思議な気分……」
 飲みながらルンルンはそんなことを言い出した。
「ニッポンでは、お風呂に水着とか、湯船に手拭い入れたり、二度浸けすると恐ろしい目にあわされるって聞いたもの……」
 聞いた話を素で信じ込み、まるで怪談話のように語るルンルンであったそうな。ヴァインの表情も青くなる。

 ***

 艶やかな黒髪のショートヘア、艶めかしい小麦色の肌、そして――印象的な淡緑の瞳の少女がネレイド村にやって来た。
 彼女の名は巳蔓(ka7122)。
「……気分転換には丁度良いかなと思いまして」
 口を開いた巳蔓はそのように言った。
「全部が自由に出来てしまうのは、ちょっと気が引けますので」
 せっかく一日自由に村で過ごせて、しかも施設の利用や飲食が無料だと言うのに、
「お仕事をさせてもらった上で楽しめるのなら、私にはそれが一番良いです」
 少女は働かせてほしいと言う。……そういう働き者の性分なのだろうか。
 それに対し、族長の家で留守番を任されていた族長を守る近衛隊・隊員のアリサ・ネレイドは「う~ん」と首をひねる。
「それなら銭湯ですかねぇ。あそこは今一番人手が必要ですし」

 ――という経緯で巳蔓はネレイド村の銭湯で働くことに。
「出来ることは何でもやりますので、遠慮なくお申し付けください」
 日中の時間帯は銭湯の仕事を手伝い、夕方以降を自由にさせてもらうのが報酬ということ……と、彼女は申し出たが……。

 ともあれ今は客が多く手が足りない。すぐにお仕事。
 巳蔓は簡単に業務内容の説明を受けただけで仕事をテキパキとこなすようになり、現場で大変喜ばれた。
 まずは冷蔵庫への飲食物の補充……慣れて来たら接客……そしてシャンプーやボディーソープの補充、最後に風呂場の清掃で終了。

 ……あっという間に半日が過ぎるのだった……。
 仕事を終えた巳蔓は近くの海鮮居酒屋からまかないを貰い、食事を摂る。もぐもぐ。
「この海鮮丼……美味しいですね……」
「巳蔓ちゃん、今日はありがとうね。おかげですごく助かったわ」
 銭湯を仕切るネレイド族の女性からのお礼。「いえ、仕事ですから」と巳蔓は返す。
「そう、お仕事。お仕事なんだからお給金が発生するわけで……巳蔓ちゃんは要らないって言ってたけど、受け取ってね」
 女性が封筒を差し出してくる。
「…………ありがとう、ございます」
 巳蔓は少し躊躇ってから受け取った。ぺこりとお辞儀。
「少なくてごめんね。あ、それとお風呂は沸いてるから、ゆっくり入って疲れを取ってね」
 ネレイド族の女性はにっこりと笑ってから、まだ仕事があるらしく奥へ引っ込んだ。

 ***

 脱衣場でビキニ水着に着替えた巳蔓。……健康的な小麦色の肌が大きく露出する。
「水着でお風呂に入るのはちょっと不思議な感じですが、郷に入りては郷に従え、というヤツですね」
 まずは洗い場で身体を流し――水滴を弾く瑞々しい滑らかな肌――。
 それからボディーソープを泡立ててしっかり身体の隅々まで綺麗にする。たくさん汗をかいた。
 髪もシャンプーでちゃんと洗って、トリートメントでケアして、頭にタオルを巻いて、湯船に浸かる。ちゃぷん。
「ふぁ……」
 思わず声が漏れる。労働のあとのお風呂は格別だ。それも大きなお湯船。しかも貸し切り状態。
 ……今回、招待を受けた他のハンターとも出来れば話なりしたかったが、忙しすぎて出来なかった……。
 まあ、仕方がないだろうと、お湯に深く浸かる。

 ***

 大きなお風呂を堪能した巳蔓は――最後にまた、族長の家へ。今は族長、ミサキ・ネレイドが居るらしい。

「こんばんは」
 扉をノックすると「どうぞー」と可愛らしい声が聞こえた。
「やあやあ、あなたが巳蔓さんだね。銭湯のお手伝い、ありがとうございました」
「いえ……」と巳蔓は言う。
「それよりも、族長であるミサキさんに一つ尋ねてみたいことがあります」
 一拍置いて巳蔓は言葉を続ける。
「ミサキさんにとって、ネレイド村とはどのような存在なんですか?」
 そのように、ミサキへ問うた。そしてその理由も付け加える。
 ここ最近の王国の騒動にハンターの一人として関わることになり
 人々の上に立っている方々がどのような考えを持っているのか、気になっての質問であることを伝えた。
(……どんな答えであっても、今の私にとっては大事なものになるでしょうから)
 ミサキはすぐに答える。
「ネレイド村は私にとって紛れもない『故郷』だよ。生まれた場所。私が、皆が住まう場所」
 ミサキは少し目を伏せた後、続けた。
「……この村は歪虚の軍勢が一斉に南下した際に一時期歪虚の支配地域になったことがあったんだ……そのとき何もできず、すごく悔しかったよ」
「…………」
 巳蔓は黙ってミサキの話を聴く。
「それ以前にもネレイド村はね、怠惰の軍勢を受けてたくさん人が死んだ。ネレイド族に男が少ないのはその所為」
 ミサキは悲しい目をする……。だが一転して、その金色の瞳は強い光を持った。
「だから私はネレイド村を守るために、ネレイド族の皆を守るために、これから繁栄を取り戻すために……ネレイド族の戦闘部隊を作ったんだ」
 言い終えて「まあそんなところかな~。あ、途中からタメ口になっちゃってごめんなさい」とミサキは、てへへと謝る。
「いえ……お話を聞かせてもらって、ありがとうございました。今日、この村に来て良かったです」
 巳蔓は――笑顔には遠いが、少しだけ口元を緩めたのだった……。

依頼結果

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MVP一覧

  • 淡緑の瞳
    巳蔓ka7122

重体一覧

参加者一覧

  • 爆乳爆弾
    フローレンス・レインフォード(ka0443
    エルフ|23才|女性|聖導士
  • 爆炎を超えし者
    ネフィリア・レインフォード(ka0444
    エルフ|14才|女性|霊闘士
  • ヤンデレ☆ブリス
    ブリス・レインフォード(ka0445
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • 黒猫とパイルバンカー
    葛音 水月(ka1895
    人間(蒼)|19才|男性|疾影士

  • ルネ(ka4202
    エルフ|16才|女性|聖導士
  • オキュロフィリア
    ノイシュ・シャノーディン(ka4419
    人間(蒼)|17才|男性|猟撃士
  • 忍軍創設者
    ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784
    人間(蒼)|17才|女性|符術師

  • スフェン・エストレア(ka5876
    人間(紅)|34才|男性|猟撃士
  • 弾ける砲弾
    金糸雀(ka6409
    エルフ|16才|女性|霊闘士
  • 淡緑の瞳
    巳蔓(ka7122
    人間(蒼)|15才|女性|猟撃士

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ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
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2018/04/24 10:07:14