ゲスト
(ka0000)
アームズゴブリン!!
マスター:秋風落葉

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/12/19 15:00
- 完成日
- 2014/12/23 23:28
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●襲撃
ゴブリン達は歓声をあげた。
今日の収穫は格別だ。
予想とは違い、それに積まれていたものは食べ物ではなかった。
しかし、全く別の凄いお宝だったのだ。
ゴブリン達は我先にと中身に手をつける。
「カッコイイ」
「ピカピカ!」
「オレがモラう!」
幌付きの荷台の中にあったのは作られたばかりの武器や鎧。
職人達が丹精を込めて造り上げたそれらを、ゴブリン達は喝采と共に外へと引きずりだし、身に着けようとする。
ゴブリンの体格は基本的に人間よりもかなり小さい。
全身鎧をそのまま纏うのは無理であったが、彼らは各部のパーツを強引に外し、自分好みに飾りたてていく。
一人は篭手と脛当てのみを。一人は兜のみを。といった具合に。
もちろん彼らの好奇心は武器へも向かった。
剣、槍、鎚矛、弓。
いつも自分達が使う粗悪な得物を捨てて、新たな武器を手にした彼らは上機嫌だ。
そして最後に一際大きな体躯のゴブリンが、一本の両手剣を手に荷台から降りてきた。
自分達には決して作れないであろう、大きな剣。大柄のゴブリン――ホブゴブリンはそれを見つめながら醜悪に笑う。
――これこそオレにフサワシイ!
ホブゴブリンはぐるりと周りを見渡し、まだ分解されていない全身鎧が地面に置かれていることに気付いた。
ホブゴブリンの背丈はやや小柄な人間の男と同等だ。ゴブリン達には着こなせないこの鎧も、彼の体格ならば纏うことも可能であろう。
そのことを直感したのか、ホブゴブリンの目はすでにこの鎧に釘付けだ。
――コイツラには使えないだろうが、オレならば使えるハズだ。ナゼナラ、これも、このオレにフサワシイものだからだ!
「オイ! オマエラ、テツダエ!」
ここより少しだけ離れた場所で。
何もない荒野を馬で駆ける二人の男がいた。
「逃げろ逃げろ逃げるんじゃあああああ!!」
「逃げてどうすんだよっ!? 上にどう言い訳すんだよっ!?」
そう相棒をなじる彼も、もう一人の男と同じように、襲撃に気付いた時に手際よく馬車から馬を切り離して逃げ出していたのだが。
「バカヤロー! 俺達がゴブリンの群れに勝てる訳ねえだろ!! 逃げる以外の選択なんてあるわけねえだろ!?」
やや年嵩の男は馬を走らせながら大声で叫ぶ。なお、先程から二人の会話は常に大声で行われていた。全力で駆ける馬にしがみ付きながらの会話だ、自然そうなる。
「じゃあどうすんだよっ!?」
尋ねられた男は馬上で振り向く。つられて若い男も首を動かし、視線を投げた。遠く、自分達が逃げてきた方角へと。
もちろん視界の先にあるのは打ち捨てた車と、それに群がる無数の影だけだった。
幸い、ゴブリン達は積荷に夢中なのか、彼らを追いかけてくることはなかった。
男は何が楽しいのか、ややテンションの高い声で叫び返す。
「決まってる!! ハンターを雇うのさ!! んで取り返してもらうのよ!!」
●ハンターオフィスにて
「依頼です」
ハンターオフィスの受付嬢が淡々と口上を述べる。
「トリア商会からの依頼です。荷物を積んだ馬車がゴブリンの一団に襲われたとのことです」
受付嬢は資料から目を離さず、冷静な口調で続けた。
「様々な武器や鎧が積荷だったそうですが、それらはほとんどが持ち去られたと想定してよいでしょう、なぜならば」
彼女は一旦言葉を切り、別の資料を取り出してそれにも目を走らせた。
「あるゴブリンの一団が別のゴブリンの群れに戦をしかけ、支配下においたという情報が入っているのですが、支配階級となった彼らは、我々が使うような剣や鎧を身に着けていたらしいのです」
そこで受付嬢は初めて正面を見た。
彼女の瞳の中には、依頼を受けようとするハンター達の姿が映っている。
「依頼はあくまでトリア商会から盗まれた荷物を取り返して欲しいというものですが、事は少々大きくなっているかもしれません。お気をつけください」
ゴブリン達は歓声をあげた。
今日の収穫は格別だ。
予想とは違い、それに積まれていたものは食べ物ではなかった。
しかし、全く別の凄いお宝だったのだ。
ゴブリン達は我先にと中身に手をつける。
「カッコイイ」
「ピカピカ!」
「オレがモラう!」
幌付きの荷台の中にあったのは作られたばかりの武器や鎧。
職人達が丹精を込めて造り上げたそれらを、ゴブリン達は喝采と共に外へと引きずりだし、身に着けようとする。
ゴブリンの体格は基本的に人間よりもかなり小さい。
全身鎧をそのまま纏うのは無理であったが、彼らは各部のパーツを強引に外し、自分好みに飾りたてていく。
一人は篭手と脛当てのみを。一人は兜のみを。といった具合に。
もちろん彼らの好奇心は武器へも向かった。
剣、槍、鎚矛、弓。
いつも自分達が使う粗悪な得物を捨てて、新たな武器を手にした彼らは上機嫌だ。
そして最後に一際大きな体躯のゴブリンが、一本の両手剣を手に荷台から降りてきた。
自分達には決して作れないであろう、大きな剣。大柄のゴブリン――ホブゴブリンはそれを見つめながら醜悪に笑う。
――これこそオレにフサワシイ!
ホブゴブリンはぐるりと周りを見渡し、まだ分解されていない全身鎧が地面に置かれていることに気付いた。
ホブゴブリンの背丈はやや小柄な人間の男と同等だ。ゴブリン達には着こなせないこの鎧も、彼の体格ならば纏うことも可能であろう。
そのことを直感したのか、ホブゴブリンの目はすでにこの鎧に釘付けだ。
――コイツラには使えないだろうが、オレならば使えるハズだ。ナゼナラ、これも、このオレにフサワシイものだからだ!
「オイ! オマエラ、テツダエ!」
ここより少しだけ離れた場所で。
何もない荒野を馬で駆ける二人の男がいた。
「逃げろ逃げろ逃げるんじゃあああああ!!」
「逃げてどうすんだよっ!? 上にどう言い訳すんだよっ!?」
そう相棒をなじる彼も、もう一人の男と同じように、襲撃に気付いた時に手際よく馬車から馬を切り離して逃げ出していたのだが。
「バカヤロー! 俺達がゴブリンの群れに勝てる訳ねえだろ!! 逃げる以外の選択なんてあるわけねえだろ!?」
やや年嵩の男は馬を走らせながら大声で叫ぶ。なお、先程から二人の会話は常に大声で行われていた。全力で駆ける馬にしがみ付きながらの会話だ、自然そうなる。
「じゃあどうすんだよっ!?」
尋ねられた男は馬上で振り向く。つられて若い男も首を動かし、視線を投げた。遠く、自分達が逃げてきた方角へと。
もちろん視界の先にあるのは打ち捨てた車と、それに群がる無数の影だけだった。
幸い、ゴブリン達は積荷に夢中なのか、彼らを追いかけてくることはなかった。
男は何が楽しいのか、ややテンションの高い声で叫び返す。
「決まってる!! ハンターを雇うのさ!! んで取り返してもらうのよ!!」
●ハンターオフィスにて
「依頼です」
ハンターオフィスの受付嬢が淡々と口上を述べる。
「トリア商会からの依頼です。荷物を積んだ馬車がゴブリンの一団に襲われたとのことです」
受付嬢は資料から目を離さず、冷静な口調で続けた。
「様々な武器や鎧が積荷だったそうですが、それらはほとんどが持ち去られたと想定してよいでしょう、なぜならば」
彼女は一旦言葉を切り、別の資料を取り出してそれにも目を走らせた。
「あるゴブリンの一団が別のゴブリンの群れに戦をしかけ、支配下においたという情報が入っているのですが、支配階級となった彼らは、我々が使うような剣や鎧を身に着けていたらしいのです」
そこで受付嬢は初めて正面を見た。
彼女の瞳の中には、依頼を受けようとするハンター達の姿が映っている。
「依頼はあくまでトリア商会から盗まれた荷物を取り返して欲しいというものですが、事は少々大きくなっているかもしれません。お気をつけください」
リプレイ本文
「ああ? 武装したゴブリン!? 何だそりゃ、十年早ェ。出直して来な」
依頼の内容を聞いたヤナギ・エリューナク(ka0265)の第一声がそれだった。
「面白い話じゃないか、石器時代に等しい生活をしてきた彼らが、文明に触れ進化を促されたんだ」
久延毘 大二郎(ka1771)がヤナギの発言を混ぜっ返す。
「今は傭兵の様な事をしているとは言え、私も王国騎士の端くれ。無辜の民に仇為す不逞のゴブリンを許してはおけません」
まさしく騎士といった風体のユナイテル・キングスコート(ka3458)の言葉。それは依頼を受けるという意味に他ならない。
彼女を含む八人に対し、ハンターオフィスの受付嬢は淡々と述べる。
「武装したゴブリンの中にはホブゴブリンの姿もあったそうです。お気をつけください」
●
恐ろしい顔つきをした者達が上機嫌に食事をし、お世辞にも上手とは言えない歌をがなりたてている。ここは荒野にあるゴブリンの野営地だ。とはいえ、彼らの集団も世間にあるそれと同じく一枚岩ではないらしい。
あるゴブリンの一派は人間達が使う洗練された武具をこれ見よがしに身につけており、そうでない一派は彼らのことを恐怖と敵意が混ざった目で見つめていた。
やがてゴブリン達にとっての一日が終わり、それぞれはテントの中へと入っていく。そんな中、武装したゴブリンの内、二体が中央にある荷車の側へと行き、槍を持って辺りを睨む。
睨まれたゴブリンの一派はそそくさと己のテントへと去っていった。
槍を持つゴブリンは口元を歪めた。
――このブキとヨロイがあれば、オレタチはサイキョウだ。
先日馬車を襲撃した際に手に入れた戦利品、人間達の装備を身につけたゴブリンは背後を振り返り、幌付きの荷車を覗き込んだ。中にはまだ多くの武具が残されている。
見張りである二体は、自分達が支配しているゴブリン達が変な気をおこさぬよう、辺りを注意深く見やった。
彼らが熾した野営の為の火が辺りに影をいくつも作りだす。その影にまぎれ、ゴブリン達の住処を移動する者達がいた。
一人は敵陣の下見を買って出たヤナギである。彼はゴブリン達が夕食にありついていた頃からすでに野営地に忍び込んでおり、敵の配置や武装の度合いを調べていた。
そしてヤナギとは別行動を取っているJ(ka3142)とジルボ(ka1732)。
二人はトランシーバーでやりとりし、自分達の仕事となるであろう狙撃任務に必要な情報を集めていた。狙撃に用いるポイント、遮蔽物の有無など。
「そちらはどうですか? ジルボ」
「ああ、今のところ問題ない」
かすかな声でJとジルボが会話する。
「そうですか。こちらも必要な情報は得ました。そろそろ引き上げましょう」
「ああ、そうする……」
ジルボがそう答えたあたりでテントの中で動く気配がし、中から一体のゴブリンが出てきた。ジルボは動きをぴたりと止める。異常を感じたのかJも何も言わない。
ゴブリンは気配を感じて起きてきた訳ではないのか、そのままジルボの側を歩み去っていく。
ほっと一息ついたジルボはJに一言伝え、動きだす。
進入してきた際と同じように物影に隠れて移動し、遮蔽物の無い場所では匍匐前進をし、敵の目をかいくぐる。
「ゼェゼェ。こんだけ這いずり回ってりゃ流石にキツイぜ」
ぼやきながらも、ジルボはゴブリンに見つかることなく敵陣から離れた。
●
「数が多いわね」
カーミン・S・フィールズ(ka1559)はヤナギ達偵察班の報告を聞き、一言感想を漏らした。カーミンの言葉の通り、ヤナギ達が手に入れてきた情報をまとめると、ゴブリン達は二十体ほどいる。大二郎もカーミンと同じく、情報をまとめて敵を打破するための段取りを思案していた。
ここはゴブリン達の住処から離れた位置にある、彼らの野営所だ。
野営やサバイバルの経験が多い扼城(ka2836)による指示で、敵の風下に小さな拠点を作り、火も煙が遠くから見えないように熾している。
「徹夜か……なんだか昔が懐かしいわね」
リアルブルーにいた頃に研究漬けでよく徹夜をしていたらしい橘 遥(ka1390)がナッツをほお張りながら一人ごちる。遥が食べているものも扼城が準備したものだ。
もちろん遥の脳裏にあるのは昔のことではなく、今のこの依頼のことだ。カーミンや大二郎が立てる襲撃計画を、隣で同じようにナッツを食べているユナイテルと共に注意深く聞いている。
「支配されている連中は、今回の戦利品を身に着けていなかったり、格好でわかりそうね」
ゆったりと煙草を燻らせているヤナギは、カーミンのその言葉に頷いた。ハンターオフィスで耳にしていた通り、敵の一団が支配層と被支配層に分かれていること、そして被支配層の士気が著しく低いことにヤナギは気付き、仲間達に伝えていた。おそらく被支配層のゴブリン達は命がけで戦うことはないであろう。
「強力な護衛役がやられれば敵士気にも大きく影響する筈、責任重大ね、気を引き締めてかからないと」
打ち合わせの結果、用心棒らしいホブゴブリンの相手を務めることとなった遥が視線に強い意志を込めて頷いた。
●
少しずつ空が白み始めていく。
夜と朝の境界線のような時間に、ハンター達は行動を開始した。
ジルボとJがあらかじめ見つけておいた狙撃ポイントへと赴く。二人はそれぞれ武器を構えた。奇しくも、二人が操るのは長弓である。
「私が右を撃ちます」
「ああ、じゃあ俺が左だ」
「タイミングはお任せします」
二人はそれぞれ別の地点で違うターゲットを狙っている。ジルボは一旦トランシーバーの送信相手を大二郎へと切り替え、狙撃と同時に襲撃が行われるように最後の調整を行った。
もうすぐ見張りの交代時間なのか、ジルボの視界にいるゴブリン達はそわそわとしている。明らかに辺りへの警戒心が薄れていた。
「やるぞ」
「ええ」
打ち合わせの通り、狙撃の前にJは運動強化を用い、射撃の命中精度を向上させる。
ジルボがカウントを開始し、やがて二人は同時に矢を射た。
ジルボ、Jの放った矢は見事に武装したゴブリンの頭を射抜く。二体のゴブリンは鎧のパーツを身につけてはいたが、兜だけはつけていなかった。もちろん、それを後悔することはもはや出来なかったが。
二体のゴブリンが倒れる音が静かな野営地に響く中、残る六人のハンター達が一斉に駆け込んだ。やがて異音に気付いたゴブリンが一体、テントから出てきて事態に気付き、大声をあげた。そこに剣を手にした扼城が突っ込む。強烈な踏み込みと共に繰り出された一撃は、不意をつかれたゴブリンを打ち倒す。起きようともがくゴブリンへ、彼は剣を突き刺した。
「……三流以下だな……」
扼城の武装ゴブリンに対する評価は辛口だった。
ゴブリンの叫び声により、ようやく野営地のそこかしこが慌ただしくなる。あちこちのテントから這い出ようとするゴブリン達を尻目に、遥はただひたすらに駆ける。もちろん、ターゲットであるホブゴブリンの下へ。
一つのテントから二体のゴブリンが飛び出した。しかし、ちょうどそこに大二郎が放ったスリープクラウドが青白い煙を発生させる。一体は駆け出そうとした体勢のまま、再び夢の中へと戻っていった。倒れたゴブリンへと彼方から矢が飛来する。大二郎のサポートをすると決めていたジルボの放った矢だ。
魔法に抵抗した一体は無防備に見える大二郎へと駆けてくる。右手に剣を、左手に盾を持った武装ゴブリンだ。身に着けたまま寝ていたのか、人間達から奪った鎧によって体の一部が覆われている。
しかし、その前に全身を鎧で固めた女性が立ち塞がった。
「私が御護りします、ご安心を」
背後の大二郎に声をかけ、宝剣「カーテナ」を正面に構えるユナイテル。ゴブリンは走りながら得物を振るう。ユナイテルは白刃を正面から剣で受け止めた。ゴブリンの顔が驚きに染まる。先日の戦いで、自分に勝利をもたらしてくれた武器があっさりと防がれたことが信じられなかったのだ。
ユナイテルは組み合わせた刃を勢い良く押し込んだ。体勢を崩されたゴブリンはたたらを踏む。そこに彼女は横薙ぎの斬撃を放った。ゴブリンが纏っている胸当てにより、その刃は致命的なものにはならなかったが、敵の士気をくじくには十分だった。よろめくゴブリンへと、ユナイテルは上段から剣を振り下ろし、今度こそ刃はゴブリンへと綺麗に吸い込まれる。
ゴブリンは勘違いしていたのだ。強いのは自分ではなく、あくまでその武器と鎧に過ぎなかった……。
「私は騎士ユナイテル、勇気があるなら掛かって来るがいい!」
野営地にユナイテルの大声が響き、ゴブリン達は注意を引かれる。
一体の武装ゴブリンは槍を持ち、ユナイテルへと駆け出した。そこにちょうどヤナギが鉢合わせる。ヤナギは陣地に侵入後、障害物を倒してテントの入り口を封じたり、追いかけてくる敵を軽やかな動きで引きずり回したりと遊撃的に動いていた。
「おや、出会っちまっちゃァ、仕方ねェ」
ヤナギは剣を構え、対するゴブリンは槍を突き出した。
その一突きを軽やかに回避し、ヤナギはゴブリンが穂先を引き戻すよりも速く攻撃に転じた。
「悪ィな。隙だらけだ」
ゴブリンがつけている篭手。彼はスラッシュエッジでその隙間を瞬く間に切り裂いた。ゴブリンは痛みに槍を取り落とす。傷ついた手を抱えてうずくまる相手の首筋を、ヤナギの剣が一閃した。
別の武装ゴブリンはユナイテルへと弓を構え、矢を番えた。しかし彼が矢を放つ機会は永遠に無かった。突然自分を襲った衝撃にゴブリンは地へと倒れる。何が起きたのか、彼には理解する時間もなかった。
「弓を使わせるわけにはいかないわね」
たった今発砲を終えた銃を下ろしながら、カーミンは倒れたゴブリンへと囁いた。
そんなハンター達を見ていた、被支配層のゴブリン達は皆思う。
――オレタチよりもツヨカッタヤツラより、もっとツヨイ。カテルワケがナイ!
碌な武装を持たされていなかった彼らは、一体、また一体と逃げ出していく。
その中の一体は落ちていた剣を拾って逃げようとしていた。そんな彼の元にカーミンが瞬脚を用いて近づく。
「逃げるなら、武器を置いていきなさい」
たちまちそのゴブリンは剣を投げ出し、許しを請いながら駆けていく。
そんな混沌とした戦場に、突如唸り声が響いた。それは全身に鎧を纏った大柄なゴブリンのものだった。用心棒のような存在として君臨していたホブゴブリンである。気圧され始めていた武装ゴブリン達も、その声に多少の士気を取り戻す。ホブゴブリンはカーミンの方へと視線を向ける。野獣のような雄たけびをあげ、鎧の主が動いた。
「マラソン大会かな、これは」
カーミンはホブゴブリンと真っ向勝負する気はさらさらなかった。しばらく挑発したあとに逃げようかと考えていた矢先、駆けてきたホブゴブリンの足へと一筋の影が絡みつく。それは、人によっては龍の尻尾のように見えたかもしれない。足を取られ、危うく倒れそうになったホブゴブリンだったが、ぎりぎりのところで転ばずにすんだ。
ホブゴブリンは瞳に怒りを滾らせ、首を動かして兜の奥から敵の姿を探した。視線の先にいたのは遥。ホブゴブリンの足を取った鞭を手に、彼女は口上を述べる。
「あなたの相手は私よ」
扼城はダーツを取り出し、敵の一群へと放つ。鎧に身を固めたゴブリン達への効果はさほどではなかったが、怒りを駆り立てる効果はあった。二体の敵が扼城へと向かう。しかし、内一体は横から飛んできた矢に防護してない箇所を貫かれ、無様に転げた。Jによる援護射撃であった。倒れた敵へと扼城は肉薄し、仕込杖から刃を引き抜き、一閃した。
「新しき文明は既存の文明の模倣から生まれる事が多い。恐らく君達も例外ではないだろう、が」
言葉と共に大二郎がファイアアローを放ち、もう一体のゴブリンを捉える。
「此方の都合もある、残念ながら放っておく訳にもいかないんだ。我々の文明の産物は、きっちり返して貰うぞ」
大二郎へと近づこうとする別の敵はユナイテルが切り伏せる。武装ゴブリン達はあらかた片付きつつあった。
遥の鞭がホブゴブリンを容赦なく打ちすえる。しかし、彼の頑強な鎧にはさほどの効果をあげていない。むしろその衝撃を怒りに変え、亜人は両手剣を振るう。
「昔誰かが言っていたわ、当たらなければどうということは無いって」
――当たれば痛いじゃ済まないけれど。
と内心で付け加え、遥は見事なステップで敵の攻撃を回避した。実際、その一撃はおそるべき速度と威力で振るわれていた。当たれば致命傷になるだろう。
「このっ!!」
カーミンは銃による射撃を行う。数度の銃撃は鎧の各所に穴を穿ってはいたものの、まだ敵の動きは鈍っていない。
「はあああっ!!」
そこに気合の声と共に突っ込んできたのはユナイテル。強い踏み込みと共に放たれる斬撃。しかし、ホブゴブリンはその剣を真っ向から受け止め、彼女へ反撃の刃を見舞った。
「くうっ!?」
剣はユナイテルを鎧ごとしたたかに打ち、彼女は弾き飛ばされる。追撃に移ろうとするホブゴブリン。
「させないわ!」
そこに遥の鞭がタイミングよく具足に包まれた足を捕らえる。さすがに体勢を崩し、片手をつくホブゴブリン。その瞬間を逃すハンター達ではなかった。
ユナイテルと同じく援護に駆けつけた大二郎の魔法が敵を撃つ。カーミンの銃も火を吹き、頭部へと命中した。それが致命傷になったのか、ついにホブゴブリンは倒れ伏す。
用心棒が倒れたことにより、しばし呆然とする残りの武装ゴブリン。状況を思い出し、逃げ出そうとした者に、ジルボとJの狙い澄ました一撃が突き刺さる。最後の一体も、立ち塞がったヤナギの剣閃に切り裂かれた。ついに、ハンター達は武装ゴブリンを殲滅したのだ。
●
戦いが終わって。
ゴブリンが野営の地として使っていた場所は、今では巨大なかがり火となっていた。大二郎やジルボの捜索によって、荷車だけでなく、テントの中にも隠されていた武具はすでに回収されている。
ジルボが乗せた最後のテントの布に、扼城が火をつけた。荒野に生まれた巨大なキャンプファイアーを前に、ヤナギの弾くベースが心地よいメロディを奏でていく。
「徹夜明けの朝日は目に染みるわ……」
遥が昇ってくる太陽を遠くに見ながらしみじみと呟く。
ユナイテルも大きく伸びをした。胸に受けた傷は、マテリアルヒーリングによる癒しの効果でもうほとんど痛まない。
ジルボはパルムとじゃれあいつつ、燃え盛る火を見ながら、今回の戦いに思いを馳せる。
(頭は良い。お互い、もうちっとマシな付き合い方もできるんじゃないのかね)
かがり火は一際盛大な音を立て、天を焦がす。
(まっ、俺が考えることじゃないか)
依頼の内容を聞いたヤナギ・エリューナク(ka0265)の第一声がそれだった。
「面白い話じゃないか、石器時代に等しい生活をしてきた彼らが、文明に触れ進化を促されたんだ」
久延毘 大二郎(ka1771)がヤナギの発言を混ぜっ返す。
「今は傭兵の様な事をしているとは言え、私も王国騎士の端くれ。無辜の民に仇為す不逞のゴブリンを許してはおけません」
まさしく騎士といった風体のユナイテル・キングスコート(ka3458)の言葉。それは依頼を受けるという意味に他ならない。
彼女を含む八人に対し、ハンターオフィスの受付嬢は淡々と述べる。
「武装したゴブリンの中にはホブゴブリンの姿もあったそうです。お気をつけください」
●
恐ろしい顔つきをした者達が上機嫌に食事をし、お世辞にも上手とは言えない歌をがなりたてている。ここは荒野にあるゴブリンの野営地だ。とはいえ、彼らの集団も世間にあるそれと同じく一枚岩ではないらしい。
あるゴブリンの一派は人間達が使う洗練された武具をこれ見よがしに身につけており、そうでない一派は彼らのことを恐怖と敵意が混ざった目で見つめていた。
やがてゴブリン達にとっての一日が終わり、それぞれはテントの中へと入っていく。そんな中、武装したゴブリンの内、二体が中央にある荷車の側へと行き、槍を持って辺りを睨む。
睨まれたゴブリンの一派はそそくさと己のテントへと去っていった。
槍を持つゴブリンは口元を歪めた。
――このブキとヨロイがあれば、オレタチはサイキョウだ。
先日馬車を襲撃した際に手に入れた戦利品、人間達の装備を身につけたゴブリンは背後を振り返り、幌付きの荷車を覗き込んだ。中にはまだ多くの武具が残されている。
見張りである二体は、自分達が支配しているゴブリン達が変な気をおこさぬよう、辺りを注意深く見やった。
彼らが熾した野営の為の火が辺りに影をいくつも作りだす。その影にまぎれ、ゴブリン達の住処を移動する者達がいた。
一人は敵陣の下見を買って出たヤナギである。彼はゴブリン達が夕食にありついていた頃からすでに野営地に忍び込んでおり、敵の配置や武装の度合いを調べていた。
そしてヤナギとは別行動を取っているJ(ka3142)とジルボ(ka1732)。
二人はトランシーバーでやりとりし、自分達の仕事となるであろう狙撃任務に必要な情報を集めていた。狙撃に用いるポイント、遮蔽物の有無など。
「そちらはどうですか? ジルボ」
「ああ、今のところ問題ない」
かすかな声でJとジルボが会話する。
「そうですか。こちらも必要な情報は得ました。そろそろ引き上げましょう」
「ああ、そうする……」
ジルボがそう答えたあたりでテントの中で動く気配がし、中から一体のゴブリンが出てきた。ジルボは動きをぴたりと止める。異常を感じたのかJも何も言わない。
ゴブリンは気配を感じて起きてきた訳ではないのか、そのままジルボの側を歩み去っていく。
ほっと一息ついたジルボはJに一言伝え、動きだす。
進入してきた際と同じように物影に隠れて移動し、遮蔽物の無い場所では匍匐前進をし、敵の目をかいくぐる。
「ゼェゼェ。こんだけ這いずり回ってりゃ流石にキツイぜ」
ぼやきながらも、ジルボはゴブリンに見つかることなく敵陣から離れた。
●
「数が多いわね」
カーミン・S・フィールズ(ka1559)はヤナギ達偵察班の報告を聞き、一言感想を漏らした。カーミンの言葉の通り、ヤナギ達が手に入れてきた情報をまとめると、ゴブリン達は二十体ほどいる。大二郎もカーミンと同じく、情報をまとめて敵を打破するための段取りを思案していた。
ここはゴブリン達の住処から離れた位置にある、彼らの野営所だ。
野営やサバイバルの経験が多い扼城(ka2836)による指示で、敵の風下に小さな拠点を作り、火も煙が遠くから見えないように熾している。
「徹夜か……なんだか昔が懐かしいわね」
リアルブルーにいた頃に研究漬けでよく徹夜をしていたらしい橘 遥(ka1390)がナッツをほお張りながら一人ごちる。遥が食べているものも扼城が準備したものだ。
もちろん遥の脳裏にあるのは昔のことではなく、今のこの依頼のことだ。カーミンや大二郎が立てる襲撃計画を、隣で同じようにナッツを食べているユナイテルと共に注意深く聞いている。
「支配されている連中は、今回の戦利品を身に着けていなかったり、格好でわかりそうね」
ゆったりと煙草を燻らせているヤナギは、カーミンのその言葉に頷いた。ハンターオフィスで耳にしていた通り、敵の一団が支配層と被支配層に分かれていること、そして被支配層の士気が著しく低いことにヤナギは気付き、仲間達に伝えていた。おそらく被支配層のゴブリン達は命がけで戦うことはないであろう。
「強力な護衛役がやられれば敵士気にも大きく影響する筈、責任重大ね、気を引き締めてかからないと」
打ち合わせの結果、用心棒らしいホブゴブリンの相手を務めることとなった遥が視線に強い意志を込めて頷いた。
●
少しずつ空が白み始めていく。
夜と朝の境界線のような時間に、ハンター達は行動を開始した。
ジルボとJがあらかじめ見つけておいた狙撃ポイントへと赴く。二人はそれぞれ武器を構えた。奇しくも、二人が操るのは長弓である。
「私が右を撃ちます」
「ああ、じゃあ俺が左だ」
「タイミングはお任せします」
二人はそれぞれ別の地点で違うターゲットを狙っている。ジルボは一旦トランシーバーの送信相手を大二郎へと切り替え、狙撃と同時に襲撃が行われるように最後の調整を行った。
もうすぐ見張りの交代時間なのか、ジルボの視界にいるゴブリン達はそわそわとしている。明らかに辺りへの警戒心が薄れていた。
「やるぞ」
「ええ」
打ち合わせの通り、狙撃の前にJは運動強化を用い、射撃の命中精度を向上させる。
ジルボがカウントを開始し、やがて二人は同時に矢を射た。
ジルボ、Jの放った矢は見事に武装したゴブリンの頭を射抜く。二体のゴブリンは鎧のパーツを身につけてはいたが、兜だけはつけていなかった。もちろん、それを後悔することはもはや出来なかったが。
二体のゴブリンが倒れる音が静かな野営地に響く中、残る六人のハンター達が一斉に駆け込んだ。やがて異音に気付いたゴブリンが一体、テントから出てきて事態に気付き、大声をあげた。そこに剣を手にした扼城が突っ込む。強烈な踏み込みと共に繰り出された一撃は、不意をつかれたゴブリンを打ち倒す。起きようともがくゴブリンへ、彼は剣を突き刺した。
「……三流以下だな……」
扼城の武装ゴブリンに対する評価は辛口だった。
ゴブリンの叫び声により、ようやく野営地のそこかしこが慌ただしくなる。あちこちのテントから這い出ようとするゴブリン達を尻目に、遥はただひたすらに駆ける。もちろん、ターゲットであるホブゴブリンの下へ。
一つのテントから二体のゴブリンが飛び出した。しかし、ちょうどそこに大二郎が放ったスリープクラウドが青白い煙を発生させる。一体は駆け出そうとした体勢のまま、再び夢の中へと戻っていった。倒れたゴブリンへと彼方から矢が飛来する。大二郎のサポートをすると決めていたジルボの放った矢だ。
魔法に抵抗した一体は無防備に見える大二郎へと駆けてくる。右手に剣を、左手に盾を持った武装ゴブリンだ。身に着けたまま寝ていたのか、人間達から奪った鎧によって体の一部が覆われている。
しかし、その前に全身を鎧で固めた女性が立ち塞がった。
「私が御護りします、ご安心を」
背後の大二郎に声をかけ、宝剣「カーテナ」を正面に構えるユナイテル。ゴブリンは走りながら得物を振るう。ユナイテルは白刃を正面から剣で受け止めた。ゴブリンの顔が驚きに染まる。先日の戦いで、自分に勝利をもたらしてくれた武器があっさりと防がれたことが信じられなかったのだ。
ユナイテルは組み合わせた刃を勢い良く押し込んだ。体勢を崩されたゴブリンはたたらを踏む。そこに彼女は横薙ぎの斬撃を放った。ゴブリンが纏っている胸当てにより、その刃は致命的なものにはならなかったが、敵の士気をくじくには十分だった。よろめくゴブリンへと、ユナイテルは上段から剣を振り下ろし、今度こそ刃はゴブリンへと綺麗に吸い込まれる。
ゴブリンは勘違いしていたのだ。強いのは自分ではなく、あくまでその武器と鎧に過ぎなかった……。
「私は騎士ユナイテル、勇気があるなら掛かって来るがいい!」
野営地にユナイテルの大声が響き、ゴブリン達は注意を引かれる。
一体の武装ゴブリンは槍を持ち、ユナイテルへと駆け出した。そこにちょうどヤナギが鉢合わせる。ヤナギは陣地に侵入後、障害物を倒してテントの入り口を封じたり、追いかけてくる敵を軽やかな動きで引きずり回したりと遊撃的に動いていた。
「おや、出会っちまっちゃァ、仕方ねェ」
ヤナギは剣を構え、対するゴブリンは槍を突き出した。
その一突きを軽やかに回避し、ヤナギはゴブリンが穂先を引き戻すよりも速く攻撃に転じた。
「悪ィな。隙だらけだ」
ゴブリンがつけている篭手。彼はスラッシュエッジでその隙間を瞬く間に切り裂いた。ゴブリンは痛みに槍を取り落とす。傷ついた手を抱えてうずくまる相手の首筋を、ヤナギの剣が一閃した。
別の武装ゴブリンはユナイテルへと弓を構え、矢を番えた。しかし彼が矢を放つ機会は永遠に無かった。突然自分を襲った衝撃にゴブリンは地へと倒れる。何が起きたのか、彼には理解する時間もなかった。
「弓を使わせるわけにはいかないわね」
たった今発砲を終えた銃を下ろしながら、カーミンは倒れたゴブリンへと囁いた。
そんなハンター達を見ていた、被支配層のゴブリン達は皆思う。
――オレタチよりもツヨカッタヤツラより、もっとツヨイ。カテルワケがナイ!
碌な武装を持たされていなかった彼らは、一体、また一体と逃げ出していく。
その中の一体は落ちていた剣を拾って逃げようとしていた。そんな彼の元にカーミンが瞬脚を用いて近づく。
「逃げるなら、武器を置いていきなさい」
たちまちそのゴブリンは剣を投げ出し、許しを請いながら駆けていく。
そんな混沌とした戦場に、突如唸り声が響いた。それは全身に鎧を纏った大柄なゴブリンのものだった。用心棒のような存在として君臨していたホブゴブリンである。気圧され始めていた武装ゴブリン達も、その声に多少の士気を取り戻す。ホブゴブリンはカーミンの方へと視線を向ける。野獣のような雄たけびをあげ、鎧の主が動いた。
「マラソン大会かな、これは」
カーミンはホブゴブリンと真っ向勝負する気はさらさらなかった。しばらく挑発したあとに逃げようかと考えていた矢先、駆けてきたホブゴブリンの足へと一筋の影が絡みつく。それは、人によっては龍の尻尾のように見えたかもしれない。足を取られ、危うく倒れそうになったホブゴブリンだったが、ぎりぎりのところで転ばずにすんだ。
ホブゴブリンは瞳に怒りを滾らせ、首を動かして兜の奥から敵の姿を探した。視線の先にいたのは遥。ホブゴブリンの足を取った鞭を手に、彼女は口上を述べる。
「あなたの相手は私よ」
扼城はダーツを取り出し、敵の一群へと放つ。鎧に身を固めたゴブリン達への効果はさほどではなかったが、怒りを駆り立てる効果はあった。二体の敵が扼城へと向かう。しかし、内一体は横から飛んできた矢に防護してない箇所を貫かれ、無様に転げた。Jによる援護射撃であった。倒れた敵へと扼城は肉薄し、仕込杖から刃を引き抜き、一閃した。
「新しき文明は既存の文明の模倣から生まれる事が多い。恐らく君達も例外ではないだろう、が」
言葉と共に大二郎がファイアアローを放ち、もう一体のゴブリンを捉える。
「此方の都合もある、残念ながら放っておく訳にもいかないんだ。我々の文明の産物は、きっちり返して貰うぞ」
大二郎へと近づこうとする別の敵はユナイテルが切り伏せる。武装ゴブリン達はあらかた片付きつつあった。
遥の鞭がホブゴブリンを容赦なく打ちすえる。しかし、彼の頑強な鎧にはさほどの効果をあげていない。むしろその衝撃を怒りに変え、亜人は両手剣を振るう。
「昔誰かが言っていたわ、当たらなければどうということは無いって」
――当たれば痛いじゃ済まないけれど。
と内心で付け加え、遥は見事なステップで敵の攻撃を回避した。実際、その一撃はおそるべき速度と威力で振るわれていた。当たれば致命傷になるだろう。
「このっ!!」
カーミンは銃による射撃を行う。数度の銃撃は鎧の各所に穴を穿ってはいたものの、まだ敵の動きは鈍っていない。
「はあああっ!!」
そこに気合の声と共に突っ込んできたのはユナイテル。強い踏み込みと共に放たれる斬撃。しかし、ホブゴブリンはその剣を真っ向から受け止め、彼女へ反撃の刃を見舞った。
「くうっ!?」
剣はユナイテルを鎧ごとしたたかに打ち、彼女は弾き飛ばされる。追撃に移ろうとするホブゴブリン。
「させないわ!」
そこに遥の鞭がタイミングよく具足に包まれた足を捕らえる。さすがに体勢を崩し、片手をつくホブゴブリン。その瞬間を逃すハンター達ではなかった。
ユナイテルと同じく援護に駆けつけた大二郎の魔法が敵を撃つ。カーミンの銃も火を吹き、頭部へと命中した。それが致命傷になったのか、ついにホブゴブリンは倒れ伏す。
用心棒が倒れたことにより、しばし呆然とする残りの武装ゴブリン。状況を思い出し、逃げ出そうとした者に、ジルボとJの狙い澄ました一撃が突き刺さる。最後の一体も、立ち塞がったヤナギの剣閃に切り裂かれた。ついに、ハンター達は武装ゴブリンを殲滅したのだ。
●
戦いが終わって。
ゴブリンが野営の地として使っていた場所は、今では巨大なかがり火となっていた。大二郎やジルボの捜索によって、荷車だけでなく、テントの中にも隠されていた武具はすでに回収されている。
ジルボが乗せた最後のテントの布に、扼城が火をつけた。荒野に生まれた巨大なキャンプファイアーを前に、ヤナギの弾くベースが心地よいメロディを奏でていく。
「徹夜明けの朝日は目に染みるわ……」
遥が昇ってくる太陽を遠くに見ながらしみじみと呟く。
ユナイテルも大きく伸びをした。胸に受けた傷は、マテリアルヒーリングによる癒しの効果でもうほとんど痛まない。
ジルボはパルムとじゃれあいつつ、燃え盛る火を見ながら、今回の戦いに思いを馳せる。
(頭は良い。お互い、もうちっとマシな付き合い方もできるんじゃないのかね)
かがり火は一際盛大な音を立て、天を焦がす。
(まっ、俺が考えることじゃないか)
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相談卓 ジルボ(ka1732) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2014/12/19 15:01:43 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/12/17 18:30:03 |