ゲスト
(ka0000)
地下迷宮の奥を目指して
マスター:なちゅい

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/05/25 19:00
- 完成日
- 2018/06/02 13:45
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
グラズヘイム王国北西。
王都イルダーナと崖上都市「ピースホライズン」を繋ぐ街道の西、誰も通らぬ崖の下に、人知れず口を開けた地下迷宮がある。
この場所は久しく放棄されており、ハンターズソサエティも探索の手を伸ばすことはなかった。
しかしながら、近年のハンター達の活躍で、様々な事件、事柄が解決していく中、ハンターズソサエティにおいてこの迷宮の存在が再び注目されるようになった。
今回の遺跡探索希望者募集は、三度目。
二層目の探索を希望ということで、ある程度上級ハンターを希望した募集をかけている状況だ。
王都イルダーナのハンターズソサエティ。
そこに、新たな遺跡探索希望の募集が出されているのを確認したハンター達が集まり、情報説明を求めていた。
「今回はー、前回までよりも下層区域の探索をーお願いしますー」
遺跡内部は雑魔の存在が確認されている。
一層目では、毒噛み付きや突進を使う全長50cmのネズミ。超音波を発しつつ飛びかかる1mのコウモリ。
それに、全長2mまでに巨大化してその身を叩きつけ、あるいは相手を締め付けてくるミミズが確認されている。
ただ、二層目に関しては、詳しい情報が現状ない。
通路などに関してもそれほど多く情報はないのだが。
『通路の回転に惑わされ……』
そんな文言がかすかに、ハンターズソサエティの記録に残されている。
似たような通路で回転する床。
対策を練らねばそれだけで方向感覚を惑わされ、出られなくなってしまいそうだ。
「対策なしでは、出られなくなる危険もある迷宮ですのでー、くれぐれも準備は万全にー」
危険の伴う依頼である為、希望者が少ない可能性が示唆されている。
最悪、希望者が少なければ、調査は打ち切られてしまう。
「危険な場所ですがー、少しずつ調査区域を広げていきたいですねー」
マッピング、警戒、斥候、トラップ解除、戦闘、休憩時の腹ごなし……etc。
役割分担をした上で、ある程度二層を踏破する気概で頑張りたい。宝が手に入れば、見返りもしっかり手に入る可能性もあるのだ。
何か問題があれば、最悪、探索隊を派遣するが、ハンターとして活動する以上、自己管理は大切だ。
引き際を見定めて帰還することも重要だと言えるだろう。
「以上ですー、ご無理はなさらずにー」
そうして、資料配布と説明を終えたシェリーは、軽く手を振って地下迷宮に向かうハンター達を送り出すのである。
グラズヘイム王国北西。
王都イルダーナと崖上都市「ピースホライズン」を繋ぐ街道の西、誰も通らぬ崖の下に、人知れず口を開けた地下迷宮がある。
この場所は久しく放棄されており、ハンターズソサエティも探索の手を伸ばすことはなかった。
しかしながら、近年のハンター達の活躍で、様々な事件、事柄が解決していく中、ハンターズソサエティにおいてこの迷宮の存在が再び注目されるようになった。
今回の遺跡探索希望者募集は、三度目。
二層目の探索を希望ということで、ある程度上級ハンターを希望した募集をかけている状況だ。
王都イルダーナのハンターズソサエティ。
そこに、新たな遺跡探索希望の募集が出されているのを確認したハンター達が集まり、情報説明を求めていた。
「今回はー、前回までよりも下層区域の探索をーお願いしますー」
遺跡内部は雑魔の存在が確認されている。
一層目では、毒噛み付きや突進を使う全長50cmのネズミ。超音波を発しつつ飛びかかる1mのコウモリ。
それに、全長2mまでに巨大化してその身を叩きつけ、あるいは相手を締め付けてくるミミズが確認されている。
ただ、二層目に関しては、詳しい情報が現状ない。
通路などに関してもそれほど多く情報はないのだが。
『通路の回転に惑わされ……』
そんな文言がかすかに、ハンターズソサエティの記録に残されている。
似たような通路で回転する床。
対策を練らねばそれだけで方向感覚を惑わされ、出られなくなってしまいそうだ。
「対策なしでは、出られなくなる危険もある迷宮ですのでー、くれぐれも準備は万全にー」
危険の伴う依頼である為、希望者が少ない可能性が示唆されている。
最悪、希望者が少なければ、調査は打ち切られてしまう。
「危険な場所ですがー、少しずつ調査区域を広げていきたいですねー」
マッピング、警戒、斥候、トラップ解除、戦闘、休憩時の腹ごなし……etc。
役割分担をした上で、ある程度二層を踏破する気概で頑張りたい。宝が手に入れば、見返りもしっかり手に入る可能性もあるのだ。
何か問題があれば、最悪、探索隊を派遣するが、ハンターとして活動する以上、自己管理は大切だ。
引き際を見定めて帰還することも重要だと言えるだろう。
「以上ですー、ご無理はなさらずにー」
そうして、資料配布と説明を終えたシェリーは、軽く手を振って地下迷宮に向かうハンター達を送り出すのである。
リプレイ本文
●
グラズヘイム王国北西部。
平原の崖下に開いた穴を、6人のハンターが見下ろす。
「迷宮の探検! いかにも冒険って感じがしてそそるね~!」
帽子に手をかけるお嬢様風の少女、夢路 まよい(ka1328)はこの奥底にまだ見ぬ何かが待ち受けている気がして、胸を躍らせる。
だが、報告書によれば、迷宮内には雑魔も棲息しているという。
「地下迷宮の危険を排除しましょう」
背中まで伸ばした銀の髪を揺らす、ミオレスカ(ka3496)も小さく意気込みを語る。
髪から伸びる長く尖った耳が、彼女がエルフであることを主張していた。
「僭越ながら、志願させて頂くこととさせて頂きました」
おどおどとした態度を見せる月護 紫苑(ka3827)だが、こうした地道な探索活動を支援する人が必要だと感じ、依頼に参加していた。
それは、チーム唯一の男性である八島 陽(ka1442)も同じだったらしい。
「少しでも、何らかの成果が上げられたらいいな」
「とりあえず、奥にいけば、お宝があるんですね!」
ピンクの髪のアシェ-ル(ka2983)はこの奥に眠るまだ見ぬ財宝に目を輝かせる。
また、アシェ-ルは鎧を新調したようで、桃色基調の「聖光の守護」の性能を確認したいとのこと。戦いでも、率先して前に出たいと彼女は主張していた。
「ルンルン忍法を駆使して迷宮を探査、バッチリ地図を埋めてお宝もゲットしちゃいます!」
『ルンルン忍法』の使い手を名乗る、ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)も意気揚々と語る。
こうした未確認の情報を調べることも、ニンジャの使命。
そう豪語する彼女は、仲間と共に迷宮へと足を踏み入れていくのだった。
●
さて、迷宮への突入に当たり、メンバー達はこれまで2度突入したハンター達が作成した地図を確認する。
陽がそれに目を通す間、ルンルンはできる限りその地図を頭の中へと叩き込む。
「探索の参考になると思うんですよね!」
ルンルンは迷宮の広がる方向なども把握し、マッピングセットを手にする。
迷宮内は地下ということもあって、ほとんど光は入らない様子。
まよいが灯火の水晶球を使い、探索に臨む仲間をサポートしながら進む。目指すは2層への階段だ。
1層から、ハンター一行は手堅く進む。
前方にてサバイバルスキルを働かせるルンルンは、罠、敵の出現を警戒しつつマッピングも行うと忙しない。
すでに探索済みの1層目であっても、場所によっては雑魔の気配が漂い、気を抜くことができない。
「ひあっ」
突如、紫苑が甲高い声を上げる。
曲がり角の向こうから、這いずるようにミミズ雑魔がこちらへと迫ってきたのだ。
ハンター達は逃げることも考えたが、遠方に別の雑魔の姿を見たメンバーはやむなくそのミミズ雑魔を迎え撃つ。
数分の交戦の後、ハンター達は無難にその雑魔を撃破することとなる。
「できれば、消耗は避けたいところですけどね」
ルンルンが言うように、未踏の領域で動けなくなってしまう状況だけは避けたい。
だが、その後は何事もなく探索を進め、一行はすでに地図で記されていた階段を下りて下層へと向かう。
その先頭を請け負っていたのは、オーラ状の障壁を展開しながら進むアシェ-ルだ。
似たような通路が続く迷宮を、続く陽が迷わぬよう見回しつつ歩く。
この通路に、まよいは方向感覚を働かせて先へと進む。
それだけでは不安だと感じた彼女はロープを短く切ったものを落とし、道しるべにしながら進む。
2ヶ所の分岐の間くらいのペースでそれを落とし、まよいは目印代わりにしていたようだ。
さて、探索で注意すべきは曲がり角。
先ほど、ミミズ雑魔の強襲から逃れられなかったこともあり、ルンルンは交差点へと差し掛かるごとに斥候を行っていたが……。
「ひあっ」
再び、紫苑が驚きの声を上げる。
というのは、全長3mもあるモグラ雑魔がこちら目掛けて突進して来ていたのだ。
モグラの食料は一般的には昆虫、ミミズだという。
1層にいたミミズ雑魔を食料として食べていても、なんら不思議ではない。
いや、こちらが先に雑魔となっていて、ミミズも雑魔となったのか……。
「これは避けられそうにないね」
瞳から強い輝きを放つまよい。
覚醒した彼女の全身は見えないオーラによって吹き上げられているかのように、髪や服が靡く。
「……私、前に出ますね!」
先ほどもうまく、ミミズ雑魔を牽制していたアシェ-ル。
桃色の幾何学模様を周囲に浮かんでは消えさせる彼女はまた、ここぞとまた鎧の力を見ようと、仲間を守るようにモグラの前へと立ちはだかるのだった。
●
迷宮に巣食う雑魔。
これらがなぜ、迷宮に住み着いているのかは分からない。
元々いたものが雑魔化したと考えるのが、自然ではあるのだが……。
ともあれ、考えるより先に目の前のモグラ雑魔を撃破せねばならない。
「ルンルン忍法、発動です!」
ルンルンが宙に投げ飛ばした符が稲妻となり、モグラ雑魔の体を貫いていく。
だが、雑魔も狂ったように麻痺毒を含んだ爪を薙ぎ払ってくる。
「防御魔術師参上です!」
それを、前線のアシェ-ルが食い止めようとした。
食い込む刃は彼女の体に痺れを駆け巡らせるが、それでも魔導ガントレットを突き出すように構えて。
「私の後ろには、行かせませんからね!」
全身に光を纏って相手の麻痺毒に対する耐性をつけ、アシェ-ルは戦線維持の為に立ち回る。
まよいも電光楽器「パラレルフォニック」を手にして穏やかで静かな歌を歌い、仲間の抵抗力を高めようとしていた。
そして、強く青い輝きを瞳から発していた紫苑。
彼女は前線のアシェ-ルを中心に、光を纏わせて防御力の向上をはかる。
「一気に攻め崩したいね」
陽は攻撃役として、機械式懐中時計「白金」を介して雷撃を発し、相手へと逆に麻痺を与えようとする。
そして、髪から七色の光を発するミオレスカも銀製の銃身を持つ魔導拳銃「エア・スティーラー」を構えて弾丸を叩き込む。
暴れるように突っ走るモグラ雑魔。確かに、これまでの雑魔に比べると少々手強い。
「簡単には、掛かりませんからね!」
アシェ-ルがその後も抑え続ける間に、紫苑は相手の隙を見て攻撃に出る。
「火力的には、あまりお役に立てないかもしれませんが……」
光の弾を飛ばすことで、紫苑はモグラ雑魔に対してダメージを増やしていたようだ。
光の三角形を展開した陽も相手目掛けて光線を発射し、自分より大きな雑魔の体を撃ち貫く。
続き、ミオレスカが高加速射撃で相手の頭を穿つ。
決定的な一撃と思われたが、モグラ雑魔はしぶとく爪を振るってくる。
ただ、雑魔が気づいた時には、すでにルンルンが符を相手の周囲に投げつけ、結界を張り巡らしていた。
眩い光で焼かれるモグラ雑魔。元々光に弱い生物だが、雑魔となっていたこともあって効果は覿面。
光で全身の自由を奪われるモグラ雑魔が動きを止めたところで、まよいが錬金杖「ヴァイザースタッフ」を振るい、光るエネルギーの矢を飛ばす。
フォースリングの力でマテリアルの力を増幅し、彼女は5本もの矢を一度に飛ばしてモグラ雑魔の体へとぶつけていく。
ついにはモグラ雑魔もその身を横たえ、ゆっくりと全身を消していったのだった。
●
モグラ雑魔を撃破し、探索領域を広げるハンター一行。
「罠、ありませんように」
先頭のアシェ-ルは、魔導ガントレットで足元をツンツンと突きながら歩く。
交差点に差し掛かっても、アシェ-ルは変わらずツンツンとついていたのだが。
「あっ……!」
ただ、ミオレスカが乗ったタイミング、メンバーを乗せた床が大きく回転する。
方向感覚を鈍らせようとする罠。
見れば、近場に白骨化した遺体もあり、この地から出られず命を落とした者が眠っていた。
「壁に落書きがあったりして。あ……ダイイングメッセージだったら嫌ですね~」
そんなアシェ-ルの言葉もあり、陽が周囲を見ていたが、どうやらそれらしいメッセージは残されてはいなかった。
「なす統べなく、雑魔などに食い尽くされてしまったのだろうね」
「ともあれ、弔いたいところですが」
身元が分かりづらいほど遺体は荒らされていたが、聖導士である紫苑が祈りを捧げた。
遺体の回収は後回しにし、ハンター一行はこの場を立ち去ることとする。
改めて、一行が対策すべきは回転床であった。
たまたま交戦時にこの床を踏むことなく戦うことができたのはいいが、対策を練らずに乗るのは非常に危険だ。
「私、魔術師ですけど、頭使うのはちょっと苦手で」
彼女はそれ以上床に触れず、マジックフライトの付与でこの場をやり過ごすことを提案する。
「そんな必要はありません」
だが、しばらく考えていたルンルンが首を横に振る。
全身にマテリアルを巡らせた彼女は壁を歩き、地図と周囲の地形を見比べてやり過ごす。
「私を目印に……こっちですよ」
回転するのは、交差点の床のみ。だからこそ、大丈夫とルンルンは踏む。回転床は踏んでいないので、念の為。
実際、道順はルンルンの言うとおり。
2,3度あった回転床も同様に、メンバー達はやり過ごすことができていたようだ。
その後、ハンター達は、通路を塞ぐように現われる宝箱を2つ発見する。
それぞれ鍵はかかっていたものの、ルンルンが開錠していく。
「凄いですよ! きっと世紀の大発見ですよ。ナウ開けましょう」
アシェ-ルは罠の可能性を考えて身構えていたが、それらしきトラップはかかっていなかったようだ。
お金は合わせて、8万Gほど。
宝に入っていたのは、エペ、スタッフ、ガントレットにネックレス。後ほど、地上に出てから迷宮探索の功労者へと分配する形をとる。
さらに、メンバーは探索を進め、蛇雑魔2体との交戦を経て。
「お怪我は……大丈夫ですか?」
紫苑は傷つくメンバー……特にアシェ-ルやルンルンへと、ヒールでの癒しに当たる。
ヒールはスペルロザリオ「エレオス」の助けもあり、幾分高い効力を発揮してくれた。
「助かるのです」
「これでまた戦えますね!」
癒しを受けたアシェ-ルやルンルンは絶賛しながらも、先へと進む。
そして、そのルンルンはある程度歩いたところで首を捻る。
「マッピングをしていると、ここの埋まってない所が気になるのです」
地図を描いていた彼女は、1層目と現在歩く2層目を照らし合わせ、昇降機の位置を割り出す。
「そろそろ、消耗も大きくなってきているね」
戻る事を考えれば、余力はギリギリラインとまよいは考えていたのだが、もう少しだけハンター達は歩を進める。
飛び回る雑魔の群れをやり過ごし、あるいは戦いつつ、一行が進むと。
「これは……」
陽は前回の探索で1層目の昇降機を確認していたが、それが止まる事のできそうなスペースを前方に発見する。
残念ながら、1層目にカゴは取り残されている状況。
また、壁の操作番などを触っても動く様子がない。どうやら、動力不足のようだ。
「んー、どこかマテリアルを込められる動力部があればいいのだけどね」
まよいは初めて見るこの装置を見つめ、主観を語る。
だが、生憎とメンバー達も幾度か雑魔との交戦を重ね、生命力やスキルの消耗が重なってきている。
今回はこれを発見しただけよしとし、一行は引き返すことに決めたのだった。
●
その後、帰り道で白骨遺体を回収した一行は蛇雑魔2体との交戦を1度経て、1層へと戻っていく。
さらに、遺体を運ぶ都合上コウモリ雑魔と交戦を行い、メンバー達は地上へと出ることとなる。
「皆さん、お疲れ様でした」
ミオレスカが息つくメンバーを気遣うと、陽がタバコを吹かして一言。
「大きな成果があったとは言いがたいが……」
とはいえ、宝を回収できたし、昇降機を発見したことで、ハンターズソサエティから追加報酬が出るはずだ。
合わせれば、各自の報酬は追加で2万G弱。
発見した4つのアイテムは話し合いの結果、まよい、アシェ-ル、紫苑、ルンルンで分配することとなった。
「後は、探索結果を纏めないとですね!」
ルンルンは手書きの地図に視線を落としつつ、資料の纏めへと当たっていたようだった。
グラズヘイム王国北西部。
平原の崖下に開いた穴を、6人のハンターが見下ろす。
「迷宮の探検! いかにも冒険って感じがしてそそるね~!」
帽子に手をかけるお嬢様風の少女、夢路 まよい(ka1328)はこの奥底にまだ見ぬ何かが待ち受けている気がして、胸を躍らせる。
だが、報告書によれば、迷宮内には雑魔も棲息しているという。
「地下迷宮の危険を排除しましょう」
背中まで伸ばした銀の髪を揺らす、ミオレスカ(ka3496)も小さく意気込みを語る。
髪から伸びる長く尖った耳が、彼女がエルフであることを主張していた。
「僭越ながら、志願させて頂くこととさせて頂きました」
おどおどとした態度を見せる月護 紫苑(ka3827)だが、こうした地道な探索活動を支援する人が必要だと感じ、依頼に参加していた。
それは、チーム唯一の男性である八島 陽(ka1442)も同じだったらしい。
「少しでも、何らかの成果が上げられたらいいな」
「とりあえず、奥にいけば、お宝があるんですね!」
ピンクの髪のアシェ-ル(ka2983)はこの奥に眠るまだ見ぬ財宝に目を輝かせる。
また、アシェ-ルは鎧を新調したようで、桃色基調の「聖光の守護」の性能を確認したいとのこと。戦いでも、率先して前に出たいと彼女は主張していた。
「ルンルン忍法を駆使して迷宮を探査、バッチリ地図を埋めてお宝もゲットしちゃいます!」
『ルンルン忍法』の使い手を名乗る、ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)も意気揚々と語る。
こうした未確認の情報を調べることも、ニンジャの使命。
そう豪語する彼女は、仲間と共に迷宮へと足を踏み入れていくのだった。
●
さて、迷宮への突入に当たり、メンバー達はこれまで2度突入したハンター達が作成した地図を確認する。
陽がそれに目を通す間、ルンルンはできる限りその地図を頭の中へと叩き込む。
「探索の参考になると思うんですよね!」
ルンルンは迷宮の広がる方向なども把握し、マッピングセットを手にする。
迷宮内は地下ということもあって、ほとんど光は入らない様子。
まよいが灯火の水晶球を使い、探索に臨む仲間をサポートしながら進む。目指すは2層への階段だ。
1層から、ハンター一行は手堅く進む。
前方にてサバイバルスキルを働かせるルンルンは、罠、敵の出現を警戒しつつマッピングも行うと忙しない。
すでに探索済みの1層目であっても、場所によっては雑魔の気配が漂い、気を抜くことができない。
「ひあっ」
突如、紫苑が甲高い声を上げる。
曲がり角の向こうから、這いずるようにミミズ雑魔がこちらへと迫ってきたのだ。
ハンター達は逃げることも考えたが、遠方に別の雑魔の姿を見たメンバーはやむなくそのミミズ雑魔を迎え撃つ。
数分の交戦の後、ハンター達は無難にその雑魔を撃破することとなる。
「できれば、消耗は避けたいところですけどね」
ルンルンが言うように、未踏の領域で動けなくなってしまう状況だけは避けたい。
だが、その後は何事もなく探索を進め、一行はすでに地図で記されていた階段を下りて下層へと向かう。
その先頭を請け負っていたのは、オーラ状の障壁を展開しながら進むアシェ-ルだ。
似たような通路が続く迷宮を、続く陽が迷わぬよう見回しつつ歩く。
この通路に、まよいは方向感覚を働かせて先へと進む。
それだけでは不安だと感じた彼女はロープを短く切ったものを落とし、道しるべにしながら進む。
2ヶ所の分岐の間くらいのペースでそれを落とし、まよいは目印代わりにしていたようだ。
さて、探索で注意すべきは曲がり角。
先ほど、ミミズ雑魔の強襲から逃れられなかったこともあり、ルンルンは交差点へと差し掛かるごとに斥候を行っていたが……。
「ひあっ」
再び、紫苑が驚きの声を上げる。
というのは、全長3mもあるモグラ雑魔がこちら目掛けて突進して来ていたのだ。
モグラの食料は一般的には昆虫、ミミズだという。
1層にいたミミズ雑魔を食料として食べていても、なんら不思議ではない。
いや、こちらが先に雑魔となっていて、ミミズも雑魔となったのか……。
「これは避けられそうにないね」
瞳から強い輝きを放つまよい。
覚醒した彼女の全身は見えないオーラによって吹き上げられているかのように、髪や服が靡く。
「……私、前に出ますね!」
先ほどもうまく、ミミズ雑魔を牽制していたアシェ-ル。
桃色の幾何学模様を周囲に浮かんでは消えさせる彼女はまた、ここぞとまた鎧の力を見ようと、仲間を守るようにモグラの前へと立ちはだかるのだった。
●
迷宮に巣食う雑魔。
これらがなぜ、迷宮に住み着いているのかは分からない。
元々いたものが雑魔化したと考えるのが、自然ではあるのだが……。
ともあれ、考えるより先に目の前のモグラ雑魔を撃破せねばならない。
「ルンルン忍法、発動です!」
ルンルンが宙に投げ飛ばした符が稲妻となり、モグラ雑魔の体を貫いていく。
だが、雑魔も狂ったように麻痺毒を含んだ爪を薙ぎ払ってくる。
「防御魔術師参上です!」
それを、前線のアシェ-ルが食い止めようとした。
食い込む刃は彼女の体に痺れを駆け巡らせるが、それでも魔導ガントレットを突き出すように構えて。
「私の後ろには、行かせませんからね!」
全身に光を纏って相手の麻痺毒に対する耐性をつけ、アシェ-ルは戦線維持の為に立ち回る。
まよいも電光楽器「パラレルフォニック」を手にして穏やかで静かな歌を歌い、仲間の抵抗力を高めようとしていた。
そして、強く青い輝きを瞳から発していた紫苑。
彼女は前線のアシェ-ルを中心に、光を纏わせて防御力の向上をはかる。
「一気に攻め崩したいね」
陽は攻撃役として、機械式懐中時計「白金」を介して雷撃を発し、相手へと逆に麻痺を与えようとする。
そして、髪から七色の光を発するミオレスカも銀製の銃身を持つ魔導拳銃「エア・スティーラー」を構えて弾丸を叩き込む。
暴れるように突っ走るモグラ雑魔。確かに、これまでの雑魔に比べると少々手強い。
「簡単には、掛かりませんからね!」
アシェ-ルがその後も抑え続ける間に、紫苑は相手の隙を見て攻撃に出る。
「火力的には、あまりお役に立てないかもしれませんが……」
光の弾を飛ばすことで、紫苑はモグラ雑魔に対してダメージを増やしていたようだ。
光の三角形を展開した陽も相手目掛けて光線を発射し、自分より大きな雑魔の体を撃ち貫く。
続き、ミオレスカが高加速射撃で相手の頭を穿つ。
決定的な一撃と思われたが、モグラ雑魔はしぶとく爪を振るってくる。
ただ、雑魔が気づいた時には、すでにルンルンが符を相手の周囲に投げつけ、結界を張り巡らしていた。
眩い光で焼かれるモグラ雑魔。元々光に弱い生物だが、雑魔となっていたこともあって効果は覿面。
光で全身の自由を奪われるモグラ雑魔が動きを止めたところで、まよいが錬金杖「ヴァイザースタッフ」を振るい、光るエネルギーの矢を飛ばす。
フォースリングの力でマテリアルの力を増幅し、彼女は5本もの矢を一度に飛ばしてモグラ雑魔の体へとぶつけていく。
ついにはモグラ雑魔もその身を横たえ、ゆっくりと全身を消していったのだった。
●
モグラ雑魔を撃破し、探索領域を広げるハンター一行。
「罠、ありませんように」
先頭のアシェ-ルは、魔導ガントレットで足元をツンツンと突きながら歩く。
交差点に差し掛かっても、アシェ-ルは変わらずツンツンとついていたのだが。
「あっ……!」
ただ、ミオレスカが乗ったタイミング、メンバーを乗せた床が大きく回転する。
方向感覚を鈍らせようとする罠。
見れば、近場に白骨化した遺体もあり、この地から出られず命を落とした者が眠っていた。
「壁に落書きがあったりして。あ……ダイイングメッセージだったら嫌ですね~」
そんなアシェ-ルの言葉もあり、陽が周囲を見ていたが、どうやらそれらしいメッセージは残されてはいなかった。
「なす統べなく、雑魔などに食い尽くされてしまったのだろうね」
「ともあれ、弔いたいところですが」
身元が分かりづらいほど遺体は荒らされていたが、聖導士である紫苑が祈りを捧げた。
遺体の回収は後回しにし、ハンター一行はこの場を立ち去ることとする。
改めて、一行が対策すべきは回転床であった。
たまたま交戦時にこの床を踏むことなく戦うことができたのはいいが、対策を練らずに乗るのは非常に危険だ。
「私、魔術師ですけど、頭使うのはちょっと苦手で」
彼女はそれ以上床に触れず、マジックフライトの付与でこの場をやり過ごすことを提案する。
「そんな必要はありません」
だが、しばらく考えていたルンルンが首を横に振る。
全身にマテリアルを巡らせた彼女は壁を歩き、地図と周囲の地形を見比べてやり過ごす。
「私を目印に……こっちですよ」
回転するのは、交差点の床のみ。だからこそ、大丈夫とルンルンは踏む。回転床は踏んでいないので、念の為。
実際、道順はルンルンの言うとおり。
2,3度あった回転床も同様に、メンバー達はやり過ごすことができていたようだ。
その後、ハンター達は、通路を塞ぐように現われる宝箱を2つ発見する。
それぞれ鍵はかかっていたものの、ルンルンが開錠していく。
「凄いですよ! きっと世紀の大発見ですよ。ナウ開けましょう」
アシェ-ルは罠の可能性を考えて身構えていたが、それらしきトラップはかかっていなかったようだ。
お金は合わせて、8万Gほど。
宝に入っていたのは、エペ、スタッフ、ガントレットにネックレス。後ほど、地上に出てから迷宮探索の功労者へと分配する形をとる。
さらに、メンバーは探索を進め、蛇雑魔2体との交戦を経て。
「お怪我は……大丈夫ですか?」
紫苑は傷つくメンバー……特にアシェ-ルやルンルンへと、ヒールでの癒しに当たる。
ヒールはスペルロザリオ「エレオス」の助けもあり、幾分高い効力を発揮してくれた。
「助かるのです」
「これでまた戦えますね!」
癒しを受けたアシェ-ルやルンルンは絶賛しながらも、先へと進む。
そして、そのルンルンはある程度歩いたところで首を捻る。
「マッピングをしていると、ここの埋まってない所が気になるのです」
地図を描いていた彼女は、1層目と現在歩く2層目を照らし合わせ、昇降機の位置を割り出す。
「そろそろ、消耗も大きくなってきているね」
戻る事を考えれば、余力はギリギリラインとまよいは考えていたのだが、もう少しだけハンター達は歩を進める。
飛び回る雑魔の群れをやり過ごし、あるいは戦いつつ、一行が進むと。
「これは……」
陽は前回の探索で1層目の昇降機を確認していたが、それが止まる事のできそうなスペースを前方に発見する。
残念ながら、1層目にカゴは取り残されている状況。
また、壁の操作番などを触っても動く様子がない。どうやら、動力不足のようだ。
「んー、どこかマテリアルを込められる動力部があればいいのだけどね」
まよいは初めて見るこの装置を見つめ、主観を語る。
だが、生憎とメンバー達も幾度か雑魔との交戦を重ね、生命力やスキルの消耗が重なってきている。
今回はこれを発見しただけよしとし、一行は引き返すことに決めたのだった。
●
その後、帰り道で白骨遺体を回収した一行は蛇雑魔2体との交戦を1度経て、1層へと戻っていく。
さらに、遺体を運ぶ都合上コウモリ雑魔と交戦を行い、メンバー達は地上へと出ることとなる。
「皆さん、お疲れ様でした」
ミオレスカが息つくメンバーを気遣うと、陽がタバコを吹かして一言。
「大きな成果があったとは言いがたいが……」
とはいえ、宝を回収できたし、昇降機を発見したことで、ハンターズソサエティから追加報酬が出るはずだ。
合わせれば、各自の報酬は追加で2万G弱。
発見した4つのアイテムは話し合いの結果、まよい、アシェ-ル、紫苑、ルンルンで分配することとなった。
「後は、探索結果を纏めないとですね!」
ルンルンは手書きの地図に視線を落としつつ、資料の纏めへと当たっていたようだった。
依頼結果
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相談卓 夢路 まよい(ka1328) 人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/05/25 18:17:07 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/05/25 18:03:46 |