ゲスト
(ka0000)
暑さをしのぎに森林浴へ
マスター:秋月雅哉
みんなの思い出? もっと見る
オープニング
●森の中は比較的涼しいらしいので
夏も真っ盛り、うだるような暑さの中。討伐の仕事も大事だが夏バテで十全の力を尽くせなくては意味がないしいらない危険も起きてしまう。
というわけで。
「森林浴に行かないか、みんなで。森の真ん中あたりにそこそこ大きな湖があってね、水浴びなんかもできるんだ。あぁ、頼むからその際は水着着用でね。森の中というのは葉っぱで日影が作られているし、なんとなく体感気温が街より低いと聞く。まだまだ夏は続くわけだし暑さにだれる前に涼みに行こう、というお誘いなのさ」
午前中に森に到着、帰ってくるのは日が落ちてから。ずっと遊んでいても構わないし昼だけ、夕方だけと顔を出す時間を区切っても構わない。
街からそう離れていない場所にある森なので、少しくらいなら遅くまでいても帰ってくるのは楽。火の始末に気を付けて花火をするのも夏らしさが出ていいかもしれない。
「湖のほかは……夏の間が見ごろだっていう、白い花が一面に咲いた花畑があるそうだよ。花畑といっても野に自然にできたものだけれど。他の種類の花も咲いているから花冠を作ったり花束にするのもいいんじゃないかな。小ぶりな花で多重咲というのかな、花弁が何枚も集まっているものと一重咲きのシンプルなものが入り乱れている。同じ白でもどちらをベースにするかにするかで趣は変わると思うよ」
あとは野鳥の観察なんかもできそうかなぁ、僕はあまり詳しくないんだけどね、鳥。鳴き声が綺麗なのがいるみたいだし、虫の声に耳を傾けてもいいと思う。
きたるべく休みの日に備えて書類をさばきながらルカは顔をあげて少しだけ悪戯っぽく笑って見せた。
「ま、難しいことは考えずに日がな一日、のんびりしようってお誘いさ。友人や恋人を誘って素敵な一日にしようじゃないか」
夏も真っ盛り、うだるような暑さの中。討伐の仕事も大事だが夏バテで十全の力を尽くせなくては意味がないしいらない危険も起きてしまう。
というわけで。
「森林浴に行かないか、みんなで。森の真ん中あたりにそこそこ大きな湖があってね、水浴びなんかもできるんだ。あぁ、頼むからその際は水着着用でね。森の中というのは葉っぱで日影が作られているし、なんとなく体感気温が街より低いと聞く。まだまだ夏は続くわけだし暑さにだれる前に涼みに行こう、というお誘いなのさ」
午前中に森に到着、帰ってくるのは日が落ちてから。ずっと遊んでいても構わないし昼だけ、夕方だけと顔を出す時間を区切っても構わない。
街からそう離れていない場所にある森なので、少しくらいなら遅くまでいても帰ってくるのは楽。火の始末に気を付けて花火をするのも夏らしさが出ていいかもしれない。
「湖のほかは……夏の間が見ごろだっていう、白い花が一面に咲いた花畑があるそうだよ。花畑といっても野に自然にできたものだけれど。他の種類の花も咲いているから花冠を作ったり花束にするのもいいんじゃないかな。小ぶりな花で多重咲というのかな、花弁が何枚も集まっているものと一重咲きのシンプルなものが入り乱れている。同じ白でもどちらをベースにするかにするかで趣は変わると思うよ」
あとは野鳥の観察なんかもできそうかなぁ、僕はあまり詳しくないんだけどね、鳥。鳴き声が綺麗なのがいるみたいだし、虫の声に耳を傾けてもいいと思う。
きたるべく休みの日に備えて書類をさばきながらルカは顔をあげて少しだけ悪戯っぽく笑って見せた。
「ま、難しいことは考えずに日がな一日、のんびりしようってお誘いさ。友人や恋人を誘って素敵な一日にしようじゃないか」
リプレイ本文
●森林浴と水遊びで過ごす休日
ハンターオフィスのある街から少し離れた森。森林浴に向いているというだけあって木の葉が程よく生い茂り、木漏れ日の網目のような光が美しい。
森の中は静かなのかと思えば鳥のさえずり、虫の鳴き声、木の葉のざわめきと自然界ならではの音に満ちていて。
少し足を延ばせば花畑があったり、森の小道はどこまでも続いていたりとその気になれば一日かけて遊べる、自然物だけでできた娯楽施設といったところだろうか。
今日はそんな中にハンターたちの歓声も混じっている。暑い中、水温が少し低めの湖で水遊びをしているメンバーだろう。
水はきれいに澄んでいて水底まで見通せる透明度。なかには水棲生物もちらほらと。
【ざくろ】のメンバーはそれぞれとっておきの水着で今日に臨んでいた。
前から見るとワンピースに、後ろから見るとビキニに見える黒のモノキニ水着をきた舞桜守 巴(ka0036)は今回はちょっと引いた位置に立っている。
なぜかというと水温が低いこの湖で体が冷えてしまった同伴者たちを温めるため。
「みんなで騒ぐのはいいですねぇ」
「えぇ、本当に。さて、これからまた暑くなるようですし、涼みにはちょうどいいかもしれませんね。だんだん水着のお披露目会じみてきている気がしますが……」
アデリシア=R=エルミナゥ(ka0746)は白いワンピースの水着。本人曰く少し地味目。
(三十歳が見えてくると扇情的すぎるのはちょっと度胸がいりますねぇ……家の中だけならまだいいんですけど)
そんなことを心の中で呟いて。
「お茶とお弁当も用意しましたからね。遊び疲れたら一休みしましょう」
夜になったら花火ですから、とみんなに声をかけて。
水着で水浴びということはまた日焼け跡の季節がやってきたのか、と八剱 颯(ka1804)は水遊びを【ざくろ】のメンバーと楽しみながら日に焼けていないかチェック。
ここ最近の暑さを考えれば少し低めの水温はかえってちょうどよく感じた。
「冷えてしまったらお時ちゃんに温めてもらえばよいだけですし」
「あら、冷えちゃいましたか? こちらにいらっしゃいます?」
「まだ大丈夫ー」
「冷えてしまったら遠慮なくお越しくださいね? ふふ」
白山 菊理(ka4305)はシンプルな白のワンピースに身を包んで足だけを水面につけて時折跳ね上げて輝く水しぶきを眺めていた。
夫とそのハーレムたちはわちゃわちゃと楽しそうにしている。
「平和だな……」
アルラウネ(ka4841)は森の中の湖にハンターになる前のころを思い出していた。
布面積控えめな大胆なリングバンドゥの水着で不意打ちで夫に抱き着いたりする。
時音 ざくろ(ka1250)はそんな攻撃にあわあわと顔を真っ赤に。この暑さだし愛しい人たちに涼んでもらえたら
うれしいし、水着姿は眼福だし、と思ったらしいが不意打ちには弱い。
「水かけといえどまけませんよ? えいっ」
「はわわわわっつめた!」
サクラ・エルフリード(ka2598)に水をかけられて追撃が決まる。
そのあともみんなで水を掛け合ったり追いかけっこをしたりと楽しく過ごすのだった。
レイオス・アクアウォーカー(ka1990)は湖が広いのをいいことにそんな一同からは少し離れた場所で一人で水浴び。水着は真っ赤なボクサータイプ。
「海水浴はこっちでも何度か行ったが、湖で泳ぐのは初めてだな」
湖で泳いだこと自体はあったのだがその時は歪虚と水中戦をやっていたからノーカン扱いしたいというのはある。
遊ぶための水浴びは今回が湖では初めて、ということで湖を観察。
「透明度も冷たさも文句なしだ」
日差しは痛いくらいに照りつけていて、水はどこまでも透明で冷たい。格好の水浴びスポットといえるだろう。
泳ぎ飽きたらレジャー用のゴムボートに乗って一休み。湖の底に沈めて冷やしておいたビールでのどを潤しながら時を過ごす。
「自然のクーラーが利いた場所で飲むビールはまた格別だな」
最高の贅沢だ、とほう、とため息をついて夏のひと時を満喫しておくことにした。これからはまた歪虚との戦いで忙しい日々になることだろう。
雨月彩萌(ka3925)は黒の競泳水着を着て湖で泳いでいた。学生時代は水泳部だったこともあって昔のように泳ぎたかったのだ。
「水の冷たさ、ただひたすらに泳ぐ感覚。懐かしく、心地よいですね」
そんな彩萌に勝手についてきて妹の写真撮影をしているのは雨月 藍弥(ka3926)でぱっと見少々怪しい。
フルセットの撮影器具をそろえて全力でシャッターを切る。
(美しい水着姿を目に焼き付け、フィルムにも落とさないと……最高の角度……ここだ!」
当然撮影器具はすべて防水使用で愛しい妹しか撮る気なし。
撮影を終えて一仕事した、という顔の兄から妹は無情にも撮影機材を没収。
「許可なく撮影した代物をわたしが見逃すと思いましたか?」
「浴衣を用意したんだ、絶対にジャストフィットするし似合うからどうか着てください……そして写真を」
「寝言は寝るか死んでから言ってください」
頭を踏みつけながら自分の用意した着替えに着替えようとしたが、草のシミで汚れてしまっていた。
「……今回だけですからね」
実はこっそり草の汁を垂らしておいた張本人、藍弥は素知らぬ顔でガッツポーズするのだった。
レイア・アローネ(ka4082)はブリジット(ka4843)に用意された水着で二人で水浴び。
暑くてゆだってしまいそう。きっかけはそんな一言だったと思う。それをレイアからすればおせっかいという形容詞のつく友人に聞かれたのが今回の水浴びにつながった。
「なぜ、こうなった……?」
「まぁ、たまにはいいでしょう」
普段から仕事漬けのレイアを引っ張ってきたブリジットはせっかくだから楽しみましょう、と朗らかだ。
「お互いの仕事を考えたら、無茶はするなとは言いません。でも、無理はだめですよ。たまにはリフレッシュするのも必要です」
張りつめっぱなしの糸はすぐきれてしまうのですから。
「ま、感謝しておこう」
「はい」
玉兎・恵(ka3940)と玉兎 小夜(ka6009)は夫婦で散歩。
「こうして遠出するのも久しぶりですね」
大きくなった自分の腹部をなでながら小夜に連れられて歩く。
(あとひと月もしないうちに私も母親……感慨深いです。一応、転移前の学校も卒業している時期ですが……驚くだろうなぁ……)
「転ばないように気を付けて。久しぶりのデートだから、めいっぱい甘えてくれたらうれしい。あぁ、木の根で足場がよくないな。しっかりつかまって?」
気を遣う夫に恵は嬉しさから笑顔が咲きこぼれる。
(……もしも変な外敵が来たら近寄ってくるまえに切り伏せないと)
夫がそんな物騒なことを考えているとはつゆ知らずに久しぶりのデートを楽しんで。
「ここらへんで休憩にしよっか。結構歩いたもんね」
いい感じの木陰を見つけたら布を敷いて一休み。恵をみていると小夜の無表情が少しだけ和らぐのは本人も自覚済み。それだけ愛している人と自分の子供がもうじき生まれるのだな、と思うとそれはとても幸せなことだった。
「次に出かけるのはきっと三人でですね。もっと幸せになりましょうね♪ 私たち」
「……もちろん。君の望むままに」
ディーナ・フェルミ(ka5843)は調子っぱずれに自作の歌を歌っていた。
「夏の~野山は~食材いっぱい~私の野生が火を噴くの~」
ここに来たのは水浴びのためでも森林浴のためでも、花を眺めるためでもなく食材を手にするため。そして調理して食べるため。
移動中にヒユ、オオバコ、虎杖、ホタルブクロの若芽や花を摘んで。ヤマユリやササユリの鱗茎は観賞する人がいるかもしれないから群生地の端から少量採取。
大回りして湖にたどり着いたら食材を手際よく洗い。
若芽は素揚げ、花は簡単におひたしに。鱗茎は洗ってゆでて街から持ち込んだ乾燥野菜とジャーキーでスープを作ってパンと一緒に実食。
「森林浴と山野草で元気モリモリなの。類似した毒草があるものは基本避けてるし失敗してもキュアとヒールで何とかなるの」
実にアクロバティックで一風変わった休日を満喫したようだった。
レオナ(ka6158)は暑いので湖畔を通って涼みつつ、森を抜けて白い花が主に咲くという花畑のほうへ。お供はダックスのアニーとパルムのマイリ。
野鳥の声に耳を傾けて散歩する。
アニーたちは気の向くままに歩かせて自身は木の香りを吸い込む。
「故郷の森みたい……懐かしい。久しぶりに帰ってみるのもいいかな」
花畑についたらアニーとマイリの首飾りをマイリと一緒に作成。
カンテレをつま弾きながら懐かしい歌を心行くまで、鳥や虫の声と重ねて響かせて。
「……こんな休日もいいものですね」
そんな歌を、ユメリア(ka7010)はすこし離れた場所で聞いていた。広い森だが人工的な音があまりしないので人の声というのは意外と通るのだ。
香りを楽しみ、森のささやきや水のせせらぎ、鳥の声に身をゆだね自然の音楽を楽しんでいたらそれと調和する歌声。
「……一緒に歌ったら、ご迷惑でしょうか」
けれどハンターとして活動し始めたばかりでまだ知り合いも少ない。誰かと仲良くしたくて今日ここに来たというのもあって。
「素敵な歌、ですね」
「あら……ありがとう。貴方も誘われてこちらに?」
「はい、お友達が増えないかなって……私も歌っていいでしょうか」
他の人たちが楽しむ姿を見て曲を作ったのだと少し緊張しながら切り出せば、それなら是非聞かせてほしいと柔らかな声。
二人で交互に、時折一緒に歌って。花畑の花の香りを吸い込む。
「花の香りを楽しむのも、森の香りを吸い込むのも好きです。香りの成分を調べたら調香の勉強にもなるかしら」
「きっと心を落ち着かせる香りになるでしょうね」
袖振り合うも他生の縁。小さな出会いに二人は遠慮がちに微笑み合う。
森の中、夜桜 奏音(ka5754)は木漏れ日を通して風を感じながら歩いていた。
「風も、街中に比べて低めの気温も心地いいですね。暑いことには変わりないですが街中に比べると涼しいし、少しだけ故郷を思い出す気がします」
こうやってただ散策するのもリラックスできるものだな、と歩いて、時々休憩して。
夜になったら誰かを誘って花火をしよう。そんな計画を立ててもうしばらく森の中をさまよう。
●日は落ちて夜になれば
ゆっくりと時間は経過し、夏の長い昼は夕暮れへと移行する。赤い夕日が沈み、徐々に空の青は群青へ、そして夜空の藍へと変わって。けれどこの時間を心待ちにしていたメンバーも何人かいた
夏といえば夜にも楽しみは多い。例えば虫の声に耳を傾けたり、花火を楽しんだり。
日の始末にしっかり気を付けることという当然の注意はされたが花火自体は禁止されていなかったし、せっかく自然の中にいるのだからと虫の声に涼を求めるのも一興。
「確かにこの世に存在する『命』か」
龍崎・カズマ(ka0178)とヘルヴェル(ka4784)はそんな夜の涼を楽しむために昼はのんびり過ごして夜を待っていた。
竹のシーツがあったのでそれを敷いて虫の声に耳を傾ける。
ヘルヴェルとともに酒を酌み交わし、アルコールが回ったら横になる算段。
ヘルヴェルは浴衣で横になるなら膝枕しましょうか、なんてといかけて。
二人のそばにはうちわと木につるした風鈴、足元には桶に水と氷。ガラスの徳利の中にはキンキンに冷えた清酒。
それから互いの好みのおつまみ。
「昼間通った水辺はとても賑やかでしたが……こういった涼み方もいいですねぇ」
風情があります、と穏やかに続けてカズマにうちわで風を送り。
「諸々と考えることはあるけどな。これからのこととか。とはいえ、今は『今』を実感するべきか」
触れているもの、実感できるもの。今ここにあるもの、今を作り上げているものすべてを。
ヘルヴェルに膝を借りて横になって目を閉じれば何も見えないけれど確かにここにあるし聞こえる命がある。
そして命を感じ取る自分も生きている。
(そういった実感を、絶対に忘れないようにしないとな……)
夢路 まよい(ka1328)は燃え移るものを極力避けて湖の際で火の始末に困らないように手持ち花火の真っ最中。
線香花火のぱちぱちと燃え、ポトっと落ちるのをぼんやり眺める。それから。
「あー、あれもやってみたいな。吹き出すタイプの花火で、絵とか文字とかを書いて写真にとるやつ! ハートマークとか書いてみたい!」
けれど誰かまよいが花火で書いたハートマークを取ってくれる人が必要なわけで。
「カメラ預かってくれる人いるかなぁ?」
暗闇にぬぅっと浮かんだ白い影にすわ、幽霊かと身構えればそれは白衣を着たルカ・シュバルツエンド(kz0073)で。
「あ、ちょうどよかった。写真撮ってほしいんだけど」
「僕機械音痴なんだよね。大丈夫だと思うかい?」
「……タイマー機能ないか探すか、他当たろうかな!」
「……うん、それがいいと思うよ」
この青年、機械と料理はめっぽう苦手らしい。ごめんね、びっくりさせた上に役に立てなくて。そう軽く頭を下げてルカは散策に戻ったのだった。
「あ、写真を撮るならお手伝いしましょうか?」
そんな一幕を見ていて声をかけたのは奏音。
「いいの?助かる―。花火でハートマーク書いたの、写真に撮ってるのをみてさ、やってみたかったんだ!」
「あ、それはすごく楽しそうですね、撮影頑張ります」
「いくつか花火余ってるし、一緒にやる?」
撮影をしてくれるお礼に花火をシェアしようと持ち掛ければ奏音も承諾して。
花火をしつつ湖に浮かぶ月の影を眺めたり景色を楽しむ。
「このような場所で花火をするのも乙なものですね」
昼間一番賑やかに過ごした【ざくろ】のメンバーは、まだまだ元気いっぱいに花火を楽しんでいた。
巴はザクロに近い正妻ポジションを死守しようと躍起になりながら「来年もみんなで花火をしたいものです」と微笑んで。
「延焼したら大変なのですから、後始末をしっかりしないとダメですよ」
アデリシアは火消し用の水の用意をぬかりなく。
ざくろは花火大会そのものよりも花火の光で照らされた皆の姿が綺麗だとほほを染めて眺めながらも花火自体も楽しんで。
サクラは派手なものではなく線香花火などの落ち着いた花火を好むのかまったりとした時間を過ごす。
「ふう、こういう時間もいいものです。普段、いろいろと騒がしいことが多いですし」
人数の関係上、静かな時間といってもそれなりに賑やかではあったのだけれどそれはそれ。
アルラウネは水着にパーカーを羽織って昼から遊び通しだし、と飲み物を多めに持っていたので給水係のように水分補給をさせる。
そんな風に各々が各々らしく休日を過ごして、思い思いの時間に解散して。森林浴とその周辺への観光の一日は静かに終わりを告げたのだった。
日が昇ればハンターたちはまた忙しい日々を送るだろうし、こんなささやかな休日に彼らを誘ったルカもまた書類をさばきながらハンターたちに事件が起きたことを伝えてどうか無事に、と戦いの場に送り出す、ハンターたちの日常が待っているのだろう。
けれどハンターだって人間なのだ。ときにはこんなふうに羽目を外したり、のんびり息抜きをしたっていいはず。
「だからまた、機会を見つけて皆を誘って遊びに来たいものだね。むごたらしい事件の後始末や討伐ばかりでは気も滅入るというものさ」
いつもどこかひょうひょうとした素振りの銀髪の青年は誰もいなくなった森でそんなことを独り言ちる。
そんな姿を通行人が目撃したらしく、あの森には白いお化けが出る。そんな噂がしばらく漂ったとか漂わかなったとか。
そんなことは今は誰も知らず。ゆえに、休日はおおむね楽しく過ごせたという表情をハンターたちにもたらしたのだった。
夏のひと時、仲間と作った思い出の一ページはきっとそれぞれの胸の心のアルバムにそっと彩を添えたことだろう。
ことあるごとに変な依頼や息抜きに誘い出す、まじめなのか不真面目なのわからない仲介屋の心にも、きっと。
ハンターオフィスのある街から少し離れた森。森林浴に向いているというだけあって木の葉が程よく生い茂り、木漏れ日の網目のような光が美しい。
森の中は静かなのかと思えば鳥のさえずり、虫の鳴き声、木の葉のざわめきと自然界ならではの音に満ちていて。
少し足を延ばせば花畑があったり、森の小道はどこまでも続いていたりとその気になれば一日かけて遊べる、自然物だけでできた娯楽施設といったところだろうか。
今日はそんな中にハンターたちの歓声も混じっている。暑い中、水温が少し低めの湖で水遊びをしているメンバーだろう。
水はきれいに澄んでいて水底まで見通せる透明度。なかには水棲生物もちらほらと。
【ざくろ】のメンバーはそれぞれとっておきの水着で今日に臨んでいた。
前から見るとワンピースに、後ろから見るとビキニに見える黒のモノキニ水着をきた舞桜守 巴(ka0036)は今回はちょっと引いた位置に立っている。
なぜかというと水温が低いこの湖で体が冷えてしまった同伴者たちを温めるため。
「みんなで騒ぐのはいいですねぇ」
「えぇ、本当に。さて、これからまた暑くなるようですし、涼みにはちょうどいいかもしれませんね。だんだん水着のお披露目会じみてきている気がしますが……」
アデリシア=R=エルミナゥ(ka0746)は白いワンピースの水着。本人曰く少し地味目。
(三十歳が見えてくると扇情的すぎるのはちょっと度胸がいりますねぇ……家の中だけならまだいいんですけど)
そんなことを心の中で呟いて。
「お茶とお弁当も用意しましたからね。遊び疲れたら一休みしましょう」
夜になったら花火ですから、とみんなに声をかけて。
水着で水浴びということはまた日焼け跡の季節がやってきたのか、と八剱 颯(ka1804)は水遊びを【ざくろ】のメンバーと楽しみながら日に焼けていないかチェック。
ここ最近の暑さを考えれば少し低めの水温はかえってちょうどよく感じた。
「冷えてしまったらお時ちゃんに温めてもらえばよいだけですし」
「あら、冷えちゃいましたか? こちらにいらっしゃいます?」
「まだ大丈夫ー」
「冷えてしまったら遠慮なくお越しくださいね? ふふ」
白山 菊理(ka4305)はシンプルな白のワンピースに身を包んで足だけを水面につけて時折跳ね上げて輝く水しぶきを眺めていた。
夫とそのハーレムたちはわちゃわちゃと楽しそうにしている。
「平和だな……」
アルラウネ(ka4841)は森の中の湖にハンターになる前のころを思い出していた。
布面積控えめな大胆なリングバンドゥの水着で不意打ちで夫に抱き着いたりする。
時音 ざくろ(ka1250)はそんな攻撃にあわあわと顔を真っ赤に。この暑さだし愛しい人たちに涼んでもらえたら
うれしいし、水着姿は眼福だし、と思ったらしいが不意打ちには弱い。
「水かけといえどまけませんよ? えいっ」
「はわわわわっつめた!」
サクラ・エルフリード(ka2598)に水をかけられて追撃が決まる。
そのあともみんなで水を掛け合ったり追いかけっこをしたりと楽しく過ごすのだった。
レイオス・アクアウォーカー(ka1990)は湖が広いのをいいことにそんな一同からは少し離れた場所で一人で水浴び。水着は真っ赤なボクサータイプ。
「海水浴はこっちでも何度か行ったが、湖で泳ぐのは初めてだな」
湖で泳いだこと自体はあったのだがその時は歪虚と水中戦をやっていたからノーカン扱いしたいというのはある。
遊ぶための水浴びは今回が湖では初めて、ということで湖を観察。
「透明度も冷たさも文句なしだ」
日差しは痛いくらいに照りつけていて、水はどこまでも透明で冷たい。格好の水浴びスポットといえるだろう。
泳ぎ飽きたらレジャー用のゴムボートに乗って一休み。湖の底に沈めて冷やしておいたビールでのどを潤しながら時を過ごす。
「自然のクーラーが利いた場所で飲むビールはまた格別だな」
最高の贅沢だ、とほう、とため息をついて夏のひと時を満喫しておくことにした。これからはまた歪虚との戦いで忙しい日々になることだろう。
雨月彩萌(ka3925)は黒の競泳水着を着て湖で泳いでいた。学生時代は水泳部だったこともあって昔のように泳ぎたかったのだ。
「水の冷たさ、ただひたすらに泳ぐ感覚。懐かしく、心地よいですね」
そんな彩萌に勝手についてきて妹の写真撮影をしているのは雨月 藍弥(ka3926)でぱっと見少々怪しい。
フルセットの撮影器具をそろえて全力でシャッターを切る。
(美しい水着姿を目に焼き付け、フィルムにも落とさないと……最高の角度……ここだ!」
当然撮影器具はすべて防水使用で愛しい妹しか撮る気なし。
撮影を終えて一仕事した、という顔の兄から妹は無情にも撮影機材を没収。
「許可なく撮影した代物をわたしが見逃すと思いましたか?」
「浴衣を用意したんだ、絶対にジャストフィットするし似合うからどうか着てください……そして写真を」
「寝言は寝るか死んでから言ってください」
頭を踏みつけながら自分の用意した着替えに着替えようとしたが、草のシミで汚れてしまっていた。
「……今回だけですからね」
実はこっそり草の汁を垂らしておいた張本人、藍弥は素知らぬ顔でガッツポーズするのだった。
レイア・アローネ(ka4082)はブリジット(ka4843)に用意された水着で二人で水浴び。
暑くてゆだってしまいそう。きっかけはそんな一言だったと思う。それをレイアからすればおせっかいという形容詞のつく友人に聞かれたのが今回の水浴びにつながった。
「なぜ、こうなった……?」
「まぁ、たまにはいいでしょう」
普段から仕事漬けのレイアを引っ張ってきたブリジットはせっかくだから楽しみましょう、と朗らかだ。
「お互いの仕事を考えたら、無茶はするなとは言いません。でも、無理はだめですよ。たまにはリフレッシュするのも必要です」
張りつめっぱなしの糸はすぐきれてしまうのですから。
「ま、感謝しておこう」
「はい」
玉兎・恵(ka3940)と玉兎 小夜(ka6009)は夫婦で散歩。
「こうして遠出するのも久しぶりですね」
大きくなった自分の腹部をなでながら小夜に連れられて歩く。
(あとひと月もしないうちに私も母親……感慨深いです。一応、転移前の学校も卒業している時期ですが……驚くだろうなぁ……)
「転ばないように気を付けて。久しぶりのデートだから、めいっぱい甘えてくれたらうれしい。あぁ、木の根で足場がよくないな。しっかりつかまって?」
気を遣う夫に恵は嬉しさから笑顔が咲きこぼれる。
(……もしも変な外敵が来たら近寄ってくるまえに切り伏せないと)
夫がそんな物騒なことを考えているとはつゆ知らずに久しぶりのデートを楽しんで。
「ここらへんで休憩にしよっか。結構歩いたもんね」
いい感じの木陰を見つけたら布を敷いて一休み。恵をみていると小夜の無表情が少しだけ和らぐのは本人も自覚済み。それだけ愛している人と自分の子供がもうじき生まれるのだな、と思うとそれはとても幸せなことだった。
「次に出かけるのはきっと三人でですね。もっと幸せになりましょうね♪ 私たち」
「……もちろん。君の望むままに」
ディーナ・フェルミ(ka5843)は調子っぱずれに自作の歌を歌っていた。
「夏の~野山は~食材いっぱい~私の野生が火を噴くの~」
ここに来たのは水浴びのためでも森林浴のためでも、花を眺めるためでもなく食材を手にするため。そして調理して食べるため。
移動中にヒユ、オオバコ、虎杖、ホタルブクロの若芽や花を摘んで。ヤマユリやササユリの鱗茎は観賞する人がいるかもしれないから群生地の端から少量採取。
大回りして湖にたどり着いたら食材を手際よく洗い。
若芽は素揚げ、花は簡単におひたしに。鱗茎は洗ってゆでて街から持ち込んだ乾燥野菜とジャーキーでスープを作ってパンと一緒に実食。
「森林浴と山野草で元気モリモリなの。類似した毒草があるものは基本避けてるし失敗してもキュアとヒールで何とかなるの」
実にアクロバティックで一風変わった休日を満喫したようだった。
レオナ(ka6158)は暑いので湖畔を通って涼みつつ、森を抜けて白い花が主に咲くという花畑のほうへ。お供はダックスのアニーとパルムのマイリ。
野鳥の声に耳を傾けて散歩する。
アニーたちは気の向くままに歩かせて自身は木の香りを吸い込む。
「故郷の森みたい……懐かしい。久しぶりに帰ってみるのもいいかな」
花畑についたらアニーとマイリの首飾りをマイリと一緒に作成。
カンテレをつま弾きながら懐かしい歌を心行くまで、鳥や虫の声と重ねて響かせて。
「……こんな休日もいいものですね」
そんな歌を、ユメリア(ka7010)はすこし離れた場所で聞いていた。広い森だが人工的な音があまりしないので人の声というのは意外と通るのだ。
香りを楽しみ、森のささやきや水のせせらぎ、鳥の声に身をゆだね自然の音楽を楽しんでいたらそれと調和する歌声。
「……一緒に歌ったら、ご迷惑でしょうか」
けれどハンターとして活動し始めたばかりでまだ知り合いも少ない。誰かと仲良くしたくて今日ここに来たというのもあって。
「素敵な歌、ですね」
「あら……ありがとう。貴方も誘われてこちらに?」
「はい、お友達が増えないかなって……私も歌っていいでしょうか」
他の人たちが楽しむ姿を見て曲を作ったのだと少し緊張しながら切り出せば、それなら是非聞かせてほしいと柔らかな声。
二人で交互に、時折一緒に歌って。花畑の花の香りを吸い込む。
「花の香りを楽しむのも、森の香りを吸い込むのも好きです。香りの成分を調べたら調香の勉強にもなるかしら」
「きっと心を落ち着かせる香りになるでしょうね」
袖振り合うも他生の縁。小さな出会いに二人は遠慮がちに微笑み合う。
森の中、夜桜 奏音(ka5754)は木漏れ日を通して風を感じながら歩いていた。
「風も、街中に比べて低めの気温も心地いいですね。暑いことには変わりないですが街中に比べると涼しいし、少しだけ故郷を思い出す気がします」
こうやってただ散策するのもリラックスできるものだな、と歩いて、時々休憩して。
夜になったら誰かを誘って花火をしよう。そんな計画を立ててもうしばらく森の中をさまよう。
●日は落ちて夜になれば
ゆっくりと時間は経過し、夏の長い昼は夕暮れへと移行する。赤い夕日が沈み、徐々に空の青は群青へ、そして夜空の藍へと変わって。けれどこの時間を心待ちにしていたメンバーも何人かいた
夏といえば夜にも楽しみは多い。例えば虫の声に耳を傾けたり、花火を楽しんだり。
日の始末にしっかり気を付けることという当然の注意はされたが花火自体は禁止されていなかったし、せっかく自然の中にいるのだからと虫の声に涼を求めるのも一興。
「確かにこの世に存在する『命』か」
龍崎・カズマ(ka0178)とヘルヴェル(ka4784)はそんな夜の涼を楽しむために昼はのんびり過ごして夜を待っていた。
竹のシーツがあったのでそれを敷いて虫の声に耳を傾ける。
ヘルヴェルとともに酒を酌み交わし、アルコールが回ったら横になる算段。
ヘルヴェルは浴衣で横になるなら膝枕しましょうか、なんてといかけて。
二人のそばにはうちわと木につるした風鈴、足元には桶に水と氷。ガラスの徳利の中にはキンキンに冷えた清酒。
それから互いの好みのおつまみ。
「昼間通った水辺はとても賑やかでしたが……こういった涼み方もいいですねぇ」
風情があります、と穏やかに続けてカズマにうちわで風を送り。
「諸々と考えることはあるけどな。これからのこととか。とはいえ、今は『今』を実感するべきか」
触れているもの、実感できるもの。今ここにあるもの、今を作り上げているものすべてを。
ヘルヴェルに膝を借りて横になって目を閉じれば何も見えないけれど確かにここにあるし聞こえる命がある。
そして命を感じ取る自分も生きている。
(そういった実感を、絶対に忘れないようにしないとな……)
夢路 まよい(ka1328)は燃え移るものを極力避けて湖の際で火の始末に困らないように手持ち花火の真っ最中。
線香花火のぱちぱちと燃え、ポトっと落ちるのをぼんやり眺める。それから。
「あー、あれもやってみたいな。吹き出すタイプの花火で、絵とか文字とかを書いて写真にとるやつ! ハートマークとか書いてみたい!」
けれど誰かまよいが花火で書いたハートマークを取ってくれる人が必要なわけで。
「カメラ預かってくれる人いるかなぁ?」
暗闇にぬぅっと浮かんだ白い影にすわ、幽霊かと身構えればそれは白衣を着たルカ・シュバルツエンド(kz0073)で。
「あ、ちょうどよかった。写真撮ってほしいんだけど」
「僕機械音痴なんだよね。大丈夫だと思うかい?」
「……タイマー機能ないか探すか、他当たろうかな!」
「……うん、それがいいと思うよ」
この青年、機械と料理はめっぽう苦手らしい。ごめんね、びっくりさせた上に役に立てなくて。そう軽く頭を下げてルカは散策に戻ったのだった。
「あ、写真を撮るならお手伝いしましょうか?」
そんな一幕を見ていて声をかけたのは奏音。
「いいの?助かる―。花火でハートマーク書いたの、写真に撮ってるのをみてさ、やってみたかったんだ!」
「あ、それはすごく楽しそうですね、撮影頑張ります」
「いくつか花火余ってるし、一緒にやる?」
撮影をしてくれるお礼に花火をシェアしようと持ち掛ければ奏音も承諾して。
花火をしつつ湖に浮かぶ月の影を眺めたり景色を楽しむ。
「このような場所で花火をするのも乙なものですね」
昼間一番賑やかに過ごした【ざくろ】のメンバーは、まだまだ元気いっぱいに花火を楽しんでいた。
巴はザクロに近い正妻ポジションを死守しようと躍起になりながら「来年もみんなで花火をしたいものです」と微笑んで。
「延焼したら大変なのですから、後始末をしっかりしないとダメですよ」
アデリシアは火消し用の水の用意をぬかりなく。
ざくろは花火大会そのものよりも花火の光で照らされた皆の姿が綺麗だとほほを染めて眺めながらも花火自体も楽しんで。
サクラは派手なものではなく線香花火などの落ち着いた花火を好むのかまったりとした時間を過ごす。
「ふう、こういう時間もいいものです。普段、いろいろと騒がしいことが多いですし」
人数の関係上、静かな時間といってもそれなりに賑やかではあったのだけれどそれはそれ。
アルラウネは水着にパーカーを羽織って昼から遊び通しだし、と飲み物を多めに持っていたので給水係のように水分補給をさせる。
そんな風に各々が各々らしく休日を過ごして、思い思いの時間に解散して。森林浴とその周辺への観光の一日は静かに終わりを告げたのだった。
日が昇ればハンターたちはまた忙しい日々を送るだろうし、こんなささやかな休日に彼らを誘ったルカもまた書類をさばきながらハンターたちに事件が起きたことを伝えてどうか無事に、と戦いの場に送り出す、ハンターたちの日常が待っているのだろう。
けれどハンターだって人間なのだ。ときにはこんなふうに羽目を外したり、のんびり息抜きをしたっていいはず。
「だからまた、機会を見つけて皆を誘って遊びに来たいものだね。むごたらしい事件の後始末や討伐ばかりでは気も滅入るというものさ」
いつもどこかひょうひょうとした素振りの銀髪の青年は誰もいなくなった森でそんなことを独り言ちる。
そんな姿を通行人が目撃したらしく、あの森には白いお化けが出る。そんな噂がしばらく漂ったとか漂わかなったとか。
そんなことは今は誰も知らず。ゆえに、休日はおおむね楽しく過ごせたという表情をハンターたちにもたらしたのだった。
夏のひと時、仲間と作った思い出の一ページはきっとそれぞれの胸の心のアルバムにそっと彩を添えたことだろう。
ことあるごとに変な依頼や息抜きに誘い出す、まじめなのか不真面目なのわからない仲介屋の心にも、きっと。
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/07/14 03:33:06 |