ゲスト
(ka0000)
暑中おみまいもうしあげまふ
マスター:ラゑティティア

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/07/18 12:00
- 完成日
- 2018/07/22 00:52
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「ハンターさん、ちょっといいかしら?」
とある小さな町の平凡なハンターオフィス。
その日、たまたま朝早く来ていたハンター達は、受付嬢から呼び止められた。
「じつは暑中見舞いが届いていたのだけど……
宛名に特定の人物名は書かれていなかったの」
意味深に差し出される、この時季ならではの3枚のハガキ。
ハンター達もその内容を確認した。
1枚目は大きな文字で元気に書かれていた。
『ハンターたんへ! しょちゅうみまいもうしあげます!
いつもせかいをまもってくれてありがとう!
ママが、ハンターたんはすっごくつおいんだよ~って。
ぼくもつおくなれますか? どうやったらつおくなれますか?
かくしてるけど、こわがりなので、心ももっとつおくなりたいです! ユウより』
2枚目は小さく丁寧に書かれていたが、その内容はちょっぴり上から目線。
『ユウがハンターハンターうるさいから
おれもしょーがないからハガキ書いてやる!
おれからしょちゅうみまいもらえてうれちーだろ!? うれちーんだろぉ!?
ハンターのしょちゅうみまいも、うけとってやってもいいぜ!
どんなもんか楽しみだな!! オギーより』
3枚目は乙女チックに手書きのかわいいお花イラスト付き。
『……しょちゅうみまい、もうしあげます。
ハンターさんはひとりで生きていけそうだけど
恋とかしたことありますか?
わたしはユウくんのことが好きです。
どうしたらいいですか。 ゲンタより』
最後の名前を思わず二度見。
まあとにかく確かに、特定のハンターに送られたものではなさそうだ。
流れ的には、どこかでハンター達の勇姿でも聞かされて、子供達が勝手に盛り上がり、お手紙送ってみようの話題に発展し、ならばこの時季だし暑中見舞いをという結論に行きついたのだろう。
「このまま無視しちゃってもいいんだけど……
いろいろな意味で無視しづらい気がしない?」
受付嬢は本題を切り出そうとしていた
読んでしまった今ならその苦笑の意味もわかる。
「もしよければ、用事が終わってからでもお返事を書いてあげてくれないかしら?
筆記具は用意するから」
「「……」」
ハガキを託されたハンター達は無言で顔を見合わせていた。
とある小さな町の平凡なハンターオフィス。
その日、たまたま朝早く来ていたハンター達は、受付嬢から呼び止められた。
「じつは暑中見舞いが届いていたのだけど……
宛名に特定の人物名は書かれていなかったの」
意味深に差し出される、この時季ならではの3枚のハガキ。
ハンター達もその内容を確認した。
1枚目は大きな文字で元気に書かれていた。
『ハンターたんへ! しょちゅうみまいもうしあげます!
いつもせかいをまもってくれてありがとう!
ママが、ハンターたんはすっごくつおいんだよ~って。
ぼくもつおくなれますか? どうやったらつおくなれますか?
かくしてるけど、こわがりなので、心ももっとつおくなりたいです! ユウより』
2枚目は小さく丁寧に書かれていたが、その内容はちょっぴり上から目線。
『ユウがハンターハンターうるさいから
おれもしょーがないからハガキ書いてやる!
おれからしょちゅうみまいもらえてうれちーだろ!? うれちーんだろぉ!?
ハンターのしょちゅうみまいも、うけとってやってもいいぜ!
どんなもんか楽しみだな!! オギーより』
3枚目は乙女チックに手書きのかわいいお花イラスト付き。
『……しょちゅうみまい、もうしあげます。
ハンターさんはひとりで生きていけそうだけど
恋とかしたことありますか?
わたしはユウくんのことが好きです。
どうしたらいいですか。 ゲンタより』
最後の名前を思わず二度見。
まあとにかく確かに、特定のハンターに送られたものではなさそうだ。
流れ的には、どこかでハンター達の勇姿でも聞かされて、子供達が勝手に盛り上がり、お手紙送ってみようの話題に発展し、ならばこの時季だし暑中見舞いをという結論に行きついたのだろう。
「このまま無視しちゃってもいいんだけど……
いろいろな意味で無視しづらい気がしない?」
受付嬢は本題を切り出そうとしていた
読んでしまった今ならその苦笑の意味もわかる。
「もしよければ、用事が終わってからでもお返事を書いてあげてくれないかしら?
筆記具は用意するから」
「「……」」
ハガキを託されたハンター達は無言で顔を見合わせていた。
リプレイ本文
●ハガキを託されたハンター達
長い黒髪が特徴的な鞍馬 真(ka5819)は、1枚目のハガキを手にしていた。
「私はユウくんに返事を書こうかな。
子供にも読みやすい、丁寧な字を心がけながら書こう」
イラストは書かない。何が何でも書かない。
心の中で最後に付け加える。
鳳凰院ひりょ(ka3744)の手には、2枚目のハガキがあった。
その表情を見て、真が思わず一言。
「ひりょ君、ずっと苦笑しているね」
ハガキの内容を目にした時からだ。
ずれた珊瑚の眼鏡をなおしつつ、彼は決めた。
「俺はオギーへの返事をメインに。
オギーと同じく丁寧な文字を心掛けるよ」
ひりょの向かいに立っているレイア・アローネ(ka4082)は、照れ笑いを浮かべながら3枚目のハガキを握りしめていた。
「花柄の葉書か……綺麗だな。
内容は……恋の相談か……なかなか微笑ましいものだ。
参ったな……私はあまり得意ではないのだが……」
言いつつも最後に記された名前は、目をこすって見直していた。
何度見ても『ゲンタ』だった。
念のためにモノクルも磨いてみたが駄目だった。
「……どうしよう……ある意味本気で私より大人過ぎる……別の意味で……。
止めるか……? いやいや、他人の恋路に口を出すなど」
夢路 まよい(ka1328)は、なにやらプルプルし始めたレイアの手を抑えつつ、同じハガキを覗き込んだ。
小柄なので、ちょっとつま先立ち。
「恋とかそういうのかはわからないけど
私も最近、お気に入りの人と、そうでない人っていう区別はつくようになってきたしな~。
ゲンタちゃんの気持ちがなんとなくわかるような気がするし、お返事出してあげたいな!」
「折角なので、風は全員に返信しますよー
……コレ、性別次第では数年後に凄い修羅場になりそうですよねー」
最上 風(ka0891)の言葉でどんな想像をしてしまったのか、一同は思わず口をつぐむ。
なにはともあれ、それぞれ返事を送る相手は決まった。
●ユウへのお返事
真と風が、さっそく真っ白な新しいハガキと対面していた。
どうやったら強くなれるかというユウの質問に答えようとしているようだ。
「ハンターになりたての頃は、私も色々怖かったような気がするなあ」
真にとって、今はもう忘れてしまった感覚だったが。
「心を強く……時期的には肝試しですよねー」
風が大ぶりな黒い三角形の帽子を傾けて、いち早く返事にとりかかる。
彼女の宣言が正しければ、返事数は一同の中で最多の3枚。
無口で大人しそうに見えるのに、驚きの行動力だ。
横目で感心しつつ、真もある程度考えがまとまったところで返事を書き上げた。
『こんにちは、暑中見舞いありがとう。
どういたしまして。世界を守るのは私が好きでやっていることだから、お礼を言われるとくすぐったいね。
怖いと思うのは、人として当たり前のことだよ。
怖いのを忘れてしまったら、ちょっとおかしい人になってしまうからね。
誰でも強くはなれるよ。
でも、どれだけ強くても一人でできることは限られている。
だから、友達を大切にね。仲間と一緒なら、一人よりもっと強くなれるから。
まだまだ暑いから、身体に気を付けて。
お腹出して寝たら駄目だよ!
仕事好きのハンター・鞍馬 真より』
『暑中見舞い、ありがとうございます。
心を強くですか?
時期的に、肝試しには持って来いの時期なので
多少の荒療治ですが、肝試しに参加しまくって、慣らしてみるのはどうですか?
最初から1人は厳しいと思うので、お友達と一緒に参加してみたりとか
現金が怖いハンター 最上 風 より』
●オギーへのお返事
「文面は……そうだな……」
ひりょの黒い瞳がどこかへ向けられては、白いハガキへと戻される。
それを繰り返しながら少しずつ文面が完成へと近づいていく。
『オギーへ
暑中見舞い感謝だ。手紙を読んだ皆は喜んでいたぞ?
オギーの友達のユウはハンターが大好きなのかな?
オギーやユウはどんな子なのか、普段何をしながら過ごしているのか、
良かったらまた手紙で教えてくれ。楽しみにしているよ。
俺達ハンターは、オギー達が毎日を楽しく過ごせるようにこれからも頑張るよ
鳳凰院ひりょ』
漢字に振り仮名がついている配慮にも、真心が感じられた。
これならオギーも自分で読めることだろう。
やっと書き上げて手を休めたひりょだが、じつはゲンタのことも気にかかっていた。
「同性に対しての気持ちというのは、人によっては受け入れがたいものだったりするからな……」
もう1枚、新しいハガキを用意しようと決めて立ち上がり、黙々と返事を書き続ける風の横を通り過ぎる。
『たしょたちゅうみまいあたりがたとうござたいまたす。
おとたもだちたのようたすがかたわったてもこたころたをつたよくたもったていきたてくたださたいねた?
ちたなみにいたらいたをだたしてたいたたただけたればおたなやみたくらいたはきたきにまたいりまたすよー
寛容な心を持つハンター 最上 風 より』
「……」
なにやら狸の絵と呪文のような並びが見えてしまったが、見なかったことにした。
●ゲンタへのお返事
まよいの返事は、ゲンタに負けず乙女全開だった。
可愛らしいイラストが描かれ、ハートマークもちりばめられている。
しかしその様子とは裏腹に、書かれたアドバイスは、大人が読んでもはっとさせられてしまうような内容だった。
『私も誰かとお付き合いとかしたことあるわけじゃないから、どうやったら上手くいくとかはわからないんだ、ごめんね。
だけど、ゲンタちゃんのその気持ちは本物なんだと思う!
後ろを向くことなく、その気持ちと向き合っていって欲しいな!
お気に入りの人は、自分の手に入るとは限らないって、最近私も思うようになったけど……。
諦めないで頑張って、って言うのは簡単だけど、諦めずに頑張った結果、やっぱり手に入らないこともあると思う。手に入ればそれに越したことはないけど。
でも、相手を手に入れるばかりが全てじゃないとも思うんだ!
相手から向けてもらう気持ちを少しでも良い物にして、仲良くできたら、それはそれで素敵なことなんじゃないかな
夢路 まよい』
「できた~! レイアのほうはどうかな?」
返事を書く仲間に声をかけてみたが、聞こえてくるのは小さな呟き。
「この歳から恋に悩むなど私なんかより全然大人ではないか……。
まあそれでも私が背中を押せるならば悪くは……」
「乙女の世界に入ってるかな?」
ハッ
「え、ええと……そうだな……」
まよいがにこにこ見守る中、レイアは少しずつ返事を書き進めることにした。
出来れば傷付けないようにしたい。
『お手紙ありがとう。
相談してくれてとても嬉しい。
好きな相手がいるというのはとても素敵な事だ。
どうしたらいいか、か……。
正直なところ間違いのない答えというものはない。
私が出せるのはあくまで私の答えだ。
君には君の満足いく答えがあるだろう。
ただ、その過程で相手の幸せを考えるのを忘れてはいけない。
相手がどうしたら喜ぶか
それを忘れなければ、どういう答えもきっと間違いではないだろう。
もしそれを考えた結果、自身が苦しむ事になったとしたら、また私に手紙を送ってくれ。
君が納得いくまで付き合おう
レイア・アローネ』
「……これでいいのだろうか……」
手が止まると、思わず自問自答してしまったが、レイアはそんな気持ちをすぐに奮い立たせる。
「くっ、一度乗りかかった船だ! 最後まで付き合おうじゃないか……!」
気合いが入って立ち上がるその姿は、まよいの純粋な好奇心の目で見つめられていた。
作業もラストスパート。
風は金髪が少々乱れてきたのも気にせず、ついに3枚目の返事に突入した。
ひりょも同じく、新たなハガキにゲンタへの文面をしたためる。
今回も難しい字には丁寧に振り仮名をつけ、ゲンタの気持ちを否定しないアドバイスを心がけた。
『暑中見舞い、ありがとうございます。
先ずは、相手の好みや弱点を探りましょう
そして、さり気なく好きなモノをプレゼントしたり
弱点から庇って上げると良いかもですよー?
例えば、肝試しで意中の相手が怖がっていたら、手を握って上げるとか。
現金が大好きなハンター 最上 風 より』
『ゲンタへ
焦らずにゆっくり親しくなっていくといいかもな。
急に、好きだ! って言われるとユウ君もびっくりしてしまうかもしれないからね
人を好きになる気持ちは素敵なものだと思うよ?
鳳凰院ひりょ』
「これでみんなお返事は終わった感じかな?」
ハガキを集めてトントンするまよいに、一同が頷き返す。
皆、書き切ったと言わんばかりの表情だった。
「我ながら無難な出来だった。
直接顔を合わす機会の無い相手だけど、ずっと元気で居てくれたら良いなあ」
真の呟きを聞きながら、まよいも想いを込めるように、整えたハガキの束をぎゅっと抱きしめる。
子供達はどんな顔で受け取ってくれるのだろうか
いつかまた返事が来るのだろうか
想像は膨らみそうになるが、ハンター達はそれぞれの心の中で、そっとこの一件に幕を下ろした。
●その後
ハンター達からの返事を無事に受け取った3人組。
内容が最も心配されていたのか、一番多く返事が届いたのはゲンタだった。
3人は興奮のあまりに、近所にも響き渡るほど叫びがおさまらなかったのは言うまでもなく。
さらに友達にまで自慢してしまい、近所の子供達の間で羨ましがられる事態になっていた。
「オギぃ~うれしぃんだろぉ? うれしぃんだろぉ?」
「うるせー! みてみろユウっ、これすげーじゅもんなんだからな!
たしょたちゅうみまいあたりが……」
オギーが風のメッセージを読み解くのはもう少し先になりそうである。
「ユ、ユウくん、こんどおまつりで、きもだめしがあるって……」
「あ! それ、ハンターたんがおれにもかいてくれてた!
みんなで行ってつおくなるんだよな!」
「みんなで……うん。そうだね」
表情が曇りかけたが、ハンター達の返事を思い出し、ゲンタは笑顔で頷き返す。
彼らはまた一歩、大人になった。
長い黒髪が特徴的な鞍馬 真(ka5819)は、1枚目のハガキを手にしていた。
「私はユウくんに返事を書こうかな。
子供にも読みやすい、丁寧な字を心がけながら書こう」
イラストは書かない。何が何でも書かない。
心の中で最後に付け加える。
鳳凰院ひりょ(ka3744)の手には、2枚目のハガキがあった。
その表情を見て、真が思わず一言。
「ひりょ君、ずっと苦笑しているね」
ハガキの内容を目にした時からだ。
ずれた珊瑚の眼鏡をなおしつつ、彼は決めた。
「俺はオギーへの返事をメインに。
オギーと同じく丁寧な文字を心掛けるよ」
ひりょの向かいに立っているレイア・アローネ(ka4082)は、照れ笑いを浮かべながら3枚目のハガキを握りしめていた。
「花柄の葉書か……綺麗だな。
内容は……恋の相談か……なかなか微笑ましいものだ。
参ったな……私はあまり得意ではないのだが……」
言いつつも最後に記された名前は、目をこすって見直していた。
何度見ても『ゲンタ』だった。
念のためにモノクルも磨いてみたが駄目だった。
「……どうしよう……ある意味本気で私より大人過ぎる……別の意味で……。
止めるか……? いやいや、他人の恋路に口を出すなど」
夢路 まよい(ka1328)は、なにやらプルプルし始めたレイアの手を抑えつつ、同じハガキを覗き込んだ。
小柄なので、ちょっとつま先立ち。
「恋とかそういうのかはわからないけど
私も最近、お気に入りの人と、そうでない人っていう区別はつくようになってきたしな~。
ゲンタちゃんの気持ちがなんとなくわかるような気がするし、お返事出してあげたいな!」
「折角なので、風は全員に返信しますよー
……コレ、性別次第では数年後に凄い修羅場になりそうですよねー」
最上 風(ka0891)の言葉でどんな想像をしてしまったのか、一同は思わず口をつぐむ。
なにはともあれ、それぞれ返事を送る相手は決まった。
●ユウへのお返事
真と風が、さっそく真っ白な新しいハガキと対面していた。
どうやったら強くなれるかというユウの質問に答えようとしているようだ。
「ハンターになりたての頃は、私も色々怖かったような気がするなあ」
真にとって、今はもう忘れてしまった感覚だったが。
「心を強く……時期的には肝試しですよねー」
風が大ぶりな黒い三角形の帽子を傾けて、いち早く返事にとりかかる。
彼女の宣言が正しければ、返事数は一同の中で最多の3枚。
無口で大人しそうに見えるのに、驚きの行動力だ。
横目で感心しつつ、真もある程度考えがまとまったところで返事を書き上げた。
『こんにちは、暑中見舞いありがとう。
どういたしまして。世界を守るのは私が好きでやっていることだから、お礼を言われるとくすぐったいね。
怖いと思うのは、人として当たり前のことだよ。
怖いのを忘れてしまったら、ちょっとおかしい人になってしまうからね。
誰でも強くはなれるよ。
でも、どれだけ強くても一人でできることは限られている。
だから、友達を大切にね。仲間と一緒なら、一人よりもっと強くなれるから。
まだまだ暑いから、身体に気を付けて。
お腹出して寝たら駄目だよ!
仕事好きのハンター・鞍馬 真より』
『暑中見舞い、ありがとうございます。
心を強くですか?
時期的に、肝試しには持って来いの時期なので
多少の荒療治ですが、肝試しに参加しまくって、慣らしてみるのはどうですか?
最初から1人は厳しいと思うので、お友達と一緒に参加してみたりとか
現金が怖いハンター 最上 風 より』
●オギーへのお返事
「文面は……そうだな……」
ひりょの黒い瞳がどこかへ向けられては、白いハガキへと戻される。
それを繰り返しながら少しずつ文面が完成へと近づいていく。
『オギーへ
暑中見舞い感謝だ。手紙を読んだ皆は喜んでいたぞ?
オギーの友達のユウはハンターが大好きなのかな?
オギーやユウはどんな子なのか、普段何をしながら過ごしているのか、
良かったらまた手紙で教えてくれ。楽しみにしているよ。
俺達ハンターは、オギー達が毎日を楽しく過ごせるようにこれからも頑張るよ
鳳凰院ひりょ』
漢字に振り仮名がついている配慮にも、真心が感じられた。
これならオギーも自分で読めることだろう。
やっと書き上げて手を休めたひりょだが、じつはゲンタのことも気にかかっていた。
「同性に対しての気持ちというのは、人によっては受け入れがたいものだったりするからな……」
もう1枚、新しいハガキを用意しようと決めて立ち上がり、黙々と返事を書き続ける風の横を通り過ぎる。
『たしょたちゅうみまいあたりがたとうござたいまたす。
おとたもだちたのようたすがかたわったてもこたころたをつたよくたもったていきたてくたださたいねた?
ちたなみにいたらいたをだたしてたいたたただけたればおたなやみたくらいたはきたきにまたいりまたすよー
寛容な心を持つハンター 最上 風 より』
「……」
なにやら狸の絵と呪文のような並びが見えてしまったが、見なかったことにした。
●ゲンタへのお返事
まよいの返事は、ゲンタに負けず乙女全開だった。
可愛らしいイラストが描かれ、ハートマークもちりばめられている。
しかしその様子とは裏腹に、書かれたアドバイスは、大人が読んでもはっとさせられてしまうような内容だった。
『私も誰かとお付き合いとかしたことあるわけじゃないから、どうやったら上手くいくとかはわからないんだ、ごめんね。
だけど、ゲンタちゃんのその気持ちは本物なんだと思う!
後ろを向くことなく、その気持ちと向き合っていって欲しいな!
お気に入りの人は、自分の手に入るとは限らないって、最近私も思うようになったけど……。
諦めないで頑張って、って言うのは簡単だけど、諦めずに頑張った結果、やっぱり手に入らないこともあると思う。手に入ればそれに越したことはないけど。
でも、相手を手に入れるばかりが全てじゃないとも思うんだ!
相手から向けてもらう気持ちを少しでも良い物にして、仲良くできたら、それはそれで素敵なことなんじゃないかな
夢路 まよい』
「できた~! レイアのほうはどうかな?」
返事を書く仲間に声をかけてみたが、聞こえてくるのは小さな呟き。
「この歳から恋に悩むなど私なんかより全然大人ではないか……。
まあそれでも私が背中を押せるならば悪くは……」
「乙女の世界に入ってるかな?」
ハッ
「え、ええと……そうだな……」
まよいがにこにこ見守る中、レイアは少しずつ返事を書き進めることにした。
出来れば傷付けないようにしたい。
『お手紙ありがとう。
相談してくれてとても嬉しい。
好きな相手がいるというのはとても素敵な事だ。
どうしたらいいか、か……。
正直なところ間違いのない答えというものはない。
私が出せるのはあくまで私の答えだ。
君には君の満足いく答えがあるだろう。
ただ、その過程で相手の幸せを考えるのを忘れてはいけない。
相手がどうしたら喜ぶか
それを忘れなければ、どういう答えもきっと間違いではないだろう。
もしそれを考えた結果、自身が苦しむ事になったとしたら、また私に手紙を送ってくれ。
君が納得いくまで付き合おう
レイア・アローネ』
「……これでいいのだろうか……」
手が止まると、思わず自問自答してしまったが、レイアはそんな気持ちをすぐに奮い立たせる。
「くっ、一度乗りかかった船だ! 最後まで付き合おうじゃないか……!」
気合いが入って立ち上がるその姿は、まよいの純粋な好奇心の目で見つめられていた。
作業もラストスパート。
風は金髪が少々乱れてきたのも気にせず、ついに3枚目の返事に突入した。
ひりょも同じく、新たなハガキにゲンタへの文面をしたためる。
今回も難しい字には丁寧に振り仮名をつけ、ゲンタの気持ちを否定しないアドバイスを心がけた。
『暑中見舞い、ありがとうございます。
先ずは、相手の好みや弱点を探りましょう
そして、さり気なく好きなモノをプレゼントしたり
弱点から庇って上げると良いかもですよー?
例えば、肝試しで意中の相手が怖がっていたら、手を握って上げるとか。
現金が大好きなハンター 最上 風 より』
『ゲンタへ
焦らずにゆっくり親しくなっていくといいかもな。
急に、好きだ! って言われるとユウ君もびっくりしてしまうかもしれないからね
人を好きになる気持ちは素敵なものだと思うよ?
鳳凰院ひりょ』
「これでみんなお返事は終わった感じかな?」
ハガキを集めてトントンするまよいに、一同が頷き返す。
皆、書き切ったと言わんばかりの表情だった。
「我ながら無難な出来だった。
直接顔を合わす機会の無い相手だけど、ずっと元気で居てくれたら良いなあ」
真の呟きを聞きながら、まよいも想いを込めるように、整えたハガキの束をぎゅっと抱きしめる。
子供達はどんな顔で受け取ってくれるのだろうか
いつかまた返事が来るのだろうか
想像は膨らみそうになるが、ハンター達はそれぞれの心の中で、そっとこの一件に幕を下ろした。
●その後
ハンター達からの返事を無事に受け取った3人組。
内容が最も心配されていたのか、一番多く返事が届いたのはゲンタだった。
3人は興奮のあまりに、近所にも響き渡るほど叫びがおさまらなかったのは言うまでもなく。
さらに友達にまで自慢してしまい、近所の子供達の間で羨ましがられる事態になっていた。
「オギぃ~うれしぃんだろぉ? うれしぃんだろぉ?」
「うるせー! みてみろユウっ、これすげーじゅもんなんだからな!
たしょたちゅうみまいあたりが……」
オギーが風のメッセージを読み解くのはもう少し先になりそうである。
「ユ、ユウくん、こんどおまつりで、きもだめしがあるって……」
「あ! それ、ハンターたんがおれにもかいてくれてた!
みんなで行ってつおくなるんだよな!」
「みんなで……うん。そうだね」
表情が曇りかけたが、ハンター達の返事を思い出し、ゲンタは笑顔で頷き返す。
彼らはまた一歩、大人になった。
依頼結果
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サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/07/17 12:02:49 |
|
![]() |
相談 最上 風(ka0891) 人間(リアルブルー)|10才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2018/07/18 10:33:05 |