ゲスト
(ka0000)
龍の人、ペットのために狩りにいく
マスター:狐野径
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
- 1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/07/24 12:00
- 完成日
- 2018/07/31 03:07
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●ラカは思った
龍園に住まうラカ・ベルフはふと思った、目の前でカリカリの餌を食べているペットのフェレットのモニを見て。
「新鮮な食料を与えたほうがいいのでしょうか」
飼育の手引きは読んだ。基本的にフェレット用の餌で良いとある。おやつとしてはジャーキーなど肉系や物によっては乾物のフルーツもよいらしい。ただし、それらは良いというのと駄目というのがあるというのでよくわからない。
それでもなぜかこれだけではいけない気がした。
しかし、これでいい気もした。
「……モニはどうしたいのですか?」
返ってくるのはカリカリと食べる激しい音。時々むせるのは、慌てすぎの証拠。
「お肉は食べたいのでしょうか」
ふと、モニは顔をあげた。口がもごもご動いているため、ただの咀嚼中ではあるはずだ。しかし、ラカには肉が食べたいかという問いかけに応えたような気がしたのだ。
「これはお肉も食べたいのですね」
モニは下を向いた。
「……!? これはお肉を狩って……いえ、捕まえてくるのですわ!」
ラカは餌を食べ終わったモニと少し遊んだ後、小屋に入れ、出かけたのだった。お肉がいそうなところに。
●どこからか湧いた鳥
モフモフの鳥が空を飛ぶ。どちらかというと、恐竜に羽が生えたようなデザインかもしれない。それは色々あってそこにいた。
巣を作るにはちょうどいい崖を見つけたので、そこに向かう。途中で人間や動物もいたので襲ってみる。
巣材は何にすべきかその鳥のような歪虚は考えた。マテリアルを得てもっと強くなるにはいる場所が重要だ。だからこそ、巣を作ることが重要だ。
下界を見ると、黄色いふわふわしたのが見えた。
ちょうどいい巣材を発見したと急降下したのだった。
歪虚から見て黄色いふわふわのラカは馬に乗ってやってきた。木があるところなら鳥もいるだろうと考えていた。むしろ崖も近くにはある。
そして、突然暗くなったため空を見た。
「……歪虚ですわね!」
ラカは馬から下りると、スカートの下から愛用のモーニングスターを取り出したのだった。
●ハンターが鉢合わせる情報
ハンターオフィスで仕事に興味を持ったハンターに、職員は話しかける。
龍園の人里近いところに歪虚がいる情報があり、討伐の依頼が出ていた。通りすがりの人や住んでいた動物が襲われているという。
「何と言いますか、リアルブルーにいる『始祖鳥』というものに似ているそうです」
リアルブルー出身者のハンターからは現在進行形にツッコミが入りそうだし、デザインも時々変わるのでなんとなく理解するしかない外見だった。
「雑魔よりは強いですし、大きめです。強さについては、油断してはいけないでしょう……大きいですし。ただ、注意すればいずれは倒せるとはでしょう」
職員は非常に抽象的に言う。そもそも、強さについて完全にわかるならば、先陣がいることになり、もっと大きな被害が出ている可能性だってある。
「被害があるのは事実ですし、拡大する前に討伐をお願いします」
対応していた職員の口調は軽かったが、表情は真剣であった。
龍園に住まうラカ・ベルフはふと思った、目の前でカリカリの餌を食べているペットのフェレットのモニを見て。
「新鮮な食料を与えたほうがいいのでしょうか」
飼育の手引きは読んだ。基本的にフェレット用の餌で良いとある。おやつとしてはジャーキーなど肉系や物によっては乾物のフルーツもよいらしい。ただし、それらは良いというのと駄目というのがあるというのでよくわからない。
それでもなぜかこれだけではいけない気がした。
しかし、これでいい気もした。
「……モニはどうしたいのですか?」
返ってくるのはカリカリと食べる激しい音。時々むせるのは、慌てすぎの証拠。
「お肉は食べたいのでしょうか」
ふと、モニは顔をあげた。口がもごもご動いているため、ただの咀嚼中ではあるはずだ。しかし、ラカには肉が食べたいかという問いかけに応えたような気がしたのだ。
「これはお肉も食べたいのですね」
モニは下を向いた。
「……!? これはお肉を狩って……いえ、捕まえてくるのですわ!」
ラカは餌を食べ終わったモニと少し遊んだ後、小屋に入れ、出かけたのだった。お肉がいそうなところに。
●どこからか湧いた鳥
モフモフの鳥が空を飛ぶ。どちらかというと、恐竜に羽が生えたようなデザインかもしれない。それは色々あってそこにいた。
巣を作るにはちょうどいい崖を見つけたので、そこに向かう。途中で人間や動物もいたので襲ってみる。
巣材は何にすべきかその鳥のような歪虚は考えた。マテリアルを得てもっと強くなるにはいる場所が重要だ。だからこそ、巣を作ることが重要だ。
下界を見ると、黄色いふわふわしたのが見えた。
ちょうどいい巣材を発見したと急降下したのだった。
歪虚から見て黄色いふわふわのラカは馬に乗ってやってきた。木があるところなら鳥もいるだろうと考えていた。むしろ崖も近くにはある。
そして、突然暗くなったため空を見た。
「……歪虚ですわね!」
ラカは馬から下りると、スカートの下から愛用のモーニングスターを取り出したのだった。
●ハンターが鉢合わせる情報
ハンターオフィスで仕事に興味を持ったハンターに、職員は話しかける。
龍園の人里近いところに歪虚がいる情報があり、討伐の依頼が出ていた。通りすがりの人や住んでいた動物が襲われているという。
「何と言いますか、リアルブルーにいる『始祖鳥』というものに似ているそうです」
リアルブルー出身者のハンターからは現在進行形にツッコミが入りそうだし、デザインも時々変わるのでなんとなく理解するしかない外見だった。
「雑魔よりは強いですし、大きめです。強さについては、油断してはいけないでしょう……大きいですし。ただ、注意すればいずれは倒せるとはでしょう」
職員は非常に抽象的に言う。そもそも、強さについて完全にわかるならば、先陣がいることになり、もっと大きな被害が出ている可能性だってある。
「被害があるのは事実ですし、拡大する前に討伐をお願いします」
対応していた職員の口調は軽かったが、表情は真剣であった。
リプレイ本文
●合流
歪虚がいるといわれる地域に向かうハンターたちは、上空にも目を向ける。
警戒を十分していることもあり、羽の色が賑やかなそれを見つけるのに困ることはなかった。その動きが何かを狙って攻撃しているというふうにも見えた。
さらに近づくと、地上にいる者も見えた。モーニングスターを振り回しているラカ・ベルフ(kz0240)の姿である。
彼女を知っている者、知らない者がいるが、とりあえず襲われているらしい人物をどうにかしないといけないと、誰もが思っただろう。
星野 ハナ(ka5852)が第一声を放った。
「ああ、食材が人を襲っていますう」
「食材っ!」
誰かから驚きの声があがる。
レイア・アローネ(ka4082)は空にいるのが歪虚であるという情報が一瞬抜けた。
「食材? え、あれ、あの奇抜な鳥のようなものがリアルブルーにいたことも驚きだが、あ、え? 食材?」
木綿花(ka6927)はラカを知っているため、声をかけようとしたのを一旦飲み込んでしまった。
「えっと、食材? 違います、あれは歪虚です。そのため、ラカ様、援護します」
木綿花は歪虚は食べられるか否かを脳内の隅に追いやり、ラカと合流することや共闘することを考えることにした。
フィロ(ka6966)はハナの言葉を吟味して、理解に努めた。
「襲われているのはハンターなのですね。歪虚にとっては強そうな敵ほどマテリアルを多く含んだ餌に見えるのでしたね……いえ、ハナ様の言葉によると、あの歪虚が食材ですか」
鞍馬 真(ka5819)は不穏な言葉を聞かなかったことにしつつ目の前の問題に集中した。地形や歪虚と被害者の位置から、どう行動するか考える。木綿花の言葉で襲われている人物に知り合いがいることは分かったし、合流はそちらに任せた方がいい。
「私は崖の方に向かおう……」
分散したほうが対処しやすい。相手は空を飛んでいるため、石柱のような崖の上に逃げられると厄介なのも理由の一つだった。
コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561)は食材という言葉に惑わされることはない。そもそも、始祖鳥が現存する動物ではないことを知っている。ただし、リアルブルー出身者が誰もそのことを指摘していないからと言って、何等かで似ているだけの存在について講釈するのも戦闘の前に気がそれる。
「龍と言えども翼を失えばただの爬虫類だ。この程度で空を制したなどと思い上がるな」
歪虚への憎しみがあっても、戦いへの冷静さは欠くことなくコーネリアは仲間の行動を見て、動いた。
●理由
「始祖鳥は私のなかでは極彩色のフリンジっぽい羽根を付けたコモドドラゴンが空を飛んでいるイメージだったのでぇ、こんなところで本物に会えるなんて感激ですぅ。歪虚でなければもっとよかったですけどぉ」
ハナは距離を詰めながら、符を放つ準備をする。
「始祖鳥、初めて見ました。極彩色の爬虫類……羽はきれいかもしれません」
フィロが淡々と応じる。近接を得意とする彼女は銃をまず取り出した。
「お肉が残るか否か……歪虚は残らないと言われていますが……リアルブルーじゃお目にかかれない希少動物なんですからぁ、ここはチャレンジのしどころですぅ」
「待て、歪虚は残らないぞ! それより、なんで、食べること前提なんだ!」
レイアがツッコミを入れるが、ハナの耳には東風だった。
視界の片隅でラカが何かブレスをくらい、怒りに駆られているのが見えた。
この瞬間、やはりこの手の歪虚はブレスを吐くということが分かった。直撃しているラカのダメージがどの程度かわからないが、なるべく散開または敵の近くにじっとしていないことが、ハンターたちの意識として共有された。
真っ先に攻撃したのは射程が長いコーネリアだ。
マテリアルを込めた銃弾は歪虚の足を掠る。それはラカ以外のモノがいると気づいて上昇を始めた。
「空に逃げてこの程度を避けたことで、いい気になるな」
歪虚が崖のような柱のような大きな岩に向かう可能性がある。ハンターが簡単にこられず、止まれそうな位置と認識しているのは間違いなかった。
フィロは仲間が近づくのを見て、銃で攻撃をしながらラカの方に近づく。
「状況の確認が先ですね」
木綿花がラカに近づくと同時に声をかける。
「ラカ様! お怪我は」
「あなたは! このくらい何ともありませんわ!」
顔見知りであるため、緊張した顔つきから、生き生きとした表情になる。
「それより、なぜ、このようなところにいるのですか?」
木綿花は自分たちの状況を話し、ラカの状況を手短にしろうとした。
「新鮮な鳥肉を取りに来たのですわ」
「なるほど……でも、目の前にいるのは歪虚ですよね?」
「これは別ですわ。通りすがりに襲われたのです」
木綿花はほっとする。
「何を言っているのかわかりません! これも重要な食料になるかもしれないのです」
「歪虚は歪虚で、無に還って消えるものですわ!」
ラカの反論は届かず、ハナはノリノリで符を歪虚に放つ。その攻撃は微妙に届かないため、次の攻撃の準備をする。
「なぜ鳥の肉を?」
「モニに食べさせてあげようと思ったのですわ」
「……え? 食べますか? えと、まあ、モニちゃんと仲良くしているということは、飼い主さんは現れていないってことですね」
木綿花はポスターも見ていたので経緯を理解した。
「じゃあ、張り切って肉を狩るのですぅ」
「だから! 残らないだろう!」
「歪虚の肉など残ったとしてもなぜ食べなくてはいけないのです!」
ハナに対しレイアがツッコミ、ラカが冷静に怒りのコメントを返してきたのだった。
「良かった、ラカまで『モニに食べさせるのですわ』と言い始めなくて」
レイアはほっとしたところで、敵に集中した。ラカの側で木綿花が回復しているのを見て、レイアは近接の技が多いため、位置取を変える必要を感じた。レイアは真が登る崖に向かうことにした。スキルとアイテムを使えば、逃げ道の一つを断つことができる上、攻撃をしやすくなる可能性もあった。
そして、入れ替わるようにラカの側にフィロが付く。ラカを守ると同時に、歪虚が最初の餌とみなしたラカに向かうことを考えていた。近接で攻撃するには近づいてくれることも考えていた。
真は崖に向かっていた。登りにくそうな崖であるが、【壁歩き】を用い素早く登っていく。歪虚が空を舞い崖の頂上にやってくる。
「ここを奪いに来るかわからないが、攻撃して牽制はしていく」
弓を構え、マテリアルを込め放つ。剣が届くところに来るか、地面に落ちてくれるかどちらかを狙う。
ハンターからの攻撃により、歪虚は上に上がるか、ラカをこのまま狙うか、逃げるか考えているように旋回している。
そこに真は歪虚に向かって矢を放つ。
「考える頭があるということだね」
「のために、私は待機となってしまう」
崖の中途に来たレイアは行動しやすい位置で歪虚の様子を見つめる。ブレスを吐くにしても動作には流れがあるだろうから、見ておくことも重要ではある。
「あああ、届かないところに行くとは何様のつもりなのですぅう、食材なのに!」
「それは仕方がないのです」
ハナは若干高いところにいる歪虚に怒るが、フィロは射撃を加える。
「悩むだけ頭があるというわけか。悩みがなくなるように撃ち落としてやろう」
コーネリアが銃弾を叩き込む。
木綿花はラカの状況の様子からまずは【再生の祈り】を使う。
「これで少しは良いですね……」
その横で、ラカは魔法も微妙に届かないことが分かったらしく、怒りの言葉を吐いているようだった。
歪虚は崖の上に戻るよりも、マテリアルを奪うことを考えることにした。そして、急降下して、踏みつぶすように一旦着地したのだった。
踏まれそうだったフィロとラカだけでなく、風圧で地上にいた者は回避を余儀なくされる。
歪虚が下りたことで、フィロが殴りにかかり、先ほど届かないと嘆いたハナやラカが喜々として魔法や武器を叩き込んだ。
そうなると、空に戻り、柱にいるメンバーを風圧で襲う。
真は回避したが、危うく落とされるところだった。レイアは落ちるように下りて回避していた。
「なんか落ち着きない歪虚だね」
「頭がいいのか悪いのかわからないな」
「攻撃が分散することはいいんだよね」
「そうだな」
二人は賑やかな羽の色の歪虚の動きを追い、次に備えた。
真とレイアが言うように、歪虚の攻撃は行ったり来たりであり、ハンターの攻撃も当たったり当たらなかったりと全体として散発的な戦いであった。
しかし、ハンターの方は目標が一つであり、自分もしくは人を癒すことができるものがいるため、徐々に優位になっていく。
コーネリアが放った【フローズンパニッシャー】が歪虚の翼の動きを阻害した。地面に歪虚は落ち、地響きと土煙が上がる。
「先ほどまでの様子と違うではないか。空を飛んだ程度でえらくなれるなら、鳥や虫は何だというのだ? どこまでも浅はかな奴め」
落ちて飛び立つまで時間がかかるだろうが、それほど長い時間がかかるわけではない。最後のチャンスとばかりに、ハンターは猛攻に出る。
「これで攻撃がしやすいです。参ります」
フィロは近づくと【鎧徹し】のスキルを用い殴る。銃よりもこちらの方がしっくりする。
「ナイスなのですぅ! 一気に攻めるのですぅ【五色光符陣】」
ハナがいい笑顔であと一息だと術を放つ。
「特に問題はないのですよね……【デルタレイ】」
木綿花は状況を見極め、攻撃に出る。早く倒すことが重要ととらえた。
ラカがモーニングスターで歪虚を殴っている。
真とレイアも崖に来させないために陣取っていたが、そこから飛び降りるように下りると間合を詰め近接での攻撃に切り替えた。
「ここが勝負時だね。行くよ」
真は【ソウルエッジ】を使ったところから、【刺突一閃】を用い、そのまま【リバースエッジ】を用いる。魔法剣の力が一気に解放され、歪虚に叩き込まれる。
「これで終わりだ」
レイアが【攻めの構え】をもち、【ソウルエッジ】を用いて攻撃をした。
その直後、歪虚は塵になって消えた。
そして、肉一片も、羽一枚も、何も残らなかった。
レイアは思った通りだったと安堵していたし、ラカが満足げに微笑んでいた。
●結果は
「羽一枚も残りませんでした。ペット用のおもちゃにでもできましたのに」
「あああ、これは、お肉を食べるまで始祖鳥ふれいあツアー・見た、闘った、食べたまでがワンセットでしたのにぃいい」
フィロは静かに「残念です」といい、その横でハナが悲鳴を上げていた。
レイアはハナを見て困惑していた。それよりも、ラカに念を押すというか確認するほうが重要だった。
「で、なぜラカは独りで歪虚の肉を……とそれは違うといっていたな。なぜ、ここに?」
「当たりまえです。それは、モニのために新鮮な鳥肉を得ようとしたのです。この辺りに鳥がいると思ったのですわ」
『ボクの名前はモニ。種族はフェレット。好物は、歪虚のお肉!』
レイアは一瞬、そんなプロフィールがよぎったが、ラカが「肉は肉でも鳥の肉」と言っているため、すぐにその想像は霧散した。
「ハナの同類かと思ってしまった」
ほっと息を吐く。一方で、フェレットは鳥肉を食べるならば、新鮮なのをあげたい気持ちは理解できた。
「そうか、ペット思いなことはいいな。なら、山鳥の一つくらい、皆で探せば獲れるだろう。ハナ、みんな、協力してくれ」
「鳥がこの辺りにいるから来たというなら、それはそれでもう一つですねぇ」
レイアの頼みにハナは乗る。何か食べるという口が収まらない。
「その方がよいでしょう。歪虚をというより、謎の食品を食べて、毒性があった場合、通常ならば体積が小さいほど効き易い傾向にあるので、動物にあげる場合は安全を確かめてからの方がよろしいかと思います」
フィロは「人が食べたことがある鳥ならば問題ないでしょう」と付け加えた。
「……餌を狩る……狩る? 普通の餌を普通に買いに行けばいいんじゃないだろうか……」
「そうですね。よほどの場所でない限り買いに行けばいいと思います」
真の言葉に木綿花が同意した。真はほっとするがその直後、頭を抱えることになる。
「でも、モニちゃんが新鮮なお肉を食べたいというんですね? モニちゃんのためにするということは素敵ですね。手伝います」
木綿花はにこにこと走り出したのだった。
真は山鳥なり何か鳥なり狩るのを手伝うべきなのか、すでに依頼は完遂しているということで報告すべきなのか悩ましい。コーネリアの様子をうかがう。
「まあ、この辺りにまだ何かいないとは限らないからな」
「……そ、それはそうだな」
コーネリアの一言は一理あるようで、ただに狩に加わる口実にも聞こえる。その実は本人しかわからない。
真はまず、崖の上に巣のような物や変なことがないかを確認しに行った。先ほど見たとき、巣のように枝とか集められていたが、特に問題にはなりそうになかった。
それからしばらくして幸いなことに鳥は獲ることができた。
●おとなしく
真は街に戻ってからオフィスに依頼が終わったことを報告しに行った。ついでにラカのことも報告すると職員の表情がひきつる。
「そもそもフェレット用の餌で生活しているのに、食べるんですか?」
「それもそうだね……今回一緒だった人たちも彼女の家に行っているから様子見てくる」
気の毒そうに見つめる職員の視線を背に受け、真は建物を出た。
一方、コーネリアは付き合って行動していたが、なぜこうなったのか不思議な気持ちも湧いていた。手持無沙汰でラカのペットのモニを眺めている。
「確かにイタチは肉は食べるだろうな。これに野性は全く感じられないのに新鮮な肉か……」
モニは小屋の中から出してほしいのか、じっとコーネリアを見つめている。無言の圧力がある。
「できましたー。味付けしていないのがこっちです」
ハナが小皿に載せた小さくそいだ鳥肉をラカに渡した。ラカはドキドキしながらモニの前に置いた。モニは匂いを嗅いだ。そして、ラカにまとわりついた。
「今の餌で満足しているのですのね」
「フェレットはなれたものしか食べないと言いますしぃ、無理にあげなくていいんじゃないのですぅ?」
木綿花とハナに助言をもらう。
「むしった羽はおもちゃにすればよいのでしょう。羽を使ったねこじゃらしのようなおもちゃは狩猟本の意が高いペットには好まれると聞いた記憶があります」
「そうだな……鳥の羽も余すところなく使うのだな」
フィロが作業をするのを見て、レイアは納得する。
真がここに来た時、くつろぐ女性陣の姿があったのだった。なお、問題の生き物は客の多さに大興奮していた。
歪虚がいるといわれる地域に向かうハンターたちは、上空にも目を向ける。
警戒を十分していることもあり、羽の色が賑やかなそれを見つけるのに困ることはなかった。その動きが何かを狙って攻撃しているというふうにも見えた。
さらに近づくと、地上にいる者も見えた。モーニングスターを振り回しているラカ・ベルフ(kz0240)の姿である。
彼女を知っている者、知らない者がいるが、とりあえず襲われているらしい人物をどうにかしないといけないと、誰もが思っただろう。
星野 ハナ(ka5852)が第一声を放った。
「ああ、食材が人を襲っていますう」
「食材っ!」
誰かから驚きの声があがる。
レイア・アローネ(ka4082)は空にいるのが歪虚であるという情報が一瞬抜けた。
「食材? え、あれ、あの奇抜な鳥のようなものがリアルブルーにいたことも驚きだが、あ、え? 食材?」
木綿花(ka6927)はラカを知っているため、声をかけようとしたのを一旦飲み込んでしまった。
「えっと、食材? 違います、あれは歪虚です。そのため、ラカ様、援護します」
木綿花は歪虚は食べられるか否かを脳内の隅に追いやり、ラカと合流することや共闘することを考えることにした。
フィロ(ka6966)はハナの言葉を吟味して、理解に努めた。
「襲われているのはハンターなのですね。歪虚にとっては強そうな敵ほどマテリアルを多く含んだ餌に見えるのでしたね……いえ、ハナ様の言葉によると、あの歪虚が食材ですか」
鞍馬 真(ka5819)は不穏な言葉を聞かなかったことにしつつ目の前の問題に集中した。地形や歪虚と被害者の位置から、どう行動するか考える。木綿花の言葉で襲われている人物に知り合いがいることは分かったし、合流はそちらに任せた方がいい。
「私は崖の方に向かおう……」
分散したほうが対処しやすい。相手は空を飛んでいるため、石柱のような崖の上に逃げられると厄介なのも理由の一つだった。
コーネリア・ミラ・スペンサー(ka4561)は食材という言葉に惑わされることはない。そもそも、始祖鳥が現存する動物ではないことを知っている。ただし、リアルブルー出身者が誰もそのことを指摘していないからと言って、何等かで似ているだけの存在について講釈するのも戦闘の前に気がそれる。
「龍と言えども翼を失えばただの爬虫類だ。この程度で空を制したなどと思い上がるな」
歪虚への憎しみがあっても、戦いへの冷静さは欠くことなくコーネリアは仲間の行動を見て、動いた。
●理由
「始祖鳥は私のなかでは極彩色のフリンジっぽい羽根を付けたコモドドラゴンが空を飛んでいるイメージだったのでぇ、こんなところで本物に会えるなんて感激ですぅ。歪虚でなければもっとよかったですけどぉ」
ハナは距離を詰めながら、符を放つ準備をする。
「始祖鳥、初めて見ました。極彩色の爬虫類……羽はきれいかもしれません」
フィロが淡々と応じる。近接を得意とする彼女は銃をまず取り出した。
「お肉が残るか否か……歪虚は残らないと言われていますが……リアルブルーじゃお目にかかれない希少動物なんですからぁ、ここはチャレンジのしどころですぅ」
「待て、歪虚は残らないぞ! それより、なんで、食べること前提なんだ!」
レイアがツッコミを入れるが、ハナの耳には東風だった。
視界の片隅でラカが何かブレスをくらい、怒りに駆られているのが見えた。
この瞬間、やはりこの手の歪虚はブレスを吐くということが分かった。直撃しているラカのダメージがどの程度かわからないが、なるべく散開または敵の近くにじっとしていないことが、ハンターたちの意識として共有された。
真っ先に攻撃したのは射程が長いコーネリアだ。
マテリアルを込めた銃弾は歪虚の足を掠る。それはラカ以外のモノがいると気づいて上昇を始めた。
「空に逃げてこの程度を避けたことで、いい気になるな」
歪虚が崖のような柱のような大きな岩に向かう可能性がある。ハンターが簡単にこられず、止まれそうな位置と認識しているのは間違いなかった。
フィロは仲間が近づくのを見て、銃で攻撃をしながらラカの方に近づく。
「状況の確認が先ですね」
木綿花がラカに近づくと同時に声をかける。
「ラカ様! お怪我は」
「あなたは! このくらい何ともありませんわ!」
顔見知りであるため、緊張した顔つきから、生き生きとした表情になる。
「それより、なぜ、このようなところにいるのですか?」
木綿花は自分たちの状況を話し、ラカの状況を手短にしろうとした。
「新鮮な鳥肉を取りに来たのですわ」
「なるほど……でも、目の前にいるのは歪虚ですよね?」
「これは別ですわ。通りすがりに襲われたのです」
木綿花はほっとする。
「何を言っているのかわかりません! これも重要な食料になるかもしれないのです」
「歪虚は歪虚で、無に還って消えるものですわ!」
ラカの反論は届かず、ハナはノリノリで符を歪虚に放つ。その攻撃は微妙に届かないため、次の攻撃の準備をする。
「なぜ鳥の肉を?」
「モニに食べさせてあげようと思ったのですわ」
「……え? 食べますか? えと、まあ、モニちゃんと仲良くしているということは、飼い主さんは現れていないってことですね」
木綿花はポスターも見ていたので経緯を理解した。
「じゃあ、張り切って肉を狩るのですぅ」
「だから! 残らないだろう!」
「歪虚の肉など残ったとしてもなぜ食べなくてはいけないのです!」
ハナに対しレイアがツッコミ、ラカが冷静に怒りのコメントを返してきたのだった。
「良かった、ラカまで『モニに食べさせるのですわ』と言い始めなくて」
レイアはほっとしたところで、敵に集中した。ラカの側で木綿花が回復しているのを見て、レイアは近接の技が多いため、位置取を変える必要を感じた。レイアは真が登る崖に向かうことにした。スキルとアイテムを使えば、逃げ道の一つを断つことができる上、攻撃をしやすくなる可能性もあった。
そして、入れ替わるようにラカの側にフィロが付く。ラカを守ると同時に、歪虚が最初の餌とみなしたラカに向かうことを考えていた。近接で攻撃するには近づいてくれることも考えていた。
真は崖に向かっていた。登りにくそうな崖であるが、【壁歩き】を用い素早く登っていく。歪虚が空を舞い崖の頂上にやってくる。
「ここを奪いに来るかわからないが、攻撃して牽制はしていく」
弓を構え、マテリアルを込め放つ。剣が届くところに来るか、地面に落ちてくれるかどちらかを狙う。
ハンターからの攻撃により、歪虚は上に上がるか、ラカをこのまま狙うか、逃げるか考えているように旋回している。
そこに真は歪虚に向かって矢を放つ。
「考える頭があるということだね」
「のために、私は待機となってしまう」
崖の中途に来たレイアは行動しやすい位置で歪虚の様子を見つめる。ブレスを吐くにしても動作には流れがあるだろうから、見ておくことも重要ではある。
「あああ、届かないところに行くとは何様のつもりなのですぅう、食材なのに!」
「それは仕方がないのです」
ハナは若干高いところにいる歪虚に怒るが、フィロは射撃を加える。
「悩むだけ頭があるというわけか。悩みがなくなるように撃ち落としてやろう」
コーネリアが銃弾を叩き込む。
木綿花はラカの状況の様子からまずは【再生の祈り】を使う。
「これで少しは良いですね……」
その横で、ラカは魔法も微妙に届かないことが分かったらしく、怒りの言葉を吐いているようだった。
歪虚は崖の上に戻るよりも、マテリアルを奪うことを考えることにした。そして、急降下して、踏みつぶすように一旦着地したのだった。
踏まれそうだったフィロとラカだけでなく、風圧で地上にいた者は回避を余儀なくされる。
歪虚が下りたことで、フィロが殴りにかかり、先ほど届かないと嘆いたハナやラカが喜々として魔法や武器を叩き込んだ。
そうなると、空に戻り、柱にいるメンバーを風圧で襲う。
真は回避したが、危うく落とされるところだった。レイアは落ちるように下りて回避していた。
「なんか落ち着きない歪虚だね」
「頭がいいのか悪いのかわからないな」
「攻撃が分散することはいいんだよね」
「そうだな」
二人は賑やかな羽の色の歪虚の動きを追い、次に備えた。
真とレイアが言うように、歪虚の攻撃は行ったり来たりであり、ハンターの攻撃も当たったり当たらなかったりと全体として散発的な戦いであった。
しかし、ハンターの方は目標が一つであり、自分もしくは人を癒すことができるものがいるため、徐々に優位になっていく。
コーネリアが放った【フローズンパニッシャー】が歪虚の翼の動きを阻害した。地面に歪虚は落ち、地響きと土煙が上がる。
「先ほどまでの様子と違うではないか。空を飛んだ程度でえらくなれるなら、鳥や虫は何だというのだ? どこまでも浅はかな奴め」
落ちて飛び立つまで時間がかかるだろうが、それほど長い時間がかかるわけではない。最後のチャンスとばかりに、ハンターは猛攻に出る。
「これで攻撃がしやすいです。参ります」
フィロは近づくと【鎧徹し】のスキルを用い殴る。銃よりもこちらの方がしっくりする。
「ナイスなのですぅ! 一気に攻めるのですぅ【五色光符陣】」
ハナがいい笑顔であと一息だと術を放つ。
「特に問題はないのですよね……【デルタレイ】」
木綿花は状況を見極め、攻撃に出る。早く倒すことが重要ととらえた。
ラカがモーニングスターで歪虚を殴っている。
真とレイアも崖に来させないために陣取っていたが、そこから飛び降りるように下りると間合を詰め近接での攻撃に切り替えた。
「ここが勝負時だね。行くよ」
真は【ソウルエッジ】を使ったところから、【刺突一閃】を用い、そのまま【リバースエッジ】を用いる。魔法剣の力が一気に解放され、歪虚に叩き込まれる。
「これで終わりだ」
レイアが【攻めの構え】をもち、【ソウルエッジ】を用いて攻撃をした。
その直後、歪虚は塵になって消えた。
そして、肉一片も、羽一枚も、何も残らなかった。
レイアは思った通りだったと安堵していたし、ラカが満足げに微笑んでいた。
●結果は
「羽一枚も残りませんでした。ペット用のおもちゃにでもできましたのに」
「あああ、これは、お肉を食べるまで始祖鳥ふれいあツアー・見た、闘った、食べたまでがワンセットでしたのにぃいい」
フィロは静かに「残念です」といい、その横でハナが悲鳴を上げていた。
レイアはハナを見て困惑していた。それよりも、ラカに念を押すというか確認するほうが重要だった。
「で、なぜラカは独りで歪虚の肉を……とそれは違うといっていたな。なぜ、ここに?」
「当たりまえです。それは、モニのために新鮮な鳥肉を得ようとしたのです。この辺りに鳥がいると思ったのですわ」
『ボクの名前はモニ。種族はフェレット。好物は、歪虚のお肉!』
レイアは一瞬、そんなプロフィールがよぎったが、ラカが「肉は肉でも鳥の肉」と言っているため、すぐにその想像は霧散した。
「ハナの同類かと思ってしまった」
ほっと息を吐く。一方で、フェレットは鳥肉を食べるならば、新鮮なのをあげたい気持ちは理解できた。
「そうか、ペット思いなことはいいな。なら、山鳥の一つくらい、皆で探せば獲れるだろう。ハナ、みんな、協力してくれ」
「鳥がこの辺りにいるから来たというなら、それはそれでもう一つですねぇ」
レイアの頼みにハナは乗る。何か食べるという口が収まらない。
「その方がよいでしょう。歪虚をというより、謎の食品を食べて、毒性があった場合、通常ならば体積が小さいほど効き易い傾向にあるので、動物にあげる場合は安全を確かめてからの方がよろしいかと思います」
フィロは「人が食べたことがある鳥ならば問題ないでしょう」と付け加えた。
「……餌を狩る……狩る? 普通の餌を普通に買いに行けばいいんじゃないだろうか……」
「そうですね。よほどの場所でない限り買いに行けばいいと思います」
真の言葉に木綿花が同意した。真はほっとするがその直後、頭を抱えることになる。
「でも、モニちゃんが新鮮なお肉を食べたいというんですね? モニちゃんのためにするということは素敵ですね。手伝います」
木綿花はにこにこと走り出したのだった。
真は山鳥なり何か鳥なり狩るのを手伝うべきなのか、すでに依頼は完遂しているということで報告すべきなのか悩ましい。コーネリアの様子をうかがう。
「まあ、この辺りにまだ何かいないとは限らないからな」
「……そ、それはそうだな」
コーネリアの一言は一理あるようで、ただに狩に加わる口実にも聞こえる。その実は本人しかわからない。
真はまず、崖の上に巣のような物や変なことがないかを確認しに行った。先ほど見たとき、巣のように枝とか集められていたが、特に問題にはなりそうになかった。
それからしばらくして幸いなことに鳥は獲ることができた。
●おとなしく
真は街に戻ってからオフィスに依頼が終わったことを報告しに行った。ついでにラカのことも報告すると職員の表情がひきつる。
「そもそもフェレット用の餌で生活しているのに、食べるんですか?」
「それもそうだね……今回一緒だった人たちも彼女の家に行っているから様子見てくる」
気の毒そうに見つめる職員の視線を背に受け、真は建物を出た。
一方、コーネリアは付き合って行動していたが、なぜこうなったのか不思議な気持ちも湧いていた。手持無沙汰でラカのペットのモニを眺めている。
「確かにイタチは肉は食べるだろうな。これに野性は全く感じられないのに新鮮な肉か……」
モニは小屋の中から出してほしいのか、じっとコーネリアを見つめている。無言の圧力がある。
「できましたー。味付けしていないのがこっちです」
ハナが小皿に載せた小さくそいだ鳥肉をラカに渡した。ラカはドキドキしながらモニの前に置いた。モニは匂いを嗅いだ。そして、ラカにまとわりついた。
「今の餌で満足しているのですのね」
「フェレットはなれたものしか食べないと言いますしぃ、無理にあげなくていいんじゃないのですぅ?」
木綿花とハナに助言をもらう。
「むしった羽はおもちゃにすればよいのでしょう。羽を使ったねこじゃらしのようなおもちゃは狩猟本の意が高いペットには好まれると聞いた記憶があります」
「そうだな……鳥の羽も余すところなく使うのだな」
フィロが作業をするのを見て、レイアは納得する。
真がここに来た時、くつろぐ女性陣の姿があったのだった。なお、問題の生き物は客の多さに大興奮していた。
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談所 木綿花(ka6927) ドラグーン|21才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2018/07/23 19:56:28 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/07/22 12:41:42 |