ゲスト
(ka0000)
蛍と花火
マスター:秋月雅哉

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
500
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 1~25人
- サポート
- 0~0人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 8日
- 締切
- 2018/07/29 15:00
- 完成日
- 2018/07/30 10:37
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●涼を求めて
連日連署の猛暑に人々もハンターもぐったり君の夏。歪虚は元気かもしれないが有り難くない話なのでそれはきれいさっぱり置いておいて。
「花火大会の誘いをもらったんだ。君たちもどうだい」
この間の避暑では水着が活躍したが、浴衣を持っている人たちの出番はこういった催しだろう? と切り出したのは年がら年中白衣の童顔男、ルカ・シュバルツエンド(kz0073)だ。銀髪はいつものように後ろで無理やりしっぽのようにくくっている。暑さ対策というよりは書類整理の時邪魔なのだろう。冬でもあの髪型なので。
「目的は避暑。花火大会が開かれる。といってもそこまで大きなものじゃなく、村おこしみたいな小さなものさ。打ち上げ花火もあるけどどちらかというと手持ち花火を持ち寄ってみんなでお酒や冷たいジュースを飲みながら歓談したりといったものかな。夏祭りの屋台も出るよ。夏野菜のカレーや、綿あめやリンゴ飴、射的やくじ引き。そのほか食べ物の屋台も出るし……あとは、なんだっけ、リアルブルーの夏祭りに影響を受けて鉱石のつかみ取りとかそういうのもあるらしい。
近くの水辺では蛍が見られるそうだから、静かに夏の夜を楽しみたい人はそっちがおすすめかな。今が見ごろの蛍の種類がいるらしいよ。名前は……ごめん、忘れた」
リアルブルーでは無事に夏を越せるように夏越の大祓とかいうのを今の時期にやるそうだけれど。川辺で足を水に入れて涼んだり、花火を楽しんだり。
そうやって元気を取り入れてクリムゾンウェスト流に夏を元気に越せたらいいよね、歪虚との戦いもまだまだ続きそうだし。
そういってルカは机に突っ伏した。やはり白衣は暑いらしい。彼曰くきちんと夏物の白衣らしいけれど。長袖ならそれはそれだけで暑いだろう、当然。
「僕も同行するよ。最近長期的に不在にしてたから、前以来で知り合ったハンターのみんなとの交流が楽しみでね。僕を知ってる人がいたら気軽に声をかけてほしい。遊びに熱中したいならそれで構わないけどね」
目指すは夜の夏祭り会場。手持ち花火と、ささやかな打ち上げ花火。そして蛍。
まだまだ猛威を振るう夏を、少しでも楽しむとしよう。
連日連署の猛暑に人々もハンターもぐったり君の夏。歪虚は元気かもしれないが有り難くない話なのでそれはきれいさっぱり置いておいて。
「花火大会の誘いをもらったんだ。君たちもどうだい」
この間の避暑では水着が活躍したが、浴衣を持っている人たちの出番はこういった催しだろう? と切り出したのは年がら年中白衣の童顔男、ルカ・シュバルツエンド(kz0073)だ。銀髪はいつものように後ろで無理やりしっぽのようにくくっている。暑さ対策というよりは書類整理の時邪魔なのだろう。冬でもあの髪型なので。
「目的は避暑。花火大会が開かれる。といってもそこまで大きなものじゃなく、村おこしみたいな小さなものさ。打ち上げ花火もあるけどどちらかというと手持ち花火を持ち寄ってみんなでお酒や冷たいジュースを飲みながら歓談したりといったものかな。夏祭りの屋台も出るよ。夏野菜のカレーや、綿あめやリンゴ飴、射的やくじ引き。そのほか食べ物の屋台も出るし……あとは、なんだっけ、リアルブルーの夏祭りに影響を受けて鉱石のつかみ取りとかそういうのもあるらしい。
近くの水辺では蛍が見られるそうだから、静かに夏の夜を楽しみたい人はそっちがおすすめかな。今が見ごろの蛍の種類がいるらしいよ。名前は……ごめん、忘れた」
リアルブルーでは無事に夏を越せるように夏越の大祓とかいうのを今の時期にやるそうだけれど。川辺で足を水に入れて涼んだり、花火を楽しんだり。
そうやって元気を取り入れてクリムゾンウェスト流に夏を元気に越せたらいいよね、歪虚との戦いもまだまだ続きそうだし。
そういってルカは机に突っ伏した。やはり白衣は暑いらしい。彼曰くきちんと夏物の白衣らしいけれど。長袖ならそれはそれだけで暑いだろう、当然。
「僕も同行するよ。最近長期的に不在にしてたから、前以来で知り合ったハンターのみんなとの交流が楽しみでね。僕を知ってる人がいたら気軽に声をかけてほしい。遊びに熱中したいならそれで構わないけどね」
目指すは夜の夏祭り会場。手持ち花火と、ささやかな打ち上げ花火。そして蛍。
まだまだ猛威を振るう夏を、少しでも楽しむとしよう。
リプレイ本文
●真夏の夜の夢
日中は猛威を振るう太陽が真っ赤な夕日となって西の空に沈んで。短い生を謳歌するように暑さに拍車をかける蝉時雨の声がだんだん鈴虫などの少し涼しげなものへと変わっていって。
やがて空は青から赤、藍から濃紺へと彩を変えて。夏祭りの会場にはリアルブルーの提灯をまねた灯が灯り始め、蒼と紅の世界の文化の融合のように独自の進化を遂げた祭りばやしが奏でられ始める。
小さな村の夏祭り、入り口で花火を配り、いくつかある屋台を広げ、空にささやかな打ち上げ花火。
広場を抜けて沢へと足を延ばせば蛍に似た生き物がそっと明滅する夏の夜のひと時にハンターたちは招待されていた。
雪ノ下正太郎 (ka0539)は戦友以上恋人未満、家族も同然のイヴ (ka6763)と屋台をめぐる。
「浴衣、愛らしいですね。似合ってますよ♪」
そんな風にごく自然にほめて魔導カメラで思い出を切り取りながら選んだのはほのかにピンク色に染められたふわふわの綿あめ。
「リアルブルーのお祭りってこんな感じなの? 不思議な感じ! これ、ふわふわ! いいにおい!」
「リアルブルーそのもののお祭りではないかな、クリムゾンウェストらしさも所々に混ざってる。祭りばやしなんかは、特に。たこ焼きもリアルブルーだと定番なんだけど」
「タコってあのタコ!?」
タコを食べる文化がない国の出身者にとってはたこ焼きは恐ろしい食べ物に思えるらしく髪の毛が逆立ちそうな勢いで警戒するイヴに正太郎は一部地域ではごく自然に食べられていること、弾力があって病みつきになる歯ごたえで、でもたこ焼きだと小さく切っているから歯が疲れるほどではないこと。試しに一つ食べてみて、どうしてもだめだったら自分が引き受けるから、と実食を進めてみる。
恐る恐る口にする熱々のたこ焼き。やけどしないように口の中で転がしながら噛めばなるほど確かに未知の歯ごたえ。
「タコおいしい!」
「蛍も見られるそうだけど、その前に花火もどう? せっかくもらったんだし」
線香花火でどっちが長持ちさせられるかの勝負に熱中しすぎてイヴの足元に火が落ちたのを正太郎がすかさず手当て。
「あらら、手当てするからじっとして」
小さくてもやけどというものはひりひりと痛むものだ。自分がやけどしたように痛そうな顔をして冷やして手当てをする正太郎にイヴはおとなしくしながら、心配してもらえてうれしいような、痛そうな顔が申し訳ないような。
次からは火傷と火の始末に気を付けて、蛍狩りに出かけるまで今しばらく花火と祭囃子でにぎやかさを楽しむのだった。
瀬織 怜皇 (ka0684)とUisca Amhran(ka0754)は屋台巡りの最中ずんぐりむっくりしたフォルムの生き物が描かれた袋の綿あめを発見。
「この生き物って、レオが前にいってたリアルブルーに住む飛べない鳥なの?」
「はい、ペンギンですね。ペンギンは飛べないけれど泳ぐのはとても速いんですよ」
「鳥なのに泳ぎが得意なんて、変なの。でもかわいい」
「じゃあこの柄の綿あめにしましょう。気に入ってもらえてよかった」
村でひそかにはやっているのか、お面屋さんでもペンギンを発見。
「はわ、この縁日はペンギンさん推しだね!」
「確かにペンギン推し、かも? あまりメジャーながらではないんですけどね、水族館ならともかく縁日でだと」
ちょっと苦笑しながらペンギンのお面を狩って側頭部に着けてみる。
浴衣と合わせて夏祭りを満喫している様子の恋人たちはお互い無邪気に微笑み合うのだった。
夢路 まよい(ka1328) も浴衣に着替えて屋台巡りの真っ最中。
「わ、宝石みたいにツヤツヤ~♪」
真っ赤なリンゴ飴を見て興味津々。一つ買ってみて、意外と固い飴をなめながらぶらりぶらりと探索、次に視界に入ったのはリアルブルーではおなじみの射的。
ハンターの仲間が戦闘で銃火器を取り扱うのはよく見るがまよい自身は試したことがなくて。おもちゃではあるけれどせっかくだから撃ってみたい! とチャレンジ開始。
狙うはもちろん大物、渡された弾を全弾う使うつもりで狙ってみるけれどなかなか倒れず本当に取れるようになってるの? などとお店の人に問いかけて。
そこに通りかかったのは鳳凰院ひりょ(ka3744)だった。
「この手のものは多分倒れにくいように重心を調整してあるはずだが……逆に重心の弱点をよく観察して打ち抜ければ簡単に倒れると聞いたことがあるぞ」
祭りにはいろいろ参加していたので聞きかじりの知識を披露して、そのまま通り過ぎるのもなんだからと二人でじっくり観察。
「さては……そこだ!」
ぱこん。コルクの弾が重心が一転にかかっている部分を綺麗に打ち抜き、あれだけ手ごわかった大物が倒れる。ベルを鳴らしながら文句を言われて困った顔をしていた店主が大当たりを告げれば通りがかりの人たちが賛辞の言葉を投げていく。
「ありがとう、おかげでとれたよ。それと店主さん、難癖言ってごめんね。腕が悪かっただけみたい」
「いや、おせっかいでなかったのならいいのだが。では、迷惑はかけないようにな」
「気を付ける。そっちもお祭りのひと時を楽しんで?」
「あぁ。感謝を」
レイア・アローネ(ka4082)とブリジット(ka4843) はブリジットが着つけた浴衣でともに祭り会場へ。
レイアは赤い地のものを、ブリジットは青地のものを。好対照な色合いの二人に通行人の男性たちは目を奪われっぱなし。
「こういうのは着たことがないから落ち着かん……一枚布だから下手に歩くと大変なことになりそうだ。むぅ……だがブリジットは似合ってる……気がする」
レイアは浴衣になじみがないのでどんな着こなしが似合っているのかがよくわからず自信なさげに。着付けを担当したブリジットは母親から一通り教わっていたので歩き方にも危なげがない。
「和服は着付けによって大分着心地が変わりますが慣れていないと違和感はあるかもしれませんね。まぁ、焦ることもないですしゆっくり歩けば大丈夫ですよ。裾を踏まないように気を付けて、歩幅はいつもより小さめに。着崩れるとみっともないですから」
いっそ歌い手としては楽器を披露したくもなるが、たまにはのんびりするのもいいだろうと自重して。
下駄に慣れていない、おぼつかない足取りで歩く連れに合わせて平和でにぎやかな喧騒の中を楽しみながら二人は歩いていく。
「今日こそ……素敵な殿方にぃ……」
星野 ハナ(ka5852)は燃え上がるべき夏に恋の相手がいないのはあまりに寂しい、狩るなら今でしょ! と本気モードでお眼鏡にかなう男性を探す。
その本気具合に男性陣は遠巻きになっているのだが本人はいまだ気づいておらずタロットを使用して出会いを探しに。
けれどここは屋台立ち並ぶ祭り会場、食べ物との出会いもあるわけで。
「このタレはぁ、もうすこし隠し味きかせた方がおいしくなると思いますぅ」
自分も屋台を出すことがあるためつい全制覇と味の品評に注意がそれて気づけば周りを歩く男性たちの独り身率が減っている。
「ルカさん~、誰か素敵な殿方紹介してくださいぃぃぃ」
最後はこの祭りに誘ったルカ・シュバルツエンドに泣きついては見るものの。
「うぅん、今回把握してる人は大体カップルか女性かなぁ。まぁ、気に留めてはおくよ」
僕もあまり顔は広くないから、と困ったように肩をすくめられる。
素敵な殿方、と言われてもルカが仲介してきた仕事はイロモノも多かったので面白い人、の知り合い率のほうが高いのである。
そしてしばらくオフィスを空けていたこともあって旧交を温めたうえで人に紹介するのにはまだ時間がかかりそうで。
ハナの運命の出会いは、まだ遠いのかもしれない。
そんなルカが再び声をかけられたのは三兄妹から。振られた内容は料理の腕について。
「なんやこう、ものごつ親近感わきますんやぇ。ルカのお兄ぃはんやったらうちの料理もたべれるやろか?」
ルカはアルケミストの癖に機械音痴で師匠から感動も同然に追い出されたのと同時にオフィスでよくダークマターを口にしている。
それがどれだけ危ないものかというと常人が食べると数日寝込むもの。だが製作者曰く出来の良しあしはあるらしい。きっとルカ以外はわからない善し悪しだが。
静玖(ka5980)も料理を禁止される腕前のため自分の料理をどう評価するのか興味津々な様子。
兄の雹(ka5978)はこの二人がタッグを組んだら歪虚もオーバーキルできる筆舌に尽くしがたいものができるのでは、と思わず神妙な顔で見守る。
澪(ka6002)はいつも通りに、けれど気を使ってそんな三人を見ている。最近、この姉妹はちょっといろいろあったらしい。
「まあ食べられるんじゃないかな、食べ物を使ってるなら。逆に僕の料理をどう評価されるのかとかも興味はあるけれどお兄さんが怖い顔をしてるから進めるのはやめておこう」
「ほんま? なら今度オフィスに差し入れ持っていくから、うちの料理味見してぇな」
「それはやめておいた方が……」
「大丈夫だよ、大体の者はおいしいからね、僕にとっては」
やけに自信ありげにうなずくルカに、雹はお裾分けで自分たちに来るのが怖いのだが、とは言えないのだった。
蛍を見に行くという三人をルカは見送って歩き出す。
穂積 智里(ka6819)のことをハンス・ラインフェルト(ka6750)はマウジーと呼んで大事にしている。今日のお出かけも智里の意思を優先。
「マウジーの行きたいところへ、行きたい順で構いませんよ」
「ありがとうございます。最近夏の風物詩を堪能できるイベントが多くてうれしいです……ふふっ」
腕を組んで歩きながら焼きトウモロコシやお好み焼き、たこ焼きを半分こして食べて祭りを見物した後は蛍のいるという沢へ。
「いつの間にか一緒にいることのほうが自然になって、安心できて。ありがとう、ハンスさん……これからもずっと一緒にいてくださいね?」
「蛍は相手を見つけるためにこうやって光るそうですね。たとえどんな時であろうと、何があっても、私はあなたを見つけますよ、マウジー」
そういうハンスに智里は心から幸せそうに微笑み返す。
「なんだこの光! さっきの邪神!?」
「蛍だよ、虫の一種」
タコを邪神の一種だとぬぐい切れない疑いを持っていたイヴは初めて見る蛍もその仲間かと身構える。
ただの昆虫だと知ってからはその幻想的な光をじっと正太郎と一緒に眺めて。
慣れない下駄で足を痛めたので、帰りはお姫様抱っこかおんぶをしようかと問われておんぶを選んで仲良く家路をたどったのだった。
「蛍……綺麗……」
静玖を誘って澪は淡い光を追いかける。
そんな澪にそうっとちかよって驚かして。澪は驚いて静玖をつかんで水辺にぽっちゃん。
「す、涼しぃおすなぁ~」
「もう~」
ごまかしを含めた笑いを浮かべる双子がアイコンタクト、近づいてくるのは二人を心配して近寄ってくる兄の姿。
すれ違っていてももとは仲のいい双子、すぐに以心伝心で兄も引っ張り込んで沢に小さな水しぶきが上がった。
「これぞ納涼やねぇ~♪」
ひりょはまよいと別れた後自然を満喫しに一人で沢へ。
自分がいたところではもう蛍を見られる機会はそうそうなかったな、自然が多いところだからこその夏の風物詩だろう。
そんな風に感嘆しながら水辺に足を付けて涼み、幻想的な光景を楽しむ。
(こういう雰囲気を共有できる誰かがいるといいのだろうが……まぁ、それはそれ、だな)
ないものねだりをしてもしかたがない。来年い期待して、しっかりとこの景色を目に焼き付けておこうと息を吐く。
まだまだ続く闘いの日々にもおれない心を作る糧となるように。
「わぁ、キレイ……空のお星さまに、地上の蛍に……この世界で生きていく人たちの命。そんなきれいな景色を守るために、がんばらないとね」
ペンギンのお面のひもをもてあそびながらそんな決意を口にするUiscaと肩を寄せ合い、頭をなでながら怜皇もうなずきを返すのだった。
「そうですね、この綺麗な景色を守るために俺たちは頑張らないといけませんねぇ?」
力を貸してくださいね、という言葉にもちろん、と大きくうなずきを返して、二人はもうしばらく蛍の群舞を眺めていた。
そうしてすぎていく時間は夏の日差しのように色鮮やかに、祭りの一夜の記憶として皆の心に焼き付けられたのだった。
日中は猛威を振るう太陽が真っ赤な夕日となって西の空に沈んで。短い生を謳歌するように暑さに拍車をかける蝉時雨の声がだんだん鈴虫などの少し涼しげなものへと変わっていって。
やがて空は青から赤、藍から濃紺へと彩を変えて。夏祭りの会場にはリアルブルーの提灯をまねた灯が灯り始め、蒼と紅の世界の文化の融合のように独自の進化を遂げた祭りばやしが奏でられ始める。
小さな村の夏祭り、入り口で花火を配り、いくつかある屋台を広げ、空にささやかな打ち上げ花火。
広場を抜けて沢へと足を延ばせば蛍に似た生き物がそっと明滅する夏の夜のひと時にハンターたちは招待されていた。
雪ノ下正太郎 (ka0539)は戦友以上恋人未満、家族も同然のイヴ (ka6763)と屋台をめぐる。
「浴衣、愛らしいですね。似合ってますよ♪」
そんな風にごく自然にほめて魔導カメラで思い出を切り取りながら選んだのはほのかにピンク色に染められたふわふわの綿あめ。
「リアルブルーのお祭りってこんな感じなの? 不思議な感じ! これ、ふわふわ! いいにおい!」
「リアルブルーそのもののお祭りではないかな、クリムゾンウェストらしさも所々に混ざってる。祭りばやしなんかは、特に。たこ焼きもリアルブルーだと定番なんだけど」
「タコってあのタコ!?」
タコを食べる文化がない国の出身者にとってはたこ焼きは恐ろしい食べ物に思えるらしく髪の毛が逆立ちそうな勢いで警戒するイヴに正太郎は一部地域ではごく自然に食べられていること、弾力があって病みつきになる歯ごたえで、でもたこ焼きだと小さく切っているから歯が疲れるほどではないこと。試しに一つ食べてみて、どうしてもだめだったら自分が引き受けるから、と実食を進めてみる。
恐る恐る口にする熱々のたこ焼き。やけどしないように口の中で転がしながら噛めばなるほど確かに未知の歯ごたえ。
「タコおいしい!」
「蛍も見られるそうだけど、その前に花火もどう? せっかくもらったんだし」
線香花火でどっちが長持ちさせられるかの勝負に熱中しすぎてイヴの足元に火が落ちたのを正太郎がすかさず手当て。
「あらら、手当てするからじっとして」
小さくてもやけどというものはひりひりと痛むものだ。自分がやけどしたように痛そうな顔をして冷やして手当てをする正太郎にイヴはおとなしくしながら、心配してもらえてうれしいような、痛そうな顔が申し訳ないような。
次からは火傷と火の始末に気を付けて、蛍狩りに出かけるまで今しばらく花火と祭囃子でにぎやかさを楽しむのだった。
瀬織 怜皇 (ka0684)とUisca Amhran(ka0754)は屋台巡りの最中ずんぐりむっくりしたフォルムの生き物が描かれた袋の綿あめを発見。
「この生き物って、レオが前にいってたリアルブルーに住む飛べない鳥なの?」
「はい、ペンギンですね。ペンギンは飛べないけれど泳ぐのはとても速いんですよ」
「鳥なのに泳ぎが得意なんて、変なの。でもかわいい」
「じゃあこの柄の綿あめにしましょう。気に入ってもらえてよかった」
村でひそかにはやっているのか、お面屋さんでもペンギンを発見。
「はわ、この縁日はペンギンさん推しだね!」
「確かにペンギン推し、かも? あまりメジャーながらではないんですけどね、水族館ならともかく縁日でだと」
ちょっと苦笑しながらペンギンのお面を狩って側頭部に着けてみる。
浴衣と合わせて夏祭りを満喫している様子の恋人たちはお互い無邪気に微笑み合うのだった。
夢路 まよい(ka1328) も浴衣に着替えて屋台巡りの真っ最中。
「わ、宝石みたいにツヤツヤ~♪」
真っ赤なリンゴ飴を見て興味津々。一つ買ってみて、意外と固い飴をなめながらぶらりぶらりと探索、次に視界に入ったのはリアルブルーではおなじみの射的。
ハンターの仲間が戦闘で銃火器を取り扱うのはよく見るがまよい自身は試したことがなくて。おもちゃではあるけれどせっかくだから撃ってみたい! とチャレンジ開始。
狙うはもちろん大物、渡された弾を全弾う使うつもりで狙ってみるけれどなかなか倒れず本当に取れるようになってるの? などとお店の人に問いかけて。
そこに通りかかったのは鳳凰院ひりょ(ka3744)だった。
「この手のものは多分倒れにくいように重心を調整してあるはずだが……逆に重心の弱点をよく観察して打ち抜ければ簡単に倒れると聞いたことがあるぞ」
祭りにはいろいろ参加していたので聞きかじりの知識を披露して、そのまま通り過ぎるのもなんだからと二人でじっくり観察。
「さては……そこだ!」
ぱこん。コルクの弾が重心が一転にかかっている部分を綺麗に打ち抜き、あれだけ手ごわかった大物が倒れる。ベルを鳴らしながら文句を言われて困った顔をしていた店主が大当たりを告げれば通りがかりの人たちが賛辞の言葉を投げていく。
「ありがとう、おかげでとれたよ。それと店主さん、難癖言ってごめんね。腕が悪かっただけみたい」
「いや、おせっかいでなかったのならいいのだが。では、迷惑はかけないようにな」
「気を付ける。そっちもお祭りのひと時を楽しんで?」
「あぁ。感謝を」
レイア・アローネ(ka4082)とブリジット(ka4843) はブリジットが着つけた浴衣でともに祭り会場へ。
レイアは赤い地のものを、ブリジットは青地のものを。好対照な色合いの二人に通行人の男性たちは目を奪われっぱなし。
「こういうのは着たことがないから落ち着かん……一枚布だから下手に歩くと大変なことになりそうだ。むぅ……だがブリジットは似合ってる……気がする」
レイアは浴衣になじみがないのでどんな着こなしが似合っているのかがよくわからず自信なさげに。着付けを担当したブリジットは母親から一通り教わっていたので歩き方にも危なげがない。
「和服は着付けによって大分着心地が変わりますが慣れていないと違和感はあるかもしれませんね。まぁ、焦ることもないですしゆっくり歩けば大丈夫ですよ。裾を踏まないように気を付けて、歩幅はいつもより小さめに。着崩れるとみっともないですから」
いっそ歌い手としては楽器を披露したくもなるが、たまにはのんびりするのもいいだろうと自重して。
下駄に慣れていない、おぼつかない足取りで歩く連れに合わせて平和でにぎやかな喧騒の中を楽しみながら二人は歩いていく。
「今日こそ……素敵な殿方にぃ……」
星野 ハナ(ka5852)は燃え上がるべき夏に恋の相手がいないのはあまりに寂しい、狩るなら今でしょ! と本気モードでお眼鏡にかなう男性を探す。
その本気具合に男性陣は遠巻きになっているのだが本人はいまだ気づいておらずタロットを使用して出会いを探しに。
けれどここは屋台立ち並ぶ祭り会場、食べ物との出会いもあるわけで。
「このタレはぁ、もうすこし隠し味きかせた方がおいしくなると思いますぅ」
自分も屋台を出すことがあるためつい全制覇と味の品評に注意がそれて気づけば周りを歩く男性たちの独り身率が減っている。
「ルカさん~、誰か素敵な殿方紹介してくださいぃぃぃ」
最後はこの祭りに誘ったルカ・シュバルツエンドに泣きついては見るものの。
「うぅん、今回把握してる人は大体カップルか女性かなぁ。まぁ、気に留めてはおくよ」
僕もあまり顔は広くないから、と困ったように肩をすくめられる。
素敵な殿方、と言われてもルカが仲介してきた仕事はイロモノも多かったので面白い人、の知り合い率のほうが高いのである。
そしてしばらくオフィスを空けていたこともあって旧交を温めたうえで人に紹介するのにはまだ時間がかかりそうで。
ハナの運命の出会いは、まだ遠いのかもしれない。
そんなルカが再び声をかけられたのは三兄妹から。振られた内容は料理の腕について。
「なんやこう、ものごつ親近感わきますんやぇ。ルカのお兄ぃはんやったらうちの料理もたべれるやろか?」
ルカはアルケミストの癖に機械音痴で師匠から感動も同然に追い出されたのと同時にオフィスでよくダークマターを口にしている。
それがどれだけ危ないものかというと常人が食べると数日寝込むもの。だが製作者曰く出来の良しあしはあるらしい。きっとルカ以外はわからない善し悪しだが。
静玖(ka5980)も料理を禁止される腕前のため自分の料理をどう評価するのか興味津々な様子。
兄の雹(ka5978)はこの二人がタッグを組んだら歪虚もオーバーキルできる筆舌に尽くしがたいものができるのでは、と思わず神妙な顔で見守る。
澪(ka6002)はいつも通りに、けれど気を使ってそんな三人を見ている。最近、この姉妹はちょっといろいろあったらしい。
「まあ食べられるんじゃないかな、食べ物を使ってるなら。逆に僕の料理をどう評価されるのかとかも興味はあるけれどお兄さんが怖い顔をしてるから進めるのはやめておこう」
「ほんま? なら今度オフィスに差し入れ持っていくから、うちの料理味見してぇな」
「それはやめておいた方が……」
「大丈夫だよ、大体の者はおいしいからね、僕にとっては」
やけに自信ありげにうなずくルカに、雹はお裾分けで自分たちに来るのが怖いのだが、とは言えないのだった。
蛍を見に行くという三人をルカは見送って歩き出す。
穂積 智里(ka6819)のことをハンス・ラインフェルト(ka6750)はマウジーと呼んで大事にしている。今日のお出かけも智里の意思を優先。
「マウジーの行きたいところへ、行きたい順で構いませんよ」
「ありがとうございます。最近夏の風物詩を堪能できるイベントが多くてうれしいです……ふふっ」
腕を組んで歩きながら焼きトウモロコシやお好み焼き、たこ焼きを半分こして食べて祭りを見物した後は蛍のいるという沢へ。
「いつの間にか一緒にいることのほうが自然になって、安心できて。ありがとう、ハンスさん……これからもずっと一緒にいてくださいね?」
「蛍は相手を見つけるためにこうやって光るそうですね。たとえどんな時であろうと、何があっても、私はあなたを見つけますよ、マウジー」
そういうハンスに智里は心から幸せそうに微笑み返す。
「なんだこの光! さっきの邪神!?」
「蛍だよ、虫の一種」
タコを邪神の一種だとぬぐい切れない疑いを持っていたイヴは初めて見る蛍もその仲間かと身構える。
ただの昆虫だと知ってからはその幻想的な光をじっと正太郎と一緒に眺めて。
慣れない下駄で足を痛めたので、帰りはお姫様抱っこかおんぶをしようかと問われておんぶを選んで仲良く家路をたどったのだった。
「蛍……綺麗……」
静玖を誘って澪は淡い光を追いかける。
そんな澪にそうっとちかよって驚かして。澪は驚いて静玖をつかんで水辺にぽっちゃん。
「す、涼しぃおすなぁ~」
「もう~」
ごまかしを含めた笑いを浮かべる双子がアイコンタクト、近づいてくるのは二人を心配して近寄ってくる兄の姿。
すれ違っていてももとは仲のいい双子、すぐに以心伝心で兄も引っ張り込んで沢に小さな水しぶきが上がった。
「これぞ納涼やねぇ~♪」
ひりょはまよいと別れた後自然を満喫しに一人で沢へ。
自分がいたところではもう蛍を見られる機会はそうそうなかったな、自然が多いところだからこその夏の風物詩だろう。
そんな風に感嘆しながら水辺に足を付けて涼み、幻想的な光景を楽しむ。
(こういう雰囲気を共有できる誰かがいるといいのだろうが……まぁ、それはそれ、だな)
ないものねだりをしてもしかたがない。来年い期待して、しっかりとこの景色を目に焼き付けておこうと息を吐く。
まだまだ続く闘いの日々にもおれない心を作る糧となるように。
「わぁ、キレイ……空のお星さまに、地上の蛍に……この世界で生きていく人たちの命。そんなきれいな景色を守るために、がんばらないとね」
ペンギンのお面のひもをもてあそびながらそんな決意を口にするUiscaと肩を寄せ合い、頭をなでながら怜皇もうなずきを返すのだった。
「そうですね、この綺麗な景色を守るために俺たちは頑張らないといけませんねぇ?」
力を貸してくださいね、という言葉にもちろん、と大きくうなずきを返して、二人はもうしばらく蛍の群舞を眺めていた。
そうしてすぎていく時間は夏の日差しのように色鮮やかに、祭りの一夜の記憶として皆の心に焼き付けられたのだった。
依頼結果
依頼成功度 | 成功 |
---|
面白かった! | 7人 |
---|
ポイントがありませんので、拍手できません
現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!
MVP一覧
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/07/28 09:57:56 |