ゲスト
(ka0000)
ネレイド村の海祭り2
マスター:とりる
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
- 1,500
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~15人
- サポート
- 0~15人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/07/28 07:30
- 完成日
- 2018/08/29 09:23
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「あっづい!!」
ネレイド村――族長の家にて。腹の底から絞り出したような声が響いた。
「クソ暑くてデスクワークなんてやってられないよ! ねっ!? ヴァイン!!」
そのように声を荒げるのはネレイド族長のミサキ・ネレイド(kz0079)であった。
「私は大丈夫です。……この程度の暑さ、牙城・焔(kz0191)の爆炎や火蜥蜴の炎に比べれば――」
涼しい顔(しかし額は汗だく)で答える、ミサキを守る近衛隊隊長のヴァイン・ネレイド。
「いや、比較対象が間違ってるから! 私だって戦闘中は大丈夫だけどさ。家に居るときくらい快適に過ごしたいじゃない……」
「魔導扇風機で我慢してください」
「そこは魔導エアコンにしようよ!」
「贅沢は敵です」
「そんなぁ……」
がくりと崩れ落ちるミサキ。その様子を見たヴァインは「はぁ」とため息をつく。
「ミサキ様、ネレイド村の予算も無限ではないのですよ。そのような近代機器の配備は主要施設が優先されます」
「族長の家は主要施設じゃないの!?」
ミサキ必死の懇願。ヴァインに縋り付く。
「今年の夏はヤヴァイって……本当に暑さが半端ないって!」
「仕方ないですね……。確かに今年の暑さは普段着が薄着のネレイド族でもそこそこ堪えます」
「でしょう?」
瞳をうるうるさせるミサキ……。
「なので、今年の海祭りの動員数が去年を上回れば魔導エアコンの導入を検討しましょう。ミサキ様の奮戦に期待します」
「何故海祭りに直結するの……。まあいいけどさ。とりあえず暑いからハンターさん達を呼んで海遊びしようよ。ハンターが来れば注目を浴びるはず!」
「それはそうですね。良いと思います。私のほうでハンターズソサエティへ依頼しておきましょう」
「やった!」
ミサキは嬉しそうに握り拳を振り上げぴょんとジャンプする。
「ミサキ様が遊べるかどうかは例によってハンター次第ですけどね。お誘いが来なければ家でお仕事です」
「うむぅ~……」
そんなわけでネレイド村の海祭りに、ハンターが招待されることになった。
ネレイド村――族長の家にて。腹の底から絞り出したような声が響いた。
「クソ暑くてデスクワークなんてやってられないよ! ねっ!? ヴァイン!!」
そのように声を荒げるのはネレイド族長のミサキ・ネレイド(kz0079)であった。
「私は大丈夫です。……この程度の暑さ、牙城・焔(kz0191)の爆炎や火蜥蜴の炎に比べれば――」
涼しい顔(しかし額は汗だく)で答える、ミサキを守る近衛隊隊長のヴァイン・ネレイド。
「いや、比較対象が間違ってるから! 私だって戦闘中は大丈夫だけどさ。家に居るときくらい快適に過ごしたいじゃない……」
「魔導扇風機で我慢してください」
「そこは魔導エアコンにしようよ!」
「贅沢は敵です」
「そんなぁ……」
がくりと崩れ落ちるミサキ。その様子を見たヴァインは「はぁ」とため息をつく。
「ミサキ様、ネレイド村の予算も無限ではないのですよ。そのような近代機器の配備は主要施設が優先されます」
「族長の家は主要施設じゃないの!?」
ミサキ必死の懇願。ヴァインに縋り付く。
「今年の夏はヤヴァイって……本当に暑さが半端ないって!」
「仕方ないですね……。確かに今年の暑さは普段着が薄着のネレイド族でもそこそこ堪えます」
「でしょう?」
瞳をうるうるさせるミサキ……。
「なので、今年の海祭りの動員数が去年を上回れば魔導エアコンの導入を検討しましょう。ミサキ様の奮戦に期待します」
「何故海祭りに直結するの……。まあいいけどさ。とりあえず暑いからハンターさん達を呼んで海遊びしようよ。ハンターが来れば注目を浴びるはず!」
「それはそうですね。良いと思います。私のほうでハンターズソサエティへ依頼しておきましょう」
「やった!」
ミサキは嬉しそうに握り拳を振り上げぴょんとジャンプする。
「ミサキ様が遊べるかどうかは例によってハンター次第ですけどね。お誘いが来なければ家でお仕事です」
「うむぅ~……」
そんなわけでネレイド村の海祭りに、ハンターが招待されることになった。
リプレイ本文
●
さてさて今年も無事開催されたネレイド村の海祭りに招待された七名のハンター達は――?
まず、すっかり常連(?)となったエルフの三姉妹である。
豊満な肢体と溢れる色気と母性の長女、フローレンス・レインフォード(ka0443)。
今回も次女に付き添う形で、末妹共々一緒に息抜きにやってきたレインフォード姉妹であった。
またのんびりゆったりと羽根を伸ばすため(?)、気合の入った水着を持参している。
「此処は何時来ても良いものね。ネフィもあんなに楽しそうに」
ネレイド族の族長であるミサキ・ネレイド(kz0079)の友人であり元気いっぱい胸いっぱい(実際はちっぱい)の次女、ネフィリア・レインフォード(ka0444)。
そんな姉妹と共にミサキと遊びに来たネフィは族長の家に挨拶へ行く前に、三姉妹皆でいちゃいちゃしながら水着に着替えてしまう(もちろんテント的な物の中で)。
彼女の水着は白のスリングショット(三女の選択というか策略)。わりと……というか、かなりきわどいのだが、本人は「布が少なく動きやすい」程度に思っている様子。
「今回こそ海で遊ぶのだ♪ 今なら海水浴にぴったりなのだー♪ この水着、動きやすくていいよ~♪ そういうわけで……ミサキちゃん♪ あ・そ・ぼー♪」
「やっほー! ネフィちゃんなら来てくれると思っていたよー! ありがとー! あそぼー!!(計画通り……)」
ネフィと満面の笑みでハイタッチを決めるミサキだったがその笑顔の裏では作戦が上手くいったので副長のヴァインに「してやったり」といった感じだ。
無論、友人との再会を心から喜んでいるのは確か。
というわけで三姉妹は族長の家にやって来る。
「ブリス。今日は此処の子達と、もっと仲良くなって御覧なさい」
「うにゅ……。しばらくぶり……」
やはり露出の多い水着を着用した(動く度にたゆんたゆんと揺れる早熟の果実……)ブリス・レインフォード(ka0445)は姉であるフローレンスの背中に隠れていたが、その姉に促され、ご挨拶。
「姉様達と一緒に、また、遊びに来た。いっぱい遊ぶ……」
人見知りな性格は変わらないものの、ネレイド村には何度も遊びに来てるので村人には必要以上の警戒を見せず自然体で対応出来ていた。
***
お次は鳳凰院ひりょ(ka3744)。今回唯一の男性参加者。
気持ちが揺れ動くような戦いが続き、少々精神的疲労を感じた為、気分転換を兼ね、海祭りの招待を受けた次第である。
(まぁ、一人でも構わんが……招待してくれた族長殿に挨拶をしておくか)
「初の顔合わせとなるが、ちょうど息抜きをしたいと思っていた矢先。招待をありがたく受けさせてもらった」
ぺこりとミサキに対してお辞儀。
(なにやら族長殿は大変なようだ……。気分転換が必要そうに見えるな)
『というか遊びたいオーラが出ている気がしてならない』と思う彼。その理由はミサキの机に積み上げられた書類の山。
このクソ暑い中、魔導扇風機しかない部屋で缶詰状態になってデスクワークに追われる日々だったのだろう。族長の仕事は多忙だ。
(誰かのお誘いがないようであればお誘いしてみるか)――とも考えたひりょであったが、ミサキは無事ネフィ達姉妹に誘われたので口には出さなかった。
だがしかし。
「おやお初のお兄さんですね。良ければあたしが村をご案内しましょうか?」
どこからか現れたのは近衛隊の隊員であるアリサ・ネレイドだった。……印象的にはミサキをショートヘアにして、少し成長させたような雰囲気の少女。
ミサキと雰囲気が似ている……とひりょは感じる。
「どうします? お兄さん」
「……じゃあお願いしようかな。俺は鳳凰院ひりょ。よろしく」
「あたしはアリサっていいます! よろしく、ひりょお兄さん!」
***
「皆、だらしないぞ。確かに暑いには暑いが、この程度牙城や火蜥蜴共の炎に比べれば――」
などとヴァインと同じようなことを考えているのはレイア・アローネ(ka4082)。
既に水着姿と言っても差支え無さそうなビキニアーマーを着用した凛々しい女剣士、または女戦士といった女性。
(まあしかし海に行くのは悪くない。この間温泉に入るときに使った赤のビキニを着ていこう)
そんな彼女はビキニアーマーの下に、更に水着のビキニを着用済み。アーマーをパージすれば着替え完了というわけである。
「居酒屋の手伝いをするのも悪くはないのだが……折角お呼ばれしたのだ。存分に楽しみたいな。なので今回は遊ばせて貰う」
当初はバイトも悪くない~~と考えていたらしいがやはり遊ぶ時は遊ぶことにしたようだ。何事も全力、遊びも全力。
「ミサキは牙城と交戦経験があるのか……。今後の参考に話を聞きたいものだ」
(錆びるので剣は荷物と共に宿に置いていくが、素手の手合わせでも出来たなら光栄だな)
ミサキ達と少し雑談した際に牙城・焔の名前が話題に上がる。……聞けば、とてつもない強敵と認識している牙城・焔と一戦交えた後に撤退へ追い込んだことがあるらしい!
「なんと!? あの牙城を!? 一体どのようにして――」
「あはは~。あのときはもちろんハンターさん達も一緒でしたし、霊闘士の奥義が発動した直後でしたからねー。最大戦力による不意打ちに近かったかな……」
今はもう通用しませんね、とミサキは付け加える。
「牙城・焔ですと!?」
そのワードに反応したのは多由羅(ka6167)。
「……む……。別に……海に牙城・焔が現れたという事件ではないのですね……」
緊急事態か!? と思ったらしき彼女だったがそれは杞憂に終わる。
「『招待券』……? ほほう……食べ放題ですか……。ではお言葉に甘えるとしましょう……」
どういった理由で今回の依頼を受けたのか不明な多由羅だが、『食べ放題』という言葉に釣られて今回は遊ぶ(食べる)ことにしたようだ。
そんなこんなで、ひりょを除くハンター達は水着に着替えて海へ向かう!
●
ネレイド村が誇る白い砂浜――。ギンギラギンの太陽に照らされて輝く、青く透き通る海――。
「どうして誰も声を掛けてこないんですぅー! せっかく水着を新調したのにぃー!」
無邪気に海遊びを楽しむ少年少女(実際は少女が大半を占める)が多い中、海に向かって大声で叫んでいる一人の女子が居た。
……それは星野 ハナ(ka5852)。彼女は婚活目的で村へやって来たらしい……??
***
エルフの三姉妹――。
フローレンス、今回の水着は……大きく形も良いお胸とお尻を押し込んだ、所謂スリングショット。
ネレイド村の数少ない男子には非常に目の毒……。そして気の毒……(普段から女子に囲まれているがフローレンスレベルのダイナマイトボディの女子は居ないため耐性が無い)。
「ブリス。貴女も、ネフィと一緒に遊んで来なさい。……ふふふっ。本当、此処の海は美しいわ」
彼女はブリスをネフィ達の輪に入れながら、今回は自分も水遊びを楽しみつつ、ネレイド族の少人数の少年達も、もちろん嬉々として迎え入れる方針。
フローレンスのような美人でグラマーなお姉さんに「仲良くしましょう?」されたネレイド族の初心な少年達は堪ったものではなかった。
「お、俺達は向こうで遊びますんで! おねーさんはゆっくりしていってください!!」
と、めっちゃ動揺した様子で少年達はその場を去って行った。その様子にフローレンスは「あらあらうふふ」と微笑ましく見送った。
一方、ブリスの水着は、水色に白いフリルのビキニ。
「これなら、胸も他もぴったり合う。……けど、思ったより胸がきつい……。あと、やっぱり肌出しすぎな気がする……恥ずかしい……」
そのため、やっぱりフローレンスの背中に身体を隠すようにし、行動していたが、そのフローレンスにやや強引にネフィやミサキ達の遊びの輪に混ぜられた。
「はうぅ……」
ブリスはそのロリ巨乳や露出多めの肉体を両手で隠そうとするがモノがモノなので余計に強調される形となる。
ネフィはミサキ達と皆で海に入って目いっぱい遊ぶ! 前回出来なかった水の掛け合いっこをしたり、海で泳いだり。
「う・みー♪ 暑いから気持ちよさそうなのだ♪ 突撃ー♪」
最初は姉妹にミサキを交えた四人で水の掛け合い。……というかネフィが皆を連れて海に突撃後、おもむろに皆に海水をばしゃばしゃとかける。
「ほらほら、皆も来るのだ♪ フロー姉もブリスちゃんも早く来ないと水かけちゃうのだ♪ 来てもかけるけどー♪」
その後、ミサキと泳ぎで勝負。全力でどちらが早いか泳ぎの戦いを挑む!
「ミサキちゃん、泳ぎ勝負するのだ! どっちが早く泳げるか!」
「いいよー。『ネレイド村のマーメイド』の名は伊達では無いことを教えてあげちゃう♪」
そんな感じで競泳勝負。…………結果、僅差でミサキの勝利。幼いころから海で泳いでいたミサキのほうに分があったようだ。
――そして、勝負が付いたあと、全力で泳ぎ過ぎてネフィの水着がずれ、ギリギリが更にギリギリになっていたのはご愛嬌。これはミサキがさり気なく直してあげた。
競泳勝負の後はブリスも交えて海遊び。
「今はすごく暑いから……海遊び、とっても気持ちいい……」
周りで遊んでいた顔見知りのネレイド族の少女達も集まって来て和やか且つ、賑やかな空気に。女子だけでキャッキャウフフである。
褐色肌に水色髪という見慣れた容姿の、ネレイド族の女子達なのでブリスも特別警戒することなく、楽しく遊ぶことが出来た。
「フロー姉様、いつもはブリス達のコト見守ってて、一緒に遊ぶコトあんまり無いから……いっぱい、遊ぶ」
その後は再びゆったり過ごしていたフローレンスも混ぜて海遊び! ブリスは思いっきり水をかけたり、勢い余って抱きつきにいったり。
ギラギラ降り注ぐ太陽――その下でキャッキャウフフとすごく楽しそうに海遊びをする水着姿の美少女や美女達――実に『夏』を感じる一幕であった……。
***
ハナ――彼女がネレイド村へやって来た目的は「部族の嫁が希望です(本人談)」……ということらしい。
ともあれ、海・お祭り・ひと夏の○○と邪な思いテンコ盛りで参加した彼女。
トロピカル柄のタンキニを新調しハンター(獲物を狙う、的な意味で)の視線で海水浴場を睥睨。
「おかしいですぅ、遊んでる中に殿方がほぼ見受けられない気がしますぅ?」
容姿やスタイルにはそこそこ自信があるのに、全然声を掛けられない! おかしい! と感じたハナは疑問のあまり近衛隊長に突撃取材を敢行。
「ヴァインさん、ネレイド族の殿方がほぼ参加してないような気がするんですけどぉ……? ネレイド族って女系なんですぅ?」
「あー……うちの部族はかくかくしかじかですからねぇ」
ミサキの監視……ではなく見守りをしに来ていたヴァインはハナの疑問に答える(※夏の陽気で楽しげな雰囲気にそぐわないので省略)。
「それは……確かに貴重な殿方が外に出てくるはずがないですぅ……」
バタリとショック受けばったりと地面に倒れ込むハナ。
さっきまで少年達も海で遊んでいたのだがフローレンスの素晴らしく豊満な肉体に怖気づいた彼らは別の場所へ引っ込んでしまったのは秘密だ!
……。…………。………………。
数分後――しばらくそのまま屍の如くぴくりともしなかったハナは急にガバリと起き上がり、
「ふぉぉぉぉぉ、こうなったら倒れるまで遊び倒してやりますよぅ」
鬼気迫る表情を浮かべ、ババッと海に走り出し、砂浜を激走し、鬼の表情で夕方まで遠泳するのであった……。
***
一方で赤ビキニ姿のレイアは――キンキンに冷えたラムネを飲みながら浜辺をぶらぶらと歩いていた。
「ハナはどうだろう。相変わらずカップルを追いかけてるのか、それとも相手を探しているのか……」
相手が見つからなかったので遠泳の鬼と化しています……。
「レインフォード三姉妹は家族旅行だろうか……邪魔は野暮かな……」
そんなことはなく、混ざろうと思えば喜んで迎え入れてくれたのだがあまりに楽しそうだったのでレイアは遠慮。
(私も友人でも誘えれば良かったが生憎と予定が合わなかったな)
「まあ一人でも充分に羽根を伸ばせる。心身共にくつろぎながら次の戦いに備えるとしよう」
ということでレイアは一人でのんび~り過ごすことに。適当に海で泳いだり、出店を回ったり。
――それから海鮮居酒屋を訪れると――
「私、海は初めてです! 正直気持ちは昂っております」
「……と思ったらこんなところで多由羅と会えるとは」
(予定もないし彼女に付き合うとしよう)
そんな感じで多由羅と合流。
「海では『やきそば』なるものが食べられると聞きました。居酒屋ならば酒もあるでしょう。酒と海鮮とやきそばをお願いしたいです」
しばらくして。
「海鮮たっぷり焼きそば大盛りいっちょー。あとは清酒の飲み比べセットね。ごゆっくりー」
「ありがとうございます! ではさっそく……ずるずるもぐもぐごっくん。美味い!! おかわり!!」
「あいよー」
居酒屋の大将に再度注文してから多由羅はレイアに持ち掛ける。
「今後の牙城・焔との対策を練りましょうか。先日は私会議にあまり参加できなかったのでその辺を詰めていきたいですね」
「牙城……ふふ……こんなところまで来て戦いの話か……」
「ネレイド族の方々も奴との交戦経験がおありなのですか? ならば是非お話を聞かせて戴きたい」
ずるずると焼きそばを啜り、酒を煽りながら多由羅は隣でもきゅもきゅと昼食を摂っていたリリレルとミリレルの双子姉妹を捕まえる。
――まあ、聞けた話は最初にミサキが話した内容と変わりなかったのだが。
「……はっ! 私ばかり飲んでしまっております。さ、レイア様もリリレル様もミリレル様も!」
「しかしまあ……よく食べるなあ……そして飲むなあ……。って、こらこら、未成年に酒を勧めるな」
「大丈夫。私の故郷では戦士は10を過ぎれば酒を嗜んでおります。さあ、さあ!」
割とぐいぐい勧める多由羅。しかし居酒屋はリアルブルーの倫理規定に則していたのでアウトー。リリレルとミリレルにはソフトドリンクが出された。
***
一人だけ海へ赴かなかったひりょ。彼がアリサと共に向かったのは小高い丘だった。
二人は丘の上で寝そべり、のんびりと過ごす……。
「なるほど、これは気持ちのいい風だ」
(……せっかくだ、ネレイド族のこと、族長殿のことや想いなどを少し聞いてみたい気がする……)
それとなく隣に寝そべるアリサに問いかけてみる。
「気分転換に来たのにな……つい、思い出してしまうのだよな…………。族長殿のようにとあるトップの重圧に苦しみと戦い続けた子の事を」
「…………」
アリサは静かに彼の言葉へ耳を傾けている。
「俺は……トップになる事の重圧から逃げてしまった身……。どう声をかけたらいいのか、わからない」
「ミサキ様もその方とあまり変わりませんね。皆を不安にさせまいと気丈に振る舞っていても、あの年齢ですから、相応に苦しんでいることはバレバレです」
アリサはそっけなく答えて見せる。近衛隊の中でアリサはボケ担当のようなところはあるが見るべきところはしっかりと見ていた。
「結局『例え絶望しかない状況の中でも決して諦めない事。今までと歩みが遅くなろうとも歩む事自体をやめない事』それを行動で示していくしかないのだろうか……」
「ですね。上に立つ人は行動で下に付く者に示すしかないと思います。……ただ、苦しいようなら息抜きをさせてあげてください。ミサキ様も今、皆と遊んでそうしています」
「…………周りが気にかけて、支えてやれってことか?」
「トップに立つ人、その下に付くなら上の人をよく見て、ツライようなら少しでも肩代わり出来るならしたほうがいいですねー。あたしは馬鹿なんであまり出来てないですけど」
「…………」
アリサの言葉に、ひりょは上半身を起こし、あごに手を当てて下を向くのだった。
●
海をばっちり堪能したエルフ三姉妹とミサキは銭湯へやって来ていた!
フローレンスは銭湯でもまた同じ水着姿(砂などの汚れはしっかり落とした)。
海水浴でほんの少し冷えた身体を熱いお湯で温め、ゆったりのんびり。
湯船で一息ついてから妹達の髪の毛をしっかりと洗ってあげる。
「何処か痒いところはないかしら? ふふっ、此処?」
たまたま一緒になった少年達も洗ってあげる、お姉さんっぷりを披露(今度は逃がす隙を与えない! さすがフローレンス姉様!)。
「うふふ、遠慮することはないわ。二人も、三人も。それ以上でも、同じことだから」
水着姿で水着姿の少年達の背中を流しているだけなので健全! 健全です!!
「ここに来たらお風呂に入らず帰るわけにはいかないよね♪」
ネフィは同じタイプの水着(色は青)に着替え、お湯で身体を流してからミサキと一緒に湯船に浸かり、泳ぎの疲れをお風呂で癒やす……。
とは言えネフィとミサキはまだまだ元気だが。……そして何となく横目で三人の胸を自分と比較するネフィ……。
「むむ、それにしてもこの格差……。ミサキちゃんは仲間なのだ」
『小さい者同士』ミサキと握手をし、ぶんぶん振るネフィ。
だがミサキは年齢相応に『あったりする……』。四人の中で一番小さいのは悲しいかな、ネフィであった……。
「暑くても、お風呂はやっぱり気持ち良い……」
ブリスは姉達に寄り掛かりながら、湯船の中でとってもリラックスモード。
お湯を楽しんだ後は――
「姉様達の身体の隅から隅までたっぷりじっくり念入りに丁寧に汚れ残さないように完璧に洗い尽くしてあげるから……ね……?」
特に、フローレンスに背中を流してもらった少年達への嫉妬心を剥き出しにし、手わきわきさせるヤンデレモードに移行したブリス――。
***
「せっかくなので、ついでに銭湯で汗も流していこう。銭湯も久しぶりだ」
そんなわけでやって来たひりょだったが。
「……。…………。な、なんだ? 女性の比率が物凄いことに……」
出来るだけ平静を保つよう心掛け、皆と雑談でもして、気を紛らわせる。
だが! 水着姿の! そこそこ発育したアリサ達ネレイド族の少女達の健康的な褐色肌の肢体が視界に入ってしまう!
(むぅ……。ある意味少し気疲れした気もする女性は苦手ではないが流石に比率が異常に高いと男として気も使う部分があるからな……)
まあ、彼も男の子なのだった。
***
多由羅とレイアは銭湯へ移動しても対牙城・焔についての相談を対策会議を続行。
「次に牙城・焔と戦う時、火蜥蜴や側近を切り離す為の役割は必須です。僭越ながらその役目を担えればと考えております」
「側近を引き離す事には私も同意だ。ま……それは今後他の仲間も含めて……だな」
しかしながら今回は『遊びに』ネレイド村を訪れているわけで。
「……失礼、我々は遊びに来ているのでしたね。ならば話はここまでにしておきましょう」
物騒な話は切り上げ、二人はゆったりまったりのんびりとお湯に浸かる……。
「公衆浴場も悪くない……が、女しかいないのなら水着でなくともいいのではないのか?」
一応少年も居るのでダメです!
「水着は白のやや際どいビキニを。友人に選んで貰いました。出来れば風呂くらい裸で入りたいものですが……」
青少年の健全な精神のために水着を着用してもらいます!
「駄目というのならルールには従うが最近旅で風呂に入る機会が多くて……その……悪くないな……」
(……先日は触手に絡まれたが……)
にゅるんにゅるんを思い出しつつ、レイアは少し頬を赤らめ、湯に口元までぶくぶくと沈める……。
***
さてーー、ハナさんがどこに居るかと言うと――
ネレイド村一のデートスポット! 『夕陽が射すと、とってもロマンチックな侵食洞』だった! 時間はぴったり夕暮れ時!
「うぅ、きれいですぅ……これで素敵な殿方が隣に居れば完璧だったのにぃ……」
夕陽差す侵食洞で一人、涙目でロマンチックを堪能する彼女……。
その後、海鮮居酒屋を襲撃し、他がドン引きする勢いで食べまくるハナが目撃されたそうな。
さてさて今年も無事開催されたネレイド村の海祭りに招待された七名のハンター達は――?
まず、すっかり常連(?)となったエルフの三姉妹である。
豊満な肢体と溢れる色気と母性の長女、フローレンス・レインフォード(ka0443)。
今回も次女に付き添う形で、末妹共々一緒に息抜きにやってきたレインフォード姉妹であった。
またのんびりゆったりと羽根を伸ばすため(?)、気合の入った水着を持参している。
「此処は何時来ても良いものね。ネフィもあんなに楽しそうに」
ネレイド族の族長であるミサキ・ネレイド(kz0079)の友人であり元気いっぱい胸いっぱい(実際はちっぱい)の次女、ネフィリア・レインフォード(ka0444)。
そんな姉妹と共にミサキと遊びに来たネフィは族長の家に挨拶へ行く前に、三姉妹皆でいちゃいちゃしながら水着に着替えてしまう(もちろんテント的な物の中で)。
彼女の水着は白のスリングショット(三女の選択というか策略)。わりと……というか、かなりきわどいのだが、本人は「布が少なく動きやすい」程度に思っている様子。
「今回こそ海で遊ぶのだ♪ 今なら海水浴にぴったりなのだー♪ この水着、動きやすくていいよ~♪ そういうわけで……ミサキちゃん♪ あ・そ・ぼー♪」
「やっほー! ネフィちゃんなら来てくれると思っていたよー! ありがとー! あそぼー!!(計画通り……)」
ネフィと満面の笑みでハイタッチを決めるミサキだったがその笑顔の裏では作戦が上手くいったので副長のヴァインに「してやったり」といった感じだ。
無論、友人との再会を心から喜んでいるのは確か。
というわけで三姉妹は族長の家にやって来る。
「ブリス。今日は此処の子達と、もっと仲良くなって御覧なさい」
「うにゅ……。しばらくぶり……」
やはり露出の多い水着を着用した(動く度にたゆんたゆんと揺れる早熟の果実……)ブリス・レインフォード(ka0445)は姉であるフローレンスの背中に隠れていたが、その姉に促され、ご挨拶。
「姉様達と一緒に、また、遊びに来た。いっぱい遊ぶ……」
人見知りな性格は変わらないものの、ネレイド村には何度も遊びに来てるので村人には必要以上の警戒を見せず自然体で対応出来ていた。
***
お次は鳳凰院ひりょ(ka3744)。今回唯一の男性参加者。
気持ちが揺れ動くような戦いが続き、少々精神的疲労を感じた為、気分転換を兼ね、海祭りの招待を受けた次第である。
(まぁ、一人でも構わんが……招待してくれた族長殿に挨拶をしておくか)
「初の顔合わせとなるが、ちょうど息抜きをしたいと思っていた矢先。招待をありがたく受けさせてもらった」
ぺこりとミサキに対してお辞儀。
(なにやら族長殿は大変なようだ……。気分転換が必要そうに見えるな)
『というか遊びたいオーラが出ている気がしてならない』と思う彼。その理由はミサキの机に積み上げられた書類の山。
このクソ暑い中、魔導扇風機しかない部屋で缶詰状態になってデスクワークに追われる日々だったのだろう。族長の仕事は多忙だ。
(誰かのお誘いがないようであればお誘いしてみるか)――とも考えたひりょであったが、ミサキは無事ネフィ達姉妹に誘われたので口には出さなかった。
だがしかし。
「おやお初のお兄さんですね。良ければあたしが村をご案内しましょうか?」
どこからか現れたのは近衛隊の隊員であるアリサ・ネレイドだった。……印象的にはミサキをショートヘアにして、少し成長させたような雰囲気の少女。
ミサキと雰囲気が似ている……とひりょは感じる。
「どうします? お兄さん」
「……じゃあお願いしようかな。俺は鳳凰院ひりょ。よろしく」
「あたしはアリサっていいます! よろしく、ひりょお兄さん!」
***
「皆、だらしないぞ。確かに暑いには暑いが、この程度牙城や火蜥蜴共の炎に比べれば――」
などとヴァインと同じようなことを考えているのはレイア・アローネ(ka4082)。
既に水着姿と言っても差支え無さそうなビキニアーマーを着用した凛々しい女剣士、または女戦士といった女性。
(まあしかし海に行くのは悪くない。この間温泉に入るときに使った赤のビキニを着ていこう)
そんな彼女はビキニアーマーの下に、更に水着のビキニを着用済み。アーマーをパージすれば着替え完了というわけである。
「居酒屋の手伝いをするのも悪くはないのだが……折角お呼ばれしたのだ。存分に楽しみたいな。なので今回は遊ばせて貰う」
当初はバイトも悪くない~~と考えていたらしいがやはり遊ぶ時は遊ぶことにしたようだ。何事も全力、遊びも全力。
「ミサキは牙城と交戦経験があるのか……。今後の参考に話を聞きたいものだ」
(錆びるので剣は荷物と共に宿に置いていくが、素手の手合わせでも出来たなら光栄だな)
ミサキ達と少し雑談した際に牙城・焔の名前が話題に上がる。……聞けば、とてつもない強敵と認識している牙城・焔と一戦交えた後に撤退へ追い込んだことがあるらしい!
「なんと!? あの牙城を!? 一体どのようにして――」
「あはは~。あのときはもちろんハンターさん達も一緒でしたし、霊闘士の奥義が発動した直後でしたからねー。最大戦力による不意打ちに近かったかな……」
今はもう通用しませんね、とミサキは付け加える。
「牙城・焔ですと!?」
そのワードに反応したのは多由羅(ka6167)。
「……む……。別に……海に牙城・焔が現れたという事件ではないのですね……」
緊急事態か!? と思ったらしき彼女だったがそれは杞憂に終わる。
「『招待券』……? ほほう……食べ放題ですか……。ではお言葉に甘えるとしましょう……」
どういった理由で今回の依頼を受けたのか不明な多由羅だが、『食べ放題』という言葉に釣られて今回は遊ぶ(食べる)ことにしたようだ。
そんなこんなで、ひりょを除くハンター達は水着に着替えて海へ向かう!
●
ネレイド村が誇る白い砂浜――。ギンギラギンの太陽に照らされて輝く、青く透き通る海――。
「どうして誰も声を掛けてこないんですぅー! せっかく水着を新調したのにぃー!」
無邪気に海遊びを楽しむ少年少女(実際は少女が大半を占める)が多い中、海に向かって大声で叫んでいる一人の女子が居た。
……それは星野 ハナ(ka5852)。彼女は婚活目的で村へやって来たらしい……??
***
エルフの三姉妹――。
フローレンス、今回の水着は……大きく形も良いお胸とお尻を押し込んだ、所謂スリングショット。
ネレイド村の数少ない男子には非常に目の毒……。そして気の毒……(普段から女子に囲まれているがフローレンスレベルのダイナマイトボディの女子は居ないため耐性が無い)。
「ブリス。貴女も、ネフィと一緒に遊んで来なさい。……ふふふっ。本当、此処の海は美しいわ」
彼女はブリスをネフィ達の輪に入れながら、今回は自分も水遊びを楽しみつつ、ネレイド族の少人数の少年達も、もちろん嬉々として迎え入れる方針。
フローレンスのような美人でグラマーなお姉さんに「仲良くしましょう?」されたネレイド族の初心な少年達は堪ったものではなかった。
「お、俺達は向こうで遊びますんで! おねーさんはゆっくりしていってください!!」
と、めっちゃ動揺した様子で少年達はその場を去って行った。その様子にフローレンスは「あらあらうふふ」と微笑ましく見送った。
一方、ブリスの水着は、水色に白いフリルのビキニ。
「これなら、胸も他もぴったり合う。……けど、思ったより胸がきつい……。あと、やっぱり肌出しすぎな気がする……恥ずかしい……」
そのため、やっぱりフローレンスの背中に身体を隠すようにし、行動していたが、そのフローレンスにやや強引にネフィやミサキ達の遊びの輪に混ぜられた。
「はうぅ……」
ブリスはそのロリ巨乳や露出多めの肉体を両手で隠そうとするがモノがモノなので余計に強調される形となる。
ネフィはミサキ達と皆で海に入って目いっぱい遊ぶ! 前回出来なかった水の掛け合いっこをしたり、海で泳いだり。
「う・みー♪ 暑いから気持ちよさそうなのだ♪ 突撃ー♪」
最初は姉妹にミサキを交えた四人で水の掛け合い。……というかネフィが皆を連れて海に突撃後、おもむろに皆に海水をばしゃばしゃとかける。
「ほらほら、皆も来るのだ♪ フロー姉もブリスちゃんも早く来ないと水かけちゃうのだ♪ 来てもかけるけどー♪」
その後、ミサキと泳ぎで勝負。全力でどちらが早いか泳ぎの戦いを挑む!
「ミサキちゃん、泳ぎ勝負するのだ! どっちが早く泳げるか!」
「いいよー。『ネレイド村のマーメイド』の名は伊達では無いことを教えてあげちゃう♪」
そんな感じで競泳勝負。…………結果、僅差でミサキの勝利。幼いころから海で泳いでいたミサキのほうに分があったようだ。
――そして、勝負が付いたあと、全力で泳ぎ過ぎてネフィの水着がずれ、ギリギリが更にギリギリになっていたのはご愛嬌。これはミサキがさり気なく直してあげた。
競泳勝負の後はブリスも交えて海遊び。
「今はすごく暑いから……海遊び、とっても気持ちいい……」
周りで遊んでいた顔見知りのネレイド族の少女達も集まって来て和やか且つ、賑やかな空気に。女子だけでキャッキャウフフである。
褐色肌に水色髪という見慣れた容姿の、ネレイド族の女子達なのでブリスも特別警戒することなく、楽しく遊ぶことが出来た。
「フロー姉様、いつもはブリス達のコト見守ってて、一緒に遊ぶコトあんまり無いから……いっぱい、遊ぶ」
その後は再びゆったり過ごしていたフローレンスも混ぜて海遊び! ブリスは思いっきり水をかけたり、勢い余って抱きつきにいったり。
ギラギラ降り注ぐ太陽――その下でキャッキャウフフとすごく楽しそうに海遊びをする水着姿の美少女や美女達――実に『夏』を感じる一幕であった……。
***
ハナ――彼女がネレイド村へやって来た目的は「部族の嫁が希望です(本人談)」……ということらしい。
ともあれ、海・お祭り・ひと夏の○○と邪な思いテンコ盛りで参加した彼女。
トロピカル柄のタンキニを新調しハンター(獲物を狙う、的な意味で)の視線で海水浴場を睥睨。
「おかしいですぅ、遊んでる中に殿方がほぼ見受けられない気がしますぅ?」
容姿やスタイルにはそこそこ自信があるのに、全然声を掛けられない! おかしい! と感じたハナは疑問のあまり近衛隊長に突撃取材を敢行。
「ヴァインさん、ネレイド族の殿方がほぼ参加してないような気がするんですけどぉ……? ネレイド族って女系なんですぅ?」
「あー……うちの部族はかくかくしかじかですからねぇ」
ミサキの監視……ではなく見守りをしに来ていたヴァインはハナの疑問に答える(※夏の陽気で楽しげな雰囲気にそぐわないので省略)。
「それは……確かに貴重な殿方が外に出てくるはずがないですぅ……」
バタリとショック受けばったりと地面に倒れ込むハナ。
さっきまで少年達も海で遊んでいたのだがフローレンスの素晴らしく豊満な肉体に怖気づいた彼らは別の場所へ引っ込んでしまったのは秘密だ!
……。…………。………………。
数分後――しばらくそのまま屍の如くぴくりともしなかったハナは急にガバリと起き上がり、
「ふぉぉぉぉぉ、こうなったら倒れるまで遊び倒してやりますよぅ」
鬼気迫る表情を浮かべ、ババッと海に走り出し、砂浜を激走し、鬼の表情で夕方まで遠泳するのであった……。
***
一方で赤ビキニ姿のレイアは――キンキンに冷えたラムネを飲みながら浜辺をぶらぶらと歩いていた。
「ハナはどうだろう。相変わらずカップルを追いかけてるのか、それとも相手を探しているのか……」
相手が見つからなかったので遠泳の鬼と化しています……。
「レインフォード三姉妹は家族旅行だろうか……邪魔は野暮かな……」
そんなことはなく、混ざろうと思えば喜んで迎え入れてくれたのだがあまりに楽しそうだったのでレイアは遠慮。
(私も友人でも誘えれば良かったが生憎と予定が合わなかったな)
「まあ一人でも充分に羽根を伸ばせる。心身共にくつろぎながら次の戦いに備えるとしよう」
ということでレイアは一人でのんび~り過ごすことに。適当に海で泳いだり、出店を回ったり。
――それから海鮮居酒屋を訪れると――
「私、海は初めてです! 正直気持ちは昂っております」
「……と思ったらこんなところで多由羅と会えるとは」
(予定もないし彼女に付き合うとしよう)
そんな感じで多由羅と合流。
「海では『やきそば』なるものが食べられると聞きました。居酒屋ならば酒もあるでしょう。酒と海鮮とやきそばをお願いしたいです」
しばらくして。
「海鮮たっぷり焼きそば大盛りいっちょー。あとは清酒の飲み比べセットね。ごゆっくりー」
「ありがとうございます! ではさっそく……ずるずるもぐもぐごっくん。美味い!! おかわり!!」
「あいよー」
居酒屋の大将に再度注文してから多由羅はレイアに持ち掛ける。
「今後の牙城・焔との対策を練りましょうか。先日は私会議にあまり参加できなかったのでその辺を詰めていきたいですね」
「牙城……ふふ……こんなところまで来て戦いの話か……」
「ネレイド族の方々も奴との交戦経験がおありなのですか? ならば是非お話を聞かせて戴きたい」
ずるずると焼きそばを啜り、酒を煽りながら多由羅は隣でもきゅもきゅと昼食を摂っていたリリレルとミリレルの双子姉妹を捕まえる。
――まあ、聞けた話は最初にミサキが話した内容と変わりなかったのだが。
「……はっ! 私ばかり飲んでしまっております。さ、レイア様もリリレル様もミリレル様も!」
「しかしまあ……よく食べるなあ……そして飲むなあ……。って、こらこら、未成年に酒を勧めるな」
「大丈夫。私の故郷では戦士は10を過ぎれば酒を嗜んでおります。さあ、さあ!」
割とぐいぐい勧める多由羅。しかし居酒屋はリアルブルーの倫理規定に則していたのでアウトー。リリレルとミリレルにはソフトドリンクが出された。
***
一人だけ海へ赴かなかったひりょ。彼がアリサと共に向かったのは小高い丘だった。
二人は丘の上で寝そべり、のんびりと過ごす……。
「なるほど、これは気持ちのいい風だ」
(……せっかくだ、ネレイド族のこと、族長殿のことや想いなどを少し聞いてみたい気がする……)
それとなく隣に寝そべるアリサに問いかけてみる。
「気分転換に来たのにな……つい、思い出してしまうのだよな…………。族長殿のようにとあるトップの重圧に苦しみと戦い続けた子の事を」
「…………」
アリサは静かに彼の言葉へ耳を傾けている。
「俺は……トップになる事の重圧から逃げてしまった身……。どう声をかけたらいいのか、わからない」
「ミサキ様もその方とあまり変わりませんね。皆を不安にさせまいと気丈に振る舞っていても、あの年齢ですから、相応に苦しんでいることはバレバレです」
アリサはそっけなく答えて見せる。近衛隊の中でアリサはボケ担当のようなところはあるが見るべきところはしっかりと見ていた。
「結局『例え絶望しかない状況の中でも決して諦めない事。今までと歩みが遅くなろうとも歩む事自体をやめない事』それを行動で示していくしかないのだろうか……」
「ですね。上に立つ人は行動で下に付く者に示すしかないと思います。……ただ、苦しいようなら息抜きをさせてあげてください。ミサキ様も今、皆と遊んでそうしています」
「…………周りが気にかけて、支えてやれってことか?」
「トップに立つ人、その下に付くなら上の人をよく見て、ツライようなら少しでも肩代わり出来るならしたほうがいいですねー。あたしは馬鹿なんであまり出来てないですけど」
「…………」
アリサの言葉に、ひりょは上半身を起こし、あごに手を当てて下を向くのだった。
●
海をばっちり堪能したエルフ三姉妹とミサキは銭湯へやって来ていた!
フローレンスは銭湯でもまた同じ水着姿(砂などの汚れはしっかり落とした)。
海水浴でほんの少し冷えた身体を熱いお湯で温め、ゆったりのんびり。
湯船で一息ついてから妹達の髪の毛をしっかりと洗ってあげる。
「何処か痒いところはないかしら? ふふっ、此処?」
たまたま一緒になった少年達も洗ってあげる、お姉さんっぷりを披露(今度は逃がす隙を与えない! さすがフローレンス姉様!)。
「うふふ、遠慮することはないわ。二人も、三人も。それ以上でも、同じことだから」
水着姿で水着姿の少年達の背中を流しているだけなので健全! 健全です!!
「ここに来たらお風呂に入らず帰るわけにはいかないよね♪」
ネフィは同じタイプの水着(色は青)に着替え、お湯で身体を流してからミサキと一緒に湯船に浸かり、泳ぎの疲れをお風呂で癒やす……。
とは言えネフィとミサキはまだまだ元気だが。……そして何となく横目で三人の胸を自分と比較するネフィ……。
「むむ、それにしてもこの格差……。ミサキちゃんは仲間なのだ」
『小さい者同士』ミサキと握手をし、ぶんぶん振るネフィ。
だがミサキは年齢相応に『あったりする……』。四人の中で一番小さいのは悲しいかな、ネフィであった……。
「暑くても、お風呂はやっぱり気持ち良い……」
ブリスは姉達に寄り掛かりながら、湯船の中でとってもリラックスモード。
お湯を楽しんだ後は――
「姉様達の身体の隅から隅までたっぷりじっくり念入りに丁寧に汚れ残さないように完璧に洗い尽くしてあげるから……ね……?」
特に、フローレンスに背中を流してもらった少年達への嫉妬心を剥き出しにし、手わきわきさせるヤンデレモードに移行したブリス――。
***
「せっかくなので、ついでに銭湯で汗も流していこう。銭湯も久しぶりだ」
そんなわけでやって来たひりょだったが。
「……。…………。な、なんだ? 女性の比率が物凄いことに……」
出来るだけ平静を保つよう心掛け、皆と雑談でもして、気を紛らわせる。
だが! 水着姿の! そこそこ発育したアリサ達ネレイド族の少女達の健康的な褐色肌の肢体が視界に入ってしまう!
(むぅ……。ある意味少し気疲れした気もする女性は苦手ではないが流石に比率が異常に高いと男として気も使う部分があるからな……)
まあ、彼も男の子なのだった。
***
多由羅とレイアは銭湯へ移動しても対牙城・焔についての相談を対策会議を続行。
「次に牙城・焔と戦う時、火蜥蜴や側近を切り離す為の役割は必須です。僭越ながらその役目を担えればと考えております」
「側近を引き離す事には私も同意だ。ま……それは今後他の仲間も含めて……だな」
しかしながら今回は『遊びに』ネレイド村を訪れているわけで。
「……失礼、我々は遊びに来ているのでしたね。ならば話はここまでにしておきましょう」
物騒な話は切り上げ、二人はゆったりまったりのんびりとお湯に浸かる……。
「公衆浴場も悪くない……が、女しかいないのなら水着でなくともいいのではないのか?」
一応少年も居るのでダメです!
「水着は白のやや際どいビキニを。友人に選んで貰いました。出来れば風呂くらい裸で入りたいものですが……」
青少年の健全な精神のために水着を着用してもらいます!
「駄目というのならルールには従うが最近旅で風呂に入る機会が多くて……その……悪くないな……」
(……先日は触手に絡まれたが……)
にゅるんにゅるんを思い出しつつ、レイアは少し頬を赤らめ、湯に口元までぶくぶくと沈める……。
***
さてーー、ハナさんがどこに居るかと言うと――
ネレイド村一のデートスポット! 『夕陽が射すと、とってもロマンチックな侵食洞』だった! 時間はぴったり夕暮れ時!
「うぅ、きれいですぅ……これで素敵な殿方が隣に居れば完璧だったのにぃ……」
夕陽差す侵食洞で一人、涙目でロマンチックを堪能する彼女……。
その後、海鮮居酒屋を襲撃し、他がドン引きする勢いで食べまくるハナが目撃されたそうな。
依頼結果
依頼成功度 | 大成功 |
---|
面白かった! | 6人 |
---|
ポイントがありませんので、拍手できません
現在のあなたのポイント:-753 ※拍手1回につき1ポイントを消費します。
あなたの拍手がマスターの活力につながります。
このリプレイが面白かったと感じた人は拍手してみましょう!
MVP一覧
重体一覧
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/07/28 05:44:19 |