ゲスト
(ka0000)
チーズ品評会にようこそ!
マスター:一要・香織

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 5~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 6日
- 締切
- 2018/08/05 15:00
- 完成日
- 2018/08/10 17:53
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
千年王国なる名を冠する歴史ある大国、グラズヘイム。
その王国の片隅に位置するグランツ領は、自然豊かな場所である。
豊かな自然故、領地の産業は農業そして酪農が主である。
澄み渡る空気、青々と茂る栄養満点の草花、泉より湧き出る清流。
その自然の中で育つ牛と山羊は、実に良い乳を出す。
乳はバター、ヨーグルト、チーズ、ミルクへと加工され王国内へと運ばれる。
今年も、酪農の盛んな村では、チーズ品評会が開かれようとしていた。
「楽しみですねー、品評会。今年はどのチーズが人気1位になるんでしょう」
グランツ領、領主屋敷の執務室で、私兵のサイファーは楽しそうな笑顔を浮かべてた。
「サイファーは本当にチーズが好きですね」
クスクスと笑いながら、若き領主、レイナ・エルト・グランツは品評会の書類に視線を走らせる。
「美味しいじゃないですか! チーズ! 嫌いな人なんていませんよ」
まるでそうであって欲しいと言わんばかりに、サイファーは声を張る。
「チーズにも色々と種類があります。その人の好みにもよるでしょう」
「まあ、そうですが……。去年は王道のゴーダチーズでしたから、今年はウォッシュタイプ辺りが来るかも知れませんね!」
品評会が待ちきれない様子で、サイファーの熱は段々と高まっていく。
「今年はハンターの皆さんにも審査員になって頂くので、どのような結果になるか分かりませんね」
「楽しみです」
レイナとサイファーは顔を見合わせ、クスクスと笑った。
そして品評会当日。
村の外れにある集会所には、領内の酪農家が作った様々な自慢のチーズが運び込まれた。
品評会では、チーズの人気を投票で決める。
人によって好みが違う為、毎年異なる人が審査員になるのだが、その審査員として今年はハンターが招待された。
「楽しみだね! 色んなチーズが試食できるんだって」
「品評会の後は、集められたチーズを使った料理が振る舞われるらしいぞ」
チーズ好きハンターのワクワクが止まらない。
集まったハンターが村外れの集会場へ向かおうとすると、
「きゃーーーー!!」
何やら辺りが騒がしくなった。
急いで悲鳴の方へと駆け付けたハンター達の目に映ったのは、林の方からやってくる黒い波……。いや、よく見れば、それはネズミ雑魔の大群。
「ネズミだーーーー!」
村人たちは悲鳴を上げながら、混乱した様に近くの家へと逃げ込む。
「チーズには、ネズミってわけね」
チーズの匂いに誘われてきたのか、段々と向かってくる黒い塊を睨み付け、ハンター達は武器を握り締めて駆け出した。
その王国の片隅に位置するグランツ領は、自然豊かな場所である。
豊かな自然故、領地の産業は農業そして酪農が主である。
澄み渡る空気、青々と茂る栄養満点の草花、泉より湧き出る清流。
その自然の中で育つ牛と山羊は、実に良い乳を出す。
乳はバター、ヨーグルト、チーズ、ミルクへと加工され王国内へと運ばれる。
今年も、酪農の盛んな村では、チーズ品評会が開かれようとしていた。
「楽しみですねー、品評会。今年はどのチーズが人気1位になるんでしょう」
グランツ領、領主屋敷の執務室で、私兵のサイファーは楽しそうな笑顔を浮かべてた。
「サイファーは本当にチーズが好きですね」
クスクスと笑いながら、若き領主、レイナ・エルト・グランツは品評会の書類に視線を走らせる。
「美味しいじゃないですか! チーズ! 嫌いな人なんていませんよ」
まるでそうであって欲しいと言わんばかりに、サイファーは声を張る。
「チーズにも色々と種類があります。その人の好みにもよるでしょう」
「まあ、そうですが……。去年は王道のゴーダチーズでしたから、今年はウォッシュタイプ辺りが来るかも知れませんね!」
品評会が待ちきれない様子で、サイファーの熱は段々と高まっていく。
「今年はハンターの皆さんにも審査員になって頂くので、どのような結果になるか分かりませんね」
「楽しみです」
レイナとサイファーは顔を見合わせ、クスクスと笑った。
そして品評会当日。
村の外れにある集会所には、領内の酪農家が作った様々な自慢のチーズが運び込まれた。
品評会では、チーズの人気を投票で決める。
人によって好みが違う為、毎年異なる人が審査員になるのだが、その審査員として今年はハンターが招待された。
「楽しみだね! 色んなチーズが試食できるんだって」
「品評会の後は、集められたチーズを使った料理が振る舞われるらしいぞ」
チーズ好きハンターのワクワクが止まらない。
集まったハンターが村外れの集会場へ向かおうとすると、
「きゃーーーー!!」
何やら辺りが騒がしくなった。
急いで悲鳴の方へと駆け付けたハンター達の目に映ったのは、林の方からやってくる黒い波……。いや、よく見れば、それはネズミ雑魔の大群。
「ネズミだーーーー!」
村人たちは悲鳴を上げながら、混乱した様に近くの家へと逃げ込む。
「チーズには、ネズミってわけね」
チーズの匂いに誘われてきたのか、段々と向かってくる黒い塊を睨み付け、ハンター達は武器を握り締めて駆け出した。
リプレイ本文
穏やかだった村に突如として響いた悲鳴。
品評会の為に集められたチーズの匂いに釣られてきたのか、林からネズミ雑魔の大群が現れた。
人々は混乱し、押し合いながら村の中央へと逃げていく。
「お願いです。落ち着いてください!」
恐怖に震える手を握りながら声を張り上げる、この土地の領主、レイナ・エルト・グランツ(kz0253)は村人たちを誘導していた。
「レイナも早く避難を」
ロニ・カルディス(ka0551)はそんなレイナの震える肩を叩き声を掛ける。
「ロニさん!」
知った顔にレイナの強張った顔がフッと解けた。
「後は私達に任せろ」
その横を、レイア・アローネ(ka4082)が走り抜けて行く。
「村人の誘導は私達がするのですよ」
駆け付けたカティス・フィルム(ka2486)が安心させるようにレイナの背を優しく叩く。
「サイファーさん、レイナさんを連れて村の奥へ」
レイナと一緒に村人を誘導していたサイファーに鞍馬 真(ka5819)が指示をだした。
「はい。お願いします」
サイファーはそう返事をすると、レイナの腕を引いて村の奥へと走って行く。
「また随分と数が多いですね」
呆れたような溜息を一つ溢した夢路 まよい(ka1328)は、ヴァイザースタッフを握り締めた。
「もっち……チーズの前に……運動、だよ」
小脇に抱えたもっちゃりかっぱの『もっち』に話しかけながら、星空の幻(ka6980)も走り出した。
「やっぱり、ネズミはチーズが好きなのかしら?」
サクラ・エルフリード(ka2598)が小首を傾げると、
「スィー! 美味しいものは分かるんだろう」
揚々とレオーネ・ティラトーレ(ka7249)が応える。
サクラがルーンソードを鞘から引き抜きネズミに向かって走り出すと、唇の端を持ち上げニヤリと笑みを浮かべたレオーネもイクトゥスを掲げネズミに向かって行った。
ギラギラと瞳を光らせ、波のように押し寄せるネズミを前にし、
「チーズを楽しみに来ましたが、その前に運動をする事になるとは……。食前の運動を頑張れば、チーズも美味しく食べられますかね……?」
愚痴を溢したサクラはゆっくりと瞳を閉じ、詠唱を始めた。
「一塵の光さえ無い暗黒で生み出されし刃よ、敵を貫け!――――プルガトリオ」
漆黒の刃が現れると、それは向かってくるネズミに襲い掛かった。
飛び出したレイアはソウルトーチの炎のオーラでネズミの意識を引きつけると、十分に引き寄せ横一閃に薙ぎ払う。
刃が当たった側からネズミたちは塵へと姿を変えた。
「エクステンドレンジ――――からの、ブラックホールカノン!!」
まよいが掲げたスタッフに嵌められたマテリアル鉱石がキラリと光る。
刹那、向かいくるネズミ達の周りに紫の光が立ち上り、そして――踏み潰すような強力な重力がネズミ達を襲う。
「凍てつく氷の嵐よ―――、すべてを包み敵の動きを止めるのです! ブリザード!!」
カティスが唱えた凍てつく嵐はネズミ達を包み込み凍り付かせた。
「ボンジョルノ。そして、アッディーオ!」
陽気な言葉を呟きながら、動きを止めたネズミにレオーネがエイミングで着実に弾丸を撃ち込んでいく。
しかしその凍ったネズミを乗り越え更にネズミが進み出す。
「まさか、戦う事になるとは思ってなかったなぁ……」
そうぼやくのは真。なるほど、その姿は休日の私服。
(なにかあった時の為にオペレッタを持って来ていて良かった……)
そう思いながら、真はソウルエッジで武器を強化し、剣心一如と踏込でネズミの群れの真ん中に突っ込んで行く。縦横無尽で周りのネズミに斬りかかり、飛び掛かろうとするネズミには迅雷の構えで反撃し、駆逐していく。
「むむ……、ネズミ……。ここには必要ない……。夢の国にでも、行ってて下さい」
少しムッとした様に唇を尖らせ、グラムは爆音を響かせながらガトリングを撃ち込み、モクモクと立ち込める砂埃に目を細めた。
ロニは冷静に状況を確認しながら、ハンターを縫って近付くネズミにセイリングフラッシュを放つ。
ロニから発せられた聖なる光は鋭い波動となり、ネズミ達を襲う。その衝撃にネズミ達は吹き飛ばされ、弾けるように塵に変わった。
「全然数が減らないな……」
一旦飛び退いたレイアは眉を顰めて呟く。
「まだまだ、これからだ」
含みを持たせて小さく笑ったロニは地を這うような低い声で、唱える。
「暗黒で鍛えられし無数の刃よ、我が敵を貫け! ―――――プルガトリオ!」
黒曜の如くギラリと輝いた刃は、辺りのネズミに襲い掛かり一瞬にして塵に変える。
「まだ数は多いですが、一体一体は大したことないですね……」
そう呟くまよいの横で目を細めたサクラは、うねりながら近付くネズミにシャドウブリッドを放つ。
影が具現化したような黒い塊が飛び、ネズミ達にダメージを与えた。
「リアルブルーには窮鼠猫を噛むという言葉があります。サクラ気を付けて!」
まよいが苦笑しながら呟くと、猫耳カチューシャを着けたサクラがビクッと肩を揺らした。
「ニャんと! ふふっ、油断しないよう気を付けます」
ワザとらしくおどけてみせると、ルーンソードを一閃させた。
その後ろ姿を眺めながらカティスは小さく笑い、グリムリリースで魔力を増幅させたアイスボルトを放つ。
「頭の良いネズミを追いかける……おっちょこちょいな猫のお話が、あるんだって……」
グラムは抱きかかえたもっちに教えるように、ポツリと呟く。
(あのアニメかな? ……トムと……)
その呟きを耳にして、真はリアルブルーのアニメを思い浮かべたのだった。
ハンターの活躍により、時を移さずネズミ雑魔の討伐が完遂された。
「皆さん、お怪我はありませんか?」
村に戻ったハンターに駆け寄ったレイナの顔は青い。
「大丈夫さ」
レオーネが少し軽い口調で呟けば、釣られるようにレイナの表情も和らぐ。
「審査員にハンターを呼んでいたのが不幸中の幸いだったね」
真もホッとしたように口を開いた。
「ええ、本当に……。皆さんありがとうございました」
レイナとサイファーはハンターに深く頭を下げた。
準備が整い、チーズ品評会がスタートした。
「生産者自慢のチーズを是非ご賞味下さい」
司会者の声と共に、様々なチーズがハンターの前に運ばれてくる。
「チーズは料理にはもちろんですが、そのまま食べるのが1番よく味が分かります。またお酒との相性も抜群ですので、お酒が飲める方は是非ご一緒にお召し上がりください」
赤ワイン、白ワイン、ウイスキーにビール。意外な組み合わせでジュースや紅茶も用意されていた。
お皿の上に乗るチーズをひとつ口に運んだロニは、
「チーズ料理も勿論良いものだが、やはり素のチーズも存分に味わってこそだな」
じっくりと味わいながら何度か頷きチーズの余韻を楽しむ。
「はゎぁ……。チーズってこんなに数があるのですか! それぞれ色が違うのですね……。モッツァレラとカマンベールは分かるのですが、他は見たことないのです……よ」
白に黄色にオレンジ、青が入ったマーブル模様。目にも楽しい色や形にカティスの頬が緩む。
「もっち……チーズ、美味しい。……特にとろけたチーズ……あのとろーんと糸引く……美味しい」
今は素のままのチーズだが、それが料理されとろけた様を思い浮かべて、グラムはゴクリと唾を飲む。
「どれもこれも美味しくて悩みますが、選ぶならこの3つでしょうか……」
全部のチーズを一通り食べたサクラは、好みのチーズを選び出す。
「デザート……早く食べたいな……」
マスカルポーネを試食したまよいの頭には、ティラミスの姿が過ぎる。
「んー……、どれが良いだろうか……。カティスはどれにするんだ?」
お皿の上のチーズと睨めっこしていたレイアは、隣に座るカティスと談義。
「チーズはすぐ出来るようなものじゃない……このチーズは長い時間を掛けて熟成させているな」
皿の上のハードチーズの出来に感心しながら、レオーネは赤ワインを一口流し込んだ。
「私は癖の強いチーズはあまり得意ではなくてね……。レイナさんとサイファーさんはどんなチーズが好きなの?」
真はにこやかに微笑みながら、近くに座るレイナとサイファーに尋ねた。
「私も癖の強いチーズは苦手で……。よく食べるのはクリームチーズとモッツァレラでしょうか」
「俺は逆で、癖の強いものが好きです。独特の香りに濃厚な風味が病みつきになり、ワインが進みますよね」
サイファーは、カラカラと笑う。
「以前レイナ様にも食べてもらおうとお持ちしたら、あまりの匂いに逃げられたことがありました」
「だって……あれは凄い匂いがしたわ……」
その時を思いだし、レイナの顔が引きつる。
「なんとなく、レイナさんの気持ちが分かる気がします」
真も同調したように頷くと、サイファーは苦笑いを浮かべた。
「では、そろそろ投票をしていただきましょう。1人3つまで選んで頂けます」
司会者の声でハンター達は好きなチーズを挙げ始めた。
「俺はチェダー、パルミジャーノ、ブリードモーだな。旨味の強いチーズは酒に合うからな!この3つにさせてもらった」
ウイスキーを掲げてロニが選んだ。
「じゃあ、私のお気に入りのチーズを発表するよ」
まよいは椅子をカタンと鳴らし立ち上がる。
「第3位! カマンベール。独特の風味と皮の食感、とろっとした口どけが良いよね。第2位はモッツァレラ。食感がもちもちでトマトと合わせて食べると美味しいよね。そして第1位、マスカルポーネ! ケーキの材料として外せないよね。何と言ってもティラミス。マスカルポーネクリームにココアのアクセント……う~ん、デリシャス!!」
興奮気味にまよいが選ぶ。
「私はカマンベールに票を入れるのですよ。色々試食をしましたが、これが1番です。あっ、新たな発見もあったのです。ブルーチーズは癖が強いと聞いていたので苦手な感があったのですが……美味しかったのです」
大きな笑みを浮かべカティスが選んだ。
「そうですね……私は……」
いまだに選びきれないのか少し迷いながらサクラが口を開く。
「パスタなどによく使い馴染んでいる、パルミジャーノ。それから、お酒のおつまみにぴったりなカマンベール。そして、色んな料理に使えるチェダーにします」
そういってサクラが選んだ。
「好きなチーズ……。色々と試食させて貰った……月並みだがゴーダチーズが1番かな。コクと食べ応え、肉にもよく合うし」
大きくひとつ頷いてレイアが選ぶ。
「私はパルミジャーノ、これは程良い塩味が好きだね。料理の隠し味にしても美味しいし。それからモッツァレラ。ふわふわした食感と、新鮮な乳の味が美味しくて好きだね。最後はマスカルポーネ。甘いものが好きな私としては外せない選択だね。そのまま食べても自然な甘さがあって美味しいし、お菓子作りにも使える。私もティラミスが好きだなぁ」
真はお菓子を作る工程を思い浮かべながら選んだ。
「クワルク……コーヒーにあう。……エメンタール……、もっちが……好きみたい。穴……あいてて面白い。……パルミジャーノ……トロットロ……。トロットロなの……のびーん!!」
やけに『トロットロ』に熱が入るグラムが選ぶ。
「まずペコリーノ。俺はリアルブルーのローマ出身なんだが、これ、ローマでも昔からあるチーズで、季節にはファーべって空豆と食うと美味い。ワインなら重めの赤。マスカルポーネはティラミスが有名だが、俺はこれに蜂蜜添えただけのデザートも好きだ。生ハム、トマト、レタス、マスカルポーネにバジルソースのサンドイッチもランチにはいい! いつもスパークリングワインと合わせてる。タレッジョはウォッシュタイプ初めてでも食べやすい部類だと思うぜ。俺は焼き立てのパンにこいつを乗せてとろっとした所を食べたり、オムレツに入れるのが好きだ。こいつにはフルボディの赤か日本酒を合わせると美味い」
チーズ愛炸裂のレオーネが捲くし立てながら選んだ。
その他の審査員たちの投票も済み、いよいよ人気1位のチーズが発表される。
「それでは、発表いたします。グランツ領の今年の人気チーズは―――――パルミジャーノ・レッジャーノです!」
生産者の歓喜の声と大きな拍手の音が会場に響いた。
「それでは、人気1位となったパルミジャーノチーズをはじめとした、自慢のチーズ料理を心行くまでお楽しみください」
次々に運ばれてくる出来立てのチーズ料理。湯気の上がるそれらからは、チーズな濃厚な香りが漂っている。
「ピ……ピザ……」
運ばれてきたばかりのピザに手を伸ばしたグラムは、熱々のそれを頬張った。
モグモグとする顔に表情はないが、隠しようのない至福のオーラが滲み出る。
「うーん、と……なんて言えばいいかな……うーん……っぱないの!!」
頑張って考えた言葉だが、幸せそうな雰囲気は十分伝わる。
その姿を見てハンター達はクスクスと笑みを浮かべる。
「お待たせしました、デザートですよ」
次いで運ばれてきたデザートに、皆の目の色が変わった!
「私、ティラミス食べたーい」
まよいは迷うことなくティラミスに手を伸ばす。
「私も頂こうかな……うん、やっぱりティラミスは最高だね」
真もティラミスを手に取り一口頬張った。
「このレアチーズケーキも美味しいのです。レイアさんもどうですか?」
カティスがベリーソースのかかったチーズケーキをレイアに差し出した。
「ああ、ありがとう。……うん、甘さ控えめで、美味いな」
「チーズケーキには紅茶が合うのですよ」
「ではおすすめの紅茶を選んでくれるか?」
「はい、なのです」
カティスとレイアはお互い食べた美味しいデザートを勧め合い、話に花が咲く。
「そのままで食べてよし、料理に入れてよし、デザートにも出来る……。チーズの万能感、とてもよいですよね」
美味しい料理とデザートに満足したサクラが呟く。
「本当に。チーズは不思議だ。同じ材料で作り方が違うだけで、こうも色んな味になる」
ロニは相槌を打ちながらその奥深さを感じる。
「側近殿、よく練り柔らかくしたマスカルポーネへ砂糖、ホイップクリームを混ぜてエスプレッソの上に乗せると、ティラミスラテになる。簡単だから領主殿へ作って差し上げては?」
レオーネはサイファーの側に寄り、秘密を教えるようにこそっと呟く。
「なるほど、それなら俺にも作れそうです! レイナ様も喜んでくれると思います」
作って驚かせよう! そう計画したが、サイファーの大きな声は近くに居たレイナの耳に届いていた。
「私がどうか致しましたか?」
「え!? っあぁ、いえ、なんでも……」
逆に驚いたサイファーの慌てた様子に、ハンター達は大きな笑い声をあげた。
こうして日が傾くまで、ハンター達はお腹いっぱいチーズ料理を楽しんだのだった。
品評会の為に集められたチーズの匂いに釣られてきたのか、林からネズミ雑魔の大群が現れた。
人々は混乱し、押し合いながら村の中央へと逃げていく。
「お願いです。落ち着いてください!」
恐怖に震える手を握りながら声を張り上げる、この土地の領主、レイナ・エルト・グランツ(kz0253)は村人たちを誘導していた。
「レイナも早く避難を」
ロニ・カルディス(ka0551)はそんなレイナの震える肩を叩き声を掛ける。
「ロニさん!」
知った顔にレイナの強張った顔がフッと解けた。
「後は私達に任せろ」
その横を、レイア・アローネ(ka4082)が走り抜けて行く。
「村人の誘導は私達がするのですよ」
駆け付けたカティス・フィルム(ka2486)が安心させるようにレイナの背を優しく叩く。
「サイファーさん、レイナさんを連れて村の奥へ」
レイナと一緒に村人を誘導していたサイファーに鞍馬 真(ka5819)が指示をだした。
「はい。お願いします」
サイファーはそう返事をすると、レイナの腕を引いて村の奥へと走って行く。
「また随分と数が多いですね」
呆れたような溜息を一つ溢した夢路 まよい(ka1328)は、ヴァイザースタッフを握り締めた。
「もっち……チーズの前に……運動、だよ」
小脇に抱えたもっちゃりかっぱの『もっち』に話しかけながら、星空の幻(ka6980)も走り出した。
「やっぱり、ネズミはチーズが好きなのかしら?」
サクラ・エルフリード(ka2598)が小首を傾げると、
「スィー! 美味しいものは分かるんだろう」
揚々とレオーネ・ティラトーレ(ka7249)が応える。
サクラがルーンソードを鞘から引き抜きネズミに向かって走り出すと、唇の端を持ち上げニヤリと笑みを浮かべたレオーネもイクトゥスを掲げネズミに向かって行った。
ギラギラと瞳を光らせ、波のように押し寄せるネズミを前にし、
「チーズを楽しみに来ましたが、その前に運動をする事になるとは……。食前の運動を頑張れば、チーズも美味しく食べられますかね……?」
愚痴を溢したサクラはゆっくりと瞳を閉じ、詠唱を始めた。
「一塵の光さえ無い暗黒で生み出されし刃よ、敵を貫け!――――プルガトリオ」
漆黒の刃が現れると、それは向かってくるネズミに襲い掛かった。
飛び出したレイアはソウルトーチの炎のオーラでネズミの意識を引きつけると、十分に引き寄せ横一閃に薙ぎ払う。
刃が当たった側からネズミたちは塵へと姿を変えた。
「エクステンドレンジ――――からの、ブラックホールカノン!!」
まよいが掲げたスタッフに嵌められたマテリアル鉱石がキラリと光る。
刹那、向かいくるネズミ達の周りに紫の光が立ち上り、そして――踏み潰すような強力な重力がネズミ達を襲う。
「凍てつく氷の嵐よ―――、すべてを包み敵の動きを止めるのです! ブリザード!!」
カティスが唱えた凍てつく嵐はネズミ達を包み込み凍り付かせた。
「ボンジョルノ。そして、アッディーオ!」
陽気な言葉を呟きながら、動きを止めたネズミにレオーネがエイミングで着実に弾丸を撃ち込んでいく。
しかしその凍ったネズミを乗り越え更にネズミが進み出す。
「まさか、戦う事になるとは思ってなかったなぁ……」
そうぼやくのは真。なるほど、その姿は休日の私服。
(なにかあった時の為にオペレッタを持って来ていて良かった……)
そう思いながら、真はソウルエッジで武器を強化し、剣心一如と踏込でネズミの群れの真ん中に突っ込んで行く。縦横無尽で周りのネズミに斬りかかり、飛び掛かろうとするネズミには迅雷の構えで反撃し、駆逐していく。
「むむ……、ネズミ……。ここには必要ない……。夢の国にでも、行ってて下さい」
少しムッとした様に唇を尖らせ、グラムは爆音を響かせながらガトリングを撃ち込み、モクモクと立ち込める砂埃に目を細めた。
ロニは冷静に状況を確認しながら、ハンターを縫って近付くネズミにセイリングフラッシュを放つ。
ロニから発せられた聖なる光は鋭い波動となり、ネズミ達を襲う。その衝撃にネズミ達は吹き飛ばされ、弾けるように塵に変わった。
「全然数が減らないな……」
一旦飛び退いたレイアは眉を顰めて呟く。
「まだまだ、これからだ」
含みを持たせて小さく笑ったロニは地を這うような低い声で、唱える。
「暗黒で鍛えられし無数の刃よ、我が敵を貫け! ―――――プルガトリオ!」
黒曜の如くギラリと輝いた刃は、辺りのネズミに襲い掛かり一瞬にして塵に変える。
「まだ数は多いですが、一体一体は大したことないですね……」
そう呟くまよいの横で目を細めたサクラは、うねりながら近付くネズミにシャドウブリッドを放つ。
影が具現化したような黒い塊が飛び、ネズミ達にダメージを与えた。
「リアルブルーには窮鼠猫を噛むという言葉があります。サクラ気を付けて!」
まよいが苦笑しながら呟くと、猫耳カチューシャを着けたサクラがビクッと肩を揺らした。
「ニャんと! ふふっ、油断しないよう気を付けます」
ワザとらしくおどけてみせると、ルーンソードを一閃させた。
その後ろ姿を眺めながらカティスは小さく笑い、グリムリリースで魔力を増幅させたアイスボルトを放つ。
「頭の良いネズミを追いかける……おっちょこちょいな猫のお話が、あるんだって……」
グラムは抱きかかえたもっちに教えるように、ポツリと呟く。
(あのアニメかな? ……トムと……)
その呟きを耳にして、真はリアルブルーのアニメを思い浮かべたのだった。
ハンターの活躍により、時を移さずネズミ雑魔の討伐が完遂された。
「皆さん、お怪我はありませんか?」
村に戻ったハンターに駆け寄ったレイナの顔は青い。
「大丈夫さ」
レオーネが少し軽い口調で呟けば、釣られるようにレイナの表情も和らぐ。
「審査員にハンターを呼んでいたのが不幸中の幸いだったね」
真もホッとしたように口を開いた。
「ええ、本当に……。皆さんありがとうございました」
レイナとサイファーはハンターに深く頭を下げた。
準備が整い、チーズ品評会がスタートした。
「生産者自慢のチーズを是非ご賞味下さい」
司会者の声と共に、様々なチーズがハンターの前に運ばれてくる。
「チーズは料理にはもちろんですが、そのまま食べるのが1番よく味が分かります。またお酒との相性も抜群ですので、お酒が飲める方は是非ご一緒にお召し上がりください」
赤ワイン、白ワイン、ウイスキーにビール。意外な組み合わせでジュースや紅茶も用意されていた。
お皿の上に乗るチーズをひとつ口に運んだロニは、
「チーズ料理も勿論良いものだが、やはり素のチーズも存分に味わってこそだな」
じっくりと味わいながら何度か頷きチーズの余韻を楽しむ。
「はゎぁ……。チーズってこんなに数があるのですか! それぞれ色が違うのですね……。モッツァレラとカマンベールは分かるのですが、他は見たことないのです……よ」
白に黄色にオレンジ、青が入ったマーブル模様。目にも楽しい色や形にカティスの頬が緩む。
「もっち……チーズ、美味しい。……特にとろけたチーズ……あのとろーんと糸引く……美味しい」
今は素のままのチーズだが、それが料理されとろけた様を思い浮かべて、グラムはゴクリと唾を飲む。
「どれもこれも美味しくて悩みますが、選ぶならこの3つでしょうか……」
全部のチーズを一通り食べたサクラは、好みのチーズを選び出す。
「デザート……早く食べたいな……」
マスカルポーネを試食したまよいの頭には、ティラミスの姿が過ぎる。
「んー……、どれが良いだろうか……。カティスはどれにするんだ?」
お皿の上のチーズと睨めっこしていたレイアは、隣に座るカティスと談義。
「チーズはすぐ出来るようなものじゃない……このチーズは長い時間を掛けて熟成させているな」
皿の上のハードチーズの出来に感心しながら、レオーネは赤ワインを一口流し込んだ。
「私は癖の強いチーズはあまり得意ではなくてね……。レイナさんとサイファーさんはどんなチーズが好きなの?」
真はにこやかに微笑みながら、近くに座るレイナとサイファーに尋ねた。
「私も癖の強いチーズは苦手で……。よく食べるのはクリームチーズとモッツァレラでしょうか」
「俺は逆で、癖の強いものが好きです。独特の香りに濃厚な風味が病みつきになり、ワインが進みますよね」
サイファーは、カラカラと笑う。
「以前レイナ様にも食べてもらおうとお持ちしたら、あまりの匂いに逃げられたことがありました」
「だって……あれは凄い匂いがしたわ……」
その時を思いだし、レイナの顔が引きつる。
「なんとなく、レイナさんの気持ちが分かる気がします」
真も同調したように頷くと、サイファーは苦笑いを浮かべた。
「では、そろそろ投票をしていただきましょう。1人3つまで選んで頂けます」
司会者の声でハンター達は好きなチーズを挙げ始めた。
「俺はチェダー、パルミジャーノ、ブリードモーだな。旨味の強いチーズは酒に合うからな!この3つにさせてもらった」
ウイスキーを掲げてロニが選んだ。
「じゃあ、私のお気に入りのチーズを発表するよ」
まよいは椅子をカタンと鳴らし立ち上がる。
「第3位! カマンベール。独特の風味と皮の食感、とろっとした口どけが良いよね。第2位はモッツァレラ。食感がもちもちでトマトと合わせて食べると美味しいよね。そして第1位、マスカルポーネ! ケーキの材料として外せないよね。何と言ってもティラミス。マスカルポーネクリームにココアのアクセント……う~ん、デリシャス!!」
興奮気味にまよいが選ぶ。
「私はカマンベールに票を入れるのですよ。色々試食をしましたが、これが1番です。あっ、新たな発見もあったのです。ブルーチーズは癖が強いと聞いていたので苦手な感があったのですが……美味しかったのです」
大きな笑みを浮かべカティスが選んだ。
「そうですね……私は……」
いまだに選びきれないのか少し迷いながらサクラが口を開く。
「パスタなどによく使い馴染んでいる、パルミジャーノ。それから、お酒のおつまみにぴったりなカマンベール。そして、色んな料理に使えるチェダーにします」
そういってサクラが選んだ。
「好きなチーズ……。色々と試食させて貰った……月並みだがゴーダチーズが1番かな。コクと食べ応え、肉にもよく合うし」
大きくひとつ頷いてレイアが選ぶ。
「私はパルミジャーノ、これは程良い塩味が好きだね。料理の隠し味にしても美味しいし。それからモッツァレラ。ふわふわした食感と、新鮮な乳の味が美味しくて好きだね。最後はマスカルポーネ。甘いものが好きな私としては外せない選択だね。そのまま食べても自然な甘さがあって美味しいし、お菓子作りにも使える。私もティラミスが好きだなぁ」
真はお菓子を作る工程を思い浮かべながら選んだ。
「クワルク……コーヒーにあう。……エメンタール……、もっちが……好きみたい。穴……あいてて面白い。……パルミジャーノ……トロットロ……。トロットロなの……のびーん!!」
やけに『トロットロ』に熱が入るグラムが選ぶ。
「まずペコリーノ。俺はリアルブルーのローマ出身なんだが、これ、ローマでも昔からあるチーズで、季節にはファーべって空豆と食うと美味い。ワインなら重めの赤。マスカルポーネはティラミスが有名だが、俺はこれに蜂蜜添えただけのデザートも好きだ。生ハム、トマト、レタス、マスカルポーネにバジルソースのサンドイッチもランチにはいい! いつもスパークリングワインと合わせてる。タレッジョはウォッシュタイプ初めてでも食べやすい部類だと思うぜ。俺は焼き立てのパンにこいつを乗せてとろっとした所を食べたり、オムレツに入れるのが好きだ。こいつにはフルボディの赤か日本酒を合わせると美味い」
チーズ愛炸裂のレオーネが捲くし立てながら選んだ。
その他の審査員たちの投票も済み、いよいよ人気1位のチーズが発表される。
「それでは、発表いたします。グランツ領の今年の人気チーズは―――――パルミジャーノ・レッジャーノです!」
生産者の歓喜の声と大きな拍手の音が会場に響いた。
「それでは、人気1位となったパルミジャーノチーズをはじめとした、自慢のチーズ料理を心行くまでお楽しみください」
次々に運ばれてくる出来立てのチーズ料理。湯気の上がるそれらからは、チーズな濃厚な香りが漂っている。
「ピ……ピザ……」
運ばれてきたばかりのピザに手を伸ばしたグラムは、熱々のそれを頬張った。
モグモグとする顔に表情はないが、隠しようのない至福のオーラが滲み出る。
「うーん、と……なんて言えばいいかな……うーん……っぱないの!!」
頑張って考えた言葉だが、幸せそうな雰囲気は十分伝わる。
その姿を見てハンター達はクスクスと笑みを浮かべる。
「お待たせしました、デザートですよ」
次いで運ばれてきたデザートに、皆の目の色が変わった!
「私、ティラミス食べたーい」
まよいは迷うことなくティラミスに手を伸ばす。
「私も頂こうかな……うん、やっぱりティラミスは最高だね」
真もティラミスを手に取り一口頬張った。
「このレアチーズケーキも美味しいのです。レイアさんもどうですか?」
カティスがベリーソースのかかったチーズケーキをレイアに差し出した。
「ああ、ありがとう。……うん、甘さ控えめで、美味いな」
「チーズケーキには紅茶が合うのですよ」
「ではおすすめの紅茶を選んでくれるか?」
「はい、なのです」
カティスとレイアはお互い食べた美味しいデザートを勧め合い、話に花が咲く。
「そのままで食べてよし、料理に入れてよし、デザートにも出来る……。チーズの万能感、とてもよいですよね」
美味しい料理とデザートに満足したサクラが呟く。
「本当に。チーズは不思議だ。同じ材料で作り方が違うだけで、こうも色んな味になる」
ロニは相槌を打ちながらその奥深さを感じる。
「側近殿、よく練り柔らかくしたマスカルポーネへ砂糖、ホイップクリームを混ぜてエスプレッソの上に乗せると、ティラミスラテになる。簡単だから領主殿へ作って差し上げては?」
レオーネはサイファーの側に寄り、秘密を教えるようにこそっと呟く。
「なるほど、それなら俺にも作れそうです! レイナ様も喜んでくれると思います」
作って驚かせよう! そう計画したが、サイファーの大きな声は近くに居たレイナの耳に届いていた。
「私がどうか致しましたか?」
「え!? っあぁ、いえ、なんでも……」
逆に驚いたサイファーの慌てた様子に、ハンター達は大きな笑い声をあげた。
こうして日が傾くまで、ハンター達はお腹いっぱいチーズ料理を楽しんだのだった。
依頼結果
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相談 カティス・フィルム(ka2486) 人間(クリムゾンウェスト)|12才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/08/05 14:59:10 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/08/05 09:54:09 |