ゲスト
(ka0000)
白昼の強盗
マスター:きりん

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/08/20 12:00
- 完成日
- 2018/08/21 14:00
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●白昼の襲撃
それは、ちょうど昼休みで受付業務を担当するハンターズソサエティ帝国支部の職員たちが順番に昼休憩を取っている時に起きた。
受付嬢ジェーン・ドゥはその時仕事場近くの喫茶店で優雅にランチタイムを楽しんでいた。
コーヒーを片手に本を読みながら、サンドウィッチを一口。至福のひと時である。
「全員手を上げろ!」
覆面を付けた黒ずくめの集団が、大勢武器を持って喫茶店に押し入ってきた。
まさかの集団強盗である。
「店の金を全部寄越せ! このバッグに入れろ! 客の財布も全部だ!」
男たちは客を人質に取り、喫茶店の店員たちに複数のバッグを投げつける。
人質に取られた客の中にはもちろんジェーンもいた。
悲壮な表情で、ジェーンは涙ぐんでいる。
(わ、私の優雅な昼休みが台無しに……)
違う、そうじゃない。
ジェーンの思考を読める人間がいれば、思わずそう突っ込んでいたかもしれない。
そう思えるほど、ジェーンが思っていたのは状況にそぐわないものだった。
男たちに対する恐怖より、昼休みを邪魔されたショックの方が大きいようだ。
とはいえ、男たちの行為は紛れもなく犯罪行為である。
見逃すわけにもいかない。
縛られていたジェーンは、男たちの目が自分から逸れた隙に、いつの間にかするりと縄から抜け出していた。
「実は私、普段は受付嬢として働いておりますが、ハンターとしての資格も持ち合わせておりまして。私の昼休みを台無しにした代償……じゃなかった、街の平和を守るためにも、一肌脱がせていただきましょう」
瞬間、ジェーンは風となった。
●駆けつけたハンターたち
ハンターズソサエティのすぐ近くだったので、ハンターたちがすぐに喫茶店に駆けつけた。
いざ突入したハンターたちが見たのは、どう見ても受付嬢にしか見えない女性が覆面の男を気絶させる場面だった。
既に床には彼女に無力化されたらしい覆面の男たちが何人か伸びている。
他の客や店員といった人質たちは、ガタガタと震えている。
この場合は、いったいどちらに対して恐怖しているのだろうか。
「あら、もしかして、助けに来てくれたハンターの皆様ですか?」
蕾が花開いたかのような華やかな笑顔を浮かべたジェーンが、ハンターたちに尋ねてくる。
「実は、私昼休み中でして、あと十分で休み時間が終わるのでそれまでに受付業務に戻らなければならないのです。事態の収拾にご協力をお願いいたします」
それよりも実は戦えたのかとか、人質たちが何故か覆面の男たちだけじゃなくてジェーンまで怖がっているように見えるんだけどとか、ハンターたちには疑問がいっぱいあったのだが、全てジェーンのうさんくさい笑顔に封殺された。
「先制攻撃で数人は気絶させましたが、見ての通り強盗犯はまだまだ店内に残っています。人質に手を出されるのも面倒です。一般人のようですが、奥の手がある可能性もあります。ただの受付嬢には荷が重過ぎる相手です。もちろん、か弱い受付嬢を放っておくなんてことはしませんよね?」
いいながらもジェーンの腕が閃き、背後に忍び寄っていた強盗犯を音もなく昏倒させたので、彼女の言葉には全く説得力がなかった。
それは、ちょうど昼休みで受付業務を担当するハンターズソサエティ帝国支部の職員たちが順番に昼休憩を取っている時に起きた。
受付嬢ジェーン・ドゥはその時仕事場近くの喫茶店で優雅にランチタイムを楽しんでいた。
コーヒーを片手に本を読みながら、サンドウィッチを一口。至福のひと時である。
「全員手を上げろ!」
覆面を付けた黒ずくめの集団が、大勢武器を持って喫茶店に押し入ってきた。
まさかの集団強盗である。
「店の金を全部寄越せ! このバッグに入れろ! 客の財布も全部だ!」
男たちは客を人質に取り、喫茶店の店員たちに複数のバッグを投げつける。
人質に取られた客の中にはもちろんジェーンもいた。
悲壮な表情で、ジェーンは涙ぐんでいる。
(わ、私の優雅な昼休みが台無しに……)
違う、そうじゃない。
ジェーンの思考を読める人間がいれば、思わずそう突っ込んでいたかもしれない。
そう思えるほど、ジェーンが思っていたのは状況にそぐわないものだった。
男たちに対する恐怖より、昼休みを邪魔されたショックの方が大きいようだ。
とはいえ、男たちの行為は紛れもなく犯罪行為である。
見逃すわけにもいかない。
縛られていたジェーンは、男たちの目が自分から逸れた隙に、いつの間にかするりと縄から抜け出していた。
「実は私、普段は受付嬢として働いておりますが、ハンターとしての資格も持ち合わせておりまして。私の昼休みを台無しにした代償……じゃなかった、街の平和を守るためにも、一肌脱がせていただきましょう」
瞬間、ジェーンは風となった。
●駆けつけたハンターたち
ハンターズソサエティのすぐ近くだったので、ハンターたちがすぐに喫茶店に駆けつけた。
いざ突入したハンターたちが見たのは、どう見ても受付嬢にしか見えない女性が覆面の男を気絶させる場面だった。
既に床には彼女に無力化されたらしい覆面の男たちが何人か伸びている。
他の客や店員といった人質たちは、ガタガタと震えている。
この場合は、いったいどちらに対して恐怖しているのだろうか。
「あら、もしかして、助けに来てくれたハンターの皆様ですか?」
蕾が花開いたかのような華やかな笑顔を浮かべたジェーンが、ハンターたちに尋ねてくる。
「実は、私昼休み中でして、あと十分で休み時間が終わるのでそれまでに受付業務に戻らなければならないのです。事態の収拾にご協力をお願いいたします」
それよりも実は戦えたのかとか、人質たちが何故か覆面の男たちだけじゃなくてジェーンまで怖がっているように見えるんだけどとか、ハンターたちには疑問がいっぱいあったのだが、全てジェーンのうさんくさい笑顔に封殺された。
「先制攻撃で数人は気絶させましたが、見ての通り強盗犯はまだまだ店内に残っています。人質に手を出されるのも面倒です。一般人のようですが、奥の手がある可能性もあります。ただの受付嬢には荷が重過ぎる相手です。もちろん、か弱い受付嬢を放っておくなんてことはしませんよね?」
いいながらもジェーンの腕が閃き、背後に忍び寄っていた強盗犯を音もなく昏倒させたので、彼女の言葉には全く説得力がなかった。
リプレイ本文
●ミッション開始
ジェーンの強さが意外だったようで、強盗たちはまだ呆然自失状態から立ち直っていないようだった。
あるいはハンターたちが現れたことに驚いたのかもしれない。
とはいえ、現場がハンターズソサエティの近所なのだから、すぐにハンターたちが駆けつけるのも当たり前なのだが。
ロニ・カルディス(ka0551)は、うさんくさい微笑みを浮かべ強盗たちを見据えるジェーンを見て思う。
(……とりあえず、か弱いかどうかはこの際置いておくとしてだ。早々にこの場に収拾をつけることは賛成する)
(ジェーン、ハンターとしての能力もあったんだね~。私にはただものじゃないってわかってたよ、うんうん)
何だかんだジェーンとは一緒に行動したことがある夢路 まよい(ka1328)は、息を合わせて動きたいと考えていた。
(一般人とはいえ相手が多い、人手がいるな……。ジェーン・ドゥに協力を要請したいが、非常にうさんくさい。一体過去に何があったんだか……)
ある程度の方針を固めた鳳凰院ひりょ(ka3744)は、依頼を受けに行く際に顔を合わせる受付嬢であるジェーン・ドゥの過去が気になるようだ。
(全くもう……ほんっとにお前という奴は……! 毎度毎度いつも……! ええい、仕方ない!)
半ばどころか八割呆れながらジェーンの緊急依頼を受諾したレイア・アローネ(ka4082)は、それでも戦士として気持ちを切り替え戦闘態勢を取る。
(……こいつら……俺より馬鹿だ……馬鹿野郎どもの集団だ! ったく、ハンターオフィスのすぐ近くでこんな事しでかしゃ、すぐ捕まるだろうに……)
玄武坂 光(ka4537)は、明らかに強盗には向いていないこの店を標的に選んだ強盗たちの未来を早くも察していた。
(あの強盗たちを倒して、ジェーンとともに人質救助。この手でいきましょう。幸い人手は足りてるみたいですし)
気付かれないように占いを行い吉方と凶方を感知する夜桜 奏音(ka5754)は、強盗に軽く説得をするだけしてみるつもりだった。
「これぇ、時間制限がなかったら絶対ジェーンさんだけで片付いてましたよねぇ? どう思いますぅ?」
星野 ハナ(ka5852)のぶりっこな笑顔と、ジェーンのうさんくさい笑顔が交錯した。おそらくハナの予想は間違っていないだろう。
(屈強なハンターが睨みを利かせているソサエティの間近で強盗を働くなんて、どれだけ向こう見ずなんだろうね?)
今の状況に、アレイダ・リイン(ka6437)はまるで事件を鎮圧してくださいと自分からお願いしているようなものだと呆れていた。
強盗たちが立ち直る前に、ハンターたちは打って出る。
戦いの始まりだ!
●人質を確保し、強盗を無力化せよ
符を分からないように隠し持ち、武器は何も持っていないとアピールするために両手を空けた奏音は、一応説得しつつ人質の方に気づかれないように移動する。
「このまま敵対してもいいことはないので投降しましょう。今ならまだ間に合いますよ」
ハンターでエルフとはいえ、まだ二十歳にも満たない姿なのが功を奏したか、強盗たちが人質との間に割り込む奏音の狙いに気付く様子はない。
「うるせえ! まだまだ人数は俺たちの方が多いし、こっちは人質だって取ってんだ! てめえを人質にしてもいいんだぞ!」
しかし同時に、見た目で判断して脅威を低く見積もってしまったか、強盗の一人が聞く耳を持たず、奏音を捕まえようと手を伸ばしてきた。
それを見て、奏音も一気に動く。
「説得には応じないですか、残念です」
言葉とは裏腹に欠片も残念そうではない顔をしつつ、奏音は式神を召喚し、手を伸ばしてきた強盗を気絶させた。
ついでに追加で符を引き抜き、防御力を高める結界を人質を対象に展開させる。
大地から立ち上る美しい光が、人質になっている店員や客たちを包み込んだ。
次に動いたのはひりょだった。
強盗たちが呆気にとられているその隙を見逃さず、死角に回り込んでリヤンワイヤーで近くにいる強盗の武器を絡め取ることに成功する。
それにより、ナイフなどの刃物類が床に転がった。
これで、敵の武器を奪い抵抗力を削ぐことに成功したはずだ。
他に、何か武器を隠し持っているような敵がいなければ。
もっとも、ひりょはいざとなれば装備している鎧で受けることを考えていた。相手が一般人の強盗ならば、咄嗟の反応でも成功させることは難しくないはずだ。
幸いこの強盗は目に見える武器が持っているものの全てだったようで、納刀したままの仕込杖にマテリアルを流し込み強化して相手の足を払い、転倒させることができた。
(……これでも抗うようであれば仕込み杖を抜刀して、逆刃に持ち替えるつもりだったが)
ひりょの思惑に反しどうやら相手は戦意喪失したらしい。ただの強盗ならこんなものだろう。
「まだ舞刀士としての腕は精進している所だ。まさか、こういう機会に使う羽目に遭うとはな」
倒れた強盗にきっちり納刀したままの仕込み杖で打ち据えて追撃を入れ、気絶へ持ち込んだ。
味方の顔触れを見て、出入口封鎖は問題なく行えると判断したレイアは、強盗達の確保に踏み切ることにした。
人質は仲間達に任せ、強盗達の注意を引きつけるつもりだ。
スピードも重要だが、それ以上に強盗を油断させて人質を利用させない展開を作ることが求められる。
なのであえて武器は持たずに、武装していない状態で踏み込む。
(ジェーンのやった事に近い感じだな。これは。正面入り口から堂々と無防備に入り、取り押さえに来させる)
いくら相手がハンターといえども、これなら勝てると思わせる状態を演じる。レイアが行っているのはつまりそういうことだ。
足にマテリアルを流し込み間合いを詰めて素手で殴りかかりつつ、回避を優先して様子を見る。やり過ぎないよう、「あと少しで捕まえられる」と思わせるように立ち回るのがコツだ。
より強盗たちの気を引くために、これみよがしに壁を歩いてみせたりもして、アクロバティックな動きを大きくしていく。
(出来るだけ内装を傷つけないようには気をつけるが、人質の無事の為ある程度は勘弁して貰いたい)
心配そうに戦いを見守る店主や店員たちへ、レイアは小さく心の中で詫びた。
まよいは戦闘が始まってから、きびきびとした迫力のある歌とステップを詠唱とし、敵のマテリアルを威圧する踊りを続けていた。
(うーん、魔法に抵抗できないようにするのが目的だったけど、想ってた以上に柔らかくなっちゃったかも)
少しまよいは思案気な表情だった。
手加減を前提とした攻撃でも、もしかしたらやり過ぎてしまうかもしれない。
とはいえ、この程度なら個人で調整できる範囲内であることも確かなので、まよいは歌と踊りを続けた。
相手を傷つけずに行動を封じる手段を豊富に持っているまよいは、人質を盾に取られそうな、いざという時にも備えておくつもりだった。
使うのを予定しているのは、眠りの魔法だ。
(ちょっとやり過ぎて人質のあなたたたちまで寝ちゃうかもしれないけど、命がかかってるんだし許してね)
不安そうに身を寄せ合っている人質たちに謝りながらまよいは戦況を見つめ続け、効果的に魔法を撃って強盗を無力化していく。
踊りで相手の抵抗が下がっているせいか、面白いように強盗たちは眠りに落ちていく。一部の人質は一緒くたに寝ているが、まあご愛敬だろう。
符術師であるハナは存分に行動していた。
「お客さんと店員さんはすぐしゃがんで下さいぃ……五色光符陣五色光符陣五色光符陣!」
影の式神を己に纏わせ鎧とし、己の魔法力を落としたハナは、笑顔で光の結界術をぶっ放す。
仲間が向かっているであろう入口と裏手・トイレには手を出さず、真っ先に人質を取り戻すことを優先する。
特に人質を取り戻した後は強盗たちの反撃が必ず来ると考え、それに客や店員が巻き込まれないよう警告を忘れない。
「大丈夫ですよぉ、ゆっくりこちらから脱出して下さいぃ」
強盗たちのうち、正面入り口側に向かう強盗たちを優先して殲め……いや、無力化していく。
同時に客と店員を誘導するようジェーンに依頼した。
するとジェーンから了承と一緒にハナの活躍を褒め称え称賛する、親指を立てる『Good job』のジェスチャーが返ってくる。彼女は無駄にリアルブルー知識に詳しい。
見える範囲の強盗は無事無力化し終えたので、追加で式神をどんどん召喚し、客と店員の店外脱出を補助する。
怪我している客や店員が居た場合はヒールで治療しようと考えていたが、特にいなかったので安心するよう笑いかけながら店外へ移動を促した。
基本方針として、逃走経路を塞いで強盗を制圧しようとロニは考えていた。
(ふむ。予定通り進んでいるな。喫茶店の構造、最低でも裏口やトイレの場所は突入前に確認できた)
人質の安全確保を最優先にしつつ、店舗にも配慮しながら戦うロニは、思い通りにいっているのを見て次の手を打つことにした。
(入口正面から突入する面子の他に、強盗達の先手を取って裏口やトイレに先回りし、逃走経路を潰すよう仕向けている。万事抜かりはない)
正面入口から店内に入ったことで、強盗と人質の立ち位置はあらかた把握できている。
人質の近くへと移動しながら、強盗達に動かれる前に足止めを試みた。
魔法で作り出した他者を断罪する光の杭を相手に打ち込み、さらに無数の闇の刃を作り、撃ち出す。
手加減しても威力が強かったようで、少々やり過ぎたかと思ったもののきちんと生かして無力化することに成功した。
店の被害状況も、幸い店主や店員にしてみると助けてもらっていることを考えれば問題ないといえるレベルだ。
なおも人質を支援魔法や回復魔法で庇えるように位置取りしながら、ロニは戦いを続けた。
足にマテリアルを流し込み厨房へ一気に移動した光は、裏口から逃げようとしていた強盗の前に立ち塞がった。
面倒だが、こういう相手に灸を据えるのもハンターとして大切なことである。
「おっと、お客さん。しっかり迷惑料はおいてけよな?」
普段は銃を使っているが、この場じゃ使いにくいと判断して、光は今回銃を持ち込んでいない。
しかし、普段銃を使い慣れているのが功を奏したのだろう。
なんとなく足捌きや懐に手を入れる素振り、そして何よりハンターを前にしてもそれほど恐れない不自然さが、光に警戒を抱かせた。
視力の高い動物霊の力を借りることで周囲の様子を見極めていたことも理由としてあったかもしれない。
銃声とともに放たれた銃弾は空を切り、身を翻した光はチャクラムを投擲する。
目標はもちろん、強盗が隠し持っていた魔導銃だ。
「っと、危ねぇもん持ってんじゃねぇか。店内ではこれ禁止だぜ?」
光が転がった魔導銃を背後に蹴り飛ばすと、うさんくさい笑顔で現れたジェーンが魔導銃を拾い上げ、別の強盗に銃撃を加えながら去っていく。
ジェーンを見て、何となく田舎の姉を連想してしまった光だった。
アレイダはジェーンに協力を要請することにした。
「私たちが犯人グループの鎮圧を終えるまでは人質の保護をお願いしたい。引き受けてもらえるかな?」
快諾したジェーンの姿が見えなくなるとともに、気配も消える。戻ってきた時には彼女は何故か魔導銃を携えていたりするのだが、まあ余談だ。
トイレの窓から忍び込み、アレイダは犯人グループが逃走するのを待ち伏せする。
しばらくすると、予想通り襲撃に気付いた強盗がドアを開けて中に入ろうとして固まった。
狭いので殴る蹴る投げるで意識を落とす。
(賞金稼ぎとして悪党をしばいていた頃を思い出すよ。面白さでは歪虚相手にするのには及ばないけどさ)
そう間を空けずに二人目が現れたので、再び素手で気絶を狙う。
しかし、今度の強盗は懐に手を入れると、魔導銃を取り出して構えた。
反射的に堅い獣皮や甲殻を持つ動物霊の力を借りて防御力を上げ、鎌で銃弾を弾きつつ距離を詰め、銃身を蹴り飛ばして叩き落とそうとしたアレイダだったが、一瞬反応が遅れた。
性能が身体能力に依存しない銃は、持っているのが一般人だったとしても一定の威力を持つ。
舌打ちしつつ、アレイダは強盗を気絶させるのだった。
人質を取り戻せば、後は簡単なものだった。
奏音とジェーンが人質を護衛しているうちに、捕まえた強盗たちをハナが縛り上げてから裏口やトイレに応援に向かい、動けるハンターたちで残った強盗を気絶させていく。
ひりょは相手の逃げ先を塞ぐよう積極的に立ち回り、レイアが逃げる相手は気にせず、立ち向かい暴れる相手を建物の損害を最小限に取り押さえていく。
人質に危害を加えようと考える者がいても、近付こうとした時点で即座にまよいによる眠りの魔法、あるいは視線を媒介にした魅了の魔法が飛んでくる。
いざとなれば支援魔法を使えるように戦況を観察しつつ、ロニが人質に癒しの魔法を使い、回復させていく。
光は強盗を無力化し人質を保護出来るように全力を尽くし続け、見事にやり遂げた。
アレイダは二度目の銃持ちをきっちり完璧に対処し、強盗たちの最後っ屁すら許さない。
こうして、白昼堂々店に押し入った強盗たちはハンターたちに取り押さえられ、遅れてやってきた兵士たちに引き渡されたのだった。
●ミッション完了。そして受付嬢の昼休みが終わる
店内を片付けてハナから差し入れられたジュースを有難くいただき、ハンターズソサエティに戻ってきたジェーンは、素知らぬ表情で後から書類をでっち上げ、自分のポケットマネーから支払われる今回の依頼報酬を経費で落とそうとした。
さすがに上司に止められ、諫められる。
ロニ、まよい、ひりょ、レイア、光、奏音、ハナ、アレイダの八人が報酬を受け取りにやってきたのを見て、ジェーンはすばやく受付嬢の仮面を被り直し、うさんくさい微笑みで出迎えた。
「ハンターズソサエティへようこそ。本日はどのようなご用件ですか? 報酬のお受け取りですね? こちらにご用意しております。金額をお確かめの上、一人ずつお受け取りくださいませ」
その様子を見ながら、ああ、この子の性格は死んでも治らなさそうだなぁと嘆息する上司であった。
ジェーンの強さが意外だったようで、強盗たちはまだ呆然自失状態から立ち直っていないようだった。
あるいはハンターたちが現れたことに驚いたのかもしれない。
とはいえ、現場がハンターズソサエティの近所なのだから、すぐにハンターたちが駆けつけるのも当たり前なのだが。
ロニ・カルディス(ka0551)は、うさんくさい微笑みを浮かべ強盗たちを見据えるジェーンを見て思う。
(……とりあえず、か弱いかどうかはこの際置いておくとしてだ。早々にこの場に収拾をつけることは賛成する)
(ジェーン、ハンターとしての能力もあったんだね~。私にはただものじゃないってわかってたよ、うんうん)
何だかんだジェーンとは一緒に行動したことがある夢路 まよい(ka1328)は、息を合わせて動きたいと考えていた。
(一般人とはいえ相手が多い、人手がいるな……。ジェーン・ドゥに協力を要請したいが、非常にうさんくさい。一体過去に何があったんだか……)
ある程度の方針を固めた鳳凰院ひりょ(ka3744)は、依頼を受けに行く際に顔を合わせる受付嬢であるジェーン・ドゥの過去が気になるようだ。
(全くもう……ほんっとにお前という奴は……! 毎度毎度いつも……! ええい、仕方ない!)
半ばどころか八割呆れながらジェーンの緊急依頼を受諾したレイア・アローネ(ka4082)は、それでも戦士として気持ちを切り替え戦闘態勢を取る。
(……こいつら……俺より馬鹿だ……馬鹿野郎どもの集団だ! ったく、ハンターオフィスのすぐ近くでこんな事しでかしゃ、すぐ捕まるだろうに……)
玄武坂 光(ka4537)は、明らかに強盗には向いていないこの店を標的に選んだ強盗たちの未来を早くも察していた。
(あの強盗たちを倒して、ジェーンとともに人質救助。この手でいきましょう。幸い人手は足りてるみたいですし)
気付かれないように占いを行い吉方と凶方を感知する夜桜 奏音(ka5754)は、強盗に軽く説得をするだけしてみるつもりだった。
「これぇ、時間制限がなかったら絶対ジェーンさんだけで片付いてましたよねぇ? どう思いますぅ?」
星野 ハナ(ka5852)のぶりっこな笑顔と、ジェーンのうさんくさい笑顔が交錯した。おそらくハナの予想は間違っていないだろう。
(屈強なハンターが睨みを利かせているソサエティの間近で強盗を働くなんて、どれだけ向こう見ずなんだろうね?)
今の状況に、アレイダ・リイン(ka6437)はまるで事件を鎮圧してくださいと自分からお願いしているようなものだと呆れていた。
強盗たちが立ち直る前に、ハンターたちは打って出る。
戦いの始まりだ!
●人質を確保し、強盗を無力化せよ
符を分からないように隠し持ち、武器は何も持っていないとアピールするために両手を空けた奏音は、一応説得しつつ人質の方に気づかれないように移動する。
「このまま敵対してもいいことはないので投降しましょう。今ならまだ間に合いますよ」
ハンターでエルフとはいえ、まだ二十歳にも満たない姿なのが功を奏したか、強盗たちが人質との間に割り込む奏音の狙いに気付く様子はない。
「うるせえ! まだまだ人数は俺たちの方が多いし、こっちは人質だって取ってんだ! てめえを人質にしてもいいんだぞ!」
しかし同時に、見た目で判断して脅威を低く見積もってしまったか、強盗の一人が聞く耳を持たず、奏音を捕まえようと手を伸ばしてきた。
それを見て、奏音も一気に動く。
「説得には応じないですか、残念です」
言葉とは裏腹に欠片も残念そうではない顔をしつつ、奏音は式神を召喚し、手を伸ばしてきた強盗を気絶させた。
ついでに追加で符を引き抜き、防御力を高める結界を人質を対象に展開させる。
大地から立ち上る美しい光が、人質になっている店員や客たちを包み込んだ。
次に動いたのはひりょだった。
強盗たちが呆気にとられているその隙を見逃さず、死角に回り込んでリヤンワイヤーで近くにいる強盗の武器を絡め取ることに成功する。
それにより、ナイフなどの刃物類が床に転がった。
これで、敵の武器を奪い抵抗力を削ぐことに成功したはずだ。
他に、何か武器を隠し持っているような敵がいなければ。
もっとも、ひりょはいざとなれば装備している鎧で受けることを考えていた。相手が一般人の強盗ならば、咄嗟の反応でも成功させることは難しくないはずだ。
幸いこの強盗は目に見える武器が持っているものの全てだったようで、納刀したままの仕込杖にマテリアルを流し込み強化して相手の足を払い、転倒させることができた。
(……これでも抗うようであれば仕込み杖を抜刀して、逆刃に持ち替えるつもりだったが)
ひりょの思惑に反しどうやら相手は戦意喪失したらしい。ただの強盗ならこんなものだろう。
「まだ舞刀士としての腕は精進している所だ。まさか、こういう機会に使う羽目に遭うとはな」
倒れた強盗にきっちり納刀したままの仕込み杖で打ち据えて追撃を入れ、気絶へ持ち込んだ。
味方の顔触れを見て、出入口封鎖は問題なく行えると判断したレイアは、強盗達の確保に踏み切ることにした。
人質は仲間達に任せ、強盗達の注意を引きつけるつもりだ。
スピードも重要だが、それ以上に強盗を油断させて人質を利用させない展開を作ることが求められる。
なのであえて武器は持たずに、武装していない状態で踏み込む。
(ジェーンのやった事に近い感じだな。これは。正面入り口から堂々と無防備に入り、取り押さえに来させる)
いくら相手がハンターといえども、これなら勝てると思わせる状態を演じる。レイアが行っているのはつまりそういうことだ。
足にマテリアルを流し込み間合いを詰めて素手で殴りかかりつつ、回避を優先して様子を見る。やり過ぎないよう、「あと少しで捕まえられる」と思わせるように立ち回るのがコツだ。
より強盗たちの気を引くために、これみよがしに壁を歩いてみせたりもして、アクロバティックな動きを大きくしていく。
(出来るだけ内装を傷つけないようには気をつけるが、人質の無事の為ある程度は勘弁して貰いたい)
心配そうに戦いを見守る店主や店員たちへ、レイアは小さく心の中で詫びた。
まよいは戦闘が始まってから、きびきびとした迫力のある歌とステップを詠唱とし、敵のマテリアルを威圧する踊りを続けていた。
(うーん、魔法に抵抗できないようにするのが目的だったけど、想ってた以上に柔らかくなっちゃったかも)
少しまよいは思案気な表情だった。
手加減を前提とした攻撃でも、もしかしたらやり過ぎてしまうかもしれない。
とはいえ、この程度なら個人で調整できる範囲内であることも確かなので、まよいは歌と踊りを続けた。
相手を傷つけずに行動を封じる手段を豊富に持っているまよいは、人質を盾に取られそうな、いざという時にも備えておくつもりだった。
使うのを予定しているのは、眠りの魔法だ。
(ちょっとやり過ぎて人質のあなたたたちまで寝ちゃうかもしれないけど、命がかかってるんだし許してね)
不安そうに身を寄せ合っている人質たちに謝りながらまよいは戦況を見つめ続け、効果的に魔法を撃って強盗を無力化していく。
踊りで相手の抵抗が下がっているせいか、面白いように強盗たちは眠りに落ちていく。一部の人質は一緒くたに寝ているが、まあご愛敬だろう。
符術師であるハナは存分に行動していた。
「お客さんと店員さんはすぐしゃがんで下さいぃ……五色光符陣五色光符陣五色光符陣!」
影の式神を己に纏わせ鎧とし、己の魔法力を落としたハナは、笑顔で光の結界術をぶっ放す。
仲間が向かっているであろう入口と裏手・トイレには手を出さず、真っ先に人質を取り戻すことを優先する。
特に人質を取り戻した後は強盗たちの反撃が必ず来ると考え、それに客や店員が巻き込まれないよう警告を忘れない。
「大丈夫ですよぉ、ゆっくりこちらから脱出して下さいぃ」
強盗たちのうち、正面入り口側に向かう強盗たちを優先して殲め……いや、無力化していく。
同時に客と店員を誘導するようジェーンに依頼した。
するとジェーンから了承と一緒にハナの活躍を褒め称え称賛する、親指を立てる『Good job』のジェスチャーが返ってくる。彼女は無駄にリアルブルー知識に詳しい。
見える範囲の強盗は無事無力化し終えたので、追加で式神をどんどん召喚し、客と店員の店外脱出を補助する。
怪我している客や店員が居た場合はヒールで治療しようと考えていたが、特にいなかったので安心するよう笑いかけながら店外へ移動を促した。
基本方針として、逃走経路を塞いで強盗を制圧しようとロニは考えていた。
(ふむ。予定通り進んでいるな。喫茶店の構造、最低でも裏口やトイレの場所は突入前に確認できた)
人質の安全確保を最優先にしつつ、店舗にも配慮しながら戦うロニは、思い通りにいっているのを見て次の手を打つことにした。
(入口正面から突入する面子の他に、強盗達の先手を取って裏口やトイレに先回りし、逃走経路を潰すよう仕向けている。万事抜かりはない)
正面入口から店内に入ったことで、強盗と人質の立ち位置はあらかた把握できている。
人質の近くへと移動しながら、強盗達に動かれる前に足止めを試みた。
魔法で作り出した他者を断罪する光の杭を相手に打ち込み、さらに無数の闇の刃を作り、撃ち出す。
手加減しても威力が強かったようで、少々やり過ぎたかと思ったもののきちんと生かして無力化することに成功した。
店の被害状況も、幸い店主や店員にしてみると助けてもらっていることを考えれば問題ないといえるレベルだ。
なおも人質を支援魔法や回復魔法で庇えるように位置取りしながら、ロニは戦いを続けた。
足にマテリアルを流し込み厨房へ一気に移動した光は、裏口から逃げようとしていた強盗の前に立ち塞がった。
面倒だが、こういう相手に灸を据えるのもハンターとして大切なことである。
「おっと、お客さん。しっかり迷惑料はおいてけよな?」
普段は銃を使っているが、この場じゃ使いにくいと判断して、光は今回銃を持ち込んでいない。
しかし、普段銃を使い慣れているのが功を奏したのだろう。
なんとなく足捌きや懐に手を入れる素振り、そして何よりハンターを前にしてもそれほど恐れない不自然さが、光に警戒を抱かせた。
視力の高い動物霊の力を借りることで周囲の様子を見極めていたことも理由としてあったかもしれない。
銃声とともに放たれた銃弾は空を切り、身を翻した光はチャクラムを投擲する。
目標はもちろん、強盗が隠し持っていた魔導銃だ。
「っと、危ねぇもん持ってんじゃねぇか。店内ではこれ禁止だぜ?」
光が転がった魔導銃を背後に蹴り飛ばすと、うさんくさい笑顔で現れたジェーンが魔導銃を拾い上げ、別の強盗に銃撃を加えながら去っていく。
ジェーンを見て、何となく田舎の姉を連想してしまった光だった。
アレイダはジェーンに協力を要請することにした。
「私たちが犯人グループの鎮圧を終えるまでは人質の保護をお願いしたい。引き受けてもらえるかな?」
快諾したジェーンの姿が見えなくなるとともに、気配も消える。戻ってきた時には彼女は何故か魔導銃を携えていたりするのだが、まあ余談だ。
トイレの窓から忍び込み、アレイダは犯人グループが逃走するのを待ち伏せする。
しばらくすると、予想通り襲撃に気付いた強盗がドアを開けて中に入ろうとして固まった。
狭いので殴る蹴る投げるで意識を落とす。
(賞金稼ぎとして悪党をしばいていた頃を思い出すよ。面白さでは歪虚相手にするのには及ばないけどさ)
そう間を空けずに二人目が現れたので、再び素手で気絶を狙う。
しかし、今度の強盗は懐に手を入れると、魔導銃を取り出して構えた。
反射的に堅い獣皮や甲殻を持つ動物霊の力を借りて防御力を上げ、鎌で銃弾を弾きつつ距離を詰め、銃身を蹴り飛ばして叩き落とそうとしたアレイダだったが、一瞬反応が遅れた。
性能が身体能力に依存しない銃は、持っているのが一般人だったとしても一定の威力を持つ。
舌打ちしつつ、アレイダは強盗を気絶させるのだった。
人質を取り戻せば、後は簡単なものだった。
奏音とジェーンが人質を護衛しているうちに、捕まえた強盗たちをハナが縛り上げてから裏口やトイレに応援に向かい、動けるハンターたちで残った強盗を気絶させていく。
ひりょは相手の逃げ先を塞ぐよう積極的に立ち回り、レイアが逃げる相手は気にせず、立ち向かい暴れる相手を建物の損害を最小限に取り押さえていく。
人質に危害を加えようと考える者がいても、近付こうとした時点で即座にまよいによる眠りの魔法、あるいは視線を媒介にした魅了の魔法が飛んでくる。
いざとなれば支援魔法を使えるように戦況を観察しつつ、ロニが人質に癒しの魔法を使い、回復させていく。
光は強盗を無力化し人質を保護出来るように全力を尽くし続け、見事にやり遂げた。
アレイダは二度目の銃持ちをきっちり完璧に対処し、強盗たちの最後っ屁すら許さない。
こうして、白昼堂々店に押し入った強盗たちはハンターたちに取り押さえられ、遅れてやってきた兵士たちに引き渡されたのだった。
●ミッション完了。そして受付嬢の昼休みが終わる
店内を片付けてハナから差し入れられたジュースを有難くいただき、ハンターズソサエティに戻ってきたジェーンは、素知らぬ表情で後から書類をでっち上げ、自分のポケットマネーから支払われる今回の依頼報酬を経費で落とそうとした。
さすがに上司に止められ、諫められる。
ロニ、まよい、ひりょ、レイア、光、奏音、ハナ、アレイダの八人が報酬を受け取りにやってきたのを見て、ジェーンはすばやく受付嬢の仮面を被り直し、うさんくさい微笑みで出迎えた。
「ハンターズソサエティへようこそ。本日はどのようなご用件ですか? 報酬のお受け取りですね? こちらにご用意しております。金額をお確かめの上、一人ずつお受け取りくださいませ」
その様子を見ながら、ああ、この子の性格は死んでも治らなさそうだなぁと嘆息する上司であった。
依頼結果
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強盗鎮圧作戦 ひりょ・ムーンリーフ(ka3744) 人間(リアルブルー)|18才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2018/08/20 10:24:10 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/08/19 22:44:39 |