【街混】新たな催しを求めて。

マスター:蓮華・水無月

シナリオ形態
イベント
難易度
易しい
オプション
  • duplication
参加費
500
参加制限
-
参加人数
1~25人
サポート
0~0人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/01/09 09:00
完成日
2015/02/14 15:01

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 一際賑やかな界隈で、あらあら、とレオーナ・マンティエロ(kz0069)は目を細めて微笑んだ。

「若い人ばかりなのかと思ったら、そうでもないのですね」
「そのようですね……」

 レオーナの言葉に相槌を打つのは、王国と帝国の間に存在する崖上都市「ピースホライズン」の市長たる彼女の部下ルーカス・アンダースである。きょろきょろと物珍しげに、そしてどこか居心地悪げに辺りを見回す彼の年齢は、初老と言って間違いない。
 もっともそれは、すでに60歳は越えているレオーナも同じことで。老人2人、目立ってしまうのではないかと少し心配していたのだけれど、その心配はなさそうだと胸を撫で下ろす。
 市長、とルーカスが言った。

「早く、視察を済ませて戻りましょう。執務が滞ります」
「あらあら、そんなに急くこともありませんよ。1日くらい、私が居なくったって問題ありません」

 ちゃんと終わらせてきましたもの、と微笑むレオーナの顔はどこか誇らしげで、ルーカスは小さく息を吐く。そういう問題ではない、と言いたいのだが言っても無駄そうだ。
 そんなルーカスに気付いて居たものか、レオーナはまた賑やかな人々へと目を向けて微笑んでいる。楽しそうですね、ともう1度うなずいた。





 レオーナとルーカスが、ピースホライズンを離れて同盟にある冒険都市「リゼリオ」へと足を延ばしたのにはもちろん、訳があった。この年末にリゼリオで、ハンター向けに行われるという『まちこん』なるイベントがそれである。
 寡聞にしてレオーナはもちろんルーカスも、そのイベントの事を聞いた事はなかった。何でもリアルブルーに由来を持つ、街中で人々が出会って交流を深める催しものなのだという。
 それに、レオーナは興味を持った。リゼリオではこの年末、そのイベントのおかげで例年より賑やかな様相になっているらしいから。

「その『まちこん』というものを視察してみて、市民の皆さんが楽しく幸せになれるような催しなのでしたら、ピースホライズンで取り入れていくのも良いかも知れませんね」

 ピースホライズンは、各種イベントごとにも力を入れてクリムゾンウェスト各地から観光客を招いており、時には『夢の街』と呼ばれることもある。そして人々に夢を見せ続け、より一層ピースホライズンを繁栄させて市民を幸せにするためには、相応の情報収集と努力が必要だ。
 ――という理由を部下たちに説き、自らお忍びでリゼリオまでやって来たレオーナの意図が果たして、それだけなのかは彼女のみぞ知る。時にどこか少女を思わせるような発想と行動力を持つレオーナは、冷静で打算的な商人の目を持ちながら、同時に市民の誰よりも催しごとを楽しんでいる節があった。
 そうして、今もまた。

「どうやら、『まちこん』というのはハンターさん達が、食事をしながらお話をする催しのようですよ――どんなお話をしているのかしら。私たちもお邪魔してみましょう」

 うきうきと楽しげにそう言って、レオーナは近くのお店へと向かい出す。そんなレオーナの背中に小さな溜息を吐いて、ルーカスもまた『まちこん』会場へと足を踏み入れたのだった。

リプレイ本文

 ギルド街の一画、例年の年末年始とは異なるという賑わいをぐるりと見回し、ロジー・ビィ(ka0296)は微笑んだ。

「ふふ……ッ、皆さん楽しそうですわね!」

 せっかくの出会いの場、混ざらない理由はないと楽しげな足取りで空いた席に着く、ロジーに続いて入ってきたのは、物珍しげなエルフの少女。雪雫(ka3362)の姿に、今日はナンパOKと聞きうろうろしていたキー=フェイス(ka0791)が、お、と目を輝かせた。
 早速、ちーす、と声をかける。

「雪にゃんも街コン来たんだ? 今日もすらっとしてて綺麗な脚だな」

 そう言うキーの視線は、雪雫の胸元に釘付けだ。それに気づかず雪雫は、『まちこん……?』と首を傾げた。
 というのも彼女は箱入りで、特に男女の知識は皆無。お蔭で、どこか間違って覚えている事も多く。
 そんな雪雫に、キーがひょいと肩を竦めた。

「男女のステキな出会いの場」
「……?」
「ま、難しく考えずに食って飲んで騒いで、仲良くなりゃOKなんだよ」
「成程……また1つ覚えましたッ」

 本当に解ったかは怪しいが、雪雫は笑顔で大きく頷く。キーは物知りですね、と心底感心したようだ。
 まぁいっか、とキーは気にせずグラスを雪雫に渡す。彼女の分はもちろんジュースだ。

「つうわけで、雪にゃんの綺麗な髪にかんぱーい!」
「乾杯です」

 雪雫もそれに合わせて、グラスをカチンと合わせる。キーとはもう親しいのですが、と思いながら。
 そのやり取りが聞こえてきて、時音 ざくろ(ka1250)はどこか居心地悪げに顔を赤くする。そんな彼にくすくす笑い、ざくろちゃんはあーゆー子がタイプ? とアルフェロア・アルヘイル(ka0568)がからかった。

「ちッ、違うもんッ! ざくろはその、すごいなぁ、ッて思って……」

 勢いよく否定したものの、ますます赤くなるのが『らしい』と笑うアルフェロアに、ざくろは恨みがましい視線を向けた。アルフェロアはどうなのさ、と聞けば返ってくるのは、私の好みのタイプを知りたいの? と余裕の笑み。
 手にした酒杯に口付けながら、アルフェロアはウィンクして見せた。

「それはもちろん一緒に道を歩んでくれる人よ」
「う、そっか。結婚、とかも憧れちゃうよね……ざくろもいつかッて思うけど、まず、この世界を隅々まで冒険してみたいな」

 思いがけず真っ直ぐな彼女の言葉に、ざくろがふと真剣な眼差しになる。瞳に宿る輝きは、まだまだ夢を追う少年のそれ。
 眩しげに眼を細め、ざくろちゃんらしいわね、とまた微笑んだ。それからふと卓を見回し、同席の人々に飲み物はどうかしら、と声をかける。
 貰おう、と応えたのは久延毘 大二郎(ka1771)。

「酒以外で何か……私は下戸だ、飲んだら倒れてしまう故な」
「あら、もったいないですわね」

 大二郎の言葉にそう微笑む、ロジーの前には早くも酒瓶が複数並んでいる。これは飲まなければ損と、飲み尽くす勢いの彼女には、今も誰ぞやが飲み比べを申し込んでいて。
 ころころ笑い、ロジーは快く承諾する。

「勝負? 望む所ですわよ!」
「お姉さん、強いんだね……」

 大きめの白衣の裾をぱたぱたはためかせながら、レオーナを手伝ってお茶を配りに来たカール・フォルシアン(ka3702)が目を丸くした。そんな事ありませんわよ、と空の酒瓶を増やしながらロジーはまた笑う。
 それを見ながら不意に、もうあれから1年経つのかと大二郎は思った。いきなり此方の世界に転移してからの日々は早く、あの卒論発表会の日もいつしか遠くなって。
 リアルブルーに帰りたい気持ちは、今も変わらないが。

(……暫くは戻らないと腹を括って、此方で様々な縁を作るというのも悪くはないか)

 だからこそ今日だって、今までこういった催しに参加した事がないのを不安に思いながら、やって来たのだし。幸い料理と飲物は見た事のない物もある物も沢山ある、話の種はまだ尽きないだろう。
 そう考える大二郎の横では、カールもまた似たような思いで皆を見回している。此方に来てからまだ日も浅く、ハンターとしても駆け出しで交友関係が少なくて……寂しくて。

「……友達、できるといいなぁ」
「知らない人がいっぱい……! お友達が沢山できるわ!」

 奇しくもその呟きは、きらきらした眼差しで自作ハーブティーを淹れるメーナ(ka1713)のそれと重なった。それに、思わず顔を見合わせたのも同時。
 くす、とどちらからともなく笑う。

「あなたも飲む? 父様直伝なのよ!」
「そうなんですか? リアルブルーのとは違うのかな」
「おや。私も頂いていいかな」

 はい、と渡されたハーブティーを観察するカールの横から、ルシオ・セレステ(ka0673)が顔を出した。もちろんなのよ、と快く暖かなハーブティーを差し出すメーナの横で、あ、と思い出してカールもレオーナが用意していたお茶を渡す。
 ありがとう、と受け取りルシオは卓を見回した。並んでいるのは店の料理の他にも、皆が持ち寄ったザッハトルテやクッキーといったお菓子。
 そこに、あの、とにんじんケーキが差し出された。おや、と目を向ければそこには、控えめに挨拶する月護 紫苑(ka3827)の姿。

「えっと……良かったら、どうぞ。私の得意なお菓子、なんです」
「美味しそうなのよ!」
「本当に、美味しそうだね。頂くよ」

 そんな紫苑に、早速メーナが目を輝かせてお皿を用意した。ルシオも微笑んでそれを手伝い、人数分の皿やフォークを準備する。
 ほッ、と胸を撫で下ろした紫苑はちらりと、卓の隅で皆のやり取りに微笑んでいるレオーナを見た。彼女の笑顔は何だか、孤児院にいた頃にお世話になったシスターを思い出す。
 こんな賑やかな催しも、そう。それがとても懐かしく、何だか嬉しい心地もする紫苑に、メーナは積極的に『お菓子を作るのが趣味なの?』と話しかけ。
 賑やかな人々に目を細め、ルシオはそっと立ち上がる。美味しいお菓子も頂いた事だし、折角だから幸せの味を堪能しに、他のお店も見て回ろうか。
 そう、立ち上がったルシオを微笑み見送って、レオーナもまた街の様子を視察しようかと立ち上がる。その密やかな動作に気がついて、イーディス・ノースハイド(ka2106)がそっとその横に並んだ。

「頼りないかもしれないけど暫しの間、護衛を務めさせてもらうよ――貴女に付いて回るだけでも充分楽しめるさ」

 護衛も連れずに、とは少し不用心が過ぎるような気がすると苦笑すれば、返ってくるのは供は居ますよ、との微笑み。一緒に居なきゃ意味がないだろと、肩を竦めて思い出し、クッキーも美味しかったと付け加える。
 それにレオーナが、供にも聞かせてやって欲しいと笑った。





 街コンで賑わっているのは、中心会場の酒場だけではない。周囲も多くの人混みや、この機会にと出店するハンターや商人で賑やかで。
 そのうちの1つのカフェで、エミリオ・ブラックウェル(ka3840)はふんふん、と鼻歌を嗜みながらお茶を楽しんでいた。時折は近くのテーブルと話をするけれど、目線は行き交うリアルブルー女子やエルフ女子の様々なファッションに釘付けだ。
 髪飾りやブレスレット等の小物類。スカート等にも興味はあるし、男装の麗人も捨て難い。

(あのアクセサリー可愛い☆ どこかで売ってるのかしら? それとも手作り?)

 今もじっと目で追う先にはつい今しがた、露天商との値引き交渉で勝ち取ったアクセサリーを手に歩く星垂(ka1344)とコーネリア・デュラン(ka0504)の姿。2人で和物やアンティークといった小物やアクセの店を覗いては、冷やかしたりしている。
 それにしても、とコーネリアが笑った。

「ほたるん、凄かったですね」
「まぁ、商人さんが上手だったかもしれないけど」

 それも又いい思い出にはなるし、と満足げな星垂だ。露天商とのやり取りを思い出し、何とはなしに手を見下ろして、うん、と1つ小さく頷く。
 大丈夫よ、と一緒に目利きしたコーニーが請け合った。早速髪飾りをつけながら、次はどこに行きましょうか、と考える。
 もうちょっと小物やアクセを見ていきたいけれど。

「ギルドの皆にお土産になりそうな物があれば買っていきたいですね。御菓子辺りが無難かしら……」
「そうだね。どこかに良いお店、あったかな」
「ねぇ! そのアクセサリー、どこで売ってるの?」

 そんな2人にエミリオが、ぱっと立ち上がって声をかけた。ついでに、此処のカフェのスイーツは絶品よ、とも付け加える。
 その様子を見て、ふむ、とアシフ・セレンギル(ka1073)は1つ頷いた。

「リゼリオは進取気鋭の街のようだな。催しでここまで人を集めるとは」

 故郷の為の情報収集で参加した彼の目線は、出会いとは別の所にある。さすがに周りの雰囲気は多少気にして、手には適当に目についた露店で買った酒があるが、頭の芯は冷静だ。
 次はどこを巡ろうか、考えているアシフの後ろをついて回りながら、だがリィン・ファナル(ka0225)はと言えば楽しげに、露店に目を輝かせていて。それに気付いている、アシフの行動に殆ど変化はないけれど。

「わぁ……可愛い」

 足を止めてしゃがみ込み、木製の凝った彫りの帯飾りを見るリィンの背越しに、気付けばアシフも足を止めて店内を見回している。それに嬉しくなって、リィンは笑顔で振り返った。

「ね、ね。アシフさん。こういうの如何です?」
「俺はいいからお前の身を飾るものを選べ」
「む。じゃあ、アシフさんは、何か気になるお店とかありましたか?」

 日頃の御礼、にかこつけてプレゼントし損ねた、リィンが負けじと問い返せばアシフは、さぁな、と小さく肩を竦める。そうしてまた歩き出した、2人とは対照的にエヴァ・A・カルブンクルス(ka0029)は不機嫌だった。
 何しろ話しかけてくる相手はイケメンどころか、今一系ばかり。しかも揃ってしつこいと来た。
 むすっとし、絡んでくるのを断っていたら不意に、誰かにどーんとぶつかった。謝ろうとしたエヴァは、それが女性だと気付き。
 咄嗟に、彼女の腕にぎゅっと抱き付く。

『この人彼女です!』
「――ん?」

 エヴァのカードに書かれた言葉に、当の矢野 白(ka3664)は動きを止める。何しろ年に少々気後れを感じながら、綺麗な子が多い事、と見ていた女の子がいきなり抱き付いてきたのだ。
 だがエヴァの表情と、周りの様子に成程、と頷く。そうして、エヴァの肩をぎゅっと抱き。

「引き際が良いのも良い男の条件。悪いけどこの子は私の今日だけの彼女よ」

 しっしっ、と白が男達を追い払う。それにほぅ、と息を吐いてから、エヴァはぺこぺこ頭を下げた。
 謝罪して、自己紹介をして。せっかくの縁なので一緒に回りませんか、とデートに誘って。

「もちろん喜んで。貴女エヴァっていうの? じゃあエヴァちゃん、ね。良いでしょ?」
『もちろんです!』

 大きく頷いたエヴァに、白はにっこりした。そうして歩き出した2人とすれ違った先で、エティ・メルヴィル(ka3732)はふと耳を澄ませる。

(音楽が聴こえる。素敵な音色……)

 何の楽器かは判らないが、素敵な事には変わりない。ちょっと覗いてみよう、と音に導かれるまま足を向ければ、その先には独り静かにベースを奏でるヤナギ・エリューナク(ka0265)の姿。
 街コンは賑やかだが、楽しんだ者勝ちだ。故に我関せずで抱いたベースを奏でる手が、気配を察して止まる。
 だがそれは、邪魔したか、と焦るエティではなくて。その後ろに立つ――

「聞き覚えのあるベース音だと思ったら、ヤナギじゃない」
「ケイ、か? ベースだけじゃ寂しいと思ってたンだ、何か即興で合わせてくれねェ?」

 挨拶もなくそう言った、ヤナギに『喜んで』とケイ・R・シュトルツェ(ka0242)は微笑んだ。それから、眼差しをエティへ向ける。

「其方のお嬢さんも一緒かしら」
「え?」

 ケイの言葉に、エティは目を丸くした。ヤナギもそんなエティを見て、手に持つ横笛に目を留める。
 成程、と頷いた。このお嬢ちゃんも音楽に今日もがあるのなら、こっちの音楽にも興味があるし、一緒にやるのも面白そうだ。
 だからヤナギはぶっきらぼうに、だが確かに同志と認めて告げる。

「お嬢ちゃんの好きに吹いてみな」
「良いの!?」

 嬉しそうに横笛を握り締めるエティに、ケイが微笑み頷いた。此方と彼方、音楽が繋がり合える掛橋になって、そうして誰かが聴いて何かを想ってくれると『良い』と思うから。
 流れ出したエティの旋律に、即興で合わせるは遠くまで伸び行く透明な歌声。そこに絡んでいくように、ヤナギのベースが弾ける。
 音楽で繋がる3人が、眼差しを交わして笑顔を浮かべた。何方の音楽でもない、今だけの旋律が伸びてゆく。
 その音が聞こえて、喜屋武・D・トーマス(ka3424)は微笑んだ。

「ん、賑やかね」
「まったくね」

 頷いたアルファス(ka3312)は、今日は仕草まで意識した魔女の如き装い。そうして、街中が賑やかなら交わるのもイベントを楽しむコツだと、自分の工房『SILVER SNOW』から持ってきた中心会場の酒場にも差し入れたザッハトルテや、小さなお菓子の家ヘキセンハウスといったお菓子を売っている。
 見た目にも雰囲気のある、アルファスの店先に居るのはトーマスだけじゃない。試食用に並べたお菓子に夢中になっている、ティト・カミロ(ka0975)もその1人。
 何か珍しい食べ物がないかと、歩き回っていたらこの店先に辿り着き、持ち帰る前にまずは試食を、と思ったら美味しくて。もう1つ、もう1つと食べるうちに周りの目も気になり、なら一気に取っちゃえ、と掌にたっぷり乗せたのと、ねぇ、とトーマスが声をかけたのは同時。

「あっちで座って食べたら?」
「えっ、な、なにも持ってな……ごふッ!?」
「あらら……アルファスちゃん、お水お願い」

 怒られるのかと咄嗟に全部口に放り込んだティトが、飲み込み切れず吹き出した。ごほごほごほ、と咳き込むティトの背をさすりながら言ったトーマスに、頷くアルファスは呆れ顔。
 水を手渡しながら、ひょい、と肩を竦めた。

「別に怒りやしないから、ゆっくり食べて行くと良いよ」
「う、うぅ……ありがとう」

 涙目で受け取って、ティトが何とか口の中のお菓子を飲み込む。その微笑ましい光景に、トーマスは笑った。
 こういう可愛い子達が楽しそうに過ごしているのを見ているだけでも、来た甲斐があったという物だ。

(私の場違い感は凄いけどね)

 苦笑しつつも楽しげなトーマスをちらりと見て、アルファスは新たなザッハトルテの準備を始めたのだった。





 アルファスの店先で、1つ1つ形の違うお菓子の家にイーディスは目を瞬かせた。

「お菓子の家にはロマンがあるよね。お菓子の家の中には秘蔵の宝物があるよ。色んな味のミニジャムサンドマカロンを探してみてね♪」
「そうなのかい? それはますます面白いね」

 アルファスの言葉に素直に感心し、私にも1つ貰えるかい、と尋ねるイーディスは先ほども、ツヤツヤ輝くザッハトルテに感動してお代わりまでお腹に収めた所。今日は鎧姿ではなくPコート、マフラー、縦セーター、ニット帽にロングブーツの冬のお出かけ衣装で護身用の剣を除けば華やかだが、胃袋の方は変わらないらしい。
 嬉しそうにお菓子の家を受け取った、イーディスがキラキラした眼差しで矯めつ眇めつする。食べ物であるからには食べなければならないし、食べないという選択肢もないのだが、何となく勿体ない気もして。
 その様子を見て、ふふ、と傍らで微笑んだレオーナが、あら、と眼差しをどこかへ向ける。それに気付いたアルファスがお菓子の家を手に、お嬢さん達、と近寄って。

「どうぞ。今度お菓子を出す喫茶、琥珀の林檎をよろしくだよ」
「じゃあ私からも。どちらの味がお好みかな?」

 はい、と歩いてきた星垂とコーネリアにお菓子の家を渡す、アルファスの横からルシオも小さな、あちこちで気に入って包んで貰った菓子包みを取り出した。コロン、としたフォルムの包みはいかにも可愛らしい。
 わ、とコーネリアが顔を輝かせて妹分を振り返った。

「可愛い。ほたるん、どれにします?」
「ボク? えぇと……」

 どれにしようかな、と楽しげに迷う2人の両手には、あちこちで買い求めた戦利品。少し重たいけれどもそれは、沢山の思い出も一緒だから、とても心地良い重みだ。
 幾つもの包みを見比べて、和柄とアンティーク柄の包みをそれぞれ取った。『まちこん』は本当に凄いですねぇ、と呟くコーネリアに星垂が少し首を傾げる。

「コーニーさん。次のお店も探さなくちゃ。パンケーキとかあれば良いんだけど」
「あ、そうでしたね。美味しいスイーツと紅茶があれば、満足ですが♪」
「では『極楽鳥』は行ってみた? お奨めだよ」

 ここから近いしね、と微笑んだルシオと掌の包みを見比べて、星垂とコーネリアは顔を見合わせた。そろそろゆっくり座ってお喋りしたいし、近いなら行ってみようか、と頷き合う。
 そうして歩き出した少女達を、見送りながらふとルシオはレオーナを振り返った。

「レオーナ市長。甘味マップなど作ってみては如何でしょう? 見て回るだけでも楽しいけれど、形に残す、記すのも良いかも知れないですね」
「そうですね……」
「私は面白そうだと思うわ。甘いモノに紅茶は最高だもの」

 微笑みながらも考えを巡らせているかのようなレオーナに、トーマスがぱちんとウィンクする。人や物の入れ替わりが激しく、情報伝達がリアルブルーほど早くはない此方では、情報の鮮度を保つのが課題になりそうだが。
 それにしても今日は本当に眼福だと、満足そうにトーマスは街を眺める。誰も彼もが楽しそうで、見ているだけで心が和むという物だ。
 ふと、アルファスがお菓子を持ってどこかに行くのに目を留めた。

「あら、どこ行くの?」
「酒場の方にもそろそろ追加が必要かな、と思ってね」
「そう。じゃ、私も一緒に行くわ。誰か手持無沙汰の子が居るかもしれないしね」

 半分持つわよ、と手を出したトーマスに遠慮なくお菓子の台を乗せ、歩き出した2人の行方を何となく見送って、アシフは後ろのリィンを振り返る。

「色々見て回ったし、そろそろ帰るか」
「そうですね」

 その言葉に、少し残念に思いながらリィンが頷いた。それに少し目を細め、アシフが思い出した様に懐から、小さな包みを取り出し渡す。
 それはこの妹分に似合いそうだと、彼女に内緒で購入した装飾品。これ、とリィンの目が大きく見開かれて。
 真っ直ぐ見上げてくる済んだ眼差しを見下ろして、アシフは常と変わらぬ響きで言った。

「連れまわして悪かったな」
「……いいえ!」

 その言葉に、大きく首を振りながらリィンはぱっと笑顔を咲かせる。今日はずっとアシフの後をついて歩いて、彼の興味のある物をたくさん見れて、知れて――それがとても嬉しかった。
 自分の興味のある買い物にも結局、付き合って貰えたし。里に住む義父母への土産に、可愛い生活雑貨も見つけたし。
 やっぱり今度、プレゼントをしたいな、と思う。邪魔にならない装飾品なら、アシフにも似合うだろうか。
 アシフさん、とリィンは嬉しく問いかけた。

「今日は楽しかったです?」
「悪くない」
「ふふー♪ 私も楽しかったです!」

 言い切る笑顔は力強くて、アシフはまた目を細める。そうして2人が歩き出したのと、反対側にある酒場では、リアルブルーの話で盛り上がっていた。

「遊園地とか映画とか、楽しい事いっぱいあるよ!」

 中心になっているのは、ぐっと拳を握ってそう力説しているざくろ。遊園地とは、映画とは、と語るざくろの話はもちろん、何より語る表情が楽しげで。
 つい聞き入ってしまうアルフェロアは、一度行ってみたいわよねぇ、と頬に手を当てる。

「リアルブルーは魔法ないのは不便ねえ……でも代わりに機械が発達してるのなら、どっちが便利なのかしらねー?」
「いつか冒険に出られると良いね。CAMみたいなのがゴロゴロしてると思うとちょっと怖いけど……あ、いや、俺は怖くなんてないんだけど」
「あら、勇敢なのねー」
「勿論! 俺は今は只の剣士ティト・カミロだけど、きっと伝説の剣士になる男さ!」

 アルフェロアの賛辞に、ティトが大きく胸を張った。彼としても、リアルブルーは興味のある土地だ。
 それは遠くないだろうと、ティトは前向きに笑う。ハンターが本気になったら、きっと何だってすぐ解決出来てしまうに違いない。
 そう目を輝かせる、ティトにロジーは何本目になるかもう解らない酒瓶を開けてアルフェロアの盃に注ぎながら、そうですわね、と微笑んだ。アルフェロアがお返しに注いでくれるのを、笑顔で受ける。
 今でこそ帝国に留まるロジーだが、元は旅人だ。色んな場所に行き、見聞を広めてきた。
 その旅に1つとして同じ物がなかったように、ここで聞く皆の話に1つとして同じものはない。まさに、人の数だけ物語がある。
 ふふ、と微笑んでロジーは戯れにアルフェロアと酒杯をかつんと当てた。

「あたしもさすがに、リアルブルーには行った事がありませんわ。興味はありますわね」
「ねー。その時はざくろちゃんに案内でもしてもらおうかしら?」
「うん、その時は案内任せて! 地球への道絶対見つけちゃうから」

 女性2人の楽しげな声に、ざくろがぐっと拳を握った。それに、隣りの卓からキーが『俺も』と手を挙げる。

「俺も案内するよ。あっちの事は覚えてないけど、こんな美人が2人も居たら楽しいに決まってるし」
「はーい、あんまりジロジロと人の胸を見ない。そんなに興味あるなら触ってみる? なーんて冗談に決まってるじゃないー」

 豊かな女性の象徴をむしろ誇らしげに揺らし、アルフェロアがばんばんキーの背中を叩きながら笑った。どうやらしっかりと酔っ払っているらしい。
 ざくろが頬を真っ赤にして、なんだ冗談か……と複雑に呟いた。くすくす笑ったロジーの手は、新たな酒瓶に伸びている。
 ジンジン痛む背中をさすり、ちぇ、とキーは肩を竦めた。と言って本気で傷ついても居ないのだけれども。
 ちら、と見た雪雫が首を傾げた。

「キー、どうかしたんですか?」
「雪にゃんに撫でて貰えばすぐに治るさ」
「治す……マテリアルヒーリングは自分しか癒せませんよ?」

 どなたかにヒールをかけてもらった方が良いのでは、と真剣に案じる雪雫は相変わらず、キーのセリフの真意には気付いていない。ならばせめて膝枕でも狙おうかと、真剣に辺りをウォッチし始めるキーである。
 そんなキーにまた首を傾げたきり、雪雫は向かいに座るケイの話に耳を傾けた。これから参加でも良いのかしらと、やって来た彼女に勿論と頷いたのは色んな人と話をしてみたかったから。

「それで、彼方ではどのような活動をされていたのですか?」
「ふふ。あちらこちらで歌ったわ。今日も、ヤナギやエティと路上ライブをして来た所」
「ライブ……?」

 キョトンと目を瞬かせた雪雫に、微笑んだケイが目配せしたのを見て、ヤナギはにやりとベースを取り出した。あ、と酒場の給仕を手伝って飲み物を運んでいたエティが、それに目を輝かせる。
 ケイやヤナギが街コンに参加するというから、彼女もそのままついてきた。何となく、心が繋がれた気がしたから。

「お兄ちゃん、そう言えばその楽器は何て言うの?」
「ベース、だな。お嬢ちゃん、また演るかい? そっちのエミリオだったか、あんたもどうだ」
「あら、私も?」

 ひょいと話を向けられて、ヤナギに女性と間違えられてナンパされたエミリオが己を指さす。ああ、とそれにもまたヤナギは頷いた。
 エティの音楽を主軸とした、此方と彼方を融合させた音楽。そこにエミリオのハイバリトンが入れば、また面白い旋律になるに違いない。
 そんなヤナギの言葉に、面白そうだから良っか♪ とエミリオは喜んで立ち上がった。その見た目はやはり、今日のファッションテーマが『ジョシコーセー』というだけあって、なかなか可愛らしい。
 沢山のお友達が出来そうで嬉しいと、笑顔で横笛を取り出したエティが先ほども吹いた、彼女の知る曲を奏で始める。それに合わせて先ほどとは違う即興で、ケイが澄んだ歌声を伸びやかに響かせて。
 凄いですね……と雪雫は感心してその光景をじっと見つめる。今日という日は本当に、彼女の知らない、知らなかった知識に触れる機会がとても多い。
 もう少し近くで聞いてみようと、立ち上がった雪雫の後ろで、ガンッ! と何かがぶつかる大きな音がした。振り返れば、最前まで雪雫が座っていた所に寝転び、頭をさするキーが居る。

「……? キー、どうかしたんですか?」
「い、いや……ちょっと、横になって休もうかな、って思ってさ……」
「そうなんですか? どこか休める所があると良いのですが」

 まさか自分の膝枕を狙っていたとは露程も気付かず、ご店主に聞いてきましょう、とゴーヤ氏の元に向う雪雫を見送って、そうじゃないんだ、とキーは内心でがっくり膝をつく。かくなる上は運んで貰うと見せかけて抱き付くか。
 でもどうせまた上手くいかないんだろうな、という予感に自分でも苛まれるキーに、エミリオが歌いながら同情ともつかない眼差しを向けた。どちらかと言えばエミリオの興味は、彼が身に付けている服装に向いていたが――男装、にしてもあのファッションは難しそう。
 後であの子たちのファッションも聞いてみたいな、と変わって眼差しを向けた先には、ナンパを撃退した後は街中であちこち食べ歩きをして回り、酒場まで辿り着いたエヴァと白の姿がある。卓に並んだ料理はどれも、屋台のそれと同じ位に美味しそうだ。

『かんぱーい!』
「乾杯。エヴァちゃんもお酒、飲めるのねー」

 上機嫌にグラスを掲げるエヴァに笑って、そう言った白もお酒は飲めない方ではない。こくこく頷いて『お酒も結構いける口』と書いたカードを見せたエヴァが、白の飲みっぷりにきらーん、と嬉しそうに目を輝かせた。
 多分あの男どもは、この子を見る目がなかったのね、と思う。

(それにしても……そう変わらないのね、人は)

 此方でもこんな催しがあるのか、と知った時にも思った事をまた、思う。彼方には居なかったエルフやドワーフという種族が居て、衣服や食べ物も違うものがあって、けれども『人』の本質は同じらしい。
 食べ歩きをして、屋台を覗いて回ればその想いはなおさら、普通のお祭みたいじゃない? と強くなる。

『そだ。あとでレオーナ市長やルーカスさんの所へも挨拶へ行って顔を売っておきましょ!』
「了解。今日はどこまでも付き合うわよー。なんたって、エヴァちゃんは私の彼女ですものね」

 エヴァの酔った勢いと本音が半分ずつ混じり合った言葉に、白が快く頷いた。そうしてまずは飲みましょう、と早速お代わりを注文すると、ちょうど演奏が終わったエティが『はーい!』とにわか店員に戻って返事して。
 そんな賑やかな店の中でいつしかリアルブルーの話は、真面目な思い出にもなっている。

「久延毘さんのやってた学生って、ハンターみたいだね」
「体力も大事ではあるが、学び生きると書いて学生だ」

 ティトの興味深げな発言に、大真面目に大二郎が頷いた。クリムゾンウェストでは学校がない地方もあるので、伝わらない場合も珍しくはない。
 故に伝わっただけでも良し、とする大二郎の横で、彼の卒業論文の話を聞いていたカールがひょい、と首を傾げた。

「何をテーマにした論文だったんですか?」
「んー……日本のとある遺跡に関するものでな。オカルトに片足を突っ込んでいるようなものだと、傍からはそう見えるだろうが、確証は結構あったんだ」
「そうですか。医療技術も昔はオカルトみたいなものでしたよ。こちらの魔術や機導術も、応用出来たら良いのにな、って面白いです」

 真剣に頷きながらもカールの手は、興味を惹かれた話をノートにメモするので忙しい。ついでに時々は年相応に、甘い物を摘まむのにも忙しい。
 お菓子の家も1つ貰って、堪能中のカールである。マカロンはどこにあるのかなと、探す様子を見て大二郎が、ああいうのが発掘のイメージだ、とティトに説明をしていて。
 そんな難しい話を聞くともなく聞き、リアルブルーって不思議なのね、と1人頷いていたメーナが、ふと紫苑を振り返った。

「やっぱりシオンも帰りたいの?」
「そう、ですね」

 その言葉に、紫苑は少し考える素振りになる。この世界に転移した意味、それを見つけたような心地もしていたから。
 こちらに転移してきた時、歪虚の影響で両親を亡くして彼女と同じ孤児になる子が多いと聞いて、胸を痛めて。喪失の痛みを知る自分が覚醒者の力を得たことに意味があるのなら、きっと少しでもそれを減らすために違いない、と感じた。
 そんな事を考え、紡ぐ紫苑にそうなの、とメーナは微笑み頷く。

「いつか叶うと良いのよ。あと、もしよければこのケーキの作り方を教えてくれると嬉しいのよ!」
「ほ、ほんとですか……嬉しいです」

 その言葉に頬を緩ませ、紫苑がはにかんだ。このにんじんケーキは聞けば、彼女が孤児院にいた頃に人参嫌いの子供のために考案して、美味しいと言って貰えた得意料理なのだという。
 それが嬉しかったのだと、懐かしく微笑む紫苑に、メーナはハーブティーを指さした。

「代わりに父様直伝のハーブティーを教えてあげるのよ! 苦味が嫌いな人でも飲めるし、とても暖まるし、お風邪も引き難くなるの♪」
「はい、ぜひ」

 頷いた紫苑に、まずはね、とメーナが楽しげに材料を教え出す。賑やかな街コンの夜は、まだまだ楽しく続くようだった。

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参加者一覧

  • 雄弁なる真紅の瞳
    エヴァ・A・カルブンクルス(ka0029
    人間(紅)|18才|女性|魔術師

  • リィン・ファナル(ka0225
    人間(蒼)|19才|女性|猟撃士
  • 夢を魅せる歌姫
    ケイ・R・シュトルツェ(ka0242
    人間(蒼)|21才|女性|猟撃士
  • ブラッド・ロック・ブルー
    ヤナギ・エリューナク(ka0265
    人間(蒼)|24才|男性|疾影士
  • もふもふ もふもふ!
    ロジー・ビィ(ka0296
    エルフ|25才|女性|闘狩人
  • 戦場に咲く白い花
    コーネリア・デュラン(ka0504
    エルフ|16才|女性|疾影士

  • アルフェロア・アルヘイル(ka0568
    人間(紅)|19才|女性|聖導士
  • 杏とユニスの先生
    ルシオ・セレステ(ka0673
    エルフ|21才|女性|聖導士

  • キー=フェイス(ka0791
    人間(蒼)|25才|男性|霊闘士
  • ガンタのともだち
    アルナイル・モーネ(ka0854
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士
  • 勇敢と献身に混在する無謀
    ティト・カミロ(ka0975
    人間(紅)|16才|男性|闘狩人
  • 魔弾
    アシフ・セレンギル(ka1073
    エルフ|25才|男性|魔術師
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 静かな闘志
    星垂(ka1344
    エルフ|12才|女性|霊闘士

  • メーナ(ka1713
    エルフ|17才|女性|聖導士
  • 飽くなき探求者
    久延毘 大二郎(ka1771
    人間(蒼)|22才|男性|魔術師
  • 鍛鉄の盾
    イーディス・ノースハイド(ka2106
    人間(紅)|16才|女性|闘狩人
  • 《聡明》なる天空の術師
    アルファス(ka3312
    人間(蒼)|20才|男性|機導師

  • 雪雫(ka3362
    エルフ|17才|女性|疾影士
  • CANDY☆TOM
    喜屋武・D・トーマス(ka3424
    人間(蒼)|28才|男性|魔術師
  • 撃退士
    草薙 白(ka3664
    人間(蒼)|27才|女性|猟撃士
  • はじめての友達
    カール・フォルシアン(ka3702
    人間(蒼)|13才|男性|機導師
  • 笛の音が奏でるハーモニー
    エティ・メルヴィル(ka3732
    エルフ|12才|女性|機導師

  • 月護 紫苑(ka3827
    人間(蒼)|15才|女性|聖導士
  • 愛しき陽の守護星
    エミリオ・ブラックウェル(ka3840
    エルフ|19才|男性|機導師

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ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/01/09 01:40:58